これにてこの世界における悟空の過去編はいったん終了となります。
エロ成分少な目となりましたが許してください( ̄▽ ̄;)
ちなみに主人公の見た目はぶっちゃけベジットです。ゴジータでも可。
まだ完全に覚醒はしていませんが、主人公のスーパーサイヤ人の姿は神島かのん氏のPIXIV絵であるスーパーサイヤ人4ベジットをイメージしています。
※残酷描写あり。短いのでキツければ読み飛ばしてください。
どことも知れぬ薄暗がりで、小さな影が立ち上がる。
その傍らには、まだ真新しく粘液のついた卵のようなモノが転がっている。
「ふふふ、わははははっ!!よぉやく蘇ったぞ!真に神となるべきは、このガーリックJr.こそがふさわしいのだ!ははははははっ!」
哄笑が響き渡る。それは世界に暗雲をもたらす“悪”の復活を意味していた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ああぁ~~っ!すごいっ、ぼうやの、ぼうやのがあたしの奥をえぐってるの~~~っ!!」
地球に着いてから1年が経った。今日も俺は道端に立っていた娼婦のお姉さんに割高の料金を払って一日中セックスしている。
最初の頃は経験も浅く、スタミナと勢いだけのセックスに従事していたが、最近では相手をイカせる楽しみを覚えてきてより一層セックスに身が入っている。
「こんなっ、あ、こんなっ、こんなのはじめてよっ!ああっ、またいく!いっちゃういっちゃういっちゃううううっ!」
浅瀬の弱いところをひたすら突かれ続けたお姉さんが潮を吹きながら絶頂する。
俺もそれに合わせるように一際強く奥へと逸物をえぐりこむ。するとお姉さんの膣が蠢き、俺の逸物を絞り上げるようにしまったので、それに合わせて一番奥へと射精する。
「うああぁぁ~~っっ!!」
悲鳴のような絶叫をあげて気絶したお姉さんの膣内へ残った精液を絞り出すように何度か往復させると、ちゅぽんっとみずみずしい音を立てて逸物が引き抜かれる。
「はあっ、はあっ、はあっ」
ソバージュの髪を振り乱し、ベッドで荒い息をつくお姉さん。
その尻をながめつつ、冷蔵庫から出した炭酸飲料を飲みながらあと何回ヤれるかを考える。
地球についた俺は遠視能力で沈没船を見つけると、そこから引き上げた莫大な財宝を使って悠々自適な生活をしていた。
好きなだけ食べ、夜になれば裏路地や客引きから女を買い、一晩中ヤりまくる。
最初のうちは翻弄されたが、いまとなっては相手をイカせるのも手慣れたものだ。
このお姉さんは少々ショタコンの気があったらしく俺を前にして舌なめずりしていたが、その余裕も俺にイカされるのが三回目の頃にはなくなった。
なかなかイイ声で鳴いてくれるもんだからついつい調子に乗って24時間耐久セックスしてしまったよ。
ああ、それから週に一度遠視能力を使って惑星べジータを探している。
いや、正直界王をなめてた。あっさり見つけられると考えていたんだが、正直ドラゴンボールで場所を教えてほしくなってきた。
まあ明日からしばらく宇宙船で星図とにらめっこしながらひたすら探す予定だが。
…ということでお姉さんともう1ラウンド、と思っていたのだが想定よりもダメージが深かったらしい。
いまだにポピュポピュと潮を断続的に吹きながら失神している。
これ以上ヤると冗談抜きで死んじゃうかなあ。しょうがない、この様子だとしばらく“こっち”の仕事はできないだろうし、多目にお金を置いてってあげよう。
そうだな、どうせならこれでもかって大金を置いていって驚かせよう。
このお姉さん声きれいだったし、ひょっとしたら歌手とか女優になれるかもね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、翌日さっそく星図と宇宙船にあったデータを頼りに惑星べジータを探してみた。
うん、やっぱり参考になるデータがあると全然違うな。
いくら最長老様に能力を使いこなせるようにしてもらったといっても、このままじゃ砂漠のなかから目的の砂粒を探すようなものだったしね。
にしてもおかしいな。データ通りならそろそろ見つかってもいいはずなんだけど。もう少し細かく調べてみるか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そんなバカな!いったいなにがあったんだっ!?
