俺は、別に女子高生好きなつもりはない。
女子大生の三葉さんも大好きだし、付き合い始めた高校生の頃からずっと大好きだった。
しかし、この身体つきは――間違いない。あの当時の、彼女のものだ。
三葉さんの胸が自分についている、というのも不思議なものだが――この膨らみは間違いない。
しかも……この
なるほど……女は乳首を捏ねられると、こうなるわけか。むず痒いような気もするが、触り方によっては楽しくなってきそうではある。
恋人の身体ともなれば見慣れたものだし、いまさら夢中になるほど執着はしないが……
それでも、その
俺は寝間着から下着までパパっと脱ぎ散らかし、自分の身体を
中でも一番気になるのは、やはりここだ。
男としてあるモノが、そこにはない。
代わりに、プニプニと左右の唇が膨らんでいる。
それはまさに、女の――三葉さんの、ソコだ。
しかし、その感触は……ペトリとしている。
濡れる前、というのはこういうものなのか。
俺はいつだって、三葉さんから誘われるがままに応じてきた。
つまりそれは――
滴るほどに昂ぶっていたからこそ、俺を求めてくれたのだろう。
だが、今の俺は、立花瀧だ。
自分自身と抱き合いたいなどとは思えない。
どうすれば気分が盛り上がるか――と少しだけ考えてみるも、答えはすぐに出る。
今の身体は可愛くて綺麗で、そして――扇情的だ。
この姿を鏡に映しただけで、胸がどきどきと高鳴ってくる。
しかも、自分の意志で、自由に手足を動かせてしまう。
彼女の身体を、好きにできる。
普段の三葉さんが、絶対にしないようなことを。
ガニ股になって割れ目に指を入れ、乳首を引っ張り上げるように胸を揉む――
乱れた三葉さんと抱き合ったことは数あれど、一人で耽っているところを見たことはない。
俺の知らないところで、こんなことをしていたのだろうか。
端なく、
淫らに、
この快感に酔い痴れて――
「……お姉ちゃん、何しとるん?」
こ……この家にはノックの習慣はないのか!?
まあ、ふすまだということもあるが。
いくら自分の裸体ではないとはいえ……見られて平気な痴態ではない。
あまりの事態に心臓は跳ね上がり――夢から覚めてしまうかと思った。
が、俺の頭は未だ熟睡しているらしい。
だから、
平然と答える。
彼女の口から。
妹の前では言わないであろうことを。
「オナニー。こうやっておっぱいやおまんこイジると気持ちいいんだよ?」
これに女子小学生が頬を赤らめることはない。
ただ、首を傾げて、
「ふぅん……私も今度やってみる」
余計なことに興味を持たせてしまったかもしれない。
が、幼女はそれほど執着することもなく。
「ああそうそう、ご飯できたからね。今日は瀧君とのデートなんでしょ?」
急がないと電車に遅れるよー、と彼女が言うのなら、急がなくてはならないのだろう。
詳しいことは判らないが。
それが、夢というものである。
だが、夢であっても――
三葉さんにデートをすっぽかされたら、悲しむと思う。
ならば、待ち合わせに向かっておくべきだろう。
自分とのデートなど、楽しいことなど何もないのだが。
三葉さんの家には何度も行ったし、同じ部屋で着替えたりもしている。
が、それはすべて、東京に移り住んだ後のこと。
糸守の家には一度しか行ったことがない。
だから、彼女の部屋とはいえ、どこに何があるのかさっぱりだ。
特に、財布がなければ電車にも乗れない。
それらを探しているうちに――
「まだパジャマなん? お姉ちゃんが七時に出るー、ってゆーから、私、休みの日なのに早起きしてご飯用意したんに」
ぶすーっと不機嫌そうな四葉が、相変わらず挨拶もなしに部屋の襖を開けてくる。行く準備もせずにダラダラ過ごしているように見えているのだろう。
実際のところ、結構焦っているのだけれど。
何しろ、先程ようやく財布を見つけたところなのである。妹により宣告された七時まではあと一五分。その短時間で身支度を整えなくてはならない。
三葉さんは髪を色々やっていたけれど……改めて思い出そうにも、詳細は謎に包まれている。
クローゼットを開けて、着るのが楽そうなワンピースを一枚手に取った。
……む、かぶれば済むかと思ったのに、前開きでボタンが付いている。面倒くさい。
