※この作品はR-18です。

戦国恋姫 盲目のサムライ   作:一日三食MEN

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 熱い時はカレーが食べたい。三MENです!

 特に自分はキーマカレーが好きです。それのいろんな味が食べてみたいですね。

 さあ、ついに過去編も次の一話のみとなりました・・・でも起きてもう一話書くつもりなので、実際は二話か。夢時人編。決着です!


百五振り目 アキラ・・・手に入れたもの

 

 「「「「「「や、やった!か、勝ったよ!」」」」」」

 皆が両手を上げて喜んだ。彼女らの視線の先は当然アキラだが、もう一つあった。

 「何と、綺麗な」

 「そうね。アキラってあんなものもできたのね」

 「素敵な聖母の像」

 「ですね・・・私の氷像も作ってほしいです」

 アキラが無事の姿に、表情も気持ちも落ち着いた久遠達が話した氷像。しかも、その氷像には夢時人が入っていた。こうなった経緯は・・・。

 

 体を傷つけながらも賭けに勝ち、アキラは超冷点の効果で超活性化を手に入れた。夢時人が速さで姿を消したが、超視野化でその姿をとらえ攻撃を止め、今度は反撃までした。吹き飛ばした先にあった壁に夢時人を埋め込んだ。

 ただし嫁達からすれば、そこまでの行程が速すぎる上に気づけば夢時人がそんな目にあっていた状態だった。近づいたアキラに夢時人は、本気の北斗七連宿を放った。皆が悲鳴を上げたが、何とアキラはその攻撃に耐えた。

 

 『私は、もう・・・二度と倒れない!』

 

 力強い眼差しをして叫んだその姿に、皆が涙を止めて歓喜の叫びをした。一気に応援が始まり、そんな中で出したアキラの新必殺技ヘブンズバーストを夢時人にぶつけ聖母の氷像ができたという事だ。

 

 「か・・・勝ったんだよね!お、おがじらが、がっだ!」

 「うん、うん!ううわあああん!生ぎでるよ~~!!よがった~!!」

 ひよところの大歓喜と大号泣が混ざった声に、皆も嬉しそうに叫んだ。

 「よ、よかった・・・よかった。アキラ、さ、ま(ボロボロ)」

 「詩乃、ええ、本当によかった・・・う、ひっく」

 「鞠さ~~ん!勝ちましたよね!ハニーが、ハニーが!」

 「うん!勝ったの!アキラ、勝ったの!」

 「ぬ、主様が、や、や、やりおったぞ!」

 「よ、よかった、ですな・・・本当、に」

 「あんなに、ひく、強すぎる相手に、ぐす、勝てるなんて・・・」

 「ご主人様!ずっとついていきます!」

 アキラ隊がこんな調子である。若者組は同じ様に大叫びをし、年上組も麦穂と秋子が大号泣する中壬月と春日はアキラのさらなる強さに興奮しており、ひねくれ組もあまりの凄さに頭に昇った血が爆発していた。一番涙もろい側室の人達は、

 「だ、旦那・・・様。ひっく、ひっく」

 「アキラ、アキラ・・・生きているわよね?」

 「兄様、凄いよ。限界を(ウルウル)超えたよ」

 「うん、まこっちゃん。お兄ちゃんって本当に・・・止まらないね」

 二人は生きていたことに、もう二人はアキラの諦めない努力に感激して泣いていた。そんな歓喜の渦に包まれていたが・・・

 

 『く、う、うううう!っぐうう!』

 

 突然、アキラが膝をついて苦しみだした。その顔から尋常じゃない痛みが襲っているのが分かる。それと同時に、

 『バン!バリン!ガン!ミシミシ!ピキピキ!』

 この叩かれるような、壊れるような、割れるような音が響いた。

 「え、な、何!この音!それに、すっごくお兄ちゃんが、苦しんでいる!」

 「どうなっているでやがる!この音と兄上に何の関係が!」

 「どうなっているも何も、さっきアキラとあの大きなヒョウタンみたいなやつを担いでいた奴の話が聞こえていたじゃろう。手に入れた力が膨大すぎて体が耐え切れなくなり傷つけていくと」

