前回本編の補足事項になります。
どうしても時系列がバラバラになってしまうので、正直言うとここはスルーしようかなと思ってたんですが、不完全燃焼でしたし、書きたいシーンは書けましたのでまあなんとか。
個人的にドクター・ゲロが狂う過程を飛ばしながらでも書けたので満足。
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『うちはの火影』
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まだ1話しかないですけどね!(笑)
【7年前】
***side 桃白々***
ジャッキー・チュンのヤツに圧倒的な実力差を見せつけられてから一年が経った。
わたしはこれまで燻っていた武道家としての誇りを取り戻すため、山奥で厳しい修行に取り組んでいたが…
「くそぉ!こんな、こんな程度ではまるでダメだっ!ヤツに勝てるイメージがまるで思い浮かばぬ…!」
どどん波を強化して、さらに短時間・高威力を目指して超(スーパー)どどん波を開発したが、こんなものではこけおどしにもならん…!
「なんだ…!いったいわたしの何がヤツに劣るというのだ…!?」
八つ当たりに巨木を殴り飛ばせば、幹をへし折られた巨木がメキメキと音を立てて倒れていく。
「さすがは世界最高の殺し屋桃白々。生身でそれだけの領域に至る修練には頭が下がるわい」
「何者だ…!」
わたしは咄嗟にどどん波を放つが、それはわたしに話しかけた男の前に立ちふさがる黄色いブヨブヨした怪物に止められてしまった。
まるで魔族のような見た目だが、尋常ではない強さを感じる。
「これは申し遅れた。ワシの名はドクター・コーチン。偉大なる天才科学者ドクター・ウィローの協力者じゃ」
そう言って頭を下げるじじいだが、胡散臭いにもほどがある。
慇懃無礼な様子もそうだが、こいつは明らかにわたしを舐めている。
「…殺しの依頼ならお断りだぞ。今わたしは忙しいんだ」
そう言ってこれ以上話しかけるつもりなら、新技の超(スーパー)どどん波をくれてやろうと密かに気を高める。
「…強く、なりたいのでしょう?」
「…なに?」
その一言は万の言葉を重ねた説法よりもわたしの心に響いた。
「まさか貴様の言うドクター・ウィローというのは、いつぞや北の都で魔族を倒した異形を率いていた者か!?」
わたしはあれから北の都に現れた謎の老人を探していた。だがついぞ見つからず、結局は基礎に帰っての修行の日々となったのだが…
「む?ドクター・ゲロを知っておるのか。ならば話は早い。今ドクター・ウィローはその男と手を組んでおる。貴様ほどの実力者なら、あんな出来損ないなんぞ問題にならんほどの強さを得られるであろう」
「その言葉、偽りはないな…?」
わたしは一抹の不安を抱きながらも、目の前の老人が語る甘言に魅せられていた。
思えば無駄に生きてきたものだ。ジャッキー・チュンと戦った百年前が懐かしい。たった百年と今では思うが、その百年でわたしは随分と色々なものに置いていかれてしまっていたのだろう。
ならば、もはや誇りも矜持も必要ない。必要なのは、ただ強くあることのみ。それだけよ。
「もちろん、我が敬愛するドクター・ウィローに誓おう。貴様は必ずや強くなる…!」
「よかろう、連れていけ。ただし、妙だと感じれば貴様を殺すからな」
「くっくっく、それは恐ろしい。肝に命じるとしよう」
こうしてわたしは悪魔との契約を交わした。後にそれがわたしの存在意義を否定するようなものだったとしても、そこに後悔はなかった。
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【数年後、ドクター・ゲロのラボにて】
***side ドクター・ウィロー***
「ゲロよ、進捗はどうなっている」
「おお、ドクター・ウィロー。目覚めたか。どうだ、その体は?」
さきほどポッドにおける調整が終了し、外へ出てきたわたしは自身の体を改めて見下ろす。
巨大化した脳髄を納めるほどの器はなかったが、ドクター・ゲロの技術によって記憶や知識をそのままメモリーチップに写すことができたのでなんら問題はない。中身を抜き出した脳髄は既に処分した。