下着類を探している余裕もないので、寝起きのままに家を出てしまった。
一晩穿き尽くしたと思われるパンツに……ノーブラ。
正直なところ、女の乳首を甘く見ていた。服の上からでも思いの外目立ってしまう。
だが……ま、いいだろう。その方が、<俺>も喜ぶだろうから。
糸守から東京――あの夏の林間学校で一往復だけしかしたことがない。
が、スマホには経路のメモが残されていた。それに従っていれば、遅れることはないのだろう。
だが……
この到着時刻、
そして、着替える時は焦っていたので意識していなかったが、もしかしてこの服は――
極めつけに、自分自身と出逢って確信する。
「ああ、案外迷わなかったな」
待ち合わせのビルの下に、<俺>がいた。
普段は着ることもないジャケットなんかを羽織って。
あの学校行事を除けば、初めてのデートだったからな。
どんな服で行けばいいのか、凄く迷ったのを覚えている。
だから、小さな俺の上下一式について記憶に違うことはない。
これはまさに――あの日の再現か。
とはいえ、立場が逆になっているけれど。
ならば、試してみたいこともある。
この三葉さんは、俺の望むがままに動かせてしまう。
だから――
「ねぇ、瀧君。おっぱい触って欲しいな」
休日の昼間だけに、周囲は人で溢れかえっている。
なので、さすがにこっそりと耳打ち。
が、<俺>にはしっかりと届いた。
耳と心と、そして下半身に。
あの日の三葉さんも……ノーブラだったんだよな。
最初は縫製の都合で突き出しているように見えているだけかと思っていたけど――公園のトイレで致す際に、見せてもらって驚いたものだ。
そんな彼女の胸の先を、俺は意識せずにはいられない。
今、三葉さん自身の立場となったことでよく判る。
コイツ……触りたいんだな、と。
これから見に行く映画の話とかしながらも、浮いた乳首をガン見じゃないか。
それで、あの日も『触りたい?』などと挑発的に誂われたのだろう。
とはいえ、あの時の俺は照れ臭くて『今はいいよ』なんて拒んでしまったんだよな。
だから、今度はもっと露骨に。
何故なら……俺自身、触りたい気分になっていたから。
もしかすると、中身が擦れることで変な気分になってしまったのかもしれない。
ならば、一人で触るより、<俺>に触らせた方がお互い幸せなのだろう。
「瀧君におっぱい舐めて欲しいな。……イヤ?」
こうやって否定を絡めて迫れば、断れない。
それは、自分自身よく判っている。
実際、<俺>の答えは一つ――
「……あ、あぁ……うん」
目も合わせられないか。情けない。
既に、セックスまで済ませているというのに。
ともかく、映画までの時間は充分ある。
あの日はロビーで開演時間まで暇を持て余していたが……今回は、そこのDVD屋に立ち寄らせてもらおう。
一階は一般向けで、二階は成人向け。
しかし、店頭からこうも不健全な雰囲気を醸し出されては、健全モノを買い求めに入ろうとも思えない。
実際、下のフロアは閑散としている。
だから、俺たちはここに来た。
ここに、中学生の俺を引っ張って来た。
二階の年齢制限ゾーンに踏み込んで、店員に止められても厄介だからな。
こうして、胸を晒すには。
「お、おい……!?」
中身を気にしていながらも、いきなり
ポチポチポチ、とボタンを外して、開いた先には二つの肌色の膨らみ。
<俺>のヤツ、すっかり釘付けになってやがる。
だが、あまり時間もない。色んな意味で。
「ね、おっぱいしゃぶってよ。もう片っぽの乳首もコリコリしながら」
ちゃんと言えば、<俺>は断れない。
何しろ、舐めたくて、
触りたくて、
ずっとウズウズしていたのだから。
待ち構えていたように前身頃の隙間に顔を突っ込んで――
「くぅんっ❤」
っと、何だ、この声。
自分のことながら驚きだ。
いや、この身体は三葉さんのものだけど。
しかし、<俺>からの愛撫はしっかりと
男から舐められてるというのに……不思議と嫌悪感はない。
あるはずのない膨らみだから、実感がないのだろう。
性感だけはあるのに。
そしてそれは、別の場所にも如実に。
あるはずのものがないところが――疼いてくる……!
