セリパとのセックスを期待した人たちは超(スーパー)サイヤ人4から戻った後に上半身裸が予想されるベジータの乳首を想像しといてください(外道)
※正直心理描写わかりくいので質問があれば活動報告にお願いしますm(__)m
***side クリリン***
どう見てもあのサイヤ人のお尻を追いかけていったようにしか見えない悟空さんを見送って、俺たちは固まっていた。
天さんなんか露骨に嫌な顔してるよ。
でもいいなー、悟空さん。自分の欲望に正直になれて。
今あの人嫁さん何人いるんだろ。絶対武天老師様よりスケベだよな。
…なんて考えてたら天さんからにらまれちった。あのひと真面目だからエロ本読むのも一苦労なんだよな。
でも天さんも地下のトレーニングルームの下にいつのまにかエロ本の隠し倉庫ができているだなんて思いもよるまい。
ま、下手にエロ本捨てようものなら武天老師様と二人がかりで襲いかかられるしな。わかってて黙ってるかもしれない。
とまあ、軽く現実逃避してみたんだけど、俺たちなにすればいいんだろ。
「…とりあえずお主達にとって最大の驚異はいなくなったわけじゃが、まだやるかね?」
武天老師様がさっき悟空さんに話しかけられたオシャレさんに声をかける。オシャレさんはいつのまにかサブリーダーみたいな扱いにされて戸惑っていたけど、長髪の人に促されて答える気になったみたいだ。
「…あー、その、なんだ。勘違いされても仕方ないんだが、俺たちも別に侵略をしにこの星へ来た訳じゃないんだ。詳しいことは俺から説明できないが、正直これだけの戦力があるなら俺は戦う必要があるとは思えない」
オシャレさんはそういって構えを解く。合わせて横のロボット?サイボーグ?みたいな奴も「ンダ」とか言って楽にしてるけど、長髪の人とツンツン頭の人は違うみたいだ。
「俺は納得してねえぜ。命令だっていうなら嫌々従ってやるけど、一発も殴りあわずに相手の強さを認めろだなんてサイヤ人として承知しかねるな」
好戦的な笑みを浮かべてこちらを挑発するように笑う彼からは、いまだ臨戦態勢の強い気を感じる。
まあ、さっきの二人が戦闘体制を解いたからって気を抜くようなやつはこの場にはいないんだけど。
「だが戦えば勝てないのは承知のうえなのだろう。その上で戦うというなら、そちらで相手を選んでもらってもよいぞ。元々悟空からはエキシビジョンマッチのようなものだと説明を受けておるのでな」
ピッコロ神様が赤いマントをなびかせてバッサリと切り捨てる。ああ、やっぱりこれってそういう集まりなんだな。どうりであの過保護な悟空さんが悟飯ちゃんを連れてくるのを了承したはずだよ。
…まあ、悟飯ちゃん俺より強いんだけどさ。
「そうだな。なら俺は、実力も近いことだしそこのじいさんと戦わせてもらいたい。ターレス、お前はあの…おい、お前名前はなんという」
「え、俺?クリリンだけど」
長髪のやつが指をさそうとしてやめて、少し迷ったあと名前を聞かれた。ぶっきらぼうだけど、案外礼儀正しいのかもしれない。
「そうか。クリリン、このターレスと戦ってやってほしい。さっき計った戦闘力ではお前達の実力は五分と五分。だが隠した実力がある以上、実際にはそう簡単にはいかないだろう。宇宙は広いのだということを、教えてやってほしい。…もちろん、俺はターレスが勝てると思っているがな」
長髪のサイヤ人(だよな、尻尾あるし)はさんざんひとのことを持ち上げておいて最後にはターレスと呼ばれたツンツン頭へ期待を込めた笑みを送ると、ターレスはそれに答えるかのように気を解放した。
「当ったりまえだ!こいよハゲチビ!!サイヤ人の強さを見せてやるぜ!!」
「…せっかく名前を聞いたというのに、お前というやつは」
ハゲチビと言われてムカついたが、長髪のサイヤ人はそれを見越して名前を聞いてくれてたらしい。なんだか怒るに怒れないな。
「サイヤ人だか野菜の人だか知らないが、ちょいと地球人の強さってやつを思い知らせてやるよ」
「へっ!言ってろ!」
周囲のみんなが場所を作るように離れると、俺たちは互いに構えて向かい合う。
…んー、とはいえこの状況じゃ元気玉を作るのは難しいな。まあそこまでしなくても勝てるだろうけど。
あとやっぱ気円斬はまずいだろうな。たぶん死んじゃうし。となると、あれとこれと、ああっとあの技も使えるか。
「よし!かかってこい!」
「…余裕見せやがって、食らいなっ!」
一息につっこんできたターレスの突きを腕をたてることで防ぐが、勢いがついたターレスの猛攻はそこで終わらない。
「そらそらそらっ!どうしたぁっ!」
拳と蹴りの雨をさばきながら、俺はターレスが隙をさらすのを待つ。
連打のなかで右拳だけが大きく後ろに下がった。今だ!
