そして気づいた。エロ書いてるときとシリアスで書く速度が10倍くらい違う(´・ω・`)
「んぶっ、んぐっ、んごっ」
さらさらとした黒髪を手に絡めながら、腰を前後に動かす。
こめかみに手を添えて、できるだけ乱暴にならないようにしながらも気持ちよさからついつい喉の奥を突いてしまう。
「んんっ、んぼっ、んんぅっ」
何度も繰り返し出し入れしたことにより、口の回りは漏れたよだれで濡れている。
抜き挿しをすることで唾液が照らされ、乱れきった顔の淫靡さが増す。
そうやって俺の逸物を深々とくわえながらも、恍惚とした表情を崩さないのはマイ。
夜も更け、キングサイズのベッドには他二人の愛しい女たちが気絶している。
前後に二回ずつたっぷり出されてご満悦のブルマは尻をかかげたままだし、ランチは金髪のときにはポルチオを、紺髪のときにはGスポットを徹底的に責められてさきほど気を失った…まだ時おり震えて潮をもらしている。
そんな中でマイから提案されたのが
「わたしの“くち”を犯してください」
だった。
どうやら単なるフェラチオではなくイラマチオをやってほしかったらしく、彼女の提案に応じてこうして口に出し入れしているのだが。
思ったよりも興奮する。
まず無防備な相手の口に自分のモノを突きいれているという状況が特殊だ。
フェラチオと違って奉仕されている感じはしないが、逆に相手を完全に自分のものとして扱っているという征服感がすさまじい。
しかもマイはそれが嬉しいのか、咽頭まで突きこんでもえずくどころか舌を絡めてくる。
…どこまで耐えられるんだろうか。
仄かに灯った嗜虐心が俺をそそのかす。
ーーーさきほどよりも、さらに乱暴に喉奥を突いてみる。
普通に膣でしているときと変わらない力加減に、さすがに呼吸ができなくなったのか、マイの顔が苦しそうに歪む。
「んぐっ!?んごっ、んごっ、ごえっ!」
もはや喉を完全に塞がれ、とうとうえずきながらもマイは口を離そうとしない。
そこで気づいた。マイの秘所からとめどなくこぼれる愛液の存在に。
苦しいだけでなく、マイはしっかりと口を犯されることに快感を覚えている。
それに興奮した俺は力加減はそのままにさらに奥へと逸物を突きこんでマイの喉をごりごりとえぐる。
正直やり過ぎているように感じるが、それでもマイはうっすらと涙を浮かべながらも快感を感じている証拠にベッドまで愛液が伝っている。
それを見て、視覚で刺激された俺は急速な射精感にマイのくちを犯しながら叫ぶ。
「イくぞっ、全部飲み干せっっ…!」
喉を叩くように勢いよく出た精液を、マイが恍惚としながら飲み込んでいく。
ぷしょぉ、という音がシーツを濡らしていく。太ももどころか下半身を濡らす液体のニオイから見るに、どうやら精液を飲み込んでイってしまったらしい。
Mっ気があるとは思っていたが、ここまでとはな。だが以前確認したところ、痛みが快感に変わるとかそういったことはないらしい。
一種の被征服欲とでもいうべきか。自分自身をゆだねたい、とでもいうのか。
とにかく相手に何もかもを奪われたい、そんな願望の持ち主のようだ。
実際以前に尻を叩いてみたが、困惑してたしな。逆に“はじめて”を奪われることにはヒドク興奮してもいた。
んー、たぶんだがイってもイかせるのを止めない、とか最高に好きなんじゃないだろうか。
まあこういうのは御託を並べるよりもーーー実際にヤってみればいい。
ということで下着がエラいことになってる(ズボンは脱がせておいた)マイをひょいと持ち上げ、駅弁スタイルで挿入してしまう。
とろとろになっていた秘所はぬるりと俺の逸物を飲み込んだ。
「ーーーっかはぁ!?えぅ、ぁぁああんっっ…!」
正気に戻る前にいきなり突っ込んだからか、衝撃でさらにイったみたいだな。潮まで吹いているところ悪いが、ガンガン動かせてもらうぞ。
