※この作品はR-18です。

戦国恋姫 盲目のサムライ   作:一日三食MEN

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 こんばんは!一日三食MENです!

 すっかりこれが自分のネームであることを忘れてました!

 さあ、出発です!

 


七十四振り目 お互い、気合十分のようで・・・ただ

 三河勢を持つ葵が自分の国に戻った。一番不安なのは国が無事かどうかだ。もはやどこに出てもおかしくない鬼もそうだが、自分がいない間に別の者が乗っ取っていないかということもあった。だが、それに関しては大丈夫だった。葵を裏切るような人もいなければ、実はそれができる暇がなかった。

 「・・・ちょっと複雑ね」

 「はい、葵様に反抗する者が出なかったのはよかったのですが」

 今葵と悠季の二人は苦笑いをしながらある場所を見ていた。

 「おらおら!もっと気合い入れやがれ!」

 「その程度で勝てるわけないだろう!」

 「これならまだ越後の連中の方が歯ごたえあったよ」

 「私もそれなりに戦えますよ!」

 複雑と言ったのは、実は鬼がこの三河にもそれなりに出ていたのだ。その鬼の討伐が時々あったため、下心を持つ連中が裏切り行為に手が回らなかった。

 「全く、もう終わりか」

 「これくらいじゃ、準備運動にもならないな」

 「後は路銀をもらって、一日休んで出発ね」

 「葵さ~ん。悠季さ~ん。終わりましたよ」

 何故、桐琴に時人と庵樹に朱雀が三河にいて鬼退治をしているのか?その理由は、桐琴のミスが原因だった。

 京を出る準備が終わり、出てすぐに桐琴が急ぐならこいつを使え。と瓢箪から百段という馬を出し他の馬より大きく四人でも乗せられたので、それに乗りあっという間に清洲城まで戻れ、その日は城に泊まった。次の日からは百段を封印して、普通の馬で長久手まで来た時だ。

 

 『桐琴さん。北落師門と瓢箪以外は持ってないのですか?』

 

 百段の大きさや走る速さに驚いた三人は普通の馬でようやく落ち着いた。その時に軽装な桐琴の姿に気づいたのだ。城に泊まった時は、百段のとんでもない走りに三人とも酔ってしまい次の日まで治らなかった。

 

 『あん?そんなの用意してくれるだろう?』

 

 この言葉で、彼女は何も準備をしていないことに気がついた。理由を聞くと、森一家の棟梁の時は各務に頼んでいれば全部やっていたので、今回も自分の分は用意してくれていると思い込んでいた。つまり、何を用意すればいいのかすら分からなかったのだ。せめて、金くらいは分かるだろうと心で突っ込んだ三人だった。

 

 三人分の路銀を四人に分けるにしても、すぐになくなる可能性が高い。少し稼いでから甲斐に行った方がいいという事になり、長久手の近くは三河があるから護衛の件を利用して葵に数日間のバイトみたいなことができないか頼み込んだのだ。そしたら、三河にも鬼が出ていることが分かりそれを倒す代わりに金を出すという事になった。

 

