※この作品はR-18です。

戦国恋姫 盲目のサムライ   作:一日三食MEN

84 / 217
 
 こんばんは三MENです。

 今回はついにアキラ隊完全集合です!




四十七振り目 手伝いますか・・・恩を売ることも大切です

 春日山城が落ちた。長尾勢の話を聞いてみると落としたのは美空の姉らしく、その時はまだ喜んでいた。人修羅と呼ばれている長尾美空景虎だけあって、自分の居城を攻めるというのはめったにないということで逆に楽しそうだった。

 

 『御大将の娘の空様と私の娘、愛菜が捕らわれています』

 

 だが、この言葉を聞いて一気に顔が怒りに支配された。よほど、その娘を大切にしている何よりの証拠であり、自分達の方への意識もなくなっていた。

 話しも一通り終わったところに、一応自分達の身の振りをどうするか確認した際手伝えと言われたが、明らかに使いつぶしにしそうな感じだったので、その場で断るとさっさとどこかに行ってしまった。その後、おっぱいさんと部下の二人から自己紹介してもらい、話を聞くと恩を上げれば必ず返す主義だということが分かった。

 

 『あの能天気な子が柿崎景家で通称が柘榴、各務と同じくらいあまりしゃべらない子が甘粕景持で通称が松葉・・・そして、皆さんが思いっきり取り乱したおっぱいさんが直江与兵衛尉景綱で通称は秋子さんですか。何というか、大将さんはひよやころくらいの大きさなのにあちらの二人は麦穂と同じくらいありますね』

 

 いったい何の大きさを言っているのかはもう分かるだろう。

 

 その後、松平が陣をしいているところに向かい、葵と話をしたが彼女は一刻も早く三河に戻って兵を再編したいらしい。でも、今後の日の本の鬼を倒すにはこの越後の龍の協力も今後の久遠の同盟に必要と考えたアキラは、春日山城奪還に力を貸す提案をしたが彼女は力を貸そうとしなかった。

 

 『私と彼女では立ち位置が違う。私は久遠と一葉の夫という立場ではあるが比較的自由に動ける。だけど、彼女は三河の国持で、しかも駿府という不安要素が隣にある。だから早く戻りたいが、なかなか動けないというのも残念なことに事実。鬼の越前や武田の領地に囲まれたこの越後から出るのは、今は不可能。挙句には越前で相当痛手もおっているでしょう。そんな状態で手を貸すなんてとんでもないです』

 

 その為、アキラは彼女を無理に説得しなかった。とりあえず、手を貸してほしいときは声をかけることと、美空にも葵の事を伝えると言って別れた。その途中で綾那と歌夜に出会った。

 「アキラ様・・・何かありましたか?」

 「ええ。ちょっとね」

 「殿さんと喧嘩したですか?・・・殿さん、怖かったです」

 「ええちょっとね・・・意見が食い違ってしまって」

 「そうですか・・・あの、アキラ様はどうするおつもりですか?」

 「美空・・・長尾の春日山城奪還に力を貸そうと思います。これから先、鬼は確実に日の本全土に広がりますから、戦上手と呼ばれた越後の龍の力を何とか借りたいと思っています」

 「我が松平は・・・出れませんね。越前でとても痛手を負いましたから」

 苦い顔をして歌夜が言うと、アキラは頷いた。

 「ええ、葵もそう言っていました。彼女としては、一刻も早く国に戻って再び兵を再編したいと言っていました」

 「そうですか。葵様があれほど怖くなっていたのは、自分の意見を受け入れてくれなかったからですね・・・」 

 「間違ったことは何一つ言ってなかったですからね・・・自分は隊に戻ります。時間をかけてすいませんでした」

 そう言ってアキラは去っていった。

 

 残った二人は複雑な心境だった。何しろ、片方は自分達の主君であり命を懸けても守る存在で、もう片方は今自分達が守りたいと思う存在だ。どちらも大切だからこそ、喧嘩別れをしたこの二人の事をどうしようか二人は悩んでいた。

