『うちはシスイ憑依伝』IFルート・ザ・ストーリー 作:EKAWARI
今回の話はIF派生ルートの1つである、唯一の主人公生き残りルート「失明・晩年ルート」の前編になってます。まあ、IFルート派生構想は全5ルートくらいエンディング構想はありますが、表の連載のほうで「木の葉崩しENDルート」「牙喪失ルート」の2話その後の主人公が辿るだろう運命の7割を書きましたので、残り1割の可能性の生き残りルートでもせめて書きますかと思ったのが今回の話を書くことになった経緯ですかね。
このルートになる条件は2話でイズナが生まれた際に主人公のヤンデレ率を60%以上のまま維持し続けないといけないルートであり、ぶっちゃけ専業教師になって完全に一線から手を引いていた場合は至れないルートだったりしますので厳密には2話からは繋がっていないのですが、まあその辺の設定の違いは見逃してもらえると助かります。
あとこの前編は濡れ場が2回もあったりしますが、その代わり後編は濡れ場は一切ないので、その辺ご了承下さい。それと一個目の濡れ場シーンでは主人公が喘いでいたりと主人公×TSイタチというより、TSイタチ×主人公っぽい描写になっていますので、苦手な方はご注意下さい。また今回はガッツリエロです。
―――――イズナが生まれて約半年が経過した。
あと1ヶ月もすればイタチは暗部に復帰することが決まっていたが、あれほどの難産が嘘だったように、イズナはとても手の掛からない子で、この調子なら大丈夫そうだなと苦笑しながら言い合ったのは先日のことだ。
何かあったら私が面倒を見るから大丈夫よ、とそう言ったのはイタチの実の母であるうちはミコトだ。
それに子の父であるシスイは助かりますと答えたものだが、今の所ミコトを煩わせるようなことは起きておらず、これまでのところ、夫婦2人で充分対処してこれたものだが、そんなところが、イズナの祖母となったミコトには少し寂しいらしい。
手間が掛からなさすぎる子供というのもそれはそれで問題だな、なんて苦笑しながらシスイは述べて、赤子の頬を撫でながら笑った。
イズナは誰が自分に触れているのかわかっているのか多少のむずがる仕草を見せはするが、その手を拒否するでもなく相変わらず深い眠りについている。
スヤスヤと安らかなその様子は、幸せな夢でも見ているのだろうか。
そんな息子の様を愛おしく見つめながらシスイは言う。
「よく、眠っている」
「そうだな」
イタチもまた微笑みながら答えた。
この光景を愛おしく思っている。
それはシスイだけではなく、イタチのほうも同じではあった。
そもそも、先に子供が欲しいと、その存在を願っていたのはイタチのほうだ。
男に家族を与えてやりたいとそう思っていた。
だからこそ、夫婦でありながら、ただ隣にいるだけで充分だとそんな馬鹿なことを言い切った男を前に、夜の営みに関し、周囲の期待だけの問題ではなく己も望んでいるのだと口にし、時には実力行使も交えながらではあったが説き伏せた。
……まぁ、言葉足らずなのもあって、子供が欲しいとまで具体的なことまでは言った覚えはないのだが、そもそも行為の意味を考えれば言わずともわかるだろう。
それにイタチはそれほど言葉が上手いほうではない。言葉よりも行動で示すタイプだ。
だから周囲は気付いていないかもしれないが、実はイタチが夫を前にして、「好き」だの「愛している」だのその手の類の台詞を言ったことは1度もない。
しかし、実はそれはお互い様である。
シスイは庇護するべき子供としてイタチを見ていた幼少期のイタチに対しては、わりと「好き」だの「大切」だのという言葉を臆面もなく口にしていたが、そのくせ結婚し妻となったイタチに対しては「好き」だとか「愛している」だとかその手の台詞を吐いたことはこれまた無かった。
気付いている人は少ないがシスイもまた元からそういう男なのである。
シスイはよく人に臆面もなく「好き」と口にする男ではあるが、その「好き」はLikeの意味の好きだけで、Loveの意味で好きという言葉を使うことはまるで無い。なので子供や同僚や同性の友人相手にわりとニコニコしながら「好きだな-」と口にしてしまうわりに、性的対象になりそうな大人の女などに「好き」ということはまずない男だった。
……まあ、イタチにしてみれば、いくら友人としての「好き」という意味だろうが、男相手に好きと臆面もなく口にするのはどうなのだ、という気持ちがないわけではないのだが。
というか、そんなことを言っているとそっちの趣味を持っている奴には勘違いされるのではないかと、割と半分ほど本気で夫の貞操を心配せざるを得ないのだが、まああまりに邪気無く裏なくニコニコ笑いながら「好き」なんて口にするものだから、今の所妙な誤解騒動には発展していないようなのでとりあえず由としている。
そんなわけで互いに互いへ「好き」や「愛している」などと言った愛の言葉を贈り合ったことのない2人であったが、それでも夫婦は互いへの愛を確信していたし、言葉よりもその行動によって互いへの情を示してきた。
けれど……近頃は少しは言葉を使った方がいいのかもしれないと、イタチは思い始めていた。
夫としてのシスイは自分にとても優しいといっていいのだろうと思う。
いや、結婚する前からシスイはとても自分に甘かったが、それでも結婚し数ヶ月を過ぎる頃には女としても本当の意味で自分を愛し出すようになったと思うし、たとえ勃たなかったとしても、一方的な奉仕だけで終わったとしても責める言葉を一切口にすることのないイタチの姿を見てきたせいだろうか、次第に己が他人に愛されているのだということを少しずつだったがなんとか認識出来るようになっていったようだった。
それでもシスイは求めるということ、求められるということ、それに酷く消極的だった。彼が自らイタチを求めるのはいつも酷い長期任務の後という条件が付いた。それ以外ずっと求めるのはイタチばかりであった。
妊娠が発覚したのは、イズナを腹に宿して3ヶ月目のことだった。それ以来……イズナが生まれて半年が経つ今までシスイがイタチに手を出した夜はない。
今だって眠る息子を見つめながら愛おしげに微笑むその顔は性的なものとは無縁そうな、そんな顔だ。
きっとおそらくこのまま放っておけば、いつかの昔に逆戻りしてシスイは自らイタチを求めなくなるのだろう。ただ、側に、隣にいれたら充分なのだとそんな馬鹿なことを口にするようになるのだろう。
だけど、それではイヤだと思ったのは、女としての
「……シスイ」
「イタチ?」
イタチはそっと夫の背に体を寄せ、その首へと白い両の手を回し、性的なものを連想させる動きで右手をつぅと胸板に這わせ、左手を喉から頬のラインにかけてゆっくりと這わせた。そしてそんな妻の仕草に驚いたように自分へと振り向いた唇に己の口を合わす。