「がっ…!…くっ、だありゃ!!」
「うおっ、まじかよ!!」
なにをしたかと言えば、隙をくぐってターレスのひざを思いきり蹴り飛ばした後、前のめりに倒れてくる勢いを利用してアゴへ膝蹴りをクリーンヒットさせてやったのだ。
かなりのダメージがあっただろうに、そのまま殴り返してくるだなんてとんでもないヤツだな。避けるのが間に合わなければ逆に俺の意識が持っていかれるところだった。
「痛っつう~~…!ど、どうだ!思いしったか!」
「…おまえのほうがダメージでかいだろうに」
顎を押さえながら自慢するターレスに少々呆れるが、こういうヤツは俺の周りにいなかったな。へへっ、なんだか楽しくなってきたぜ。
「お?なんだよ、そういう顔もできんじゃねえか。よぉし、こっからが本当の勝負だぜ」
再びお互いに構え直して、さっきの焼き増しのように向かい合う。今度は俺から行くぜ。
「はあっ!」
拳を打ち込み、ターレスがそれをさばく。それを見越して急停止。ターレスの鉄槌をよけるついでにしゃがみこみ、足払いで体勢を崩す。
さっきから足元がお留守ですよっと。
そのまま勢いよく体を回転させ、鳩尾部分に遠心力と体重を乗せた肘打ちをたたきこんだ。
「ぐっはあっ!?」
さすがにダメージが大きかったみたいで、ターレスの来てる鎧みたいな服は大きく皹を入れて体を地面に弾ませる。
それにしてもあの服、すごい防御力だ。ある程度の攻撃なら通るけど、威力の大半が殺されてる。
でもって倒れたままのターレスだけど、気を感じればわかる。やつの気がどんどん膨れ上がっていくのを。
「…くくく、すげえ。すげえよお前!」
勢いよく起き上がったターレスは、なにを考えたのか着ている鎧をその場に脱ぎ捨てる。
「お前みたいなチビに格闘でここまでやられるだなんてな。バトルジャケットはなしだ。裸と裸、拳と拳で決着を着けてやるぜ!」
「思いきりのいいやつだな。いいぜ、俺も余計な技はつかわないで相手してやる!」
再び仕切り直し、今度は再びターレスがつっこんでくる。俺はターレスの拳を躱(かわ)すが…これはまさか!
俺が気づいたときにはターレスの体は深く沈みこみ、俺の足を払っていた。
自分の倍はあるんじゃないかって身長のターレスがさきほどの俺と同じように、違うとすれば膝蹴りを見舞ってくるが、むざむざやられるか!
「でやっ!」
「おらぁ!」
二人の膝と膝が空中でぶつかり合い、勢いのない俺が弾かれる。だがそれを見越しておいた俺は地面にぶつかることなく、ターレスの膝蹴りの威力だけを殺して体を滑らせ体勢を立て直す。
「すげえな!お前と戦ってるとわくわくするぞっ!」
「へへ、俺もだよ」
「おい、お前の名前を教えてくれよ!」
「…さっき言ったぞ。クリリンだ!」
「クリリンか。よし、覚えたぞ。クリリン、やっぱ殴りっこはなしだ!代わりに今から俺は全力で攻撃するからよ!死ぬんじゃねえぞ!」
そう思うなら死ぬような攻撃をしてくるんじゃねえ、とは思うが。ここでそれを言うのは野暮なんだろうな。
「うおおおおおおっ!」
ターレスの気が高まり、腰だめに構えた両腕の先に気が凝縮されていく。…あれはまさか!
