ゆさゆさ。
ゆさゆさ。
妹「キョン君~!朝だよ~っ!!」
キョン「…」
妹「朝だよ~っ!!」
キョン「…ああ、おはよう」
妹「ご飯できてるよ」
キョン「ああ、すぐ行く」
元気良く駆け出していく妹を見送って、俺はベッドから起き上がった。
…さて、どうなっているやら。
身支度を整えてからリビングへ行き、朝食を取って所用を済ませてから家を出る。新聞によると今日は金曜日だったから、とりあえずはループの初日に戻ったわけだ。
坂を上り学校へと向かう。今日も相変わらずの苦行だ。
???「キョン君」
声をかけられて振り返ると、そこにはここ最近で見慣れた顔があった。
キョン「おはよう。朝倉」
朝倉がいるってことは、とりあえず完全な元の世界ってわけではなさそうだ。
あの時にはもう、朝倉は消滅していたからな。
朝倉「おはよう…ねえ、キョン君…その、なんて言えばいいかしら…」グッ
両手を握ってファイティングポーズみたいな格好で俺を見る。
おいおい、朝っぱらから殴り合いはゴメンだぞ。
キョン「すまないがお前と喧嘩をする気はないぞ」
朝倉「え?…あ、これはその、気合って言うかなんていうか…」
キョン「朝倉らしくないな」
朝倉「そう…ね。そうかもしれないわ」
キョン「何か良くわからないが、とりあえず落ち着け」
慌てて拳をおろし、朝倉が一つ大きなため息をつく。
朝倉「そうね…、とりあえず話しながら歩きましょう」ニコ
キョン「ああ、ここで立ち止まってれば遅刻だからな」
朝倉「…もう少し早く来てくれれば落ち着いて話せたのに」
キョン「そんな早く学校に来てもやることないからな」
朝倉「…まあいいわ。ところでキョン君…その、聞きたいんだけど」(かぁっ)
なんか変だな。朝倉にしては歯切れが悪いって言うか…。
キョン「どうした?」
朝倉「…涼宮さんの部活…、えーと、SOS団?のもう一人の男の人のこと」
キョン「古泉のことか?」
朝倉「こ…いずみさんって言うの?どんな字?」
キョン「古い泉で古泉。ちなみに下の名前は数字の一に樹木の樹で『いつき』だ」
朝倉「こいずみ…いつきさん…」(かぁっ)
キョン「…」
完全に乙女モードの朝倉。これは朝から実に珍しいものを目にしている。
この世界にはSOS団が存在するようだ。何はともあれ一安心か。
朝倉はこの世界ではまだ、古泉と面と向かって話してはいないみたいだな。
確かめなくてはいけないこともあるので、俺は携帯を取り出し、古泉へ電話をかける。
朝倉「ちょ、ちょっと!?」
キョン「…」
慌てる朝倉に対して俺は静かにするように人差し指を自分の唇に当てて合図を送る。数コール後、聞きなれた声が携帯から聞こえてきた。
古泉「はい。もしもし」
キョン「古泉、お前は覚えているか?あの夜の喫茶店での会話」
古泉「…あなたと僕と長門さんの3人での会話のことですか?」
キョン「珍しくお前に奢ってもらったな」
古泉「いやはや、これはこれは…」
キョン「あー、それでだ。その件で知らせたいことがあるから今すぐ校門に出て来い。あー、そうそう、俺は今、俺のクラスのクラス委員と一緒だからそのつもりで」
古泉「!!…わかりました」
キョン「じゃあ、校門でな」
古泉のことだ。ああ言っておけば朝倉のことを汲み取っただろう。
どうやら、ハルヒもベストカップル-バカップルでもあるが-を認識してくれていたようだ。
朝倉「えーっと、今の古泉さん?」
キョン「そうだ」
朝倉「よ、呼び出したの?そんな、いきなりなんて…」(かぁっ)
キョン「あー、朝倉。なぜ俺がわざわざ『俺のクラスのクラス委員と一緒』だなんて言ったかを考えてくれ」
朝倉「…どうして?」
キョン「俺のクラスのクラス委員は誰だ?」
朝倉「私?」
