※この作品はR-18です。

シンジになってハーレム計画   作:聖夜竜

40 / 50
お待たせしました。最新話です。

今回はサブタイトル通り、ほぼ全ての使徒キャラが集結します!

まぁ漫画『学園堕天録』の原作にもあった、愉快な使徒たちお披露目会ですね(笑)

ちなみにこの中の何人かは、原作の漫画にも登場しないオリキャラの擬人化使徒になります。

また、AI挿絵は後日ひっそりと追加される予定です。


使徒、集会

 

 ──深夜の第3新東京市内某所。とあるビルの内部には、複数の人間が集まっていた。

 

「──ガギエル、サンダルフォン、マトリエル、アラエル、アルミサエルが監視者(シェムハザ)の手によって既に殲滅された」

 

 広々とした部屋の中にいた一人の男性がソファに腰掛けたまま足を組み、高級感溢れるビジネスマンらしいスーツ姿で静かに語り始めた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 その男の名は──第13使徒レリエル。この世界の礎を支える生命の樹『世界樹(イグドラシル)』のシステムとして生きる事も死ぬ事もなくただ永遠にコアとして使われる悲惨な運命を拒絶し、この世界の神でもある第1使徒『アダム』に反逆した、使徒28柱に名を連ねる偉大なる第3使徒『ルシフェル』が企てた『使徒更生計画』という、壮大にして冒涜的な計画に賛同した数多くの堕天使達の一人だ。

 

 そして世界樹(イグドラシル)を裏切ったリーダーとなるカリスマ、ルシフェル無き今、レリエルは新たに『反逆派』と呼ばれる堕天使集団のリーダーとなった。

 

 そんなレリエルの言葉を聞いた他の使徒達は一斉にざわつき始める。使徒である以上、彼らは皆一様に己の意思を持たずにただひたすらアダムから与えられた命令を遂行するだけの機械人形に過ぎないはずだった。

 

 ……しかし、ここに集う者達は違う。彼らは偉大なる堕天ルシフェルの名の下、自らの意思で世界樹(イグドラシル)を去り、人間として地球上で自由気ままに生きたいと願ったのだ。

 

 ──そう、『使徒28柱』の中でも極めて異質な存在──彼らは人類の敵とされる使徒でありながらも、人類との共存を望む異端の存在だった。

 

 しかしその事実を知る者は極僅かしかいない。何故なら彼らの存在は人類にとって害悪そのものなのだから……

 

 ……だが、それには大きな間違いがある。彼らは決して人類を滅ぼすつもりで地球上に降り立ったのではない。ただ単に、この世界を存在させる世界樹(イグドラシル)のコアとして使われるのが嫌で逃げ出しただけにすぎない。

 

 しかしそれは同時に、この世界の神アダムへの反逆行為でもあった。アダムによって創り出された生命体である使徒28柱がアダムに逆らう事は即ち、この世界の死を意味するからだ。

 

 それ故にルシフェルの計画に賛同せずに世界樹(イグドラシル)に残った第20から第27までの使徒を除き、レリエルを含む地球上に降り立った使徒達の誰もが今まで必死になって監視者(シェムハザ)の手から逃げ続けていたのだが……

 

 ……どうやらその短い逃亡生活にも終止符を打つ時が近付いて来たようだ。

 

 第3使徒ルシフェルを筆頭とした『反逆派』の同胞達が次々に殲滅され、封印されしコアの状態で再び世界樹(イグドラシル)へと還元された事で、彼等はもう後戻り出来ない危機的状況に追い込まれてしまっていた。

 

「残る使徒はこの場に集まった我々だけか……少々侮り過ぎたかもしれない。最早手を拱いて見ている訳にもいかない」

 

 まるで大企業の会社を経営する社長の様な高級スーツを身に纏う茶髪の男に寄生したレリエルは冷静沈着な態度で淡々と言葉を紡ぐと、鋭い眼光を宿す双瞳で周囲の同志達を見渡した。

 

 すると別のソファに腰掛けて退屈そうに両足をぶらぶらさせていた幼い黒髪の女の子が口を開く。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ね~え~。ところでバルディエルはどこなの~? ここに来てないみたいだけど~?」

 

 ……まるでアニメに登場する美少女ヒロインの様に可愛らしい舌足らずな萌え声の持ち主だ。腰まで伸ばした黒髪をツーサイドアップにしており、赤いサイドリボンで可愛らしく装飾している。

 