なぜ惑星べジータが“消滅”しているっ!?
今は原作開始の15年近く前なんだぞっ!
…引き続き調査する必要がありそうだ。これは長期戦になるぞ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日、最悪のモノを見た。
正直震えが止まらない。フリーザが怖くて堪らない。
それを見たのは偶然ではなかったが、かといって俺の目に飛び込んできた光景は衝撃以外の何者でもなかった。
そこはある辺境の惑星だった。なぜかバーダックに率いられたサイヤ人達がいた。
見つけることができたのは、遠視能力を使いながら対象の“気”を感じ取れるようになったからだ。
声を聴くことはできなかったが、それでも丸一日観察していれば状況も見えてくる。
どうやら彼らは生き残ったサイヤ人らしい。惑星べジータが崩壊してから、あちこちを転々としているようだ。
なかにはパラガスやナッパの姿もあったが、一様に言えるのは全員がひどく疲れた表情をしていることだ。
どうやら俺が脱走してきたあと、ずいぶんと物語は変容したらしい。
まず、フリーザによる惑星べジータ破壊が早まっていた。なぜだか知らないが、フリーザがサイヤ人をやたらと警戒しているように感じる。
なぜならば、同じくフリーザの気を感じることができたからだ。
そこには絶望的な差があった。
フリーザ程度一撃で倒せるようにならなくてはなどと…なんて俺はバカだったんだ。
実際に見たわけでもないのに、こんな相手に挑むだと。
ありえない。勝てるわけがない。そしてバラバラに逃げていたサイヤ人は、フリーザの手で直々に殺され数を減らしていく。
すでにべジータ王も殺された。見逃されたナッパは囮だったのだろう。
バーダックに合流するのを見透かされていたようだった。
そしてついに対峙したバーダックとフリーザだが、そこからはまさしく地獄絵図だった。
まずフリーザは、バーダックの手足をもいだ。バーダックもスーパーサイヤ人になったのだが、それでも手も足もでなかった。
そう、バーダックはスーパーサイヤ人になれたのだ。にもかかわらず、勝てなかった。
そのことが、俺の胸に虚無感をもたらす。
フリーザに勝つためにスーパーサイヤ人になることは考えていた。
ひょっとしたら、この原始サイヤ人の肉体なら、さしたるトレーニングもせずに勝てるんじゃないかと、スーパーサイヤ人にも簡単になれるんじゃないかと、たかをくくっていた。
甘かった。
そのまま死にかけのバーダックを引きずり、フリーザは彼に見せつけるように生き残ったサイヤ人を殺していった。
ナッパやパラガスは幼いべジータ王子が作り出したパワーボールで大猿化したが、時間稼ぎにしかならなかった。
女のサイヤ人を、腹を引き裂いて殺す。
サイヤ人の赤ん坊を、わざとらしくバーダックに見せつけながら頭を潰す。
バーダックは血涙を流しながら吠え続けている。
やめてくれ、やめろ、と。
見ていられなかったが、目を離すこともできなかった。
そしてとうとう、腕に赤ん坊を抱いた最後の女サイヤ人を追い詰めた。
だが彼女を殺そうとしたとき変化が起きた。これまで吠え続けていたバーダックが、突然黙ったのだ。
勝ち誇ったフリーザが押し黙ったバーダックの顔を無理矢理起こす。
そこにあった“目”。憎しみに憎しみ抜いた、覚悟の目。
次の瞬間、バーダックは自爆した。黙っていたのはこの為だったのだろう。
激しい閃光と衝撃波が周囲を襲い、何もかもを吹き飛ばしたかに見えた。
やがて星を砕くほどの爆発の余波も収まると、案の定フリーザは生きていた。
だが、俺にはもうひとつ。フリーザは気づかなかったようだが、緑色の気で作られた球体が、一緒にいた女のサイヤ人と共に宇宙のどこかへ飛んでいくのが見えた。
まさか、とは思う。
あの子供はブロリーなのか。だがこのタイミングであのバーダックの自爆に耐えるだけのバリアーを張れるような存在など、ヤツしかいない。