わたしは生まれ変わった肉体である、“人造人間13号”の体を見下ろす。
「…悪くない。だが、貴様はわたしに最高の肉体を用意すると言ったのではなかったか?」
そう、わたしにとって不満なのはその一点だった。現に、今目の前にいるドクター・ゲロは自身の体を孫悟空の細胞から造り出したクローンのモノへと変えている。
彼の体は恐ろしいほどのパワーに満ちており、最初は13号の肉体に満足していたわたしが思わず不満を漏らすほどにその差は離れている。
「嘘は言っておらんぞ。人造人間としては間違いなく最高峰のモノよ。完全機械式に有機組織を混ぜ合わせたハイブリッドボディ、他の人造人間からパワータンクを吸収することによる変身機能を有し、さらには両の掌にはエネルギー攻撃の一切を吸収して自身のパワーへと変換する紅玉が搭載されておる。今以上に強くなる要素が含まれておるうえに、機械式になったことでお主自身が戦うのではなく、戦闘はあくまでコンピューターが管理してくれる。これ以上何を望むと言うのだ?」
長々と講釈されたが、どうやらそもそも譲るつもりがなさそうだ。このままでは最悪動きを止められる可能性もあるので、わたしは理解した振りをして素直に謝罪する。
「それはすまなかった。だが肉体の性能試験もまだなのだ、不勉強なわたしを許してくれたまえ」
「ふん、ならばよい。それより聞け、ドクター・ウィロー。この間魔族の肉体をベースにしたアンプルをこの体に打ち込んだところ、エネルギーの最大出力が三割以上アップしたのだ。やはりこの肉体は素晴らしい…!!」
自慢げに語るドクター・ゲロだが、そもそも魔族の生き残りは当初簡易人造人間として改造し、後の兵士とする予定だったのだ。だが肉体をベースにしたアンプルなどを打つということは、恐らくもはや生き残りはいまい。
「しかし憎々しいのは孫悟空めよ…!わしがこの体へ今ほどの出力を持たせるためにどれだけの資材を消耗したと思っておる…!!なぜやつはあんなにもあっさりと出力の上昇ができるというのだ」
本気で疑問に思っているらしいドクター・ゲロだったが、わたしはその答えを知っている。
簡単な話だろう。彼は修行したのだ。
あくまで科学的なアプローチで強さを増そうとするドクター・ゲロに対して、孫悟空という存在は今尚強くなるために限界を越えて鍛える日々を送っている。ゲロからすれば非効率的な反復訓練に過ぎないのだろうが、武道家とは得てしてそうやって強くなっていくものだ。
だがドクター・ゲロは恐らくそのことに気づくことができまい。
自身が戦ううえで戦闘センスや経験を補うメモリーチップを脳に直接仕込まず、疑似電脳で補っているのがいい証拠だ。
いかに優れた本があったところで、本を読みながら戦うことなどできはしないのだぞ。
わたしは未だ目の前で自慢を続けるドクター・ゲロに、話題を変えようと他の人造人間について訪ねることにした。
「ところでドクター・ゲロよ。他の人造人間達はどうしているのだ?」
「んん?あの失敗作の出来損ないどもか。期待した数値は出たが、それだけだな。機会があればわたしやお前の試験相手に起動して潰してしまってもいいだろう」
「なに?だがお前やわたしが拾ってきた武道家などは、素材としてはそれなり以上だっただろう」
そう聞くわたしにドクター・ゲロはやや不満そうな視線を向けてくるが、それでも科学者として自身の研究成果を知ってほしいのか、彼は別の部屋へと着いてくるように言って歩き始める。
やがてたどり着いたそこは、大小様々なパーツが乱雑に置かれた部屋だった。
「ここは…」
「知らぬのも無理はない。貴様が眠っている間にラボはだいぶ改造を済ませたからな。ここはそのなかでも、いわばガラクタ置き場よ」
蔑むように吐き捨てるドクター・ゲロだが、置いてあるパーツにはわたしでさえ理解できないものが多い。
「まずはこやつだな」
『14』と書かれたポッドに保管されているのは、わたしがドクター・コーチンに言って連れてこさせた元世界最強の男“桃白々”だった。
「孫悟空の細胞を元に開発した有機組織を最初に用いたのがこやつだ。たしかに出力は想定以上のモノとなったが、ひとつだけ致命的な欠点ができてしまいおった」
「致命的な欠点?」