 薫と夕霧が困惑していると、白百合の言葉に皆はっとした。

 「じゃ、じゃあ。聞こえた音は」

 「アキラ様の体が、壊れる音、ですか?」

 「・・・じゃろうな。何故音が出るかは知らんが、アキラがああなってから聞こえたからな・・・どれほどの痛みだというのじゃ。全身が壊れる痛みというのは」

 綾那と小夜叉の問いに答えた桐琴の言葉に全員が一気に真っ青になった。つまり、この音が聞こえる限りアキラの体は壊れ続けるという事だ。

 「あ、あんなに苦しむ姿は、は、初めて、だぞ!」

 「あ、アキラ殿。やっと、やっと勝てたのに、辛すぎます」

 「あといくつなんだ!四半刻の五分の一の時間は!」

 「は、早く、早く・・・おね『(ドガン!)』え?な、何?」

 年上組が必死に早く終わるよう願っていると、別の大きな音が聞こえた。氷の破片が飛んだのか、それがアキラの肩の部分に当たり、その部分の服が破れ血が流れた。

 「ああああ、ああ、あれ!」

 「・・・( ゚д゚)ポカーン」「早く見て!と言ってます!」

 雀と烏がすごく震えながら指した方を向いた。そこには、

 「氷像が・・・こ、壊れている!」

 「しかも、中のあの人がいません!」

 「あれを、あれを受けてもですか!」

 氷像が壊れ、中の夢時人がいなくなっていた。その事に一二三・湖衣・悠季も唖然としていた。彼女らもアキラが勝ったと思っていたからだ。

 

 『まさか、貴様がここまでやるとはな・・・見せてやるよ、神と言われた太四老・時人の本当にすべての力を出すこの姿を!』

 

 そこにいたのは、共に見ている時人とほぼ似ていた。唯一違うのは、胸の大きさくらいで夢時人の方が小さいくらいだ。見ている方が大きい理由はアキラに愛され、揉まれたからだろう・・・その事は置いて、今と全く同じ顔の時人が現れたことに全員がまた時人への意識が強くなると思いきや、

 『さっさと戻りたいんだよ!この姿は嫌だから!』

 この叫びと共に出した気迫で部屋全部に張り巡らせた氷が全部割れ、

 『こ、の、くたばれ!』

 いきなりアキラの前に現れたと思ったら、力任せの一撃が床を全部壊して下の部屋にアキラを落とした。更に、

 『く、あ、く、うううぐ!』

 『バリバリ、ピキピキ、ベキ、ボキ』

 超活性化の代償でアキラの苦しむ姿と破壊音で、意識を回せるものがいなかった。

 『ふふ、どうした。もう終わりか!この血と才能を持つ僕に本当に勝てると思ったのか!』

 再び斬りかかった夢時人だが何とか防ぎ、一瞬驚いた隙をついて再び吹き飛ばした。だが、今度はアキラと壁の中間あたりで止まった。

 「アキラ様、か、勝てるの、でしょうか(オロオロ)」

 「く、空、様。だだだ、大丈夫・・・です、わ」

 「そ、そう、で、ですぞ・・・どや」

 「・・・アキラ様。貞子は見ます!」

 「うん。私も、最後まで見届ける」

 「そうです!私達はアキラ様の妻!なら、夫の命以上のものをかけたこの戦いを見届けなければなりません!」

 各務の呟くような一言に、葵は叫んだ。その決意ある言葉にハッとさせられた。

 「葵の言う通りだわ。それに、あいつが、あいつが負けるはずがない!」

 美空の言葉と同時に必死に立ち上がるアキラがいた。そのアキラの諦める気がない目つきに皆もそうだ!と叫んだ。

 「皆、信じるのじゃ!信念、誓い、友情、そして・・・努力をその体に乗せた主様の勝利を!」

 構えに入るアキラに、力強く拳を作った一葉が叫んだ。

 『何とでも言いなさい・・・私は、決して、諦めない。負けない』

 『ミシ、パン、ピシ』

 「うん・・・信じる。これが一番大事。アキラが勝つのを、信じる!」

 破壊音に光璃の目には涙が浮かんでいた。

 