「えっと……どうしたんだ?」
触れるだけの口づけに戸惑うようにシスイがそんな言葉を漏らす。それにこの鈍感と心の中で呟いてそれからイタチは言う。
「シたい」
そういって今度は触れるだけの口づけではなく、深い口づけをした。女の舌が男の歯列をなぞり、もう一つの舌を追う。シスイは始めそれに応えるでもなく、吃驚したように固まっていたが、自分の舌をイタチに吸われる頃になればやがて本人も少しずつそれに応え始めた。
2人分の吐息と唾液が混じり合う。チュクチュクと粘着質な水音が静かな部屋の中を満たす。目の前の存在に酔いしれて頭が白くなりそうだ。
けれどその時赤ん坊のうーと、ぐずるような声が聞こえて、はっとシスイは我に返った。慌てて妻から唇を離し、トントンとあやすようにイズナの背を撫でる。すると赤ん坊は安心したように、再びスヤスヤと深い眠りに落ちた。
「その、ほら、イタチ……イズナもいるから、な?」
そういって、逃げを打とうとしている男を相手に、イタチは言った。
「母さんに預ければいい。1日くらい問題ないだろう」
「いや、ミコトさんに迷惑をかけるのは……」
「寧ろ、母さんなら迷惑どころか喜ぶと思う。この前イズナと一緒に寝たいと言ってた」
そういうと流石にシスイは言葉を無くした。
イタチが言ったのは本当のことだ。確かにミコトは初孫であるイズナが可愛くて仕方ないらしく、多分1日どころかあれは1週間くらい預けたとしても喜んで面倒を見るのだろう。
ミコトの夫でイタチの父であるフガクにしたって、元々仏頂面で素直ではない人だが、いつも通りのムスッとした態度を心がけながらも、それでも孫を見る目は優しく、内心可愛くて仕方ないが素直に言い出せないだけという風に見えた。おそらく他人の目が見えなくなったらそれこそイズナを猫かわいがりするのではないか、あれは。
そう思うと、全く悪くない提案なのだろう。誰も損はしない。だけど、尚も往生際悪く、シスイは「けど……」といって戸惑うようにチラチラとイタチとイズナの顔に交互に視線をやっていた。そんな夫に向かって妻は言う。
「そんなにイヤか?」
「え?」
ふと神妙な顔をしてそんな言葉を言い出したイタチを前に、シスイは戸惑うような声を出した。
「そんなに、シたくないのか」
「いや……その、オレは……」
そういって顔を伏せる相手に、これは口にしてはっきり言わないとわからないらしいと判断したイタチはそれを言った。
「私が欲しいと、そう言ってもか?」
「イタチ……」
その妻が放った一言を前にシスイは言葉を失った。
……別に夫が心から自分との行為を疎んでいるわけではないことくらい、彼女だって知っている。それでも、この態度が悔しいとそうイタチは思う。
見当違いの罪悪感、それが夫が自分との行為を拒む最大の理由だ。
過ぎた幸せであると、己に資格はないと思っているのだ。本人に自覚があるかどうかは知らないが。些細な幸せを糧として、既に己は幸せ過ぎるほどに幸せなのだからとそれ以上は受け取ってはいけないのだとそんなセーブを己にかけている。その結果がこれなのだ。
イタチが自らも望んでいるのだと、言わなければわからない男なのだ。
でも本当は……彼女は、夫にこそ自分を望んでいるのだと、言わせたかった。
この見返りを求めぬ愛を他人に捧げるだけ一方的に捧げて、そのくせ本質的には誰も求めようとしない男に、他でもない
自分との間に子供が出来ることを、シスイにこそ望ませたかった。
お前は父となっていいのだと……子を作りたいと思うことは罪でも何でもないし、性交は決して穢らわしい行為などではなく、当たり前の命の営みなのだと、そう教えたかった。
望んで良いのだ。望まれたいのだ。そんな風に求められたいのだ。
再び口づけを落とす。そんな己の気持ちが伝わってくれればいいと、そう願いながら。
……イズナを一晩預かってくれないかという話をミコトにしたとき、彼女は二つ返事で喜んで了承し、イズナを胸に抱いた。
それから、一体どういうつもりでそんな提案をしたのかに気付いているのだろう。意味ありげに笑うと「これは2人目も近いかしらね?」そう悪戯気に言った。その隣でその夫であるうちはフガクは、コホンと咳払いを1つ落としてそれから「まぁ……若いとは言えほどほどにな」そういって孫を連れて背を向けた。
そんな2人の態度に苦笑しながら、シスイはイタチと手を繋いで自分たちの部屋まで歩く。
部屋につくと、1番小さな灯りに切り替え、部屋の灯りを出来るだけ落とす。出した布団は一組だけだ。それを待てないというかのように、イタチは性急に夫の着物をまさぐり帯を落とす。
「……シスイ」
ちゅっと音を立て、夫ののど仏の隣へ赤い花を一つ散らし、その指を胸板へと沿わす。
そんな妻の仕掛けた性技にビクリと肩を揺らし、シスイは震える声で「イタチ」と彼女の名を呼んだ。
……なんだかんだでシスイもまた久しぶりなのだ。2人ともこうしてそういう意図で触れ合うのは1年ぶりだ。
けれど元々物覚えが良いからか、これも1度覚えたことは忘れない優秀さの現れだというのか、久しぶりとはいえイタチの手に不慣れな様子はなく、夫の性感を引き出そうとするかのように、的確に弱い場所を突くように、けれど徹底的な刺激は避けながらその白魚のような美しい指が男の体をなぞっていく。
「あ……く……ッ」
ピチャリと音を立てながらイタチの舌がシスイの肌を這い、やがて左胸の突起を口に含みカリッと甘噛みをした。左手は噛むタイミングに合わせ、夫の右胸の突起をつまみ上げる。その一方で空いた右手は下履きの上から性器を包み込み、まだ柔らかいそれを痛くならない程度の力でキュッと掴んでいた。それにたまらず男は声を上げる。
「ッ……ィタチ」
一体いつの間にこんなことを覚えたのだか。ぼんやりとした頭でシスイは考える。
確かに初夜からしてイタチは、自らキスを仕掛けてきたり、最初っから咥えてきたりなどちょっと予想外なくらい積極的にあれこれしてきたわけだが、それでも手慣れたものとはそれはお世辞にも言えず、頑張ってはいたがなんだかんだで自分のほうが年上だったし、経験値も上だったのでこんな一方的にされるというのもなかった気がする。
……まあ、イタチの要領と物覚えがいいせいなのか、夫婦生活を続けるうちにどんどん自分の弱いところを覚えていって、的確にこちらの弱点を突いてくるようになったのも確かなのだが、それでも久しぶりに受けてみれば思った以上に上手すぎて戸惑う。
甘噛みするにしても痛みと快楽の境の絶妙な力加減とか、どこがイイのかとかどこが弱いのかとかこちらのクセは全て筒抜けなのだ。おかげで早くも息が上がってきた。思わず低く押し殺した声が漏れる。