自分の鼻先に人差し指をあて、小首を傾げる朝倉。なんとも可愛らしい仕草だった。
キョン「…つまり、そういうことだ」
朝倉「え?え?何?わけわからないよ」
キョン「古泉は俺たちのクラスの『クラス委員』に対しての相談を俺にしてきたんだ。そう言えばわかるか?」
朝倉「え…それって…。えええ?そう…なの!?」(かぁっ)
坂の上に見える校門前に、息を切らせた男が立っている。
まったく、あいつらしくないな。でも、それだけ本気ってことか。
朝倉はちょっと戸惑っているようだが、そんなことはお構い無しに俺は足を進め、古泉の横で止まり、目配せする。
古泉「…あなたに、感謝を」
キョン「馬鹿、それよりも先に言うことがあるだろう?…朝倉に」
古泉「そうですね…では後ほどまた…」
俺は古泉の肩を軽く叩き、昇降口に向かって歩き始めた。
朝倉「あ、ちょっと…キョン君!」
そんな朝倉の呼びかけに軽く片手を挙げて応える。
古泉「おはようございます、朝倉…涼子さん」
朝倉「…あ、はい…」
古泉「ちょっとお時間をいただきたいのですが…よろしいですか?」
朝倉「はい…」
着実に話を進めている古泉に任せて、俺は教室へと向かう。人の恋路を邪魔する奴はなんとやらってな。
教室に入り自分の席に向かう。俺の後ろはハルヒの指定席だ。
ハルヒは憮然とした表情で椅子に座り、俺の顔を見ると眉を顰めた。
キョン「おはよう」
ハルヒ「…おはよう」
キョン「なんだ?機嫌悪いな」
ハルヒ「…あんたのせいよ」
キョン「は?」
ハルヒ「いいから、ちょっと来なさい」
キョン「は?おい、こら、引っ張るな、こら…」
ハルヒ「うるさい。黙って歩く!」
有無を言わさず俺の手を引っ張り、ハルヒはずんずんと結構な速さで校舎内を歩いていく。
こうなると逆らうだけ無駄と言うことはわかっているので、何も言わずにハルヒに引かれるまま歩いた。
部室の鍵を開け、さっさと中に入ると、当然のように団長席に腰を下ろして俺を見る。
ハルヒ「キョン!ぼさっとしてないで早く中に入りなさい」
キョン「へいへい」
ハルヒ「とっととする!」
キョン「へいへい」
やれやれ、どうやら朝倉というイレギュラーは除いて元の世界に戻れたみたいだ。
古泉のゲーム類、朝比奈さんのコスプレ衣装、コンピ研から奪ったパソコン等、懐かしいものが部室には存在していた。
ハルヒの席の前にあるパイプ椅子を出してハルヒの方を向いて座る。
ハルヒ「ちょっと、キョン」
キョン「なんだよ?」
ハルヒ「あんたの座る場所はこっちでしょ!」
キョン「は?」
自分の席の隣の椅子を叩いてじっと俺を見るハルヒ。おいおい、何の冗談だ?
ハルヒ「『は?』じゃないでしょ?決まりなんだから守りなさい」
キョン「あ、ああ。わかった」
ハルヒ「よろしい」
キョン「…」
言われるままにハルヒの隣に座る。なんなんだ、いったい?
ハルヒ「…もう一回聞かせてよ」
キョン「…」
聞かせるも何も、なんのことだかわからない。
キョン「なんのことだ?」
ハルヒ「その…あれよ、あれ!」
キョン「はあ?」
ハルヒ「もう!あんたの気持ちよ!」(かぁっ)
キョン「…は?」
ハルヒ「あんたが夢で変なこと言うから、不安になったの!」(ぶつぶつ)
キョン「なんだよ、変なことって」
ハルヒ「…言いたくない。言ったら本当になる気がして嫌!」(ぷいっ)
キョン「あのなあ、それじゃあわからねえよ」
ハルヒ「わかりなさい!」
キョン「わ・か・ら・ね・え」
ハルヒ「このバカキョン!アホキョン!」
キョン「わからねえもんはしょうがないだろうが!」
ハルヒ「こ、この…」
怒り心頭のハルヒは、俺のネクタイを掴んで引き寄せる。苦しいぞ、ハルヒ。そんなに睨むなよ。
…え?