悲しみで覚醒した伝説のスーパーサイヤ人か。
もしできることなら、ブロリーともう一人の女サイヤ人を保護してやりたいものだが。
くそっ、正直震えが止まらない。
フリーザが残酷なのは知っていたはずだが、実際に目にして思いしった。
ましてや、スーパーサイヤ人で勝てないなどと。
どうすればいい。どうすれば
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから一週間が過ぎた。
俺はあの光景を見てから、一睡もできていない。
罪悪感、のようなものだと思う。
ただ目にしているだけでなにもできなかった。
殺されていく女も、赤ん坊も、誰一人助けることもできなかった。
そして妙に冷静になった頭が気づいてしまう。あのとき頭を握りつぶされたのが、恐らくカカロットだということに。
俺はどうすればいい。
フリーザが怖い。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
眠ろうとすると悪夢に叩き起こされる。
そんな生活を一ヶ月以上続けていて、俺はぼろぼろになっていた。
ほとんどまともに睡眠などできていない。
それでも生きているのは、この原始サイヤ人の体がやたらと丈夫なおかげか。
せめて眠れるようにと、味もわからず酒を飲んだ。文字通り浴びるほどに飲んで、ようやく数時間眠ることができた。
女も買えなくなった。
なぜなら生活のほとんどを酒を飲むことに割り振っているため、そんな暇などない。ましてや、女を見ると無惨に殺されていったサイヤ人の女たちを思い出してしまう。街を歩く妊婦を見て、フリーザに腸から胎児を引きずり出されたのを思いだし吐いてしまった。
俺は最低だ。なにもできないクズだ。ナメック星の危機など、救えるはずもない。なにせ相手はあのフリーザなのだから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ある日、妙なじじいが訪ねてきた。
俺は町のホテルやモーテルを転々としているのだが、その行き先にふと気づくとじじいがいるのだ。
なんの用だと脅しを込めて誰何してみるも、飄々とかわされてしまう。
ただ一言毎回漏らしていくのだ。
「もったいない」と。
とはいえ何度もそんな風にされていればイラつきもする。
一度痛い目を見せれば二度と付きまとわないだろうと、空き地に呼び出して殴り飛ばしてやるつもりだった。
加減ができるかわからないから殺してしまうかもしれないが。まあそんなことはどうでもいい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おかしい。何度やってもあのじじいに勝てない。
酒のせいかと思い、一時的に止めることにした。不思議と、あのじじいと戦うことを考えると深酒したときに比べれば短いが眠ることはできた。
そうして来る日も来る日も、じじいに向かって殴りかかっていった。
そんなある日、じじいに言われた。
「なにをそんなに怖がってんだ」と。
それを言われて俺はわけもわからず頭に血が上り、思わずじじいに向かって気孔波を飛ばした。
まずい、と思ったときには間に合わない。だが一度は殺しても構わないと思っていたのに、目の前のじじいに死んでほしくないと思っている自分に気がついた。
しかしじじいは、奇妙な動作をしたかと思うと俺が飛ばした気孔波をあろうことか“そらし”上空に打ち上げてしまった。
唖然と飛んでいった気孔波を見上げていると、気づけば目の前まで来ていたじじいの掌底をうけて意識を飛ばしていた。
***
どれくらい意識を失っていたのだろうか。
目を覚ませば、俺はじじいがしいてくれた上着を枕に空き地で寝かせられていた。
日の傾きから考えるに、さして長い時間気絶していたわけではなさそうだ。
俺はじじいに聞いた。
「なぜこんなことをするんだ」と。
じじいは言った。
「おめえが泣きながら助けてくれって言ってるように見えたんだよ」と。
