川中島中盤まで来ました。いや、難しい・・・原作じゃないように、でも筋はそのままで書くというのは。
森のところどころに朝日がさす。だが、それに気づかない驚いて大声を出したアキラ。ほかの皆も声こそ出さなかったが、同じように驚いていた。
「えへへ~~、アキラ~(ギュ)」
「ま、ま、鞠!」
今アキラに抱き着いている少女。本来なら長尾の陣にいるアキラ隊にいるべき少女。その子・・・鞠が何故かここにいた。雫に詩乃も( ゚д゚)ポカーンとしていた。いきなり目的の一つが目の前にいるのだ。唖然とするのも無理はない。
「え。えっと・・・鞠ちゃん。どうしてここに?」
「梅さん達と一緒では?」
「あのね、アキラが川中島に来ているって聞いたから、来てみたの!」
声も裏返っている軍師二人。
「でも、危なかったのでは?軒猿の警戒もあったはずですし。隊の皆さんには黙ってきたのでしょう?」
「大丈夫!危ない、と思えるところは行かなかったし、城攻めのお勉強も役に立ったから!」
いや、このための勉強じゃないのですが。と突っ込みたかったがまだ驚きが強く、それができなかった。
「そうでした。鞠の直感は並外れたものだということを忘れていました」
「でもね、中々進めなくなった時に小波ちゃんと各務ちゃんに会ったの」
その時、アキラの前に二人が現れた。
「ちょうど、軒猿の警戒の外におりましたので、お戻しするのも危険と思いましたので、お連れしました。あの・・・お役に、立てましたでしょうか」
「どう?よかった?」
「小波、各務。よくやりました!」
二人を抱きしめて頭を撫でて、頬にキスまでした。小波だけでなく各務の尻にも幻の尻尾が見えて勢いよく振られていた。
「あ、あわわわわ!ご、ご主人様!」
「嬉しい!ああ、欲情しちゃう」
「一番の手柄です!よくやりました!あなた達が隊にいてくれて心からよかったと思っています!」
「ご、ご主人様(うるうる)はい!」
「アキラ(じゅん)ずっといるから」
顔を真っ赤に舌二人から離れ、鞠に意識を向けた。小波は恥ずかしがっていたが、各務は内股になって股間に手をやっていた。変な音が聞こえたが気のせいだ。
「鞠、今の隊はど「あのね、アキラ・・・その前に聞きたいことがあるの」、聞きたいこと、ですか?」
さっきの嬉しそうな顔じゃなくて、真剣で少し寂しそうな顔になった。
「アキラは、私達と戦うの?ひよもころも、辛そうな顔をしていたよ」
鞠がここにいる理由がよく分かった。だから、彼女に説明した。
「鞠、今から言うことをしっかり聞いてください」
「うん」
「私は戦いませんよ。私がここにいるのは、美空と光璃を仲直りさせるためです」
「仲直り?」
「あなたも知っているでしょう。美空だけじゃなく光璃も私の妻になったこと」
「うん(こくり)」
「だから仲直りです。妻同士で殺し合いはしてほしいと思っていません」
「じゃあ!」
「でも私は助けてくれる人がここにいる人達以外いません。ですので、助けてくれますか?」
「うん!アキラがそう思っているなら鞠助けるの!」
笑顔になってアキラにまた抱き着いた。
「・・・あと、一つ伝えておくことがあります」
「伝えておくこと?」
「アキラ様!」
「それは、言うべきことですか?」
詩乃と雫がアキラと鞠の間に割り込んだ。
「ええ。言うべきことです。隠すのは、鞠の為になりません」
そう言われて二人は黙ってどいた。そして、鞠の肩を掴んで彼女の目を見て言った。
「今のあなたの故郷、駿府が越前と同じ状態になっています」
「す、駿府が・・・」
鞠の顔から表情が消えた。驚きすらも忘れて、ただ茫然として聞いていた。
「はい。どうやら甲斐に出現している鬼が、駿府から流れているそうです」
「・・・・・・」
「でも、その駿府を光璃は何とかしたいと思っています」
「光璃ちゃんが」
光璃の名前を聞いて、感情が戻った。
「ええ、光璃はあなたの力になりたいと言っていました」
「本当!」
「ですので、絶対に仲直りさせましょう。彼女はあなたと同盟を結びたいと言っていました」
「うん!駿府を取り戻すのが鞠の夢!絶対に、仲直りさせるの!」
鞠は笑顔になって答えた。
その頃の下山城。
「これが川中島に向かうための地図だ」
「ありがとうございます。まさか地図までくれるとは」
「なあに、お屋形様の夫殿が命の危機ならさすがにね」
「それにしても・・・間に合うでしょうか」