まあ、それでも他人に比べると些か興奮しにくい体をしているから、快楽を感じたからといってすぐに勃ちあがるってわけではないのが不幸中の幸いといっていいのか微妙なラインではあるのだが。しかし彼はこの時点で己が見た目通りの年齢の健全な青少年であれば、既に一回くらいイかされていたかもしれないというくらい強く悦楽を感じている。
それに、あれ? オレ情けなくね? と快楽に耐える思考の片隅でシスイは思った。弱いところを責められ、漏れそうな声を噛み殺して耐えて、自分もまた相手の性感を探る余裕すら無くして。これじゃあまるで男女逆だ。男として女にやられっぱなしとは釈然としない。
しかし、確かに元からイタチは積極的といえば積極的なほうであったが、ここまで一方的だっただろうか。こっちは既に着物が乱れているというのに、まだイタチは寝着である薄紅色の浴衣をきっちり着込んだままだ。そのことをちょっと不満に思いながら、自分の陰茎を口に含んでいる女を相手に、上がる息を抑えながら疑問を投げかける。
「なんか……ッ、お前妙に積極的じゃないか?」
「お前が悪い」
カリッと鈴口に軽く歯を立てながら、悪戯気に微笑って上目遣いに見上げつつイタチは言う。
……1年だ。1年以上も放って置かれたのだこれくらいの仕返しくらいさせてほしい。
そんな風に微笑む妻の姿に思わず見惚れる男を前に、イタチは男の頬に指を這わせ、そして言った。
「そうだな……ちょっとした、仕返しだ」
そういって女は再びの口づけを仕掛ける。その言葉の意味を男が問うよりも早く、赤い舌が蠱惑的に己の舌をなぞり絡めながら蠢いていく。それがたまらなく気持ちよくて、夫もまた応えるように妻の舌を甘噛みし、その交換された唾液を啜った。そんな風にキスに夢中になる男の右手に女の左手が、男の左手には女の右手が這わされ、それらを2つ同時にグイとシスイの背の裏側で1つに合わせると、男の両手を重ねるようにして、彼女は彼の親指2つを素早く紐か何かで束ねた。
「…………ん?」
その違和感に、唇を離したシスイは軽く驚いた顔を上げながら腕を動かそうとする。が、親指同士をしっかり結ばれた男の両腕は、後ろで括られたまま肘以外は殆ど動きそうもなく、シスイは恐る恐るといった顔で自らの妻の顔を見た。
イタチは悪戯そうな顔で微笑っている。サラリと長く艶やかな漆黒の髪が肩へと垂れてそんなイタチを彩っていた。そこに、いつも1つに纏める役目を果たしていた赤い髪紐の存在はない。
「あの、イタチ……さん?」
どうやらイタチの髪紐で自分の両親指を動かないように括り付けられているらしいとは理解したが、そもそもなんでそんなことをされるのかがよくわからない。しかも痛みはないのにしっかり括り付けられているようで、これは自力では外せそうにない。
縄抜けなど通用しないレベルの精巧さでこんな短時間で痛みも与えず相手を束縛してしまえるなんて、その辺の技術力の高さは流石イタチだなぁと感心する気持ちがないわけではないが、それをされた対象が自分である以上笑えない。
ていうか、今からSEXするんじゃないの? なんで縛るの? などとクエスチョンマークが乱舞しているシスイを見て、イタチは言った。
「罰」
玲瓏たる美貌に惚れ惚れとするほどの笑みを乗せて妻はそんなことを言った。だが、罰と言われても一体なんのことなのか心当たりのないシスイはただ困惑した。まさか、子が生まれてからも1度も手を出そうとしなかったことが原因にあるとは夢にも思っていないらしい。
……知っていた。自分の夫がそういう男であることはよく知っていた。
それでも妻として、女として求められないというのは、理由は分かっていても釈然としないものなのだ。一見完璧っぽく見られがちなので勘違いされやすい気もするが、イタチとて別に聖人でもなんでもないのだ。
イタチはシスイとスることが好きだった。
シている時だけ、シスイは自分のことを求めたからだ。
好きだとか、愛しているとか、そういう言葉を互いにかけることはないけれど、それでも切羽詰まった声で自分の名を呼ばれ、中に出すことを懇願されれば、求められているのだと愛されているのだと実感出来たからだ。今、この男の目に写っているのは己だけなのだと、そう思えたからだ。
けど……それを除けば、いつも求めるのは自分のほうばかりだ。こうして焦らされるのも。だから、たまにはお前のほうこそ焦らされてしまえばいいと、そう彼女は思った。
そうして余裕をなくして、自分だけを見て、我慢しきれなくなった頃に自分から己を求めてくれたならいいと、そう思った。
……他でもない、その口で求められたかった。
けれど、わかっていないシスイは戸惑う声で尋ねる。
「ええと、オレお前を怒らせるようなこと、したか?」
「そうだな、している」
そう短く答えて彼女は笑った。
怒っている、といいながら怒ったようには見えないその態度に困惑する男を前に、イタチは性技を再開する。
「ンッ……く」
肛門の縁を女の白く細い指先がなぞり、その手がやがて男の急所と呼ぶべき器官を柔く掴む。それから彼女はやわやわとそれを揉みしだきながらパクリと暖かい口腔に銜え込み、アイスを舐めるような要領でピチャリピチャリと音を立てながら睾丸を嬲った。
その一方で、空いているもう片方の手が半勃ち状態のペニスを掴み、裏筋を親指の腹で絶妙な力加減を加えながらなぞりあげ、竿全体を優しく摩りながら、グリッと人差し指の先端で尿道口を弄った。
「ッは……ぁ、あッ……く」
単調な動きを繰り返すのではなく、時には歯を立てたり爪を立てたりと、優しい刺激と、痛みと快楽の境を見抜いたような強い刺激が交互に与えられ、ペニスを硬くすると共に次第にシスイの息は上がり、声を押し殺すことが難しくなってきた。額からほのかに汗が伝う。
「ィタチ、……だ、も……ッ、駄目、だって……ヒッ……! ぁ、あ」
「
「ッ、ぁ、咥え……な、がらしゃべ、んな」
笠をパクリと口腔に収められ、ちらりと上目遣いに見上げられながら、敏感な場所に指をツゥーと這わされながら尋ねられた問いに、ビクビクと体を震わせながら、途切れる言葉を繋いで男はそう言った。
実際に与えられた性技だけでなく、視覚からも与えられたそれはイタチの怜悧な美貌と己の一物という卑猥物のギャップもありとんでもなく扇情的な光景で、それらのあまりの刺激の強さに頭がチカチカしそうだ。
そんな夫の言葉を受けて、イタチは一旦手を止め、キュッと緩くペニスの根元を痛くならない程度の力で握りながら体を起こした。
……自分は後ろ手に指二本を戒めることによって両手を拘束され、服も体も乱されているというのに、彼女は未だに寝着をキッチリ身に纏ったままだ。そんな妻の姿を見て、ほんの少しだけ冷静さの戻った彼は頬を紅潮させ上がった息のまま狼狽えるように言った。
「…………な、情けねぇ……」
「何が」
