※この作品はR-18です。

ドラゴンボールC【本編完結】   作:SHV(元MHV)

17 / 39
お待たせしました。

長くなってしまったので二つに分けます。今回はエロ要素皆無のバトル回です。次回は弟子になった三人の戦いとスラッグ対悟空の決着です。

ではでは(´・ω・`)


蠢く邪神 スラッグの驚異 前編 ★

分娩室に入っていったブルマを見送り、俺はみんなへ振り返る。

 

宇宙を監視していたピッコロ神から報せがあった。スラッグは小惑星を改造した宇宙船で地球へ真っ直ぐ向かってきているらしい。

 

「みんな、聞いてくれ。以前から言っていたスラッグが接近している。西の都一帯は俺がバリアで隔離するから、家族がいるなら急いで避難させるんだ」

 

俺はこの場にいる全員に向かってそう告げる。

 

スラッグの強さの想定が最後までできなかったが、事前に様々な仕込みを地球に残したことから考えて、それなり以上の組織を率いてやってくるだろう。

 

あまり万が一というのは考えたくないが、後手に回る可能性もある。

 

「…師匠!俺も戦います!!」

 

真っ先にそう言ってきたのはナムだった。

彼の身長は今では190センチを越え、細く頼りなさげだった体格はぎっしりと筋肉が詰まったものに生まれ変わり、今では体重も100キロを越える。やはり内臓を鍛え直した影響は大きかったのか、元々が貧しく少食だったのが今ではサイヤ人に準じる量を平らげるほどの大食漢だ。

 

そして、背中には俺が託した如意棒を背負っている。

 

何度か修行を重ねるうちにナムが拳足を扱うよりも武器を扱うことに才能があることを見いだした俺は、試しにナムに如意棒を渡して基本動作の“突き”“払い”“巻き込む”動きを仕込んだ。

 

それからたった一ヶ月。一ヶ月で、ナムは棒術において俺を越えた。

 

もちろん戦えば勝つのは俺だが、驚異的な才能と言える。すでにいくつかオリジナルの技も開発しており、まだまだ強くなるだろう。今後に非常に期待が持てる、予想外の逸材だ。

 

「けっ、俺は勝手にやらせてもらうぜ」

 

窓の外からそう言い放ったのはギラン。以前までのでっぷりした体型は驚くほど引き締まり、見た目は巨大な人の形をしたドラゴンである。さらに2メートル近くあった身長は3メートルを越えた。そのせいで待合室には入れなかったが、なんだかんだと近くで待機してくれている辺りツンデレである。

ついでに散々超神水を飲ませまくったのが影響したのか、毒が効かない体質になった。なんで知ってるかって?試したからだよ色々と。

 

ちなみに、単純なパワーならば三人のなかでもっとも強い。

 

「師匠、わたしの故郷は遠い。申し訳ないが、妻と子らのところへ向かわせていただきたい」

 

遠慮するように言ってきたのはチャパ王だ。身長体重の変化こそ少なかったものの、元々武術の腕前は三人のなかでも頭一つ抜けていた為か、最も早く気の扱いに目覚めることができた。

今ではかめはめ波をはじめとした気功波を自在に扱い、俺が開発した特殊な気の運用を身に付けている。

 

さらに、今の段階で気の物質化をも達成して見せた。これによって元よりの必殺技であった八手拳は驚異的な進化を遂げている。経験からも、実戦ではもっとも応用力が効くだろう。

 

「チャパ王!俺とて故郷の家族を守りたいっ!だが、やつらを倒さねば世界が危ないんだぞ!」

 

「だからどうした、そのために師匠が迎え撃ちに行くんだろうが。俺たちが百人集まったところでクソの役にも立たねえよ」

 

「なんだとぉ!ギランッ、貴様ぁ!」

 

「落ち着け、ナム。私とて師匠を助けたい気持ちはある。だが相手は魔族だ。師匠が遅れを取るとは思わないが、数で攻めてこられれば綻びとて生まれる。私が故郷に戻るのも、万が一の可能性を考慮してだ」

 

三人が喧々諤々としているのを見て、俺は思わず笑いを漏らす。たった三ヶ月でずいぶんと成長したものだ。

ナムは自信がついたし、ギランは身勝手なことを言っているように見えるが、あれで俺の手が回らない場所を守るつもりだろう。チャパ王の言うことに関しては以前から相談を受けていたので、反対するつもりもない。

 

