※この作品はR-18です。

戦国恋姫 盲目のサムライ   作:一日三食MEN

82 / 217
 
 こんばんは、三MENです。

 個人的な見解ですが、北海道から出たボーカロイドのあのキャラクターが長尾美空景虎に似ていませんか?
 髪に顔立ち・スタイルも結構似ていると思います。違うのは性格だけでは?と思っているくらいです。ファンの方がいたら、こんなこと言ってしまってすいませんでした。

 あの三人と再会できたのは嬉しいですが・・・今は。

 ついに五章完結です!



四十五振り目 久遠、すいません。・・・アキラ、信じていたのに

 

 雨が降り水かさも増した九頭竜川を、四人の支えがあって何とか渡り切ったアキラ。庵樹の背中から何とか降りてその場で座った。三人は自分の後ろに、桐琴は小夜叉と何やら話していた。そして、初めて見る目の前の女性は、会ったことのある一葉が教えてくれた。

 「こんな状態ですいません。動くことができない状態でして。私が織田久遠信長の夫であり足利一葉義輝の夫でもあるアキラと申します」

 夫という言葉に、庵樹・朱雀・時人は驚いた顔をした。

 「長尾美空景虎よ。一つ聞きたいんだけど・・・火の鳥と言った方がいいかしら?それが見えたんだけど、まさかあなたがやったの?」

 「そうっす!あんなの見たことないっすよ!」

 「うん、あれは驚いた」

 長尾美空の言葉に後ろの二人も興奮した。

 「火の鳥じゃと!そんなの余らは見てないぞ!」

 「公方様、森を駆け抜けていた時だったから、見れなかったのかもしれません」

 「・・・私は見ました。船に乗ろうとした時に後ろを見たら全身が火だけの鳥が」

 「ええ!そんなのいたですか!」

 歌夜も見たという火の鳥と言う言葉に綾那を筆頭に皆がざわざわした。

 

 『やはり朱雀は見えていましたか。大きさは壬生京四郎の朱雀くらいでしょうか?更に大きな朱雀を出す狂にはまだ負けますが・・・そもそも何故私があの壬生一族、しかもあの二人ぐらいしか使えないあの技を使えたのか・・・それにこの三人がこの世界にいるのも疑問ですが・・・今は彼女との話ですね』

 

 あれを出せたのも時人達がいることも疑問だが、現状をまず安全にしないとその疑問も解けないので保留にした。

 「その通りです。だが、私も初めて出したので、体力も精神力も相当使ってしまい、こうしているだけでやっとなのです」

 肯定したアキラの言葉に唖然とする皆。

 「なるほどね・・・本当なら組み伏せたかったんだけど、抵抗ができないならする必要はないみたいね」

 「美空よ。主様にそんなことしてみろ。余が「一葉・・・よしなさい」ぬ、主様、わ、分かった」

 抜きかけた刀を収めた一葉。

 「へ~~、公方様が引き下がったわ」

 「本題に入りましょう。長尾さん、あなたは私をどうしたいのですか?」

 「さあ~、どうしようかしらね?」

 その笑みは、灯に少し似ていると思いながら

 

 「・・・あなたに投降します」

 

 この言葉を言って頭を下げた。

 「な!主様!」

 「アキラ様!それは!」

 「皆さん、選択肢はこれしかありません。このまま彼女と別れても、今後加賀・越中で補給ができるかどうかわからない。そうなると兵はもちろん私達も危険です。なら、自分がこうして頭を下げるのが一番です」

 隊の継続にもつながる補給の確保。それをしないと兵達も自分達も飢え死にする。それが大切と考えアキラは捕まる選択をした。皆も隊の今後の事を考えた結果と分かり、悔しい顔をしながらもこの選択は正しいと無理矢理納得させた。

 アキラ隊の事すらわかってない時人達は、今だ分からない顔をしていた。

 「あなたね、私が断るという考えはなかったの?」

 「それなら私達を見捨てたはずです。せっかく見つけた価値のある魚は捕らえて、その価値がなくなるまで有効に使う。それがあなたの性分だと思いますが?」

 「なるほど・・・結構な食わせ物ね。そうね~、京では雷を起こして鬼達を凍らせ、しかもあんな火の鳥まで出せる男。更にその男が一葉様の夫であの御免状を持っている。これ以上ない面白そうな道具ね・・・いいわ、受けてやろうじゃないの」