「ベジータ王直伝の技だ!食らいなっ、ギャリック砲!!」
最大限に高められた気功波が俺に向かって飛んでくる。だから俺も、とっさに同じ技だと思って用意しておいた気功波を放つ。
「かめはめ波っ!」
青い気功波と赤い気功波がぶつかり合い、荒野の大地を砕き散らしていく。俺とターレスの気功波は最初互角だったが、しだいに俺が押されていく。やっぱ溜め無しじゃきついか。
「どうしたクリリン!お前の力はこんなもんかっ!」
「…なわけあるかっ!でえええやあああ!!!」
俺が追加で気を込めれば、倍以上の太さになったかめはめ波がギャリック砲を飲み込んでいく。勢いを増したかめはめ波は、そのままターレスへ向かっていき、彼の体を飲み込んだ。
「やばっ!ターレス!!」
俺は今まで戦っていた相手を思わず心配して、かめはめ波を中断してターレスの元へ向かう。
すると、そこには髪の毛や尻尾の焦げたターレスが倒れていた。
「おい、無事か?」
「…なんとかな、って言いたいところだが。だめだな。指一本動かせねえ」
「その割りにはしゃべれてるじゃないか」
「当ったり前だろぉ。サイヤ人はタフなんだよ」
「そいつは羨ましいな。にしてもお前、ぷふっ、その格好、ははははっ!!」
「笑うんじゃねえよ。ちくしょう、今度はおまえをこうしてやるからな」
そういうターレスの髪の毛は、焦げたせいなのかアフロヘアーのごとくチリチリになっている。
「…ん?悪い悪い、クリリンの頭じゃこうはならねえな。いやあ、フサフサ頭で悪いなほんと!」
「こ、このやろう…!俺の頭はな、剃ってるんだ!ハゲじゃないんだよ!」
「うそつけ、毛穴ひとつ見えねえじゃねえか」
「うそじゃねえよ!ほら、よく見ろよ!」
「うわあっ!頭を近づけてくるんじゃねえよ!ハゲ頭をじっくり見る趣味なんざねえ!!」
「なにおうっ!?だったらとくと見やがれ!おらおらおら!」
俺はターレスの顔にこすりつけるように頭を近づけてやる。
「や、やめろぉ!くそっ、ラディッツの兄貴!見てねえで助けてくれよ!!」
顔に頭をぐりぐりしてやっていたら、動けないターレスが必死に兄貴、長髪のサイヤ人ーーーラディッツに助けを求めるが、どうやら武天老師様と話しているみたいだな。
「…なるほど。やはり教育には礼儀も必要か。いやなに、どうにも過ごしてきた環境が荒んでいたせいか、強くなることが優先になりがちでな」
「まあ修行とは環境に大いに左右されるものじゃからな。どれが正解というものでもない。じゃが、どう育てるかはやはり師匠が負うべき責任でもあるからのぉ。お主があやつを礼儀正しい若者に育てたいというならば、一度やり方を見つめ直す必要があるのやもしれんな」
「ご忠言痛み入る。これが終わったら、一度あなたの修行風景を見せていただきたい」
なんか普通に相談してた。これであのバトルジャケットとかいうのを着てなかったら、知り合いの武道家が武天老師様に教授してもらってるとでも思うところなんだけどな。
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***side セリパ***
(…あたしとしたことが焦りすぎたか)
後ろから付かず離れずついてくるヤツの気配を探りながら、わたしはこれからどうしたものかと考える。
正直な話、相手を見たときに自分達が如何に無謀だったか思い知らされた。
まるで巨大な海の底をのぞいてしまったときのような、根元的な恐怖。なまじ半端に強さを実感できてしまったせいで、挑もうとしていた相手がどれだけ強大な存在なのか見せつけられた気がした。
(だが、サイヤ人としての誇りにかけて、このまま引き下がるわけには行かないね…!)
