「学生のこの僕が提督? ははっ、なんだか照れるなぁ」
「じゃ、始めますね」
若者の返しを是と受け止めた少女は突如叫んだ。
敬礼をしながら叫ぶその姿は本職そのものだった。
「提督! 申し訳ありません! わが高木艦隊の羽黒は、敵方と通じてしまいました。羽黒は僭越ながらこの神風が捕縛済みですので、只今より処罰致します。願わくば提督には是非とも寛大な処置をお願いいたします」「はい?」
「こちらが捕らえております羽黒です」
少女はしゃがむと鞄を横倒しにして錠前を外し、蓋を開いた。
少女に提督と呼ばれた若者は息を飲んだ。 鞄の中に居たのはおかっぱ頭の美少女だった。みどりの豊かな黒髪の少女は眠れる森の姫のように気だるげな瞳で若者を見るともなしに見た。ついさっきまでは袴の少女に時めいたのに、今はこの黒髪の姫に引き付けられた。もし、別の場所で彼女に出会っていれば若者はためらわず恋をしたであろう。ただ、羽黒と呼ばれた少女が一糸纏わぬ裸で陰部に棒状のものが刺さっていなければ。
そして姫は小刻みな痙攣をしている。
間違いなくオルガスムスであることは、口元から溢れたであろう液体が美しい貌や髪にまとわりついていることから伺えた。淫美に唇の中に見え隠れする舌はまるで蛇を思わせた。
若者の股間はいきり立ち、布を張りつめて主張を見せつけた。
「き、君、こ、これは一体」
生唾をようやく飲んで声を絞り出す。
耐えきれずに座席にどさっと座り込んだ。
「あら提督。提督はじっと”私たち”を見てくださってればいいんです。この神風を裏切って、敵と誼を結んだ羽黒姉さまに罰を与えるところを」
神風は羽黒の左手首を引き上げると、その薬指にはめられた指輪を忌々しげに見つめた。
「私という者がありながらお姉さまは。でも寛大な私はお姉さまを許してあげます。さぁ、提督には私たちの結婚式の立会人をお願いしましょう」
そう言うと神風は羽黒の指輪を毟り取ろうとした。
その途端、黒い固まりにしか見えなかった虚ろだった羽黒の瞳に、ゆっくりとだが色が戻ってきた。
意識を取り戻した羽黒は生まれたままの姿で異性の前にいる事に気づいた。
「いやぁぁぁぁっ! み、見ないで、見ないでぇぇぇぇっ」
胸元を隠して哭き叫び震えるその姿は、稲葉の白兎を思わせた。
正直に言うと、彼女の絹を裂くような魂の叫びを聞いて嗜虐欲と情欲
が沸き上がり、股間の膨らみが最大になった。
そんな若者の気持ちに応えるように神風が胸元を隠す腕を奪うように取った。
「あれだけ犯して薬を下からも入れたのに。どうして、そんなにもあの男の事が好きなの。私よりも」
「提督、提督はどこ。おうちに、おうちに返してぇぇぇっ!」
幼児に帰った羽黒と呼ばれる少女が泣き続けている。
ずきっと心が痛んだが、股間の血流はそれ以上に痛いほど脈動している。
「あなた、手伝って貰えます? やっぱり羽黒ねえ様にはお仕置きが足りないと思いますの」
「お、お仕置きって、一体何を」
分かりきった答が返ってくるのを期待した言葉だった。
「わかってるでしょう」
若者は生涯その神風の貌を忘れることは出来なかった。悪意と絶望と狂気と怒りと、そしてーー悲しみの混じった目を。
「羽黒ねえ様を犯すのよ。あなたはそれを見ていて欲しいの。私と羽黒ねえ様の結婚式を」
姉を犯すことがお仕置きであり、結婚式だという。その狂気を前に若者は首を縦に振るしかなかった。
「ああ、わかった。だけど」
唾をぐびっと飲み込む。
「何?」
「見ながら、オナニー、してもいいかな」
鞄が開いてから初めて神風が呆気に取られた顔を見た気がする。数回の瞬きの後に彼女は破顔した。
「ええ、いいわ。でも、ものは見えないようにしてね」
ズボンの上から逸物をシゴけという意味駄と受け取った。