「そうよ。この人造人間14号に施した有機組織なのだが、残っていた細胞をどう取り込んだのか、内包するエネルギーを出力させる度に崩壊してしまうようになってな。セーブしながら戦闘できたところでせいぜい一時間とせずに灰になってしまうだろう」
それは目の前で眠る殺し屋への事実上の死刑宣告に等しかった。
わたしは憐れむ気持ちでしばらく『14』と書かれたポッドを見ていたが、ドクター・ゲロはわたしに構わず次のポッドへと歩いていく。
『15』と書かれたポッドにいたのは、髪を短く切り上げ顔に複数の刃傷痕がある若者。
「貴様を除けばこの人造人間15号はもっとも成功した部類だな」
「ではなぜ失敗作と…?」
「簡単な話よ。わしはこやつを改造した際に脳改造を行い記憶をメモリーチップに写したのだが、なぜだか半端に消せない記憶が存在しよる。それのせいかこやつ、わしの命令に逆らうばかりでな。いや、無理をすれば記憶を破壊することはできるが、そうなるとせっかくのプログラムが無駄になる可能性が高い。それでも電脳化を施しておるので動きは元からは考えられないほどレベルが高いものであるし、なにより停止装置で動きを止めることもできる」
「なるほど。15号がそうまでして拘る記憶とはなんだ?」
わたしは興味本意の振りをして聞くことにする。なぜならば、それこそが15号を支配する“最適解”だろうからな。
「ん?妙なことを聞くな。まあいい、少し待て。…ふむ、これだな」
ドクター・ゲロが画面上に表示させたのは猫のような小動物の姿。
「これが、か?ドクター・ゲロ、見覚えはあるか」
「ああ、そういえばこやつを連れてくるときにこの生き物を助けろと言われたな。結局助からなかったが、変身能力は有用だったので、死体を研究材料に使った記憶があるな。おお、そういえば能力を再現するついでにこの生き物の記憶をメモリーチップに写してあったな。たぶん、そこいらにあるはずだぞ」
「…なるほど。手間をかけたな、ドクター・ゲロ。だがそれだけわかればこいつを“使える”ようにしてやれなくもないぞ」
「いや、この程度造作もない。それが本当なら朗報だな。わしにはまるで理解できんが、人形を作って人質にでもするつもりか?」
「もう少し手間をかけるが、概ね似たようなものだ」
「そうか…ではまた後でな。わしは17号と18号の調整をしてくる」
「ああ、また後でな」
そう言ってドクター・ゲロと別れた後、そこいらにあるというメモリーチップを探す。…待てよ、なぜ17号からなのだ。16号は完成しているのか?ならばいったいなぜそれだけ言及しないのだ。
「いかんな、情報の共有が完全でないと妙な猜疑心が涌いてしまう。だが、いったいどうしたというのだドクター・ゲロよ。貴様の目的が見えんぞ…」
わたしはモヤモヤとした感情を引きずったまま思わず独り言ちた。
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***side ドクター・ゲロ***
わしは自分が手掛けた作品のなかでも特別な位置にあるそれを見下ろす。
人造人間16号。
なぜ“これ”を作ったかと問われれば、わしは「わからない」と答えただろう。
かつてわしには息子がいた。自慢の息子が。
わしに似て頭もよく、母親に似て優しい顔立ちをしたいい子だった。
そんな息子がある日、軍隊に入ると言い出した。わしと妻は反対した。なぜそんな危険な仕事に就くのかと。
あの子は言った。
「もしもまた戦争になったら、俺は誰かを守る力が欲しいんだ」と。
結局わしらはあの子を説得できず、息子は軍隊に入った。
それがすべての間違いだった。
息子の訃報が届いたのは一年後。
息子が、今戦争をしているヤッホイとの最前線にいるのは知っていた。
死因は戦いのなかで敵の銃弾を受けたことによるもの。
妻はそのことがショックで伏せるようになり、後を追うように一年後病死した。
わしはせめて、息子の仇を取ろうと殺した犯人を探し始めた。
不可能に近いことは知っていた。弾丸飛び交ういつ死が訪れるかわからない場所で生きることを望んだのは息子自身だ。それそのものを否定する気はない。
だが、それとわしが納得できるかは別だ。
数年が経ち、わしはある噂を聞いた。ヤッホイとの戦いで活躍し、一躍名を挙げた軍人がいると。