「瀧君……下も……おまんこも……っ!」
言えば何でも応じてくれる――と、思っていたのだが。
「ああ、いや、それは……」
「ダメなの?」
胸の間で呻く<俺>に続きを催促するが、彼は股間に触れようとしない。
何故ならば。
「そろそろ、映画が始まるから」
「あー……」
男子中学生といえども、女体に夢中になって当初の目的を忘れるほど呆けていなかったようだ。
一方の俺は、あまり興味ないんだよな。
何しろ、三年前に一度観ているから。
「なら、上映中に触ってくれる?」
答えを聞く必要はない。
そのような形であれば、断る理由はどこにもないから。
ついでだから――と、勝手に準備を始めてしまう。
スカートってのは、こういう時に便利なものだ。
裾から手を突っ込んで――取り出したものを<俺>に託す。
「はい、前払い。おまんこだけでなく、おっぱいもお願いね」
「ぅ……ぅん……」
少しだけ手触りを楽しんだところで、ポケットにしまったようだ。
俺が着ていた数少ない衣服のうちの一枚を。
つまりこれって、肌の上に直接ワンピースを着てるだけ、なんだよな……。
自分でさえ意識してしまうというのに、<俺>からの視線はなお激しい。
上と下を舐めるように。
これが自分だと判っていても、ちょっと怖いぞ。
これまでこんな経験などしようもなかったが……女って大変だな、色々。
結局のところ、<俺>が映画を観れていたのかは判らない。
少なくとも、こちらは流し見程度だ。
館内が暗くなると同時に俺はワンピースのボタンを解いてしまった。
股下からヘソの辺りまでを切り裂くように。
そして、足を開けば、そこを狙って隣の席から腕が懸命に伸ばされてくる。
これは思っていたとおりの――いや、それ以上か。
やはり、自分の意識の外から触れられるのは、凄まじい。
それは先程胸に受けた愛撫で理解していたつもりだったが――
ここは性感帯の坩堝なのだろう。
声を抑えることすら難しい。
「……ん、ん……はぁ……っ❤」
ただの呼吸に、妙な色が混じってしまう。
映画の大音量に掻き消えてくれているが……逆隣には聞こえてしまっているかもしれない。
ここまで耐えているにも関わらず――
確かに、クリトリスは堪らなく
きっと、<俺>の方も耐え難いほどに滾っていることだろう。
これはもう――そのままにしておくことなどできそうにない。
映画の次は博物館に寄ることになっている。
駅間は三つほど離れているが、あえて電車は使わない。
三葉さんが東京見物をしたいと言っていたので、昼飯処を探しながらブラブラと目的地を目指す予定になっていた。
とはいえ、今の三葉さんの中身は俺である。この街並みが物珍しく映ることはない。
だが、たまたま入ったカレー屋が意外と美味しくて、今でも近くを通りがかったら寄ったりしている。なので、そこは外したくない。
夢の中は過去とはいえ――このあたりは今とよく似ている。特に急開発が進んでいることもないし。
これなら、同じことができそうだ。
彼女に、今でも求められることを。
「瀧君、ちょっとこっちに……」
「?」
繁華街からは随分離れたので、人通りはそう多くない。
むしろ、この辺り――ビジネス街は、休日の方が閑散とする。
少し古めの雑居ビルは、土日は営業していない。それは俺も三葉さんもよく知っている。
何しろ、このあたりで立ち寄るのは、件のカレー屋だけではないのだから。
「ね、ビデオ屋さんの続き……❤」
ここの階段は重い扉に隔てられており、心情的にエレベータを使いたくなる。だから、この踊り場に足を運ぶ者はそういないだろう。
だから、今度はただ肌蹴させるだけでなく――そのまますべてを床に落としてしまった。
「み、三葉さん……!」
驚きながらも、<俺>は止めない。
徐に、女の性感帯に飛びついてくる。
今度は中断される理由もない。
そして、必要以上に声を我慢する必要も。
「あ、ぅん……あはぁ……❤」
静かな階段だけに、多少は反響してしまう。
が、外まで聞こえるほどでもない。
何より、自分で出しておいてナンだが――
三葉さんの嬌声はやっぱり可愛い。
「あぁん、はっ、あぁ……はぁ……」
だが、コレは……やっぱり、もう……
明らかに
「瀧君……おちんちんちょうだい❤ 三葉のおまんこに、瀧君のおちんちんを……!」
<俺>の方も、
そこに何が入っているか――自分のことだからよく知っている。
だから、その手をやんわりと止めた。
「あ、ゴムは要らないよ。今日は大丈夫な日だから……ナマで
女子の身体についてはよく解らないが、あの夜、三葉さんがそう言っていたのだから大丈夫なのだろう。
そして、女子から言われれば――男子に拒みようもない。
<俺>に背を向ける後ろから腰に手を伸ばし、割れ目に妙なモノを充てがうと――
「く、ぅ、ぁぁぁ……っ!」
コ……コレ……凄くないか……!?