湖衣の言葉に庵樹達は首を横に振った。
「正直わからない。でも、嫁二人の戦い。力を使ってでも止めるのが分かる」
「その時に壬生の血の力を使うと、あの病が進行していく」
「そうなると危ないわけか。よし、百段。川中島だ!」
とりあえず駿府からやってきた理由は保留となり、今はアキラの命を優先させるために川中島への地図をもらった。
「急ぎな。多分戦いはもう始まっているはずだよ」
「おうよ!早く乗れ!」
四人は百段に乗り、目的地に向かって走り出した。
場を川中島に戻し、武田本陣。
「静かですな。やはり、奇襲は読まれていたか」
「美空なら当然」
「ええ。越後の龍はやはり一筋縄ではいかないというわけですな」
夕霧の言葉に、春日と光璃は頷いた。
「お屋形様!大軍が接近するとの報告がありました!」
「よし、拙が行こう。お屋形様はここで」
「夕霧も行くでやがる」
「それは心強い。では、参りましょう」
心の報告に、夕霧と春日が陣を出た。
アキラはというと。
「ええっと、そろそろ離れてくれると」
「ダメなの!久しぶりにアキラの温もりと匂いなんだから我慢するの!(#^.^#)」
鞠がずっと抱き着いたまま離れない。薫に自己紹介したが、その時もずっと抱き着いたままだった。
「・・・いいなあ」
「薫様。大丈夫です、戦いが終われば好きなだけ」
「うん、裸になって布団の中で」
「え、えええ!そ、その中で!」
「各務さん、薫様はまだ妻じゃないですから」
「あ、あの・・・皆さん、よろしいのでしょうか」
うずうずしながらも、アキラの服を引っ張る小波。
「そろそろ、作戦を」
「「「「「あ!」」」」」
各務に薫はともかく、詩乃と雫も忘れていた。その時に鏑矢の音を聞いた。
「鏑矢・・・一本ということは」
「失敗ですね。まあ、予想通りと言いますか」
「はい。軒猿が厳重すぎたのは移動を悟られないためでしょう。気配が少なすぎたのですぐわかりました」
「そして、入れなかったから武田側も旗が見えるその位置にいる。という認識になったと思います」
両兵衛の確実とも言える美空の行動の説明に、アキラは褒めた。
「さすが美空様です。私達も行きましょう、妻女山の裏から降りますよ!」
「「「「「は!」」」」」
全員馬に乗り、すぐ移動を開始した。
「鞠、何がきっかけで美空は出陣を?」
鞠の話ではみがアキラと光璃の祝言の話を聞いて出陣を決めたらしく、一葉も思いっきり賛成して牡丹二輪の暴走を誰も止められなかったそうだ。ただ、その話の中に久遠が美空と手紙のやり取りをしていることもわかり、小夜叉達は無事松平を京まで届けたことも分かった。
「本当に予想通りになっていたとは」
「それだけ光璃様との祝言が、美空様の理性をぶち壊す報告だったという事ですね」
詩乃の言葉に複雑な気持ちになった。
『ご主人様!』
『アキラ!』
そこに先行していた小波と各務が句伝無量で呼んだすぐ後だった。銃声が聞こえたのは。しかも一発や二発ではなく、何発も一気に撃っている。
「この銃声だらけの撃ち方って」
「こんな連発する撃ち方をするのは」
「日の本、どこを探しても一つしかないです!」
歌夜と綾那の言葉に答えるように、句伝無量から二人の声が聞こえた。
『長尾勢の前線に二つ引き両の旗が!』
『対(むか)い鶴もある!』
「・・・私の隊が前線ですか!」
アキラ隊、前線にいるという報告が来た。
その頃のアキラ隊。
「さあ!どんどんと撃ちなさい!何千の兵をたったの三百の兵で止めているという武功を立てるのです!」
「やっほ~~い!」
「・・・(ぐ)」
嬉しそうに雀と烏が鉄砲を撃っている。
「ちょっと~梅ちゃん」
「そんな命令しないでよ!」
「これでいいのです!」
ドヤ顔の梅にひよところは涙を出す。
「ううう~、やっぱり牡丹さんは止められないよ」
「うんうん。何考えているのかわからないからね」
「全く・・・愛称筆頭の二人がそんなでどうするのですの!」
文句を言ったのに二人は照れた。
「えへへ、文句言われているのは分かるけど」
「愛称筆頭と言われると嬉しい気が」
顔を赤くするひよところ。やれやれという顔をしながら梅が説明した。鞠がアキラの匂いに気づいてすでに合流していること。アキラ達は自分達と合流したがっていること。だから玉薬を空にして補給という形で部隊から離れれば合流できること。そして、アキラが戦を止めるために隊を使うことを説明した。
