紅魔戦線(2)
翌朝、神社の境内を掃除していた彼女はそれを見つけた。
賽銭箱の格子部分に挟まれた、一つの投書。
掃除の手を止め、縁側に腰掛ける。
少女は投書の内容を読み上げる。
「魔法の森の泉にて魔法生物あり。退治されたし」
泉は森の中心から西の方に位置する。
投書の内容はそれだけで、差出人あるいは依頼人の名前はない。
とはいえ、無視する事も出来ない。
部屋の棚から数種類の護符を取り出し、袖口に入れる。
簡単に準備を整え、霊夢は目的の場所に向かった。
日が昇り始めたばかりで、涼しい。
森の上空を飛び、目的の泉へ向かう。霧の湖の方に目を向けると、昨日と変わらず白霧に覆われている。その白に微かに赤く染まった霧が覗く。
木々の隙間から、ちらりと目的の泉が少女の視界に入った。
鬱蒼と茂る森の中にある小さな泉。
霊夢は高度を下げ、湖の周囲を見渡す。湖の東側の一端に動くものが確認できた。
生物と言うより植物のような、無数の太い蔦がうぞうぞと蠢いている。微かに入る陽光に照らされ、透明な粘液を纏った赤黒い触手が照り光る。
その気味の悪さに霊夢は呻く。
嫌悪感に満ちた、その声に気づいたのか、巫女に向かって数本の触手が伸びる。霊夢は護符を投げ飛ばそうと構え――と、不意に後ろから髪を引っ張られた。
見ると、何もなく空間が裂け、そこから人の手が伸びていた。
ほっそりとしたしなやかな指。
意識がそれ、反応が遅れる。
手足が触手に絡め取られる。
「くっ」
呻く霊夢の前方の空間がまるで鋭利な刃物で切られた傷が開くかのように裂け、一人の少女が躍り出る。
霊夢と同じ十代前半の幼い顔立ち。紫色の瞳。紫色のワンピースドレス。腰まで届くブロンドヘアは幾房毎に赤いリボンで纏めている。赤いリボンの付いたふんわりとした帽子をかぶり、右手で白い日傘を差している。
「あんた、誰?」
少女は少し考え、口を開くと
「同業よ」
と、一言。
「同業?巫女は私一人の筈だけど」
「そういう意味で言ったじゃないわ」
触手が絡みつき、巫女の体を少しずつ下へ下へと引き寄せられる。
霊夢は手首を返し、護符を足に絡みつく触手に向かって飛ばす。
苦もなく触手が切断された。
「これはあんたの仕業なのね」
「ええ。今度の巫女はどれほどのものかを知るためにね。……それにしても貴女、隙だらけね。前の巫女に比べて酷い有様ね」
「前……お母さんのこと知っているの?」
「そんな事はどうでもいいわ。もはやこの地に存在しない女のことなんて。今や博麗の血筋は貴女一人。貴女が敗北すればこの幻想郷が崩壊する、それ位の気概がないと困るのよ。私には」
ドレスの少女は言いながら、傘を畳むかのように左手を傘の中へ入れる。
「そんな勝手な事っ」
言葉が続かない。
霊夢の首を少女の左手が掴んでいた。
またも空間の裂け目から手が伸びている。
さらに下から無数の触手が巫女の体に巻き付く。
睨む巫女の視線を意に介さず、ドレスの少女が呟く。
「勝手な事は知っているわ。でも貴女は、この幻想郷でそれだけ重要な役割を背負っているの。私はあの子の代役を執行してるだけ」
手が離れる。
それを合図に霊夢の体が下に引っ張られ、粘着質な音と共に叩き付けられる。
ぬるついた触手の絨毯の上に拘束され、服の隙間からそれらが次々に潜り込んでいく。
僅かに膨らんだ乳房を捏ね、桜色の小さな突起を刺激する。
スカートを捲られ、下着をはぎ取られた下半身を撫で回される。