ずにゅ、ぐちゅ、ずちゅ、と湿った肉がこすれあう音が、お互いのむき出しになった下半身から響く。
マイは意識を完全に色事のそれに塗り替えられ、もはやあられもない嬌声をあげ続けている。
とても人に見せられた顔ではないのはいつも通りだが、マイの場合こうなったときのエロさが違う。
音もニオイも視覚も、発せられる全てで俺を魅了しようとしてくる。
それが本人の持つ才能なのか、自分の女に対する贔屓目なのかは俺にはわからない。だがそれが堪らなく愛おしいのだ。
そうして何度目かわからない射精をマイの膣内(なか)にすると、俺は今後のことへ思いを馳せるのだった。
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翌朝、名残惜しむ女たちを後にして俺は天界へと赴むこうとした。
が、ひとつ思い出して大師父、亀仙人のもとへ向かった。
なぜかと言えば、亀仙人もなんだかんだで魔族とは因縁深い。
師匠である武泰斗様を殺されているし、原作通りならピッコロ大魔王を相手に命を落としたことさえあった。
その魔族のなかでも、恐らく最強クラスのスラッグがこれから地球を襲うのだ。ましてや神聖樹の実を食べていることからその実力は映画以上だろう。
それにドラゴンボールが集まってない以上、世界中に配下の兵士たちを派遣する可能性は高い。そんなときに妙な義侠心から無茶をされては、最悪殺されてしまうかもしれない。
もう師父のような、義父さんが殺されたときのような思いはしたくない。失礼な話ではあるが、武天老師と呼ばれるほどの達人である亀仙人でもスラッグには勝てない。
純粋な武術としての技量が上回っていても、出力が違いすぎるのだ。
なにがなんでも説得しなくては。
そんな風に考えていると、亀仙人が住むというカメハウスが見えてきた。彼はのびのびと日なたを浴びて眠っている。
と思ったら、俺が到着する前に起きた。…まだ数キロはある上に気は抑えているんだがな。
「なんじゃ、やっぱり悟空じゃったか」
着くと亀仙人は背中をこきこきと鳴らしながら甲羅を背負い直していた。どことなく嬉しそうに見えるのはうぬぼれだろうか。
「ご無沙汰、というほどではありませんが、少し話があったので寄らせていただきました。少し時間をもらってもよろしいですか」
「堅苦しいぞ、楽にせい。もちろん構わんよ。そういうことなら部屋にでも行くかのう。おおい、ウーロンや」
呼び掛けるとエロ本片手に豚顔の小僧が出てきた。元気にやっているようだな。
「なんだよじいさん、さっきのエロ本ならまだ読んでるとちゅーーーぎゃあああっ!ななななんでお前がここにぃぃ!?」
「人を見ていきなり悲鳴をあげるとはご挨拶だな」
「ウーロンや、ちょいとお茶でも入れてくれんか」
「なんで普通にお茶頼んでんだよ!?構わねえけど!ちょっとは悲鳴をあげた俺をねぎらえよ!」
「そうだ、大師父。その前に一度俺の“型”を見てほしいんです。5年以上一人でやっていると、どうしても不安になってしまって」
「ほっほっほ、“型”とな。ええぞい、見てやろう。して、今日はあのべっぴんちゃんはおらんのか?」
「俺を無視すんなああああっ!?」
とまあ約1名騒いだが、軽くお茶を飲ませてもらいながら話を聞いてもらうことになった。
ウーロン?年齢を聞いて正直子供をびびらせ過ぎたかと反省したが、そういうことならとエロ本は取り上げた。この世の終わりみたいな顔をしていたが。せめてあと三年は待て。
それで“型”を見てもらった結果だが、大師父曰く本来亀仙流には決まった型というものはなく、俺がやっているのは孫悟飯が独自にまとめたモノらしい。
とはいえ完成度は非常に高く、充分に意味さえ理解していれば繰り返すだけでも基礎の向上に繋がると言われたので、今度はこちらが嬉しくなった。
俺からもお礼として『気の開放と固持』とでも呼べる技術を教えた。