「まあ二人とも落ち着け、分娩室の前であんまり騒ぐと超神水飲ませるぞ」

 

そう言うと今にも戦いがはじまりそうだったギランとナムがびたっと止まる。チャパ王は苦笑しているが。

 

「ギランの言うとおり、俺はスラッグを迎え撃つつもりだ。具体的には地球に被害が出にくい、月の公転軌道上だな。撃ち漏らしをするつもりはないが、地球上に休眠状態の魔族がいる可能性がある。これまでもピッコロ神と共同でそれらを討伐してきたが、正直孵化していない魔族を完全に見つけるのは至難の技でな。ドラゴンボールに頼もうにも、諸事情でそうそう使えないと来ている。だから万が一地球で魔族が出た場合には、お前たちを頼ることになるだろう。すまないが、地球を頼む」

 

俺はそう言って頭を下げる。

 

他にもいくつも保険は打ってあるが、絶対などない。

 

ならば、例え命がかかっていても頼れるものには頼らせてもらう。

 

「…言っただろう、俺は勝手にさせてもらうぜ。まあ、なんとなく村の方に行ってみたい気分だったからな。雑魚魔族が出てきたら、ナムの村もついでに守ってやるよ」

 

「ギランっ!?くっ、俺というやつは、すまない…!ならばせめて、奥方様達は俺が必ず守り抜いて見せます…!!」

 

「ギラン、無理はするなよ。倒せなくてもお前なら足止めくらいはできるはずだ。ナム、お前がそう言うのであれば、ここの守りはお前に任せる」

 

「へっ、誰に言ってんですか。師匠こそ、こんなモヤシ野郎に大事な嫁さん達を任せていいんですかい?」

 

「ああ、それに関しては心配していない。ナム、チャパ王、お前たちも無理をするなよ」

 

「はいっ!毛ほどの傷さえ付けさせませぬっ!」

 

「師匠、御武運を」

 

さて、こっちはこれでいいだろう。チャパ王は俺の宇宙船で送っていく。ギランは自力で故郷まで向かうつもりのようだ。

 

ナムには病院前で警護してもらうことにした。万が一病院前に現れたら洒落にならないからな。

 

俺もスラッグを迎え撃つ準備をせねば。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side スラッグ***

 

「くくく、ようやく地球へ戻ってきたぞ…!」

 

暗い室内で大柄な男ーーーかつてナメック星から神の候補として惑星スラッグに送られながら、破壊と殺戮をもたらす邪神と化した男ーーースラッグが含み笑いを漏らす。

 

スラッグにとって、地球は重要な場所だった。

 

ドラゴンボール。かつて見失ったナメックの秘宝。

 

これの存在があることを知ったときは狂喜した。今再び、フリーザ一族とも渡り合った最強の力を取り戻せるのだと。

 

ドラゴンボールを用いることで若返り、全盛期の力を得ること。それが地球の存在を知ってからのスラッグの目的だった。

 

だがしかし、それに思わぬ邪魔が入る。

 

魔獣と化した、フリーザの存在。

 

全力のコルド大王すら己の糧とした魔獣は、時折理性を取り戻しては半壊した自らの軍に気まぐれな指示を出すのだ。

 

それのせいでスラッグが配下に下賜した魔族の気配を消す腕輪を、いくつも奪われてしまった。おまけに彼の生み出した“部下の味”をいたく気に入ったらしく、あちこちに派遣した部下の大半が食われてしまった。

 

スラッグは思う。

あの腕輪は素晴らしいものだ。

 

星を正面から破壊するのではなく、その社会に潜入し侵食し汚染する。あの腕輪があればこその楽しみかただろう。

 

とはいえこれまでのように眷属へばらまくのも制限しなくてはならないだろう。なぜならばこれを開発させた者、カクージャとギョーシュの限界が近いようだからだ。

 

あれはほんの思い付きだった。以前から中途半端に有能だったふたりのうち、カクージャが些細なことから手を抜こうとした。そのまま殺そうかと思ったが、こう考えたのだ。“二人を一つにしてしまえば、下らないことなど考えないのではないか”と。

 

すぐに部下に命じて二人の脳を直結させた。副作用なのか言語能力が無茶苦茶になってはいたが、それでも悪魔的に優秀さを増した二人の手であの腕輪は作り出された。それからは万を越える眷属のため、日夜量産に励ませている。

 