こんな無茶なモノを……三葉さんは……!!
だが――
彼女と交わる度に、俺は気持ち良く――そして、幸せだった。
きっと、繰り返していくうちに慣れてはいくのだろうけど、まだ二回目である。
今日が、初めての東京デートだとしたら。
ならば。
この苦しみは自分自身のもの。
まさに、因果応報。
はっきりいって、
三葉さんの
既に一度経験している今日でさえコレなのだから、美術室で抱き合ったあの時は……さぞ苦痛を味わわせてしまったに違いない。
なのに、そんな素振りはまったく見せなかった。
だからこそ、彼女への感謝の気持ちを込めて――
続きは俺が、俺として受け止めよう。
「瀧君っ、好きなだけ激しく……気持ち良くなっていいからね……!」
「はい! 三葉さん……っ!」
当時の俺は、彼女を疑うことを知らなかったな。
三葉さんが良いといえば、際限なく甘えてしまう。
彼女の気苦労を知ることができて、本当に良かった。
そして、その先に訪れるものも。
「俺……俺……
じわっ……じわり……じわり……
「あ、あ、あぁ……あぁ……」
これが……
案外しっかりと感じるものなんだな……
これは少し、嬉しくなってしまう。
「はぁ……あぁ……三葉さん……っ!」
こうして事後の余韻を楽しめるのも、
しかし――
この後の予定を考えると、あまりゆっくりしている場合でもなかったのかもしれない。
それから大人しく件のカレー屋へと立ち寄ったが……少し時間を取りすぎてしまったようだ。ランチメニューには間に合わず、お得なセットは終了済み。
少々高くついてしまったが――俺も、<俺>も満足していた。
「あんなところで
「それはー……んー……ずっと、東京のこと考えてたからねっ」
と誤魔化してみるも、あの場所を見つけたのって、最近のことなんだよな。
最初は、待ちきれなくなった三葉さんに連れ込まれて、ビクビクしながらだったけど。
もう少し早く気づいていれば、ホテルに泊まりづらかったあの頃から、もっと色んなところで楽しめただろうに。
そう考えると……今日のうちに体験できておいて良かったな、昔の俺。
食後に、もう一件だけ静かなビルに立ち寄って――当初の予定だった博物館へとやってきた。
並んでいる品々を改めて観てみると、当時は気づかなかったことが発見できて、新たな楽しみも味わえたような気がする。
とはいえ――
やっぱり<俺>は三葉さんの身体が気になってしまうみたいだな。展示物を眺めながらも、しきりに
そして、それは俺も同じこと。
三度目ともなると、もう少しうまくできそうな気がしてくるし。
「あ、そうだ。ちょっとあっちの非常階段で……
機会がありそうなら、できるだけ
こうすることで、この
先程のように全裸にはなれないが、ワンピースの裾を捲り上げれば、三葉さんの女のコはすぐ露わになる。
<俺>もせかせかと股間を取り出し……
遠慮なく、
躊躇なく。
「くっ、ぅぅん……ん……❤」
今となっては、三葉さんが俺を求めてくれた理由が少し解る。
確かに、キツいことはキツいのだけど……
何故だか
もう少し柔らかければ楽なんだが……と思いながらも、この圧迫感も悪くはない。
だから……どうしても声が出てしまう。
階段は音が響くというのに。
「ん、んっ、はっ、ん……っ」
来場者は基本的に順路に従い広い方の階段を使う。
そっちには写真も並んでいるし。
だから、ここには誰も来ないはず。
お願いだから、来ないで欲しい。
もう少しで……アレを味わえそうだから。
今朝、鏡の前でクリトリスをいじっていた時に達した感覚。
それを、膣の中に
「んんっ、ん……んんん~~~!?」
おぉっ!?