これはいわゆるサイヤ人編と呼ばれる本編での、劇的なパワーアップを象徴する技術だ。
フリーザ軍をはじめとする宇宙の戦士たちにおいて普遍的な戦闘技術であり、慣れてしまえばあまりに便利であるために、戦闘力を操作することをやめてしまう傾向がある。
わかりやすく念能力で言うなら、“堅”が近いだろう。自身の内に留めた気を一気に解き放ち、かつそれを維持する技だ。ただ堅と違うのは、一定以上の熟練度に達すればほとんど消耗しなくなるという点だ。
大師父も気の集中や増幅といった技は知っていたが、これは知らなかったらしい。
実力を考えれば知っていてもおかしくはないんだが、なにかわけあって過去にこういった技術を“誰か”が封印でもしたのだろうか。
まあともかく、教えて一時間と経たずにモノにしてみせたのはさすが武天老師の面目躍如と言ったところか。さっきまでと比べて格段に戦闘力が上がっている。
…というか、これなら完全にモノにすればスラッグの下級兵士程度なら無双できるんじゃなかろうか。実際映画ではチチにやられるような連中だし。
いやいやいや、それを防ぐために来ているのに煽ってどうする。
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「ーーーというわけで、約一年後にはスラッグと呼ばれる宇宙人が現れます」
話を終えて、俺は冷めたお茶を一息に飲み干した。
「むうう、ピッコロ大魔王など問題にならないほどに強大な魔族か…」
亀仙人は眉間に深い皺を寄せ、ややうつ向きがちに考え込んでいる。ウーロンも話は聞いているが、いまいち恐ろしさを理解できないようだ。
「な、なんだよ。よくわかんないけど、じいさんとかアンタが戦えばなんとかなるんだろ?」
沈黙に耐えかねたのか、ウーロンが不安そうに訪ねてくる。
「ああ、その為にも俺は一度天界へ行く。伝(つて)はあるからな」
俺はかつて起きたガーリックJr.事件の顛末を話した。義父さんが殺されたくだりは二人を黙らせてしまったが、それを差し置いても神様と知り合いだという点では驚かれた。
「…なんともスケールの大きい話じゃ。天下の武天老師と呼ばれた時代が懐かしいわい」
「ご謙遜を。あなたはまだまだ現役ですし、なによりあなたが培った“武”は俺のなかに息づいています。なにも卑下することはありませんよ」
「そう言ってくれるとありがたいのぅ」
「それにできないことがないわけではありません。弟子を取ればいいんですよ」
「弟子じゃと?しかし、お主の話ではスラッグとやらが来るのは…」
「ええ、一年後です。ですが、俺には今回の事件が終わりではないと見てます。ガーリックJr.のときといい、厄介な連中がこれで最後とは思えませんから。そのときの為に、後に続く者を育成するのは先達の役目でしょう」
「ほっほ、違いないわい」
お互いに先行く不安を消すように笑い合う。
結局亀仙人を説得することはできなかった。とはいえ今回教えた技で多少なりとも実力をあげるきっかけになったことは事実。スラッグはともかく、そうそう手下どもに遅れは取らないだろう。
弟子の件は、ついでとばかりに鶴仙人の元にいるチャオズと天津飯のことをそれとなく教えておいた。特に天津飯は将来有望な男だとも。
「では、また機会を見て伺います。ご健勝で、大師父」
「お前さんもな悟空。相当な無茶をするつもりなんじゃろうが、待ってる女を泣かせるような真似はするでないぞ」
「…肝に命じます」
思わず苦笑してしまう。なにもかもお見通しのようだ。
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そうして亀仙人と別れた俺は天界へとやってきた。
俺のことを“視”ていたのか、すでに神様が待機していた。
「よく来たな悟空。すまないが、話は聞かせてもらったぞ」