わしは藁にもすがる気持ちでその男、“レッド”の元を訪れた。すげなく門前払いされたが、しつこく食い下がった。
あるとき、酒に酔ったレッドが思いもよらない言葉を口走った。
「お前の息子には世話になった」と。
問い詰めたが、やつはそれ以上喋ることはなかった。
わしは調べた。金を湯水の如く使い、自分の中に残った嫌な予感を晴らすために。
そうしてまずわかったのは、やつが戦果として誇っている出来事のほぼすべてに息子が関わっていることだった。
なぜそれに気づけたかと言えば、息子の当時の上官がやつだったからだ。
わしは嫌な予感が確信に近づいている気がしたが、真実は期待したほどのものではなかった。
てっきりレッドが息子を殺したのだと思ったが、そうではない。たしかに上層部に虚偽の申請をして息子の手柄を掠め取ったのは恨むに値するが、息子が死んだ今となってはそのことに意味はない。
息子はたしかに敵の銃弾で倒れた。だがその理由は、負傷した敵を庇ってのものだったのだ。
レッドはその真実を知っていたのと、手柄を掠め取った罪悪感から話すのをやめたのだろう。むしろやつは息子が死んだ真実を報告しなかっただけ、借りがあると言ってもいい。
なんということだ。息子の死は、自業自得だったのだ。
恨む相手がいればよかった。復讐する相手がいるならば、なんとしてでもその相手を殺してやりたかった。
だが違う。わしはこの感情をどこにぶつけていいかわからなかった。
それからしばらくして、ある日レッドがわしの元へやってきた。
世界を征服する軍隊を作るから、手を貸せと。
目的を失い、日々を消化するだけだったわしはそれにただ頷いた。
いつしかレッドリボン軍を我が子のように感じ、手塩にかけて育ててきたが、孫悟空にそれも壊された。
わしはなにがしたかったのだ。息子の無念を晴らしたかったのか。いいや違う。息子はそもそも無念など感じていない。
あるとき、戦場でわしの作った武器が奪われ苦戦したという報告が上がってきた。わしは思った。自分で考える兵器、そう“人造人間”を作ろうと。
そうして作っていく内に、わしはいつのまにか息子の精神を模倣したメモリーチップを搭載した人造人間8号を作っていた。
咄嗟に見た目は息子からかけ離れたモノにしたが、これでは兵器としてまるで役に立たないだろう。案の定、説得などという形で孫悟空に着いていってしまった。
その後自爆した人造人間8号を回収し、同じく息子を模して造り出した人造人間16号を作り上げた。
なぜこんな風にして今さら息子を再現したのかはわからない。おまけにパワーは人造人間のなかでも段違いに強い。わしは息子を兵器にしたかったのだろうか。
わからない。
「…やはりダメだな」
わしは自分の記憶を写したメモリーチップが漏らす感情をデータとして写し出す画面を見つめていた。
なにか役に立つことはあるかとシミュレーションを与えて検証したが、分析結果は郷愁や悔恨といったもの。
実にくだらん。こんなことを以前のわしが考えていたのかと思うと虫酸が走るな。
わしは無感動に過去の自分が収められたメモリーチップを端末から取り出すと、一息に握りつぶした。
これでもう、余計な感情に行動を左右されることはない。
ああ、ひとつだけ残しておくか。孫悟空への憎しみだ。これがあるときとないときでは実験の能率が段違いだった実証データがあるからな。行き詰まったときに思わぬ発見ができるかもしれん。
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【メタルクウラ襲撃直前】
***side ドクター・ゲロ***
…孫悟空め、いったいどうやってあれだけの数値を獲得したというのだ。
やってきたサイヤ人どもとの戦いを見ていれば、やつは戦っていたサイヤ人の王族をあっさりパワーアップさせてしまいよった。
サイヤ人の特性を研究し、ブルーツ波がその肉体に及ぼす影響が著しいことは知っている。だがそれを取り込むことにより大猿化を経由した変身をするとはな。
だがこの肉体ではああはいかぬだろう。どこか見た目が孫悟空やこの体と似ているが、まさかやつの体は、あの形態を常態化したものだとでもいうのか…?