堪えきれずに膝が折れちまった!
掴まるところも……ない!
突然のことに後ろの<俺>には支えきれず……そこから滑り抜けるように床に突っ伏す。
だが、
きっと、もうすぐだったろうに。
そんな時、三葉さんは決まってこう言ってくれた。
「瀧君も
高々とお尻を掲げて誘えば、男は簡単に食いついてくる。
残念ながら少しばかり立ち上がることはできそうにないので、これで勘弁して欲しい。
とはいえ――
「ん!? んんっ、んん!! ん~~~❤❤❤」
何かに抱きついていなければ自分を保てなさそうな。
あぁ……三葉さんにキツく締め上げられたことは何度もあるが、こういうことだったのだろう。
とはいえ――
いくら身体は女でも、男にしがみつきたくはないな。
仕方がないので、俺は三葉さんの胸を抱く。
元の身体に戻った時には、目一杯彼女の柔らかさを味わいたいものだ。
自分も男として自覚はあるが――一度
が――どうにも調子に乗ってるな、昔の俺。
いや、むしろ、夢中になっているのかもしれない。
「三葉さん……その……」
ただ道を歩いていても擦り寄ってくるし、電車の中でも寄りかかってくる。
あれから追加で二回もしたのに、まだ足りないのか。
こっちは、少し疲れてきている。
何しろ、相手が男だしな。そこまで燃えない。
ちゃんと中身が三葉さん本人なら、異性だけに多少は変わってくるかもしれないが。
ともかく。
最寄り駅に着いたところで――この辺りは、何度も抱き合っているので勝手もわかる。
土曜日の夕方なら、あの駐車場がいいだろう。
営業時間外のトラックが、これまで走り出した試しはない。
だから、少し大胆に――
「みっ、三葉さん……こんなところで……!?」
「大丈夫大丈夫❤ だけど……手早くお願いね」
そして、根こそぎ搾り尽くしておきたい。
こっちが全裸になれば、興奮もひとしおのはず。
最後の一滴まで
この先には、できる限りこのような雑念は持ち込みたくない。
何しろ……父さんと会うのだから。
自分の父親への他人行儀な挨拶。
何とも奇妙な感覚だが――当時の三葉さんの様子を思い出しながら、何とか卒なくこなすことはできた。
まー……父さんは基本的に余計なことを喋る人ではないし。
だとしても。
親のいる家で、これまでのように抱き合うのは無理だ。
何より、テンションが上がらない。
<俺>の方も……複雑な表情をしている。
ここまでずっと、三葉さんの女を注ぎ込んできたから、それが欲しくて仕方がないのだろう。
だが、家に父さんがいては、気軽に求めることもできない。
風呂だって、本当は一緒に入りたいはずなのに。
どうやったってそういう雰囲気にはなれず、俺はこうして一人で浴室にいる。
だが――
俺は、三葉さんの裸に欲情してしまうんだよな。
それが、自分の身体だったとしても。
身体を洗うために肌に触れると、どこもかしこも柔らかい。
だから、撫で回しているだけで気持ち良くなってしまうし――
もっと気持ち良くなりたくなる。
時々トイレで拭いてはいたけど、今日は一日中
ちゃんと洗っておくべきか――と指を差し入れると、ついその目的を忘れてしまう。
手探りで皮を広げて――ボディソープで磨き上げる。
「っ、ん、くっ、ん……❤」
この声を聞かれるのが<俺>ならともかく、父さんにバレたら恥ずかしい。
それに、あっさりと済む男のオナニーと異なり、女ってのはじわじわと高めていくのに時間がかかる。