「さすが神様、話が早い。早速ですが、精神と時の部屋を使わせてください」
ミスターポポと神様の二人への挨拶もそこそこに、俺は本題を切り出す。
「あの部屋か。確かに修行には最適だが…地獄のような環境だと、お主でさえ半年で切り上げたのだろう?」
「ええ、だから今度は限界まで挑みます。まあどうにか強くなる見込みもできたので、この機会にいけるところまでいきますよ」
「…死ぬなよ悟空、お主が何をしようとしているかまではわからんが、どうにもお前は一人で背負いすぎるところがある」
「大師父にも近いことを言われましたよ。大丈夫です、なんだかんだ勝算はありますから」
拳を握って返すと神様は苦笑で答える。
「本来なら、お前一人に背負わすような事態ではないのだがな。地球の神といっても情けないものだよ」
「大師父と同じようなことを言うんですね。ですが、神様がいるからドラゴンボールがあるんです。備えとして考えればこれ以上無い代物ですよ。それでも納得できなければ、いっそのこと今以上に“強く”なってください」
「強くなる?私にも精神と時の部屋へ入れということか?」
「いいえ、失礼ですが今のあなたではとても耐えられない。ですが“強く”なる手段はそれだけではない、ということです」
「…むう、なにか知っているようだな。だが今は聞くまい。お前が精神と時の部屋に入っている間、わしもできる手段を取ってみるとしよう」
「ま、大切なのは“自分を見失わないこと”ですよ。ではこちらもその手段を楽しみにしています。…それでは、36時間後に会いましょう」
そう言って精神と時の部屋へと向かっていく。扉を閉めれば、ここから先は俺だけの世界だ。
…神様がどうなるかはわからないが、これはあの人の問題だ。けじめをつける必要があるだろう。
最悪の場合、俺はこの手で“彼”を殺すことになるが。戦いになっても、以前気の開放と固持は教えてある。早々遅れは取らないだろう。
「ああ、ミスターポポ。ちょっといいか?」
「どうした、孫悟空」
「これを預かっててくれ。使いどきはすぐにわかる」
一方的に頼まれ、渡されたものを使う理由がわからず困惑するミスターポポをよそに俺はさっさと精神と時の部屋へ入った。
さて、まずはスーパーサイヤ人の副作用を克服するか。いちいちムラムラしてちゃたまらん。
***
悟空の気が感じられなくなった。どうやら精神と時の部屋に入ったらしい。
地球の運命を託す。
そう言えば聞こえはいいが、自分自身のなんと情けないことか。
とはいえ落ち込んでいても仕方がない。
さて、占いババに相談せねばな。あとは界王様にもか。
ーーーそんな風に先のことを考えていたからだろうか、突如として現れた懐かしくも忌々しい気配に気づくことができなかったのは。
「ぐうっはぁ!?」
「ふ、ふふふ、取ったぞ、神よ…!」
自分の胸を見覚えのあるナニカが貫いている。どう見ても致命傷だが、やった相手に気付くと同時に違和感を感じる。こんなことをすればヤツも死ぬからだ。
「ピ、ピッコロ大魔王…!血迷ったか…!!」
腕を抜かれた勢いでふらつき倒れかけながらも、振り返って背後の“自分自身”と向き直る。
しかし驚くことに、ピッコロ大魔王もまた満身創痍だった。
「…ぐぅっ、つくづく忌々しい…!貴様と俺が同じ存在など、吐き気がするぞ偽善者めっっ…!!」
その目に宿っているのは憎悪。或いは怨嗟。或いは慟哭。
目の前で荒い息をついているのは、間違いなくかつての自分だ。
だが解せぬ。孫悟空を除けば地球上でピッコロ大魔王を倒すことのできるものなどいないはず。それがどうしてこうまでぼろぼろになっているのか。そもそも封印はどうしたというのか。まさかスラッグの手下が早くも現れヤツを部下にしようとしたか。だが、それでもヤツが私を殺すことには繋がらない。この事態は一体何がどうなっているというのだ。