蚊の泣くような声で漏らされたその声を拾い、イタチは無表情じみて見えるその美貌に僅かな不思議そうな色を乗せて言う。
「だって、オレ……ッ、あんな声、出したりとか色々……」
そういって益々顔を赤らめながら、ちょっと泣きそうな顔をして俯く夫を前に彼女は言った。
「……私は、お前の善さそうな声とか感じているときの顔を見るのが好きだが」
「…………え?」
それに驚いたような顔をして顔を上げる男を前にイタチは言う。
「どうした?」
「いや……その、それ普通男が女に思うようなことなんじゃ……いや、それよりす、好き……って」
戸惑うような声を上げて、蚊のなくような声でシスイはそんな言葉をボソボソと漏らした。
それで合点した。
今、イタチは善がる声と感じている時の顔が好きだといったが、思えばそれですら男に「好き」と面と向かって口にしたことは今まで1度もなかったのだ。シスイ自身イタチはそういう奴だと思っていたから、好きとか愛しているとか愛の言葉を囁かれることのないことに対して別段なんとも思っていないようであったが、それでも不意打ちにように真顔で吐かれた台詞を前に、戸惑いを覚えているらしい。
ふと、悪戯を覚えたような顔をして、イタチは微笑みさえ浮かべて男の名前を呼ぶ。
「シスイ……」
そっと、優しくイタチの細く長い指が男の頬に這わされる。吐息をはけば届くのではないかと思えるほどの至近距離で、イタチは切れ長の目を柔らかく細めながらそれを言った。
「私は、お前が好きだ」
「……ッ!!」
ボッと、一気に耳まで赤くしながら、それを聞いたシスイは後ずさりをした。けれど、布団の上で行き着く先など他にある筈もなく、軽くイタチに胸板を押されたのを切っ掛けにドサリと後ろ手に両手を拘束されたまま柔らかい布団の上へと倒れる。
イタチはそんなシスイの上へ馬乗りで乗り上げると、男の胸板から喉元までを妖しい指の動きでなぞりながら、妖艶にさえ見える微笑みを携えて言った。
「……シスイ、お前は?」
「…………オ、オレは……」
シスイが自分のことを好いてくれていることくらいとっくにイタチは知っている。だけど、彼女はどうしてもその口で男に言わせたいとそう思った。
けれど、やはりこれも元々の性分という奴なのだろう。Likeの意味でならいくらでも他人に好きといえるし、恥ずかしい台詞も臆面もなく口に出来るシスイであったが、Loveの意味で使うのならまた話は別だ。青年は赤く染まった顔に涙目さえ浮かべながら、先ほどまで自分が散々晒した姿態さえ忘れて、擦れるような声で言った。
「言……、言えるか、そんなこと……ッ」
泣き出しそうな顔をして吐かれたそれは、もう勘弁してくれ。恥ずかしすぎて死ぬ、と言わんばかりの口調だったが、結局言ってくれなかったことにややイタチは落胆した。
「そうか……」
その落ち込んだ声に、シスイは焦って体を起こそうとするが、それより先に仕掛けられたキスを前に言葉をふさがれた。
「ふ……ゥ、あ……」
その心地よさに思わず目を瞑ってしまったその時、シュルリとなにやら布擦れの音がしたと思えば、男は彼女の手によってその目を何かの布に塞がれていた。
突如訪れた暗闇に困惑の声を上げる。
「……!? イタチ?」
「罰追加だな……」
イタチは淡々とした声でそう言った。
触感や幅などから推測するに、それは自分の着物の帯であるように判断出来たが、シスイにすればそもそもなんで妻がこんな行動に出るのかがわからなくて、焦る。何故今までとこんなに今夜のイタチは違うのか。
……それが今までの鬱憤が募った結果だとは当然知る筈もない。
「……お前が言うまで、外さない」
「ぇ……あ」
男の耳元で囁くように女はそう口にした。
その言葉を聞いて、シスイの脳裏によぎったのは前世での知識だ。
確か、前世で1番最初の彼女に言われた台詞だったのか。大分記憶も朧気になってはいるが、「男は行動で示そうとするけど、女の子はね、たとえ愛されているとわかってても口で言って欲しいものなのよ」とかそんなことを言ってたような気がする。
え? ひょっとしてオレがこんな風にされているのって、それが原因? と、漸くシスイはイタチの言葉でなんとなくそれを悟ったが、しかし悟ったからこそ思う。
(オ、オレに、愛の言葉を囁けってのか……!?)
いや、無理。本当無理。勘弁して。大体今までだってそんなのなくても上手くいってたのになんで急に? とか、お前だって愛の言葉囁くとかそういうタイプじゃねえだろ、とか、実際結婚して2年以上経つけど好きなんて言われたの今日が初だし! とか、色々思ったが、それでも次に聞こえた音を前にピタリと思考を止めた。
シュルシュルと布擦れの音が聞こえる。
イタチは今まで身に纏っていた寝着に手を掛け、生まれたままの姿に向かっているのだとそれで悟った。
視界を塞がれたことにより他の五感が鋭敏になっているのだろう。空気の振動の1つ1つまで手に取るようにわかってしまうのは忍びとしての職業病だったのか。イタチの裸はもう見慣れた筈なのに、何故か実際に目の当たりにするよりも、ただ音だけでどうなっているのかを想像する方がずっとエロティックだった。
「シスイ」
名を呼ばれる。
そして仰向けで布団の上に後ろ手で両手を拘束されながら転がっているシスイの顔の上に、2つのたわわな女の胸が乗せられた。
「あ……」
大きすぎず小さすぎないイタチの胸は柔らかくて、きめ細やかでしっとりしていて、そのツンと勃ち上がった突起部分が柔らかく、男の頬へと沈み込む。その感触にシスイは知らず頬を赤らめた。
彼女はその白魚のような両の手を夫のクセの強い黒髪をなぞるように頭の裏に回し、そっと持ち上げながら、男の口元へと己の胸の突起を寄せた。ツンと膨らんだ独特の感触を持つそれは咥えられることを待ち焦がれるように己の下唇のあたりを優しく叩く。それに思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
……甘い香りがした。
柔らかく弾力のある乳首の先端は湿っており、ヒタヒタと頬に触れる胸の感触はまるで熟れた桃のようだ。腕は今は体の下敷きになった状態で動かせそうもない。
だからシスイはおそるおそる口を開き、その数少ない自由の利く舌を甘やかな香りで己を誘惑するそれに伸ばした。
「……ンッ……」
ピクリと空気が跳ねる振動と共にそんなくぐもるようなイタチの声が漏れる。それを合図に考えるよりも先に舌が動いた。瑞々しい果実のような胸の先端を口に含む。歯と歯で挟むようにして乳首を舐り、その先端をグリと舌で刺激するとトロトロとした液体が口腔へと広がっていった。