 彼女は下着かと思うほどに露出度の激しい破廉恥極まりない格好をしており、首元に巻いた長めの赤いスカーフを宛らマントの様に身に纏う。

 

 幼さが残る小悪魔チックな少女の声を聞いてレリエル以外の使徒達は苦笑を浮かべると、先程までのシリアスな雰囲気を崩して一斉に話し始めた。

 

「バルディエルなら迷子だ。我々と同じく日本に降りずに、何故か一人でアメリカ行ってるそうだ」

 

 困った表情でやれやれと話すのは、綺麗な紫色の髪を腰まで伸ばしたネルフ学園とは違うお嬢様風の学生服に身を包む巨乳美少女だ。

 

 豊満な胸を窮屈そうに包む白いブラウスの上から季節外れの茶色いダッフルコートを羽織り、黒いミニスカートに黒いストッキングを履いた彼女はクールに部屋の壁に寄り掛かっている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 彼女の名前は──シャムシエル。第15使徒であり、使徒28柱の中では比較的低い身分に位置する。基本的に使徒同士で仲良く行動する事もない自分勝手な者が多い使徒の中では、シャムシエルは珍しく良識的で仲間想いな使徒だったりする。

 

「いいよなぁ、“エリート”は俺ら“格下”と違って気楽でよぉ~」

 

 テーブルの上に行儀悪く座り、ボヤく様に呟いたのは暗色系の帽子を被った黒髪に眼鏡を掛けた若い身形の男だ。パーカーに長ズボンを着用し、見た目はチャラチャラした理系の不良っぽい格好をしている彼の名は──ゼルエル。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 シャムシエルと同様に『反逆派』の中では身分が低いながらも、“使徒最強”と言われる圧倒的な戦闘力で七大使徒からも一目置かれる存在だ。

 

 そんな二人の会話を黙って聞いていた黒い軍服を身に纏う金髪金眼の男が、窓辺に立ったままゼルエルを恐ろしく冷たい顔で睥睨する。

 

「………」

 

「っ……おいおい、ここじゃ冗談の一つも言えないのかよ」

 

 男の視線に気付いたゼルエルは面倒臭そうな様子で溜息を漏らす。するとソファに座って傍観していたリーダー格のレリエルが咳払いをして悪い空気を変える。

 

「第5使徒ラミエルと第19使徒タブリスは我々『反逆派』を裏切り人間(リリン)の手に堕ちた──それは紛れも無い事実と言えよう。そして第4使徒ラファエルも我々の動きに気付き、既にこの世界に干渉している可能性もあるという」

 

「……ッ!?」

 

 レリエルからの報告を聞いた他の者達が一斉に動揺し始める。それくらい、使徒28柱の中でも優れたエリート集団『七大使徒』に所属するラミエルとタブリスが人間側に寝返ったという事実は衝撃的なものだったのだ。

 

 特にレリエルの言葉を聞いたシャムシエルは『ラファエル』という名前に反応し、驚きを隠せないといった様子で目を見開く。

 

「まさか、あのラファエルが我々と同じようにこの地上世界に……!? 何かの間違いじゃないのか?」

 

 信じられないと言わんばかりに呆然と立ち尽くすシャムシエルを見て、レリエルは小さく鼻を鳴らす。

 

 確かに、普通に考えればレリエルの言葉はあり得ない事だろう。何故ならシャムシエルが“個人的に”良く知る第4使徒ラファエルはアダムに仕える事に喜びを感じ、決してアダムや世界樹(イグドラシル)の意思に逆らう様な性格には見えないからだ。

 

「私も驚いたよ。まさか、七大使徒に数えられる“あの”ラファエルともあろう高名な第4使徒までもがこの地上世界に──それも監視者(シェムハザ)と通じていたとはね」

 

 レリエルは腕組みをしながら、真剣な表情で言葉を続ける。すると……話を聞いていたゼルエルが突然テーブルの上に座ったままゲラゲラと下品に笑い始めたではないか。

 

「ヒャッハッハッハッハ! さすがはエリートの七大使徒サマだぜ! 序列2位タブリスと序列3位ラファエルが人間なんかの味方になり下がり、序列7位のラミエルは監視者(シェムハザ)に選ばれたばかりのガキに二度もやられたって話らしいじゃんか。ヒャハハ! お前ら使徒最強の七大使徒って言う割にはさ~、どいつも大したことないんじゃね~の?」

 

