第36話URL『https://novel.syosetu.org/105831/29.html』
第38話にはR-18描写が無いので、犬子と九十郎の方に投稿しました。
第38話URL『https://novel.syosetu.org/105831/29.html』
今回は原作キャラの敗北、凌辱描写があります。
嫌な予感がする方は、閲覧を控えてください。
虎松が……鮮やかに輝く紅い髪を持つ鬼が山奥で一人、座禅を組み精神を集中させる。
超感覚、超体力、念動力、再生能力、変身能力、発火能力、発電能力、テレパシー、読心能力、催眠術……普通の人間は、超能力を1種類しか使う事が出来ない。
小波や光璃のような、幼少期に受けた心理的な瑕により、人としての在り方が歪んで外れてしまった者であっても2種類が限界。
吉野の御方や虎松のように、半分だけとはいえ人の枠を飛び出した存在であれば、10種類以上の超能力を自在に扱える上、燃費も威力も射程距離も人間とは桁違いになる。
オーディンやバルドルのように、人間としての枠を完全に振り切り、最早人類とは別種の超生物となり果てた存在であれば、宇宙の果て、過去や未来、無限の平行世界の全てを自在に知覚し、千を軽く超える種類、海を割り、地を裂く程の莫大な力、限りなく無尽蔵に近い持久力、リトルボーイでもブチ込まない限り死なない耐久力……微妙にチート臭い事になる。
閑話休題、とにかくその虎松が精神を集中させていた。
そしてテレパシーで呼びかける……無数に存在する平行世界の、別の虎松に。
『ソッチ、ドウダ……?』
『クズロー、酔ッタ勢イデ美空孕マセタ』
長ドス片手に責任を取れと詰め寄る美空と、滝のように冷や汗を流す九十郎の姿がテレパシーで送られてくる。
虎松は見なかった事にしてテレパシーを遮断し、別の世界、別の虎松に呼びかける。
『ソッチ、ドウダ……?』
『クロスボーンガンダム、アニメ化発表』
3DCGでグリグリ動くX1とX2改が、ビームザンバーでチャンバラをしている光景がテレパシーで送られてくる。
そんな事はどうでも良いと虎松はテレパシーを遮断し、別の世界、別の虎松に呼びかける。
『ソッチ、ドウダ……?』
『ソレドコロジャナイ!!』
天を覆いつくす無数のUFO、次々とアブダクションされていく戦国武将達、額から血を流して気絶している犬子を抱え、必死こいて逃げ回っている粉雪と九十郎の姿がテレパシーで送られてくる。
何がどうなったらそうなるんだと聞きたくなったが、その世界の虎松はテレパシーに意識を向ける余裕が無さそうなので、諦めて別の世界、別の虎松に呼びかける。
『ソッチ、ドウダ……?』
『クズロー、明日眞琴トデートスル』
メリケンサック片手に、ちゃんとエスコートしないとタダじゃおかんぞと脅迫する市と、必死こいてデートプランを考える犬子と九十郎の姿がテレパシーで送られてくる。
眞琴と九十郎の人生初デートの成功を祈りつつ、別の世界、別の虎松に呼びかける。
『ソッチ、ドウダ……?』
『ケモノフレンズ、大ブーム、ターノシー!』
棒読みの声優、微妙なモーション、全然面白くなさそうなCGアニメを送りつけられ、無言で首を横に振り、別の世界、別のフレンズ……もとい虎松に呼びかける。
『ソッチ、ドウダ……?』
『久遠ト光璃ト葵、明日市中引キ回シ、斬首』
座敷牢に囚われている織田久遠信長と武田光璃晴信、松平葵元康の姿、『何で俺の幼馴染が武田信玄やってるんだコンチキショウメ!!』とか叫びながら、今川義元を始めとする処刑賛成派に対し、必死こいて助命嘆願運動をしている鞠と九十郎の姿がテレパシーで送られてくる。
邪風発迷の策、久遠の奇襲作戦が見事に失敗し、桶狭間で信長が負けるというギャグのような光景に笑いを堪えながら、別の世界、別の虎松に呼びかける。
『ソッチ、ドウダ……?』
『アア! 窓ニ! 窓ニ!』
