最近、短い話が多い気がする三MENです。こう書いておきながら、今回も短いです・・・。
今回は、この二人です。越後で何かと仲良くしていたので、この際二人の話を作ろうと思って、出しました!
岐阜城の一室で皆が集まり、明日の行程について話し合っていた。
「では、庵樹は長久手まで一緒にという事ですか?」
「ああ、鞠がね。もうちょっといて欲しいと言ってきてね。それに、綾那がそこまで一緒に行きたいと言ってるし」
「殿さんと鞠様を守りたいです!」
「じゃ、綾那に任せますよ」
「はいです!」
エイエイオー!と気合を入れる綾那。隣で歌夜が申し訳なさそうにしている。
「すいません、アキラ様」
「ははは、庵樹がいれば大丈夫ですよ・・・歌夜も行ってもいいのですよ?まだ葵と一緒にいたいでしょう?」
「いえ、アキラ様がお強いとはいえ護衛なしで京に帰らせるわけにはいきません。私がお供につかないといけません」
「いや、小波がいますが・・・大丈夫ですよね?」
「はい!お任せください!・・・と言いたいですが、歌夜様の意見は私も賛成です」
「アキラ様。傍にいる護衛と隠れている護衛。二人揃って初めて護衛がいると言えるのですよ」
「そうなのですか?そう言われると、そのような気がしますね」
『そんなわけないでしょう!と言いたいけど、葵様の言葉を覆すわけにはいきませんから・・・ふふふ、アキラ殿が騙されるところを見れるとは思いませんでした』
葵にそう言われてアキラは納得した・・・それを見た悠季は、アキラが騙されたことに陰でこっそり笑っていた。
「夕霧達は駿府までずっと一緒でやがる!」
「よろしくね。鞠ちゃん!」
「うん!よろしくなの!」
「鞠様、よろしくなのれす!」
アキラ達の後ろでは、夕霧・薫・鞠・兎々が笑顔で話し合っていた。
最終的には、三河に向けて出発する葵と鞠達。綾那と庵樹が長久手まで、葵と悠季が三河まで、夕霧と薫と兎々が駿府屋形まで鞠を送り届けて、そこで別れて甲斐に戻る。という道筋になった。
「それにしても、随分賑やかになりましたね・・・従妹殿が一緒の時点で十分に賑やかでしたが」
「ははは、尾張ではお茶目しちゃって怒られましたからね」
「ふふふ、次の日の朝には綾那のお腹が屋敷中に響いてましたからね」
葵・アキラ・悠季はワイワイ話している彼女らを見て笑顔で話をしていると、
「アキラ!遊ぼうなの!」
鞠が抱き着いてきた。
「ええ、鞠。今日は存分に一緒にいましょう」
「本当、アキラ!」
「鞠の望むままに」
「やった~~!じゃあ、皆でお出かけなの!」
喜ぶ鞠はアキラと庵樹の手を掴んで駆け出した。綾那や夕霧達も後に続いた。そんな鞠の陽気な姿を見て葵が訪ねた。
「ねえ、悠季」
「何でしょうか、葵様?」
「もし、私が鞠様みたいにはしゃいでいたら、どう思う?」
「・・・愛するアキラ様と一緒ならそれもいいのでは?」
「なるほど・・・ふふ、あなたも随分アキラ様には心を許しているみたいね」
「は!?な、ななななな。何を!」
いきなり葵にそんなことを言われて、小波と二人で淫らにされた事を思い出す。
「さっき、皮肉を一つも言わなかったわ。いつもなら何個か入れて言うあなたが、それを言わないという事はあなたもアキラ様を「あ、葵様!さ、参りまちょう!」そうね、ふふ、覚悟しなさい。たっぷり聞かせてもらうから」
『も、もう、十分にはしゃいでいるではないですか!というか、まさかあの時私達がいたこと、気づいているのですか!ああああ、どっちなのですか~~!!』
動揺が止められない悠季。慌てて話を終わらせてアキラ達の後を追うが、葵のニヤニヤに冷や汗だらだらだった。
美濃の城下に元気よく歩く鞠。彼女の手は庵樹の手を握りしめている。アキラの手は今は葵が握っている。
「そういえば、ここって葵ちゃんと来たよね!」
「・・・そうですね。あれはまだ一葉が京にいて、白百合率いる三好衆を倒して、彼女を助けるために上洛することとなって、共に戦ってくれる仲間として葵が岐阜城に来たときでしたね」
「その白百合さんも今はアキラの嫁「今はいいでしょう」全く・・・それで、鞠とアキラは長久手で出会ったんだって?腹を空かせて倒れたって」
庵樹の余計な一言にアキラが割り込んだ。やれやれと思いながら、鞠に話しかける。
「うん。あの時はアキラと会わなかったら・・・鞠、多分ここにいないの。駿府も、今頃信虎おばさんが「鞠、全て終わった。そして、今生きている。それでいいじゃないか!」・・・庵樹お姉ちゃん」
自分がいない状態の今を想像して暗くなりそうな鞠だったが、庵樹がそれを止めた。