ここのところは生産速度が落ちているので、この間軽く威圧したのがいけなかったか。スラッグは優秀とはいえ脆すぎる部下にため息をつくが、すぐにそれも仕方がないかと思い直す。

 

なぜならば、今の自分はかつての、全盛時の自分を遥かに上回っているからだ。

 

スラッグの哄笑が気と混じって溢れる。昂りに応じて解放された気は、暴風のように玉座の周囲を荒れ狂う。

 

神聖樹の実。それを見つけられたのは偶然だった。

 

神にのみ許された禁断の果実である神聖樹の実は、種を播くことで星一つのエネルギーを吸い上げ樹木を形成し、やがて吸い上げたエネルギーを凝縮して神聖樹の実に宿らせる。

 

その効能は、スラッグをして驚くほどのものだった。

 

幾つかの星を神聖樹の実の苗床としたスラッグは、神聖樹の実を貪り食らった。

 

気づけば、老いさらばえた肉体は瑞々しい若かりし頃の肉体へと蘇り、搾り滓と化していたエネルギーは全盛期に匹敵する量と質を取り戻していた。

 

常ならば、そこでスラッグは満足していただろう。ともすれば、もう数個の星は餌食にしていたかもしれない。

 

だが、スラッグは警戒していた。魔獣と化したフリーザを、そして、地球にいたあのサイヤ人を。

 

自分には遠く及ばないとはいえ、魔族としては限りなく強い存在であるガーリックJr.をものともせずに仕留めたサイヤ人。

 

自らの全盛期に匹敵するであろう実力。戦えば勝てたかもしれない。だが、負けたかもしれない。

 

スラッグは慎重だった。老獪とさえいえよう。

 

サイヤ人には大猿になる能力があり、そのときの強さは通常時の十倍であるとも聞く。仮に先制して月を破壊しておいても、能力そのものが消えたわけではない。

 

ならば、はじめからこちらが百倍強くなればいいだけのこと。

 

確実に勝利するために。そしていずれは魔獣と化したフリーザをも打倒するために。

 

数多の星々を食らいながら、スラッグはひたすらに己の力が充足するのを待ち続けた。

 

そして…

 

スラッグの見た目はその姿を知るものならば、変容したその姿に唖然としただろう。

 

身長は4メートルを越え、身体中のあちこちに金色の血管が浮き出ている。まるで葉脈のようなそれは、スラッグの眷属や配下も同じである。

 

もはやスラッグにとって、ドラゴンボールは邪魔でしかない。むしろ、“どんな願いも叶える”という性質上、確実に自分にとって邪魔となるだろう。

 

ならば地球に向かう理由は、ドラゴンボールの破壊であり、地球に住む者達を蹂躙することであり、そして自らの障害になりうる者の排除である。

 

「フックク…!この邪神スラッグによる大侵略をとっくりと堪能してもらおうではないか…!!」

 

スラッグは控える眷属と配下を見回し満足そうに微笑む。

 

準幹部級魔族24体、幹部級魔族3人、猟犬がわりの魔獣数百匹、巨人もかくやというサイズのスラッグの血肉と気を混合して作り出した樹木兵数千体、万を越える魔族の軍勢、さらに小惑星を改造したこの船の一部は魔族に最適な異界化を施している場所もある。

 

「ふはははは、お互い存分に力を尽くした勝負ができるというものだ!これだけの軍勢を、倒せるものなら倒してみるがいい!!」

 

『じゃあさっさと死にな…!ビッグバン・アタック!!』

 

瞬間、小惑星を改造したスラッグの宇宙船は灼熱に呑み込まれる。月の軌道上で生まれた小型の太陽は、数秒の間元小惑星を包み焼くとあっさり消え去った。

 

***side 悟空***

 

遠視能力でスラッグの独演を覗いていたが、案の定ろくでもないこと考えてやがったな。

 

とはいえビッグバン・アタックで大半の魔族は消滅しただろう。ついでとばかりに気の温度を太陽の表面温度並みに上げてやったからな。

 

「お、おのれえぇぇ…!!」

 

お、案外生き延びてるな。雑魚はほぼ全滅したみたいだが、準幹部だかより上は全員生存か。位置的に考えて、どうやらスラッグが咄嗟にバリアを張ったらしいな。

 

「存外にしぶといじゃねえか、スラッグさんよぉ」

 

自分で思っても見なかったほどに冷たい声が出る。事実、俺は目の前の魔族どもを殺しつくすことへの躊躇など、那由多にひとつもない。

 