だとすればこのパワーエナジーの数値も頷けるというものだ。
わたしは目を下ろしてモニターを見る。
ベジータ王のパワーエナジーを測定した数値は最初の五百倍か。凄まじい上昇率だ。
だが孫悟空はそれだけのパワーアップを果たしたベジータ王を相手に、いまだ通常形態のままだ。…まあ、やつの超(スーパー)サイヤ人は文字通り次元が違う。
それこそ驚異的なパワーアップを見せたベジータ王でさえ及びもつかないほどにな。
そう、アレと対等に渡り合えるのはこのわたしだけだ。このわたしの肉体だけが、アレと戦う資格を持っているのだ。
ああ、いよいよだ。いよいよ孫悟空と戦うことができる。この体の性能を十全に振るうことができる。
これまでわたしは胸の奥底から沸き上がる殺意や憎悪を糧にこの体を強化してきた。
フリーザ一族の暮らす星を侵略し、その肉体を研究した。
一千倍近い超重力下に身をおき、わざとダメージを受けることで耐久力を上昇させた。
他にも各種薬品や他の星に存在した希少な鉱物を用いて思い付く限りの強化を施した。
これだけの手段を用いてようやくわたしはスラッグとの戦いで見せたヤツの潜在エネルギーに追い付くことができた。
くく、おかげでこのクローン体は三体目だ。ずいぶんと使い潰してしまったからな。
そして経験が増す度にわたしの中の孫悟空に対する憎悪も増していく。
おかげヤツの得意とする超(スーパー)サイヤ人への変身もモノにすることができた。
そうだ、どうせならこれまでの憎悪をすべてぶつけてやろう。わたしの害意を植え付けた人造人間17号と18号、さらに19号として産み出したメタルクウラを解き放ってやる。
いやいや、それだけではダメだな。
…よし、人造人間はすべて解放しよう。人造人間同士で殺しあうもよし、わたしの害意に従って孫悟空の身の回りを襲うもよしだ。
もはやこの沸き上がる憎悪の理由さえ定かではないが、そんなものはどうでもいい。
わたしの念願は今日叶うのだからな…!
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【メタルクウラ製造までの道程】
***side ドクター・ゲロ***
これより日誌をつける。わたしの名はドクター・ゲロ。
今回実験対象とするのは、フリーザ一族の戦士クウラ。
こやつの故郷である惑星フリーザNo.1を侵略したが、面白いデータが収集できた。
まず、このクウラはコルド大王が自分自身の細胞を元に造り出したデザインベビーだ。
コルド大王自身一種の突然変異らしく、内包するパワーエナジーの数値は同種族のそれを遥かに上回るどころか宇宙全体で見ても指折りだったようだ。
そんなヤツが目をつけたのが、自身が持つ突然変異の遺伝子。
それを用いて我が子の遺伝子に意図的な突然変異を加え、誕生させる。
そうして最初に生まれたのがクウラだが、これでもコルド大王が求めたレベルには達していなかったらしい。
こうして首だけになる前でも、フルパワーになればツフル式のパワーエナジー計測装置で億を越える数値を叩き出すというのに“足りぬ”とは、一体コルド大王はなにを仮想敵としていたのだろうか。
次に作られたのが、正真正銘の完成品。やつらの故郷の星の名を与えられた“フリーザ”だった。
恐ろしいことに、このフリーザは赤ん坊にして戦闘力が億を越えていた。しかし強すぎたがゆえにコントロールが効かず、変身を覚えるまでにいくつもの星を消滅させたようだ。
…まあ今となっては、水晶に閉じ込められた魔獣に過ぎないがな。
さて、クウラの実験に戻ろう。
驚くべきことに、このクウラは体のほとんどを水晶化と呼ばれる現象で失ったにも関わらず今だ生命反応を有している。
これはコルド大王の記録に残っていることだが、コルド大王は万が一のことがあっても二人が早々死なないように改造したようだ。
お陰さまで、存分に改造をほどこすことができるがな。
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ビッグゲテスターに拠点を移すことにする。
先日完成した17号と18号が暴走し、ラボがめちゃくちゃにされてしまったからな。
16号がいなければ危うく殺されるところだった。おのれ、わたしが油断したところを襲うとは、とんでもない連中だ。
ちょうどいい、こいつらにはわたしの憎悪をコピーして移植してやろう。孫悟空にとってはさぞ嫌がらせになるだろうからな。
16号は損傷が激しいな。修理が完了するにはしばらくの時間が必要だ。
仕方あるまい、こやつはこのラボの地下に置いていくか。
さらばだ、我が過去よ。
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クウラを元に、ビッグゲテスターのラボで新たな人造人間を開発した。