自分の喘ぎがやたらと響き渡るのに耐えきれず――俺は中途半端なところで切り上げてしまった。
しかし、やっぱり
何というか、雰囲気というのは案外重要だったようだ。
燻る身体を慰めようとトイレに入ってみたものの、どうにも気分が煮え切らない。
それは<俺>も同じようで、一人で股間をモジモジさせている。
もう自分の手などでは満足できなくなってしまったはずだ。
三年後の俺が、そうであるように。
並べて敷かれた布団の中で、俺たちは少し離れて語り合っている。
楽しかった今日のことと、
楽しみにしている明日のこと。
しかし――
一日の思い出といえば、セックスばかりだったよな。
だから、明日に馳せる思いも、どのような形でセックスするか、ということばかり。
勿論、お互いそれを口にはしない。
それでも、あからさまに意識している。
観覧車の中って、やっぱり丸見えかな――などと。
外の景色を楽しむものなのだから、窓は開けているに決まっている。
それなのに……締め切って欲しいと願うなんて。
まったくもって馬鹿げている。
だとしても、
セックスのことを考えずにはいられない。
そして、それはこちらも同じこと。
中身は、同じ人間なのだから。
一応、明日に備えて寝ておこう、という体は取っている。
が、一向に眠気は来ない。
きっと、<俺>も寝入ってはいないのだろう。
時刻は午前三時。それでも、俺は三葉さんのままだ。
この先、いつまでこの身体なのだろう。
それとも、ずっとこのまま……?
さすがに、三葉さんとして自分自身と愛し続けるのは無理がある。
そろそろ元の身体に戻りたいところなのだが。
少しだけ、この状況が恐ろしくなってきたところで――
<俺>も我慢ができなくなってきたらしい。
草木も眠る夕闇も相まって――
「三葉さん……起きてる……?」
自分の布団から這い出してきたと思えば、こっちに潜り込んでくる。
だが、それ以上は何もしない。
何もできない。
まー……当時の俺からすれば、ここで変なことをして父さんから怒られたらマズイ、って恐怖が大きかったからな。このくらいが限度なのだろう。
しかし、中途半端な温もりで、身体の疼きは癒せない。
むしろ、余計に肥大化させて――
「そのー……夕方の駐車場で、ちょっとだけ」
こっそり家を抜け出して、
とはいえ――
あの場所は、むしろ夜の方が危うい。
運送のトラックは、この時間帯の方が活発だから。
とはいえ、こちらとて無碍にあしらうつもりはない。
服の上から胸を揉まれて、
股間を
だから。
「それよりもっと良さそうなところ……途中で見つけてきちゃったんだ♪」
実際は、前を通りがかっただけであり、その様子を覗き込んだわけではない。
それでも、俺は知っている。
<俺>もこの先知っていくことになるのだろう。
三葉さんと二人で築き上げていく、甘く際どい思い出の数々の中で。
いくら東京が人の多い街だとしても、この時間帯の住宅地をうろつく不審者はそういない。
その静けさについ気が大きくなってきたのか――俺は待ちきれずに、道すがらボタンを外し始めていた。
「お……おい……」
と恋人の身を心配しつつも――すっかり滾っているんだろうな。止めることはできずに、服の隙間と周囲を窺うのに、コイツの視線は大忙しだ。
この慌て方は、見ていて面白い。
だったらもう……!
