お待たせしました!間章!本日はメインヒロインと二人っきりです!って、何か全員がメインヒロインにみえる気が・・・。
「起きろ、アキラ」
アキラを揺さぶって起こす久遠。何でも小谷城では『夫婦は布団は一組で寝るのが決まり!』という市の言葉に何故か久遠が逆らえなくて、この日も一緒に寝ていた。彼女もそれなりにアキラと寝るのが楽しみなのかもしれない。
最初の時は二人とも恥ずかしかったけど、アキラは慣れて眠りにつけるが久遠はまだ照れてアキラの後に眠りにつく。そのため、起きるのはアキラの方が早いが今回は久遠の方が早かった。何故それが分かるのかというと
「ん?あれ?どうしたのです?」
「遠乗りをする。付き合え」
もう起きた彼女に起こされたからだ・・・残念ながら尾張をこっそり出た日の朝に見た久遠の下着は拝めなかったが。
「(ふう~)分かりました」
「ずいぶん物分かりがいいな」
「慣れですよ(は~~、向こうの世界にいるあの連中よりはマシですが)」
ふと、仲間達を思い出し顔を青くした。特にトラウマを起こす灯の笑顔に気分が最悪になり、忘れようと布団に再び入った。
「う、トラウマが・・・失礼します」
「起きない・・・って、こ、こら!何をする!さ、さっさと準備せい!」
「いいではありませんか。私達は夫婦ですし(ぐい)」
布団をはがそうとした久遠の腕を掴んで、彼女を布団に引きずり込んだ。とても真っ赤になる彼女の言葉を気にしないで抱きしめる。
「おいこら!(力強くてたくましくて暖かく包まれているような、何かずっとこうされたい気持・・・っは!)い、いい加減にせんか~~!」
抱き着かれた久遠は一瞬欲望に負けかけたが何とか理性が勝って、無理矢理離れて、アキラを部屋から追い出した。
追い出されたアキラは顔を洗うと市と会った。先に行け!と言った久遠は、まだ部屋で抱きしめられた恥ずかしさで真っ赤になっている顔を元に戻すのに必死だった。
「お兄ちゃん!おはよう!」
「おや、お市ちゃんですか。どうしてこんなに早いのですか?」
「そりゃ、お姉ちゃんが」
「いや、もういいです。言いたいことが分かりました」
久遠から昨日寝る前に、遠出するから準備しろ。とでも言われたのだろう。彼女と話しながら城門まで行くと、目の前には二頭分の馬を見てすぐに理解した。彼女をよく見ると袋を持っている。おそらく、アキラと久遠の弁当が入っているのだろう。
「あははは、わかってくれて嬉しいよ」
「地味に付き合いが長いですからね」
すると、市が首を横に振って優しい笑顔を出した。
「ううん。そういう意味の嬉しいじゃないの。お姉ちゃんの妹として、お姉ちゃんを理解していることが嬉しいの」
つまり、市は久遠という女性を心から理解しているアキラが嬉しかったのだ。
「ふむ、久遠の家族からそういう言葉をもらえるのは嬉しいですね」
「お兄ちゃんなら、お姉ちゃんの事をしっかり支えてくれる事が分かって正直ほっとしているの・・・だって、前のお姉ちゃんって鎧をきていたようなものだったから。その鎧を脱がす人が結菜お姉ちゃんしかいなかったの」
「・・・昔の私に似てますね」
アキラは誰にも心を許さなかった頃の自分を思いだした。
「お兄ちゃんもそんなだったの?」
「ええ。ある漢の背中を守り続けていたのですが、その漢からいきなり解散をくらったことがありまして・・・それ以来でしたね、心を許せるものがいなくなったのは」
「・・・お兄ちゃんって本当にお姉ちゃんに似ているね」
「何が似ているのだ?」
そんな話をしていると、準備の終えた久遠がやってきた。
「私達は似たもの夫婦だ。ということです」