その言葉をかけられて、俺は泣いた。恥も外聞もなく、じじいにすがりついて泣いた。
怖かったんだと。自分がこの世界にいらなくなってしまったんじゃないかと。
不安で押し潰されそうな心をすべて吐き出すように。
じじいにはほとんど何を言っているかわからなかっただろう。
だがじじいはなにも言わず、俺を慰め静かに話を聞いてくれた。
泣き止んで、そのまま俺はじじいの家につれていかれた。とんでもない僻地にあったが、それ自体は苦にならなかった。
そしてじじいの、彼の名前を聞き、俺は“孫悟飯”の弟子となった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
彼の弟子となってから十年近くが過ぎた。
俺は肉体的には完全に大人になったが、いまでは日常の一貫となってしまった亀仙流の修行を行っている。
特に畑を持つつもりはなかったので畑の開墾は手伝いだけだったが、牛乳配達はいまでも時々やっている。東の都までを超高速で牛乳配達する俺の姿は、ちょっとした都市伝説だ。
午前中をアルバイトで消化し、午後からは家の裏で基礎の修行を行う。
元々前世では武術などかじる程度にしか知らなかったが、これほど楽しいものだったとは。
今はひとつの型を一時間かけて演武している。
本来なら一分程度で終わる、亀仙流の基本のひとつだ。
すべての動きを均一に遅くし、一時間という時間配分にむらがでないように修正を繰り返していく。
すでにコンマ単位でずれもないのだが、つい確認してしまうのはくせのようなものだろう。俺もまだまだだということだ。
ちなみにだが、戦闘力もとい気はほとんど使っていない。
師父にも言われたが、自身の体さえ満足に把握できていないのに気を扱うのは色々な意味で危険だと言う。
いざ使おうとしても、全身を被う気がむらだらけな上に隙だらけ。いつぞや師父の掌底一撃で気絶させられたのも、そういった隙をついた結果らしい。
あ、それと気孔波をそらした理屈は自分の前に気をすべらせる性質の壁をつくり、それを使っただけだとか。
つくづく規格外だと思う。いくらむらがある、といっても俺の戦闘力と師父の戦闘力、いわゆる出力の差は文字通り“桁違い”だ。
だが師父はそれを、自らが持つ気の操作術と武術の腕でカバーして埋めてしまう。
…ほんとなんでこんな人が原作悟空に殺されたんだろうか。それともそういった要素もでてくるパラレルワールドなのか?検証のしようがないからわからないが。
俺のトラウマ、もとい恐怖心は師父からの
「だったらそんな怖えやつなんて気にならなくなるくらい強くなっちまえばいいだろ」
という言葉をもとに修行し続けた結果だいぶマシになっている。
…実際に目の前にしたら震えるかもしれないが。この辺はいじめっ子にいつまでも苦手意識を持ついじめられっ子のようなものだ。
だが正直基礎能力、気とは関係ない部分をひたすら鍛えているので自分が強くなった実感がない。
今となっては戦闘力の基準も忘れてしまったので、自分の数値がいくつかもわからないしな。
そんな風に師父と過ごす日々がいつまでも続くと思っていた。
自分の甘さが原因ですべてを失ってしまうことも知らずに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その日も俺は朝から牛乳配達をしていた。
そんな遠くにまで届けなくていいとは言われているのだが、まあ修行の一貫なので勘弁してもらう。
空き瓶を回収し、さあ牛乳屋まで戻ろうとしている最中、すさまじい悪寒が背筋をよぎった。
俺は空き瓶を放り出し、家まで全力で駆け出す。衝撃で地面がえらいことになっているが、そんな力の無駄など気にならないほどに俺は焦っていた。
師父の気配が消えたのだ。
無論、修行のひとつで気配を消すことはある。だが、そういったことをするときは必ず俺に言っておくのだ。
