気が付いたら犬夜叉に憑依していた件についてだれか説明を求む 作:nenenene
なんだかなあ。
彼、峰雪勇人は困惑していた。現在地。それは粗末な木造家屋の一部屋。かなりおんぼろで時代劇に出てくる貧民の住処のよう。
時刻は夜。家の外に目をやれば真っ暗闇。いや、完全な暗闇という訳ではない。空へと視線をやれば、そこには満天の星空。空に浮かぶ無数の星々は、現代日本ではまずお目にかかれないほどの輝きを放っている。
それもそのはず、この粗末な家のある村。そこには、電灯の明かりなどというものが存在しないのだから。
はあ。
彼は内心で溜息をつく。どうしてこうなったんだろう? そう思わず愚痴を言いたくなるが答えなどでてこない。
彼は内心で頭を抱えながら、視線を部屋の中に戻す。部屋の中心には庵。赤々と火がともっていて、何かのなべ料理を温めている。その庵を囲むようにして二人の女が座っている。
一人は中学生。黒い髪を伸ばした中々可愛い子。学校指定のセーラー服を着用している。そんな彼女の穿いているスカートは、現代日本の女子中学生らしく太ももが半分以上露出しているミニスカ。スカートから伸びるすらりとした太ももが眩しい。年頃の男子高校生である彼の視線は、その太ももへと吸い寄せられてしまう。それは無理もない現象で、不可抗力のようなものだ。
一方のもう一人の女。こちらはババアだ。かなりの高齢で背筋も曲がり、髪の色も退色して、真っ白になっている。
この二人の女とは初対面だ。しかしながら、彼はこの二人の女の名前を知っていた。何故ならば、ついさっき自己紹介をしたばかりだからだ。
「はあ」
今度は口に出して溜息をつく。彼には問題が山積みだった。その無数にある問題の一つ、それが彼女たちの名前にあった。
女子中学生の名前。それを日暮かごめという。一方のババアの名前。これを楓という。楓ババアには桔梗という姉がいて、既に亡くなっているのだが、その生まれ変わりが日暮かごめ……らしい。
「なんだかなあ」
呟きを漏らす。ありえなかった。彼は平均的な男子高校生を自称していた。その為、漫画犬夜叉も読んだことがあり、その人物名には覚えがあった。
かごめと楓。そう、この二人。犬夜叉に出てくる重要人物なのだ。何度夢だと思ったことか。しかし、現実。いくら頬をつねっても痛いばかり。いっこうに目は覚めてくれなかった。
まあ、それだけなら良い(いや、全然よくないんだが)。問題は、
「どうしたのじゃ、犬夜叉? 先ほどから溜息ばかりつきおって」
心配そうな顔をした楓ババアが彼に向かって問いを発する。そう、彼に向かってだ。現在発生している最大の問題を前に、彼は頭を抱える。
「どうしてこうなった?」
短い呟き。だが、それは魂からの叫びだった。それもそのはず。頭を抱えた彼の腕。そこにはミミの感触があるのだ。それも人間のそれではない。モフモフしている、三角形の耳。いわゆる、犬ミミ。ファンタジーでお馴染みのもの。
これがツケミミなら何の問題もないんだがなあ。
彼はそうたそがれる。だが、現実は無情。現代日本における平均的高校生だったはずの彼の耳は、本物の犬ミミになっていた。
峰雪勇人、16歳。彼はこの日、何の前触れもなく犬夜叉世界に転移。それも、犬夜叉に憑依するという最悪の形で。
「はあ」
また漏れる溜息。この調子じゃ一生分の幸運を今日中に使い切りそうだな、などと言うばかげた考えが頭をよぎる。
いかんな。ブンブンと彼は頭を振る。気分を切り替えようとしたのだ。もっとポジティブに考えよう。ここは犬夜叉の世界。可愛い子がいっぱい出てくる。かごめも結構かわいいし、珊瑚はあのピッチリ戦闘服が溜まらん。桔梗もなかなか美人。紫織とか、神無のロリキャラも行ける。彼女達との親密度を上げてハーレムでも築こう。
逆髪の結羅とか、神楽など、敵女も充実。傲慢な敵女を屈服させて、意のままに従わせるのも悪くない。