寒くて休みの日は外に出ない。三MENです。
今回は少し短いです。坂本城に入ってエーリカとの再会です!
相模・小田原城にて。
「御本城様~、美濃にいた連合軍が出陣したという情報が入りました~」
「いよいよね。この日の本が人の手のままなのか鬼の手に落ちるのか。その戦いも間近になってきたわね」
「そうですが・・・姉様。我々は本当にこのままでいいのですか?そのような戦いなら北条も出れば」
「前にも言ったでしょ。向こうの事は向こうの人達に任せればいいのよ。それに、アキラちゃんがいれば大丈夫なんでしょう。サイ?」
「ああ、問題ない。でも、私も本心は朧と同じだ。前にも言ったが、同盟に入ればアキラ達の同盟との敵対もなくなり、甲斐・越後との険悪な隣人関係もなくなる。物流も広がって南蛮のものを取り入れることもできるから、国だけでなく民にとってもいいことがあるぞ」
「う~~ん。あくまで予想であって確定ではない。北条が北条のままでいられる保証が出てこない限りは乗れない相談ね・・・それに、険悪な隣人関係はまだほかにもあるでしょう?背後の美空ちゃんと光璃ちゃん、ついでに鞠ちゃんもいないから、そっちを整理しときましょう」
「北関東の佐竹ですか?確かに今ならそっちに意識を向けても問題ありませんが」
「ええ、朧。出陣するわよ」
「え?ええええ!母様自らですか!」
「おおお!すっげ~~!こりゃ見ものだぜ!」
「十六夜姉様、落ち着いてください。三日月姉さんは逆に興奮しすぎです」
「朔夜、私はどうするんだ?」
「サイは残ってこの子達を守ってもらえる?家内の隣人関係もちょ~~っと問題があるからね」
「・・・分かった。姫野、お前は距離を置いて二人の後を追え。この城から朔夜と朧がいなくなる以上、この二人が万が一にあった時の連絡手段はお前だけだ」
「御本城様と朧様に万が一なんて起こるとは思えないのですが「いいな」わ、分かりました!」
「も~~、心配しすぎだって!」
「お前の心配などしていない。それくらいの事をしないと(ちら)」
「ああああ、がががが、くくくく」
「・・・後継者候補が不安いっぱいでたまらなくなりそうだからな」
「あはははは。じゃ、ちょ~~っと留守にするわね~。サイ、頼んだわよ~~」
「行ってくる。サイ、後は頼んだぞ」
「分かった」
「い、いっちぇらちゃいまちぇ!」
「「行ってらっしゃい(ませ)!」」
「行ってきま~~す」
『アキラ達が何事もなく吉野を倒せれば、それでいいんだが・・・壬生の里があの後どうなったか、クビラのところで聞いた以上用心しないとな。頼んだぞ、アキラ』
エーリカが坂本城の城門前で倒れていたという報告。これはアキラだけでなく、親睦の深いひよやころ、詩乃や鞠なども驚くことだった。京にいるはずの彼女が何故ここにいるのか?それは考えても分からないし後で本人に聞けばいいだけのこと。既に城内に入れて部屋に寝かせているらしく、エーリカの事を同盟軍で一番知りたがっているアキラ隊の面々にはすぐに知らせた方がいいと言う事で雛が来たとの事だった。
その後、坂本城に到着。アキラはひよ・ころ・詩乃・鞠を連れてまず久遠のところに向かった。ほかの皆には隊を仕切ったり、壬月達に報告したり、一葉を説教したりなど別々に仕事に入った。
「久遠!」
「アキラ、雛から聞いたか!」
「「久遠様!ほ、本当なんですか!」」
「間違いない。京にいるはずのあやつが何故ここにいるのか・・・」
「まだ起きていないのですか?」
「起きてない。起きていても食事もとってなかったようで、よほど衰弱していたからな、事情を聴くと言うのは明日以降でないと出来なさそうだ」
「ひどいの・・・鞠と同じなの」
「・・・そうかもしれんな。鞠の時と同じかもしれん」
鞠が涙目で言うと、久遠が同意した。アキラ、詩乃もすぐに理解した。
「裏切ったことで追い出されたという事ですね」
「そして、吉野は京を牛耳った・・・つまり完全に京は吉野の支配下になった」
鞠は信虎に追いつめられて追い出され駿府を取られた。そして、エーリカは京を守ろうとしたが吉野に追いつめられて追い出され京を乗っ取られた。確かに、似ている。
「それで、どこにエーリカはいるのです?」
「会ってみたいです!」
「会わせてください!」
「落ち着け、ひよ、ころ。さっきも言った通りまだ寝ていて、結菜が様子を見てくれている。とりあえず、部屋に案内するぞ」
「「「「はい!」」」」
「では、お願いします」
久遠の顔が辛辣としていた。何しろ、エーリカを京に置いていくような形をとったのだ。いくら本人の意思とは言え、少し苦しい気持ちなのだろう。