 『この戦い、勝つのは私です!』

 『本当に、諦めが悪いやつだな!お前は!』

 

 二人とも駆けだした。

 「我らの、夫の・・・魂(いのち)の全てを出した戦いだ!見逃すな!」

 「「「「「「「おう!」」」」」」」

 久遠の大きな掛け声に全員が叫んで答えた。そして、二人の刃がぶつかった。

 

 

 そこからは、誰も声を出さなかった。理由は一つ、あまりにも凄すぎたからだ。

 ひよやころ、詩乃や悠季達といった武を全く持たない者には、二人の速さや止まっているときの刀の応酬が目で中々追えないので戦いがどうなっているのかすら分からない状態だ。

 和奏や柘榴に粉雪、歌夜に小波、市や真琴達といった結構な武の力を持つ者は、二人や刀の動きは半分以上は分からないが、刀のぶつけ合いで二人がどれだけ強い力で戦っているかはわかる。自分達が十人、いや二十人いたとしても勝てないくらいの高いレベルの戦いだと実感していた。

 壬月や春日、一葉や綾那、森親子といった者達だとアキラと夢時人の戦いがいかに自分達とはかけ離れているかを痛感させられる。彼女らはアキラの実力は山の頂上の更に上にある雲の上だと思っていた。だが、ここの戦いで雲の更に上である・・・月の上だと痛感させられた。しかも、そこにはアキラ一人ではなくもう一人いる。自分達はこの日の本では名の通っている武人だが、二人の前では全く意味を持たない。まだまだ自分達は未熟だった、と気付かされた。

 最後に久遠に美空、光璃に葵、結菜、双葉は戦いの意味など考えなかった。ただただ、アキラが必死に、命がけで、自分の為に、誰かの為に戦うその姿を必ず最後まで見届け、勝つ姿をその目に焼き付けよう。そう決意して見ていた。

 それぞれの思いを持って見る彼女達だが、共通している事が一つだけあった。

 

 『『『『『『『死なないで!』』』』』』』

 

 愛するアキラが死なずに生きて戦いを終えること・・・それだけだった。

 

 『くたばれ!これで最後だ!蒼天銀星雲!!』

 

 夢時人の最大の技がでた。北斗七連宿の七つの攻撃を完全に一つにしてそれが光の玉となってアキラを襲っている、そんな感じの技だ。必死に抑えるアキラに

 「ま、負けないで!アキラ様!」

 「いくっすよ!アキラさん!」

 「アキラ君なら勝てるから!」

 「そうだぜ!旦那なら!」

 「うん、皆の言う通り」

 「そうだ!アキラ!いっけ~~!!」

 「見せてください!全てを!」

 若者組も、アキラ隊も、ほかの皆も叫んだ。

 

 『く、うう、ううおおおおお~~~!!!』

 『バキン!ヴァン!ピシ!』

 

 アキラは叫びと共にその技を破ったが、同時に聞こえた最も高い破壊音と共に超活性化で傷ついていき内出血して溜まった血の塊が、さっき氷がぶつかり服が破れて傷ついた肩の部分から噴き出したのだ。彼女達がそれを見て、思わず体を震わせた。

 そんな中、アキラは夢時人に友情の太刀で刺して、ヘブンズバーストを直接ぶつけた。二人を中心に大きな白い光が放たれた。

 