しかし戸惑う私を前になにかを確信しているのか、ピッコロ大魔王は同じように苦しんでいるにも関わらず、どこか落ち着いた顔つきでこちらを見つめている。
「…ぜぇ、ぜぇ、理解できんだろうな、貴様には。だが、コトは一刻を争うのだ。さもなければ貴様と再びひとつになることなど考えもするものか…!!」
文字通り血を吐きながらそう告げるピッコロ大魔王。
融合とはなにか、と私が聞くよりも早く、ピッコロ大魔王の手が私の胸に触れ、私の手もまたピッコロ大魔王の胸に触れさせられた。
「ぜぇ、さて、どっちが残るだろうな…くくく、だが万が一貴様が勝っても、名前は教えてやらん。これは俺だけのモノだ…」
「ピッコロ大魔王、貴様一体…?」
「はああああぁぁぁっ!!!」
瞬間、光が私達を飲み込んだ。
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今見ているのは、誰かの夢、なのだろうか。
幼い子供が寝かされている。それはまるで私を幼くしたような姿をしている。
さらにそこには、私と同じ外見をした者達が幾人もいる。カタッツ、と幼子の傍らに立つ者が一際大きな老人に声をかけられていた。
これからその子は遠い星へと旅立つ、と言われていた。
今この星では天変地異がうずまき、すでに多くの同胞が死んだことを説明される。だが、幼子は理解できないのか、無垢な瞳でカタッツを見上げている。
カタッツと呼ばれた者は、幼子に向かって何度も「すぐに迎えに行く」と言い聞かせていた。
そこまで見て思い出した。
これは、私の記憶だ。
カタッツは、私の親は、私を迎えには来なかった。
どれだけ待っただろうか。
何もない荒野で、ひどく寂しく、寒かったのを覚えている。
ミスターポポが私を見つけてくれて、先代の神の元で暮らすことになった。
そこには、あのガーリックJr.の父親であるガーリックの姿もあった。まだ、魔族ではなかった頃の。
まだこの頃の私は、神になろうとはしていなかったはずだ。だからガーリックも、ことのほか私を気にかけてくれた。
少々傲慢ではあったが、あの頃の彼はまだ下界の人間を見守り導こうとする心を持っていたと思う。
しかし私は成長するにつれ、徐々に自らの力に溺れていった。
当時の私は、今の自分から見てもうぬぼれていたと思う。強力な力を求めるばかりに使えば地球をも壊してしまうようなドラゴンボールを作りだし、他にも神が成すような奇跡をいくつも成し遂げた。
今思えば、この故郷から遠く離れたひとりぼっちの場所で、私は誰かに認めてほしかったのだと思う。もう私を認めてくれる者達はいたというのに。
何度もガーリックにたしなめられた。神とは、そんな心構えでなろうとするものではないと。
だがそれを理解しようともせず、当時の私はガーリックが自分に嫉妬しているとしか感じなかった。彼が真実私のことを心配しているなど、考えもしなかったのだ。
やがて、我々二人のいさかいが争いに発展しそうな時、先代の神から『神となる為の条件』が提示された。
悪心を捨てきれぬ者に神になる資格はない、と。
きっとこれは、私達を試すと同時に変わってほしい私たちは共に競い合うようにして力をつけていった反面、心の修練という意味ではとても足りていなかった。本来なら、それは気の遠くなるような時間を費やして身に付けるものだったのだろう。
だが私たちはどちらからともなく焦っていた。いや、これは言い訳だな。きっかけは間違いなく私だろう。
早く神にならなくては。そのために力をつけなくては、と。そればかりを考えていたように思う。
そして結果は、未来の私が知る通り。
ガーリックは力を求めるあまり魔族となり、私は力の大半と引き換えに自らの悪心ごと半身を捨てた。恐らく、このとき過去の記憶も捨てたのだろう。必要ないと断じて。