しかも、消える寸前に師父の気配は乱れていた。まるで誰かと戦っているかのように。
駆けている途中で空の飛び方を思いだし、さらに加速して家まで急ぐ。
すさまじい速度で景色が後ろに流れていくのに、俺の意識はもっと早くと叫んでいる。
やがて、家までたどり着いて俺は全身の血の気が引いていくのを自覚した。
師父が、倒れている。血まみれで。
とっさに俺が駆け寄ったとき、師父にはまだ息があった。
だが、肺と内臓を切りつけられたのか、致命的なまでに出血してしまっている。
泣きながら師父の傷口を止血した。知っている限りの薬草もかき集めた。
なぜ仙豆のことを知っていたのに取りに行っていなかったのかと自分を責めた。
すでに喋ることもできなくなっていた師父は、それでも最後の力を振り絞って俺の頭を撫でて、死んだ。
死んでしまった。
師父は俺を息子と呼んでくれた。義理でもお前は俺の息子だと。
いまだ悪夢を見ていたころ、師父は一晩中俺の横で手を握っていてくれた。
俺にとって、この世界で唯一の理解者だった。
その師父が殺された。
自分のなかで、なにかが切れる音がした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そこは半分に切り落とした球体を棒の上に乗せたような場所だった。
天界と呼ばれるそこは本来なら結界に守られ、地上を見守る神の居場所として清浄な雰囲気に包まれているはずだった。
だが、地上を見守る神は目の前に立つ小さな魔族に破れ、その従者たるミスターポポも小さな魔族が率いる三人の部下に捕らわれている。
「くっ、ガーリックJr.よ。貴様が神となれば、いったいこの世にどれだけの悲しみ、苦しみが撒き散らされるか。わたしはこの地球の神として、一命にかえても貴様を葬らねばならないっ!」
悲壮な覚悟を決めた神はガーリックJr.にしがみつき、自爆を試みようとしている。
しかし、しがみつかれた方のガーリックJr.といえばその決意を一考だにせず、むしろ嘲笑するかのような表情を浮かべていた。
「ふふふははははっ、神よ、お前は弱いなぁ?仮にお前が自爆したところで、デッドゾーンに魔凶星を取り込んだ今のわたしにかすり傷ひとつ与えることなどできはせん。それに、貴様にはわたしがドラゴンボールで不老不死になるまで生きていてもらう必要がある」
にたにたと笑うガーリックJr.は余裕の表情で神による決死の拘束をほどいていく。その仕草にはいっそ慈しみさえ感じられたが、神にとってそれはなによりも深い侮辱だった。
ガーリックJr.は有頂天だった。
本来なら接近しなければその効力を発揮しない魔凶星をデッドゾーンに吸収したことでその力は桁違いに上がっている。もはや自分に叶う存在など、遠い過去に存在したという魔人ブウくらいのものだろうと。いずれはその魔人すらも自らの配下とし、すべてを支配して見せようと。
だが、次の瞬間すべての野望は打ち砕かれる。自らの行いがもたらした結果として。
「なんだ貴様はっ!」
「ここにおわす方をどなたと心得るか!」
「新たなるこの星の神!魔族の支配者ガーリックJr.様の御前であるぞっ!」
ガーリックJr.は神を拘束していた手を離して振り返る。背後で自らの部下である三人衆が何者かと対峙していたからだ。
だがガーリックJr.はすぐに後悔した。その場から即逃げ出さなかったことに。
「…孫悟飯を殺したのはどいつだ」
まるで全身を凍りつくされたかのようにその場にいる全員が動けなくなった。
たった一言。そこに現れた青年が口にしただけであるのに関わらず。
「…そうか、お前か」
三人衆のひとり、ニッキをまるで塵芥を見るような目付きで睨むと、いつの間にかその前に手をかざされていた。
ニッキがなにか発することもなく、身長ほどの立方体に包まれた。そして立方体は、すぐにその大きさを縮めていく。
「ショウガヤキーッ!」
「ウナジューッ!」
異常な事態にようやく残った三人衆がパワーを解放するが、すべては遅かった。
