少し暗めの神風による「駆逐艦逆レイプ」。
MIBさんの駆逐艦逆レイプの合同誌に提出予定でしたが、色々あって見送りました。
海岸沿いを走る汽車は夜の闇をヘッドライトで切り開いて走り続けていた。
深く深く、飲み込まれてしまいそうな闇を学制服の若者は肘を付いて見つめていた。
車掌もろくに巡回してこない夜行列車に若者は退屈しきっていた。
暇潰しにすべての客車を歩いたが誰も居なかった。
若者はこの広い汽車の孤独な王様だった。
ーー今なら退屈しのぎのために圧制を敷いた暴君の気持ちが分かる。暴君はメロスを待っていた
のだ。
若者の独りよがりな空想は突如開かれた
開かれた扉の向こうには、大きなバッグを抱えた袴姿の少女が居た。
「メロスは少女だったか」
若者は独り言を言った。
「うんしょ、うんしょ」
客室の段差を鞄を持ち上げて乗り越えようとする女のメロスの足取りは実に危なっかしい。
「お嬢さん、よろしかったらお荷物、お持ちしましょうか」
返ってきた答えは意外に仰々しい名前だった。
「ありがとう。私の名前は神風と言います」
持ち上げた鞄はとても重く、よくこの小柄な少女が持ってこれたものだと思う。前に読んだ「走れセリヌンティウス」だと、友を裏切ったメロスがセリヌンティウスに棺桶に入れられて運ばれる場面があったが、ふとそれを思い出した。
「ここ、いいですか」
少女が若者の向かいの席を指さす。
一人旅に飽きた若者に否はなかった。
若者がうなずくと、少女は席にちょこんと座った。座り方も実に愛らしい
。
車内灯のせいか腰まで届く長い髪は少し赤みがかって見える。後ろ髪をまとめる大きなリボンがこの少女の可憐さを引き立てる。
いつこの少女は汽車に乗り込んできたのだろうと思っていると、少女の方から話しかけてきた。
「あ、学生、さんですか?」
「は、はいっ!」
うわずった声で返してしまった。
「ふふっ」
実に可憐な笑い方をする。退屈な旅がすてきな旅に変わった。
少女との会話を楽しもうとしたとき、少女の方から切り出した。
「もし、この汽車はどこまでいくのですか」 行き先も知らずに乗った少女を一瞬怪しんだが、会話が出来るうれしさの方が勝った。
「はい、××までです」
「そうですか。じゃあ、その間退屈ですよね。お暇でしたらごっこ遊びをしませんか」
一瞬お医者さんごっこという単語が浮かんだが必死で打ち消した。
「な、何ごっこですか」
我ながら間抜けな質問だとは思ったが
、さすがにお医者さんごっことは言えなかった。
「兵隊さんごっこはどうですか」
「は、はぁ。ぼくは何をすればいいんですか」
少女は立ち上がると、くるりと体を回転させた。
一瞬みとれてしまった。
「提督、あなたの部下である神風が今から戦果を報告いたします。提督は”わたしたち”の報告をじっと見ていてください」
少女が提督と言った瞬間、ごとっと鞄が動いたように見えたが、汽車の揺れだと思った。
前回の加賀と瑞鶴のハーレムは、また瑞鶴の復讐編を書こうかなと思ってます。