夏の終わり&東風谷十軍
「飲みすぎたな…うおお…」
俺は木に手を付き、迫り来る吐き気に耐えている。
酒は飲めるのだが1〜2合程度が境目でそれ以上飲むと今みたいに危ない事になる。
霊夢やレミリアは何故にあんなに飲めるのかと疑問に思いつつ、彼女達の飲みっぷりを見ている。
「フランの奴酔っ払ってはしゃいでるな、連れてきて正解だったか。」
騒動の後、居眠り美鈴の相手をしていた咲夜を主に全員で紅魔館の修復を行った時にレミリアが霊夢に宴会に誘われていた事を思い出し今に至る。
大方の修復作業を終え、手土産を持ち博麗神社へと向かおうとした時に遠くから見つめている影があった。
フランドール・スカーレット。
レミリアの5歳下の妹で、破壊的過ぎる能力と幼さによる暴発から地下室に閉じ込められ外に出る事を一切禁じられていたという。
癇癪質な所もあり、感情が昂ぶれば家族どころか関係ない他人さえ破壊してしまう危険性をフラン自身分かっていながらも、外に出て遊びたいという事を反省&自己紹介の時に聞かされていた。
「フランも行くか?」
「煉、フラン連れてったら宴会が燃えるわよ?」
「まあ、フランが暴走したら俺が止めればいいさね。ほら、レーヴァテインにぶった斬られても生きてるし。」
「ここを管理してる奴と必要に暴れないと約束したんだけどねぇ…ま、いいか。だけど暴走してたら身を呈してでも止めなさいよ?」
「ってな訳で行くか?」
フランの傍に近寄り手を差し伸べる、彼女はおどおどと困惑している。
「良いの?私また暴れるかもしれないのに。」
「大丈夫だ、そん時は俺が前みたいに止めるよ。」
「ほんと!?ありがとう!お兄様!!」
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「しかしお兄様か…ふ、ふふ。」
連れてくる際フランにお兄様と呼ばれる事に悶える、しかも抱きつかれもしたので、こう…柔らかい感触がだね?全身に広がって少女特有の甘く清らかでありながら印象深いクリーム的な匂いが
「えと…何をやっているんでしょうか?」
「ハッ!?」
しまった!?嬉しさに浸って木をバンバン叩いていたら誰か来てしまったのか!?
「あー、いやな。ほら、酔いを覚ますには衝撃を体に与えろと言うだろ?」
「何ですかその原始的な荒療治。それで酔いが覚めたことは?」
「多分無いと思う。」
「でしょうね、それはそうと記憶喪失の外来人と聞きましたが少し取材させてもらっても?」
「取材?いやまあ記憶喪失ではあるがそれ以外は…あー自分でも分からん事ならあるが。」
「それですよ!悪魔の妹に打ち勝った記憶喪失の外来人!ネタになりますねえ」
「悪魔の妹ってフランの事か、ってか良く知ってたな。」
「ネタは鮮度が命ですから、あっ申し遅れましたね。私は文々。新聞で名有りの清く正しい射命丸文と申します。」
射命丸と名乗って彼女は名刺を差し出し「今後ともご贔屓に」とサービススマイルをぶつけられた。
「ああ、こりゃご丁寧にどうも。」
「話を戻しまして煉さん、悪魔の妹との熱戦はいかがでしたかね?」
「俺の名前も抑えられてるのか…まあ、熱戦って言っても全然戦えて無かったよ、手握ったら腕壊されるとか勘弁してくれと思ったね。」
「へ?腕ちゃんとありますよね?」
「それがな、ニョキニョキ生えてきたのですよ〜。」
「に、ニョキニョキ…ですか?それ実践してもらっても?」
「却下だ!自ら腕切り落とせとか拷問かよ!?」
「いいじゃないですかー生えてくるなら無問題、異端の人間として有名になれますよ?」
「腕の生えてくる人間ってレッテル貼られるのは誇らしくも嬉しくも無いんだが…」
【おーい天狗ぅーー!!】
「げっ!?萃香さん!?」
宴会の中心から角の生えた幼女が酒で顔を赤くしながら文に近づき首根っこを掴んでいった。
「何こんなとこで休んでんだい?ほらぁー!もっと呑むぞーー!!」
