「全く、何処でこんな悪知恵覚えたのかしら…」
レミリアの身体が燃え尽きたと思った直後にはケロッと穿かれた身体は何とも無い状態で復活していた、そしてレミリアの額には分かりやすく青筋が浮き出ている。
神槍【スピア・ザ・グングニル】
「フラン、もうアレよ手加減とか何もしないわ。怖くなって泣いても知らないわよ?」
「お姉様が怖くて泣く?有り得ないなー!だってお姉様弱いし!!」
「フラアアアアアアン!!!」
笑いながらの一言が突き刺さったんだろうか、何かがブチっと切れる音がするとレミリアが鬼の形相でグングニルをぶん投げていた。
彼女はグングニルを避けるが二連続で投げられたグングニルに直撃し後方へ吹き飛ばされる。
「痛ったいなあ!!」
「まだまだぁ!!」
グングニル投擲が火種となったか彼女達が目にも止まらぬ速さで激しい攻防を繰り広げ始めた、紅魔館の安否など気にしないと言わんばかりに荒々しい弾幕と共に彼女達は飛び交っている。
獄符【千本の針の山】
スペルカードの発動と共に彼女の動きが鈍くなる、レミリアの弾幕が辺り一帯に展開され彼女の動きを抑制している。
運命【ミゼラブルフェイト】
4本の鎖が更に彼女の行動を抑制し既に身動きすれば弾に貫かれる状態にまでなっている。
紅符【スカーレットシュート】
紅い高速弾が止めどなく彼女に向かって放たれる、身動きする余裕が無い彼女は避けれずに直撃し紅い弾は激しい爆発を起こし彼女の姿を隠してゆく。
「同じスペカ3枚分ぶち込んだんだから流石に・・」
QED【495年の波紋】
青い衝撃波が幾つにも重なり波紋となって広がってゆく。波紋の広がりこそゆっくりでだが発生と同時に今までに無い衝撃が身体中に館中に響いてゆく。
「甘いな~お姉さま。」
彼女の目から光が消えている、言動自体はおかしくないが彼女は目に視える物全てを愉しく壊そうという狂気をその身に潜めている。
衝撃による眩みから立ち直りレミリアを見ると波紋の衝撃を真っ向から喰らったのか壁にめり込み気を失っていた。
「ほら、やっぱりお姉様は弱いよ。私には絶対勝てないんだから…」
戦いの上手さであればレミリアが上だ、しかし彼女は見る限り能力が破壊的過ぎてレミリアが上手く翻弄しようとも限界がある。
「壊れろ。」
レミリアに彼女の手が向けられる、半端な気絶では済まさず本気で殺そうとしている。
心の奥深くで何かが蠢めく、同時に身体が熱くなり先程まで皆無だった戦う気力が湧いてくる。
「ちょい待った、選手交代だ。」
意を決し彼女に戦う意志を放つ、彼女はレミリアへと向けていた手を降ろし俺を見て微笑う。
「ん?ヤル気ねお人形さん。いいの?抑えとかもう無いからね、本当に壊れちゃっても知らないよ?」
確かに今までの様子から見て抑える気も無いというのは分かる、戦えば死に物狂いで挑まなければならないのは明確だ。
それでも彼女に相対するには理由が3つもあれば覚悟も承知だった。
一つ、このままレミリアが彼女に殺られれば宿主が居なくなり館も破壊され、今後浮浪者となって森の中を歩き回らなければならない。
二つ、さっき死んだというのに何故か蘇っているから何とかなるだろうという変な自信
三つ、何より女の子を見殺しというのは男としてよろしくない、そも自分が名前以外の記憶を失っていて行き先も無いという見るからに不審者であろう男を条件一つで住まわせてくれた恩もある。そして、この子なんとかしないと館ごと土葬か火葬にでもされてしまう!
「抑えの一つ無くても充分だ、来い。全部受け切ってやるさお嬢さん?」
「あはは、さっきは怯えてたのに今度は強気ね?じゃあ遠慮なくコロシテアゲル!!もうコンティニューさせないから!!」
ーーーーーーーーーーーー
「まんまと遣わされたな…奴め【ほら、丁度良いだろう?聖杯戦争で暴れつつ余の不名誉にならぬ様異変を解決したくれても、貴様は敗者な訳だし】などと言い残しおって!腸が煮えくり返る所だったぞ!!」
ワラキアでヴラドという吸血鬼に成行きで命令され、今は徘徊している奴等に気付かれ無い様に神将に付いて移動している。
「はあ、あんたねえ負けた身で言いたい放題ねえ…」
「お?あの傲慢野郎に文句無しか?」
「そりゃ、文句しか無いけどね、アレ怒らしたら相当不味いでしょ?普通に話してるだけであの威圧感よ?ビビって足が竦んだわ。」
「流石にミラも恐れたか、奴はそれが本業だと言っていたが趣味が悪いものだ。」
「それはそうとさ、どうやって幻想なんたらに行くつもりなの?」
「飛んでも良いがバレやすいからな、航空機を利用した方が良い。」
「飛べるの!?ああ…想像出来ない、こんなむさいおっさんが飛んでる所とか…」
「頭を抱えて唸るな、さらっと他者を傷付けるのに才があるな。」
「スラッとしたイケメンとかなら簡単に想像できるけどさ、こんな【漢】とか書いてあるTシャツ来たおっさんが飛んでる姿とか、くくっ!」
「おい、想像してるよな?笑ってるよな?主に侮辱され気が済まないのは初めてだぞ。」
「ああ!ストップ!こっちに武器向けないでよ!この話は終了、無かった事にしましょう!」
「調子の良い奴め、さて空港に着くぞ」
「最初から空港目的で歩いてたのね…乗客がいない事祈りましょ。もうアレは勘弁よ…まだネトっとした感触が忘れられない…」
「最悪そんな事があれば航空機ごと爆破して飛ぶしかなかろうな。」
「落とすなよ?」
「暴れさえしなければ、大人しくしているなら何も心配することは無い。」
閑散とした居住地が終わり空港へと辿り着いた、居住地では人の姿をして練り歩いて他人と会話している化物感を全く感じない日常的な光景だったが、
「平然と滑走路を闊歩しているな…ありゃゾンビと同じだな。」
「あれ全部中身化物か〜、嫌だなー…」
そこには日常を感じさせない程に滑走路に大量の人の姿が蔓延っている。
「どうするの?飛行機の中とか絶対あいつらで埋まってるわよ?」
「仕方無し、か。」
神将が矛を構え、目前の飛行機を目を細め睨んだ、神将からは鳥肌を立たせてくる程の殺気が放たれている。
「神将、一応聞くけど何するつもり?」
「決まっている。奴等を一掃し鉄の鳥を貸し切らせて貰う、貴様等の首全て獲らせて頂こう。」
お読み頂き有難う御座います~。
次回は6月18日に投稿します。