わたしは仲間達とそれなりに距離を置いたところで止まる。ここなら、万が一全力で戦っても味方に被害は出ないだろう。
「ずいぶん遠くまで来たものだな。それで、どうするつもりだ」
なにげなく放たれた言葉ひとつひとつが信じられないくらい重い。
彼に逆らいたくない。服従し、庇護してもらいたい。そんな、女としてなのか、サイヤ人の下級戦士としてなのかわからない本能じみた警告を、唇を噛み切ることでどうにか堪える。
「知れたこと。あんたと戦ってわたしたちの力を示すのさ。…もしあんたが勝てば、あたしは好きにしていい。けど、仲間にはなにもしないって約束しな」
飛んでいる最中に気づいたが、こいつが見ているのはあたしの尻や太もも。あたしの体がこいつにとって魅力なら、利用しない手はない。…正直あたしなんかの尻を見て何が楽しいのかわからないけどな。
目の前の男は頬をぽりぽりとかくと、困ったように話し出す。
「…願ってもないことだが、そもそも別に戦う必要はないんだぞ。お前の強さはなんとなくわかるし、目的も知っている。フリーザを倒せる“力”を求めて、この星へ来たんだろう?」
「なっ…!?」
わたしは相手から発せられた言葉を疑う。なぜ知っているのかとそのまま言葉に出しそうになり、これが相手のハッタリの可能性であることも考え、どうせ今の態度では真実だと肯定しているのも同じだと考え直して今一度向き合う。
「…そうだ。この星には、地球には“伝説の超(スーパー)サイヤ人”がいると聞き及んで来たんだ。そいつだけが、“唯一”あのフリーザを倒せると聞いてな」
「伝説の超(スーパー)サイヤ人かどうかはともかく、唯一…?一体その情報はどこの誰から聞いたんだ」
「ズノーだ。質問できるまでに11年かかった」
「なに…?おい、それはいつの時点での質問だ」
「質問が多いな。だが答えてやる。ちょうど一年前だ」
目の前の男はその言葉に黙考する。
宇宙のあらゆる出来事を知るという存在、ズノー。その正体は一種の情報端末だとベジータ王は考察していた。
宇宙の知識であるアカシックレコードそのものと繋がることで、文字通りありとあらゆる情報を取得しているのだろうと。代償がなにかは知らんとも言っていたが。
そのズノーが彼しかいないと断言した。それはおかしいと彼は言う。
彼はかつて、魔獣と化したフリーザを特殊な能力で見たことがあるそうだ。たしかに驚異的な強さであり、今の私たちでは相手になりそうにないとも。
だが、その程度だという。後にパワーアップするだろうことを見越しても、少なくとも地球の仲間でやつに勝てるのが三人はいるそうだ。
さらにはナメック星には本物の伝説の超(スーパー)サイヤ人がおり、彼が修行している風景を見たところ、強さにおいてはあのナメック星人に匹敵するらしい。
完全覚醒していないとはいえ、伝説の超(スーパー)サイヤ人を制御しているとまで言われたが、伝説の超(スーパー)サイヤ人とはそもそも制御不能なものなのだろうか…?
(だめだ…)
わたしの心が戦うことを諦めていく。
この星に着く前に、先発して送った偵察機の情報でこの男の強さは知っていた。あたし達とは次元が違う強さだと。
だがこの男は強さだけではない。知識も冷静さも、あらゆる面で私たちを上回っている。
当初、この星に来たとき私たちは力の限り暴れるつもりだった。そうやって力を示して、あわよくば非戦闘員を人質にする形ででもこの男の協力をあおぐつもりだった。
だが、実際はどうだ。
すでにフリーザを倒せる実力を持つものがあちこちにいるし、人質なんぞ取らなくてもこいつは私たちに協力してくれるつもりでいる。
これでよかった筈なのに、あたしは自分が惨めでしょうがない…!!
