今回は本章ではなくある人の想いがどうやってできたかを書かれています。
私は幸せだ。アキラと一緒に寝ている。アキラの匂いを嗅いでいる。アキラの温もりを感じている。あまりの幸せに思わず、興奮してあの秘所を濡らしてしまった。でも、それは仕方がない。アキラの匂いが、温もりが、身体があるなら私はこうなる・・・そう言えば、いつからこんなにアキラの事が好きになったのだろう。今まで一度もなかったのに・・・いつからここまで依存するくらいに好きになったのだろう。
まだ、あれはアキラが現れる前の事。私の身柄を森一家の棟梁三左様に拾われ、棟梁のくせに全く仕事をしないから代わりにしていたら、家中から影の棟梁とまで呼ばれるようになった。三左様も娘の小夜叉様も私を頼りにするようになっていた。隊の居心地はよかった。以前いた家は仮面をかぶった連中ばっかりで、私の体目当てで見合いさせようとする奴らだっていた。
森一家の皆は乱暴かつ粗暴なやつばかりだが、裏表がなくとことん殺しを好む連中しかいない。全く私の事をいやらしい目で見ないし、三左様と小夜叉様の手綱を掴むすごい人みたいな目で見られていた。とても解放された感じで心地がよかった。
ある日の夜、二人が不機嫌になって帰ってきた。尾張の城下で鬼が出たという情報があり、一目散に殺しに行ったのに。
『あの男!獲物を横取りしおって!』
『そうだ!全匹全殺しできなかったぞ!』
あの男?いったいどんな男が鬼を殺したというのだ?
次の日に久遠様が家中にある男を見せた。私も一応森一家の代表として評定の間に出た。ずっと目蓋を閉じていて何を考えている?と最初は思ったが、久遠様から目が見えないという説明があり、そのすぐ後だ。
『この男は我の夫となる男だ!』
その言葉に、顔には出さなかったが驚いた。結菜様という妻がいるのに、男の妻になるなんて・・・私にとってはどうでもよかったが、三若や宿老の二人はやはり納得がいかなかったみたいで手合わせをすることになった。
私はその手合わせを、気配を消して木の陰に隠れて見ていた。せいぜい、三若を倒せれば上出来だろうと思っていた。
だが、その三若は三人同時で戦って勝ち、麦穂様と壬月様にも一対一で戦って勝った。この時は本当に驚いた。壬月様は三左様と互角に戦える力を持つ。その人に勝ったという事は三左様にだって勝てる力を持つという事だ。
この男・アキラを知りたいと思い興味を持ったのは、そこからだった。それを知ることができたのは、あの弱いひよところいう二人と何故か結菜様と一緒に美濃に行った時だ。当時、まだ敵勢力にいた詩乃を誘拐するために向かい、その姿をたまたま見かけたので気配を消して後を追った。
結菜様と木の陰で休んでいると突然アキラが走り出して森の中に入ったので、後を追ったら詩乃の短刀を掴んでいた。結菜様を守るために肩に軽いけがをしたその後だ。あの氷を見たのは・・・あの傷だらけの体を見たのは。
傷だらけの体を見て私は知った。アキラは田楽狭間の天人と呼ばれているので天から授かった力を持っていると思っていたが、壬月様すら打倒した力は命がけで一つ一つの死闘を潜り抜け、誰よりも傷ついて、ずっとそれを繰り返していって、やっと手に入れたものだと。あの後、閉じられている眼も自らつぶして心の眼というものを手に入れたと聞いた・・・すごい。本当にすごいと思った。
その後、壬月様の声がしたからすぐに離れた。結菜様が危なかったのに助けなかったことに、文句を言われるかもしれないからだ。でも、それ以上に私の眼にはアキラのあの体が焼き付いてしまった。あんなにすごい体は初めて見た・・・もしかするとこの時点で私は好きになっていたのかもしれない。
