「そういや何で俺こんな所居るんだっけ?」
大音量の演奏と弾幕に炙られながら、ここまで来た理由を思い返す。
「暖房係だったか、なんとも単純な理由で冬空まで連れて来られたもんだ。」
さっきから弾幕がガスガス当たって痛い、高熱の缶コーヒーを触った時に感じる様な熱さも加わっているから尚の事。
「そろそろ降参でもする?弾幕だけなら止めてあげるよ?」
「降参でもしたらそこの巫女に弾幕以上の事されるから嫌だね。」
少し前に霊夢をキレさせて積もりに積もった雪掻きや人里への買い出し、お茶出しやら風呂沸かしなど日常生活の諸々を代行させられたのだ、そんな雑用係は暫くご遠慮願うね。
「だがしかしな…こうも弾幕の雨あられとなると抜け出せないぞ。」
三人の弾が四方八方所狭しと避けようがない、もう一度霊夢にヘルプサインを送ると、今度はそっぽを向かれた。
「もう一枚スペカぶっ込むか。」
スペルカード展開
集熱【炎陽玉―壁破】
自分を覆うように炎を展開し、来る弾幕を全て焼き落とす。
「炎の玉になった?」
「でもあれじゃ攻め手の強い私達の方が有利よ!」
「そうはいかないってねぇ!」
「炎が広がってきた!?」
自分を覆っていた炎の守りを徐々に拡大させ俺を囲っていた彼女達と数多の弾幕を一気に遠ざける。
「まったく乱暴な事、を?」
「姉さん!あいつがいないよ!?」
「獲った!!」
炎の拡大に乗じて彼女達の背後へ回り込み、一人の背中に小弾を当てる。
せっかく綺麗に一人落とせたのだから、もう少しセリフをカッコつければ良かったかと悔やましく思う。
小弾が当たった彼女、メルランは当たり所が悪かったのか苦悶の表情を浮かべつつ後退していく、もう少し違う場所に当ててあげればよかったか・・
「霊夢、役目は果たしたぞ。それバトンタッチだ。」
「まだ二人残ってるけど?」
「残りのスペカが少ない上に燃料切れも近いんだ。ヒーター止めても良いなら続行するが?」
「それは却下ね、次からもっと枚数用意しときなさいよ。」
被弾したメルランを気遣う二人が弾幕を止めている内にと霊夢と交代する。
しかしその手にスペカや大幣は握られておらず、大事そうに迷い家から引ったくった急須を抱えている。
「なあ、急須持ったまま戦うのか?」
「そうねえ…じゃあ煉持っといて。割ったら迷い家から取ってきてもらうから。」
「盗品にどんだけ執念注いでるんだよ…」
「さ、まとめてかかってきなさい、すぐに片付けてあげるから。」
「そう簡単に行くと思わない事ね、リリカ巫女の後ろを取って。」
「博麗の巫女に二言無しよ、ワンスペカあれば事足りる!」
スペルカード展開
宝具【陰陽鬼神玉】
霊夢が両手を上げると青い霊力が集まり、そこには数十メートルはあるだろう巨大な青白い陰陽玉が形成されていた。
「ちょっとこれデカすぎない!?」
「うん、これは対抗手段が無いね。」
「ルナ姉諦めるの早すぎない!?」
青白い陰陽玉が彼女達を飲み込んでゆく、やがて陰陽玉が消え彼女達は行方をくらましていた。
「さてさて、お花見お花見〜!」
「霊夢、目的変わってる。」
結界が解かれ巨大な門がゆっくりと開いていく、中は不気味なくらい薄暗く、白い何かがゆらゆら蠢いている。
「如何にもな空間だな。お花見できると思うか?」
「うーん、無理ね。」
門の中に入ると果てが見えない程の長い階段が上に続いていた、周りは桜がゆったりと舞っており灯篭が誘うように階段を彩っている。
「何処かと思えば死人の世界ね、雑多な幽霊しかいないじゃない。」
「死人の世界って、俺達死んでないよな?」
「門に入った瞬間に殺されてたりしてね。」
「怖い事を平然と言うなって!」
「馬鹿ね、あれ見なさいよ。あんなのが敵意剥き出しで仁王立ちしてるんだから生きてるわよ。」
階段に人影を見る、白いふわふわしたものを浮かせており両手には白銀にギラついている刀を持った銀髪の小柄な少女。
俺達は動きを止め、彼女を見据える、そして彼女の目もまた俺達を狙っている。
「さて、あんたは黒幕?」
「そうだとしたら?」
「らしくないな、外れだろ?」
「結界を破ってまで入ってくる人間には即刻お帰り願いたいわね。」
「嫌だと言ったら?」
「あんたらが持ってるなけなしの春だけでも奪い去る!!」
お読み頂きありがとうございます~。
次話は28日に投稿出来るといいなぁ・・