(警告・原作キャラのNTR描写があります)
「はい、それじゃあ皆さん手を合わせて……いただきます」
「いただきます」
「いただくっす」
「いただくぜ」
「いただきます」
「……ふんっ」
「父よ、あなたのいつくしみに感謝してこの食事を頂きます。
ここに用意されたものを祝福し、私たちの心と体を支える糧として下さい。
わたしたちの主、イエス・キリストによって……アーメン」
犬子と柘榴と粉雪と小夜叉と信虎と雫とついでに九十郎の7人が、各々食事の挨拶を言う。
信虎だけ不機嫌そうにそっぽを向き、挨拶もせずに無作法に料理に箸を伸ばすものの、毎日の事なのでそれを咎めたり気にしたしする者はいない。
斎藤ファミリー……と、いう訳では無い。
しかし全員が斎藤九十郎と縁があり、九十郎が作った朝食を求めて集まった面子であった。
「相変わらず、雫はいただきますが長いんだぜ。
毎回毎回父ちゃんに許可取らねえと飯を食えないのか?」
「何か宗教的な理屈があるみたいっすよ」
「念仏みたいなもんか?」
「念仏じゃありません、お祈りです。
それと、別に父上に許可を求めている訳でもありません。
父と言うのは父なる神を指す言葉で、血縁上の父子とは関係ないんですよ」
「ふぅん、お祈りねぇ……」
「今後のご活躍をお祈りしています」
「止めてくれ犬子、その術は俺に効く」
粉雪は早くも興味を失い、九十郎が作った朝食に箸を伸ばした。
それにつられて、犬子や柘榴といった面々も各々食事に手をつける。
「いやあ、春日山城は完全に奪還できたし、名月様も無事に帰ってこれたっすし、
こうやって練兵館での朝食も再開できるしで、めでたい事ばっかりっすね」
「九十郎のご飯、やっぱり美味しいなあ、
ここしばらく陣中食ばっかりだったから余計にそう思うよ」
「まあ、確かに美味いな、尾張じゃ食えねえよ。 この……はしゅ、何だっけ?」
「ハッシュドポテトだ、まあジャガイモは手に入らなかったから、
適当に似たような食感の芋を探しての代用ポテトだがな。
本当に、早く新大陸に行きたいもんだよ。
トマトも無い、ジャガイモも無い、トウモロコシも無い、カボチャも無いんじゃ、
俺の料理のレパートリーはかなり狭まるからな。
それにゴムも欲しい、是非とも欲しい、アレが有ると無いとじゃ色々な……」
九十郎は内心、ひよ子が天下取ったら新大陸に行こうぜとそそのかそうかとか考えている。
この男はジャガイモ欲しさに、文禄・慶長の役をアメリカ大陸で起こすつもりだろうか。
「それで、貴様はいつまで越後にいる気だ、飯富の妹」
他の面々がゆっくりと食事と会話を楽しんでいる中で、ただ一人黙々と、早食い競争でもしているかのような勢いで出された飯を口の中に掻き込んでいた信虎が、ようやく会話に参加する。
「先代様は早く帰れって?」
「いいや、むしろずっとこっちに居てほしいものだ。
この間の戦いぶりは実に見事であったよ。 賞賛に値する。
アレを殺しに行く時、お前が味方にいればどれ程心強いか」
「悪いけど、御屋形様を殺す戦に協力する気は無いんだぜ」
「アレに忠節を尽くす理由がどこにある? 実の親を本気で殺そうとしたアレに。
お前の姉を殺したアレに」
なお、信虎も信虎で本気で実の娘を殺そうとしているのでおあいこである。
「アンタにゃ分らんだろうが、あたいにも色々あったんだぜ。
少なくとも、アンタがあたいを飯富の妹って呼んでる間は協力する気なれないんだぜ」
粉雪がそう言うと、信虎は静かに箸を置き。両手を床につけ……
「頼む、昌景、我に力を貸してくれ」
そう言って深々と頭を下げた。
その表情はどこまでも真剣そのもので、洒落や冗談は一切混じってない事がすぐに分かった。
「……あたいは、裏切り者にはなれないんだぜ。
あたいは……あたいは姉ちゃんみたいにはなりたくないぜ。 だから……」
だから諦めてくれ……そう粉雪が告げようとした。
「頼む、昌景。 我はどうしても、あいつに勝ちたいのだ」
信虎は先程以上に深く深く頭を下げた。
まるで土下座をしているかのように、床板に額を擦りつけるかのように。
全員の視線が粉雪に向く。
粉雪は即答できなかった。
惚れた男が敵だという事に、粉雪も思うところが無い訳ではない。
かつて主君と仰いだ相手に弓を引く事にも、後ろめたさが確かにあった。
夕霧から越後に行けと言われた時、これで九十郎に会えると喜んだ事も事実である。
「あ、あたいは……」
粉雪の脳裏に、姉の姿が浮かんだ。
飯富虎昌……武田の柱石と呼ばれながら、突如として謀反を起こし、当然のように失敗し、当然のように切腹を命じられた姉の姿が浮かんだ。