 その鬼退治も終わり、葵の居城・岡崎城に戻ってきた。今は、六人が城の一室で話をしていた。もちろん、四人とも正座はしないでだ。

 「ありがとうございます。兵も犠牲を最小限どころか全く出さずに済みました」

 「すごいお方達ですわね~。アキラ様は修羅すら手なずけておられるのですのね~」

 悠季の皮肉った言葉だが、四人とも気にしなかった。

 「かかか!正直に言うところが気に入ったぞ!」

 「えっと、こちらもありがとうございます。この分なら大丈夫だと思うので」

 「全く、好き勝手もこれからは控えてくれよ」

 「時人の言う通りだぞ」

 朱雀の手にはお礼の金があった。笑っている桐琴は時人と庵樹からジト目で見られたが無視した。

 「こうして路銀も手に入り、戦えたじゃろうが」

 「ちゃんと用意していれば今頃は甲斐に入れていたのですが?」

 「・・・ところで、お主らに一つ聞きたいがいいか?」

 だが、さすがに形勢は不利なので話を変えた。でも、聞きたいことは本当にあった。

 「何でしょうか?」

 「修羅殿が私達に何か?」

 「あの鬼共、どこから来たと思う?」

 誰よりも鬼を倒している桐琴はここで倒した鬼は、三河で出来た鬼だけじゃないと踏んでいた。聞かれている二人も同じ答えだ。

 「・・・駿府、でしょうね」

 「私も同じです」

 「じゃろうな。鬼の目撃場所も出現場所もそこに近かった。氏真・・・鞠が追い出されてから鬼が出てきた。これはつまり」

 そこから先は、三人も話に加わった。

 「駿府が越前同様、鬼の国になっているのでしょう」

 「しかも、鞠ちゃんを追い出した武田信虎が自分も鬼になってその鬼達を率いているだろうね」

 「大方、調べようとした草は全員死んでいるんじゃないのか?」

 最後の時人の言葉に葵は頷いた。

 「そうなると、一つ疑問があるな」

 桐琴の言葉に全員が注目した。

 「あやつらは儂が森の棟梁をしていたころと同じように、人を餌と見てそれを求めるだけの鬼共だった。越前にいたような隊列や策を使うような連中じゃなかった」

 「なるほど。武田信虎が本当に鬼を率いているなら、三河にきた鬼達にそのようなことをするのか?という事ですね」

 「ああ。一応それに関する予想は二つある」

 「ほう~~修羅殿の答え。お聞かせ願いませんでしょうか?」

 悠季のニヤニヤする問いに、笑いながら頷いた。

 「まず一つ目・・・というか、これは外れと見ておる」

 「いきなり外れですか?」

 「聞いとく価値はあるじゃろう・・・まず、信虎が阿呆であることじゃ」

 「阿呆なんて・・・本当のことをはっきり言いますね」

 「そ、それで、どこら辺が阿呆と思っているんですか?」

 悠季と葵も否定しない辺り、中々はっきり言うなと内心思った三人。

 「鬼をほったらかしにする。連中の動きを見るのが面倒がってのう」

 「でも、それはないと思いますが?」

 「それって、自分の無能さを見せるようなものだぜ」

 「だから、外れという事なのね」

 時人達の言葉に頷く桐琴。

 「そうじゃ。元はつくが武田の大将であり、当主をしたやつじゃ。相当の阿呆をして追い出されたみたいじゃが、自分の強引なやり方に文句を言わない鬼共を手放すと思うか?」

 「人間は力無きものでも抵抗する意思を持っているが、鬼はそれがない。力が全てであり力が上位の鬼の言う通りにする」

 「確かに、文句を言わないなら好き放題に命令し放題ですからね。だから、一つ目はありえないという事ですね!」

 葵と悠季は外れだという事に納得した。

 「となると、二つ目という事かな?」

 「ああ。信虎が超ド阿呆なやつという事じゃ」

 庵樹の頷いていった言葉、さっきの罵声に更に超とドがついた。

 「三河は眼中にないという事で、ある所にしか目が行ってないという事じゃ」

 「じゃあ・・・甲斐?」

 時人の答えに指をさした。

 「大当たりじゃ。自分を追い出した娘達に復讐するという、自分のしでかしたことを棚の上どころか雲の上にあげてやっている。でも、まだ甲斐に攻めておらず鬼共が三河に流れてくるあたり、駿府も完全に自分のものにできておらん。中心の駿府屋形をとったが細かいところが取れてないから、甲斐を攻めようにも攻められない」

 「では、私達は攻められる心配は今はないと」

 葵の言葉には、朱雀が否定した。

 「いや、それも時間の問題ですね。駿府を完全に取り、甲斐を攻め終えたら次は隣国の三河か相模に意識が行くと思います」

 「いつ銃口から鉄砲の玉が来るか。それに注意しておけ。という事だな」

 「・・・分かりました」

 「なあに、アキラの嫁なら死なれると困るからな」

 「え!Σ(・ω・ノ)ノ!」

 時人の言葉に思わず声を上げた葵。深刻な顔が一気に真っ赤になった。

 「あれ?もしかして、違った?」

 「わ、私はまだ・・・いえ、久遠姉様の同盟に参加しただけです!嫁にはなっていません!」

 慌てて否定したが・・・。

 『葵様・・・あの男の事』

 隣にいた悠季は「まだ」の言葉は聞こえていた。とっさの事で出た言葉とはいえ、なりたい意思があるという事だ。

 

 『どうしよう、あの人を考える気持ちが強くなっている。アキラ様の妻・・・何か不思議、こんな風に考えるなんて今までなかった。どうしてかしら・・・もしかして、これが久遠姉様や草から嫁になったと聞いた長尾景虎が持った恋なのかしら?いえ、そう決めるのは早いわね。そうよ・・・きっと違うわ』

 

 アキラへの気持ちが変わりつつあるが、まだ気づきかけの段階と認めない気持ちが強かった。

 

 