「さっきの条件は忘れて相手をしてやる…全力ではないが、本気でだ!!」
頭のなかをごちゃごちゃにされたというのに、突然男がそういってエネルギーを解放すれば、あたしの意識は一瞬で目の前の男にもっていかれる。
全力は出さないと言っているのに、なんという存在感だ…!!
「お前の過去になにがあったかは聞かない。たぶん、俺が踏み込んじゃいけない領域なんだと思う。だったら俺にできることはひとつ。全力でお前を受け止めるだけだ」
静かにそう告げられ、あたしは彼に身を委ねようとしてーーー自分の額を思いきり殴った。
「…たしかにあんたに甘えれば、あたしはあのときからずっと苛む後悔から逃げられるのかもしれない。でもね、それは“逃げ”なんだよ…!どんなに苦しくても、どんなに辛くても、それで忘れちまったら、あたしはトーマとの思い出まで否定することになるっっ!!それだけは、死んでもごめんだよ!!」
あたしは目の前の男が出すカリスマじみた雰囲気を振り払うように一度大きく腕を振るうと、エネルギーを両手両足にこめてヤツ目掛けて突っ込む。
エナジーアーツ。体内のエネルギーを操り、身体能力を増幅させる技術。
一部の種族は先天的に持つそれを、わたしはこれまでの年月で磨き上げてきた。
昔のように力任せに振るうのではない。一瞬一瞬、一撃にすべてを込めて。エネルギーの局所運用とも呼べるそれをーーー男は、こともなさげに受け止めた。
「気の一点集中による打撃の強化か、ディナーのガントレットとは異なるがすさまじい威力だな。これなら当たりさえすれば三倍近い実力差でも埋められるだろう。よし、なら防御はどうだ!」
男の蹴りが無防備に立ち尽くしたあたしの腹目掛けて飛んでくる。
まともに受ければ大ダメージ必至なそれを、さきほどと同じく当てられる部分だけにエネルギーを集中させて防ぐ。
「ふむ、手足以外でも展開可能か。この辺はディナーのやつも課題だと言っていたが、手足以外でもできるわけだな。だがどうする、たった二手でずいぶん消耗したぞ」
「はあっ、はぁ、はぁ…」
男の言うとおり、あたしは最初の全力攻撃と次の全力防御で内包するエネルギーの大半を使い尽くしていた。
もう諦めて、目の前の男に自分自身を委ねたい。そんな願望が浮かんでは消えていく。
いやだ…!ここで、一矢報いることすらできずに従って、なにがサイヤ人だ!なにが戦闘民族だ!
「どうした、お前のパワーをもっと見せてみろ!」
「ぐあっ…!」
あたしがじっとしていると、男はあたしを突き飛ばす。ダメージを極力与えないように戦うやり口に、あたしのなかで沸々と怒りの熱が上がっていく。
ふと、ヤツの目を覗いた。そこにあるのは、慈悲の感情。
ーーーそれに気づいてしまったとき、あたしのなかで何かが弾けた。
「見下ろしてるんじゃないよっ!くそったれがあああっ!!!」
弾けた感情に任せて今まで以上のエネルギーをこめて拳を突き出す。
どこから湧いてくるのかわからない力に身を任せて、あたしは攻撃にこめたエネルギーを爆発的に増やしていく。
八つ当たりだとわかっていながら自分が止められなかった。
「なんでそんなに強いんだ!」
「なに?」
「そんなに強いなら、なぜあのときいてくれなかったんだ…!!!」
「…」
激しい怒りが胸の奥底から沸き上がる。これまで抑えていた、他の手本となるために律していた自分のなかの怒りが、蓋を弾いて飛び出す。
「その力があれば…!誰も死ななくて済んだかもしれないのに…!!」
いつの間にか男はあたしの攻撃を防御しなくなっていた。それでも大したダメージになってないみたいだが、あたしはそんなことに構わず全力での攻撃を打ち続ける。
「うわあああああああっ!!!」
あたしは泣いていた。これまで抑えてきた心が吹き出すのに任せて、なにに怒ればいいのかもわからなくなって。