その言葉を最後に、別世界の虎松からのテレパシーが途切れる。
その虎松が聞いた音、見た光景は一向に送られてこない。
たった今、別世界の虎松が絶命したのだと感じ取った。
一体何が起きたのかは気になるが、その世界の虎松が死んだ以上はどうする事もできず、やむなく別の世界、別の虎松に呼びかける。
『ソッチ、ドウダ……?』
『オ、オレ……クズローニ、求婚サレタ……ド、ドウシヨウ……』
燕尾服を着た九十郎が、別世界の虎松に花束を渡す光景がテレパシーで送られてくる。
ありったけの殺意を籠めて『モゲロ』と伝え、別の世界、別の虎松に呼びかける。
『ソッチ、ドウダ……?』
『ソッチ、ドウダ……?』
『ソッチ、ドウダ……?』
『ソッチ、ドウダ……?』
『ソッチ、ドウダ……?』
無限に存在する並行世界の、無限に存在する虎松達に語りかける。
全く同じ世界はどこにも無く、全く同じ虎松も1人もいない。
差異の大きい世界もあれば少ない世界もある。
見た目や性格が良く似た虎松もいれば、見た目も性格もまるで違う虎松もいた。
『ソッチ、ドウダ……?』
『ソッチ、ドウダ……?』
『ソッチ、ドウダ……?』
『ソッチ、ドウダ……?』
『ソッチ、ドウダ……?』
虎松は何度も何度も、それぞれ異なる世界、異なる虎松にテレパシーを送り続ける。
少しずつ、しかし確実に虎松が憔悴しておく。
人間を遥かに超える能力を有する虎松であっても、平行世界の自分と繋がるこの能力の行使には、莫大な気力と体力を消耗してしまう。
ついでに言うと、全神経をテレパシーに集中させるため、銃口や刃物、殺意を向けられても気づけない……隙だらけの状態になってしまう。
そして……
『犬子、柘榴、美空、松葉、屍食鬼ニ犯サレテル』
そんな返答と共に、虎松と九十郎が瀕死の重傷を負って倒れ伏し、無数の屍食鬼によって抑えてけられ、強姦される少女達の姿がテレパシーで送られてくる。
『場所ハ?』
『葛尾城、村上義清、美空ニ奪還、頼ンダ』
そしてようやく、この世界の虎松と似た状況の虎松を見つけ出した。
こちらの世界の虎松は安堵する。
集中力が途切れる前に、有益な情報を持つ虎松と繋ぐ事ができたと。
向こうの世界の虎松もまた安堵する。
自分が息絶える前に、他の虎松に危険を知らせる事ができたと。
『状況、教エテクレ……』
『分カッタ……ソッチハ、上手クヤレ……』
こちらの世界の虎松と、向こうの世界の虎松がテレパシーによる対話を始めた。
……
…………
………………
どんなに優れた兵法家でも、ニュータイプでも、初見の武器に対策を立てる事はできない。
アムロ・レイの戦闘データをコピーしたバイオ脳が、シザーアンカーへの対応が遅れてしまったのと同じように。
短期決戦、初見殺し、わからん殺しの作戦で武田晴信を討つ……美空はそう考えて、ドライゼ銃をギリギリまで秘匿し続けようとした。
それが裏目に出た。
村上義清が言う『鬼』を、超常の存在を甘く見た。
空き家同然になっている葛尾城を武田に奪われるのを恐れ、展開速度を重視して、兵数は絞りに絞った。
それも裏目に出た。
少数精鋭が突如現れた異形の敵に驚き、戸惑い、恐慌状態になっていた。
常人の数倍の身体能力を持つ鬼一匹を狩るのに精兵2人か3人が落命していた。
それでも、当初から鬼との戦いを覚悟し、戦い方を考察し、ドライゼ銃の使用も含め準備を整えていれば、十分に勝機の見込める戦力差ではあった。
しかし美空も、柘榴も、犬子も、松葉も、そして九十郎も、鬼との戦いは初めてであった。
異形の存在を見た事による動揺と情報不足により実力を十分に発揮できず、家臣達に指示を出し、士気や統率を取り戻すのが遅れた。
それが……致命的であった。
「ええい、くそがっ! 斬っても斬っても全然底が見えんぞ!」
糞はどちらかと言えば九十郎の方である。
何度も何度も鬼に殴られ、噛まれ、爪を立てられ、全身がボロボロになっていた。
