※この作品はR-18です。

戦国恋姫 盲目のサムライ   作:一日三食MEN

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 緊張はあまりしない、三MENです。
 
 やっと現実で大会が始まります。それが終われば少しはペースが戻ります!すいませんでした、長引かせてしまって。

 今回はあの刀のイベント終了までです!


八十四振り目 あなたがいるから、変われると思った

 

 軍議が終わり解散した後、アキラは今回の戦いの大将のところに行った。

 「見つけましたよ・・・鞠」

 「あ、アキラ」

 駿府の正当な後継者・鞠だ。彼女からすれば、この戦いは光璃以上に思い入れがあるはずだから、様子を見に来た・・・弁当を持って。

 「一緒に食べましょう。どうせ、緊張して食べてないのでしょう」

 「(ぐ~)う、うん・・・ありがとうなの」

 少し恥ずかしそうに弁当をもらい、一緒に食べた。

 『やはりですね。まあ、無理もないでしょう』

 

 食べ終わると、鞠はアキラのそばに座った。

 「さっき詩乃と雫から言われてしまいました。無茶はするなと」

 「アキラはいつも無茶しているから、言われて当然なの!」

 「う~ん、私は無茶の段階はいってないと思ってたのですが」

 「いっているの!」

 雑談をして、鞠の気晴らしをしてから本題に入った。

 「雑談はここまでとして・・・どうです?少しは気が晴れましたか?」

 「う、うん」

 頷いたが、どう見てもまだ体に力が入っている。

 「あなたは、今までは私の背中を守っていた。でも、今回は」

 「うん、こんな大戦初めてなの」

 「でも、あなたは駿府の国主として立たないといけません」

 「それは分かってるけど、この戦いは絶対に負けられないの・・・そう思うと」

 アキラの服を掴んだ。少し震えているのが分かる。

 「絶対に負けられない戦い・・・私も経験があります」

 「アキラも、あったの?」

 「ええ、今の私を作り上げたと言っても過言ではないとても大きな、そして負けられない戦いをね・・・」

 空の月を見上げて、懐かしむように呟いた。

 「アキラは、どうやって勝ったの?」

 「・・・仲間ですよ」

 思い出しながら、その言葉を言った。

 「仲間、なの?」

 「そう、仲間がいたからこそ勝てた。仲間がいたからこそ苦しく困難で、巨大な壁を壊すことができた。私ができたのなら、あなただってできます。あなたにだって仲間がたくさんいるでしょう?」

 「・・・うん!いるの!ひよやころ!詩乃に梅に雫!久遠に美空ちゃんに光璃ちゃん!たくさんいるの!」

 緊張していた鞠の顔に笑顔が戻った。

 「一人では無理かもしれません。でも、仲間がいるなら可能かもしれません。鞠、皆あなたを大切に思っています。助けたい、力になりたいと。だから、その仲間の力をもってこの戦いを勝ちましょう」

 「うん!皆がいるなら、勝てる。勝てるの!」

 「その思いがあるなら大丈夫ですよ。駿府を必ず取り戻しましょう」

 「うん!」

 最後のこの「うん!」はもう緊張を感じさせない元気な返事だった。

 

 その同じ時間の躑躅ヶ崎館では。

 「どうしたの?時人」

 「ああ、ちょっと。アキラがいなくなった時を少し思い出してな」

 「縁起でもないこと言わないでください」

 駿府への出陣でしばらく帰ってこれないので、その間の館を守るのに庵樹・時人・朱雀の三人が留守番することになった。一騎当千が二人、それ以上の力を持つ時人がいれば問題ないとアキラが判断した。

 「大丈夫だ。アキラは私達を置いていかない」

 「その通りです。でも、どうしてあの時の事を?」

 「傍にいないから・・・それだけだ」

 「まあ、もう体の方も問題はないし・・・後は」

 「「後は?」」

 「あ、あいつの子供を、産むだけだ」

 「「・・・そ、そうですね」」

 庵樹の言葉に二人とも照れて言葉が止まった。館は静かに時が流れていった。

 

 そして、次の日。

 「みんな~~出陣なの~~」

 鞠の掛け声に皆が答えた。特にアキラ隊の兵の一部は

 「は~い、なの!鞠様!」

 「鞠様のあれって、本当に癒されるよな!」

 「うんうん!あの鞠様になら頭を撫でられたい!」

 「お前、またそんなことを・・・いや、それなら俺もされたい!」

 いつも通り、暴走していた。だが、これがアキラ隊らしい。

 「さて、ここからが本腰入れないとダメなところです」

 昨日まで一緒に行動していた織田勢と浅井勢は既に移動していた。その為、今残っているのは鞠を守るためのアキラ隊と松平勢だ。

 「も~~。折角鬼を全殺し出来ると思ったのに」

 先陣きって鬼に突撃!と思っていた綾那だったが、葵から鞠の護衛を言われて黙っていることに不満だったが、そこに鞠がやってきて戦ってきていいと言った。後ろにいるはずの鞠が、何故隊の方にいるのか疑問だったが

