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「ぐり子ちゃんが――ミカド教団の探している相手、だって?」
「ああ。そうだ。正確に言えば、ポッキーの神と言ってもいいだろうな。或いは、菓子の神と言っても過言では無いのではないかな? 実際問題、菓子戦士の中でポッキーに適合する戦士は一番多いと言われている。私だって、その一人だ。それを鑑みるに、ポッキー戦士の頂点に立つ存在こそが……牧場ぐり子だ。そのことは、お前も知らなかったとは言わせない」
「……でも、それって」
僕には理解できなかった。
僕は理解したくなかった。
だってその言葉の意味は――とどのつまり、ぐり子ちゃんが神となるということ。
そんなこと、ありえない。
でもぐり子ちゃんは確か……。
「牧場ぐり子は、開発された人造菓子戦士だ。ポッキー戦士、とは聞こえがいいが、簡単に言えば、怪物化残売品対抗人型兵器。それを体よく一般市民にもわかりやすくしたのが、菓子戦士。そしてその中でポッキーでその力を引き出すことができる戦士が、ポッキー戦士である。『天然』の菓子戦士は七千万人に一人と言われていて、その確率はもはや天文学的だ。それくらいは知っていると思うが?」
「……それは、知っているよ。けれど、それとぐり子ちゃんに何の関係が……」
「だから、言っただろう」
僕の言葉を遮るように、彼女は言った。
そして、取り出したのはストロベリー味のポッキーだった。
「知らないとは言わせないぞ、江崎カカオ。お前も知っているはずだ。牧場ぐり子が生まれた街へ向かったはずだ。そこで、生まれた真因を知っているはずだ」
知っている。
知っているけれど――それが何だって言うんだ?
「お前は知らないと思っているかも知れないが、それは間違いだ。お前は知らないと思いたいだけ。思っていたいだけだ。知っていることに蓋をしているだけだ。そしてお前は……ただ逃げているだけだ」
違う。
違う。
違う。
「違うのか? いいや、そんなことは無い。現にお前は経験しているはずだ。世界のリセットを。世界が終わってしまったことを。世界が終わった後、何らかの見えざる力によってリセットされていく姿を目の当たりにしているはずだ。しかしながら、それを強引に白のペンキで塗り潰して、記憶そのものをミルクパズルのようにされたかもしれないがな。それでも、お前の頭の奥底には記憶が残っているはずだ」
「いいや、そんなことは無い! お前はデタラメを言っている!」
「じゃあさ」
彼女はケタケタと笑いながら、言い放った。
「……何でお前は、さっきの私の言葉に対して『知っている』なんて肯定的発言をしたんだよ? この時系列じゃ、お前はまだ何も経験していない。菓子戦士について、そして、牧場ぐり子について何も知らないはずだ。だのに、どうしてお前は『知っている』なんて言った?」