睨んでいた目が閉じたかと思うと、ハルヒの唇が俺の唇を塞ぐ。
ハルヒらしい不意打ちだな。漠然とそんなことを考えていると、ガチャリと金属的な音がして扉が開かれるのを感じた。
咄嗟に唇を離して扉の方を見る。
扉の向こうでは朝比奈さんが鞄を落とし、両手で口を覆って立ち尽くしていた。
朝比奈「ふぇぇっっ!!」(あわあわ)
ハルヒ「みくるちゃん!とりあえず中!急いで!!」
朝比奈「は、はいぃぃっっ!!」
朝比奈さんはハルヒの命令に従って鞄を拾って中に入ると、真っ赤になって俺たちを交互に見比べた。
朝比奈「わ、私、なにも見てません!忘れ物を取りに来ただけなので、すぐ教室に戻りますし…」
ハルヒ「みくるちゃん、見たのね?」
朝比奈「ふぇぇぇっっ!!お邪魔するつもりはなかったんですぅ!」
真っ赤になってオロオロする朝比奈さん。チラチラと俺を見て無言で助けを求めてくる。
キョン「…ハルヒ。別にいいだろ?」
ハルヒ「駄目よ!」
キョン「なんでだよ」
ハルヒ「他の団員に示しが付かないからよ」
それを聞いて俺はカマをかけてみることにした。
キョン「あー…、俺がお前の隣に座るようになったときからみんな気付いてるんじゃないのか?」
ハルヒ「みくるちゃん、そうなの?」
朝比奈「は、はい。お二人とも仲良くなって良かったですねって、長門さんや古泉君と話していました」
ハルヒ「雑用係から側近に昇格させただけ。そう思ってると思ったのに。やるわね」
なにが『やるわね』なんだ、ハルヒ。それに側近だからってすぐ横に待機しているものじゃないと思うんだが。
ハルヒ「まあいいわ。みくるちゃん、このことは他の人に言っちゃ駄目だからね!」
朝比奈「は、はいぃっ!言いません!」
ハルヒ「じゃあ、解散!ぐずぐずしてると授業が始まるわ!」
朝比奈「は、はいぃっ!」
鞄を拾って机の上にあったシャープペンシル(おそらく言っていた忘れ物だろう)を取ると、朝比奈さんは大急ぎで部室から出て行った。
相変わらず運が悪いというかなんというか…。そういう星の元に生まれたとしか思えない朝比奈さんのタイミングの悪さは健在だった。
ハルヒ「キョン」
キョン「なんだ?」
ハルヒ「…昼休み、屋上」
キョン「…お、おい」
ハルヒ「ほら、ぐずぐずしない!授業に遅れるわよ!」
キョン「…はいはい」
昼休みはまた有無を言わさず屋上まで引きずっていくんだろうな…。
その前に何とかして長門に話を聞かないと…。
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一限終了後の休み時間
授業が終わってすぐに朝倉が照れくさそうな笑顔を浮かべて俺の元にやってくる。
朝倉「キョン君!ありがとう!」(にこっ)
キョン「俺は別に何もしていないぞ」
朝倉「そんなことない。私の恋のキューピットは間違いなくあなたよ!」
キョン「…そうか」
朝倉にそんなことを言われる日が来るなんて想像すらしなかった。しかも満面の笑みで。
ハルヒ「ちょっとキョン、どういうこと?」
ハルヒが俺の椅子を蹴り上げて説明を求めてくる。痛いって。
朝倉「涼宮さんにも報告しておかないとね。あのね、私、お付き合いすることになったのよ!」
ハルヒ「!!」
キョン「…朝倉、それだと俺とお前が付き合うと思われるぞ」
最初に『恋のキューピット』って言ってるから大丈夫だと思うが、我が団長様は人の話を聞かないからな。
その証拠に、後ろから来る無言のプレッシャーが半端ない。
朝倉、頼むから誤解を招く言い方だけはやめてくれ。
朝倉「あら、ごめんなさい。私がお付き合いすることになったのはい…、古泉さんなの」