 「「お頭のせいですよ・・・全くもう~」」

 いつも前に出るアキラのせいとひよところに言われた。葵の許可を得て早速走っていった綾那と追いかける歌夜。そんな中、アキラは一つ疑問があった。

 

 『何でしょう、葵の雰囲気が柔らかく感じます?』

 

 初対面の時から彼女から感じていたうさん臭さや、アキラに探りを入れようとする感じを持っていた。越後でその感じが少し薄まったが消えたわけじゃなかった。でも、今は完全に消えていた。

 「あ、葵?」

 「何ですか?アキラ様?」

 向けてきた顔も仮面ではない、本当に自然な笑顔だったので更に疑問に思った。

 「・・・変わりました?」

 「変わった?そうですね、自分でもそう思います・・・それはアキラ様。あなたのおかげです」

 「私の?」

 そう言うと、葵は嬉しそうに言った。

 「はい。あなたの生き方や頑張りを見て思ったのです。私も頑張らろうと・・・でも、一人では限界があります。鞠様は皆さんと駿府を取り戻そうと頑張っています。なら、自分も一人でやろうとせず、抱え込もうとせず、皆さんと頑張ろう。そう思ったのです」

 「そうですか。私としては今まで以上に仲よくなれて嬉しいですよ」

 「はい、私も嬉しいです・・・本当はそれ以上の関係になりたい(ぼそ)」

 照れる顔の葵を見て、本当に変わったと思ったアキラ。

 「何か、嬉しいですね。私の生き方や頑張りがあなたをそうやって変えたのは」

 「嬉しい。ですか?」

 「まあ、これは当人にしか分かりませんね」

 説明しても理解ができなかった葵。そんな彼女の右肩に手を乗せた。

 「あ、あの?」

 「私は、かつて誓いを託された。その誓いの為に、必死になって頑張った。その誓いは私を私と見てくれた証拠でもあるのです。当時、私はある男の部下。それを誇りに思い、その肩書が自分の人生とすら思っていた」

 「人生・・・」

 「だが、大きな出来事が起こりその肩書を捨てた。自分の人生すら捨てた私に、その男は誓いを残してくれた。だからこそ、かつての自分を決別し新しい自分になれた。あの時ほど、嬉しいと思ったことはありません」

 思い出すアキラの顔に見惚れながら、右肩に乗っている手の上に自分の手を乗せた。

 「アキラ様・・・お願いがあります。私にも、誓いをくれませんか?」

 「誓い、ですか?」

 「はい。アキラ様がそこまで自分を変えたと言える誓い。そこまでの誓いが欲しいとは言いません。でも、あなたとの誓い。小さくてもいい、それが欲しいのです」

 真剣な顔でアキラに頼んできた。

 「そうですか。では・・・」

 アキラはある言葉を彼女に言った。耳元で言ったので、周りにいる兵には聞こえなかった。葵にとっては驚く言葉で、キョトンとした。

 「はい!それを、誓わせてください!」

 「ええ、誓いましょう」

 こうして、アキラと葵の間に二人だけの誓いが交わされた。

 『アキラ様。その誓いは今までの中で一番嬉しいです』

 葵は、愛おしそうにまだ右肩に乗っているアキラの手を見ていた。

 

 その後、小波から句伝無量が届いた。葵の肩から手を離した時、名残惜しそうに見ている彼女に気づかなかった。報告は浜松城の次の目的地掛川城での攻防だった。その報告の中で一番驚いたのが

 「纏まっていない?」

 『っは、軍の行動としての統率が取れていません。ばらばらに、行動しているように見えます』

 自分達が駿府に向けて進軍している。それはもう大将の信虎だって知っているはず。なのに、統率をとっていなかった。

 「先遣部隊としての鬼の集まりでしょうが、それでもそこまで統率が取れなくなるものでしょうか?」

 「それはありません。でも、それなら好都合です」

 「小波さん。隊の正確な場所をお願いします」

 アキラの言葉に頭脳の二人は否定した。でも、現状は有利に動けるとのことなのですぐに二人は策を開始した。

 