その名もメタルクウラ。人造人間19号だ。
こいつはビッグゲテスターの設備を利用することで量産することができた。
さらに、ナメック星人の同化能力を研究し付与したことで、メタルクウラ同士は合体することができる。
このビッグゲテスターのラボが全力で稼働すれば、更なる量産も可能だろう。
この体の性能試験の相手にもちょうど良さそうだな。
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今日はなんとも気分の悪い日だ。
あのドクター・ウィローが何を血迷うたか、わたしに逆らいよった。
すぐに鎮圧したがな。今のわたしにどうやって勝つつもりだったというのか。
これで今のわたしに従うのはメタルクウラだけか。あれは会話もできるが、所詮は決められた通りにしか動かぬ人形に過ぎぬ。
自分自身では意思があるように考えているだろうがな。
さあ、今日も性能実験を繰り返すとしよう。
補足☆説明
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【人造人間一覧】
・1号
この小説では1号はメタリック軍曹ということになってます。特徴はでかい。それだけです。普通の人間相手にするには十分強いんですけどね。
・2号~7号
没ですね。悟空にレッドリボン軍が壊滅されるより以前に作っていたものですが、性能的にはさして高くありません。本部基地に保管されていたので、悟空の攻撃でついでに消滅。
・8号
言わずと知れたハッチャン。この小説ではドクター・ゲロが自身の息子をモデルに作った人工知能が仕込まれています。あくまで息子をイメージしただけですので、それが過剰に反映された結果戦いが嫌いな(ドクター・ゲロの願望)性格となってしまいました。その記憶は人造人間16号に受け継がれます。
・9号~12号
9号から11号はバイオレット触手プレイの際に悟空によって殲滅。能力を特化させた異形タイプです。12号は偽ドクター・ゲロでした。
・13号
この小説では知識や記憶を電脳とメモリーチップに写したドクター・ウィローが入っています。
ドクター・ゲロよりも人の心の機微に気づけたり、武道家のことを理解していますが、別に善人というわけではありません。
むしろ心理を把握できるからこそ、えげつない手段でも平気で用います。世界征服の野望を持っていましたが、ドクター・ゲロが狂っていったため不意打ちで殺そうとしました。
結果は惨敗。17号と18号が襲ったことにより、ドクター・ゲロは常に全身を緊張状態にしてあったためです。
・14号
この小説では人造人間に改造された桃白々です。実力はメタルクウラを凌駕するほどのものの、その体は戦うことと消滅することが同じである欠陥品でした。
弟分である天津飯と戦い、自分の全力を防がれたことで満足して死にました。
・15号
次回で出ます。あの男です。
・サポートメカPRⅡ
15号の傍らで浮いているサポートメカです。ある生き物の記憶を受け継いでいます。人造人間ではありませんが、紹介するとしたらここになりますので一応。
・16号
見た目のモデルはドクター・ゲロの息子です(原作設定)。この小説では新たに作った人工知能ではなく、同じコンセプトで作ったハッチャンの人工知能が使われています。
ドクター・ゲロの護衛として作られ、危うく彼が17号と18号に殺されそうになったときに身を挺して庇ったことで壊されてしまいました。
動力炉やメモリーチップは無事だったので、ドクター・ゲロの地球にあるラボで修理中です。
・17号
次回に出ます。彼もまた有機組織を元に作られていますが、その元となったのは悟空の細胞です。変身することができます。
・18号
次回に出ます。彼女も17号と同じで悟空の細胞を元にした有機組織が用いられています。変身はできません。
・19号
北の将軍じみたデブではありません。この小説ではメタルクウラがナンバリングされた名前となりました。本文では分かりにくいので、ほぼ一貫してメタルクウラ表記にしてあります。
・20号
次回か、その次に出ます。クウラが改造された結果です。
・21号
見た目は超(スーパー)サイヤ人5みたいになってますが、中身はドクター・ゲロです。出力のみなら悟空に匹敵する能力を誇りますが、中身が科学者だったために性能を活かせず敗北しました。ちなみに超(スーパー)サイヤ人へ覚醒したキッカケはドクター・ゲロの持つ憎悪です。
以上になります。ちなみに以前外伝でドクター・ゲロが言っていたことは、内容とは裏腹に慚愧の念にかられていました。
わざわざ吹き飛んだ首を探し出したのにはそういった理由があったりします。また、他の人造人間と違いどこか頼りにしているのもその面影に息子を見てしまっているからですね。どれだけ電子記号に変えても、記憶は早々消えなかったということで。