話を進めるか、間章を入れるか考えた結果、堺の時の間章を一度も入れてなかったので、それを入れて一つ作ることにしました。
はあ・・・仕事疲れた・・・
「アキラ、一緒に出ないか?」
宿の一室で、アキラ隊の三人と話していると久遠が入ってきた。
「出る?つまり、デートですか?」
「デート?なんだ、それは?」
疑問を投げかける久遠と自分達も知りたい。という三人のまなざしを見て、アキラはにやりとした。
「ふふ。デートというのはですね、男と女が二人っきりでいちゃついたり、今夜の閨の相談をしたりするものですよ」
「なあああ!!!なななんあなな何を言う!」
「お頭!それなら私が!」
「ひよはダメ!私がやるよ!」
「いいえ、相談という頭脳作業は私の得意分野。私が、私に任せて下さい!見事、アキラ様の満足のいく一夜、もとい回答を作り出します!」
『・・・ちょっと大げさすぎましたか』
大げさには言ったが、嘘は言っていない。だが、その大げさにひよ達も参戦した。特に詩乃は気合が四人の中で一番入っている。
「いや~、すいませんでした。冗談ですよ・・・最後のところだけ」
「「「え!じょ、冗談!」」」
久遠、ひよ、ころは少し残念そうにしたが、
「では、イチャイチャしながら歩くのは」
詩乃は最後の部分をしっかり聞き逃さなかった。
「それは本当ですよ。でも、せっかく京に来ているのですから街を見て回るのもいいかもしれません。以前のようなことがないよう、注意は必要ですけど」
「う、うむ!そ、そうだな!さ、行くぞ!」
緊張で体が固くなりながらも久遠はアキラと部屋を出た。どうやら、イチャつくという言葉にドキドキしているようだ。
出て行った二人を見送る三人。
「あ~~あ。久遠様、羨ましいな~~」
「仕方ないよ、ひよ。お二人とも夫婦なんだし・・・それに、久遠様もアキラ様の事を本当に好きになっているみたいだし」
「仕方ありません。今回はお嫁さんに譲って私達も出ましょう」
詩乃の提案に二人とも頷いた。
外に出た久遠とアキラはイチャイチャ・・・しないで並んで歩くだけだった。
「さて、どこに行きましょうか」
「うむ、まずはしばらく歩いて、しばらくしたらそこらの店で食べよう」
そう言いながら久遠はアキラは手を握った。だが、一つおかしいことがあった。
「ふむ、男の手というのは少し固いんだな」
「・・・何でいるのです?一葉」
久遠の手を握ったのは左手だが右手にも握られた感覚があり、そちらの顔を向けると一葉がいた。二人そろって、ジト目で彼女を見る。
「今日は二条館で公家の連中と顔合わせじゃなかったか?」
「あんな白顔連中を見ると頭が痛くなる。逃げるが一番じゃ」
「つまり、抜け出したということですか・・・幽さんから文句を言われますよ」
「うむ!あんな奴らよりお主らと一緒に動く方が何倍もいい!なあに、幽もわかってくれるじゃろう!」
「デアルカ・・・まあ、仕方ない」
「ですね」
いきなり二人きりじゃなくなって、少し残念そうな顔をする久遠だった。諦めて三人でいろいろと散策していると、一軒の店で
「あれ、お頭~!」
「どうです、楽しんで・・・って公方様!」
「・・・抜け出したのですね」
ひよ達が食事をしていた。
「もちろんじゃ!・・・ところで、三人は今何を食べておるのだ?」
「これですか?何でも店主が堺で作り方を教えてもらって、試しに食べて感想をくれってことでもらったんですよ」
ひよがアキラ達にそれを目の前に差し出した。
「カステーラというものだそうです。ふんわりして、しかも甘くてとてもおいしいですよ」
「どうぞ、あと一切れずつしかありませんが」
ころが勧めてきたので三人とも遠慮なく貰った。
「ふむ・・・確かにいい味だ」
「ああ、ぜひとも尾張の店にも欲しい品だな」
「カステラですか。いやな記憶が蘇ります」
二人は満足していたが、アキラの方は苦い顔をしていた。頭痛がしたのか、その場でうずくまった。
「いやな記憶というのはなんぞ?」
「・・・自分の世界にいたころです。仲間の変態・・・もといとんでもない変態「言い換えたほうがひどいですよ」に無理矢理作らされて、しかも自分好みの味じゃなかったら」
ころの突っ込みを無視して話していると、突然頭を抱えて「ふざけるな~~!!」と思わず叫んだ。涙目に見えるのは気のせいじゃない。
「「「お、お頭・アキラ様!」」」
「・・・もうよい。よほどの悪夢だったようだな」
久遠達は何とかアキラに収まるようなだめた。
「余は聞きたいぞ!」
「す~~は~~。勘弁してください・・・これ以上思い出したら半狂乱になる自信があります」
深呼吸して頭に血が上った分を抑え、出されたお茶を飲んで落ち着くことができた。団子を食べ、腹八分になったところで三人と別れた。