「瀧君……もしもの時は、守ってね❤」
自分が言われて嬉しかったことは、やはりよく覚えている。
三葉さんと、危険なところで楽しむ時は、こんなことを言われたものだ。
男として頼られている――そう自覚すると、勇気も湧いてくる。
男としての勇気。
男としての自覚。
それが、より三葉さんという女性を求めさせるのだった。
が、もしかすると……
彼女も彼女で、好んでそのようなことを口にしていたのかもしれない。
守られなくてはならないほどに弱々しく、
それでも、無防備に、
魅惑的な身体を曝け出している。
俺の大好きな、三葉さんが。
女を意識すると、俺の中の男としての本能が
女としての性欲を駆り立てる。
もはや、今すぐにでも
こんなに昂ぶったところで交わったら、さぞ
「み、三葉さん……俺も……脱いでいい……?」
昔も今も、俺に露出趣味はない。
俺が裸になりたいと願う理由はただ一つ。
裸の三葉さんを、力いっぱい抱きしめたい時だけ。
そういえば、今日はずっと後ろから撞いてもらうばかりだったからな。
やはり、シたいのだろう。
前から。
三葉さんの身体を眺めて抱いて。
こちらとしては、男の裸体など見せられては、気分も萎えてしまうのだが……
当時の自分を思い出すと、なけなしの勇気を振り絞ったのだろう。
それを切り捨てては……あまりに残念過ぎる。
だから、どうにか<俺>の希望も叶えてやりたいのだが……
このくらいで、勘弁しておいてもらおう。
「なら、良さそうなところがあるから……段ボール探してきてくれる?」
パッと瞳を輝かせて、だったらあの商店の裏とかにあるはず! などと<俺>は喜々として先を指差す。
意外と、そのようなところは覚えているらしい。
そして、どのように使うかもすぐに勘付くことだろう。
外泊もしづらかった当時の俺たちに、選択肢は殆どなかった。
そんな中でできることなど……このくらいしかない。
はっきりいって、半分以上<俺>へのサービスである。
こちらとしては、膣に
なので、自分から何をするつもりもない。
すべては<俺>に任せよう。
「じゃ……私のことは瀧君の好きにしてね♪」
それだけ言って、俺は寝そべる。
段ボールを敷き詰めた、ドーム型の遊具の内空間で。
コンクリートの天蓋は外壁こそカラフルなれど、中から見ると夜空よりも暗い。
闇から目を逸らすように、俺は目を閉じた。
この公園は広い割にスポーツをするには地面がガタガタで、早朝のランニングにも忌避されている。
だから、明るくなるまで人がやって来る理由はない。
このように――あえて人目を避ける以外には。
「三葉さん……俺……もう……!」
前戯もなしか――と一般的な基準と照らし合わせてみるも……そういえば、自分もそのようなことを特にしなかったのを思い出す。おそらく、二人でじゃれ合っているうちに、彼女も
そして、自身の女を剥き出しにした頃には、もう――
「はぁん……あ……❤」
<俺>の指がわざとらしくピチャピチャと音を立てる。
こんなに濡れているのだからもういいだろう? と。
前戯なら、既に済ませている。
女の恥ずかしいところを、
可愛らしいところを、
夜の街に見せつけてきた。
その場ですぐに犯してくれ、と言わんばかりに。
だから、俺はそれを告げる。
「今すぐ瀧君の好きなように……犯して❤」
「三葉さんっ!」
<俺>が……!
男子中学生が、俺の身体にまとわりついてくる!
股の間には硬くなったところを突き立てて、
唇に唇で吸い付き、
更には舌まで……!
男の荒い鼻息が気持ち悪い。
だが――
「んっ、んふぅ、ん……んん~~~!?」
激しい……
激しすぎる……!
やはり、人の
後ろから撞かれていた時とは比べ物にならないほど、
それが何度も、
何度も。
ダメだ!
こんなのダメだろ!
耐えられない……
気持ち良すぎて……
壊れちまう……っ!!
「んっ、んんっ……んんん~~~❤❤❤」
本当はこんな硬い身体なんて抱きたくないが、
どうしても身体が求めちまう。
何かにしがみつかずにはいられない……っ!
「ンーーーっ! フムゥーーーっ!!」
男の舌に口の中を蹂躙されている。
欲情した自分の顔なんて見たくもない。
だが……その身体が……!
男の身体が、女の身体を支配していく。
目を閉じていても逃げられない。
これ以上されたら、本当に頭がおかしくなりそうだ!
「んっ、んん……っ!? ん、ん……ん……っ!!」
ダメだ……また
のに……
コイツ、止める気がねぇ……!
このままじゃ……本当に……
本当に……ッ!!
ヤバイ……意識が……
飛ばされる――!?