 これで一先ず安心ができたことに内心ほっとした。

 「ありがとうございます。すいませんが、一つだけお願いがあります」

 「何よ。受けてやるって「いえ、少しだけ時間をください。ちょっとですから」ま、いいわ」

 「感謝します・・・く」

 立ち上がろうとするアキラを、慌てて支える朱雀と時人。

 「あなた方がいる理由も後で聞かせてください。今はまず安心できるところに移動することが先決です」

 「もちろんですよ」

 「大変だったんだぞ・・・やっと、会えた」

 「夫ってどういうこと?こっちもいろいろ聞きたいんだけど・・・でも、今は本当に良かった」

 三人の顔から涙が見えていた。雨のしずくもあったが、それは確実に確認できた。

 「森の方に向けてください」

 

 『亡くなってしまった兵の皆さん・・・あなた方の命は必ずこの肩に乗せ続けます・・・全てを守ることは不可能。これほど悔しい言葉は初めてです・・・でも、それでもあなた方が生きてほしいと言った。その願いの為にも、これからもずっと生き続けます。皆さんの思いも持ってね』

 

 自分達の為に戦って死んだ兵に黙とうをした。それが終わり長尾の方を向いて、もう大丈夫と伝えた。

 「なら、来てもらいましょうか。天人さん」

 「なあ、アキラ。それは明日につながるのか?」

 背を向けた長尾。すると桐琴との話も終わった小夜叉が聞いてきた。

 「ええ、つなげますよ。絶対に」

 力強く答えて、前を歩きだした。

 

 『すいません。久遠・・・戻るのが遅くなりそうです。でも、必ずあなたの下に戻ります・・・結菜、しばらく頼みます』

 

 自分の事を一番に心配する妻の事を思いながら。

 

 

 場所が変わって二条館。

 「久遠・・・落ち着いた?」

 「ああ・・・何とかな。それで、皆はどうした?」

 結菜は状況を説明した。できるだけ簡潔に。そして、アキラの事になると言葉を詰まらせた。この言葉は彼女も相当の覚悟を持って言った。

 

 「久遠・・・アキラは行方知れずよ。あなたを、本陣を逃がすために鬼達を引き連れて、全く逆の方向に向かったらしいわ・・・その後は分からない」

 

 その言葉に絶句した。自分達と一緒に二条館に戻っていると思っていたからだ。すぐに草を使って探すように言ったが、それを止められた。怒りを抑えきれない顔で結菜を見たが、真っ向から同じ怒りを持って言葉で返した。

 

 「久遠、アキラが何を思ってあなたを逃がしたかわかっている?あなたはこの国の鬼を倒すために頑張っているから、アキラは一番にあなたを逃がしたのよ!夫だからというのも当然あるわよ。格好つけなあいつだからね。でもね、あなたはこの困難を絶対に乗り越えられる。あいつはそれを信じているからこそ逃がしたのよ!だから今は前を向きなさい。その命、アキラが必死になって守ってくれた命を大切にして、あなたを信じている者達の為にもあなたは自分のするべきことをしなさい!」

 

 結菜の言葉を聞いて、どんどんと目に涙を浮かべる久遠。怒りの顔が悲しみの顔に変わっていった。

 「あきら・・・アキラ・・・あ、う、うわあああああ!!!」

 そして、大きな声で大粒の涙を流し泣きだした。そんな彼女を抱きしめる結菜。

 『アキラ・・・あなた、絶対に、もどって、きな、さい、よ・・・う、ううう』

 結菜もまた涙を出して、共に体を震わせながら悲しんだ。

 

 数日後の評定の間。

 「そう、まだ時間が必要なのね」

 「あれほどの打撃を食らうとは、完全に予想外でした。まだ朽木谷を通って戻ってくる兵達もいるので、再編は時間がかかります」

 「それが今はよかった。と言えるのかもしれないけど」

 「傷ついている兵の手当てと回復もしないといけませんし・・・それに」

 今この場にいるのは三人。結菜と壬月と麦穂だけだった。和奏達も浅井夫婦も、今は必死に隊の再編と兵達の治療に忙しかった。だが、三人の頭の中にいるのはやはりあの男だった。

 「まだ、見つかっていないのですよね・・・アキラ様も、隊の皆さんも」

 「ああ、足利に八咫烏、森に松平もな。おそらく一緒だとは思うが」

 アキラがいない、それが織田にとって一番大きな打撃だった。あの後、結菜は何とか落ち着いて立ち直れたが、もう一人の方はというと。

 「殿はどんな様子です」

 「・・・まだね。そろそろ何とかなると思うけど」

 そう、久遠がまだ立ち直れていなかった。

 「そうですか」

 「麦穂・・・あなたは明日休みなさい。相当無理をしているでしょう」 

 「私は「休め。アキラがいなくて不安につぶされそうなのだろう。ここで倒られると迷惑がかかる」・・・はい」

 麦穂の目が赤いのを見て悲しんでいることも知り、休ませることにした。

 「じゃあ、私は一度屋敷に戻るわ。後の事はお願い」

 「分かりました。後、結菜様も目は赤いですよ」

 「・・・そうね・・・全く、何をしているのよ、アキラ。戻ってくるって信じていたのに」

 頬に一筋の雫が流れた。

 