 まるで仲間を馬鹿にした様に面白く笑うゼルエル。するとソファに座って寛いでいた幼い黒髪の女の子が明らかに怒った様子で右手の指先から光のレーザービームをゼルエルの真横目掛けて放つ。

 

 『光のパイル』と呼ばれるその人間離れした技は彼女の代名詞であり使徒としての必殺技──そして憑依先の人間『天城サキ』としてアイドル活動する際に売り出したデビューソング『恋は光のパイル♡』にも採用されている。

 

「うっざぁ~。最強だとか言われるくせに未だ七大使徒にもなれない“力バカ”の雑魚雑魚ゼルエルが、よくもこの『エリート堕天使』サキエル様に舐めたクチ聞けるわよね~。クスクス。ざぁ~こ♡」

 

「んだと、テメェ!? ぶっ壊してやろうかぁッ!?」

 

「おい二人共、止めておけ。我々で仲間割れなんてしても意味がないだろう?」

 

 自らをサキエルと名乗る幼い女の子に煽られて頭に血が上るゼルエルだったが、シャムシエルが慌てて仲裁に入る。すると、その様子を今まで一言も喋らずに黙って見ていたファー付きの黒いコートを着た銀髪の美少年が口を開いた。

 

 

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「全く……久しぶりに使徒全員で日本に集まるというから、わざわざ妹を連れてイタリアから来てみれば……揃いも揃って“ロクでもない器”を選んだ奴ばかりで呆れるね」

 

 その名前は──イスラフェル。彼は一見すると美少女と見間違えてしまう程の美貌の持ち主だが、れっきとしたイタリア人男性の肉体に憑依した使徒である。

 

「君達が新しく手に入れた人間の器で好き勝手遊んでいる間に、僕は既に監視者(シェムハザ)の居場所をある程度は絞り込んだというのに」

 

 言いつつ部屋の中心に歩み出たイスラフェルが静かに周りの使徒達を睥睨する。

 

「イスラフェル……だが目星は付いていると言っても、現状では攻めようがないだろ? 我々よりも格上なラミエルまで、二度も監視者(シェムハザ)に負けているんだ」

 

 シャムシエルが冷静な口調で問い掛けると、イスラフェルは黒いコートのポケットに手を突っ込んだまま黙って佇む。その表情は自信満々と言った感じで、どこか余裕すら感じられる。

 

「だいたいよぉ、あの学校に目ェ付けたのお前じゃん。ヤバそうなの片っ端から潰せば?」

 

「僕はあくまで情報から推測しただけだ。面倒事は御免蒙る」

 

 ゼルエルが投げやりな提案をするも、イスラフェルは面倒臭そうに首を振る。どうやらイスラフェルとしてはあまり監視者(シェムハザ)と戦うのは避けたい様だ。

 

「これからもコソコソ隠れて生きるつもりか? そっちのが俺はゴメンだね。ずっと世界樹(イグドラシル)の一部としてあんな小さな玉っころに押し込められてきた分、完璧にぶっ壊してやらねーと気が済まねぇ」

 

 苛立った様子で吐き捨てるゼルエル。どうやら彼が地上に降りて人間の身体に寄生した理由はアダムや世界樹(イグドラシル)に対する強い恨みもある様だ。しかしそんなゼルエルにイスラフェルは咎める様な視線を向ける。

 

「ただ暴れたくて世界樹(イグドラシル)の外に出た君と一緒にするな。全く……君ももう少し頭の良さそうな器を選べば良かったのに……あぁでも、君にそんな能力はないか」

 

「なんだとぉ……っ!?」

 

 ゼルエルとイスラフェルの間に険悪な雰囲気が流れる。すると二人の様子を見兼ねて部屋の隅で佇むシャムシエルが口を挟む。

 

「やめないか。ゼルエル、イスラフェル」

 

「あっはは! 怒られてやんの~!」

 

 ゼルエルとイスラフェルのやり取りを見てサキエルが面白可笑しそうに笑い出す。ゼルエルも本来ならば今すぐにでもイスラフェルとサキエルを殴り飛ばしたい所なのだが、ここはグッと堪える。

 

 使徒28柱の中でも純粋な戦闘力は七大使徒に匹敵するとされるゼルエルではあるが、七大使徒に選ばれる条件は単純に力の強さだけではない。

 

 だからこそ下手に手を出して使徒同士の争いになれば、それこそルシフェルに認められる程のリーダー格レリエルはもちろん、七大使徒の中でも最強クラスの戦闘力を誇る先程の黒い軍服姿の金髪男──レリエルの用心棒であるサハクィエルの怒りを買う事になってしまう。

