第39話URL『https://novel.syosetu.org/105831/31.html』
第41はエロ回ではありません。
第41話URL『https://novel.syosetu.org/105831/32.html』
練兵館に、艶めかしい女の嬌声が響き渡っていた。
「うああっ……ううぅはぁはぁっはぁっ!」
それは魂を侵食される苦痛……いや、魂すらも蕩けさせる程の強烈な快楽であった。
服部半蔵正成は優れた忍者であったが、同時に生娘でもあった。
男を知らぬが故に、その快楽は強烈であった、抗う術を知らなかった、抗いようが無かった。
「ふっぐっうっ! はぁっ……あ、ううぅああっうっ!」
自分が消えていく感覚があった、服部半蔵正成が消え、小波が消え、松平元康に対する忠義も、幼少の頃から耐え忍んできた鍛錬の数々も消え……ただの雌にされていくのを感じていた。
このままではいけない、このままでは堕とされると明確に分かっていたが、小波には逃れる手段が何も無かった。
魂が引き千切られる快楽を受けていては精神を集中させ、御家流を発現させる事は不可能であった。
「くっはぁっうっ! ぐっはぁっううぅうっ!」
喘ぎ声が徐々に徐々に大きく、強くなっていった。
喘ぎ声が大きくなればなる程、小波の人格が消えていった。
首を左右にブンブンと振り、快楽に抵抗しようとしたが、それは儚い抵抗に過ぎなかった。
少しずつ、少しずつ、少しずつ、消えていった、壊れていった。
「ソウダ、ソウダ、雌ノ快楽ヲ求メロ。 雌ノ快楽ニ酔イシレロ。
雌ノ快楽ニ支配サレロ。 オ前ハタダノ雌ダ、タダノ女ダ……」
新戸が小波の顔を掴み、視線を合わせていた。
紅く輝く瞳を小波の瞳と突き合わせ、暗示の言葉を投げかける……ただそれだけ、ただそれだけで服部半蔵正成が艶めかしく嬌声を上げていた。
「ぐっああっくっううっ! あ、あ、あ……」
膣内からとめどなく愛液が漏れ始める。
子宮が降り、男根と精液を求めてヒクつき始める。
身体中の細胞全てが発情し、身体中の細胞全てが雌の本能に支配される。
「男ヲ求メロ、肉棒ヲ求メロ、屈服シロ、オ前ハ女ダ、オ前ハ雌ダ……」
視線を合わせてはいけない、瞳を見てはいけない、自分は催眠術にかけられている。
小波にはそれが分かっていたが、既に首を動かす事、目を閉じる事も、視線を逸らす事もできなくなっていた。
あらゆる抵抗ができなくなってしまっていた。
「うっ! うああっあぁ……ぐぅっ! あ、葵様……うっ! ぐっはぁっあぁふっ!」
思考が削れていった、忍びの魂や忍びの矜持までもが擦り減っていった。
その代わりに小波の心に大きく、強くなっていく……男が欲しい、男に支配されたい、アソコに男根をブチこまれたいという欲求が。
「アソコニ指ヲ這ワセロ……自分デ自分ヲ慰メロ……」
小波はその言葉に逆らう事ができなかった。
自分の指が勝手に……いや、植え付けられた淫らな欲求に従い、自らのワレメを弄り始めた。
「ううぅっあっんんっ! ぁあっぁあっ……んんっ! んあぅ!」
電流のような感覚であった。
今まで感じた事の無いような甘美な快楽が小波を襲った。
抵抗は不可能だった、一瞬にして絶頂してしまった。
いや……
「あ……う……? これは……?」
奇妙な事に、小波は絶頂しなかった。
ありえない昂ぶり、人外の快楽が小波を襲い、絶頂寸前にまで追いやられ……そこで止まったのだ、吐き気がする程に強烈な性的欲求不満を残して。
「屑郎ノアレハ……モット凄イゾ……」
悪魔の誘惑のような囁きが、絶頂の余韻に浸る小波に届いた。
ごくりと、唾を飲み込んだ。
「屑郎ノチOコヲブチ込マレレバ、スグニイケルゾ……」
