コンコン、軽やかなノック音で目が覚めた。
レミリア「入るわよ。」
少し眠たげに吸血鬼が入って来た。
煉「おはよう、吸血鬼は朝は寝るんじゃないのか」
中々の爆睡だったのか良い目覚めだな。
レミリア「いや、もう夜だけど。」
煉「は?」
レミリア「吸血鬼が朝に起きてるとでも?にしても見事な爆睡ね寝癖が凄いわよ?」
俺を見て笑いながら「ほら、行くわよ」と部屋を出て行くレミリアに寝癖が酷いままついていく。
レミリア「直さないの?それ、目立つわよ?」
そうも寝癖が気になるか・・というか
煉「レミリアがついてこい言うからこのままで来てるんだが…」
レミリア「あら、行くわよと言っただけでついてこいとは言ってないわよ?」
ぐぐ・・確かに行くわよってだけ言ってたけども同じ様な意味じゃと思ったが反論しないでおこう面倒だし。
階段を降り下へ向かう、意外と階数多いんだな、外から見た時は精々3階くらいだったが。
レミリア「そろそろ図書館ね。」
先に進むレミリアをよそに違和感を感じていた。下に恐らく1階だから地下に行くであろう通路の先に恐ろしいまでの気配を感じる、ビリビリと肌に電気が流れる様に痺れて自然と汗が流れてくる。ここまで感じるこの気配は流石に気にな…
レミリア「そこは駄目。」
煉「え?」
レミリア「行かない方が良いわ、立ち入り禁止よ。」
行くなと言われると行きたくもなるんだがレミリアの目つきが鋭くなり威圧されてしまった。気になりはするがやめとくのが無難か。
レミリア「着いたわよ図書館。パチェ〜入るわよ〜例のブツは用意出来てる〜?」
レミリアと共に図書館内へ入ると薄暗く奥が見渡せない程の広さがあり、想像以上の本棚がズラリと並んでいて何千冊とか数えれそうには無いくらいの本が奇麗に収まっている。進み行くとテーブルに本を山積みにして椅子にポツンと座っている魔女の姿が在った。
パチュリー「意外に遅かったわね。もっと早くに来るかと思ってたけど。」
レミリア「コイツが起きないもんでさ。朝昼起きずに夜に起きるとか吸血鬼かっての…」
パチュリー「そう、例の物はそこにあるわよ。」
と、机の上に剣が置いてあった。
レミリア「中々に渋いチョイスするわよねパチェ。もう少し見た目良いの無かったかしら?」
剣は長い時間しまわれていたのか、全体的に錆びており風化している。柄の部分に宝石の様な物が埋め込まれているが埃を被り過ぎて輝きを失っている。
パチュリー「倉庫にはそれくらいしか無かったわよ。レミィがグングニル以外の武器を使うなんてのは殆ど無いし誰も武器を使わないから古びて錆びるのは当然ね。でも魔力を通しての弾幕を撃つくらいなら可能よ。剣を振るだけで魔力と剣が同調してそのまま貴方の魔力が放出されるから。斬るのは多分無理。」
煉「振るだけでいいのか?」
煉「うわ!?はは…お手軽だなこりゃ…」
剣を振ると急に炎が出た。驚いて尻もちを付く。
パチュリー「あまり強めに出さないで、焼却防御の魔法を貼っているとはいえ絶対な物では無いから。もし焼いたら責任は取ってもらうわよ」
煉「善処する…」
そんなに睨まれながら言われたら怖いじゃないか…
レミリア「まあ、これで盾くらいにはなるでしょ。もちろん私の弾除け兼支援役として。」
煉「弾除け係りかよ!剣持たされて弾除けとは…それならせめて盾にしてくれ…」
パチュリー「盾は無かったわね、こっちに移住してくる時に大体捨ててあって残ってたのその剣くらいよ。」
煉「これはえらく悲惨な事になる予感しかしなくなってきたな……なあ?今更だがこれを博麗の巫女とやらに当てても大丈夫なのか?」
見た目からして当たれば火傷とかじゃ済まされなさそうだ、見た目だけでハッタリ程度ならいいんだが。女の人相手にはあまりやりたくないものだが…