私が神となろうと考えたのは、ただ誰からも認めてほしかったからだ。こんなにも単純で、だというのにこんなにも愚かな方法しか選ぶことができなかったのか。あのときの私は、致命的に方法が間違っていた。
やがて先代の神が次代の座を私に譲り、私は神となった。
しかし私の安心とは裏腹に、私の半身はピッコロ大魔王を名乗り、人々を蹂躙した。
そしてピッコロ大魔王は私の数少ない人間の知り合いである武泰斗によって、私が死なないよう魔封波によって封印された。彼ならば、倒すこともできたであろうに。
ああ、今なら言える。すべて、私が原因だ。
ガーリックが魔族となったのも。
武泰斗が私を守るために命を捨てたのも。
なんということはない。すべて、私の我が儘が原因ではないか。
こんな、こんな神などという立場のために、私はこんなにも大切な者達を犠牲にしていたのか。
すべては後悔に過ぎない。だが、許されるならば償いをしたい。
「その言葉に偽りはないか?」
気がつけば過去の情景は去り、目の前にはピッコロ大魔王が立っていた。
「…なぜこんなものを私に見せたのだ。お前は私を吸収し、かつての力を手にいれようとしたのだろう」
私に致命傷を負わせたのもそのためだろう、と暗に含んで問いかける。どうしてだろうか、目の前にいるのが自分だと確信しているせいか、どうしても素直になれない。
「ふんっ、どれだけ経っても成長せん!だからいつまでも失敗を繰り返すのだ」
「なにを言うか!貴様が、貴様が大魔王などと名乗り人間たちを襲いなどしなければっ…!」
「それで、俺には黙して動くな、と?馬鹿め、木石(ぼくせき)でもあるまいに。そもそも俺がやったことは貴様の願望そのものだ」
「でたらめをっ…!」
「聞け馬鹿者!仮にも神となっておいて逃げるでないわっ!」
勢いに黙ってしまう。なぜだ。そもそもこの男、本当にピッコロ大魔王なのか。
「俺からの説教など貴様には文字通り馬耳東風かもしれん。だがな、これだけは覚えておけ。自分自身のことなど、本当に捨て去れるものではないのだと」
「…なにを言っている?どういうことだ、ピッコロ大魔王!」
「…もう時間だ。あとの答えはお前自身で探すんだな。それと、生きていたらでいい。息子を頼んだぞ」
ピッコロ大魔王の全身が急激に光に包まれていく。眩しくて目を閉じることしかできない。
「待てっ!ピッコロ大魔王!どこへ行くっ!待て!」
光の本流が収まっていくのと同時に、私の意識が切り替わっていく。
気がつけば、ミスターポポが私を起こしていた。
「ミスターポポ、ここはいったい…はっ、ピッコロ大魔王は、ヤツは何処へ行った!」
「わ、わからない。神様と大魔王、光ったと思ったら神様が倒れてた。大魔王はいなくなっていた」
「ま、まさかっ!?」
慌てて自分の胸に手をやる。ピッコロ大魔王に受けた傷は塞がっていた。ミスターポポが駆け寄ってすぐに仙豆を食べさせてくれたらしい。そこにあった“神”の文字は、まるでヤツからの当て付けのように削れてしまっている。
「…ふっ、あの馬鹿者め。本当に名前を持っていきよったわ」
過去の記憶すべてを見たはずなのに自分の名前だけが思い出せない。名前はヤツに持っていかれてしまったようだ。ピッコロ、か。故郷の言葉で“違う世界”を意味する言葉。私以上にヤツは孤独だったのだな。ならばその名は、この不出来な神にこそ相応しいのやもしれん。
感傷に浸っていた私だったが、背筋を通る寒気に立ち上がる。…何者かが、この天界へとやってこようとしている。
「ケケェ!厄介な結界をようやく消せたぜっ!」
はじめに現れたのはまるでカエルのような見た目をした小柄な魔族。だが見た目とは裏腹にその力はさっきまでの私とは一線を画している。だが妙だ。なぜここまで近づくのを気づけなかったのか。
「やっと破れたのかメダマッチャ。まったく、スラッグ様に禁じられてなければ人間どもを食ってたのによお」