複数の骨が折れ、失血も激しく、立っているのもやっとの状態であった。
既に20を超える鬼がこの男の剣によってあの世に送られているが、戦況は刻一刻と悪化していた、限界が近かった。
「松葉……御家流、あと何発撃てるっすか?」
「もう限界、そっちは?」
「こ、こっちも同じっす……」
柘榴と松葉がぜぇぜぇと肩で息をしている。
九十郎と同様、いつまでも終わらない泥沼の消耗戦により、傷ついていた。
負傷と疲労が彼女達の力を奪っていた。
先の見えない戦況が、いつまでも湧き出る鬼の姿が、次々と聞こえてくる味方の断末魔が、彼女達の心から抵抗する気力を奪いつつあった。
「御大将、撤退を具申」
「無駄よ、既に隙間無く囲まれているわ。
一見本能の赴くままに暴れて、襲ってくるように見えるけれど……
やはり指揮官がいるわね、それも相当な手練れが」
「柘榴と松葉で隙を作るっす」
「この身に代えても、逃がす」
「犬子もやります、柘榴様だけを置いて逃げられませんから」
美空の表情が険しくなる。
鬼の身体能力を甘く見た事、鬼が待ち伏せをし、2重3重の包囲網を敷くのを見破れなかった事……自分の不甲斐なさに死にたくなってきた。
自分はどうなっても構わない、だから逃げてくれと叫びたかった。
だが……
「私は……越後の国主なのよね」
「そうっすよ」
「美空様以外には務まらない」
「貴女達は死ぬわよ、確実に」
「天下に曹洪の代わりはいるが、天下に曹操の代わりはいない……
まあ、昔から良くある話しっすよ」
「同意」
美空が慟哭する。
心の中で……顔にも声にも出さず、涙を流さず、1人静かに慟哭した。
ここで柘榴と松葉が死ぬのだと、共に幾多の戦場を駆けてきた戦友を喪うのだと……美空はそれを悲しまずにはいられなかった。
「義清、貴女はどうするの?」
越軍と共に槍を振るう村上義清に対して問う。
「私は残ります。 この鬼の数、尋常じゃありません……
たぶん、私が逃げた後、領民を拉致して鬼に変えたのでしょう。
部下を鬼に変え、城も領民も奪われ、この体たらく。 恥ずかしくて生きていけませんよ」
「生きて雪辱を晴らす気は無いの?」
「それは貴女に託します。
貴方なら仇討ちもその後の遺臣や領民の扱いも、そう悪くはしないでしょう。
だから生き延びて、態勢を立て直して……いつの日か私の仇を討ってください。
あの糞異人を探し出して目にものを見せてください。
愚かで迂闊で不甲斐ない私の代わりに」
死人のような目をしていた。
今にも消え去ってしまうかのような、否と言えば今すぐこの場で腹を斬りそうな雰囲気であった。
普段の美空なら張り倒してでも止めるところだが……今はその時間が惜しかった。
「分かったわ、貴女の仇は必ず取る」
「ありがとうございます、お願いします」
それが最良の判断だとはとても思わなかったが、義清の翻意を促す事はしなかった。
「九十郎、貴方も一緒に来なさい、血路を開いて逃げるわよ」
「断る」
「貴方……貴方自分が何を言ってるのか分かっているの!?」
「俺は基本的に屑なんだけどな……
それでも惚れた女を盾にして自分だけ逃げる気にはなれねえし、
前田利家を自分の身代わりにして生き残る気にもなれねえよ」
「九十郎、柘榴的には一緒に逃げてほしいっすけど」
「犬子も同じ気持ちだよ」
「ありがとな、だが……押し問答をしている時間が惜しい、早く逃げろ美空。
技術が喪われるのが怖いってんなら心配するな、
城を出る前に練兵館の神棚の裏に色々書き残しておいた。
広まるとヤバイ知識が満載してるから、回収しておいてくれ」
「アンタ何やってるのよ!?」
「行けよ美空、行けよ上杉謙信。
上杉謙信がこの程度の逆境じゃあ折れやしないって所を俺に見せてくれ」
「九十郎……」
美空は……何かを言おうとして、やめた。
その代わり奥歯を嚙み締めた、強く強く噛み締めた。
「越軍先手組ぃ! 全員腹括るっす!!