ほんのりと甘いそれを飲み込むと、たまらなくなってそのままピチャピチャと音を立てながら夢中で妻の乳首へとむしゃぶりついた。イタチの白い乳房を唾液でベトベトにしながら彼は母乳を啜る。まるで飢えた犬かなにかになったようだ、とか、オレはどこの赤ん坊だ、とか思う気持ちがないわけではなかったが、目が見えないからこそ鋭敏になった五感と甘い香りがクラクラとシスイの思考を惑わせていた。
そんな夫を見て、イタチは微笑みながら言う。
「ふふ……まるで、イズナみたいだな」
その言葉に思わず顔をカッと赤らめるが、イタチのおっぱいが口元から離れていくと「……ぁ」と名残惜しげな声が漏れた。手が動けるのであれば、きっとその腕を掴んで離れていくのを阻止していただろう。そんな夫の様子を見て、彼女は優しげに男の髪をかき上げると、その口元へと今度は自分の股座を「舐めろ」と言うかのようにグイと押しつけた。
そこは何をしていなくても、既にしとどに濡れていて、欲情した女の匂いがした。
ピチャリピチャリと音を立てながらシスイは妻の陰部へと舌を這わす。襞から陰核まで丁寧に舐め上げ、グイッと舌で壁を押し広げ内部へと舌を這わせながら愛液を啜りあげる。それに合わせるようにイタチの舌もまたシスイのすっかり勃ちあがったペニスの先端を舌で抉り、その細く形の良い両指が玉と竿のあたりを弄る。完璧なシックスナイン。
「……は、ァイタチ、ィタチッ」
……たまらなかった。
男は思わず熱の籠もった切羽詰まった声で妻の名前を呼び上げる。動かない体がもどかしくて仕方がない。男根は既にギンギンに勃起している。女の中に早く入りたいのだと訴えている。あまりの過ぎた快楽と、目が見えていないからこそ鋭敏になった五感を前に頭の中が真っ白になりそうだ。
けれど、こちらの訴えをわかっているだろうに、しかしイタチは存外冷静そうな声で言った。
「入りたいか?」
トロトロと蜜を溢す女性器の状態を考えるのならば、当然冷静そうに見えてもやせ我慢であることはわかりそうなものだが、既に思考の鈍った男は女もまた限界が近いことには気付かず、何故わかっているのにそんな意地悪を言うのかとそればかりを考えながら「入り、たい」と切羽詰まった声で漏らす。
「わかった」
それに一瞬ほっとした顔を浮かべたシスイであったが、次に彼女がした行動にぎょっとした。イタチは……おそらくは予備の髪紐か何かで限界まで膨らんだペニスの根元を、イけないようにしっかりと戒めた。
「ただし、言うまでイくのはお預けだ」
そう言ったイタチの声はどことなく悪戯そうで優しささえ感じさせる声音でさえあったが、言われたほうとしてはたまらない。けれど、それを指摘するよりも先に、ぬるぬるとした蜜壷がシスイの性器を包み込んだ。
「アッ、ひ、ぁ!」
突然の過ぎる快楽にビクリと肩を跳ねさせシスイは身悶える。イタチの中は狭くてヌルヌルとしていて弾力があって、たまらなかった。襞が自分のモノを包みこむ感触が気持ちよくて、収縮する動きに締め付けられる度痛いほどの快楽に気持ちよすぎて声を抑えられそうもない。
「ひグッ、あ、ひっ、ぃ、あァ……ァアア!」
「ッ、ぁあシスイ」
イタチもまた喘ぎ交じりに己の名前を呼びながら、その手を彼の胸板の上に置いて、快楽を追うよう縦横無尽に上で動き続けた。
こうやってイタチが騎乗位となって動くのはこれが初めてではない。初夜も上になろうとしたイタチであったが、その時は初めてなのもあってとても上手く動けたとは言えなかったし、最終的にリードしたのはシスイのほうだった。
しかし今はどうだろうか。あれから何度も体を重ね、要領を得たイタチは自分と相手互いの快楽を最大限に得られるように絶妙なバランス感覚で腰を動かしている。
時には入り口ギリギリまで引き抜いては一気に奥まで入ったり、かと思えば幾たびも角度を変えつつ浅く前後に擦り上げたりと、しなやかな膣の動きと共に強弱を付けながら行われるそれは極上の快楽で、しかしだからこそ今の彼にとっては拷問に等しい。
堅く縛られた根元は絶頂へと至ることを阻害していて、精々その先端部分からカウパー液が僅かに漏れるのみで、高まるだけ高まって外に排出出来ない熱がまるで自分を嘲笑うかのように責め立てる。ただでさえ視界を封じられた今五感が鋭敏になっている上、体もこれ以上なく昂ぶっているというのに、行き場のない快楽を前に頭がおかしくなりそうだった。
「ぁ、ア、っひ! は……ぁ、あァ!」
最早その嬌声は一体どちらが吐いたものなのかさえわからない程だ。
「ィタチ、イタチィッ!」
息も絶え絶えに泣きじゃくるような声を上げながら、シスイは妻の名を呼ぶ。
「イき、たい……ォレ、ぁ……! ぅ、ィき、たい」
「ッ……だったら、言ってくれ」
こちらもまた、熱く息を切らしながら、けれどそれでもしっかりとした声でイタチはそう言った。
「イきた……ぃ、イかせ……ひぐっ……!?」
まるで不正解だと、罰を与えるように、ギュッとイタチの
脳みそが沸騰してしまいそうだ。
……イキたいのにイけないその状態がこれほどキツいなど今まで彼は知らなかった。
腰の奥からゾクゾクとした悪寒に似た痺れが這い上がって、それが脳髄まで焼いてしまいそうなくらい熱くて、苦しくて、体中を徘徊する。出口の見えない熱と視界を塞がれたことによって鋭敏になった五感を前に、まるで全身が性感帯になってしまったかのようだ。
行き場のない過ぎた快楽に苦痛なのかそれとも気持ちが良いのかさえわからなくなる。
そんな男に向かって、彼女は再び言った。
「シスイ、頼む……」
懇願するようにイタチの言葉が落とされる。
頼む?
何を。
ぼんやりとした思考の隙間で殆ど動かない頭を使いながらシスイは考える。
「……言って」
男の胸板に手を置きながら、小さく漏らされた其れはまるで祈りの言葉のようだった。
それはあまりにも切なげで、苦しそうで……泣いているのかと思った。
だからシスイは……。
「…………………き、だ」
その僅かに漏れた夫の言葉に、イタチははっとした顔をして彼を見る。
それは、擦れている上に途切れがちな声だったが、しかし確かに男はこう言った。
「好、きだ……ィタチ……オレは、お前に、出し……たぃ。おまぇが、欲し……ぃだか、ら……ッ」
お前に出させて、と……その言葉を合図にしゅるりと音を立て、シスイの目を覆っていた帯が外される。そうして漸く自由になった目で見た妻の顔は、どこか嬉しそうで、けれど少しだけ泣きそうで、でもそれでも泣いてはいないことにちょっと安心して、知らず彼は微笑んだ。
……彼女の泣き顔だけは、見たくなかったから。
けれど、イタチが彼の男根を戒めている紐を解こうと動いたその刺激で、また彼の思考は過ぎた快楽に白く濁りそうになった。
「ひぅ、ぁ、ア、ッ」
戒めが解かれるなり、酷い射精感が襲う。はくはくと飢えた犬のように絶え絶えな息を漏らしながらシスイは叫んだ。
「デる……ぅ! オレぇ、も、出る!