男は無防備にあたしの拳を全身で受け止める。
ただひたすらに殴られるままに任せ、骨が折れる感触がしても苦悶の声ひとつあげない。
「ぜえ…、はあ…、はあ…」
もうあたしのエネルギーは残り少ない。いつの間にか“金色”に変わっていた自分のオーラを眺めながら、その光を右の拳に一点集中する。
「くたばれええええっ!!」
後のことなんて考えない。普段のあたしからすればありえないほどのエネルギー消費。
金色の軌跡を描きながら、流星となったあたしの右拳は男の鳩尾にめり込んだ。
「がはっ…!くっ…!」
口から血を吐き出した男だったけど、わずかに体が傾(かし)いだだけで大したダメージはないみたいだ。
あたしのほうが全エネルギーを使い果たした反動で…気を…うしな…
***side 悟空***
「…気を失ったか」
下心全開で彼女の誘いに乗ったが、戦えば戦うほどに彼女の痛々しさが伝わってきた。
惑星ベジータが消滅し、仲間の大半を失った彼女がこれまで歩んできた辛さが彼女の拳を通してこれでもかと伝わってきた。
本心を引きだすためにあえて挑発的な言葉で彼女を煽った。
俺の気に呑まれて半ば自失状態だったとはいえ、何万倍もの実力差を気力でねじ伏せた彼女の胆力は称賛に値するだろう。
だから途中から、超(スーパー)サイヤ人になれた彼女の攻撃はすべてこの身で受けた。
さすがに生身で受けるわけにはいかないから気である程度防御力は上げさせてもらったが、全身打撲と骨折のオンパレードだ。ま、女のパンチで根をあげるわけにはいかないから、意地で耐えさせてもらったけどな。
「…その女を、離してやってはもらえんか」
「…来たか、ベジータ王」
後ろを見れば、そこにはバトルジャケットにマントをつけた盲目の王がいた。
原作では「動けないサイヤ人など必要ない!」などと言ってた頃なだけに、その変わりように正直驚きを隠せないでいたりする。
「傲慢で知られるサイヤ人の王族とは思えないほどに殊勝な態度だな」
「詫びが必要なら幾重にも謝ろう。俺たちは、いや、俺は元々この星を侵略しに来たも同然なのだからな」
「ほう?」
「ああ、お前と戦って勝てないであろうことはわかっていた。だから次善の策として、お前の身の回りの人間を人質にとり、フリーザと無理矢理にでも戦わせるつもりだった」
「結果はどうだい」
「…はじめから話し合いの場を設ければよかったとは言わん。そこでこじれた場合、奇襲の機会を失った俺たちは各個殲滅される可能性が高い。フリーザを倒すということは、それだけ俺たちにとって大きな意味を持つということだ。…だが、それで貴様への言い訳になるとは思わん」
「それはそうだな」
もし億が一にもベジータ王の思惑通りに進んでいれば、俺は俺を許せなかっただろう。そして何より、家族に手を出されて俺が大人しくしているとは我ながら思えん。一応西の都上空に疑似フリーザを一個中隊用意してきたが。
「俺の首ひとつで納得しろ、などとは言わぬ。だが、せめて待ってもらえないだろうか。フリーザさえ倒せたならば、俺をどのような目に遭わせても構わん」
「だめ…です、ベ、ジータ王…」
「おいおい、回復している最中だ。無理をするな」
「もう、十分だ…自力で、飛べる」
腕から離れるセリパの感触を惜しみながら、彼女を離す。彼女はよたつきながらもベジータ王に近づき、臣下の礼をとってベジータ王に忠言した。
「恐れ多くも、我らの策は失敗に終わりました。なればここは懐柔ではなく懇願が必要でしょう。おいお前、名前はなんだ」
ぶっきらぼうに聞かれるが、ふらふらと揺れる尻尾に目を奪われていたのでまるで腹が立たない。まさかそういう作戦か。
「悟空だ。孫悟空」
「…お前はサイヤ人ではなかったのか?」
「ああ、こう見えて俺は元々使い捨てのクローンでな。名前なんて洒落たものは持ち合わせちゃいなかったんだよ」