「そうそうお姉ちゃん!お兄ちゃんとたっ~ぷりイチャイチャしてきてね!」
「おいこら市!そういうことは」
「はいこれお弁当と水。じゃあ、行ってらっしゃい!市はまこっちゃんのお布団に潜るという最重要のお仕事が残っているから行ってくるね~!」
ごまかす様に城に戻っていった。そんな彼女にアキラは笑った。
「くう、市のやつ」
「ほらほら。せっかく二人っきりなので邪魔が入る前に行きましょう」
「わ、わかっておる!」
渡された手綱をひき、城の門から出た。
久遠の道案内で、向かった先は淡海を一望できる岬だった。ちょうど朝日がさして、淡海が紅く光っており二人してその朝日に見とれていた。
「いい朝日だな。市のやつ、随分といいところを知っていたな」
「ほう、お市ちゃんのおすすめでしたか」
「ああ、城を抜け出して見つけたらしい」
「・・・本当に姉妹ですね」
姉妹そろって同じ行動をすることにあきれ顔を出したが、久遠はドヤ顔をしていた。
「ふふん、褒めても何も出ないぞ」
「城の抜け出しが誉め言葉に聞こえるのですか?」
苦笑いをしながら登っていく朝日を見ていると、久遠の横顔を見えた。その彼女の顔に、こっそりドキドキして
『女性の笑顔というのは本当にきれいです・・・あの人のように』
初恋の人を思い出したアキラ。
「どうした?我の顔をじっと見て」
「ふふ、じっと見たくなるくらい綺麗だ。と思ってね」
「・・・そういうことをサラッというな」
「ですが、事実ですし」
アキラの褒め言葉に照れる久遠。そんな彼女もまたきれいに見えた。
「!!!そ、それより飯にするぞ!」
顔を真っ赤にしながら、久遠は市からもらった袋を開けた。弁当を食べながらいろんな話もした。ここよりも大きな海はあるのか?今は上洛に意識を集中させている事。など、他愛のない話だが、貴重な夫婦の時間だ。
「そう言えば、市ちゃんの言っていた苦手なものとは何です?」
その他愛のない話の中に久遠の苦手なものの話が合った。
「・・・何でもない」
「ほう、よほど嫌いなのですね」
「嫌いというより、どうしても好きになれん」
苦い顔をする久遠。
「ふむ、ではお市ちゃんから「聞くな」、では結菜「そっちも駄目だ」、じゃあ教えてくださいよ。いやなら土産にしてもらいますよ」
そう言われて苦い顔をしながら、諦めたのかしぶしぶ答えを出した。
「・・・いやらしいやつめ。鮒寿司だ」
「ああ、確かに苦手な人には苦手ですね。あれは匂いも味も独特ですから」
「以前土産に持ってきたことがあってな。ちょうど三河から葵が来て一緒に食べてみたんだが、・・・どうして市はあれをうまく食えるのか全く不思議だ」
「人それぞれですよ。多分お市ちゃんは真琴君が好きで食べていたから、一緒に食べているうちに好きになったのかもしれません。ところで、葵・・・というのは?」
「ああ、我の幼なじみだ」
『久遠の幼なじみ・・・そんな人がいたのですか?』
アキラは特に気にしなかったが、まさかそれが向こうの世界では紅虎と深く関わっているなんて、この時は想像もしなかった。
「アキラ、水筒をくれ」
「はい、分かりました」
ちょうど飲んでみたのでそれを渡した。そのまま、久遠も飲んだ。その行為に
「あ、間接キスです」
思わずつぶやいてしまった。
「ん?間接キスとはなんだ?」
「キスは南蛮では接吻という意味です。つまり、水筒で間接接吻をした・・・」
「(ぶほ)!!///」
真っ赤になって飲んだ水を噴き出した。
「な、ななな、なんてことを言うんだ!くううう!市め~~こうなることを知っていて一本にしたのか!」
「まあ、弁当があれになるよりはマシですから、甘んじて受けましょうよ」