「んんっ」
全身をまさぐられる嫌悪感にうめき声を上げる。
その小さな口に触手が侵入し、喉を塞ぐ。
それを合図に太腿を撫でていたそれらが、少女の股間に近づく。
うっすらと生えた陰毛。
その下の割れ目に、触手がゆっくりと押し開いて侵入する。
抗おうにも、拘束された体は動かない。
窄んだ排泄穴にも、無遠慮にそれが挿入される。
処女膜を突き破り子宮を小突く。
破瓜の激痛が霊夢の脳を焼く。
――助けて。魔理沙。
助けを求めても、塞がれた口はただただ呻き声を漏らすのみで。
激痛の外殻は触手の突き込みで次第に砕かれ、さらには媚薬効果のある触手粘液で内にある女としての快楽が顔を覗かせる。
全身を苛む感覚が脳を満たし、次第に思考する隙間潰されていった。
――↑↓――
喘ぎ乱れていく巫女の様子を冷ややかに見詰める少女の前に、一匹の妖狐が空間を裂いて現れた。
姿は十代後半の少女。金髪、同色の瞳。ゆったりとした白い道士服に青い前掛け。ふんわりとした黄色い狐の尻尾が九つ。頭の狐耳を隠すように白い帽子をかぶっている。妖狐は紫色の少女に声をかけた。
「紫様、おそらくこれが例のものかと」
そう言って一枚の護符を差し出す。
紫と呼ばれたドレスの少女はそれを受け取る。
紫眼の少女はゆっくりと降下し、巫女の前髪をかきあげ、おでこに護符を貼る。
すると、巫女が大きく目を見開き、体を弓なりに反らせ、塞がれた口で醜い嬌声を上げる。
それは、彼女自身の体の変化により与えられた快楽電流によるものだった。
霊夢の淫核がむくむくと肥大化し、そそりたつ男根と化す。
一際大きな触手が口を開け、その肉柱を丸呑みし愛撫する。
今迄感じた事のない快感が押し寄せ、次の瞬間には霊夢は体を痙攣させ絶頂した。
理性の堰は、大きな快楽の荒波でじわじわと崩されていく。
「へぇ……これで、女同士で……藍、あの子は?」
「こちらに。――メディスン」
藍と呼ばれた妖狐は四角い裂け目に手を入れ、一人の少女の手を引く。
黒のブラウスに赤のロングスカートを履いた少女。ウェーブのかかった金髪に赤いリボン。露出した肌は病的なほど青白い。十代にも満たない幼い顔立ち。冷たさを感じさせる青い瞳。
体を弄ばれる快楽に溺れる霊夢の瞳には、彼らの姿は写らない。
弄くられる肉体が奏でる淫らな粘着音で、彼らの言葉は届かない。
「この子にするの?」
舌っ足らずの金髪の幼子――メディスン・メランコリーは巫女を指さし、藍に質問する。
藍に代わり、紫が答える。
「ええ。そうよ。貴女の毒で以てして……てほしいの」
メディスンは指をくるくると回し、
「コンパロ、コンパロ、毒よ集まれぇ」
そう唱えると、指先からはらはらと粉末が雪のように巫女の体に舞い落ちる。
口を塞がれ、乳房を弄られ、子宮を突かれ、排泄穴を穿られる霊夢の体にじわじわと毒が浸透していく。
「んんー」
一際大きく体を仰け反らせ、絶頂する霊夢。
続けざまに極める絶頂に霊夢の意識はいつしか溶けていった。
◇◆◆◆◇
どれだけ時間がたったのか。
何度日が昇り、何度夜を迎えたのか。
今の霊夢には判らなかった。
「 」
声が聞こえた。
聞き覚えのない声。
風音が断続的に聞こえ、急に体が軽くなった。
じんわりと人肌のような暖かさが伝わる。
その心地よさに霊夢の意識は再び落ちた。
NEXT
嘔吐感が増し、口から粘液が水と共に吐き出される。