※この作品はR-18です。

戦国恋姫 盲目のサムライ   作:一日三食MEN

114 / 217
 こんばんは!六十五振り目の「流されて、甲斐の国」を「流されて、甲斐蘭島」と書きかけた三MENです。

 いきなり特別編を出してすいませんでした・・・各務のアキラへの想いを全く書いてなかったのでここで出しておこうと思ったのです。

 では当主とついに対面です!


六十六振り目 あれ?なんか同じことがあった気が・・・

 

 各務の熱烈な起こし方に意識が戻ったアキラ。

 「アキラ様・・・」

 「私達もお願いします」

 「あの、いいですよね」

 「えっと、その、あの・・・」

 四人がじ~~っと求める目でアキラを見る中、まだ寝ていた綾那が突然目を覚まして、真剣な顔になった。アキラもまた、空気を感じ取った。

 「・・・何かありましたね」

 「です!戦の匂いがするです!」

 「小波と各務は戻ってください」

 「は!」

 「・・・う、うん」

 一瞬で着替えた小波と未だ裸に近い状態の各務。何とか着替えを持って天井裏に移動した。

 『ずるいです・・・』

 『小波も後でやってもらえばいい』

 そんな小さな声が聞こえたが、今は状況確認だ。走る音や兵達の急ぐ声が聞こえた。得物を持とうとしたが、没収されたままだったので丸腰だ。

 「いったい何が」

 「いろいろな音と声が聞こえます」

 詩乃と雫もそれらを聞こえてから真剣になった。そんなとき、走る音が自分達の前に止まった。警戒心を高めた中で

 

 「お前達、お召しら!・・・ひ、ひいい!な、何をするのら!」

 

 襖を盛大に開けて姿を現したのは、雀と同じくらい背の小さい少女だった。だが、警戒していたアキラと綾那はつい体が動いてしまい、アキラが一瞬で背後に回り腕を掴み背中に回し、綾那が取り出した蜻蛉切りで顔に突きつけた。

 「・・・あなたは?」

 「と、兎々は高坂弾正(らんじょう)昌信!通称は兎々ら!」

 泣きそうな顔で自分の名前を言った。

 「らんじょう?何を言っているのですか?」

 「弾正では?」

 歌夜の訂正に頷く兎々。

 「そう、言っているのら!早くこれをろけるのら!」

 「・・・どうやらここの武将みたいですね。綾那、大丈夫ですよ」

 「はいなのです!」

 アキラと綾那は警戒を解き、兎々を解放した。

 「こ、怖かったのら・・・ひどい目にあったのら」

 「せめて一声かけてから入ればこんなことはしませんでしたよ。ああいう開け方をすれば、それなりの対応をするのは当然です」

 「ですよ!気を付けるです!」

 「な、何れ兎々は注意されているのれすか・・・それはそうと。お前ら、おしめら!」

 「おしめ?・・・さっきので漏らしたのですね。戦場に行く前に着替えた方がいいですよ。武将がお漏らしなんてみっともないですからね」

 「ま、間違ったのら!お召しら!お前ら!戦があるからくるのら!」

 冗談もここまでにして、真面目になった。

 「まあ、この空気ならそれでしょうね」

 「ええ!綾那達も参加していいですか!」

 目が輝いている綾那。その後、移動中にこの少女の事やここの武将の噂や当主や典厩の話になり兎々はドヤ顔をした。途中で粉雪と呼ばれる語尾に「だぜ!」をつける活発的な女と、心と呼ばれるエーリカと同じくらいのおしとやかさを感じる女性と会った。

 

 その二人と別れて、自分達の得物がある蔵に着くとちょっとした珍事が起こった。

 「のわああ!何れ刀が動くれすか!」

 「す、すごいです!紫微垣って意思があったですか!」

 紫微垣がアキラがいないことに腹をたてたのか、蔵の中を動き回っていた。その光景に驚く皆。アキラが来たことが分かると、刃を向けて襲い掛かってきた。

 「「アキラ様!」」

 「ふふ、すいません。もう大丈夫ですよ」

 うまくかわし、刀を掴んで転がっていた鞘に入れた。その平然とやる姿に綾那は目を輝かせ、歌夜はうっとりした。

 「・・・すごいです」

 「アキラ様・・・本当にかっこいいです!」 

 「っは!早くいくのら!もう、みんな集まっているのら!」

 我に戻った兎々が慌てて歌夜に武器を返した。

 