 その同じ日に、甲斐ではついに武田が川中島に向けて出発する日でもあった。

 「出発ですね」

 「それにしても・・・すごいですね」

 「そうですね。武田一万五千。そして、長尾八千。その戦いがついに」

 「兵数は倍近く。でも、驕らず、称えず。それがこの武田の強さでしょう」

 「うう~、光璃様の喝を聞いたら綾那も黙っていられないですよ~~!」

 「落ち着いて綾那。まだ、始まってすらいないわよ」

  アキラと詩乃に雫が感心していると綾那が興奮して、それを歌夜が抑えていた。

 「お兄ちゃん!行くよ」

 薫の声掛けに頷き、ついに移動が開始となった。

 

 その頃の長尾勢。

 「それにしても、本当に川中島って遠いっすね。武田よりうちの方が近いと言っても、何回も行きたくないっすよ」

 「それをすることになったのも、皆」

 柘榴の言葉に反応して、秋子が誰かさんをジト目で見る。

 「何よ、文句あるっていうの?光璃の頸をとることに!」

 「そうじゃぞ、戦は頸をとってなんぼのものじゃ。それができるのじゃから喜べるじゃろうが!」

 アキラの妻美空と一葉は聞く耳ももたず。

 「公方様、忘れては困りますぞ。戦の目的」

 「御大将もですよ!私達は今回は私達の旦那様を取り返すために行くのですよ!」

 「「わかっているわ(おる)」」

 側近二人は言う。何故なら、この二人はそれを忘れる行動をとるためだ・・・でも、二人とも牡丹だから結局やるだろう。

 「全公方様は日本中をグダグダにしているのですぞ。よもや、これくらいのグダグダも追加したって問題ない。と思っているのではないでしょうな」

 「うるさい、余とて女じゃ。愛しの主様を取り戻すくらいなら何個でもグダグダを増やすわい」

 「気持ちは分かるから突っ込まないけど・・・いつもより落ち込んでいるように見えるけど、どうしたのかしら?」

 ちょっとだけ落ち込んでいることに気づいた美空。幽以外の皆は驚いた。

 「え?これで落ち込んでいるんですか!」

 「見えない」

 「そうなんですよ、これで落ち込んでいるのです」

 「ふふん!偉いからのう!」

 柘榴と松葉の驚きに肩を落としながら言う幽。三人はドヤ顔する一葉を白い目で見た。

 「それで、どうして落ち込んでいるの?」

 「・・・貴様のせいで、ひよところに怒られた」

 その言葉に、大笑いをした美空。アキラ隊の句伝無量のお守りを全て一葉が取り上げていた。時々小波からの連絡があったが無視していることを二人に漏らしたら「返せ」と言われて、その後説教をしたらしい。将軍様に説教する二人に驚く秋子。

 「とりあえず、返してはいないわよね」

 「もちろんじゃ。全く、貴様のせいで」

 「それでいいわよ。あんなの使われたら、こっちの策が丸わかりだからね」

 「その通りですな。ところで、今回の出陣を勢いで決めましたが・・・それなりに理由もおありでしょう?一体どんな理由ですか?」

 「・・・それを聞く?」

 どうやら心に隠しておきたかった理由みたいなのか、苦い顔をした。

 「今だから聞くのです」

 「は~~、分かったわ。面子よ、面子。それでいいでしょう」

 「ほ~、面子で国を巻き込む戦を起こしたと?くだらないことで戦を起こさないでほしいものですな」

 「何を言っているのよ、くだらないからこそ戦を起こすのよ!」

 「そのたびに後片付けを私に押し付けないでほしいのですが・・・」

 秋子が泣きそうになっているところに使い番がやってきた。どうやら、一葉宛に二通の手紙が届き、一通は葵にもう一通の方はあの人物らしい。

 「ふふふ、なるほどのう~」

 さっきまでの落ち込みがなくなり、面白いものを見た顔になった。美空にもその手紙を見せた。

 「へ~、来るんだ。あいつ」

 「余らが戦う理由、一つ増えたのう」

 「ええ!楽しみだわ!」

 笑顔になった二人を見て、頭痛がした家臣二人であった。

 

 出発したアキラ達含む武田勢が止まったのは若神子城。兵の数も一万五千とたくさんの為すぐには出発しない。綾那は数の多い兵と三河とは違う兵の割り振りなどに興味津々だった。

 そんな中、アキラが見たのは美濃の方だった。

 

 『もう少し・・・もう少しですよ。待っていてください』

 