これより我等は長尾景虎の道を切り拓くっすよ!!」
「景虎親衛隊は、その身を盾として時間を稼ぐ。 我等が御大将を守る為に」
柘榴が吠える、松葉が命じる、先手組が、親衛隊が奮起する。
ただ一人を逃がすために、ただ一人を守る為に、ただ一人を生き延びさせるために。
「……退けぇーーーっ!!」
そして美空は逃げ出した。
柘榴と先手組が作った僅かな綻びを通り、ここまで生き延びた僅かな兵を連れて逃げた。
松葉と親衛隊が美空を追おうとする鬼達を食い止める。
文字通り身体を盾にして、自らの命を引き換えに。
「ゴルゴダ星に残ったウルトラマンもこういう気分だったのかね。
全く、俺がこういう心境になるとは思いもしなかったよ」
戦国時代の人間には絶対に通じない話をしながら、九十郎は剣を握り絞める。
既に刃体はボロボロで、鬼どころか、大根一本斬れそうにない。
「一匹でも多く地獄への道連れにするっすよ。
そうすれば御大将が生き延びられる可能性が高くなるっす」
「やってやるさ、てめぇら最後の神道無念流、とくと見やがれぇっ!!」
「死なば諸共ぉーっ! 犬子の底力を見てろぉーっ!!」
犬子が、柘榴が、松葉が、そして九十郎が奮戦する。
奮戦し、奮戦し、奮戦し……それでもなお、破局の時が来るのは早かった。
「……がっ!」
鬼に蹴られ、九十郎が吹き飛んだ。
スペツナズ・ナイフに改造した脇差は既に使い切り、刀は今の衝撃で折れた。
「く……くそ……が……」
どうにか立ち上がろうとするが、腕にも脚にも力が入らない。
九十郎の目の前で、犬子に、柘榴に、そして松葉に無数の鬼が群がっていった。
いずれも鬼の1匹や2匹、問題無く片づけられる猛者達であるが、長い戦いによる消耗があって、同時に5匹や6匹に襲われれば一溜まりもない。
九十郎が倒れてすぐ、最後まで残った長尾の将達が鬼によって取り押さえられていた。
「犬子、松葉……い、生きてるっすか……?」
「な、なんとか……でも、動けません……」
「同じく」
全員、武器は一つも残っていなかった。
全員、御家流も使い切ってしまっていた。
全員、疲弊し、複数の鬼達に両手両足を押さえつけられて動けなくされていた。
「ここまで……か……」
「御大将、柘榴達の分まで生きるっすよ……」
「ごめんね、九十郎……」
皆が死を覚悟した。
死を覚悟して、ぎゅっと瞳を閉じ、自分の身が引き裂かれるのを待った……しかし次の瞬間、鬼達は押さえつけられる女達の鎧を剥ぎ、服を引き裂き始めた。
「な、てめぇら何してやがる!?」
倒れ伏したまま、九十郎が叫ぶ。
鬼達はそれを意に介さず、1枚残らず着衣を剥ぎ取り、醜悪な臭いを発する、どくどくと脈打ち隆起する男根を突きつけた。
「え……あ……ま、待って!」
「な、何する気っすか!?」
「……不覚、無念」
「ふざ……ふざけるなぁーっ! 一思いに殺せぇーっ!!」
少女達の声にも意に介さず、亀頭が少女達のワレメに宛がわれ、押し当てられた。
全員が全員、この後何が起こるのか、何をサレるのか、見当がついていた。
見当がついていたからこそ、恐怖した。
「何をする気だと、分からんのか?
貴様らを犯そうとしているだけよ、戦地では良くある事だろう?」
「え……?」
「人間……すか……?」
取り囲む無数の鬼達の中から、一人の女が歩み寄ってきた。
鬼達の中に居ながら、鬼達に襲われない人間が……
「初めまして……とでも言ってやろうか、我は武田信虎だ」
「武田……信虎……?」
「それって武田晴信さんに追い出されたっていう、武田の前の当主の……?」
「その通りだ、あいつにはしてやられたよ。
我が弱かったが故にな……だから我は欲したのだ、より強き力を、鬼の力をな」
信虎が懐から黒い球体を取り出し、口に含む。
その球体を見た瞬間、義清が青褪めた。
「な……駄目です! それを飲んだら鬼になってしまいますよ!」
「承知の上だ、我はこれから脆弱な人の身を捨て、鬼となるのだ。
人の身では決して辿り着く事のできない強大な力を得るのだ」
義清の眼前で信虎が黒い球体を噛み砕き、飲み込んだ。
信虎の全身が瘴気で覆われ……数秒もすると、そこには1匹の鬼が立っていた。
「ふふふ……ふふははは! はははははははっ!! これが鬼か! これが鬼の力か!