「あいつめ~~!今度尾張に来たら逆にやってやる!」
「・・・むしろ、自分から笑顔で一本にして!と言うのが想像できるのですが」
「・・・くそ。どうすれば、あやつに仕返しができるんだ」
アキラの指摘に久遠も想像できたのか、苦笑いをして悔しんだ。
その後再び淡海を見ていると肩に重みが出たので、意識を向けると久遠が肩に頭をのせていた。
「・・・市と真琴のいちゃつく姿を想像したら、何か羨ましくなった。しばらくこうしていたいがいいか?」
「構いませんよ。二人の仲の良さは私も羨ましい、そう思ってましたから」
アキラと久遠。共に笑顔で太陽を見ている。
「アキラ・・・我は今幸せだ。お前と一緒にいることが、心から嬉しく思う」
「久遠・・・私も一緒です。あなたと同じ気持ちですよ」
「そうか」
「そうです」
お互いに軽く笑って顔を向けた。そして、朝日に照らされて写された二人の影の唇が・・・ついた。
『お市ちゃんが最後に言おうとした言葉はこうして久遠を甘えさせてくれ。ってことでしょうね。ええ、これからもしっかり甘えさせますよ』
久遠が来たせいで言いかけてやめた市の言いたかったことが分かり、しばらく寄り添いあったまま二人は淡海を見続けた。影の唇はついたままだった。
小谷城に戻る際に城下街に寄った。
「さて、堺で買おうと思ったがすっかり忘れていたあれをやらないとな」
「そうですね。やっておかないと絶対に文句言われますからね」
「ああ!」
「忘れなかった今しかできません」
二人は真剣に街のいろんな店を出たり入ったりして探していた。それは、
『『結菜のご機嫌取りのお土産を見つけないと!』』
尾張を出る手配をして、なおかつ壬月と麦穂のご機嫌取りもやってくれたのだ。土産の一つでも買わないと雷が落ちることが簡単に想像できた。お互い、いろいろ探したがこれだ!というものが中々見つからない。
「いったいどんなものが喜ぶのか。せめてそれが分かれば」
「喜ぶもの。ですか」
そう考えながら久遠に意識を向けるとひらめいた。
『久遠とのペアルックなら、きっと喜んでくれるはずです』
そして、アキラは二つ一組のものを探し・・・一刻ほどでようやく見つけたので、久遠にそれを見せた。
「これならどうですか?」
「簪か・・・」
アキラが見つけたのは花飾りと蝶の飾りが着いたかんざしだった。うまい具合に女性向けであり、同じものが二つあった。
「うむ、結菜もお前が選んだのなら納得するだろう」
「それはよかった。店主、こちらを二個お願いします」
「は?二つ?」
「ええ、あなたの分です」
キョトンとしてアキラの買う簪を見る久遠。自分の分があるとは思わなかったのか、
「わ。我の分もあるのか?」
「はい、二人でおそろいのものを・・・そう考えてこれにしたのです」
顔を真っ赤にして、とても嬉しそうな顔をした。
「お待ち!奥さん、よかったですね」
「なああ!お、奥さんだと!」
店主のからかいに思いっきり照れてしまい、
「ふふふ、さあ、帰りましょうか。奥さん」
「お、おい!こら待て!」
商品をもらって城に戻るアキラを慌てて追いかけた久遠。
『女性へのプレゼントは今思えば初めてです・・・喜んでくれるといいですね』
アキラも夫婦と見られたことに少しだけ赤くなりながら、隣から文句交じりで話しかけてくる久遠と一緒に城に戻った。
今回は、リア充爆発しろ!な内容でした。書いていてむなしくなってきた・・・。自分もあんな彼女ほしい。
次回は間章にするか、それともアキラのいない世界特別編第二弾にするか。そろそろ、そっちの方の話も書こうと思います。