 愛する妻に会いに本当は抜け出したい。美濃に戻り、尾張に行って、京に行って妻達に再会したい。でも、妻達の戦いを何としても止めたいので我慢するしかなかった。

 「帰りたいですか?」

 「いいえ。とは言えないですね。もう何日何月経過したのか・・・でも、戦いあう妻を止めるためにもまだ戻れません」

 「そうですね。それに引っかかっていることもあるので、それがいいでしょう」

 「・・・詩乃。やはりそうですか」

 「私も同意見です・・・お二人の懸念である鬼を操っている黒幕の意図が分からない限り、アキラ様はあまり動かない方がいいです」

 「「「黒幕の意図?」」」

 三人の話から出た言葉に、綾那に歌夜と各務がそう訊ねた。小波は周辺の調査に出ている。草の習性らしい。

 「私達がまず疑問に思うのは、あの春日山城の攻防で、何故三流は鬼を乱入させなかったのか」

 「はい。その後の御館や海津では鬼を出している」

 「春日山城とこの二つ・・・いえ、越前や二条館も北近江での戦いなど。それらを踏まえて考えても、その時だけはおかしい」

 始まった三人の話に、歌夜と各務はしっかり聞いていたが、綾那は既にちんぷんかんぷんだった。

 「じゃあ、春日山城はどこが違うのか?思い返して気づいた点、それは私の周りにいた兵や将の数です」

 「御館での丘攻防の時は少数だったから出さずにいて、空さんと名月さんのぶつかり合いの時に出した」

 「アキラ様を殺さないように鬼を出させているように思えるのです」

 「なるほど・・・確かにそうですね。私や綾那も御館や海津ではアキラ様と一緒でしたので今そう言われて考えると雫さんのその言葉が納得できます」

 詩乃の推理に綾那は?を出していたが、歌夜は納得した。

 「私なりに考えた理由は二つ。私に鬼を斬らせたい。でも、万が一にも殺されたら意味がない。だから守ってくれる人が多い時を狙って鬼を出す」

 「では、黒幕はどうしてそんなことをする必要があるのか」

 「それはもう一つの理由です。この二本の刀です」

 両兵衛の言葉に、アキラは努力と友情を抜いた。

 「鬼を呼ぶ刀。この刀に一体どんな理由があるのでしょうか?」

 「今までの推測が正しいとしたら、この刀で鬼を斬らせたいという事になります。でも、いったい何のために」

 「・・・本当に、何故でしょうね」

 でも、アキラはおおよそ見当がついていた。

 

 『人を斬れなくして鬼しか斬れない刀にする。何年もこの刀で戦い、対話ができるようになったからこそ分かる。そうすれば・・・』

 

 最終的な結論もすでに出ていた。だが、まだ確信の段階まではまだ早い。だからこそ、とぼけて言わなかった。

 そんな中、詩乃と雫はアキラに質問をした。

 「アキラ様・・・一つ聞いてよろしいでしょうか?」

 「私もです・・・詩乃と同じ質問です」

 「何でしょうか?」

 「アキラ様は、エーリカさんの事をどう思いますか?」

 「ルイス・エーリカ・フロイス。またの名を明智十兵衛光秀。二つの名を持つ。そんなことが果たしてあり得るのでしょうか?」

 「彼女ですか」

 アキラは出来るだけ考えないようにしていた。でも、もうごまかせない段階まで来てしまった。

 「私はあの方が何かを知っている。いえ、やっていると思っています。そう、鬼に関わる大きなことを」

 「これは私だけじゃないはずです。エーリカさんはアキラ様に似ていると思えるところがある。どうです?」

 雫の言葉に、綾那達は少し考えて頷いた。

 「はい、アキラ様みたいに別の世界から来たような感じです!」

 「私も、そうやって話を聞くとそう思えます」

 「あまり会ったことないが、二人に同意」

 アキラもそれは思っていた。初めて会った時から感じていた違和感。それが自分と同じように別の世界から来たと考えれば納得ができる。二つの名前を持っていることも、ちょっと強引だけど分かる気がする。ただ・・・

 

 『あ、あの、その、き、き、キスして、くれませんか』

 『わ、私・・・アキラ様の事・・・で、できれば、こ、これから、の』

 

 考えたくなかった。自分に想いを持つ女性が、自分の妻になりたいと願っている彼女が鬼に関わることをやっているなんて。

 

 『・・・信じますよ、エーリカ。あなたの想いを』

 

 再び美濃の方を見て、自分とキスして嬉しそうな顔を見せた彼女を信じた。

 




 あの四人は三河まで来ました!でも・・・路銀稼ぎです。

 そして、長尾でも武田でもそれなりに進展がありました。原作と違う展開も考えるって本当に難しいですね。

 次は開戦前かな?
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