「のう、お主。一つ、聞いていいか?」
「何ですか?さっきの悪夢は絶対にごめんですよ」
「いや、余が聞きたいのはおぬしの強さじゃ。一体向こうの世界ではどれくらい強かったのだ?」
「それは我も興味があるな。アキラはなかなか話してくれないからな」
「ふむ・・・」
少し考えこんだ。既に歴史の道筋がいろいろ違ってきているとはいえ、それでも未来のことを話すわけにはいかない。だから、ある程度ぼやかして話した。
「私はどうしても勝ちたい漢がいましてね。その為に戦いは続けていました。その漢は私の世界で一番強い漢でした。ここに来る前も全力で戦い、その戦いで意識を失い起きたら久遠の家でした」
「世界で一番強い・・・いったいどれほど強かったんだ?」
「十戦全敗です。いまだに勝ったことがありません」
「な!アキラほどの実力を持っていてもか!」
「想像が出来んぞ!」
自分達がどんなにあがいても勝てないアキラを全敗させるほどの漢が向こうの世界にいた。その事実に久遠と一葉は戦慄した。
「ふむ、ではお主は「見つけたぜ!」??」
他に聞こうとした一葉だが、その彼女を見つけた輩達が近づいて来た。
「よくもさっきは俺を痛めつけて財布を盗んだな!」
「俺なんか刀を奪われたぞ!」
「俺は服すら奪われた!」
ガラの悪い連中が一葉を見て、ボルテージが上がっていった。彼らのセリフで彼女が自分たちと合流するまで何をしたのかわかり、アキラも久遠も呆れていた。
「・・・一葉。どれくらいやってます?」
「覚えておらん。というか、覚える気がない。そもそも、こやつらは誰じゃ」
「「「「な!て、てめえええ!!!」」」」
それを見て一葉は、いきなりアキラに抱き着いた。
「きゃあああ。怖いです。助けてください」
「・・・それならせめて二やつく顔で言わないでください」
「私も怖いです。お助けください」
一葉の反対の腕を久遠が悪乗りで握っていた。
「二人とも悪乗りして・・・まあ、役得ですからいいですけど」
二人の悪ふざけにあきれるも、両手に花も悪くないと少し思ったアキラ。
「な、こ、このうつけものが~!」
「「「「てめえら!俺達を忘れるんじゃねええええ!!」」」」
石よりも重そうな溜息を吐いて、拳を固めた。
「やれやれですよ・・・本当に」
その後、刀を抜くことなくボコボコにして連中は検非違使に引き渡された。しかもご丁寧に一葉が金目になりそうなものを全部没収してからだ。
「うむ、これで数日分の油代と懐は安泰じゃ!」
「ああいう連中の財布が天下の征夷大将軍様のお小遣いですか・・・」
「しかも、全部強奪して懐に入れるあたりとんでもない公方だ」
アキラと久遠は改めてジト目で彼女を見た。
「ふん!幕府の財源は火の暴走早馬だからな。自ら稼いでいるのじゃ」
「強奪を稼ぎという輩はたくさんいるでしょうが、将軍は今までの歴史で一葉だけでしょうね」
「間違いない」
二人して冷や汗を流した。権威や地位は落ちても仮にも日本を代表する将軍が、嬉しそうに泥棒するなんて普通は思わない。
「公方様、見つけましたよ・・・全く幕府に納めるのは全額と言っていたではありませんか」
「ふん、割のいい仕事をしてその稼ぎをもらっただけじゃ」
「それでも二分の一とっているのでしょう。四分の一にしてください」
「それでは団子を二回食べて終わりじゃろうが!」
検非違使を連れてやってきた幽との話が将軍と家臣の会話とは思えない。どちらかというと、盗賊団の親分子分の会話に聞こえる。
『『この主があって、この家臣あり・・・どっちもどっちだ』』
だが、こっちも似たもの夫婦。考えていることは同じだった。
「さて、邪魔者もいなくなりましたし、久遠行きましょうか」
「そうだな。今度こそ、二人っきりだ」
嬉しそうにアキラの手を握る久遠。
「ええ!では幽、一葉を頼みます」
「待て!余も」
だが、一葉の首根っこを掴んで離さない幽。
「では、参りましょう公方様。ふふふ」
「幽離せ!説教はごめんじゃ!」
「説教なんて公方様にそんな恐れ多いことできませんよ。せいぜい、某ができることと言えば世間話暗いですぞ・・・さあ、なが~い世間話をしましょうぞ(ニヤリ)」
「それが、結局説教になるであろうが~~!(ズルズル)」
家臣に引きずられていく将軍様。ある意味貴重なシーンだ。
そのシーンを見届けて検非違使もいなくなり、完全に二人だけとなった。
「では、デートを今度こそ始めましょう」
「ああ!楽しみだ!」
こうして二人は、やっと二人だけの時間を楽しんだ。
もう既に三十話も書いていたのか・・・早いな。まだ一か月も経ってないのに。次はついに北近江です!あの夫婦に会いますぞ!・・・ってまだそこだったのか!
アキラが半狂乱になる原因の人物と言ったらあの人しかいませんよね!