体を巨大化する間もなく、二人は一瞬で間合いを詰められ腹を貫かれる。
「ウゲエッ!?」
「グボォッ!?」
貫いた拳ではなく、体に触れている腕の部分から直接気孔波を流し込まれ、二人は蒸発するかのように消え失せた。
そしていまだ立方体に閉じ込められたニッキは、徐々に縮まるその結界に限界を迎えようとしている。その表情は、魔族とは思えないほどに恐怖に歪んでいた。
「いやあっ!こんな、こんな死にかたなんて、ガーリックJr.様っ!たしゅけべえっ!」
助けを求める言葉を最後まで発させることなく、青年の手の動きひとつで立方体は縮小され、ニッキは潰され消滅した。
その目が、ガーリックJr.を向く。
「ぬあああああっ!!!」
ガーリックJr.は焦っていた。なんだこの化け物は、と。
だから目の前の青年がこちらへ完全に意識を向ける前に、全力で葬り去ろうとパワーを解放したのだ。
そう、間違いなく自分の方が早かったはず。
だが、ガーリックJr.が気がついたとき、青年は目の前に立っていた。
咄嗟に攻撃した右の拳が、青年の顔面に直撃する。しかし、まるで打たれたことなど無かったかのように青年はその場に佇んでいる。
ガーリックJr.は休まず打撃を続ける。まるで休めばその瞬間自分が終わるとでも言いたげに。
その実、ガーリックJr.の連撃はすさまじいモノだった。天界の石畳を衝撃波が引き剥がし、一撃一撃の音はまるで雷鳴のごとく周囲に響き渡った。
しかしすべては徒労に終わる。青年の次の一言がその事実を物語っていた。
「…こんなものか?」
それは侮辱ですらなかった。目の前にいる存在を、まともに見てすらいない。
羽虫以下の価値。それが青年の目線から感じたガーリックJr.の、自らに与えられた評価だった。
「おおおのれええぇっっ!!!」
ガーリックJr.は切り札を切ることにした。いかなる化け物であろうと、デッドゾーンに放り込んでしまえばどうすることもできまいと。
こことは異なる世界。まさしく異次元の世界。ましてや今はその中に魔凶星を取り込んでいる。魔族以外の人間がそこに取り込まれて、無事であるはずもなかった。
凄まじい風が吹きすさび、天界の建物を壊して異空間へと吸い込んでいく。
ついに展開されたデッドゾーンは、その出力を青年へと集中し暗黒の世界へと取り込もうとする。
だがそれでもなお。青年には切り札たるデッドゾーンをもってなお、まるで通じている気配がなかった。
全身全霊をかけて青年をデッドゾーンへと吸い込もうとするガーリックJr.。
出力が低いわけではない。それどころか、神やミスターポポに至ってはすでに吸い込まれないようしがみつくのも限界であった。
「はあっ!」
名前こそ叫ばなかったが、その技は青年の師父孫悟飯も用いたかめはめ波だった。
短い呼吸で発せられた、本来なら十分な気の充足がされていないはずの気孔波はデッドゾーンのなかにある魔凶星を粉々に吹き飛ばした。
その瞬間、デッドゾーンの吸引力は目に見えて衰える。ガーリックJr.も反動か、巨大化した肉体がもとに戻ってしまった。
無論、魔凶星がなくともガーリックJr.は巨大化することができる。
だがそもそも誰が考えるだろうか。魔凶星が壊されるなど。
混乱の局地にあるガーリックJr.を襲ったのは“弱い”打撃だった。
だが弱いとはいえ、その体勢を崩すのには十分なものがある。
打撃は次々とガーリックJr.を襲った。その一撃一撃は致命的な威力にはほど遠かったものの、確実にガーリックJr.を消耗させていく。
生かさず殺さず。文字通り半殺しにされたガーリックJr.はうめきながら、それでも自らの野望を根底から覆してみせた青年へと誰何する。
「…き、きさまはいったい、なにものなのだ…!」
「答えてやる義理はない」
しかし最後までガーリックJr.を見下していた青年は、ガーリックJr.の質問を一考だにせずその小柄な体をデッドゾーンへと投げつけた。