ハルヒ「そ、そうなの?本当?」
朝倉「キョン君が私たちの橋渡しをしてくれたの」
ハルヒ「ちょっと、やるじゃないキョン!」(ぐりぐり)
キョン「まあ、成り行きでな…頭を撫でるな頭を!」
ハルヒ「団員の功績に対しての正統な評価よ。甘んじて受けなさい!」(ぐりぐり)
キョン「…へいへい」
ハルヒ「おめでとう朝倉さん」
朝倉「ありがとう涼宮さん」(にこっ)
その瞬間、朝倉とハルヒの間に何かが芽生えたのを見たような気がした。
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二限終了後の休み時間
授業が終わると同時にハルヒが席を立って教室を出て行った。これはチャンスだ。
携帯を取り出して長門にメールを送ることにする。トイレに行くふりをして出て行って、なおかつ怪しまれない場所は…と。
『次の休み時間、屋上に来れるか?』
ハルヒの奴もまさか昼休みに連行する場所にいるとは思わないだろう。
ほどなくしてメールの着信を告げる振動がポケットから伝わってくる。さすが長門。速いな。
『了解』
内容も簡潔だ。実に話が早くて助かる。
感謝してるぞ。長門。
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三限終了後の休み時間
二限の時のハルヒと同じように、チャイムと同時に教室を出る。階段の脇にトイレがあるからまず怪しまれることは無いだろうが、念のため踊り場に行く前に後ろを確認してみる。
よし、クラスの奴は誰もいない。
一気に階段を駆け上って屋上の扉を開け、外に出る。太陽の光が眩しい。
キョン「悪い、待ったか?」
長門「いいえ」
キョン「ここは元の世界か?この場合の元の世界ってのは、お前が子供化した世界になる前の木曜日の世界のことだ」
長門「世界の構成は99.84%物質的には99.96%があなたの言う世界と一致する。若干の誤差は許容範囲内」
キョン「朝倉はイレギュラーか?」
長門「朝倉涼子の存在は涼宮ハルヒが認めたためイレギュラーではなくなっている。従って古泉一樹との関係も許容範囲内」
キョン「そうか。もう一つだけ教えてくれ。ハルヒの性格、というか感情にどの程度の変化が起きたかをわかる範囲で」
長門「あなたへの恋愛感情を隠さなくなり、他人への考え方、特に恋愛に関して寛容になった。また、あなたに嫌われることを何よりも恐れている」
キョン「俺とハルヒは付き合っているのか?」
長門「あなたと涼宮ハルヒは恋人同士」
キョン「そうか」
やれやれ、そういうことか。
まったく、世話の焼ける奴だ。
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昼休み
予想通り、チャイムが鳴るや否や俺はハルヒに引っ張られて屋上へと連行された。
手ぶらであるところを見ると、昼飯にはありつけないかもしれない。
扉からは見えない側面の壁に押し付けられるような形で俺はハルヒと向かい合っていた。傍から見れば俺がハルヒにカツアゲされているようにも見える、なんとも滑稽なポジションだ。
ハルヒ「ここなら邪魔は入らないはずよ!」
キョン「誰か来てもすぐには見えない場所だからな」
ハルヒ「わかってるじゃない!だから安心して言っちゃっていいのよ!」
キョン「なにをだよ」
ハルヒ「もう!わかってるくせに」
キョン「わからないぞ…」
ハルヒ「むう…」
ハルヒは眉を顰めて俺を睨むと、朝と同じように不意に唇を重ねてくる。
キョン「…」
ハルヒ「思い出した?バカキョン」
キョン「…お前の唇って柔らかいよな」