次に現れたのが先に現れた魔族とは対象的に大柄な魔族だ。ピンク色の肌に、まるで鬼のような角が生えている。
「んん?なんだかさっきまでとは雰囲気が違うなあ?まあさっきのえらく強そうなヤツもいないことだし。おい、お前もスラッグ様と同じ種族なら、大人しく我らが軍門に下るがいいっ!」
メダマッチャ、小柄な魔族が叫ぶ。…徐々にピッコロ大魔王の記憶が蘇ってくる。そうか、奴らが私の半身を。
「貴様らがなぶっていた相手はもはやこの世にもあの世にもおらん。大人しく逃げ帰るならこの場は見逃してやってもいいぞ」
言葉に怒りがこもってしまう。この怒りはヤツのものだ。そして言葉とは裏腹に奴らを逃がすつもりはない。
「ケエ!相変わらず口だけは達者なヤツだぜ!ゼエウン、手を出すなよ。スラッグ様と同じ種族のようだからと手加減してやっていたが、今度はぶっ殺してやるぜ!」
言うや否やメダマッチャがこちらへ突っ込んできた。その動きをしっかり把握しながら、私は服をこれまでのゆったりしたモノから、ピッコロ大魔王と同じように戦闘を意識した胴着姿へと変える。胸にかつてのように神の文字がないのは、私なりのけじめだ。
「死ねえっ、ぶげえっ!?」
両腕を広げて向かってきたメダマッチャの腹を力任せに打ち抜く。苦しげに呻く魔族を、後から追撃してきていたゼエウンと呼ばれた魔族へ向かって投げ飛ばす。
「なにい!?ぐあっ!」
メダマッチャの体に邪魔され突進を止めたゼエウンの横っ面に、手加減なしの突きをくれてやる。
その大柄な体を強烈にスピンさせながらゼエウンは足元に落ちたメダマッチャを潰すように倒れこむ。
「ぐはあああっ!」
「ぐげえええぉうっ!」
「どうした、そんなものか」
「お、おのれええ!」
ゼエウンが怒声をあげて突っ込んでくる。激しい乱打が見舞われるが、そのすべてを交わしていく。
すると、後ろで控えていたメダマッチャの様子がおかしいことに気付く。
「ケケッ!もう遅え!」
メダマッチャの体から現れた小型のメダマッチャが飛んで来る。
今までの私ならば為す術もなかっただろう。だが今となってはこの程度の動き、驚異でさえない。
私はゼエウンの乱舞をことごとく逸らして小さなメダマッチャを殴り飛ばさせていく。
「ゼ、ゼエウン!なにやってやがる!?」
「し、しまったあ!?」
「…大魔王からの贈り物だ。冥土の土産に持ってゆけ!」
動揺する二人の隙をつき、右手に気を集束し高めていく。
「爆力魔波!!」
解放された気の奔流が魔族二人を押し流していく。爆発が収まったとき、そこに魔族の姿はなかった。
「…ぐう、はぁ、はぁ、はぁ。気の解放と固持か、実戦でこうも消耗するとは。これは、私も本格的に鍛え直さねばなるまいな」
膝をついた私にミスターポポが駆け寄ってくる。随分と心配をかけてしまったな。
彼から仙豆を受け取り回復を済ませると、下界の様子を見るために天界の端へと足を運ぶ。そうだ、ヤツの、いや私の息子も探さねばな。…それと、出てきたら悟空にも話を聞くとしよう。なにやら知っておったようだし。
***
精神と時の部屋での修行は順調に進んでいた。
厳しい環境に身をさらし続け、その状態で体力を限界まで追い込む。
限界が来たら仙豆を一口だけかじって倒れるようにして眠りにつく。
この二ヶ月ほど、このサイクルを繰り返していた。
今もスーパーサイヤ人になったまま、あえて気を全開で放出しながら一人稽古を続けている。
何万回目かわからないほどに繰り返し続けている型の反復稽古を終わらせると、痛む体を無視して休まず修行を続ける。
「ふっ!」
虚空に相手を見立て、気を具現化して人形を作り出す。様々な動きをあらかじめトレースしたとっておきの技だ。
そしてイメージした見た目は、最終形態のフリーザ。
仮想フリーザに向かって連続で突きを打つ。相手からも突きが返ってくるのをしばらく互いに互いの拳を逸らしたり打ち落としたりを繰り返し、機を見計らって交差させた拳で顔にカウンターを打ち込む。