焦らしに焦らされ、限界を越えて頭がおかしくなりそうな手前寸前までストップをかけられた末に女の胎内へと果たされた射精は、いつもよりもずっと長くて、シスイは体中を痙攣させながらビュクビュクといつまでも吐き出し続けた。
「あぁッ……シスィ……」
そんな生暖かい感触を胎内で感じながら、熱に擦れた声で小さく女が喘ぐ。
もう止まった筈なのにまだイっているような錯覚を覚える。強すぎる余韻にクラクラしそうな頭の中、シスイはそれを聞いた。
「欲しい……おま、えの子が、欲しい」
力を失ったペニスをまだその熱く収縮するヴァギナに収めたまま、イタチは男の胸板に顔をすり合わせ、カリと夫の乳首を甘噛みしながら切なげにそう呟いた。
「欲しいんだ……」
……それほどに、望まれているということ、それを今まで彼は理解していなかった。
ただ、その言葉を聞いて何故イタチがこんな真似をしたのかわかったような気がした。だけど……慣れぬ事態に体は疲労しもう指先1つ動かせそうもない。そんな後ろ髪を引っ張られるような気持ちを持て余しながら、彼の意識は微睡みへと落ちていった。
* * *
―――――……あれから4年程の歳月が流れた。
3年ほど前には大蛇丸が音忍を引き連れて砂と共に木の葉を襲撃する「木の葉崩し」事件などがあったがその時は、イタチや木の葉警務部隊の活躍もあってそれほど大事にもならず、事件は早々に収束して大蛇丸は這々の体で逃げ帰るハメとなったし、砂も風影が大蛇丸の手によって殺害・成り変わられていたことが木の葉警務部隊等の調べによって発覚、すぐに木の葉へと全ては大蛇丸の責任として降伏した。
この他にもシスイが知るNARUTO正史とは違う流れがあった。
いや、そんな他人事な表現ですませていいものではないのではあるが、シスイは自らの手でその混乱に乗じて薬師カブトを暗殺した。逃げられないよう幾重ものトラップと幻術と毒を用い、音も無く匂いもなく、そうやって殺した。……ただ、それでも薬師カブトもただ何もせずやられた、というわけではなかったのだが。
その時の戦いによってシスイは左腕の神経を断たれた。
忍びの中には片手で印を結べるものもいるが、普通印は両手で結ぶものだし、シスイは片手で印を結べるような器用さを持っていない。それを思えば中々大きな代償とも言えた。
しかし、神経を断たれたからといってそのまま何もしなかったというわけではなく、木の葉三忍の1人であり、トップクラスの医療忍者でもある初代火影千手柱間の孫娘である綱手姫へと依頼して治癒をしたが、しかし綱手が了承した時には時間が経ちすぎていたせいかそれでも完全回復とはいかず、普通に生活する分には問題ないが、多少の不自由は残った。けれど、これも薬師カブトが将来もたらすだろう弊害を思えば安い代償だろうと、そうシスイは思うことにした。
イタチとシスイの息子であるイズナは4歳となりすくすくと色んな人の愛情を受けて元気に成長をした。
「父様、母様!」
そういって元気に手を振りながらこっちを見て満面の笑顔を見せる息子の姿は正直可愛い。
尚、これは余談だが最初にイズナが覚えた言葉は「パー」と「マー」であり、大体3歳くらいまでイズナはシスイのことをパパ、イタチのことをママとそう呼んでいたのであるが、イタチの父であるフガクがいくら可愛くても男の子なのだしそんな言葉を使うのはどうなのか、といった結果矯正させた結果、何故か呼び名はこうなった。
初めは普通に「お父さん」「お母さん」にさせるつもりだったのになんでこうなったのかな、と互いに顔を見合わせてイタチと二人苦笑しながら話したシスイだったが、別に悪い気はしない。
イズナは良い子だし、純真で無邪気だ。共にいると和んだ。
……まぁ、些か人の言うことを素直に受け止めすぎるきらいがあって、そのせいで面白がって他の人間が教える言葉とかも覚えていき、その結果の「父様」「母様」呼びなのだから、このままじゃあ将来人に教えられるがままおかしな言葉も覚えるんじゃないかと心配しなくもなかったが、サスケがいる限り大丈夫だろう。
イタチの弟のサスケは、姉であるイタチが大好きなのもあって長年シスイを目の仇にしてきた面もあったが、2人の間の子であるイズナのことは可愛くて仕方ないらしく、何かとイズナの面倒を見たがった。
イズナに他の人間(主にナルトあたりか)が変な言葉を教えようとすると怒ったし、自分も大概口が悪いくせに、イズナに悪い影響を与えたらいけないと思ったのか、イズナの前ではそういう汚い言葉は究極使わないよう気をつけているらしかった。そんないじらしさに夫婦揃ってつい笑ったものだ。
イズナもそんなサスケのことが大好きで、「サスケお兄ちゃん」と呼んで叔父であるサスケに懐いている。サスケも満更ではないらしく、よく目を細めて笑いながら、イズナを高い高いしている姿をみかける。近頃は、イズナに忍術を教えるんだと称しては自分の修行風景を見せているようだ。どうやらイズナが素直にきゃあきゃあと目を輝かせながら「凄いね!」というのに鼻が高いらしい。
そんな風な4年だった。
しかし、未だに夫婦に2人目の子供は生まれない。
―――――……あの日、シスイはイタチがどれほど自分との間に子供を望んでいたのか、それを知った。
どうしてあれほど己との行為を望んでいたのかそれも理解した。
それ以来、シスイとイタチは少なくても週に1度は情交を結ぶようになった。
まあ、互いに長期任務が入っていなければ、という前提がついてはいたが。
流石に毎日ヤるというのは性的欲求が低いシスイには辛いものがあったし、そもそもイタチも暗部の身とくれば忙しい日も多く、実際にも任務の関係上毎日というのはほぼ不可能に近かった。
それでも出来る限りは、シスイは彼女の希望を叶えたいと思ったし、兄弟が欲しいかという質問に「うん」と答えたイズナの願いも出来るだけ叶えてやりたいと思っていた。
……自分は死んではまずいのだと、本当の意味で思い出したのはその頃くらいだ。
それまで、どこか自分はどこで死んでもいいのだと思っていた気がする。
だけど、彼は今、己の生が望まれているということを漸く朧気ながら理解し始めていた。
未だ、子供は出来ない。それでも、子が出来るなんて元からそんな簡単な話ではないのだ。結婚してから何年も子供が出来ず、すわ種なしか石女かと思われた直後に子供が出来た夫婦なんてケースもある。
だから、自分たちは自分たちとして焦らずそうして歩んでいけばいいのだとそう思っていた。
だが……。
時は待ってくれやしない。
ペイン長門による木の葉襲撃、この事件があることは、前世の知識をもったまま『うちはシスイ』となってしまった彼にはわかっていたことではあった。
知識が朧気過ぎて、一体いつ襲撃があるのかとか具体的なことはわかっていなかったが、しかしこの裏にあるものとかも彼はわかっていた。
己は死ぬわけにはいかないとわかっている。だけど……それでも彼には夢があった。