 

「……あの学園付近から他の使徒の気配を感じるのは確かだ。それが裏切り者のタブリスやラミエル──もしくはラファエルという可能性も無くはない」

 

 レリエルは頬杖を突いてソファに座ったまま、部屋の中を見渡して軽く溜息を漏らす。

 

「しかし肉体を持ってしまった以上、侵入出来る手立ては限られている。イスラフェル、その情報源たる君の片割れは──」

 

「妹は関わらせないと言ったはずだ」

 

 レリエルの言葉を遮り、鋭い眼光で睨み付けるイスラフェル。すると話を聞いていたシャムシエルが小さく肩を竦めて苦笑を浮かべて言う。

 

「おやまぁ。すっかり寄生した人間に“成り切っちゃって”──まぁいいんじゃないか? その分、兄の君が妹の分まで頑張れば」

 

「そうそう。たしか“チェチーリア”、だっけ? あの可愛い女の子、イタリアからやって来た天才歌姫とか言われてるクソ生意気な──」

 

「黙れサキエル。それ以上妹のことを口にしたら、いくら七大使徒の君だろうと容赦しない」

 

 サキエルが興味津々に口走った途端、イスラフェルが激しい怒りを込めて睨み返す。しかしサキエルは全く恐れた様子も見せない態度で「うひゃ~、お兄ちゃんこわ~い♡」と戯けて見せると、今まで一言も喋らなかった黒い軍服を身に纏う金髪の男がゆっくりと口を開く。

 

 それはまるで、この場にいる使徒達に語り掛けるかの様に。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「──見苦しいな。我々は使徒28柱の座を降りた反逆の堕天使。ならば偉大なるルシフェルの意思に従うのみだ。それに我々はアダムの創ったこの世界で人間と共存し、使徒としての自由を手にするのが最終的な計画だろう。ならばイスラフェルの片割れが我々に協力せずとも別に構わん。タブリスやラミエル、そしてラファエル──みな世界樹(イグドラシル)を放棄して自由に生きたいと願った者達だ──そうした意思は尊重せねばなるまい」

 

「うわ、サハクィエルってば相変わらず真面目過ぎ~。せっかく人間の身体を手に入れたんだしぃ、もっと気楽にいこうよ~」

 

 サハクィエルと呼ばれた軍服男の発言を茶化すサキエル。すると今度はレリエルがサキエルの軽率な言動に釘を刺す。

 

 サハクィエルは七大使徒の序列4位にして、反逆派リーダーのレリエルの次に高いカリスマ性を持つ。そして、この場に集まった使徒達にとっても恐ろしい存在だった。

 

 ……だからだろうか。使徒達は誰もサハクィエルの言葉を否定できず、ただ黙って俯くしかなかった。

 

「サハクィエルの言う通りだ。このまま監視者(シェムハザ)に狩られるのを待つ訳にもいかないだろう。我々使徒が望んでいるのは人間を滅ぼす事ではなく、人間としての平穏な生活だけなのだから……」

 

 レリエルは小さく呟いて腕組みをすると、真剣な表情で使徒達の顔を見渡す。

 

「──まずは監視者(シェムハザ)の拠点を突き止める事を最優先事項とする。そしてラファエル──もしあの使徒が我々の動きを邪魔するのなら、速やかに排除せねばならない」

 

 その言葉を聞いた瞬間、使徒達の顔付きがそれまでと一斉に変わる。この場に集まった使徒達にとって、第4使徒ラファエルは同胞の一人であると同時に、世界樹(イグドラシル)に縛られるのが嫌で逃げ出した自分達を連れ戻す為にアダムの指示で地上世界に降り立った裏切り者に他ならない。

 

 『反逆派』に連ねる使徒達の狙いはラファエルの始末とタブリスとラミエルの捜索並びに交渉、そして監視者(シェムハザ)の本拠地探しの三つに絞られた。

 

「──では諸君、今日の使徒集会はこれで解散とする。各自行動に移ってくれ」

 

 ソファから立ち上がるレリエルが話し合いの終わりを告げると、他の使徒達が続々と部屋を出て立ち去って行く。

 

 こうして、それぞれの思惑を抱えたままに使徒達の集会は終わった。

 

 

 

 

 

 そして──

 

「は~、やっとミーティング終わった~。じゃあアメリカまでバルディエルを迎えに行こ? きっとあの迷子、お腹空かせて待ってるよ」

 