部屋について、中に入ろうとしたら結菜がちょうど襖を開けた。
「あら、アキラ。ついたのね」
「ええ。それで彼女は」
「「どうだ「ひよ、ころ、静かに」あ、あううう」」
「心配する気持ちは分かりますから、二人とも落ち着きましょう」
「そうなの・・・騒いでも何も分からないの」
すぐに彼女に聞こうとするひよ・ころだが、感情が抑えられなくて大声で聞きかけたところを止められた。詩乃と鞠も気持ちは分かるから、穏やかに注意した。
「まだ寝ているわ。寝息も穏やか・・・とは言えないわね。苦しいのか汗をかいていたわ」
「・・・傍に行ってもいいですか?」
「いいわよ。でも、静かにね」
「勿論です。ひよ、ころはここで。詩乃と鞠で入ります」
「「うう、はい~~」」
「はい、わかりました」
「うん、鞠静かにしてるの」
騒ぎかけたので、それを理解して二人は了解した。詩乃と鞠の三人で中に入った。
「・・・う、く」
「確かに、苦しんでいられますね」
「だけど、一体何でなの?」
『・・・・・・まさか』
二人はエーリカが苦しんでいるのか、その理由が分からなかったがアキラは彼女を見てある一つの考えが浮かんだ。
「出ましょう。今エーリカには、急用が必要です」
「「うん(はい)・・・アキラ(様)?」」
「どうしました?」
「どうしたの?何か、怖いの」
「鞠さんの言う通りです、怒りを抑えるのに必死に見えます」
「・・・何でもないです。出ますよ」
二人に今の顔を見られて、分かりやすいごまかしをして部屋を出て行った。この時の二人にはあのアキラが見えた。
『『あの怒りに燃えた顔・・・夢の歳世さんの信念をあの女が踏みにじった時に出したあの時の顔に似ていた』』
夢で歳世の死を歳子が踏みにじった時に出した怒りのアキラに・・・。
部屋を出て、美空や光璃達と話を始めた。
「あの子はまだ目が覚めないの?」
「今の京の状況を聞きたい」
「いえ、聞かなくてもわかるでしょう。エーリカがここにいる時点で」
二人の要望を却下して、予想させたアキラ。
「もう京は吉野に支配されているってことね」
「間違いない」
「久遠と詩乃も同じ意見です。起きていても聞けるのはこれくらいだと思いますよ」
アキラの言葉に頷く二人。ただし、
「ねえ、アキラ。何を隠しているの?」
「教えて」
「は?何の事です?」
「私たち嫁にも言えない事なの?」
「妻だから、夫が何かを隠しているのかもわかる」
「・・・どこかで聞いたような言葉ですね」
かつて越前で未来の事で悩んだ時に皆に様子が違う事を指摘された。あの時はアキラ隊や織田勢だったが、今回は美空と光璃だ。彼女らも心からアキラを愛しているから感じが違うと分かった。
「いえ・・・隠してなどないですよ」
確かに隠してない。いや、アキラの考えはまだ確証が出てないから話せないのだ。だから、このごまかしの言葉も嘘ではない。
「分かったわ。でも、結論が出たら話してね」
「お願い」
「ええ、ちゃんと話しますとも(すいません、確証を得ても話せないです)」
内心謝りながら、言葉だけは肯定した。
二人と別れ、次にアキラはやっと来たアキラ隊愛妾達の集まっている部屋に向かった。エーリカの事は既に詩乃と鞠が話をしたので、彼女達も理解していた。
「ハニー!」
「アキラ様!あの、エーリカさんは・・・」
梅と雫が、いの一番にアキラにかけつけ訊ねた。この二人はエーリカと同じ天守教の人間だ。もしかすると、あの報告を聞いてアキラと同じくらい不安が大きかったのかもしれない。
「詩乃から聞いたと思いますが、大丈夫です。ちょっと苦しんでいるみたいですが、今は静かに休ませるべきです」
「「そ、そうですか・・・はあ~~」」
命に別条がないと分かると、大きく息を吐いてほっとした。
「いつ話せるのでしょうか?」
「う~ん、ちょっと分からないですね。結菜が診てくれましたが、いつ起きるか分からないと言ってました」
「そうですか・・・エーリカさんとは会えたら、いろいろと話したいと思っておりましたのに」
「まあまあ、梅、雫。今は生きていることを喜ぶべきです」
「「はい!」」
二人ともそう言われて、笑顔で頷いた。
「本当ですね。たった一人で鬼の頭と何百匹入るであろう鬼と戦って無事だったのですから!」
「そのエーリカって人と一度戦ってみたいです!」
「結構な腕をお持ちですよ。多分歌夜様と同じくらいかと」
「(・・・無事、とは言いづらいですけど言わない方がいいですね)なら、京の戦いが終わったら挑んでみては?」
「はいです!」