なんとも心地良い! 力で溢れているではないか!!」
鬼と化した信虎が高笑いをする。
他の鬼と違い明確な意思があった、人間としての感情と、思考があった。
「そんな……人が自ら鬼になるなんて……」
「そんな訳の分からない力に頼って嬉しいっすか!?」
「嬉しいさ、嬉しいとも。 強者は得る、弱者は奪われ喪い続ける、それが戦国の摂理だ。
何者にも屈しない力、何者にも奪われない力、何も喪わない力、
我はそれを欲していた、欲し続けてきた、力の出所など気にするものか!」
信虎が指をパチンッと鳴らす。
犬子達を押さえつけ、醜悪な男根を突き付けていた鬼達が動き出す……
「な、やめ……やめるっす!」
「ま、待って……駄目! 九十郎見ないで!」
「くっ……」
柘榴達が全力で両手、両足に力を籠め、暴れるが、彼女達に鬼達を振りほどく力は残っていない。
「貴様らも鬼に変えてやりたい所だが……
悪いがこの近辺の人間を鬼に変え、瘴気も丸薬も残っておらん。
ならばせめて鬼の児を孕み、鬼を増やす手伝いをするが良い」
ずぶんっ! と……犬子のワレメに鬼の男根が突き立てられた。
「あ……ぅあ……」
「て、てめぇ……」
犬子の目が絶望に染まり、九十郎の目に怒りが宿る。
直後、柘榴にも、松葉にも、義清にも男根が挿入される。
濡れてもいない女性器に、強直が鬼の強力で力任せに割って入り、犬子達が激痛と屈辱に喘いだ。
特に未だ男を知らぬ身であった松葉の心と体に対する苦痛は一入であった。
「う……ぐ、あぁ……」
普段無表情な松葉の顔が苦痛に歪み、呻き声も発していた。
悔しさと、悲しみと、痛みと……松葉は自分の魂が穢されていくような感覚を覚えていた。
「安心しろ、痛みはそう長くは続かぬ。 鬼の子種は人の子種とは違う。
一度でも注がれれば必ず孕む、出産まで十月十日も要らぬ……三日三晩で十分だ」
鬼達が、身動きのとれぬ女達に跨り、腰を振る。
およそ人とはかけ離れた野獣のような呻き声と共に、女の膣肉を抉り、かき混ぜる。
「御大将……柘榴は……」
「う……うぐっ、あ……あぁ……」
「嫌ぁ! いやだ! 離れろ、離れてよ! 九十郎ぉっ!!」
「糞! 糞ぉっ! 皆を返せ!
領民にまでこんな事をさせるなんて、お前には人の血が流れていないかぁーっ!!」
子宮に子種を注がれる前にどうにか逃れようと、犬子達がジタバタと手足を揺り動かす。
「くそが……てめぇら、ふざけるなよ……」
九十郎がのしかかる鬼達を払いのけようと、両腕に力を籠める。
しかしそれは無駄な抵抗、無駄な足掻きであった。
容赦無く、躊躇無く鬼達は快楽を貪る。
犬子達にも、九十郎にも、それを止める事はできない、どうする事もできない。
「はぁっあ、ううぅはぁっ」
「ううぅくっうっ! うううっ!」
女達の喉から、喘ぎ声が漏れ始める。
僅かに感じつつある自分に、愛液を分泌し、女の快楽を脳髄に流し始める自分の身体を呪いながら、犬子達は身を強張らせる。
「さて、そろそろか……」
信虎がそう呟く。
鬼達が興奮していた。
涎を流し、獣のような呻き声を上げ、さらにさらに激しく、強く腰を揺さぶっていた。
あまりにも弱弱しい抵抗を嘲笑うかのように鬼達は犬子達を犯し続け……その時が来た。
「あ……出て……」
鬼が一瞬、ぶるりと震えた。
どくんっ、どくんっ、と子種が犬子の子宮に流し込まれていた。
柘榴を犯す鬼も、松葉を犯す鬼も、義清を犯す鬼も、程なくして絶頂に至った。
女達の孕み袋に子種が殺到し、排卵も着床も関係無く、超常の力をもって女達を孕ませた。
「ふはははっ! はははははははっ!! 情けない姿だなぁ!
それが光璃を手こずらせたという越軍の将達か!
光璃め、この程度の相手に手こずるとは、腑抜けたのかぁ!」
信虎が高笑いをする。
犬子達のオンナの部分から鬼の肉棒が引き抜かれ、どろりと精液が流れ出す。
九十郎はそんな光景を、瞬きもせずに見つめていた。
血走った目で、怒りに満ちた目で。
「……御大将が、仇を討ってくれるっす」
自分や松葉のナカから溢れる白濁液を見つめながら、柘榴がそう言った。
「ほう?」
「柘榴達が道を拓いて、時間を稼いで、御大将を逃がしたっす。
お前達が粋がって柘榴達を犯している間に、御大将は逃げ切ったっす」
「だから、次に敗北するのは我だと、そう言いたいのか?」
「御大将はきっと勝つっす!