ハルヒ「バ、バカ!」(かぁっ)
いきなりのことで驚いたが、前の世界が混在していると考えればハルヒの言っていることについては、ある程度の憶測をすることができる。
キョン「思い出すには、もっとしないと駄目、だな」
ハルヒ「…!!」(かぁっ)
憶測は正しかったようだ。一瞬で赤くなったハルヒは怒っているような照れているような複雑な表情を浮かべて俺を見ている。
やられっぱなしも癪なので、俺は有無を言わさずハルヒの唇を奪った。一瞬だけ俺の肩に置いた手に力が入り俺を離そうとしたが、すぐに抵抗しなくなる。
やれやれ、俺もすっかりハルヒに傾倒しちまったな。
ハルヒ「…思い出した?」
キョン「もう少し…かな」
ハルヒ「もう…」
少し紅潮した頬で俺の頭を引き寄せて唇を重ねてくる。こういうのも悪くない。
もっとハルヒを知りたいという健全な高校生男子の欲望が俺の中で段々と大きくなってきている。
さすがに、今はまずいだろう。
理性が勝った俺は、とりあえずハルヒに差し障りの無い質問をしてクールダウンを図ることにした。
キョン「なあ、ハルヒ。恋愛は精神病の一種じゃなかったのか?」
ハルヒ「そうよ。私の場合はあんたのことが気になって仕方ないから、キョン病っていう精神病ね!きっと!」
おいハルヒ、そんな恥ずかしいことを真顔で言うな。クールダウンにならないじゃないか。
キョン「…時間の無駄とか言っていた気がするんだが?」
ハルヒ「それは、私が自分の気持ちに気付いていなかったからよ」
キョン「気の迷いとかそういう類だって言ってただろう?」
ハルヒ「本当に好きになるとその人のことしか考えられなくなるなんて知らなかったんだし、そう思っても仕方ないでしょう?」
キョン「なるほど」
ハルヒ「もう!キョンって意地悪なのね!」
キョン「そうか?ハルヒほどじゃないと思うんだが」
ハルヒ「絶っ対!意地悪だわ!」
頬を膨らませて睨むハルヒ。その表情はかなり反則だ。これ以上俺を挑発するな。
キョン「…………」(ぼそっ)
俺が耳元でささやくと、ハルヒは真っ赤になって俯いた。
まったく、これ以上挑発すると大変なことになるぞ。ハルヒ。
そんなことを思いながら、俺はハルヒの顎を持って上を向かせ、少しだけ長めに、少しだけレベルを上げたキスをするのであった。
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放課後 部室
放課後、俺はハルヒと一緒に部室へと向かった。
長門は相変わらず定位置の椅子に座って本を読んでいたし、朝比奈さんは既にメイド服に着替えてお湯を沸かしている最中だった。
古泉は俺を見ると爽やかな笑顔で頷き、胸に手を当てて感謝の意を表しているようだった。相変わらずキザなやつだ。
ハルヒが団長席に座る。その横の席に俺は荷物を置き、ハルヒを見て、それからメンバーの方へ顔を向けた。
キョン「あー、みんな。ちょっと聞いてくれ」
長門「…」パタン
朝比奈「ふえぇ?」
古泉「なんでしょう?」
ハルヒ「…」
視線が集まる。こういうのは慣れていないが仕方ない。
キョン「俺とハルヒは付き合うことになった」
ハルヒ「…」(かぁっ)
古泉「おめでとうございます」
朝比奈「お、おめでとうございますぅ!!お、お二人ともお似合いです!」
長門「おめでとう」
キョン「ありがとう」
ハルヒ「みんな、ありがとう!」
満面の笑みで素直に感謝の言葉を口にするハルヒ。
その顔を見たら俺はもう一度、ハルヒに自分の気持ちを伝えたくなった。
キョン「あー、ハルヒ」
ハルヒ「なぁに?キョン」
キョン「…好きだぞ」