「小波がそう評価するなら私も戦ってみようかしら?」
綾菜はともかく歌夜も目を輝かせて戦ってみたい気持ちになった。小波は観音寺城からアキラ隊に入り共に行動する彼女といたから、エーリカの武の腕前は知っていた。だが、二人は明智衆を率いる将の姿しか見たことがないため武の腕前が分からない。だから、小波の評価を聞いて武の性分が出た。
「エーリカの事は起きないとどうすることもできないので後にするとして、今は最後の決戦前の最後の休憩です。数日後にはもう日の本の運命を握る戦いになるので、しっかり休むように」
「「「「「「はい!」」」」」」
アキラからの指示に全員が元気よく返事した。
皆、エーリカの事を気にしているがその日は休むことになった・・・アキラを除いて。
「・・・・・・」
アキラは気配を消し、音も出さないようにエーリカの寝ている部屋に入った。
「ううう、あああ!」
苦しむ声が聞こえたので、すぐに彼女のそばに寄った。その苦しむ際に上に突き出した手を握ったアキラ。
「ああ、あ、あれ?」
「・・・起きましたか?」
その感触で意識を取り戻したエーリカ。
「あ、アキラ、様?」
「ええ。そうです。ここは坂本城・・・記憶はありますか?」
「は、はい・・・う」
アキラの顔を見た途端、エーリカの目から涙があふれ、こぼれた。
「あ、ああああ、アキラ様~~!!!!」
そして、ボロボロに流してアキラに抱き着いた。
「な、え、ええ、エーリカ!」
「あ、ああああ!ああああ~~~ん!」
驚いたが、ひたすらに泣き続けるエーリカ。しばらく、そのままにしてやることにした。
『やっぱりおかしい。ここまで苦しむエーリカは初めて見た。何より、寝ている時に見た違和感・・・間違いない』
アキラは推測が確信に変わったことを知り、怒りに燃えた。だが、顔に出す事も声に出す事もしなかった。今はただ、
「アキラさまああああああ~~~!!!」
泣きじゃくる彼女を優しく抱きしめることと
『・・・誰も来ていませんね』
廊下の気配をチェックして、誰にも見られないようにするだけだった。
完全に落ち着いたのは半刻後だった。その後、アキラはまだ涙を出す彼女に少しずつ確認していった。そして、最後に確認した・・・違和感の正体を。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
このことには答えず、体を震わせて、辛そうに俯き、何も喋らないで沈黙するだけだったが、十分すぎるほどの答えだった。
「エーリカ・・・もう、大丈夫です」
「う、うう、ううう」
「あなたは私が守ります」
「あ、ああ、あぎらざま・・・」
顔をアキラに向けた。涙まみれの顔、その唇にキスをした。
「!!!あ・・・」
びっくりしたが、力強く抱きしめると彼女もアキラの背中に手を回し抱き着いた。その時にいつもの神に仕える司祭の服ではなく、襦袢姿だったことに気づいた。おそらく、服が汚れていたから結菜が取り替えたのだろう。
「あなたのその姿、いいですね」
「あ!も、もう~、恥ずかしいです」
「どこがです?」
「だ、だって・・・み、見えているし」
アキラは襦袢姿が珍しかったのでそう言ったが、エーリカは胸の谷間を見てそう思ったのか慌てて隠した。
「そういう意味で言ったのではないのですが」
「・・・ええ、分かっています」
一瞬だけ恥ずかしがったが、すぐに彼女は真剣な顔になった。
「アキラ様、お願いがあります」
「何でしょうか?頑張ったのですから、願いは叶えますよ」
笑顔で訊ねるが、彼女の顔は苦しそうな顔だった。しばらく時が流れたが、
「私・・・「な!え、エーリカ!何を言うのです!」お願いします。アキラ様、あなたにしか頼めないのです!」
その願いを言ったがアキラは思わず声を荒げた。それは、余りにも予想外な頼みだったからだ。
「お願いします。私の、本当の、願いは・・・もう叶えられません。だからこそ、せめて、せめて・・・」
辛い表情でそう言った。その後の彼女の話で、気持ちがこれ以上ないほど苦しんでいることが分かった。今度はアキラが体を震わせた。
「これしか、私にはできないのですか」
「お願いします。私は、もう・・・」
エーリカの必死とも言える頼みにアキラはついに頷いた。
「・・・分かりました」
一言だけ言って、彼女に近づいた。
中途半端ですがここで終わりです。エーリカの頼みとは何か?そもそもなぜ彼女は苦しんでいるのか?そして、アキラが気付いた違和感。それらは後々で分かります。
次はついに上洛です!
その前にUA10万突破いつの間にかしてました!記念小説を先に書きます!