どんなに追い詰められても酒飲んでゲロ吐いて胃を痛めながら戦って、
最後にはなんやかんやでどうにかするのが御大将っす!!」
「我は無駄だと思うがなあ……何故なら……」
信虎の視線の先を追い……柘榴が大きく目を見開く。
「そん……な……」
松葉が驚愕のあまり絶句する。
その顔は、声は、絶望に染まってしまっていた。
「御大将ぉっ!!」
美空が……柘榴や松葉が希望を託した長尾美空景虎が、全身をズタボロにされ、気絶した状態で鬼に引きずられていたのだから。
「この我が、この武田信虎が、貴様等の考えそうな事に見当がつかぬと思ったか?
地勢の分からぬ者だけで逃げようとしたのが命取りよ。
当然、逃げ方が単純になり、追いつき、取り囲むのも容易になる。
本気で逃げ延びる気であったなら、
そこで犯されている村上義清を連れて行くべきであったな」
「そんな……こんな事が……私……私のせいで……」
村上義清が涙した。
自分が奇妙な丸薬に飛びついたせいで家臣達が鬼に変わり、城も領地も荒らされた。
自分が下らない意地を張って最後まで戦おうとしたせいで、希望を繋ごうとした長尾景虎が捕らえられた……義清は自責の念で一杯になった。
「越軍も、それに手こずる光璃も底が知れたものよ……
構う事は無いぞ、そいつも犯し、孕ませてしまえ」
「なっ!? やめるっす! 御大将に汚い手で触れるなっす!!
ヤルなら柘榴から先にスルっす!!」
「よせ! やめろぉっ!! やるなら私をやれぇーっ!!」
柘榴と義清がそう叫ぶ。
しかし、鬼達は少しも躊躇せずに美空の衣服に手をかけ、一枚、また一枚と力任せに引き裂いていった。
「ふん、何を寝ぼけた事を言っている。
戦場で負けた者は全てを奪われる……それが戦国の摂理であろうが」
美空が一糸纏わぬ姿に、生まれたままの姿になるのにそう時間はかからなかった。
そして亀頭が美空のワレメに宛がわれた……
「や……やめるっすぅ!!」
柘榴が叫ぶ。
喉を枯らさんばかりに叫ぶ。
だがしかし、叫んだ程度では鬼は止まらない。
亀頭が女体に飲み込まれ、ブチブチと膜が千切れて……
「ヤ・メ・ロオオオォォォーーーッ!!!」
直後……無数の鬼達を引き裂き、蹴散らしながら、別の鬼が飛び込んできた。
子供のような小柄な体躯、紅い髪、紅い皮膚の鬼……虎松が飛び込んで来たのだ。
「……何!?」
鬼と化した信虎が驚愕する。
自分が把握していない鬼がいた事も、それが他の鬼達に攻撃し、美空達を守るかのように表れた事も信虎の想定外の事であった。
「誰だ貴様? 我の命令が聞こえておらぬのか?」
「オレ、鬼ノ子、屍食鬼デハナイ、紛イ物デモナイ、本物ノ鬼。
オ前命令、聞ク筋合イ、無イ」
虎松がぜぇはぁと肩で息をしながら、そう答えた。
栄養不足の上で、超能力の過剰使用……今の虎松は、立つのも辛い程に憔悴していた。
「貴様は……ああそうか、あの御方が仰られていた『生き字引』とはお前の事か」
「違ウ! オレ、鬼! 鬼ノ子! 貴様ラノヨウナ、紛イ物違ウ!
本物ノ鬼! 本物ノ鬼ダ!」
「本物の鬼だと? 我が紛い物だと?」
「オ前ライツモソウ! 鬼ヲ知ラナイ! 知ロウトシナイ!
