春雪喧騒(4)
空間の先には足場がなく、魔理沙は体を反転させ背中から地面に落ちた。骨を折れてはいない。苦痛に顔を歪め、打ち付けた腰をさする。メイドの方は足から着地した。痛みが引いていき、魔理沙は顔を上げ、霊夢を見つける。
見たことのない建物。
その縁側に巫女と、撫子色の髪の女と白髪の少女。
魔理沙は霊夢に声をかける。
――と、紙切れが周囲を舞う。
足に感じたことのない違和感。
グロテスクな赤黒い触手が足首に絡まっている。
すでに小石が敷き詰められた足元は異様な触手まみれとなっていた。空中を舞う紙切れから触手が飛び出し、腕や腰に絡みつく。引きはがそうとするも効果はなく、掌から光弾を打つも焼き切った触手の替わりが次々に襲いかかってくる。近距離で打つには抵抗もあったが、魔理沙は帽子の中に手を入れ、マジックアイテム――ミニ八卦炉を手にし、マスタースパークを放とうと構える。
――が、空中――魔理沙は気づかなかったが――にいた狐にミニ八卦炉をかすめ取られる。
狐を追い、魔理沙は顔を上げた。妖狐は無造作にそれを放り捨てる。数メートル離れている。簡単に拾える距離ではない。絡みつく触手で次第に体の自由を奪われていく。咲夜もナイフで応戦しようとするも四方八方から迫るそれらに対応しきれず、体を触手に絡め取られている。
足に絡みついた触手が上へ上へとまとう粘液を塗りつけながら這い上っていく。性器を擦り、衣服の中に潜り込んだ触手は臍を舐め、胸の谷間を粘り気のある音を立てながら首筋に顔を出した。別の触手がべちゃりと背中を撫でる。その不快感に声を漏らし、それを狙ってか首筋から覗く触手が魔理沙の口を塞いだ。霊夢と交わる男性器のそれとほとんど変わらない太さのそれが、しかし男性器ではできない動きで魔理沙の口腔を犯した。まるで新鮮な魚を直接口の放り込まれたかのような乱暴な動きで――
喉の奥まで犯され息苦しい。全身を、粘液を纏った生物に嬲られる不快感。なのに、体は次第に官能を覚え始める。
ウェーブがかった金髪にも粘液が塗りたくられ、耳裏にも触手が這い回り、粘着音が木霊する。
臀部をなで回していた触手は、次第に尻溝を撫で、尻穴周りを責めていく。やがて触手は魔理沙にとって一方通行だと信じて疑わなかった排泄穴をこじ開け進入した。小指ほどの太さのそれがピストンし、尻穴を解していく。
官能に従い割れ目に粘液に劣らない粘っこい愛液がしみ出した。それが合図だと言わんばかりに一本の野太い触手が魔理沙の割れ目に押し入る。触手はその身をゆっくりとよじりながら狭い穴を侵食した。膣で感じる触手の動きが、魔理沙にはかき氷機のそれの動きを連想させた。ハンドルの動きに合わせ、氷を押さえる軸が廻る。しかしそんな緩慢な動きは最初だけで、実際には狭い子宮口を抉り子宮奥まで叩き付ける回転運動が、激しい抜き差しの動作と絡み合っていた。
霊夢との性行で感じたことのない感覚が体のあちこちでスパークする。
やがて魔理沙の理性という氷が、少しずつごりごりと快楽の刃に押し付けられ削られていく。
◇◆◇◆◇
妖狐は相手を狙ってくないを放つ。
止まれば、そこを突かれる。相手が自在に空間をこじ開けることができる以上、今はまだ捕まるわけには行かない。
霊夢は藍との距離を取りつつ右や左へと動きながら、狐に向かって護符を投げる。
八雲藍は、別空間に逃げることなく、飄々とさけ、無数のくないを展開し、巫女を攻撃する。
狐は巫女の攻撃をかわしつつ、時に空間を飛び、巫女の背後、上空など位置を大きく変え相手を翻弄しようとする。
その度、巫女は妖狐と距離を取るように移動し護符を投げる。
互いの応戦で戦場空間の床は次第に無数の護符とくないが敷き詰められていく。
怒りにまかせて動いてしまったせいで体力の消耗が激しく、霊夢の動きは次第に鈍くなった。
呼吸が荒くなる。
妖狐はそれを見逃さず、空間を裂いて巫女の首を後ろから鷲掴んだ。
「これで、王手です」
藍は静かに、冷ややかに告げる。
「貴女がね」
霊夢のその台詞と同時に床にばらまかれた護符から氷柱が飛び出した。
無数の大小様々な氷柱が立ち並ぶ。
首を掴んでいた腕に浮き刺さった。
氷柱の弾かれたくないが巫女の肌を突く。
傷は浅い。
「ぐっ」
呻く藍は腕を引っ込めようとするものの人一人の身長ほどある氷柱がつっかえ棒となり、動かせない。やむなく、狐が裂け目を広げた瞬間、霊夢はその腕を掴み、裂け目に飛び込み、狐の腹に蹴りをみまった。