破壊される以外にデッドゾーンが閉じる方法は、すなわち中に誰かを取り込んだときである。
悲鳴すらあげることなく飲み込まれていくガーリックJr.。
すべてが終わり、破壊された天界が残った。神とミスターポポは呆然としていたが、ひとまずガーリックJr.を退けた若者へと声をかけるべく近寄っていく。
「…ガーリックJr.の野望を阻止してくれたこと、そしてそれに伴う地上の破滅を防いでくれたこと。地球の神として、礼を言おう」
幾分か警戒はあったが、そこは神としての矜持がある。
だが、声をかけた青年から帰ってくる言葉はなかった。青年は泣いていた。
師父が死んでしまった。殺されてしまったと。
神は目の前の凄まじい力を持つ青年が、ひどく幼く、不安定に見えた。
そして考えた。ドラゴンボールをこの青年のために使おうと。
彼はそれだけのことを成し遂げている。
そのことを告げると、青年は泣き止んで嬉しそうに立ち上がった。
少々現金ではあるが、この際それほど気にすることではあるまい。
幸か不幸かガーリックJr.が部下に集めさせたことでドラゴンボールはこの場に揃っている。
すぐに神龍は呼び出された。
だが、青年の師父。孫悟飯を蘇らせてほしいという願いは、思わぬ形で止められることになった。
他ならぬ殺された老人、孫悟飯がその願いを止めるよう願い出たのである。
神と、そして青年もなぜかと問うた。
そしてそのために、二人は閻魔大王の前まで赴くことになった。
頭に死者の証である天使の輪をつけて、孫悟飯老人がそこにいた。
泣きすがる青年に、孫悟飯老人は優しく語りかける。
元々、自分には寿命が近づいていたのだと。体が思うように動かなくなっており、死期が近いことを悟っていたが、青年と離れることを恐れ言い出せなかったと。
それに青年は納得した。だからあんな魔族に殺されてしまったのだと。だが同時に、それでもいいから生き返ってほしいと孫悟飯老人に懇願した。寿命など自分がなんとかしてみせると。
その不安定さに神は懸念を抱いたものの、やはりそれは孫悟飯老人も一緒だった。
彼は言った。
「いつまでも自分に縛られず、お前のやりたいように生きろ」と。
「おめえはおらの自慢の息子、孫悟空だ」と。
青年は涙を流しうなずいた。きっとあの世にも名を轟かせてみせると。
二度とこんなことを繰り返さないよう、もっと強くなってみせると。
その言葉に満足したのか、孫悟飯老人は閻魔大王に言って天国へと歩いていった。
最後に青年、孫悟空を優しく抱擁して。
「悟空、前を向いて生きろよ」と。
やがて魂だけになった孫悟飯老人は天国へと消えていった。
孫悟空はしばらくその姿を追うように見続けていたが、振り向いたとき、その顔にもはや涙はなかった。
それからしばらく悟空は天界に滞在し、壊れた建物の修繕を手伝った。
建物を作るのは神が魔法によって直すことができたが、崩れた瓦礫などは一度まとめておく必要がある。
悟空の腕力により、片付けはすぐに済んだ。神は悟空に次代の神として修行するつもりはないか尋ねたが、今は師父を弔い喪に服したいとのことだったので、いずれ気が向いたらいつでも訪ねてくれるように告げて別れた。
また別れ際に神から下のカリン塔で仙豆をいくつか持っていくように言われた。
なにかあってもそれがあれば大抵の傷は癒せるだろうと。
カリンは上の天界で起きていた異変を知っていたため突然現れた悟空に驚いていたが、神から許可が出たことを知らされると袋一杯に仙豆をくれた。
せめてこれくらいのことはさせてくれと。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうしてそれから5年の月日が流れ、孫悟空となった青年はブルマと出会う。
物語が、はじまる。
ちなみに序盤で悟空とエッチしているお姉さんにはモデルがいます。
たぶんわからないと思いますが。
将来的には親子丼フラグが立ちそうで立ちません。
NTRになってしまうので。