アソコが、クリが、子宮が、脳髄が、魂が、小波を構成するあらゆる部分が、男を呑み込みたい、咥え込みたい、男を知りたいと叫んだような気がした。
「欲シイカ……欲シイヨナ……屑郎トセックスシタイヨナ……」
「あ……あぁ……うぁ……」
小波は思わず、頷いてしまった。
九十郎と性交がしたいと、交わりたいと、ほんの一瞬だけとはいえ、本気でそう考えてしまった。
「おい糞ニート、かれこれ3時間以上もそんな調子だけどよ、何やってるんだ?」
そんな光景を道場の主人、九十郎が胡散臭そうに眺めている。
一度はマジカルチOポという素敵な言葉の響きに胸を躍らせた男であるが、それはそれとして大事な道場に穴を開けられた上、明らかに18歳未満閲覧禁止な光景が繰り広げられ、貞子も空も玄関で追い返さざるを得なくなったため、九十郎は不機嫌だ。
「暗示をかけている」
「暗示だぁ?」
「そうだ。 催眠術は本人が心の底から嫌がっている事をやらせるのは難しい。
長い時間操り続けるのも難しい。 だから条件付けをする。
メトロノームの音を聞いて涎を流すパブロフの犬のように、敗北の記憶を刻み込む。
自分は屑郎のおOんぽには勝てないのだと、
どう足掻いても屈してしまうのだと思い込ませる」
「めとろうむとか、ぱぶろふとか、良く分からいっすけど……
つまり、今の柘榴達みたいに、
九十郎を見るだけで発情するような状態にしちまうって事っすね?」
「大体合ってる」
酷い理解の仕方である。
「暗示は良いけど、もうちょっとぱパパッて終わらないのかよ?」
「オレ、蘭丸みたいに能力が特化していない、精神操作は蘭丸の得意分野だ。
それにそもそも、テレパスは暗示の効きが悪い……時間がかかるのは仕方がない」
「つまりまだ待たされるって事かよ」
「いや、もう少しだ……もう完成に近づいている、あと少しで仕上げに入れる」
実際のところ、小波は限界が近かった。
今すぐ全ての衣服を脱ぎ捨て、はしたなく股を開き、ワレメを開き、おOんぽをくださいと懇願してしまいそうな気分であった。
小波はもう駄目かもしれないと、耐えられないかもしれないと、絶望に染まりかけていた。
肉欲に屈してしまいそうになっていた。
「ねえ九十郎……虎松ちゃんって思ってたよりもエグいような……その……」
「殺すよりマシだろ」
「殺すよりマシっすよ」
「犬子的には、いっそ殺した方がマシなんじゃないかなって思うんですけど」
微妙に意見の統一ができていない3人である。
「屑郎、少し手伝ってくれ」
「俺はお前と違って催眠術なんて使えんぞ」
「少し体を弄ってくれ」
「セクハラをしろと?」
「本番はもう少し先だ」
「OK、OK、やってやろうじゃないか」
九十郎は指をワキワキとさせながら小波に近づく。
巨乳好きの九十郎としては、小波の豊満な身体は普通にストライクゾーン内である。
「柘榴様、犬子はこういう時どんな顔をすれば良いのでしょうか」
「犬子は浮気とか嫌いっすか?」
「いえ、知り合いが強姦されかかってるのがこう……こう、良心の呵責がですね……
こうしないと殺すしか無いってのは分かるんですけど……」
「こういう方法で好き嫌いを左右させるのは良くない。
犬子が言いたいの、そういう事じゃないっすか?」
犬子は少し考え、こくりと頷いた。
「犬子は……私は誰かに強制された訳じゃなく、九十郎を好きになりました。
そう思っています、そう信じています。 だから……」
「最初はどうあれ、結果として幸せにすれば良いと、柘榴は思うっすけど」
「そう……でしょうか……」
犬子の複雑な心境を尻目に、九十郎の手が小波の服の下に潜り込み、
たわわに実った乳房を鷲掴む。
「はぁっぐふっはぁっあ! あぅぁっ!!」
瞬間、小波は絶頂に達した。
一瞬にして過去最高の性的快楽が脳内を巡り、頭の中を真っ白にした。