「あ、あのときのサイヤ人か…!?まさかこれほどの力があろうとは…!」

 

どうやら俺のことを知っているようだ。以前との差に狼狽しているところ悪いが、さっさと決めさせてもらう。こちとら嫁が出産中なんだ。

 

俺が飛び出すと同時、真っ先に向かってきたのは巨人。樹木がより合わさるようにして人型になった、樹木兵とスラッグが呼んでいた人造兵士だ。

 

「邪魔だっ!どけえええっ!」

 

樹木兵数十体を拡散するように放った気功波で薙ぎ払う。

 

雑魚を相手にするつもりはない。このままスラッグを殺す。

 

しかし、俺は薙ぎ払った樹木兵の先にいるスラッグを見て違和感を抱く。

 

なぜだ?なぜヤツは“笑っている”。

 

咄嗟に後ろから迫ってきた気配に蹴りを放って悪手であることを悟る。

 

俺を覆い包むようにしてきたのは、今さっきバラバラにしたはずの樹木兵。

 

遅いながらも再生しており、なによりドロドロとした体液を垂れ流しながらも動き続ける様はまるでゾンビだ。

 

「こんな程度で、ほくそ笑んでんじゃねえぞっ!」

 

周囲に球状のバリアを展開し、灼熱を付与して一気に範囲を広げる。

 

押し潰されるようにして焼かれた樹木兵は今度こそ消滅するが、その間に雑魚が地球へ向かってしまっていた。

 

「行かせるかあっ!!」

 

気功波を槍状にして飛ばす。何匹かは倒せたが、それでも生き残りはそれなりにいる。

 

「ちっ、やってくれるぜ。…ピッコロ神、悪いがいくつか抜けた。詰めを頼む」

 

『任せろ』

 

「さぁて、一応聞いてやるよ。どう死にたい?」

 

俺は拳同士をぶつけながら、ふりむきざまにスラッグへ問う。

 

「なるほどなるほど。素晴らしい、いや実に素晴らしい力だ。我が物にするに相応しい!」

 

「なに?」

 

思わず聞き返すも、スラッグは構わずこちらへ向かってくる。

 

「はあっ!!」

 

さきほどの二の舞にならぬよう、一気に超(スーパー)サイヤ人になって片をつけようと変身する。

 

巨大なスラッグの拳が迫り、それを正面から迎撃する。打ち抜くと同時にスラッグの拳が爆ぜる。

 

「おらおらおらおらおらっ!」

 

勢いのままスラッグの全身を打ち据え、打撃の勢いで月までスラッグを飛ばす。

 

激しい土煙が舞い上がり、地球の6分の1の重力がゆっくりと舞い上がった粉塵を落としていく。

 

俺は気合いで粉塵を吹き飛ばすと、そこにはすでに再生を終えたスラッグがいた。スラッグは未だに笑っている。

 

「妙に自信満々みたいだが、相手との力の差ぐらいわかるんだろう?おとなしく諦めたらどうだ」

 

「なぜだ?死ぬのは貴様だというのに、このスラッグが諦める理由などなにひとつないわ」

 

会話しながらスラッグの気配を探って妙なことに気づいた。この短期間でパワーアップしている。神聖樹の実をいつのまにか食ったか?

 

「ちょっとばかし再生能力が高い程度で俺に勝てるつもりなら考え直した方がいいぜ。悪いが不死身対策はそれなりにしているんだ」

 

将来の魔人ブウ戦に備えて、俺とピッコロ神は対不死身の技をお互いに鍛えている。もちろん手段はひとつじゃない。だが魔封波は選択肢としてはあまり考えないほうがいいだろう。一時的な封印ならともかく、恒久的に封印するにはあれは脆すぎる。

 

考えている間にスラッグもなんらかの準備が済んだようだ。両手に気功波のエネルギーを溜め、こちらに突っ込んできた。

 

「だぁから、そんな単純な攻撃が効くはずないだろう」

 

俺は不意をついたつもりで足元から飛び出した樹木兵を、足裏から出した気の杭で串刺しにして動けなくすると。策が通じたと勘違いしたスラッグにも同じように気の杭を足元から出現させて突き刺す。

 

「ごっはぁっ!?」

 

腹から突き刺さった気の杭を変形させ、蕀(いばら)のように無数の小さな棘を全身に突き刺す。

 

「さて、これで動けないだろう。さっさと消滅させて…なに!?」

 