 「ど、どうなった!」

 光が収まって、久遠の叫びと共に全員が目を開けると、

 「ふ、二人とも、倒れているわ」

 美空の言う通り、二人とも倒れていた。

 「アキラ。目、閉じてる」

 光璃の言葉通り、アキラの目は閉じられていた。

 「それ以上に、痛々しいです。とっても」

 葵が辛そうに言った。倒れている姿は、本当に寿里庵の言った通り指も動かせないのでは?と思うくらいボロボロすぎた。

 「お、終わったの、ですか?」

 「アキラは、も、もう、お、起き上がれない」

 「そ、そんなことありません、結菜様!兄様!立ってください!」

 「まこっちゃん!そんな無茶・・・を、た、立って!そうだよ!立ってよ!」

 「お兄ちゃん!立たないと勝ったことにならないよ!」

 「そうでやがる!立つでやがる!」

 真琴の言葉に市が続き、薫に夕霧に皆も必死に叫んだ。だが、それに答えたのは

 『・・・はあ、はあ・・・くそ』

 夢時人の方だった。全員の顔が一気に青ざめた。

 「な。ああ、ぬ、主様!」

 「あ、あれでも、ですか!向こうも相当辛いみたいですが」

 「お、お頭の方がひどいよ!は、早く助けないと!」

 「そうだよ!・・・(ドン)う、ど、どうして!」

 アキラの危機にアキラ隊は進もうとしたが、見えない壁に遮られた。

 「な、何でだよ!どうしてだよ!」

 「壊すっす!こ、こんな壁!」

 「旦那を助けるんだぜ!」

 だが、それはアキラ隊だけじゃなかった。

 「くそ!なぜ、壊れない!」

 「アキラ殿!おねがいです!動いて!」

 「何故じゃ!得物があれば、こんな壁など!」

 「そうだ!おいアキラ!早く起きろよ!」

 若者組に年上組に森親子。

 「何て奴だ!ここまでなのか!」

 「嫌です!ここで、ここで終わり何て!」

 「し、し、死んでは嫌です!」

 ひねくれ組までこの焦りだった。特に悠季は今まで見たことない焦りと叫びを出した。

 『これで、終わりだ!』

 夢時人が刀を振り上げた

 「あ。アキラ!アキラ!!」

 「い、嫌です!アキラ様!!」

 「「「「「「「アキラ!!」」」」」」」

 庵樹と朱雀、皆が叫びながら見たくない最悪の未来。それを見ないよう目を閉じた。時人と・・・一人を除いて。

 

 

 皆と一緒に目を閉じた壬月。

 『・・・アキラ。ダメだったのか、み、見たく(ゆさゆさ)、なかった。負けた姿(ゆさゆさゆさ)・・・など。し、しん(ゆさゆさゆさゆさ)??何だ?』

 拳を体を震わせながら、アキラの負けを思っていたら揺さぶられていることに気づき、アキラの方を見ないようにそちらに向けて目を開けた。

 「白百合、どうした?」

 「・・・・・・( ゚д゚)」

 揺すっていたのは白百合だが、彼女は今まで誰にも見せたことないくらい唖然として前を見ていた。見たくない方向だが、覚悟も決めないといけない。息をのんでそっちを見た。

 『・・・な、何故。う、動け、る』

 「な!な、な、な・・・」

 壬月は絶句した。その先には最悪の未来があるはずだった。実際、アキラはそれを受けるしかできないくらい体がひどい状態だった。だが、今ある過去(答え)は

 

 「か・か・・・かか、かか、か・・・勝った!?」

 

 この言葉だった。裏返った声で叫んだ。それを聞いた皆は、嘘と思い、躊躇いもあり、少しだけ間があったが、覚悟を決めて目を開けた。

 

 『き、キ、セキと、でも、言うの・・・か』

 

 彼女達が見た光景は、夢時人が地に落ちてアキラが後ろで刀を地に刺して倒れないようにした姿だ。まさに勝者と敗者の図だ。だが、すぐには信じられなかった。壬月同様皆も敗北の未来しか考えなかった。

 

 『アキラの死なない都合のいい夢が目の前にあるのでは?』

 

 これ自体夢だが時人以外は現実と見ているため、そう思うくらいすぐには受け入れられなかった。女性から少女に戻った夢時人が兵達にアキラを殺す指示を叫ぶまでその状態だった。

 「な、なななななな!」

 「ど、どど、どうすれびゃ!」

 「お、おお、落ち着いて!」

 「そ、そそそ、そうぢぇ!」

 その叫びが彼女達の意識を戻したがパニック状態だった。美空と葵は思わず舌を噛んでしまいそんな語尾にしてしまった。彼女達だけじゃなく、ほかの皆も大焦りだ。

 だが、叫びに答える兵が誰もいない。もう一度叫ぼうとした夢時人が視線をある方向に向けると、囚われの身の梵天丸がいた。そこでは更に大混乱が彼女達を襲った。本来なら一二三や幽、悠季や白百合辺りなら彼の登場で夢だと気づけるはずだが、彼女達もまだパニック状態継続中だった。