直後……
「快楽ニ屈シロ! 屑郎ニ屈シロ! オ前ハ雌ダ! 屑郎ノ女ダ!」
直後、新戸の瞳が妖しく輝いた。
「ぅ、あぁ……」
直後、小波は自分の頭の中を書き換えられたような感覚を覚えた。
常識が書き換えられる奇妙な感覚だった。
怖いものが怖くないと感じ、憎いものが愛おしいと感じ、誇りが無価値に思え……小波の中の価値観が反転していく奇妙な感覚だった。
「新戸、今何やった?」
「イッた瞬間は、精神操作がし易くなる。
心の壁が薄く脆くなって、無防備になる。 頭の中を動かし易くなる」
「まるでサキュバスクエストだな、短編の方」
「大体合ってる」
そんな雑談を交わしながらも、九十郎は小波の胸を揉み続ける。
柔らかな感触を堪能しながら、小波の心を歪め、破壊していく。
「うはぁあ! ふっあ! はぁっぐっ!」
小波が絶頂する。
何度も何度も……何度も何度も何度も何度も。
「モットダ! モット昂レ! サアイキ狂エ!!」
新戸の瞳が妖しく輝き、小波の頭の中を書き換えていく。
肉体が、精神が発情していき、肉棒をブチ込まれたいという欲求が強くなっていく。
脳髄に直接命令を書き込まれるような感覚が小波の心に恐怖を……そして恐怖の何倍も何十倍も甘美な快楽を刻み付ける。
「んんっ! ……ぅあっ! ……ううぅふわっんぁあっ!」
10か20か、あるいは100か……もう何度目になるのか分からない絶頂の後、小波は九十郎の唇にむしゃぶりついた。
完全に無意識の行動、本能的な行動であった。
「んぐっんぐっれろずぶっずずっ……んむんふ……」
唇が重なり、舌と舌が絡み合い、砂漠で見つけた甘露のように、
男の唾液を貪ろうとしていた。
九十郎の唾液が、甘いとすら感じていた。
「そうだ、アナルパール挿れようぜ、アナルパール」
九十郎が唐突にそんな事を言い出した。
「あ、あなるぱぁる……?」
「何っすか、それ?」
首を傾げる2人を尻目に、九十郎が物置に走り、戻って来て……
「何それ、数珠?」
「数珠にしちゃでかいっすよ。 それが、あなるぱぁるっすか?」
「その通り、こいつを小波のケツにブチ込む」
九十郎の手の中には、
少し前に夜なべして作ったHENTAIアイテム……アナルパールが収まっていた。
「九十郎、本気なの?
九十郎のおOんちんをお尻に挿れたりしてた犬子に言えるかは分からないけど……
小波さんのあそこ、裂けちゃったりしない?」
「え? 犬子、九十郎のアレ、お尻に挿れたっすか!? 大丈夫っすかソレ!?」
「最初はちょっと痛かったし、苦しかったし、
ちょっと漏らしたりもしちゃったけど、慣れるとアレはアレで良さが……
身体全体が押し広げられて、内臓が揺さぶられる感覚が癖になると言いますか……」
前に色々ヤッた記憶を反芻し、犬子は顔を赤らめる。
柘榴はちょっと羨ましそうだ。
そして……
「お、お尻に……アレを……」
小波の身体が熱く火照っていた。
視線が数珠上の物体に……アナルパールに釘付けになってしまっていた。
アレを挿入されたらどうなるのだろうかと、どんなに気持ち良くて、どんなに幸せな気分になるだろうかと考えてしまう。
その感情が、欲情が、催眠術によって思考を操作されているだけだと理解しながらも……
「服ヲ脱ゲ……一枚残ラズダ……」
小波は既に、新戸からの催眠術に抵抗できなくなっていた。
震える手つきで、一枚、また一枚と衣服を脱ぎ捨て、寸鉄帯びぬ無防備な姿を晒してしまう。
「ナイスおっぱい!」
九十郎がガッツポーズをした。
自分の肉体に厭らしい視線を向け、欲情されている……小波に沸き上がったのは嫌悪ではなく、歓喜であった。
既に自力ではどうしようも無い程に、小波の精神は書き換えられてしまっていた。