子供達が笑って過ごせる世界を、それにはこの事件の裏にいる存在がどうしても邪魔だったのだ。どうしてもその男の存在が彼には放っておくことは出来なかった。
だから、ペイン長門事件が、ある意味原作通りに兄弟子である長門と弟弟子であるナルトの和解によって終わりを迎え、輪廻眼の機能の1つである長門の命と引き替えにして死者を復活させる「外道・輪廻天生の術」を用い殆どの人間が蘇り事件は収束を迎えた。
その直後、シスイは未だ木の葉の顔役として立っている三代目火影、猿飛ヒルゼンの元へと向かった。
「お願いがあって、参りました。三代目様」
そして彼は嘆願をする。
どうしても仕留めなければいけない男がいる。それは今ではなくてはいけないのだと。今でないと仕留めることは叶わない相手なのだと。だから、暫く木の葉を離れることを赦して欲しい。
「どうしてもか?」
どうしても、とシスイは静かすぎる目に密かに火を宿して言った。
「理由は話せないのか」
……すみません、しかしどうしても言えないのです、とそう口にした。
「そやつは……木の葉の敵か?」
それに、シスイは全ての忍びにとって敵となりかねない存在だ、とそう答えた。
「……決意は固いんじゃな」
それにシスイは答えない。
しかし、もしこの申し出を断れば脱け忍として追われることも厭わず里を出るのだろうと、そう三代目は思った。だから、1枚の許可証を取り出すと、それを渡しながら言った。
「行くがよい。じゃが、終わればちゃんと帰ってくるのじゃぞ」
それに一瞬シスイは言葉を失うが、やがて、震える声と共に頭を下げながら「ありがとうございます」そう呟いた。
そして、旅立ちの準備を終える。
事件は収束したとは言え直後だ。まだまだ、里は混乱している。今なら己1人消えたところで誰も気にとめないだろう。
イズナはこの事件が始まった直後からずっと祖母であるミコトや祖父であるフガクの元へと預けられている。イタチに関しては今回の件で活躍が著しかったのもあり、次代の火影候補の1人として名が上がった存在にもなった。火影直属の暗部の隊長の1人でもあるのだ、忙しさは折り紙付きだ。きっと、今なら消えても誰にも引き留められない。
……今なら仕留められるとそう三代目には言ったが、正確には今なら仕留められるかもしれないというだけなのだ。
あのうちはマダラの名を借りて暗躍している神無毘橋の英雄、うちはオビトを。
……うちはオビトが輪廻眼なんてものを手に入れてしまえばおしまいだ、とそうシスイは思っている。それは殆ど確信にも近い思いで。
正直長門の輪廻眼だけでもこれほどの大被害が出たのだ。あんな男に手に入れられてはたまったもんじゃない。
幸い原作知識と合わせて個人的な調べにより、長門の亡骸が眠る場所を己は知っているのだ。オビトが輪廻眼のある長門の墓所を知るのは対小南戦の後だ。だからそれより先に己があの場所にたどり着き、長門の遺体を輪廻眼ごと葬らなきゃならない。
これは時間の勝負だ。
だから、事件が収束したこの日のうちには旅立たないと。
そうして人知れず里を出たシスイの前に、思わぬ存在が姿を見せた。
「……イタチ」
それは暗部姿に身を包んだ妻イタチの姿だった。どうしてここに、と言わんばかりに驚くシスイを見て、彼女は睨み据えながら言った。
「……話は、三代目に聞いた」
それに思わず舌打ちしそうになった。
思えばそうだ。彼女は暗部の隊長であり、火影の直属部隊に属する人間なのだ。三代目の直径の部下といっていい。話がすぐに通るのも当然と言えば当然の話ではないか。
相変わらず、イタチはその切れ長の目でシスイを睨みながら、戦闘服のまま凛と背中をまっすぐにして立っている。それはイタチの玲瓏たる美貌も合いまり、もの凄い迫力とプレッシャーであったが、それでも普段はいくらホンワリとして見られがちなシスイとはいえ、彼もまた上忍へと1度は上り詰めたものだ。まるでいつも通りの態度で罰が悪げに下を向いている。
「……さよならも言わず、行く気か?」
それに、シスイは低く抑えた声で言った。
「……時間がないんだ。それに里はお前がいたら大丈夫だろう」
「ふざけるな」
そういってイタチは、バッと通せんぼをするようにシスイの前で両手を広げ前を塞いだ。
「……なんのつもりだ?」
思わずそんな妻のある意味らしくない子供のような止め方に疑問を抱きつつ、けれど今は時間がないということでいつもと違って笑みさえ消して問う夫に対して、イタチは言った。
「誓え。必ず、帰ってくると。でないと……行かさない」
その言葉に、思わずシスイは言葉を無くした。
……それは三代目が口にした言葉と同じ、己の帰還を望む言葉。
シスイは元から此度の相手が無傷で倒せる相手とは思っていなかった。勿論万華鏡写輪眼を使うことも事此処に至っては視野に入れてはいるが、それでも帰って来れない可能性を考えずにはいられなかった。
彼は己が相手より格下だろうことはわかっていた。
いざというときは、差し違えてでも、そうして倒そうとそう思っていた。
……あれは、放っておけば将来イタチと、里の弊害になるのだから、と。
守りたいモノがあった。
守りたい人達がいた。それら全てを無にする可能性を秘めている男を、この手で葬らねばとそう思っていた。
それは……愛していたからだ。
イタチやイズナ、サスケにフガクにミコト、他にも一族のみんなのこともそうだが、ナルトや多くのアカデミーの生徒達に、猿飛アスマや森乃イビキ、今は同僚のうみのイルカなど。みんなみんな大切で大好きだった。
この里や世界に思うことはある。少年の頃、お前が火影になるのがオレの夢だと幼いイタチに対して言った時、同時に吐き出した不審やこの世界への憎しみ、里への複雑な心それも本当だ。
しかし、それ以上に彼はこの世界の人達が好きだった。
だから、守りたかった。
だけど……。
「……イタチ」
約束を、そう言われて声が震えた。
誓え、と。帰ってこいというその声は、らしくもなく肩を震わせながら彼女が吐いたその台詞は、己を失うことを恐れているのだとそう語っていたのだから。
出来ない約束なんて、そんなものはただの欺瞞だ。
そう思う。
本当の意味で、彼はそれが果たせるかどうか自信などどこにもない。
いつかの少年時代のように、それを思えば体が震えそうだ。けれど、彼はそっとそんな彼女の体を抱き寄せて、その豊かな黒髪に顔を埋めながら、それでもはっきりした声で言った。
「……誓うよ」
それに腕の中の体がピクリと震えた。
「……オレはきっと、お前の元に帰ってくる。……約束する」
そう告げると、イタチはそっとシスイの背中に手を回し、彼女自身も1度シスイの体を抱き締め返すと、やがてゆっくりと体を外して、パチンパチンと音を立てながら己が身につけている装備を外し始めた。
「イタチ……!?」
それに思わずギョッと驚きの声を上げる男を前に、彼女は言った。