 「ねえ、綾那はどうしたい?」

 「どうしたいってどういうことです?」

 「私はアキラ様の事、大切に思っているわ。でも、葵様も大切に思っている」

 「それは綾那も同じです!」

 「でも、今回はそれだとダメなのよ。どちらかを選ばないと・・・」

 歌夜の言葉に?をだす綾那。

 「どちらかってどうしてですか?二人は仲良くできないですか?」

 「・・・難しいわね。お互い譲らない思いがあるから」

 「じゃあ、どうやって決めればいいのですか!」

 「私は松平に忠誠を誓う榊原歌夜ではなく、ただの歌夜として決めたいと思うの。あなたはどうする?本多忠勝としてではなく、ただの綾那として決めるとしたらどうしたいか」

 「・・・本当にそれでいいですか?」

 綾那の質問に頷く歌夜。

 

 アキラは隊に戻り、どう動くかを隊の皆に話した。その際、一つ驚いたことがあった。

 「アキラ、わしは森一家の棟梁をやめる。これからはクソガキが棟梁じゃ」

 桐琴が棟梁をやめると言った。理由を今彼女が持っている北落師門にあるらしい。

 

 「儂はもう一度武人となる!こやつを持っていると、力が湧いてくる。そして、思い出したのじゃ。初めの頃に持っていた気持ちを・・・今のように全殺しを楽しんでいた気持ちじゃなく、どんどん強くなるあの楽しい気持ちを・・・こやつが一緒ならどこまでも強くなれる!それをしたいんじゃ!」

 

 つまり、彼女は北落師門を手に入れたことにより、かつての自分を取り戻した。今より、更に強い力を求めるために自分の肩書がいらないを小夜叉に譲ることにした。小夜叉も最初は反対だったが、決めたことは絶対に変えない桐琴だという事は娘なだけあって分かっているため、結局了解したらしい。

 「桐琴さん・・・すごいですね。村正様のあの槍をもう自在に扱えるなんて」

 「武士の血を引いているのも一つの要因だけど、あれほどのまっすぐに進もうとする心を持っていたのね」

 「北落師門もそれを感じ取ったから、あの人を主と認めたんだと思うな。上にどんどん上ろうとする思いを決してやめようとしないから、力も貸したと思うぜ」

 朱雀に庵樹と時人は彼女をそう分析した。その分析にはアキラも内心頷いた。

 「森一家の新棟梁の話はここまでにして、これからの事を考えましょう」

 「越後勢を味方にするという考えですね」

 「果たしてうまくいくでしょうか・・・」

 軍師二人もさすがにまだ案が出ていないようだ。

 「あやつは人修羅じゃ、そううまくいかんぞ」

 「公方様と同族ですからな~~よくお分かりで」

 「なんぞ言うたか「いえ、何も(ぴ~ぴ~)」」

 白々しく口笛を吹いてごまかす幽。

 「柘榴さんや秋子さんの話を聞く限り、恩さえ渡せばその恩を必ず返す性分を持っているそうなので、うまい事それをすれば」

 「鬼退治に協力してくれるということですか」

 「はい。野武士の真似ごとになりますが、今は手段を選んでいられません。それぞれの隊の皆さんの意見を聞きたいです。私の考え、賛成ですか?」

 アキラはそれぞれの隊の代表を見た。

 「私達アキラ隊はもちろんですわ。ハニーの隊ですから」

 「足利と八咫烏も問題ない。余らも既にアキラ隊じゃ」

 「まあ~お給金をもらえるならやってやってもいいですよ!とお姉ちゃんが」

 「・・・(´・ω・`)」「雀さん、烏さんが何か言いたそうな顔をしていますよ」

 「姫路衆もアキラ隊ですので、問題ありません」

 「となると・・・問題は」

 幽が小波に視線をやった。居心地悪そうな顔をした。

 「小波、あなたの責任ではありません。そんな顔をしないでください」

 「つまり、松平衆は反対ということですか?」

 ひよの質問に頷いた。

 「ええ、何しろ葵は三河の国持ですから、早く自国に戻って民達を守りたいという気持ちもあるでしょう。しかも、隣国の駿府にも意識をしないといけませんからね・・・後、久遠の時間の掛け過ぎが今回の越前の敗因じゃないか?という言葉が悠季さんから出ていましたね」