「なに!?だがその姿は…?」
「色々あってな。今の俺は、サイヤ人の祖先である原種サイヤ人と同じ体を持っている」
「セリパよ、説明してはくれぬか」
盲目であるがゆえに俺の見た目に言及できなかったベジータ王がセリパから俺のことを聞くと、あろうことかベジータ王は俺に臣下の礼をとってきた。
「おいおい勘弁してくれよ。あんたのせいでそこのねえちゃんにすっげえ目付きで睨まれてるじゃねえか」
セリパの目線は明確に「ベジータ王になにをした!」と語っている。尻尾もピンと逆立ち、その様はまるで怒れる猫のようだ。
「恐れ多くも、その姿は我ら王族に伝えられしサイヤ人の始祖と同じもの。で、あるならば、我ら王族はあなたに頭を垂れる以外の選択を持たないのです…」
「つまりどういうことだってばよ」
ベジータ王の説明によれば、王族は代々口伝で伝説の超(スーパー)サイヤ人のことを聞かされてきたらしい。
そのなかで決して忘れてはいけないことというのが、もし今後原種サイヤ人と出会うことがあればその者に王権を返せ、という一言らしい。
「理由はわかったけど千年は昔の話だぞ。お前が気にかけることでもあるまい」
「いいえ、あなたがただ始祖と同じ姿であるならば、私にも頭(こうべ)を垂れるという選択はありませんでした。ですが、あなたは伝説の超(スーパー)サイヤ人でもあらせられる。そうであるならば、いいえだからこそ、私に否やはありませぬ」
話にならんな。だが、おかげで見えてきた。
「ベジータ王、そんなに死にたいのか…?」
「なにを…っ!?」
俺は頭をあげたベジータ王の顔を思いきり殴り飛ばす。
きりもみして飛んでいったベジータ王だが、とっさに衝撃を逃がして体勢を立て直す様からはさすがの戦闘センスを感じさせる。
「どういう、おつもりか…!」
おお、イラついてるイラついてる。もう一押しだな。
「簡単な話だ。お前があんまりに逃げたがってるからな。部下の手前加減してやったが、正直こんなものかとがっかりしたところだぜ」
「なにぃ…!」
ベジータ王の気が高まってきた。くく、やはりな。為政者として成長したとはいえ、根っこのところではベジータだ。
俺は目の前で気を高まらせていく存在に好感を覚えながら、ある手段を思い付く。
「なあベジータ王。強くなりたいか?」
それは甘言。他者にフリーザ討伐を依頼するほどにまで追い詰められた、ベジータ王のプライドを抉る禁断の一言。
「…それ以上は言葉を選んだほうがいい。私は今でこそ王として振る舞っているが、元々気が長いほうじゃないんだ…!」
かろうじて保たれる理性と綱渡りをしながら答えるベジータ王に、俺はきっかけをくれてやる。
「そうか、残念だな。弱くて情けない王様を、俺が強くしてやろうというのに。どうしたベジータ王?笑えよ、笑い方を忘れちまったか?こうやるんだよ…!」
ニタリと三日月を描き笑った俺の口許を、見たわけでもないのにそれが確実にベジータ王へ伝わったことが俺には理解できた。
「はああああっっ!!」
超(スーパー)サイヤ人と化したベジータ王の姿を見て、俺は考察を始める。…なるほど。
「パワー重視の超(スーパー)サイヤ人か」
言うなれば原作で未来トランクスが至った筋肉の膨張した形態。問題点の多い欠陥超(スーパー)サイヤ人だ。とはいえ、あれだけのパワーがあればベジータ王の戦闘センスと合わさって劇的な強さを発揮できるだろう。
「貴っ様あぁぁぁぁっ!!」
「いけません!ベジータ王!!」
ベジータ王を心配するセリパの叫びが耳に入るが、今はそれを気にしている場合ではない。
俺は気を解放し、ベジータ王と近い戦闘力になるまでに高める。
「でえやっ!」
「はあっ!」
二人の拳が空中で激突し、肉がぶつかったとは思えないほどに激しい爆音が辺りに響く。