この出来事の後に、稲葉山城を攻めアキラが忍び込んで門を開ける作戦。それが成功して後は城の内部を攻めるのだが、三若の遅さに三左様と小夜叉様が苛つきを抑えられず自分達が出ようとした時にアキラを見つけ、私に隊を任せ二人はアキラと戦いに行った。とても興味が出た。あれだけの傷ついた体で壬月様にすら勝てる力を持つアキラと森の親子の戦い。林のおばあさんに更に指揮を頼み、私は三人の戦いを見に行った。
戦いの場に着くと、何と二人が氷漬けにされていた。すぐに抜け出したが、アキラがそれができるように弱く技を放ったように見えた。そうやって見てるといつのまにか久遠様がいた。まだ敵地の中だからこれ以上はまずいと思い、観戦していたことを隠して二人に説教して戦いに戻らせた。
この稲葉山城制圧の後、アキラは尾張から姿を消した。何でも、久遠様が堺とかいろいろ行く際に連れて行ったらしい。結菜様からその説明を受けた時、ガクッとした気持ちになった。姿を消す前に一度だけ会ったことがあった。そして、離しをしているうちにこんなことを言われた。
『どんな環境に生きてきたか知りませんが、あなたのような信念を持つ女性は好きですよ』
信念・・・そんなものがあるのかわからないのに、まるであると確信して言うから驚いた。いなくなってからもずっと考えたが結局分からないままだったので、三左様に聞いてみた。
『わしが分かるわけなかろうが・・・だが、あやつがどんな奴かは分かった。あやつは刀を使って会話する男じゃ。そして、その会話で相手を理解しようとする気持ちがある男じゃ。これはわしの直感だが・・・あやつはいずれとても大きな男に、更に強くなる。そう、わしらの想像を超えるような男にな』
私はその刀の会話すらしてないのにどうしてそんな言葉をかけたのか・・・話を聞き終わり、最後に一言だけ三左様がこういって去っていった。
『物を見れない代わりに心を見る目があると言っていたな・・・もしかすると、お前の中にある信念を見たからそう言ったのかも知れんぞ』
・・・アキラの持つ心の眼はそんなものを見ることができるのか?目をつぶしてまで手に入れたその眼で私の心を見た?・・・戻ってきたら確認しようと思った。でも、中々戻ってこなかった。何をしているのか・・・どうして、戻ってこないのか・・・私の信念、いったい何を見たのか・・・早く聞きたい。聞きたい。その気持ちが徐々に強くなっていった。
やっと戻ってきて、ようやく評定の間で再会できた。でも、緊張感が漂う空気の為話ができる感じじゃない・・・だけど、私は自分の信念を見つけたい。アキラが見つけたならを教えてほしいのに、どうして強さをそこまで求めるのか聞きたいのに・・・久しぶりに会えて、とても嬉しかった。アキラと一緒にいることに嬉しさを感じていた。それさえできれば、他はどうでもいい。アキラの笑顔が見られるなら、今まで考えていた私の信念やアキラの強さの事など全部忘れてもいい。そんな考えが浮かぶくらいアキラの事だけしか考えられなかった。
私がアキラの事を好きだと自覚したのは観音寺城の時だ。落城し、既に六角も滅亡した。私は森一家の陣を敷いて隊員達に指揮をしていた時だ。
『待つの~~!』
『お頭!接吻、受けてください!』
『ハニー!さあ、熱い口づけを~~!』
アキラ隊の皆の声が聞こえた。気になって顔を向けるとアキラが隊員達に追われている。しかも、声を聞く限り接吻をしようとしている。イラっとした。アキラに接吻するのは私だ。その気持ちになり、気配を消して追いかけた。壁を飛び越えたのを見て私も飛び越えた。早く、接吻したい。早く、抱き着きたい。出来ることなら、抱かれたい・・・え?今私どうしてそんなことを?今まで出さなかった女の気持ちをアキラに見せたいと思っているみたいだ。そんなことない、そんなこと・・・え?