パチュリー「大丈夫よ、殺さない程度にしか出せない様にしてるから まあ、軽い火傷くらいで済むわ。それに向こうもそれなりの事は覚悟の上だろうから気にしなくて良いと思うけど。」
煉「巫女だから女性だろ?気が引けるなぁ…」
レミリア「加減は許さないわよ?私との条件を呑んだ以上はそれなりに働いてもらわないとねぇ。じゃ、明日は精々頑張りなさい新入りさん。」
???「あー…この生活だっるい……」
豪奢な椅子にもたれかかり気怠そうに項垂れている少女は周りの雰囲気に似合わない様な態度で文句垂れていた。
此処は食物や石油等の資源物が豊かな国「アーラ王国」。
この国に存在する神様「豊福神アヒトマ」が信仰を捧げ続ける代わりとして多量の資源や食物を人々に与える事を契りとし、アーラ王国は非常に豊かな国となった。
そして豊かな国の次期王女となる…いや、される彼女。ミラ・アトールは不服しか無かった。
ミラ「なーんで偉いだけの奴等に良い顔して心にも無い事言わないといけないのよ…はぁ…」
周りを見ればダイヤモンドが彩られた大きなシャンデリアやら純金で出来たテーブル。そして私を王女として成長させていかせる為の英才教育本がズラリと本棚にビッチリ収まっている。
ミラ「抜け出したいなぁ…此処から…」
別に嫌な訳では無い、裕福な暮らしを嫌と思った事も無ければ英才教育も苦では無かった。
つまらない。
何も面白い事が無い。
友達は居ないし、偉い連中とは上辺だけの付き合いで作り笑いしながら話したりと本心から笑う事すら無い。
更には政略結婚なるものをさせられる可能性すらある。
ミラ「どう考えても難しいな…どうせ捕まるし…」
この家にはほぼ全ての場所に監視カメラが設置されており逃げ出そうとすると守衛が飛んできて直ぐに引き返される。
私の部屋も今もずっと見られているのだ、何か変な行動をすれば守衛が様子を見に来る。
こんな事されると親は私を監禁したいのかと思う。
ふと、本棚へ向かい眺めるように見ていく。
学語、文化、数学、地理、歴史…読みたくても漫画等は一切ない。
歴史本が詰め込まれてる部分を見ると気になる本があった。
これまでの歴史が書かれた本である。
タイトルは英雄聖典。この前に父が珍しい物だと持ってきた本。曰くこの本は各地で起きた事象が記録され続けるらしく特に英雄が成した偉業や大災害等が自動で書かれていく様だ。
何気なくページを捲っていくと途中で気になる物があった。
「聖杯戦争」
読むとどうやら聖杯戦争はマスターなる者が英霊を喚び出し、他のマスターと英霊を殺して最後に残れば願いが叶うみたいだ。
他の世界における聖杯戦争の参加者は7人7騎7クラスが基本らしいが、此処では仕様が違うらしく15人15騎15クラスのマスターと英霊で戦い合うとある。
剣士「セイバー」
槍兵「ランサー」
弓兵「アーチャー」
狂戦士「バーサーカー」
騎兵「ライダー」
魔術師「キャスター」
暗殺者「アサシン」
守護者「ガーディアン」
追跡者「チェイサー」
格闘士「ファイター」
銃士「ガンナー」
兵士「ソルジャー」
復讐者「アヴェンジャー」
裁定者「ルーラー」
不明「不明」
ミラ「へぇ、…………面白そうね聖杯戦争。」
殺し合うというのは恐ろしさを感じる。でも興味を惹かれた。
このまま決められた人生を望まないままに過ごし行くよりもきっと死ぬ可能性があれど
願いを叶えられるという事と退屈な日々から抜け出し非日常、知らぬ世界へと入る事に心を囚われ憧れてしまった。
ミラ「うん、出よう。聖杯戦争、この私が勝ってやろうじゃない!」
お読み頂き有難うございます。
聖杯戦争のルール等が本来とはかなり違う物になってますがご容赦を・・
人物紹介や聖杯戦争の設定は木曜辺りにでも投稿します。
次話は来週の日曜日にでも。