「・・・鞠、私やアキラは本来この世界にいない人間だよ。もしアキラがいなかったら、この世界は今だ殺し合いが続いていたかもしれないんだよ。久遠だって、美空だって、光璃だって・・・そして、鞠だって死んでいたかもしれないんだ。そんな既に終わったことは考えなくてもいいじゃないか」
「・・・ごめんなさい」
「庵樹・・・」
庵樹が妹のように思っている鞠にそこまで言うとは思わなかったアキラは、彼女の行動に少し驚いている。
「私やアキラの知る歴史とは大きく違っているけど、皆仲良くなっているならそれでいいじゃないか」
「・・・うん!そうなの!」
『なるほど、鞠は今まで苦労の連続だった。その苦労は国を建て直すために更に重くなる。そんな中で不安をなくすために説教をしたのですね』
駿府をとりもどしても、まだまだ国として再出発したばかり。これから先、更なる困難が来るからこそ、終わったことをグダグダ考えなくてもいい。とその事を教えるために説教をしたのだと分かった。
「さ、アキラとは明日でしばらくお別れだ。存分に遊ぼうじゃないか!」
「うん!アキラ、葵ちゃん!綾那!薫ちゃん!ほら、早く早く!」
元気を取り戻した鞠は皆に手を振った。綾那と歌夜と薫達が向かっていく。
「・・・葵、鞠の事頼みますよ」
「はい。お任せください」
「全く「(ぼそぼそ)しっかりできたらたっぷり可愛がってあげますから」!!!!(す~は~す~は~)ふ、ふん!言われるまでもありません!さ、ささささ、さあ、行きましょう!」
耳元でそんなことを言われてドキ!となる悠季。顔を真っ赤にして慌てながら、彼女も鞠の元に向かった。
「悠季、どうしたのかしら?」
「さあ・・・葵、また京に来たときは」
「はい、二人っきりの食事の約束。越後のあの約束を果たしましょう」
「そして、あなたとの逢瀬。楽しみにしてますよ」
「はい!・・・ですが、今は」
握っている手に視線を落とした。
「今は・・・こうしていうだけで、幸せです(テレ)」
「なら、握り続けましょう。時間が許すまで」
そう言われて、葵の手の力が増した気がした。すると、右手の葵の他に左手にも握る感触を感じた。そっちに視線をずらすと、
「・・・あ、あの、その、えっと」
小波が恥ずかしそうに、でも嬉しそうに、アキラの手を握っていた。
「ふふ、いいわよ。小波、一緒に行きましょう」
「葵も小波も同じ私の妻なのですから」
「あ。は、はい!葵様!ご主人様!」
国の主とその主の草が共通の夫の手を握る。葵も小波も、これができる日が来るなんて考えられなかっただろう。
『『小波(葵様)と一緒に歩くなんて昔じゃ考えられなかったわね(です)・・・これも全てアキラ様(ご主人様)のおかげなのですね』』
だが、アキラがいるからこそそれが出来た。二人とも、それをできるようにした最愛の夫の手を握りながら腕に抱き着いて、べったりくっつきながら鞠達のところに行った。当然、鞠達が羨ましそうに抱き着いてきたのは別の話。
そして、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、次の日になり、鞠は庵樹や葵達と共に馬に乗って長久手に向かって出発する。アキラと小波、歌夜も京に向けて出発した。
「あ~~あ、アキラとさよならしちゃったの」
「ははは、駿府が一段落したらまた会いに行けばいいさ」
鞠は庵樹と一緒の馬に乗りたい。と言い彼女も頷いたので、今は庵樹の背中にしがみついて馬に乗っている状態だ。
「そうだけど、でも・・・」
「鞠様、葵が力になります!」
「夕霧達もやるでやがる!元はと言えば、武田の責任でもあるから!」
「うん!光璃お姉ちゃんも手伝うって言っていたから頑張って復興させようね!」
「綾那も、手伝うです!」
「従妹殿はアキラ殿を守るために京に帰るのでしょう?」
駿府再興、言葉で言うと簡単だが実現させるには結構時間がかかる。鞠もその間アキラに会えないことは承知だけど、やはり会いたい気持ちが強い。そんな彼女の気持ちを分かってか葵や夕霧達は元気になるよう声をかけたが、
「うん・・・ありがとうなの。鞠、頑張るの」
やはり、まだ元気がない。今川家当主としての気持ちも持っているが、アキラの妻の気持ちも持っているため、中々うまく元気に出来ない。そこに、
「なあ、鞠。そんなにアキラの傍にいたいなら、駿府いくのをやめる?」
庵樹が馬を止めてその言葉を言った。
「「「「な!何を!」」」」
綾那以外の四人がその言葉に反応した。
「な、何でそんなことを聞くの?鞠、駿府を元に戻したいの!」
涙目になって文句を言う鞠。
「でも、アキラの傍も離れたくないんだろ?だったら、駿府はやめて戻ろうかと言ったんだ。私はそれでもいいんだよ」
「庵樹お姉ちゃん、どうしてそんなこと、いうの・・・ずるいの」