二人ともいつもと違う冴えた梅に、おお~~っと感心した。その時、好き放題連発して楽しいはずの雀が不満を漏らしていた。玉薬が少なめで撃った気がしないと・・・
同じころ、長尾本陣は少しずつ移動をしていた。
「はて・・・いったいどうするつもりなのでしょうな」
幽がつぶやいた。血の気が多い当主と同僚、更に銃声を聞いて玉薬の事で悩んでいた秋子は?を出した。
「どうするとは?」
「この戦の終わらせ方です。どうするつもりなのかと思いまして」
「さあ?私もわかりません」
秋子の答えに、大雑把に驚いたふりをする幽。
「何と!長い間当主に仕えてわからないですと!年相応に煮ても焼いても食えないのに嘘はよしてください!」
「と、年の事は言わないでください!それに、年以外の言葉はそっくりそのままあなたにお返ししますよ!」
「何をおっしゃいます、軍師さん。某、そのような嘘をつくことなど一切ない雪のような真っ白な腹をお持ちだと評判なのですぞ!」
「それを言った人は白目をむいていたのでしょうね。正反対の色の腹なのについ自分の目の色を言ってしまって」
火花が散る二人。そこに一葉がやってきた。
「全く、腹の探り合いは別の時にやれ」
「そのようなことはしておりませぬ。それより、どうして美空殿はこの戦いをやったのでしょうか?」
「あの場に一緒にいたくせに、よくそんなことが言えるのう」
「いえいえ、浅学非才の某ではわからないこともありますので」
『すごい、よくそんなにぽんぽんと言葉が出るものです』
幽の次々と言葉が出ることに冷や汗を流す秋子。
「ふん。まあいい。女の意地じゃ」
女の意地という言葉に幽は本当に分からない顔になった。
「そうじゃ。愛しの旦那様を憎き相手にとられたのじゃ。しかも、その相手もまた旦那様の事を愛しておる」
「つまり、自分を納得できる愛を持っているかどうか。でございますか?」
「そうじゃ、因みに余はもう認めておるぞ。余は器がでかいからのう」
「はあ~、それなら同じ正室殿をお止めくださいよ。こんな戦いよりせっかく甲斐まで来たのですから、善光寺参りでもしたいものです」
「結局、アキラさんがこの戦を起こした張本人というわけですね」
秋子はそう呆れながらつぶやいたが、
『御大将が越後の当主や関東管領になってからは、女性はおろか女の子らしいこともできなかったけど、アキラさんと会ってからそれが出てきた。アキラさんを好きになって、妻になって、恋を知って、やっと年相応の女性になった。私もアキラさんの妻になれて嬉しいですけど、御大将を変えてくれたことが一番嬉しいです』
内心は恋する女性となった当主と変えたアキラに感謝していた。
アキラ達は妻女山を下り目の前に川が流れていた。その向こう側では夕霧と兎々が長尾勢のどこかの隊とぶつかっていた。
「お兄ちゃん。援護に行く?」
「ダメです。私達の目的はあくまで戦を止めること。戦いをさらに誘発させる危険もあるのでやめましょう」
そんな中、銃声がいまだ続いていた。
「ふむ・・・対い鶴があるから梅が隊を指揮しているのは分かります。でも、あそこまで派手に撃ちますかね?」
「公方様や小夜叉さんみたいに、ただただ撃つことに夢中になっているのでは?」
「敵は鬼じゃないですし、それはないでしょう・・・多分」
『歌夜も詩乃もひどいですね・・・梅はそこまで危ない人ではないのですが』
その考えは一葉と小夜叉はそこまで危ない人だ。ということになることに気づいていないアキラ。その時、雫が顔を上げた。
「そうだ!牡丹・・・いえ梅さんは、玉薬を調整して空砲で威嚇する案をだしていました。おそらくそれでは?」
「なるほど。あの銃声は結構派手に聞こえますが、実は空砲だったと」
「それなら効果は抜群ですね。私も今の話がなくて武田側として戦いに参加していたら、あそこは絶対に近づこうとしません。むしろ、兵や馬が怖がって行こうとしないでしょう」
「綾那なら銃弾を全部よけてやるです!」
現武将の歌夜がこう評価したのだ。参考にならない綾那の言ったことは流して、これなら確かに近づきたくない。
「多分、梅さんも鞠ちゃんが私達と合流していることは気づいているでしょうし」
「あれだけ早く打てば玉切れになるのも早いですから、補給しているふりをして長尾の隊から離れたところで」
「一気に討ち取ってやるです!」