***
「――ハッ!?」
俺は唐突に我に返った。
記憶はぼんやりとしているが、疼く身体でどんな夢を見ていたかはよく思い出せる。
俺、三葉さんとの初デートを、三葉さんになってやり直してたんだよな。
本当のデートよりもっと過激に、
ことあるごとに抱き合って、
そして最後は……無茶苦茶だったな。
当時の俺だって、あんな求め方はしなかったぞ。
多分、昼間に三葉さんの身体を慣らそうと頑張りすぎて、
<俺>の身体をも慣らしてしまったのだろう。
そんな
隣で眠る三葉さんを見ていると、つい悪戯したくなってしまう。
ここは、どうやら彼女の家のようだ。
今日は他の人たちが出掛けているので、泊まりでデートをしていたのだろう。
そして、やっぱりお互い全裸だ。
よく覚えていないけれど、抱き合って、楽しみながら寝入ってしまったに違いない。
いつものこととして。
恋人の安眠を妨げるのも気が引ける――が、三葉さんも寝てる俺に悪巫山戯をしてきたものだ。お互い様として、大目に見てもらおう。
プクリと色付いた乳首を口に含み、股の間を
「いやんっ、瀧君のえっち❤」
寝ていなかったのか、眠りが浅かったのか、すぐに目を開いた三葉さんが、俺を抱きしめてくる。
とても嬉しそうに、
続きを催促して。
しかし――
外からはもう、朝陽が差し込んでいる。
家の方々が帰ってくる時間によっては退散の時間を考えなくてはならない。
「お婆さんと、それと……四葉は?」
お婆さんに見つかる分にはまだいい。俺たちは名実ともに付き合っているのだから。
だが、四葉については……複雑な事情がある。
浮気――とは決して思いたくないのだが、
三葉さんに黙って、彼女とも関係を持ってしまっている。
色々と気まずいので、間違っても妹さんとは鉢合わせたくないのだが――
「お祖母ちゃんの帰りは、夕方になると思うよ。四葉なら――」
――台所にご飯食べに行ったじゃない――
「……え?」
ちょっと待ってくれ。
てっきり何らかの理由で留守だと思っていたのに。
寝ているどころか……食事中……?
そんなところで、僕たちは、こんな姿で……!?
バレたらどうするつもりなのか。
バレない方策があるのか。
彼女の胸に顔を
「四葉ー、瀧君起きたよー」
な……っ!?
三葉さんは一体何を考えて……!?
「あ、瀧君おはよー♪」
スパっとふすまを開けた向こう側に立っているのは、
紛れもなく、四葉――
それも――三葉さんと同じ、全裸で……!?
顔を上げた俺に、表情を取り繕うことはできない。
ただ、呆然と、中学生の乳首を眺めるだけ……
「次、私でいいんだよね? デザートに瀧君のチンチンもらっちゃお♪」
よ……四葉のヤツ! 三葉さんの前で何てことを……!?
「
三葉さん!? そんな軽々しく……とんでもないことを!!
「はーい瀧君チンチンも~らいっと❤」
飛び乗るような勢いで、四葉の
「瀧君、あんまり
「ふふ~んだ、私の
そう言いながら、小さな妹が俺の上で飛び跳ねている。
俺の
お……俺……四葉とセックスしてるんだよな……?
ずっと三葉さんに隠してきたはずなのに。
完全にバレていて。
なのに、怒ることなく、
妹さんさえ受け入れて……?
俺の記憶と全然違う。
これも夢なのか?
さもなくば……俺が
少なくとも三葉さんは――
「瀧君……早く……早くおちんちん欲しいのぉ……四葉なんて早く
俺の前で自分をイジることはなかった。
待ちきれずに、
恥ずかしげもなく、
俺の前で自慰に耽ることなど。
少なからず旺盛ではあったものの、
ここまでではなかったのに……!
「二人分で申し訳ないけど……お祖母ちゃん帰ってくるまで付き合ってもらうからね!」
「瀧君、
か……帰ってくるの、夕方、って言ってなかったか?
それまで姉妹を代わる代わる相手にせよと?
持つのか、俺の
何が何だか解らないけれど――
女のコ二人から逃げるすべなど、男の俺にはないのだろうな……