 その後、皆のところに行き春日に叱られた兎々。蔵の事の話しても信じてもらえず、緊迫とした空気の中で軍議が始まった。

 どうやらこの甲斐にも鬼が出ていて、その集団がいくつか現れたから召集されたようだ。粉雪と心の隊が既に出陣していて自分達はその後だった。その時にお屋形様と呼ばれる少女が一人アキラ達の前に姿を現した。名前を言おうとしたが、夕霧が現状を解決するのが先。と言って言わせなかった。出陣となったが詩乃と雫は館に残った。

 

 『人質、と見えるけど真意は違うでしょうね。それに、お人よしそうなあの子。お屋形様と呼ばれてましたが、名前を言わせなかった辺り・・・おそらく』

 

 夕霧の態度から、ある結論を出したアキラ。困惑もしているようだが、その理由まではこの時はまだ分からなかった。

 「出陣する!」

 春日の号令に出陣した。

 

 鬼の集団と会うまでにどうして甲斐に鬼が出たのか聞くと、結構前から出ていたらしくアキラが田楽狭間に現れる前から出始めたらしい。最初に見たのが、武田の痛い敗北となった砥石城だった。

 「砥石崩れ・・・そのようなことがあったなんて」

 「当時は、鬼なんて存在自体知らなかったからな」

 「いきなり現れてどうしようもなかったのれす!」

 春日と兎々は悔しそうな顔をした。

 「いきなり現れてたら、そりゃ無理でしょうね。存在に驚き、力にも驚き、その事で隊列も作戦も無意味になってしまいますから」

 「それにしても畿内、近江、越後、そしてこの甲斐にも出ていたんですね・・・しかも、越前では知恵を持った上級の鬼に奇襲を食らって負けてしまいましたし。鬼の勢力はどんどん増えてますね」

 歌夜の言葉にアキラだけでなく、お屋形様と言われた少女も頷いた。彼女から興味深い話も聞けた。話題の砥石城で一人の若物が城に入り、その後で鬼が現れたらしい。

 

 『十中八九、あの三流ですね・・・試したのでしょう。鬼を本当に作れるかどうか。そして成功した・・・それが武田の砥石崩れにつながった。うまくいったから次は畿内や近江に行って鬼を増やしたといったところですね』

 

 アキラの中で考えが結びついた。

 「砥石城の鬼は根切りにしたのれすが」

 「また鬼が出るようになったのだ・・・南、駿府の方から」

 「す、駿府ですか!」

 二人の話に綾那だけでなくアキラも驚いた。忍ばせた草も全滅して今はどうなっているかすらわかっていないらしい。鞠の故郷、その話が本当なら彼女の故郷は既に・・。

 「見えてきたれす!」

 でも、今は鬼との戦いだ。

 

 現場に着いたが、越前の時のように上級の鬼がいなければ策を使った戦いをするわけでもない。越後のように数が多くなく、ただの下級の鬼の集まりで簡単に倒せる鬼だけだった。

 「では、参りましょうか」

 「はい!」

 「です!」

 アキラの言葉に綾那と歌夜は笑顔で続いた。

 「ちょ、ちょっと待つのら!」 

 「まさか!三人だけで!」

 兎々と春日の驚く声が聞こえたが、

 「( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」

 「う~む、綾那が小夜叉化してきているような気がします」

 「はい。アキラ隊では十分に戦う事が少ないので」

 「越後で存分に暴れたと思っていたのですが、足りなかったのですね」

 「そうですね・・・あはは」

 こんな雑談をしながら、鬼の集団をあっという間に倒しきった。

 「す、すごいのら・・・今まれの噂って本当に本当らったのら」

 「春日山城の大手門を壊した。というアキラ殿岳でなく、この二人もまた相当の実力者だな」

 二人とも感心していたが、別の集団を見つけたのでそこに行くことにした。

 