そのままお互いに高速で移動を繰り返しながら打ち合いをはじめれば、まるで見えない花火のようにあちこちで衝突音が鳴り響く。
「ギャリック砲!」
「かめはめ波!」
互いの必殺技が衝突し、次の瞬間には再び格闘が始まる。
それにしても盲目とは思えないほどに洗練された動きだ。これがもし盲人の攻撃ではなかったら、そう考えると背筋をゾッとしたものが駆け巡り、同時に体のなかからワクワクした気持ちがあふれかえってくる。
寒気と好奇心。
相反した感情を制したのは、やはり好奇心だった。
「ベジータ王、少し待て」
俺はすこし強めにベジータ王の体を突き、その身を一気に地上へ叩きつける。
「ぐぅ、がはっ…!」
一撃で超(スーパー)サイヤ人化まで解けてしまったベジータ王を見下ろしながら、俺はポケットにしまっておいた仙豆を取り出す。
「ベジータ王、食え!」
文字通り豆粒ほどの大きさのものをどうやって受け止めたかはわからないが、存外思った以上に冷静さを取り戻したベジータ王は素直に仙豆を飲み込んだ。
「ぐう…!!目、目がっ!!」
「目はゆっくり開けるんだ。光を見るのは久しぶりだろうからな」
「ば、バカな。俺の、この俺の目が…!?」
「改めてはじめましてかな、ベジータ王」
慇懃無礼におじぎをしてみたが、それどころではないらしい。まあそれもそうか。だが、そこで満足してもらっちゃ困るんだよな。
「次だ、ベジータ王。パワーボールは作れるか」
「…貴様の目的は一体なんだ」
「大したことじゃねえよ。ただ、強いお前と限界まで戦いたいだけだ」
「ふんっ!後悔することになっても知らんぞっ!」
よし、だんだん元のベジータに戻ってきたな。
ベジータ王が素直にパワーボールを作りはじめたのを見計らって、俺はもう一度声をかける。
「パワーボールを作ったら、擬似的な月と化したそれをそのまま取り込むんだ。超(スーパー)サイヤ人になってな」
「なにぃ!?」
「俺はお前のご先祖様なんだろ?だったら信じろよ」
「くっ!“弾けて混ざれ”!!」
ベジータ王はダメージを覚悟してか、目の前で作り出したパワーボールの爆光を超(スーパー)サイヤ人の状態で一身に浴びる。
変化はすぐに訪れた。ベジータ王の全身を体毛が覆い、口が伸びて狼のように鋭い牙が生えてくる。
…金色の大猿と化したベジータ王はなかなかの迫力だな。
手当たり次第に暴れようとする大猿ベジータ王を、俺は作り出したリング状の拘束具で押さえつける。
「まだだぜ、ベジータ王。今度はその状態で理性を保つんだ。サイヤ人としての激しい獣性を持ったままな」
我ながら無茶を言っている自覚はあるが、折角お膳立てしてやったのだからなってもらわねば。
超(スーパー)サイヤ人4に。
「ッグウウオ!オオオオォォォぉぉぉおおおおおおおおっっ!!!」
次の変化は緩やかだった。
獣としての叫び声をあげる大猿ベジータ王は、次第に理性を取り戻しその姿を変えていく。
激しく迸る気はそのままに、上半身には俺と同じくシャツのように赤い毛皮を纏い、わずかに隈取りの入った目元からは裂帛のごとき気合いが迸っている。
「よぉし、第2ラウンドだ…!!」
伝説同士の戦いが、始まる。
セリパをメロメロにしてやろうと思ったら超(スーパー)サイヤ人になるくらい怒らせた件(´・ω・`)←悟空
実は鳥食ってた頃のヤンデレーザ様なら今の地球メンバーでなんとかなるのが悟空以外に三人います。まあ二人は言わずと知れたピッコロs。もうひとりは切り札を使ったある人物です。だーれだ(´・ω・`)<ピッコロサンダイスキ
ちなみにこのオリ主悟空。サイヤ人にとっては刺激的すぎます。本来対面することがありえないご先祖様の肉体に、数万倍で済まない戦闘力の差。この小説では疑似悟空と化したターレスですが、さすがにワクワクできません。