 梵天丸が慌ててアキラのところに行き、何とか座らせたと同時に紅虎を襲った兵達に声をかけた夢時人。だが、遊庵の兄弟・・・そう夢の庵樹達がスペードを逃がしはしたが全滅させた。

 

 『時人、お前の負けだ』

 

 今だパニック状態だが、夢時人に敗北宣言をした梵天丸の言葉は理解できた。そう、アキラが勝ったことと・・・死んでいないことは理解できた。

 

 「「「「「「「や、や・・・やった~~~(´;ω;`)ウゥゥ!!!!」」」」」」」

 

 その事実が、皆の溜め込んでいた感情を爆発させた。そこからはナイアガラの滝に負けなくらいの涙が全員から流れ出た。皆、泣きながら抱き合って語り合っていくと落ち着くことができた。そして、アキラの傍にいるある一人の存在にやっと気が付いた。

 「あれ?何であそこに庵樹お姉ちゃんがいるの?」

 「何を言ってますの、鞠さん。庵樹さんならそちらに」

 鞠の一言と梅の指摘にやっと気付くことができた。全部アキラの過去の夢だったことに。だが、過去だからと悠季みたいな言葉を出す者はいなかった。

 「す、すごい。すごいぞ!アキラ殿はあんな戦いをやって勝ったなんて!」

 「あ、アキラさん!も、もう、何言っていいのか分からないくらいすごいっす!」

 春日と柘榴の言葉でさっき以上の大騒ぎになった。

 

 皆が自覚した夢の方では夢時人が負けは自分のせいではない!そう言いだした。アキラはボロボロの体を動かしてまで近寄って話を始めた。

 

 『時人・・・血や才能は確かに強さに大きく影響する。その事は間違っていない。だが、心の強さだけはその二つがあってもどうしようもない!それを鍛えないと、私に勝つことは出来ませんよ』

 『・・・ふん!何を言う!この村正の血筋の僕に説教なんていい度胸だな!』

 『あなた、それを嫌がっていませんでしたか?どうして、盾にするのです?』

 『・・・く、そ、それは』

 

 アキラの指摘に言葉を出せなくなった夢時人。それを見ている時人もその時の気持ちを思い出しているのか、俯いていた。

 「ふん!何も言えないれすね!」

 「全くですぞ!どや!」

 兎々と愛菜はドヤ顔をしたが、

 「私は・・・わかるな。あの子の、(ちら)時人さんのあの頃の気持ち」

 「ひよ?わかるの?」

 ひよがそう言いながら、時人の方を見た。この二人の認識も元に戻ったようだ。

 

 「だって、私産まれは農民だもん。ころちゃんならともかく詩乃ちゃんや梅ちゃん、雫ちゃんとか他の隊の皆や、本来なら久遠様や壬月様に美空様や光璃様、他の皆さんにだって会う事も話す事もできない身分だよ。アキラ様の部下で、愛妾で、妻という肩書があるから話せるんだけど・・・もしそれがなかったら、久遠様にかわいがってもらえてなかったら、その肩書だってなかったんだし」

 

 この場にいる皆はアキラがいるいないに関わらず肩書がある。それがもしなかったら・・・ひよのこの話でそう思うようになり、言葉を失った皆。時人は顔を上げてひよに向けた。

 「・・・ありがとう」

 「いいよ。でも、今は違うんだよね」

 「・・・本当に、ありがとう(ぐす)」

 ひよに抱き着いて感謝した時人。夢の方ではアキラが夢時人に背中を見せた。

 

 『苦しいのなら、辛いのなら、死ぬ気で努力することですね・・・あなたが嫌いと言っていた努力をね。果たして、できますかね?』

 『な。何だと!』

 『悔しいのなら、その気持ちを持って頑張ることです。そして・・・この私に追いついてみるといい!』

 