鬼ノ力ダケ、欲シガル! 力ダケ欲スル! ダカラ作ル! 紛イ物ノ鬼ヲ!」
飛び込んで来た紅い鬼と信虎が睨み合う。
お互いがお互いを敵と認識し合う。
「ははは、そうかそうか、我は力だけを得た紛い物か。 貴様はそう言うのか。
ならば……我も貴様に教えてやろう」
信虎が一瞬で距離を詰めた。
常人には視界に捉える事すら困難な速度、人外の疾さで踏み込み、虎松の小柄な体躯に蹴りを入れた。
「……我が欲しいのは強さだ、他はどうでも良い」
まるでサッカーボールのように虎松が吹っ飛び、葛尾城の石垣に激突した。
石が砕け、クレーターができ、九十郎達が地響きを感じる程の衝撃だった。
「キ・サ・マアアアァァァーーーッ!!
紛イ物ガッ! 紛イ物風情ガ! コノオレニ勝テルト思ウカァッ!!」
砕け落ちた石垣を掻き分け、虎松が立ち上がる。
「ふん、念力とやらで防御したか。 面白い、そうでなくてはな。
だが聞いているぞ、貴様の能力は強大だが、消耗が激しいとな。
ここに辿り着くまで何回使った? 今のを防ぐのにどれ程使った?
今のを後何回防げる? あと何度傷を癒せる? 10か? 20か? 100に届くか?」
虎松の膝が震えていた。
血色は悪く、滝のように汗を流し、息は乱れていた。
そして何より、傷ついていた。
先程の蹴りを完全に防ぎ切る事ができなかったからだ。
ここに辿り着くまでに負った傷を、治しきる時間も体力も無かったからだ。
「捻り潰してしまえ!」
信虎の号令を聞き、周囲の鬼達が動き出し、次々と紅い髪の鬼……虎松へと襲い掛かる。
「コノ……紛イ物ガッ!! 屍食鬼風情ガァッ!! ソンナニ死ニタイノカァッ!!」
ある鬼は衝撃波でズタズタに引き裂かれ消滅した。
ある鬼は発火能力で全身を焼かれ消滅した。
ある鬼は念力で飛ばされ、他の鬼と激突して消滅した。
ある鬼は高圧電流を浴びて消滅した。
虎松がどれ程超能力を行使しても、鬼は一向に減る様子が無かった。
虎松がどれ程奮戦しても、美空達や九十郎を押さえつける鬼の下へ辿り着く事はできなかった。
そして戦いが長引けば長引く程、虎松は傷つき、疲弊し、ふらつくようになっていた……
「腹ガ……減ッタナ……」
身体がエネルギーを欲していた。
傷を癒し、超能力を使うためのエネルギーを。
だがしかし、信虎を目の前にして、今この瞬間も無数の鬼達が襲い掛かってきているのに、そんな悠長な事をしてはいられない。
「クズロー……クズローダケ、デモ……」
今にも気絶しそうな状態になりながらも、虎松は戦った。
無数の鬼達と戦いながら、少しずつ、少しずつ九十郎の下へと近づき……
「もう一撃喰らえぃっ!!」
「グアァッ!!」
あと少しという所で、虎松の鳩尾に信虎の拳がめり込む。
精神の集中が間に合わない、念力が間に合わない、そんな速度であった。
「……燃エロォッ!!」
直後、虎松が信虎の腕を掴み、自然発火能力を発現させる。
「ふん、温い温い、その程度では我を殺す事など夢のまた夢だぞ」
万全の体調ならば、骨の一片も残さず消し炭にできた。
だがしかし、無数の鬼達を掻き分け続けた今の虎松では、信虎を仕留める事ができない。
「弱いなあ本物ぉっ!!」
信虎が虎松を掴み返し、ブン投げた。
再び虎松の小柄な体躯が宙を舞い、先程の倍以上の勢いで石垣に叩きつけられた。
「グゥ……アァ……コ、コノ……」
今度は念力による防御が間に合わなかった。
巨石をも粉々に砕く衝撃がダイレクトに虎松の全身を襲い、骨が砕け、肉は引き裂かれ、内臓はいくつも破裂し、血管はズタズタにされ……虎松が普通の人間であれば、間違い無く即死するような重大なダメージを受けていた。
「どうした本物、もう終わりか? 我の皮一枚焦がすのが限界か? この程度の負傷……」
虎松に焼かれた右腕の皮膚が、ベリベリと音を立てて剥がれ落ちる。
剥がれ落ちた皮膚の下には、全くの無傷な状態の皮膚があった。
「……どうだ、もう全快したぞ。 しかし本物とやらは立ち上がる事すらできん様子だな」