「う……お、お願い……します……」
気がつけば、肉体が小波の意志を無視し、勝手に動き出していた。
身体が勝手に四つん這いになり、九十郎に向けて尻を突き出していた。
尻の穴がヒクヒクと開き、愛液がとめどなく溢れていた。
そして懇願していた、ブチ込んで欲しいと、挿入して欲しいと。
「九十郎、本当にスルの?」
「捕まえたくノ一にアナルパールってのは、男の子なら誰しも一度は思い描く夢だからな」
そんな歪な欲望を抱いているのは九十郎だけである。
そして……無防備に晒された小波のアナルに、一個目のアナルパールがねじ込まれた。
「う……がっ、ああん!」
本来排出用の穴に、無理矢理異物を押し込まれる感覚。
球体が自分の直腸を押し広げ、さらに内部に侵入していく感覚。
小波はそんな未知の感覚を味わった。
「くっうっ! ……ああっくっうっ! うっ!」
2個目、3個目、4個目が挿入される。
次々と襲い来る未知の歓喜、未知の快楽、そして……自分の子宮がさらに大きく叫び出した『男が欲しい』『肉棒が欲しい』『子種が欲しい』と。
「何本目に死ぬかな~?」
九十郎は、ケンシロウに7つの傷をつけている時のシンよりも悪趣味な笑みを浮かべる。
そんな事をするからモテないのだ。
「もう良いぞ屑郎、もう十分だ。 もう既に……できている」
そんな中で、新戸GOサインを出した。
挿入しろ、トドメを刺せ、小波に男根をブチ込んで屈服させろ……その準備ができたと。
「さぁって、獲物の前で舌なめずりは三流のやる事。
せっかく仮面ライダーを捕まえても、
たっぷり苦しめてから処刑してやるとか言い出すとロクな目に遭わん……」
九十郎が体勢を変え、男根を足と足の間に割り込ませる。
亀頭が小波の女の部分に宛がわれ……膣口と鈴口が触れ合った。
「……早速、トドメを刺すとするか」
トドメを刺される……コレが自分の膣内に入ったら、コレが自分の子宮に触れたら最後だと、小波は直感的に理解した。
膣肉が九十郎の肉棒の形状を覚え、子宮が肉棒の味を覚え、二度と戻らなくなってしまうと思った。
自我が肉の快楽によって砕け散り、二度と元には戻らなくなってしまうと。
「やめ……やめ、て……」
身体が震えていた。
恐怖からではなく、屈辱だからではなく……身体が、男の味を期待してしまっていた。
「いただきま~す……とね」
一方、九十郎はこんな美人のナイスおっぱいとヤレるとかマジ最高だぜ、げっへっへっへっへっ……とか考えている。
率直に言って最低の男である。
「や、やめ……ぐ……うぅ、あ……」
みちり、みちりと、九十郎の男根が小波の膣内を掻き分け、押し広げ、少しずつ飲み込まれていく。
「ふっうっ! あ、くっああっあぁぐっぐっくぅっ……」
肉棒が1mm進む度に、小波は魂すら挽き潰されるような快楽に晒される。
『洗脳』とは、脳を洗うと書く……小波は今、過去の思い出や、培ってきた技術、忍びとしての矜持といった、小波を形作ってきたあらゆるものを、脳髄ごと洗い流されているかのような感覚を味わっている。
「ううぅううぅああっんんっ! んんっ! んんっ!」
どれだけ声を殺そうとしても、喉からは艶めかしい叫びが出続けた。
身を捩って逃れようとしたが、腕にも脚にもまるで力が入らず、どうする事もできなかった。
「んんっ! ぁあっふわっあっんんっ! んっっぁ!」
小波は涙を零していた。
自分が消えてしまう、人格が壊れてしまう。
子宮が九十郎のおOんぽの味と形を覚えて、虜になってしまう、二度と戻らなくなってしまう。
明確に迫る自分の死に対し、小波にはどうする事もできなかった。
「なあ小波、お前……名前は何ていうんだ?」
そんな中、小波の耳にそんな言葉が届いた。
「小波って通称か、偽名のどっちかだろ?