「・・・悪かった。でも、決めることは決めないといけないんだ。私も、この世界に来るために、家族と別れたんだ・・・もう、二度と会えないんだ」
「あ・・・」
そう、庵樹はアキラを諦めたくない。ずっとそばにいたい。その意志を貫くために家族と離れ離れになって世界を超えたが・・・二度と会えなくなった。
「私も、本当は会いたいさ。何十年も苦楽を共にした家族と一緒に暮らしたいさ・・・それでも、私はアキラを選んだ。あいつの背中を追いかけたかったから」
「うん」
「鞠。お前は駿府奪還の時、大きな声で言ったじゃないか。駿府をとりもどすために、皆に力を貸してほしいと。その選択をしたからこそ駿府は戻った。そして、駿府を元に戻したい。その選択をしたんだろ?だったら、貫き通せ・・・それに、こうした選択は今後の人生まだまだ出てくるんだ」
その話を聞いて、葵が話に加わった。
「鞠様、私もかつては武を捨て文を選び、そこからこの日の本を平和に出来ないか?と考えたことがあります」
「葵ちゃん?」
「ですが、それは私一人だけの考えでした。だけど、アキラ様と出会ってたくさんの人とふれあっていくうちに、一人で考えてはいけないと気付きました。仲間がいるなら皆と相談する。手を貸してほしいなら、あの時の鞠様のように声を出す。私達は同じ同盟軍の仲間であり、アキラ様の妻です。一人で悩んでいると、自然と選択肢はなくなってしまい気づけば追い詰められてしまいます。ですが、みんな一緒ならその選択肢も多くなります。ですから・・・遠慮なくこれからも私達を頼ってください」
昔の考えと今の考えの大きな違いを持つ葵。幼き頃の経験で出した選択だが、アキラを愛し、たくさんの妻と出会い、別の選択肢を見つけられるようになった。鞠もいろんな人と出会ったのだから、そういう人に頼って選択肢の幅を広げて欲しいと葵は思ったのだろう。
「じゃ、改めて聞くよ。駿府に行くかい?アキラのところに戻るかい?」
「ううん、駿府に行くの!」
「ふふ、いい顔だね。よし、長久手に行こう!」
二人からの話で気持ちにゆとりが持てたのか、笑顔を取り戻して駿府に行く決意をした。
「それに鞠、こうも考えられるだろう・・・アキラを駿府に連れて来て、自分の作り直した駿府を見せられるって」
「うん!そうなの!鞠、その為にも頑張るの!」
すると、鞠は馬から降りた。皆がその行動に不思議に思っていると、
「(ぴょん)えへへ、庵樹お姉ちゃん、頭撫でて!」
庵樹の前に移動した。そして、彼女に寄りかかるように甘えた。
「(妹達を思い出すね)ああ、いいよ」
頭を撫でる庵樹。それに嬉しそうにする鞠を見ながら、手綱を動かして馬を歩かせた。葵達も馬を歩かせて、移動を再開した。
その日の夜。
「(すやすや)」
鞠がアキラと出会ったあの宿に今日は泊まることになった。すると、鞠が庵樹と一緒に寝たいと言い出したので了解して一緒の布団で寝ている。
『本当なら、もっと元気に遊んで、もっといろんな世界を見て、家の妹達のように友達だってたくさん作れる年頃なのに・・・国の主の子供というのは、とても重いものをこの肩に乗せているんだね』
抱き着いて寝ている鞠の肩に左手を置き、右手で頭を撫でた。
「・・・お姉ちゃん。ありがとう、なの」
その時鞠の寝言が聞こえた。その言葉に、心が温かくなった庵樹。
『鞠、こっちもありがとうだよ。家族と離れ離れになって、アキラと一緒にいても寂しさはあったんだ・・・でも、鞠がいたから、妹達のように慕うお前がいたから、私はその寂しさを埋められたんだ。これからも、血は繋がってなくても私はお前の姉でいるつもりだ。たくさん支えてやるから、たくさん頑張るんだよ』
鞠を力いっぱい抱きしめて眠りについた。二人とも笑顔で幸せそうだった。
駿府を建て直す想いとアキラと離れたくない想い、二つの想いで揺れる鞠。それを決めさせたのは、姉のように慕う庵樹と幼いころ共に生活した葵でした。庵樹は鞠と似た立場でもあるので、何とか気持ちにけじめをつけさせたいと思ったのでしょう。
次回は、ちょっと番外編的な話です。アキラも久遠達も一切出ません。恋姫無双の話の中で、各勢力の兵達の話を見て面白そうだ!とおもい次回は織田・長尾・武田・松平・浅井。そして、アキラ隊。これらの兵が語り合う話にします。
それと一つ謝罪があります。後日談ですが・・・もう少しペースが落ちます。その理由は、信念のサムライと横島忠夫、〇〇〇〇と付き合ったらどうなる?のペースを上げたいためです。今までそれぞれ一話ずつの投稿でしたが、信念と横島を二話出して後日談を一話というペースにしようと思います。
勝手に決めて申し訳ありませんでした。