 夢時人から離れた・・・その時に見えた右肩の数多くの傷とどれほどの努力をしたのかを物語る背中。夢時人も今の時人も・・・それを見た多くの彼女達。

 「アキラ様~~~貞子は永遠に追い続けますよ!(〃艸〃)ムフッ」

 「各務も永遠に一緒!(〃艸〃)ムフッ」

 この叫び声で追い続けるぞ!という思いに共感して皆も叫んだ・・・アキラも無事だったことだし、レッツ自慰!という二人の行動には共感しなかったが。

 

 夢では、いつの間にかいた四方堂が時人の本当に父親が村正ではなく吹雪であることと母親が村正の妹の為村正の血を引いていることを話した。すると、現れたスペードが北斗七星を奪って消えたことで、裏切られた夢時人が自暴自棄になりそうだったが、

 

 『がははは!俺なんて実の母に何度も殺されかけたんだぜ!』

 『私は、狂が拾うまで捨て子だったので拾い食いして死にかけたこともあれば、野犬に食われそうになったことも何回もありました』

 『うちの貧乏話なんて何年分あると思っているの!』

 『ふふふ、あたいの不幸話は軽く十数年はないと語れないね~~』

 

 不幸自慢大会をして彼女の気持ちが落ち着いていった。ただ、その中で・・・

 

 『わ、ワイが・・・ワイが、あのくそ狸が、くそ親父が、いるかぎり、い、一生不幸や~~!うぎゃあ~~!く、来る。脳裏に、恐怖を植えつける狸が~!\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?\(◎o◎)/ワイヒデタダ!』

 

 庵兄弟に助けられた紅虎が、不幸自慢話で意識を取り戻したことにはびっくりした。その後、夢時人は涙を流し皆の優しさにツンなことを言いながらも嬉しそうだった。

 

 

 和やかな空気になったが、アキラの体は戦える、いや動くこともできるかどうか怪しい状態だった。庵兄弟達が手当てをしてくれるが、やはり戦える状態ではない。

 「アキラ、様。う、ううう」

 「空様!大丈夫ですの。アキラ様は笑顔ですの!」

 その事実に空が泣きそうになったが、名月がそう言った。

 『私は満足しているのです。この戦いでとても大きなものをたくさん手に入れることができました。そして、ある一つの大きな事も知ることができました』

 「大きな事?」

 「一体、何を」

 詩乃と雫の問いかけに答えるように

 

 『努力を重ねれば、キセキが起きる。それを知ったのですから』

 

 満足そうに辛そうな顔をしている紅虎に言った。それを実際にアキラが起こしたところを見た皆が頷いたり、同意を出している中、

 「そんな都合のいいキセキがあるか!と言いたいが」

 「それを起こした後だけに、この言葉は本当に聞こえますわね」

 「儂も、アキラの言うキセキなら信じてもいいと思えるくらいにな」

 否定しそうな一二三・悠季・白百合も楽しそうに同意を示した。

 

 アキラの言葉で話し合う中、一人だけ参加していないものがいた。

 『そのキセキを起こすために努力し続けて・・・でも、まだ起こすべきキセキの為に努力を続ける。そんなあいつだから私は好きになったのかもしれない。ずっと続けると物語るあいつの背中を見たあの時から・・・』

 あの場で、アキラの治療をしている夢の自分を見ている庵樹だった。自分の想いが作られたあの場所。それを見て、自分の愛はこうして作られたことを知った。

 




 
 時人戦、決着!まず、アキラの体が壊れる音ですが、あの光の二人が聞いていたのをそのまま皆にも聞こえるようにしました。光の二人も次回で正体を明らかにします。
 次に時人はあのシーンで落ち込みますが、それをひよが慰めました。肩書のあるないの話で時人を慰められるのはひよ以外いないと思いました。産まれはお互い両極端といっていいほど違いますが、それが逆にいいと思ったからです。
 最後に吹雪の娘と判明したことの心と粉雪の反応は次回にかきます。この時はアキラの事で頭がいっぱいでしょうし、本人がいるところで二人の心境を書きたいので。

 う~む、次回で夢は最後にするつもりだけど・・・こうなると何字になるのか不安だな。
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