 『・・・まるで一乗谷前の越前、自分達を切ってくれという行動ですよ。鬼になった信虎がこれをするとは思えない。光璃も鬼を集めて進軍するのは信虎の拘りと言っていたのに、今だ掛川城を落とせずじまい・・・つまりこれは』

 

 その鬼達の行動が、アキラの脳裏にはかつての敗北を思い出させた。

 「アキラ様?どうしました?」

 「いえ、何でもありません」

 「鞠ちゃんも号令を出して、先に行きました。私達も行きましょう」

 ひよところに言われて頷きながら、

 『・・・あの三流の指示といったところでしょう』

 この鬼の行動は、黒幕の指示だとアキラは思った。

 

 進んでいき、掛川城を攻めていた鬼は殲滅した。

 「第一段階突破ですね」

 「そうですね。ここからが本番です」

 「そうなの!でも、負けないの!」

 「うむ!その意気じゃ!・・・と言いたいが、余も暴れたいぞ!」

 「公方様、我慢です。大人の対応をすれば、アキラ殿に褒めら「将軍である我が暴れるのはみっともない!ここは待とうぞ!」・・・チョロいですね~」

 数少ない心許せる鞠と一緒の上機嫌の一葉だが、暴れたいと文句を言いつつも幽の言葉であっさりとやめた。それを見た全員が、「子供」と真逆の見られ方をされたのを一葉は知らない。

 「お頭!報告があります!」

 そんな漫才が終わった頃に、一人の兵がやってきた。

 

 その兵に報告によると、何やら変なものが出て進めなくなったらしい。何とも説明しずらい変なものなので、アキラに報告がしたとのこと。しっかり確認しておく必要があると思い、自らその現場に行くことにした。

 「ハニーは私がお守りいたします!」

 「某もですぞ」

 その時、アキラの護衛として指名したのが梅と幽だった。二人とも、アキラの両サイドから腕を自分のおっぱいに挟めた。

 「あの、まじめに」

 「着いたら、離しますわ!それに、これくらいは!」

 「梅殿の言う通り、いいではありませんか。体がアキラ殿を求めているのですよ」

 おっぱいどころか、見せつけるように体をアキラに擦り付けた。二人とも嬉しそうにアキラの匂いと温もりに堪能していた。

 「「「「(ピキ)むかむか 」」」」

 「さあ、参りましょう!」

 「アキラ殿の匂いと温もり、しっかり堪能させてもらいますぞ」

 幽がそれを言うのは珍しい。彼女も抱かれてないのが寂しいのだろう。後ろからぐさぐさに刺さる視線を食らいながら、三人は現場に向かった。 

 『『『『『この戦いが終わったら、絶対抱かれよう!』』』』』

 二人の行動にそう決意した妻達だった。

 

 現場に到着すると、まだその変なものはあった。

 「確かに変なもの。ですね」

 「・・・あれって、どう見ても鬼ですわね」

 「某もそう思います」

 「鬼になった猿でしょうか?」

 「そうとしか思えません。それにしても、人以外にもなるのですわね」

 「おそらく、武田信虎が飼っていたという白川という猿でしょう」

 その変なものは、鬼の顔をした猿だった。

 「見張りみたいなものですね」

 「ええ、私達の姿が見えているのに襲ってこない。襲い掛からないから襲わないという事でしょう」

 「そうなると厄介ですから、ちょっと遠回りに「・・・お、お頭」・・・ん?」

 堂々と姿を見せているのに襲わないから放っておこうと思った矢先、自分達を連れてきた兵が震えながら白川の下を指した。

 「あ、あれ・・・お、俺の、友達」

 大きな足が邪魔していたが、よく見るとアキラ隊の鎧を着た兵が数人死んでいた。その内の一人が仲のいい友人だったのだろう

 「・・・昨日楽しそうに俺と話していたのに」

 「落ち着きなさい。悔しいのは分かります」

 「こ、こいつのせいで!」

 「ダメですわ!」

 「っく!不覚!」

 悲しそうに震えていた兵が、突然刀を抜いて白川に斬りかかった。いきなりの行動だったので、三人共止められなかった。

 「へ、へへへへ!や、やった!やったぞ!か、仇とったぞ!」

 白川はあっさり斬られた。だが、その兵の様子がおかしくなった。

 「やった、やった、ヤッタ、ヤッタやややややや」

 仇討ちができたことに喜んでいると、兵の体が人の肌の色じゃなくなっていった。

 「な!」

 「ど、どういうことですの!」

 「一端離れましょう!」

 言葉遣いだけでなく、体も変わっていったので離れた。その姿はまるで・・・

 