 「とおりゃああ~~!」

 「せいや!」

 「ふむ、さっきより多いですね」

 「甲斐の兵達よ!三人に後れを取るな!」

 「手柄を取られてしまうのれす!」

 さっきよりも数が多い集団にどんどん挑む皆。アキラ達の戦いに火がついたのか、春日と兎々も兵に激を飛ばす。

 「さて、これ以上は時間の無駄ですから、蹴りをつけましょう」

 お屋形様と呼ばれたあの少女に聞きたいこともあるからこそ、さっさと片付けたいと思い、腰に刀をしまい紫微垣を抜いた。

 「皆さん、どいてください。一気に片付けます」

 「はあ?」

 「何をする?」

 「アキラ様!まさか」

 「皆~~、離れるです!」

 紫微垣が光っているのを見て、何をするのか察した二人は兵達に離れるよう告げた。兎々と春日は刀が光っているのを見て驚いていた。

 『だんだん、体が壬生の血に適応してきたのか・・・もしかすると』

 ある予想を抱きながら刀を先までなぞった。

 「では、参りましょう・・・みずち!」

 兵達は綾那達に従ってくれて、前には鬼しかいなかった。その鬼に向かって横一線で刀を振り抜いた。だが、そのみずちを受けた鬼達は何ともなかった。

 「ちょ、ちょっと!何「あなた達も聞いたでしょう」。無視するな!」

 兎々の文句を無視して、紫微垣をしまった。

 

 「神風の清響を」

 

 決め台詞を言うと、鬼達が全員バラバラになった。それを見て、唖然とする甲斐の兵達と春日と兎々。

 「お、鬼が、バラバラに、なったのら」

 「これはすごい・・・」

 「おお~い、春日~~こっちは終わった。ってどうしたんだぜ!そんな呆けて!」

 「春日様!鬼はどこですか!」

 そこに、別の鬼の集団を倒した粉雪と心もやってきた。その二人にアキラが地面に指さした。?を出しながら下を見た。

 「な~~~!何でバラバラなんだぜ!」

 「い、いったい、誰が!」

 「アキラ様です!」

 バラバラの鬼を見て絶句する二人とドヤ顔の綾那。

 「ほら、春日さん。引きあげましょうよ」

 「っは!み、皆のもの!村は守られた!引き上げるぞ!」

 冷や汗を流しながら、引き上げの指揮をした。だが、アキラはみずちを使う前の一つの予想を考えていた。その予想とは、

 

 『体に変化はない。超活性化しない状態で紫微垣を使えた・・・やはりこの体壬生一族になりかけている。いったい私の体はどうなっていくのでしょうか?』

 

 壬生一族の体に変わり始めていることである。

 

 

 帰りは鬼の襲撃もなく、無事躑躅ヶ崎館に戻ってきた。

 「「アキラ様!おかえりなさいませ!」」

 「ただいま。無事帰りましたよ」

 「「はい!」」

 詩乃と雫が抱き着いてきたので笑顔で返した。その後すぐに評定の間に行くことになったのだが・・・そこに着くと同時に武田の家臣全員がアキラを見た。

 「・・・空気がおかしいですね」

 「はいです。ただの戦後報告なのに」

 「それだけではないという事ですね」

 「そうですね・・・明らかに皆さんアキラ様を見ています」

 綾那達も彼らの出す異質な空気に気づいた。

 「くるのら!」

 皆で疑問に思っていると、兎々がやってきて座る場所まで案内した。四人は空いている場所に座るように言ったが、アキラには何と上段に座れと言った。

 「本当にいいのですか?」

 「・・・いいでやがります。武田が決めたこと、アキラ殿は気にする必要ないでやがります」

 

 『久遠の時を思い出します。あの時は面白がって見せしめにされましたが、今回は違った意味での見せしめですね・・・ん?』

 

 かつて久遠にされたことを思い出していると、上段の間にある二つの座布団の真ん中には朱塗りの三ッ組盃が置かれていた。座布団の方は自分とお屋形様が座るものだから納得できるが、

 『何故こんなものが。いったい何に使うので・・・!』

 とりあえず、座布団に座ろうとしたら視線を感じた。その感じた方を向くと、

 

 「・・・・・・!」

 

 こっそりと自分を見ていた一人の少女が隠れた。しかし、すぐに姿を現した。

 『ふむ、なるほど。彼女ですか』

 だが、すぐに彼女が本人だと気付いた。

 「アキラ?」

 「ええ、そうですよ。当主さん」

 当主と言われてキョトンとする少女。

 「さっきのは影武者・・・あなたの妹なのでしょう?」

 「・・・(こくん)」

 少女が皆の前に姿を現し、自分の隣の席に座った。同時にアキラも座った。

 

 「武田家棟梁!武田太郎光璃晴信様!御出座!」

 