虎松もまた、傷ついた組織を念力で繋ぎ合わせ、代謝を活性化させ、必死に身体を癒そうとしている。
しかし……
「ふん、雑魚が」
ぐしゃりと、虎松の顔に信虎の踵がめり込んだ。
鼻の骨がぐしゃりと潰れ、額に生えた角がへし折れ、血反吐を吐いた。
「全く、無駄な時間であったな。 おい、これに構う事は無いぞ、犯し続けろ。
あと少ししたら春日山城に移動するぞ」
再び鬼達が犬子達に男根を突き立て、腰を揺さぶり始めた。
そんな悪夢のような光景を、九十郎も、虎松も、どうする事もできずに眺めていた……
そして……
「い……づぅ……!?」
美空の処女膜が、鬼の逸物で破られた。
その痛みと衝撃で、意識を失っていた美空が目を覚ました。
「な……何、これは……?」
自分に鬼が跨り、覆い被さり、カクカクと腰を揺さぶっていた。
自分の下の口が鬼のモノを咥え込んでいた。
破瓜の血を流し、飛び散らせながら、何度も何度も男根が出入りしていた。
カリ首が美空の膣肉を抉り、過去に味わった事の無い苦痛を生じさせていた。
「この、離れなさい……うあ、うっ! ああっううぅあぁ!」
鬼を両腕で押し、引きはがそうとする。
しかし、体格も、体重も、筋力も上回る鬼はびくともしない。
「お、御大将……ふっうっ……はぁっぐっふっ……逃げ……うぅっ!」
鬼に犯されながら、柘榴が必死にそう告げてきていた。
今すぐ逃げなければいけないというのは、美空自身も理解できていた。
だがしかし……今の美空は余りにも無力だった。
「うっ! ぐっくぅっ!」
鬼に犯され、松葉が喘ぎ声を漏らしていた。
恥辱に満ちた表情で鬼を睨みつけていた。
「ううぐっはぁっ……はぁっうっ! 私の……私のせいで……
あぁあぁあ、うっ! うっ! ああっぐっ」
鬼に犯され、村上義清が喘ぎ声を漏らしていた。
自責の念で一杯になり、涙を流しながら犯されていた。
「……ううっ! くっああっあ、九十郎……ぐっくっあぁ!
九十郎、ごめんなさい……ううぅうはぁううっ! はぁっああっ……」
鬼に犯され、犬子が喘ぎ声を漏らしていた。
愛する人以外に開き、子種を流し込まれる恥辱に、悲しみに苛まれていた。
「諦めては駄目、なんとか……あ、……うああっふっうっ! ううぅうっ!
わ、私がどうにかしないと……ああっうっ! あ、ああっくっ……はぁ!」
ズコズコと、バコバコと、美空の子宮が鬼の男根に衝かれていた。
鬼が涎を垂らし、さらに強く腰を揺さぶる。
腰を揺さぶり、腰を揺さぶり、腰を揺さぶり、腰を揺さぶる。
美空は周囲を見回し、思考を重ね、この状況から脱出する方法を考えていた。
考えて考えて考えて……しかし、思考が纏まるよりも早く、鬼の身体がぶるりと震えた。
精巣がビクンと蠢き、マグマのように沸き立つ白濁液が射精管を通り、尿道を満たし……美空の子宮へと流し込まれた。
「ぐっ……あぅ……」
鬼の子種が、化外の子種が、超常の子種が、柘榴達と同じように、美空を孕ませた。
「オレ……運ガ良イ……死ヌ前ニ……オレト、話セタ……」
そんな中、虎松がそう呟くのを聞く者はいなかった。
別の世界からこの虎松に呼びかけ、テレパシーで繋がっている虎松を除けば。
「ソッチハ……上手ク、ヤレヨ……タ、頼ンダ……ゾ……」
血反吐を吐きながら、虎松が精神を集中させる。
身体に残った最後のエネルギーを集中させる。
今この瞬間に死んでも構わないと……そんな覚悟で、最後の超能力を発現させる。
「何をしている? その傷、その体で我を殺せるとでも思ったか?」
信虎が虎松を見下し、笑う。
しかし虎松の最後の力は、信虎を殺すためのものでなない……
「な? お、おい……なんだこれは!? 何が起きて……」
押さえつける鬼達が弾き飛ばされ、九十郎が空中に浮かんでいた。
虎松の最後の念力が九十郎を浮かべているのだ。
「クズロー、ゴメン……マタ、守レナカッタ……」
虎松がそう呟き、最後の力を振り絞り……
比較的鬼が少ない方角めがけ、九十郎をブン投げた。