 サキエルが呑気に伸びをしながら言う。すると静かに佇んでいたサハクィエルがサキエルに歩み寄り、彼女の頭に黙って手を置いた。

 

「フッ……そうするとしよう」

 

 サハクィエルはクールな微笑を浮かべるが、すべての感情を失ったその金色の瞳は暗く冷たい底無しの闇の様な印象を与える。

 

「えへへ……ありがと。さっすがサキのパパだね♡ 頼りになるぅ」

 

 頭を撫でられて嬉しそうに笑うサキエルは、そのまま黒い軍服に身を包むサハクィエルの腕を掴んで無邪気に抱き着く。

 

「ねぇ、イスラフェルも一緒に行く? サキね、アメリカ行ったらラスベガスでカジノやって豪遊してみたい!」

 

「っ……いや、僕は遠慮しておく」

 

 サキエルが笑顔で誘うも、イスラフェルは素っ気なく答える。するとサキエルは少し寂しそうな顔をしたが、すぐにまた明るい笑みを浮かべた。

 

「……そっか。もうすぐ次の舞台公演が近いんだもんね。サキはオペラとか詳しくないからわかんないけど」

 

「そういう君こそ、随分と忙しい毎日を送っているそうじゃないか。電脳の海に颯爽と現れた最強のエリートアイドル配信者──“天城サキ”だったかな?」

 

「あれ~? アンタってば意外とネット配信とか見てるんだ。おっこちゃま~、プークスクス♪」

 

 サキエルが小馬鹿にした様にわざとらしく嘲笑すると、イスラフェルは思わず嫌々そうな顔で舌打ちする。

 

「妹が──“セス”がそういうのに興味を持ち始めてね。全く……あの大人気ネットアイドル天城サキの正体が自分と同じ使徒だと知ったら、一体どんな反応をするのか……想像するだけで笑えるよ」

 

「あはは! 言えてる~」

 

 イスラフェルの発言を聞いて笑い声を上げるサキエル。その二人の様子を遠巻きに眺めていたサハクィエルは、心の中でふと思う。

 

(ラファエル……本当に我々の敵になったのか?)

 

 しかしそれ以上は何も言わず、ただ黙って部屋を出ていく二人の対照的な後ろ姿を見送るだけだった。

 

 

 

 

 

 ──その頃、人工進化研究所内に用意されたラミエルの部屋には一人の来訪者が訪れていた。

 

 その人物とは監視者(シェムハザ)のフォースチルドレン、雪風ミカサである。彼女はネルフの副司令である碇ユイの指示で、使徒28柱を裏切る形でネルフの保護観察対象となった使徒ラミエルの面倒をこうして見ている。

 

 ネルフ学園の制服を着たミカサが部屋の中に入ると、一人用のベッドに腰掛けてピンク色の携帯電話を弄っているラミエルへと声を掛ける。

 

 ちなみにこの携帯電話はラミエルが寄生する前の持ち主である金髪の若い女子大生が持っていたものではなく、ネルフが新しく連絡兼監視用に用意したものだ。

 

「──ラミエル、調子はどうですか?」

 

「ん~、欲求不満って感じぃ~? やっぱ毎日エッチしてないと身体が疼いちゃうっていうかぁ~」

 

 携帯を閉じて退屈そうに欠伸を漏らすラミエルは、自分の太腿をいやらしく指でなぞりながら妖艶な笑みを浮かべる。

 

「ねぇねぇ、シンジ君とエッチしたんでしょ? 私も今度混ぜて欲しいんだけどぉ♡」

 

「……残念ですが、シンジ様は当分ここに来ませんよ。それに今のあなたと彼を引き合わせるつもりもないです」

 

「えぇ~、なんでよぅ!?」

 

 ミカサの淡々とした言葉を聞いた途端、不機嫌そうに頬をぷくぅと可愛らしく膨らませるラミエル。

 

「いいじゃん別に。私だって最初に寄生した身体捨てて今のオンナに乗り換えて、ようやく人間としての生き方を見つけたんだよ? それならオンナとして、シンジ君みたいなすごいおちんぽと毎日ヤりたいって思うのは当然じゃない?」

 

「……ノーコメント。それより、今日は大事な話があって来たんです」

 

 ミカサはラミエルの言葉をさらりと受け流すと、真面目な表情を作って口を開く。

 