ばらまかれたくないが広がる床に倒れた狐。その頬を蹴りつける。
空間に亀裂が入り、結界が消えていく。
霊夢は白玉楼に戻った。
◇◆◇◆◇
今まで感じたことのない主の肌の温もりが服を通して伝わる。
湯船に浸かる暖かさと似て心地良い。
「妖夢」
幽々子が呼ぶ。
本能的に何を求めているのかを悟り、妖夢は顔を上げ主の唇にキスをした。
触れる唇が温かい。
甘い香りとお酒の香りが混じり合い、妖夢の鼻腔をくすぐる。
その熱と香りが妖夢の頭を蕩けさせていく。
一度唇を離し、再び口づける。
幽々子の手が妖夢の手に重ね、幽々子の豊かな乳房に押し付けた。
衣服越しに、囲炉裏に手をかざしたときのように掌にじんわりと熱が伝わっていく。
次に感じるのは柔らかさ。日光干しした布団のように柔らかく指を沈める。
幽々子は自分の手を、妖夢の手越しに乳房に押し付けていく。
関節を曲げ、上下にあるいは左右に動かしながら、幽々子の胸が形を変える。
合計二十本の指に弄ばれ、幽々子は吐息を漏らす。
聞いたことのない主の艶声。
幽々子は妖夢の手を離した。
やり方は教えたという合図。
妖夢は主の嬌声を搾りだそうと二つの肉鞠を揉み込む。
強弱を付け、リズムを変え、その度に変わる主の表情を愉しんだ。
普段は見せたことのない表情が、声が妖夢の頭に心地よく染み込んでいく。
「妖夢、服を脱がせて」
言われるがまま妖夢は襟に付いている青いリボンを解いていく。
リボンを解き、襟を掴み、腰帯の所まで幽々子の着物を晒していく。
まほろ出た色白の乳房は大きく、瑞々しい。
豊乳の先端は妖夢の揉み込みで固く勃起し、舞い散る桜の花びらの色に似て美しい。
その桜色の宝石を周囲から隠すように、妖夢の手が被さった。
妖夢と手にはおさまりきれない柔肉は五指からはみ出る。
衣服越しとは違い、吸い付くような肌が、その熱が妖夢の手に伝わっていく。
主の甘い声を求めて、再びキスをした。
幽々子は半開きの口から舌を突きだし、従者の口腔を犯していく。
妖夢も主の舌を拒まず、それに習うように幽々子の口腔を貪る。
溢れる二人の唾液が唇の周りを湿らせる。
幽々子は妖夢の服にそっと手を掛けた。
ベストのボタンを、その先のブラウスのボタンを探りながら外していく。
はだけた従者の白い胸。
幽々子は、うっすらと膨らんだ妖夢の胸にある小さな頂を探るように指を這わせた。
◇◆◇◆◇
霊夢は周囲を見渡す。
変化は――
魔理沙と咲夜は囚われの身まま。
違うのは――
妖夢と幽々子はお互いの半裸になり、互いの体を貪っていた。
これも紫が仕掛けたことなのか――
耳に残るおぞましい粘着音と少女たちの嬌声。
空気が、淫蕩な空気が場を支配している。
ずるずると過去の陵辱の感覚が引きずり出されていく。
魔理沙を助けないと――
霊夢の後ろから風が吹いた。
振り向くがそこには何もない。
と、胸元を掴まれる。
白くしなやかな指。
紫は巫女を掴んだまま、空を蹴った。
背中から桜の大木に叩き付けられる。
衝撃で息が止まる。
眼前に紫の顔。
両手首を掴まれ、万歳の格好にされる。
「藍を退けたのは合格だけど。興が削げたわ」
目を細め、そしてこちらを面白がるような目で見る。
「貴女だけ蚊帳の外じゃあ、寂しいでしょう?」
スキマ妖怪は言うが早いか、服の上から霊夢の乳房をまさぐる。
「やめて」
抵抗の言葉を吐くが、なぜか力が入らない。
妖狐との戦いで火照った体が別の熱に置換されていく。
紫の手が下へと下がり、スカートの上から股間をまさぐる。
目的の場所を探り当て、紫はスカートを捲り、白いドロワーズの上から刺激する。
下着が湿り気を帯びたそれに密着し、恥ずかしいシミをつくった。
そのシミが紫の指を湿らせる。
「嫌がる割には、貴女のここ湿っているわよ?」
耳元で、囁く声。
紫の二本の指が下着越しにアソコに挿入し、中を掻き回す。
「やめて、痛いの」
弱々しい声で哀願する。
膝がかたかたと震えている。
「本当に? 貴女のここ、いやらしい蜜が溢れてくるわよ」
投げつけられる言葉とともに指の動きが激しくなった。
「本当は気持ちいいんでしょう? ただ気持ちよくなるのが怖いだけなんでしょう?」
スキマ妖怪は彼女を目的の思考に誘う。
「 」
耳元でそっと囁く。
それを聞き霊夢はびくりと体を震わせた。
それが合図。
八雲紫は短刀を巫女の体に突き立てた。