「ちょっと待っ!?ネタ!せめてネタを最後までーーー!!」
「上司に付き合わされて泣く泣くって感じか、ご愁傷様。」
空では弾幕ごっこが始まっていた、弾幕からしてレミリアと魔理沙が暴れているご様子。
「夏の風物詩として良いねえ、あr【どっせーーい!】ごはぁ!!?」
人がしみじみと弾幕花火を見てれば横から弾丸の如く少女が突っ込んできた、俺はぶつけられたままに木に顔面衝突した。
「あはは、おにいさまったらへんにゃかおしてる~~!!」
「酔いが回ったかフラン、人が夏を感じてる所に突撃とは・・」
暴走してないだけマシなのだろうが、酒癖は悪く酔いフランも危険である事が分かった。
「そら、向こうに戻るぞ。食うのはいいけど飲みはするなよ?悪化するから。」
「ふぇ?」
分かってないご様子だ、放置しておくと別の意味で危ない事をしでかしそうなので宴会会場で見守る事にしよう。
俺はフランを抱え、飲んだくれの会場へと戻っていった。
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寂れた建物の中に入ると、外より一層静まり厳かな雰囲気が漂い始める。
木造の椅子やテーブル、草で編んだのか緑色のカーペットが敷いてあり私の住んでいる国とは全く異なる構造だ。
「神将、なんか嫌な感じしない?」
「外からは分からんかったが中に入った途端に、だな。」
霊感が強いなら此処を間違いなく黒だと言うだろう、家の中に入った途端に強烈な寒気と風が吹いていないのに強く軋む音などの異常が出始めていた。
「こりゃ人の皮被った化物とは違ったホラーだな、うむ楽しいぞこれは。」
「何嬉しがってんのよ…幻想郷に行く為の手掛かりありそうだけど無いわね。」
怪しげな雰囲気しかしてないが怪しいだけで何も無い。
誰も住んでいないというよりは、住んでいたというのが正しいか、生活感こそあるものの棚や椅子にホコリが積もって掃除されていない。
ホコリが積もって長く放置されているだろうに物自体は新品にほど近い美しさを保っていた、しかしその中で唯一
「東風谷十軍か。」
「なになに知り合い?」
神将が飾り付けられていた刀を取る、柄の部分や刀身が所々錆びてしまっているが、辛うじて東風谷十軍という名前が読める。
如何にも使い古された強く、高値の物というより大切な物として飾り付けてあるのだろう。
「おうよ、私を殺した張本人だとも。いやぁー思い出すものだ、彼奴の剣戟は嵐そのものだったな…」
「ヴラドにも負けてソイツにも負けたってもしかして神将…」
「ミラ見損なって項垂れるでない、病に掛かったと思えば十軍に毒を盛られていただけであって戦での敗北など断じて」
「はいはーい昔話は終わりにして、何か見つけないと徒労に終わるわよ?」
「ぐっ…!いつか見返してやろうぞ…」
続けて幻想郷に行く手掛かりを探す、幻想郷に行かなければ聖杯戦争に参加出来ない。
当てが無いから不思議な場所を片っ端からというのは理に適っていると思ってはいるのだが…
「この場所、時間軸がズレているな。本来の家主が別の場所に移転し残された神社が移転の際に放出された力の影響によって老化が進みにくい状態となっているのか。」
「だから物が綺麗なままなのね~、バリッ此処の人達は幻想郷にでも行ったのかしらねボリッ」
「ミラ?何を食ってる?」
「そこに置いてあったお菓子だけど?日本のお菓子を良いものね〜香ばしくて硬いのが癖になるわ。」
「言っておくがミラよ、ここの物は残された力によって形が整っているだけであってな?」
「?」
「見た目は腐っておらずともその煎餅、力の働かぬ場所に入れてしまえば効果が切れ時間が戻るやもしれん。つまりは・・腹の中に腐った煎餅があるという事だ。」
「え……」
お読み頂きありがとう御座います~。
次回は7月30日に投稿します。