「ならば、約束の証を」
そういって装備を全て地面へと落としたイタチは、自らの腹をそっと撫で、もう片方の手を夫の腰へと回しながら言った。
「此処に」
それで彼女が何を望んでいるのか、察した。
「イタチ……」
未だ、2人の間に2人目の子供は出来ない。
それを、子供を望んでいるのか、と。
それを約束の証に、己に残せと言っているのか。
そう思う間にも彼女は自分の衣服を乱し、性急な運びで夫のズボンの前を寛げた。
……思えば2人ともこうして外で交わるなど初めてだ。
まあ、人に見られながらヤる趣味もないし、特殊な性癖もない……筈なので、それは当然と言えば当然だったが、けれど今の里の状況を思えば誰も来ない可能性のほうが高いとはいえ、誰が来るかもわからない、時間もないこんな状況での交わりは思いの外緊張感として互いを高める効果を発揮して、その雰囲気に知らず酔いしれた。
イタチはスルリと夫の一物を露出させるとそれに指を絡め、性急な動きで性感を高めていき、シスイはイタチの暗部服の下に着ていた黒い服を下着ごと上に押し上げ、その形の良い胸へと唇を寄せ、右手でヤワヤワともう1つの胸を揉みしだきながらプクリと膨らんだ桃色の乳首を舌で舐め転がした。
「……ッ、イタチっ」
左手で彼女の体を抱き寄せながら、チュウと音を立て乳頭のあたりを強く吸い上げる男の動きに合わせるよう、イタチの両手がカリの裏側と亀頭の先を同時に爪を立てて強く刺激すると、たまらず男は押し殺した声を漏らしながら妻の名を呼ぶ。
それが勃ちあがるのは明らかにいつもよりも早くて、こんな誰が来るかわからない野外での行為がこれほどに性的な興奮へと繋がるなどシスイは思ってもみなかった。
しかし、今は少しでも時間が惜しい。
それほど時間を取っていられないことはわかっていた。
「ん……ふ、ぅ、あ……は、ぁ」
どちらからともなく唇を合わせる。何度も角度を変え、舌を絡ませあい、唾液を交換し、時には甘噛みしたり歯列をなぞったりしながら、くぐもった息を漏らしつつ、男も女も互いの性器へと手を伸ばした。
指を2,3本イタチの秘部に伸ばせば既にそこは濡れていて、そのままニチュニチュと音を立てながら抜き差しを繰り返す。イタチの指が慣れた手つきで弱いところを重点的に狙うように一物を撫でさすればたまらなくなって息が乱れる。しかしそれは互いが互いに仕掛ける深い接吻によってくぐもった息として鼻を抜けるだけで終わった。
先走りと愛液によってもう互いの股座はビチャビチャで、顎もどちらのものかわからない唾液でグチャグチャだ。ツゥと、糸のような唾液を垂らしながら、互いに息を漏らしながら漸く2人は口を離すと、男はそのまま草の上へと妻の体を横たえ、両足の膝の裏側をグイと持ち上げた。
「……シスイ」
「イタチ、
そう声をかけて、シスイは己がペニスを最奥まで一気に突き刺した。
「アァッ!」
その刺激に思わず女の声が漏れる。
そんな妻が愛おしくて、シスイは「イタチ、イタチ」と何度か彼女の名前を呼びながら、今までしたことがないほど性急で激しい動きで何度も腰を打ち付けた。きっと、イタチとの初めての夜でもここまでは酷くなかった。
いつもはイタチの体を気遣ってここまで自分本位なセックスなどしないシスイであったが、そうしてしまったのは状況と雰囲気に酔っていたということなのか。そんな今までにない夫の姿にイタチもまたクラクラとこれまでになく喘ぎ、乱れた。
これほどに強引で力強いセックスを夫が仕掛けたことなんてない。それに戸惑う気持ちがないわけではなかったが、それでも今までにない面を見ることが出来たのが嬉しかった。
「あ、ン、ァあアァ、シスィ……ぁ、アァ!」
激しいピストン運動と共に何度も自分のイイ所をつくペニスの動きに、思わず夫の背に爪を立てて、ギュッと中に収まった夫の魔羅を締め付ける。そんな妻の膣の動きとその暖かさに喘いで、シスイははぁはぁと乱れる息を持て余しながら、その耳元で囁くようにして言葉を吐き出した。
「ィく、オレ、もう……お前の
「ぁ、イイ! っから、 出して、……早くッ」
そういって動きを早めるシスイの腰に両足を回して、イタチは夫の体を締め付けた。それと共にまるで搾り取ろうかというように中もキツく締まって、シスイは彼女の子宮口へと叩き付けるように精液を発射した。
「ァ、ぁあアあっァアアッ!」
ドクドクと精子が奥へと注ぎ込まれる。
それに……今度こそ子供が出来たら良いと、そうイタチは思った。
そうして行為も終わり、シスイは乱れた自分の衣服の乱れを直しながら匂い消しで行為の後を消していた。
イタチもまたそれを名残惜しく思いつつもテキパキとした動きで元通りに衣服と装備を身につけていく。何せ、ここは野外だ。いつ誰が来るかもわからない場所でいつまでも行為の余韻に浸ったままあんな格好をしているわけにはいかない。
それに……彼女とて、忙しい立場であるのだ。あれからまだ30分しか経っていないとはいえ、いつまでも抜けていられないことぐらいわかっていた。
……思えば、シスイとの交わりがたった30分で済んだことなどこれが初めてだなと、ふとイタチは思った。シスイは元々男性器機能に問題があるのか……まあ、彼女が見たところおそらくは精神的なものが原因だったのだろうが、勃ちあがりにくく、快楽はちゃんと感じるようであるというのにそれが男性器が機能することに繋がるとは限らなかった。酷い時は何をしても無反応だったし、大体半勃ちまで持って行くだけで30分かかることだってざらなくらいだった。それを思えばこんなに早く使えるようになったのは今回が初めてだ。
こんなことだったら、はしたないとかそういう羞恥心を捨ててさっさと野外プレイとかそういうのも片っ端から試すのだったか、なんてそんなことを思う間にも夫の準備は整ったのだろう。今日再会した時と同じ元通りの黒きコート姿で、シスイは精悍とも呼べる表情を宿しながら言った。
「……行ってくる」
そこにはもう、情事の余韻などどこにもない。
だから彼女もまた、1人の女として、男の妻として、子の母として、この葉隠れの忍びとして次の言葉を贈った。
「ああ……待ってる」
夫が何と戦おうとしているのか、敵が何者なのかは知らない。
何も話さないというのなら、それは必要のないことなのだろう。
だから送り出す為の言葉を。
約束は既に交わした。
ならばもうこれ以上の言葉などいらない。
自分に出来ることは信じて待つことなのだから。
だから己はやるべきことを果たしに行こうと思う。
そうして男女は互いに背を向ける。
1人は木の葉に向かって……里と人々のため自分が出来ることをするために。
1人は木の葉の外に向かって……愛する人達を守るために。
そこにもう相手をただ求めただけの女の顔も、男の顔もない。
忍びとしての顔を宿し、2人は駆けだした。
終わりはまだ遠く、月だけがそんな2人を見ていた。
続く