俺が手を伸ばそうとすると、突然スラッグが自爆した。バリアを張らずとも今の俺ならダメージにはならないが、いったいどういうつもりだ。

 

警戒する俺に、全方位から金色の蔦が絡み付こうと延びてきた。

 

それらを灼熱のバリアで焼き払うが、樹木兵を薙ぎ払ったときのようにバラバラにならない。

 

そして爆炎がおさまると、そこには見渡す限りに月面を埋め尽くしたスラッグの姿があった。

 

『『『さあ、第2ラウンドといこうではないか』』』

 

「…メタルクウラじゃあるまいしよ」

 

ぼやいても仕方がない。が、後手に回っているのは事実だろう。

 

地球の仲間達が無事なことを祈り、俺はさらなる手段を持ってスラッグの群れに突っ込んでいった。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side ピッコロ神***

 

『ちっ、やってくれるぜ。…ピッコロ神、悪いがいくつか抜けた。詰めを頼む』

 

『「任せろ」』

 

念話と同じ言葉を口にし、決意も新たに上空を睨み付ける。

 

戦いに伴い、神としての衣装からかつての大魔王を思わせる赤い外套を身に纏う。肩当てを仕込んだそれは見るものに威圧を与えるだろう。今ここにあって、わたしはかつての大魔王としての冷酷さを見せつけよう。

 

やがて今にも成層圏を越えようとする無数の魔族の姿が見えてきた。

 

「ふ、愚か者どもめが。わたしがただここで座していたとでも思ったか!!」

 

わたしの声を合図に、天界の周辺に待機させておいた無数の気弾が姿を現す。

 

「食らえっ!神空包囲弾っ!」

 

万を越える無数の気弾が音をも越える早さで昇っていく。

 

しばしの間をおいて、閃光が空を焼く。

 

魔族どもの悲鳴が耳に聞こえるが、ヤツらのしてきたことを思えばなんの痛痒も湧かんな。

 

やがて爆音が聞こえてきた頃、わたしの元へそれなりに大きな気がやってくるのが感じ取れた。

 

「ほう、魔族にしては骨のある者がいるようだな」

 

天界を三方から囲むようにして三人の魔族が宙を浮いている。

 

「おのれ…!スラッグ様から賜った部下どもをよくも…!」

 

青い肌に金髪、さらに短い角を生やした魔族が喘ぐように叫ぶ。

 

「うむ?まさか、あやつはメダマッチャ達の報告にあったナメック星人か」

 

黄緑色の肌にモジャモジャとした黒髪、ひげ面の小柄な魔族が誰何する。

 

「どっちにしても俺たちの敵であることには違えねえダボ!ぶっ殺しちまえっ!」

 

でっぷりとした体格に、ごつごつとしたオレンジ色の肌をし羽を生やした大柄な魔族がイラついたように拳を振り払う。

 

わたしはオレンジ色の魔族がこちらへ突っ込んでくる前に右手の人差し指と中指に集中させた気を解き放つ。

 

「神・魔貫光殺砲!」

 

放たれた気功波は激しい螺旋を纏いながらオレンジ色の魔族の胸を貫く。

 

「ド、ドロダボォっ!?」

 

金髪の魔族が叫ぶが、容赦はせん。胸を貫かれ、無言で落下していこうとするドロダボと呼ばれた魔族へ近づきその体へと手を当てる。

 

「爆力殲波!」

 

爆力魔波を上回る超威力の気功波がドロダボを跡形もなく消し飛ばした。悟空から再生する可能性があることを聞いていたからな。せめてこれぐらいはやっておかなくては。

 

「ぬおおおおぉぉぉぉっ!」

 

ひげ面の小柄な魔族がどこからか取り出した斧を勢いよく振りかぶって向かってくる。

 

わたしは振り向くこともせずにタイミングを合わせて宙返りすると、外套の端をわずかに切り裂くに終わったひげ面の後頭部に気をたっぷり込めた膝を食らわせる。

 

「がっ!」

 

意識が飛んだのを見計らい、足首をつかんで思いきり振り回す。悟空はこの技をジャイアントスイングと呼んでいたか。これまで叫んでいるだけだった金髪の魔族へ向けて小柄なひげ面の魔族を全力で投擲する。

 

二人がもつれ合い、体勢が崩れた瞬間を狙い気を溜める。

 

両の掌をみぞおちの前で抱えるようにして構えると、その間に電光が迸る。

 

「激烈光弾!!!」

 