 「ややややややかかかかかかやややややや!」

 

 何と鬼に変貌した。理屈は分からない、だが自分の他の兵が突然鬼に変わったことに三人とも驚いた。

 「復讐心が鬼の呪いに反応して、鬼に変えた?」

 「ま、まさか、ハニーの兵が鬼になるなんて!」

 「残念ですが、こうなってしまった以上は」

 「・・・ええ、分かっています」

 幽の言葉は分かっていた。斬る、それしかない。そして、それは。

 「二人はそのままで、私がやります」

 「ハニー!危険「梅殿、アキラ殿に任せましょう」・・・はい」

 隊長の自分の役目だ。それを実感しながら、アキラは刀を抜いて前に出た。梅が前に出ようとしたが、幽が止めた。アキラの腕が悔しさで震えているのが見えて、梅も後ろに引き下がった。

 「越前のようなことをまたするなんて・・・悔しいですよ」

 「あああああああああ!」

 鬼となった兵が襲い掛かってきた。鬼に反応して輝く刀となった自分の二本の刀で止めた。その刀で切らないといけない。しかも、自分の部下を。

 「・・・言いなさい」

 「ハニー」

 「アキラ殿」

 「あなたの望むことを!」

 力任せに後ろに飛ばしたが、鬼の兵は起き上がった。

 「おおおお、お頭、おかしら、オカシララララララ」

 「言うのです!」

 望みを叶える。それが精いっぱいのはなむけだった。

 

 「お、お、おでを・・・、おでを・・・こ、ころ、し・・・て」

 

 そして、鬼の兵は言った。最後の言葉を・・・。

 「ええ、それを望むなら!」

 両手に力を入れて、アキラ渾身の一撃を与えた。

 

 「夢氷月天!」

 

 自分の持つ一番の技を、最大の力で鬼の兵を斬って氷漬けにした。

 

 『何でしょうか?体を斬った手ごたえがなかった・・・代わりに何か黒い煙みたいなものが斬ったところから出た?』

 

 変な感じだったが、今は氷漬けとなった兵だ。

 「あなたの命もまた、私の肩に乗せます」

 死を確認して、刀を納めた。覆っていた氷が完全に壊れ、中の兵が地面に倒れた。

 「ハニー!ご無事でよかったですわ!」

 「アキラ殿・・・細川与一郎、あなたの思いしかと見届けましたぞ」

 「ええ、それでは彼を・・・」

 二人がアキラに走り寄った。兵を抱きあげようとしたが、言葉を失った。

 「ええええ!な、何故ですの!」

 「っく!これでは、先の兵が無駄死にではないですか!」

 「・・・実体を持つ幻みたいなやつですか」

 斬られたはずの白川が姿を現したのだ。これでは幽の言う通りだ。

 「・・・行きましょう。私達は行かなければなりません」

 更に悔しさが出た。これでは、この兵の無念が浮かばれない。

 「あ!逃げましたわ!」

 「ふむ、用はないという事ですか」

 その思いが出た時、白川が後ろを向いて駆けだし、あっという間に姿が消えた。

 「放っておきなさい。今は、この兵を・・・え?」

 怒りと悔しさで気づかなかったが、自分に斬られて倒されたはず鬼の兵がチリになっていない。しかも、鬼の肌の色から元の人の肌の色に戻っていた。そのすぐ後に、更に驚くべきことが起こった。

 

 「あ、あれ?お頭?」

 

 何と意識を取り戻した。確かにアキラは、兵を斬って倒したはずだ。その現場を自分だけじゃない。梅も幽も見た。だけど、今目の前で兵は動いている。

 「え、ええええ!ど、どうしてですの!」

 「こ、これは・・・だけど、現実」

 「あの・・・俺、何か?」

 鬼の気配が完全にない。鬼に変貌したときは、気持ち悪いあの鬼の気配をとても漂わせていたのに・・・今は完全に人の気配だ。

 「何でもないですよ・・・よく、戻ってくれました」

 そう言って先を歩いた。疑問に思う兵も後に続き、驚いている梅と幽も続いた。

 

 『考えるのは後・・・今は、ただ嬉しいです』

 

 先を歩いているから三人は気づいていない。アキラがこれ以上ない心から嬉しい笑顔になっていることに。

 




 鞠ほどの年齢で大軍を率いる。相当緊張しますよね、ゲームでも本当によくやれるなと感心します。

 葵とアキラ。どんな誓いをしたのかは後々です!あと、自分を慕う人を斬るというのは相当苦しいかと思います。

 次回、ついに三河を出て駿府へ入ります!

 
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