今から抱く女の名前も知らねえってのは、あんまり良い気分じゃない」
今から無理矢理手籠めにされる女に言って良い台詞だろうか。
「私……わ、私……は……」
忍びが敵方の人間に自らの本名を明かすなんて、あってはならない事だ。
だがしかし、今の小波は普通じゃない。
新戸の催眠術により強制的に発情させられ、頭の中をぐしゃぐしゃにかき混ぜられていた。
「は……と、り……」
だから名乗った、名乗ってしまった。
「……へえ、服部半蔵正成ねえ。 まるで忍者みてえな名前だな」
九十郎はそう言いながら、さらに腰を押し進める。
みしり、みしりと膣肉がこじ開けられ、ついに処女膜が亀頭と接触する。
ああ、もう駄目だ、もうお終いだ。
自分は今日、ここで死ぬのだ。
このままこの男に犯され、処女を散らし、頭の中が真っ白になり、快楽に屈して、服部半蔵正成は消えて無くなってしまうのだ……小波の心が絶望で包まれた。
だがしかし……破局の時は、終末の時は、小波の処女膜が引き千切られ、男根が子宮口をノックする時は、いつまで経っても訪れなかった。
「ちょっと待て、今……今お前、服部半蔵って言わなかったか?」
九十郎が無言で固まっていた。
そして新戸の方にじと~っとした目線を向けていた。
職業柄、目線や表情から何を考えているのかを読み取る機会が多い小波には分かった。
『てめぇこの野郎、知ってて黙っていやがったな』という顔だと。
一方、新戸は露骨に視線を泳がせながら、ぴゅ~ぴゅぅ~っと下手糞な口笛を吹いていた。
「おい犬子、柘榴、今から土下座したら許してくれると思うか?」
圧倒的、絶対的に優位な状況だというのに、ほんの少し体重をかけ、男根を子宮口まで押し込めばそれで小波を文字通りモノにできるというのに、九十郎は滝のように冷や汗を流していた。
「九十郎はどう思うっすか?」
「ははは、許す訳ねえだろ常識で考えろ」
「じゃあそれが答えっす。
服部半蔵がどんな人か知らねえっすけど、腹括って最後までヤッちまえっす」
「九十郎! 良く分からないけど、嫌ならやめようよ! 小波さんが可哀想だって!」
「良しそうだな、犬子の言う通りだ、嫌ならやめようそうしよう」
服部半蔵の名を聞き、寸前でヘタレた九十郎が小波のワレメから肉棒を引っこ抜いた。
直後、小波の身体から熱が引く、淫らな情欲が消える……ほんの少し、未練を残して。
「あ……ぅ……」
助かった、そう思わなければならない状況だった。
だがしかし、小波はほんの僅かに、ほんの少しだけ、そのまま犯されたい、肉の快楽に身を任せてしまいたいという感情があった。
「九十郎、この間者を殺す気になったっすか?」
「んな訳ねえだろ!! お前、服部半蔵を今ここで殺したらどうなると思ってるんだ!?」
「どうなるっすか?」
「横山光輝が伊賀の影丸を書かなくなる! 兵馬地獄旅もだ!」
「それ、誰がどう困るっすか?」
「ごめん九十郎、今回ばっかりは犬子も擁護できないよ。
でも理由はどうあれ、小波さんを操ったり強姦したりするのはやっぱり良くないと思う」
戦国時代の人間にとっては意味不明、理解不能な理由であったが、横山光輝ファンの九十郎にとっては非常に重大な話である。
九十郎にとって服部半蔵とは、前田利家より、山県昌景より、上杉謙信より、もちろんただの柘榴よりも重い名前なのだ。
「まさかとは思うっすけど、このまま放逐する気じゃ無いっすよね?」
「逆に聞こう、放逐しない理由はあるのか?」
「いや捕まえた他国の間者をそのまま逃がすとか聞いた事ねえっすからね」
「九十郎、正直に言って、小波さんに酷い事はしたくないけど……
でも、他国の間者を逃がすって話を聞いた事が無いって所だけは、柘榴様と同意見だよ」
「良し分かった、犬子、お前の意見を聞こう」