「うん!早い者勝ちよ!」
『・・・三河勢は戦場にたてば敵を絶対に討ち取る頭になるのでしょうか?綾那はともかく歌夜までやる気とは』
苦笑いをしながら、二人に突っ込んだ。その後、アキラ隊が長尾の隊から少しずつ離れていく小波の報告が入った。
武田本陣。
「銃声すごいですね。異能集団と聞いていましたが、本当にその通りです」
「旗は?」
「二つ引き両とあと一つは分かりません。ですが、まさかアキラ隊が前線に出るとは思いませんでした」
心と光璃の話の途中で春日が戻ってきた。
「ただいま戻り申した。矢の補給に参りました」
「そちらはどうです?」
「ケガ人はあの銃声で驚いて転んだ程度だ。死人も出ていない」
「状況は?」
「今は典厩様が前線を指揮しております・・・それにしても、夫殿の隊はすさまじいな。あんなに乱射されては兵も馬も怯えて近づけない」
「そうですね。高い武器ですが、価値はあるということですね」
「うん」
心と春日の話に、光璃の表情は険しい。
「何か不安でも?」
「美空らしくない」
「ふむ。確かにその通りですな。攻め切れぬ戦い方、いつもの戦いではない」
「はい、こちらもいつもらしくないですが・・・お屋形様?」
「・・・音がやんだ」
あれほど響いていた銃声がぴたりと止まった。
長尾本陣。
「音がやんだのう。あれだけにぎやかだったのに」
「ああもう!いったいどれだけお金が・・・」
「苦労が絶えませんな~同情しますぞ」
「さて、そろそろ行きましょうか」
「・・・は?行くって。ま、まさか!」
ニヤリと笑う美空をみて秋子の顔が真っ青になった。
「柘榴と秋子は来なさい。松葉はここで待機」
「わかったっす!」
「え、えええ!ほ、本気ですか!」
「わかった」
「もちろん本気よ。秋子、頼むわね・・・光璃。待ってなさい!」
「(チラ)はあ~~。わかりましたよ・・・_| ̄|○」
「秋子さん、何で柘榴達見てそんなにため息ついてがっかりするんですか!」
「分かっているくせに」
「本当に、矢の如き主ですと大変ですな」
「その同情はむしろ追い打ちですよ・・・(トボトボ)」
幽の一言で更に肩が落としながら美空、柘榴と一緒に陣を出た。
「では、余らも元の場所に戻ろうかのう」
「ええ。そうしたいのですが(チラ)」
「かまわない。二人の事は聞いてないから」
「ほう、なら遠慮なく行かせてもらおうか」
「そうですな。松葉殿、ご立派な忠義ですぞ」
松葉を本陣に残し、一葉と幽も陣を出た。
アキラ達は森の中にいるが、既にアキラ隊が見える位置にいる。
『ご主人様。アキラ隊、長尾勢の護衛隊からも離れていきます。あの距離なら無事に合流できるかと!』
『梅達も弁当を食べているから、動かない』
二人の報告で頷いた。
「よし・・・行きましょう!」
「「「「はい!」」」」
「うん!隊の皆!我らが当主の夫、アキラ様に今こそ力を貸すときだよ!」
「「「「おう!」」」」
アキラ達は自分の隊に向かって、一気に馬を走らせた。
アキラ隊では弁当も食べ終わり、補給も終了させた。あとは自分達の主を待つだけとなったが・・・。
「どうして裸にならないといけないんですの!」
「だって、梅ちゃんが先に言ったじゃない」
「そうだよ。だから、言い出しっぺが」
「例として言っただけです!それに私はハニー以外に見せたくないですわ!」
他に何かないのか?と話していたら、何故か裸になろうという話になった。
「それは、私達も(くいくい)?烏ちゃん何?」
「・・・」「耳を澄ませてとお姉ちゃんは言っています」
「静かになって聞け。ということ?」
烏が頷いて、皆話を止めてその通りにした。ドドドという音が全員聞こえた。
「何か、音が聞こえるね」
「うん、馬で地面をかけるときに聞こえるような音が」
「・・・!」「あっちを見て!とお姉ちゃんが言ってます!」
烏の指す方を向いた。そこには一つの集団が自分達めがけて駆けてきた。その集団の旗を見て全員が笑顔になった。
「あ、あの旗って!」
「うん!間違いないよ!!」
「努力・友情の旗ですわ!」
「・・・」「待ってました!と雀もお姉ちゃんも言っています!」
彼女らが待ちわびた愛する人の到着だった。
「皆さん、お久しぶりです!」
アキラ、無事アキラ隊に合流成功。
ついにアキラが隊に合流しました。あと、四人も川中島に向けて駆けています。
次で大きな展開を迎えます。お楽しみに!