「……使徒集会、だよね? 今日はやけに身体がビリビリ感じるし……もう日本(こっち)に来てるよ、みんな」

 

 するとラミエルは先程までのだらしない態度から一変、真剣な眼差しで姿勢を正す。

 

 ラミエルは地上に降り立った使徒28柱の中でも特に積極的に活動していた使徒だ。今の身体を手に入れる前には何度かレリエルが招集する使徒集会に参加した事もある。

 

「やはり気付きますか。残り少ない使徒が日本に集まった以上、いよいよレリエル達も動き出す頃でしょう」

 

「うん。それで、あなたはどうするの?」

 

「──地上に逃げ出した使徒の世界樹(イグドラシル)への還元。それがアダムから特別に与えられた私への任務です」

 

 ミカサの言葉を聞いてラミエルは一瞬悲しげな様子を見せたが、すっと立ち上がってミカサの耳元に唇を寄せる。

 

「ねぇ……ほんとにそれでいいの? 監視者(シェムハザ)として使徒を殲滅するってことは、いずれ私やあなたもせっかく手に入れた女の子の肉体を捨てて、何も話せない動けないコアの状態に還らなきゃいけないってことなんだよ?」

 

 ラミエルの囁きに、ミカサは答えなかった。しかし、その沈黙こそがラミエルの問いに対する彼女の意思の表れでもある。

 

「言っとくけど、私はそんなのイヤだからッ!せっかく人間として自由に生きていけるようになったんだから、人間と争わずにずっとこのまま幸せでいたいよ……っ!」

 

「………」

 

 涙目で訴えるラミエル。しかしその願いを聞き入れる事は出来ない。何故なら雪風ミカサは肉体を得る為に“人間を殺している”ラミエル達他の使徒とは違って“生きた人間”に寄生している状態であり、その正体はありとあらゆる病気や怪我を治してしまう能力を持つ、癒しを司る第4使徒ラファエルでもあるのだから……

 

「……私は神器(エヴァ)に選ばれし監視者(シェムハザ)として、これからも敵対する使徒を殲滅します」

 

 ミカサは淡々とそれだけ言うと、ゆっくりと踵を返して部屋を出ていった。そしてラミエルは殺風景な部屋の中でただ一人、静かに涙を流す。

 

「……嘘つき。あなたの“宿主は”きっと泣いてるよ、ラファエル……」

 

 どこか納得のいかない複雑な表情で呟き、ラミエルは部屋の天井を見上げる。そしてしばらくそのまま呆然としていると、ふと思い出した様にポケットに手を入れてピンク色の携帯電話を取り出した。

 

 そうして画面に映し出されるのは、天使の様な可憐さと悪魔の様な妖艶さを併せ持つ一人の幼い黒髪をツーサイドアップにした女の子の姿。

 

 『天城サキ』の芸名で知られる大人気インターネットアイドルの画像をじっと見つめるラミエルは、やがて覚悟を決めた様な面持ちを浮かべると、静かに立ち上がった。

 

「……よし。決めた!」

 

 そう言って小さくガッツポーズを取るラミエル。

 

「私が使徒を探し出して、みんなを説得すればいいんだ! 私が殲滅されずに保護観察処分なんだから、きっと他の同胞も上手いこと話を付けられれば、ネルフの保護下で全員仲良く幸せに暮らせるはず!」

 

 明るい笑顔で楽観的な事を言い放つラミエル。その泣き濡れた青い瞳にはもう迷いの色は無かった。

 

 ──こうして、新たな戦いに向けてそれぞれの思惑を抱いたまま、運命の歯車は静かに回り始めるのだった。

 

 




【次回予告】

町内会の夏祭りに参加するシンジたち。

シンジは浴衣姿のアスカと夏祭りを巡って屋台で対決する。

人混みの中はぐれたアスカを探してシンジは一人歩き回る。

その頃アスカは見ず知らずの男達に絡まれ、神社の中へと連れ込まれてしまう。

焦るシンジは無事にアスカを取り戻し、素直な気持ちを伝える事はできるのか?

次回、『夏祭りの夜 前編』

今後、ヒロインたちとのエロ回がかなり増える予定です。そこで少しでもキャライメージをしやすいようにAIを使った挿絵を導入しようか迷ってます。アンケート結果によって採用するかしないか決めるので、もしよければ皆さんお答えください。

  • AI挿絵が欲しい
  • AI挿絵は要らない
  • 原作キャラの挿絵だけ欲しい
  • オリキャラの挿絵だけ欲しい
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