「御意見拝聴するっす」
「え……えっと、それは……殺すのは駄目で、洗脳も良くないから……つまり……」
腕一本貰うとか、足の健を切るとか、色々と物騒な……戦国時代的には割と有情な代案が浮かんでは消え、浮かんでは消え……
「放逐しましょう、柘榴様」
……結局、知り合いを斬る覚悟ができず、だだ甘な結論になっていた。
この辺は基本身内にダダ甘な久遠に影響されたのかもしれない。
「うぅむ……」
そして柘榴は考える。
せっかく捕まえた他国の間者を、そのまま逃がすなんて事は普通はやらない。
殺すか、拷問して情報を引き出してから殺すかの二択が常識的な対応だ。
美空がこの場に居たのなら、間違い無くそう言うだろうと……
「柘榴は何も見なかったし、聞かなかった、気づかなかった事にするっす」
……だがそれはそれとして、柘榴はノリと勢いに身を任せる性質だった。
……
…………
………………
「……はっ!?」
小波は木の枝から転がり落ちそうになっていた事に気づき、慌てて体勢を立て直した。
「ね……眠っていた……のか……? 任務中だと言うのに……」
周囲を見回し、自分の装備を検め、状況を確認する。
調査先である練兵館は……九十郎がトンカチと材木を持って、穴の開いた格子窓を修理していた。
小波……服部半蔵正成にとって、任務中に居眠りをするなんて失態は、初めての事であった。
幼い頃から厳しい修行を行い、心身共に鍛え上げてきた彼女にとって、ありえないミスであった。
「まさか、薬で眠らされたか……それとも……」
小波は息を殺し、周囲を注意深く観察し、妖しい気配は無いか、眠っている間に何かされていないかを調べ……自分の下着が、愛液でぐっしょりと濡れている事に気がついた。
「あ……」
小波の頬が真っ赤に染まる。
眠っている間、夢を見ていたのだ。
淫らな夢を、未だ男を知らない小波にはありえない位にいやらしい夢を……小波はそれを、ただの『夢』だと、現実に起きた事ではないと根拠も無く信じた。
催眠術によって、ただの『夢』だと信じ込まされているとは、思いもせずに……
後日、別の世界線の虎松からこの世界の虎松……新戸に対し、悲鳴のようなSOSが飛んで来る。
『前田利家だけでも持て余してるってのに、服部半蔵の面倒まで見れる訳ねえだろ!』
と叫ぶ九十郎。
『だからって途中で投げ出してこっちに押し付けようとするなよ!』
と叫ぶ新田剣丞。
『豊臣秀吉だの、本多忠勝だの、黒田官兵衛だのと恋仲なんだろ!?
それなら服部半蔵が増えたって問題無いって! イケルって絶対!』
『馬鹿野郎ぉっ!! 小波が泣いてるのが分からないのかよっ!!』
そんなこんなで剣丞と九十郎の間で勃発した、熾烈な服部半蔵の押し付け合い。
『御主人様に棄てられる、御主人様に棄てられる……棄てられる棄てられる棄てられる
棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる
棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる
棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる
棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる棄てられる……』
と壊れたラジオのように無表情で繰り返す小波。
小波を必死になって慰める犬子。
ポン刀片手に責任を取れと九十郎に詰め寄る美空。
空や愛菜の耳を塞ぎながらそそくさと離脱する柘榴。
そんな地獄絵図のような報告と共にだ。
まあ、それは別の世界での話、ある意味では他人事であるので、こちらの世界の新戸は頑張れとだけ返信した。