超圧縮された気功波は後手に回った魔族に命中し、その背後にあった雲ごと消し飛ばす。

 

「ふん、たかだか下っ端風情が。元とはいえ大魔王に敵うはずもなかろう!」

 

大魔王と神が融合した超戦士。それが今のわたしなのだからな。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side 亀仙人***

 

一年前。あの日悟空から気のさらなる運用を教わり、これまで鍛えてきた。

 

悟空はわしに無理をするなといったが、孫弟子が命をかけて戦っておるのにおめおめ逃げ隠れなどできるものかよ。

 

「ふんっ!」

 

すでにパワーを解放し、筋骨隆々とした姿へと変わったわしは正面の魔族へ気をこめた突きを見舞うと、その頭が爆ぜる。

 

さきほど遥か遠くから感じた凄まじい気は悟空のものじゃろう。さらにその後カリン搭の方角からも戦いの気配を感じた。

 

悟空の気と前後して恐らく世界各地に現れた魔族。東の都にいたわしはクリリンを引き連れ、避難する住民を庇うように戦っておる。

 

「クリリンよ!無理をするでないぞ!」

 

「はい!武天老師様!」

 

いかにわしの弟子であり才能豊かとはいえ、クリリンはまだ武術家としては未熟。今は避難する人々を誘導してもらうがよかろう。

 

「かめはめ波っ!」

 

天下一武道会で悟空に披露したものではなく、純粋に力を解き放つかめはめ波により数十体の魔族が消し飛ばされていく。

 

「まったく、地球中の魔族が一通り出てきているようじゃな」

 

これでも大分悟空と神様が討伐しておるというのじゃから、この星も大概に業が深い。

 

「きゃあああっ!」

 

「ぬ!?しまった、避難し遅れた者がおったか!」

 

見れば子供を抱えた母親らしき女性が魔族に襲われている。クリリンも気づいて向かおうとしているようだが、間に合わん!

 

「どどん波!」

 

しかし次の瞬間、空から降り注いだ一条の光によって魔族は頭を撃ち抜かれ力尽きた。今の技は…

 

「武天老師様!及ばずながら、助太刀いたします!」

 

声をする方を見れば、丸めた頭に三つ目が特徴的な青年と、その横に幼子のような白塗りじみた肌をした少年が浮かんでいる。

 

あれは鶴仙流の舞空術。ということは彼らはーーー

 

「おぬしら、もしや鶴仙人の弟子か」

 

驚いて誰何すれば、両者ともに首肯してこちらの言葉を肯定してくる。

 

「これまで亀仙流の者は敵であると、我ら二人とも鶴仙流の教えを信じて邁進してきましたが、火急の危機にあっても動こうとしない師匠にはほとほと愛想が尽きました…!非才な身なれど、今はただこの場で共に戦わせていただきます!」

 

ちなみにこうしている間にもわしは小さくまとめたかめはめ波であちこちからやってくる魔族を叩き潰しておる。

 

三つ目の青年もまた、わしへ挨拶しながらも器用に魔族の攻撃を避けて反撃を加えている。どうやら凄まじい才能の持ち主のようじゃな。非才などと言っては世の武術家に嫌みじゃぞ。

 

「おぬし、名をなんという」

 

「天津飯です、はっ!!ぜえや!武天老師様!」

 

「おぬしさえよければ、この戦いの後わしの弟子にならぬか?お主ならば、いずれはわしを越えあの悟空とも戦えるようになるやもしれんぞ」

 

「わ、わたしがですか!?ぐっ、おのれ!」

 

「ふん!ほほ、まだまだじゃのお」

 

新たな弟子の育成。それもこれだけの才能の持ち主が野に放たれるのは勿体ないしの。それにしてもあの中途半端ハゲ、近くにおるなら手伝えばよいものを。

 

やがて窮状を察したピッコロ神様がやってくるまで戦いは続いたが、わしもまだまだいけるもんじゃの。

 

 




宇宙空間での台詞の応酬は念話です。実際の音は無音になります(´・ω・`)

ちなみにピッコロ神と戦った三人の幹部。ひとりはオリキャラです。

魔族の襲撃時、鶴仙人はトラウマ発動してベッドで震えてました。

次回はできるだけ早めにあげます( ̄▽ ̄;)


追記修正
バリアで隔離する範囲を病院→西の都に変更しました。

ナムの身長を若干修正。なんでアイツあんなにデカいんや…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。