『『私達は愛し合っている・・・そう、ずっと』』
自問自答しながら違うと思った時に、久遠様とアキラが裸で抱き合っている姿を見てしまった。気まずい気持ちなどなかった・・・むしろ辛かった。何故、アキラが抱いているのが私じゃないの?その思いでいっぱいだった。気配を消しながらその場を去ったがその途中で目から水がたくさん出ていた。ずっと聞きたかった信念の事も強さの事もどうでもよかった。
分かった・・・アキラの凄さを知った時から、まだまだ強くなるために必死の思いで頑張っている努力を知った時から・・・アキラの事が好きになっていた。でも、アキラは久遠様の夫・・・形だけの夫婦だったが、あの二人はもう本当に愛し合っていた。その事実が私の想いに気づかせたと同時に私は失恋した。
その後、気持ちが沈んだままで、顔には出さなかったが三左様は気づいていたらしく二条館防衛の時は私を指揮から外してくれた。ただただ、この悲しみを鬼にぶつけることしかできなかった・・・気持ちを少しでも晴らすために。
二条館の防衛に成功した後、久遠様が言ったあのアキラ様の夫宣言。どんな人間でもアキラ様の妻になれるというあの宣言。諦めるしかないと思ったこの想いが実現できる・・・失恋したと思ったこの気持ちを叶えることができる!そう思うともう居てもたってもいられなかった。でも・・・正直恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。何しろ、初めての事だ。せめてもう一人誰かと一緒なら・・・そう思いながら小谷城に移動したときに、同じ気持ちの麦穂様を見つけたので一緒に抱かれた・・・そして、ついに妻になった。もう、抱かれた後はすごく満足していた。すごく嬉しかった。アキラ・・・分かったよ、私の信念。
『アキラへの愛をずっと持ち続ける』
多分、アキラは心の眼を持っても見えていなかったのかもしれない。逆に三左様はアキラの相談をしたときから、この信念を知ったのかもしれない。だから、アキラへの意識を強くさせる言葉を言ったのかもしれない。三左様・・・ありがとうございます、私はこの信念を一生持ち続けます。
『アキラ、覚悟して。私は絶対に離れないから』
この想いがあれば何があっても怖くない。アキラの妻でいられるなら、どんな困難でもぶつかって壊す!それが、今の私各務を強くする気持ち!大好きだよ・・・アキラ。
んん、あれ?夢・・・だったの。そうだね、夢だとアキラの温もりや匂いを感じることができないよね。それにしても懐かしい夢だったな~。一度は終わったと思った想いと信念を続けられるなら最後まで続ける。私はもうアキラ無しでは生きられない。アキラ以外は考えられない。依存していると言われても構わない。アキラしか私にはいないんだから。アキラ以外の男など絶対に考えられないし、一緒になりたいとも思わない。
『ずっと、ずっと一緒。一緒、だから』
再びアキラの温もりと匂いを堪能した。だけどそれだけじゃ我慢ができなくなり、アキラの上に乗り股間の太くなっている刀を取り出し自分の鞘に刺した。喘ぎ声で隣の小波も気づいて顔を真っ赤にして見ているが、気にしないで腰を動かしていった。喘ぎ声も大きくなっていくが気にしないで続けた。もちろん、そんなことをしていたからアキラも起きた。そして、そのまま私を抱きしめて耳元で呟いた。
「かわいいですよ」
アキラのこの一言が、私を女に・・・愛に貪欲な牝にする。あなたを愛する私にする。この言葉と刀の強さに私は果てた・・・アキラも出してくれた。ああ、幸せ。周りの人達は羨ましそうにしているが関係ない。構わない。だって・・・
『私は、この人の、妻なの、だから』
妻の悦びと嬉しさをかみしめながらアキラの体で動けなくなった。
各務の想い。どうでした?
自分の愛を気づけたのがアキラと久遠の愛し合いを見た時でした。一度は諦めかけたけど、夫宣言で絶対にもう諦めない信念を持ちました。
では、次は本章再開です!