 二条館の一室では食事をとらない久遠と、その姿を辛そうに見る双葉の姿があった。何度か食事をとるように言っても、いらないの一言だった。アキラに小谷で買った結菜とお揃いで買った簪を握り締めて、彼女からアキラ行方不明の報告を受けた時から落ち込んでいた。

 何とかしたい双葉は、次の手段に出た。

 「体を・・・拭く?」

 「はい、旦那様にはきれいな姿をお見せしないといけません。戻ってきたときにきれいな姿でないとまずいですよ」

 「・・・わかった」

 うまい双葉の言葉に上半身脱いだ久遠。彼女の背中をふく双葉。その時にやっとポツリポツリと話した。越前討ち入りの際のアキラの行動と思いを話していき、そしてアキラ本人の話となった。

 

 「あいつは・・・いつも自分の事が第一と言いながら人を優先にしていた。詩乃の時も、鞠の時も、一葉の時も、そして・・・今回の越前でも。そういう奴と分かっていたのに・・・我が、我があいつを「久遠様!アキラ様は必ず戻ってきます」!双葉、お前はあの鬼共を見てないから!」

 

 やっと出した久遠の本音。でも、それが彼女の精神を回復させる第一歩だった。

 「そうです。久遠様の言う通り、私は越前に行ってませんので鬼がどれくらいいたか知りません。でも、でも、旦那様は・・・それでも負けるようなお方でしたか?私はそんな方ではないと知っています!あの方はどんなに苦しい状況でも、どんなにつらい現実でも、決して屈することなく前を見て、進み、必ず乗り越えます!・・・だって私もアキラ様の妻ですから。あの人の事を見ていましたから!」

 双葉の言葉に、ようやく久遠の目に光が戻った。

 「・・・そうだったな。お前もあやつの妻だったな」

 「はい!」

 「双葉、強いな。我なんか何日も落ち込んでいたというのに」

 「旦那様は必ず生きています!それを信じているからです!」

 彼女のまっすぐな想いを持った目と心に響くアキラへの愛の言葉に、久遠もやっと少しだけ笑顔が戻った。服を着て食事をすることにした。

 「ふ~~、結菜め。あいつらしいな」

 「え?何がです?」

 用意された食事を見て、久遠らしい苦笑いをした。

 「豆腐の味噌汁があるだろう。アキラの好物なんだ・・・何でも、これがとても暖かい気持ちにしてくれるとあやつは言っていた」

 「旦那様が」

 「ああ・・・ははは、落ち込むだけ落ち込んだら逆に笑えてきた。どん底まで落ち込んだからな。むしろ、これから先どうやって落ち込めばいいんだとな」

 豆腐の味噌汁を飲んで、顔に元気が戻ってきた。

 「これは本当に暖かい気持ちになれる気がする・・・よし!双葉、我の面倒見てくれてありがとう。もう、大丈夫だ!」

 立ち上がった久遠を見て、双葉もまた笑顔になった。

 「久遠様!お姉さまも、アキラ隊の皆さんも絶対無事です!」

 「ああ!すまんがおかわりを頼む。まずは体に元気をつけないとな」

 「はい!」

 元気な声で、久遠の食べ終えた食事を下げていった双葉。

 

 「アキラ、お前は絶対に生きている。我も結菜も傷一つない状態だ。これもみんなお前のおかげだ!妻が無事だったんだ!なら、夫のお前だって無事のはずだ!だったら、早く騒動の一つでも起こして我を安心させろ!なあ!」

 

 心からの笑顔で、窓から見える太陽に向かって叫んだ。

 




 アキラにとっていろんな辛さを持つ第五章完結です。

 一応第六章のタイトルだけは決めています。『長尾美空景虎編』です。ここから更なる誑しとあの三人も加わり更なる間章の追加もあることでしょう。もちろん、あの三人のエロも出そうと思います!後、この六章では三人以外の原作キャラも一人出すつもりです。ただ、戦ったり隊に入ったりはしません。

 ではしばらくの間さようならです!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。