 春日の声と共に家臣全員が頭を下げた。夕霧の隣にあった空席も今は埋まっている。

 「あなたの妹の一人があなたそっくりと聞きましてね。その方じゃないかと思ってましたよ晴信さん」

 「うん、その通り・・・光璃」

 「え?」

 「光璃」

 アキラに顔を近づける。

 「ああ、そう呼ぶようにとの事ですね。では光璃、その影武者さんは?」

 「薫」

 「はい!お姉ちゃん!武田孫六信廉!薫と言います!よろしくお願いします!」

 「・・・なるほど。これはそっくりだ。ぱっと見だと確かに間違える」

 「えっと、ごめんね・・・だましちゃって」

 頭を下げる薫に、やっぱり素直でいい子だと思った。

 「いいのですよ。分かってましたし」

 「え?分かっていた?」

 「ええ。初めからね」

 ニヤリと笑顔を春日に向ける。

 「何と・・・拙の策と知っていて敢えてのったのですか」

 「大方、自分と仲間の戦力確認に薫君の顔合わせが目的でしょう?」

 「そこまで分かっていたとは・・・しかしどうして初めから分かって?」

 「簡単な理由ですよ。鬼の集団があれだけで棟梁が自ら出るなんて、大きな力と国を持つ武田からすればおかしい話です」

 その推察に、ふむと呟く春日。

 「夕霧君が影武者の薫君の自己紹介を遮った。これがダメでしたね。当主の紹介を遮るなんて妹でもやってはいけない事です」

 「余計なことを聞かれないようにと思って、やったのでやがるが・・・」

 「紹介を終えてから話をさせないやり方がよかったですね。不自然すぎましたよ」

 そう言われて何も言えなくなる夕霧。

 「そして、最初から気づいた最大の理由・・・薫君には」

 薫の方に顔を向けて、はっきり言った。

 

 「この子には当主の器がない」

 

 彼女を侮辱する言葉を。

 「な、何を、言いやがる!」

 「薫様を侮辱するとは!」

 「よして」

 「な!光璃様!」

 「話して」

 夕霧と家臣達が怒りに燃えたが、光璃が抑えてその理由を尋ねた。

 「私は今まで、織田、足利、浅井、松平、そして長尾の当主と会った。彼女らに共通して言えることが一つある。それは・・・切り捨てるという覚悟を持っている。兵に死ねという指令を苦しい思いを持ちながらも出す事を彼女らはできる。しかし、薫君はそれができない。まだ、会ってそれほど時間は経ってないですが、そういう人物だという事は分かりました」

 薫はそれを聞き俯いた。言い返せないからだ。

 「光璃のように棟梁ともなると、家中を束ね、自分を慕い、忠誠を誓う家臣達の気持ちを裏切ってはいけない。五つの家の当主は全員その気持ちも持っていた。自分の気持ちを押し殺してね・・・」

 久遠も真琴も美空も、葵や一葉、名前を出さなかったが今川・・・そう鞠だって気持ちを押し殺していた。そんな彼女らの顔が頭にでた。

 さすがにここまでの正論を言われると、家臣達も言葉が出なかった。そんな中で言葉を出したのが、大将の春日だった。

 「アキラ殿の言葉ももっとも。でも今は」

 「私を越後から分捕った理由ですね。一体どういう事でしょうか?」

 顔を光璃に向けた。すると、ぽつぽつと語りだした。それは、鬼が自分がこの世界に現れる前に出始めたという事。出て原因は自分にあるという事。そして、鬼達は日の本中に広がっているという事だった。

 だけど、家臣達は別の理由で自分に敵意を向けているような言葉で反論していた。

 

 『反論する言葉を聞く限り、光璃君は同盟に入る意思はあるように聞き取れる。でも、自分と同盟を別物として見ているのも気になる。彼女はどんな考えを持って、自分をここに連れてきたのか』

 

 そうやって考えていると、光璃は驚きの言葉を言った。

 

 「皆の言葉ももっとも、しかし時間なし。光璃は御旗・楯無に誓い、アキラと祝言を挙げる」

 

 それを聞いたアキラは一気に考えを放棄した。

 




 一気に祝言宣言まで行きました!

 会ってまだ数分しか経ってない人から「この人と結婚する」といわれたらそりゃ唖然としますよね・・・

 アキラ、だんだん体が壬生一族の体に進化していきます。

 では、次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。