 その言葉に詩乃は頷いた。

 「・・・確かに見方次第ではその言葉も間違ってないと言えば間違ってないですが」

 「でも、久遠のやり方は間違ってません。真琴の放った草が全滅したのです。情報がろくにない状態で拙速に動いても自滅するだけです」

 だが、悠季の言う事もアキラの言う事も一理あるため、否定も肯定もできない。

 「・・・どれが正しいかは結局分かりませんね」

 「そうですね。でも今はそれよりも」

 「春日山城ですね。一先ず美空様に協力することを伝えに行った方がいいのでは」

 「ええ、では「アキラ、話の最中で悪いがいいか?」何ですか?」

 アキラの話に割り込んだのは時人だった。

 「アキラ。一応私達もそれなりに皆から話を聞いたけど、私達があなたの隊でどう動くかはあなたが決めて」

 本題を話したのは庵樹だった。三人は自分達の身の振りを知っておきたいようだ。

 「・・・とりあえず、隊の皆と交流をしてください。戦いの時になったら活躍してもらいます」

 「「「はい(わかった)」」」

 アキラからの言葉に三人は頷いた。

 「では、まずは「待ってください!」?」

 早速自分達が協力することを美空に伝えように行こうとした時、いきなり声をかけられた。やってきたのは、さっき松平で会った綾那と歌夜だった。

 「はあ、はあ、はあ、綾那、速すぎ」

 「えへへ~、速く来たかったです!」

 「え?綾那さんに歌夜さん、いったいどうしたのですか?」

 詩乃の言葉を待っていたかのようなタイミングで綾那が言った。

 

 「綾那達もアキラ隊に入るです!」

 

 「もう言っちゃうの!・・・そういうわけです」

 歌夜も肯定した。その後、二人は葵から出向という形でアキラ隊に力を貸すように言われたらしい。幽曰く、使い道のない刀を預けて恩を売るらしく、将を出せば自分達も力を貸すという大義名分ができるからだ。

 でもアキラは別にそんなことはどうでもよかった。向こうがそういう意図なら別に構わないので、遠慮なくもらうことにした。

 「分かりました・・・二人も隊に入ってもらいます(綾那はともかく歌夜は大丈夫でしょうか?)」

 一つの懸念があったが無視して、美空のところに行く準備をした。

 

 こうして綾那と歌夜もアキラ隊となった。そして、アキラは一葉と幽を連れて美空のいる陣に向かった。その後、二人は小波のところに行った。

 「あの、歌夜様・・・葵様は」

 「それ以上言わなくていいわ、小波。多分同じことを考えているから」

 「は・・・離されたのでしょうね」

 「ええ、私達はアキラ様に近づきすぎた・・・殿は自分の理想の未来の邪魔になりそうな私達が危険に思えたのでしょう」

 「そんな!歌夜様を危険だなんて!」

 「・・・いいえ、殿の理想は武ではなく文で日の本を治めようとしていらしゃる。私達のような武しか持てないものはいずれこうなる運命だったのよ」

 「ねえ、さっきから聞いていたけど一ついいかしら」

 小波と歌夜が辛そうに話をしているところに、庵樹が入り込んできた。

 「何です?」

 「あなた達はアキラの事、どう思う?」

 「え?」

 「アキラ様ですか?」

 「ご主人様はとてもお優しいです。私のようなものにもとても優しく」

 小波の一生懸命に話す姿にニコッと笑った。

 「小波さんだっけ?それでいいのよ。あなた達がここにいる理由はそういう小さな事でいいのよ。優しいから一緒にいたい。そういう感情論でもね・・・あいつもそれを思っているわ」

 そう言って去っていった。庵樹の言葉に綾那も同意した。

 「そうですよ!難しいことなど考えても時間の無駄です!さっき歌夜から言われたです!ただの綾那で考えて答えを出せって!そうしたらここに来たいと思ったです!」

 「ただの・・・綾那様ですか?」

 「そうです。小波はどうです?草じゃないただの小波はどうしたいです?」

 「私ですか・・・ただの自分。私は、ご主人様の傍にいたい・・・ずっと、ずっと、最後の時まで」

 最後の方は恥ずかしかったのか、小さくつぶやいた感じで言ったので二人には聞こえていなかった。

 「小波、これからは同じ隊ね。よろしく」

 「そうです!小波仲良くするです!」

 「綾那様。歌夜様・・・はい!お願いします!」

 

 アキラ、美空への協力を決意。綾那と歌夜、アキラ隊入隊。

 




 
 以上、桐琴が棟梁辞めたこととついにアキラ隊全員揃いました。桐琴は森一家に引き続きいます。立ち位置は副棟梁的なものになると思います。
 
 実際綾那達三人の立場に立ったら辛いでしょうね・・・どっかいけ。と言われているようなものですからね・・・。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。