しかし仮想フリーザは俺のカウンターをこちらへ突っ込むことで威力を最小限に抑えると、そのままこめかみを狙って超至近距離で上段蹴りを放ってくる。“円”の結界でそれを察知し、体を横倒しにしてそれを避ける。そのままきりもみしながら仮想フリーザの脇腹に膝蹴りをぶちこむ。
無防備な場所への一撃は相手の体幹を崩したが、敵もさしたるもので、そのままでは終わらず尻尾を伸ばして顔に叩きつけてくる。不安定な体勢で受けた一撃によって俺は地面に叩きつけられるが、仮想フリーザもバランスを崩してその場でたたらを踏んだ。
しかし体勢的に仮想フリーザの方が立て直しが早い。俺は次の一撃を警戒して腕を交差させるが、仮想フリーザは不安定に揺らぐと気の固まりに戻り霧散して消えてしまった。
「…やはりまだ不安定だな。とはいえ、他に組手をする手段もないわけだし、この辺は今後の課題か」
こうして日に数回仮想敵との組手を繰り返し、合間に型稽古を繰り返す。
見た目はイメージ次第だから色々と試している。できるだけ原作のイメージを元に構成し、ベジータ、フリーザ、セル、ジャネンバ第二形態、ヒルデガーンとやってみた。一定以上のダメージを負うと消えてしまうのは共通だが、それなりに面白い。
型稽古は同じことの繰り返しだが、その回数は日増しに増えている。
この環境での稽古はひどくぶれるし、普段と比べれば時間もかかる。
それでも繰り返すことで誤差をなくしていく。
一日の目標は一万回。誤差の修正も念頭に入れているし、仮想組手もあるので一万回を一日でこなすことはできない。それをひたすらに集中力をあげることで、練度と速度を高めていく。
突き、払い、蹴り、防ぎ、流し、逸らし、薙ぎ、打ち、留め、受ける。
時間の概念が異なる世界で時間を忘れて没頭する。
気絶するように倒れる直前、仙豆をかじる。体力を回復させてから眠りにつく。
深い眠りから覚めると、力が増しているのがわかる。
再び同じ事を繰り返す。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ふと、精神と時の部屋に入っていられる時間を示す砂時計を見ると、ここに入ってから約一年が過ぎているのに気づいた。
そこで、これまでの修行をお浚いする形で一日を過ごすことにする。
型稽古一万回は半日で終わった。結果的に万を越えた型はまるでひとつの動きのように流れ、力の使い方における精密さが増したことを確信する。
気の人形との組手は、仮想フリーザを6体同時に相手にした。気を具現化する際の精緻さが上がったので、これまで以上に長持ちしてくれる。
俺の動きも組み込んだため少々手こずったが、5分程度で倒すことができた。
さらに残りの半年は、瞑想しながら自分の力の源泉を探ることにした。
一ヶ月ほど過ぎた頃、下腹の底からマグマのように沸き上がる力を見つけた。
試しにその力を汲み上げてみようとしてーーー危うく死にかけた。
今の限界を遥かに越える力だったものの、コントロールできずに全身を爆散させるところだった。
残りの時間はこの力を制御するのに費やすことにしよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どうにか力の制御に目処が立った。切り札としては充分すぎるが、これは最悪使えば死ぬな。
砂時計を見ると、どうやら精神と時の部屋のタイムリミットが来たようだ。
俺はフリーザを倒せるだけの力を得たことを確信して、外へと出るのだった。
主人公によるおじいちゃんらの魔改造開始(´・ω・`)
ちなみに主人公は隠れるピッコロ大魔王には気づいていましたが、メダマッチャとゼエウンには気づいてません。その理由は次回以降ピッコロ大魔王の回想にて。