かつては武田の誇りだ、武将の鑑だと持て囃しておきながら、謀反を起こした後は掌を返したように姉を蔑み、口汚く罵る連中の姿も浮かんだ。
姉に切腹を命じながらも、一度たりとも姉の蔑む言葉を口にしなかった光璃の姿も浮かんだ。
粉雪は……粉雪はたとえ謀反人になろうとも、たとえ切腹を命じられようとも、最後の一瞬まで雄々しく生きた姉が好きだった。
そんな姉を最後の一瞬まで蔑まなかった光璃が好きだった。
結局、姉がどうして謀反を起こしたのかは、未だに分からなかったが、それでもなお姉と光璃が好きだった。
だから……
「悪い、やっぱあたいはあの人を裏切れないぜ」
だから粉雪はそう答えた。
例え惚れた男と戦う羽目になろうとも、例えかつての主君に頭を下げられても、それでもなお光璃を裏切る気にはなれなかった。
「残念だよ」
「先代様こそ、甲斐に戻っちゃくれないか。
御屋形様も……いや、御屋形様はともかく、典厩様はきっと喜ぶと思うぜ。
先代様だって、肉親同士で殺し合うよりも……」
「それはできん」
信虎は即答した。
先程少し迷った粉雪と違い、少しも迷わずに断言した。
「それはできんって……何故なんだぜ?」
「アレも我も、どうしようもなく武田の女だからな」
「武田の……女……?」
「我とアレの間には殺意しかない、どうしようもなく殺意以外の感情が抱けない。
つまりは、生まれた瞬間から殺し合う宿命という事だ」
「意味が分からねえぜ」
「ああ、次郎もそう言っていたよ」
「要は中二病か、信虎お前今何歳だよ」
「数えで67だが」
「リサリサよりババァじゃねえかっ!? 何やったらそんなに若々しくなれんだよ!?
波紋か!? 波紋の呼吸なのか!?」
なお、九十郎は未だに気づいていないが、柘榴は現在OO歳で、見た目は若いが年はリサリサと大して変わらない。
紗綾に至っては信虎すらも凌駕する……いや、これは言及しない方が良いだろう。
「九十郎、歳の話はその位にして、今日はどうするっすか」
「俺はちょっとした秘密兵器の制作作業かな」
「ちょっとした秘密兵器……? 何の話だぜ?」
「九十郎さん、まだ何か隠してるんですか」
「いや、秘密兵器って言っても戦争で使うような物じゃないよ。 金儲けに使う物だ」
「なあんだ、期待して損したぜ」
粉雪がため息をついて興味を失う。
彼女は雫や一二三といった者達と違い、お金を稼ぐ事の大変さを今一理解していない。
「お、お金儲け……」
しかし、雫は逆にさらに興味を強める。
世の中は金だと言い切る気は無いが、金さえあれば色々できる事は理解している。
それに元薬屋の娘として、お金を稼ぐ事の大変さは何度も何度も教えられている。
「知りたいか、官兵衛」
「はい、是非とも」
雫がぐいっと身体を乗り出し、九十郎から秘密兵器について聞き出そうとする。
後日何らかの方法で情報を剣丞に回すつもりであり、それが美空や九十郎に対する裏切りに近い事だという事も理解しているが……だが、純粋な興味みも何割かあった。
雫は自分の知らない世界を次々ともたらしてくれる九十郎が好きだった。
「それじゃあ完成したら最初に見せてやる、今のうちに驚く練習でもしておくが良いさ」
九十郎はニカッと笑って雫に答える。
雫が剣丞に情報を漏らす可能性は既に美空から伝えられているが、その上で美空から見せても良いと許可を得ている。
分解でもされない限り絶対に再現不可能だからだ。
九十郎は生来の教えたがりで、他人が知らない事をドヤ顔で披露するのが大好きなのだ。
「なあ、九十郎、せっかくだからあたいも見ちゃ駄目かな?」
一旦は興味を失った様子だった粉雪だが、せっかく任務という名目で越後に来ているのだから……と、少し気恥しそうに九十郎に聞いてきた。
「悪いなのび太、この秘密兵器は3人用なんだ」
「のび太って誰なんだぜ!?」
だがしかし、九十郎はそんな粉雪の女心を見事にスルーした。
だから貴様は九十郎なのだ。
「そんなに気になるのなら、正式に第七騎兵団に入ったらどうだ?
我は歓迎するぞ、飯富の妹」
「それは断……って呼び方が妹に戻ってるのぜ!?」
「ふむ、では九十郎の第三夫人ではどうだ?」
「え……そ、それは……」
粉雪が一瞬、言葉を詰まらせる。
信虎が自分を引き込むために適当に言っているだけとは思ったが、もし本当なら……と、どうしても考えてしまう。
「おい信虎、しれっと俺との婚姻を交渉材料にするな。
今のうちにハッキリ言っておくが俺は嫌だぞ」
当然、そんな幻想は近くで聞いていた九十郎本人によってすぐさま打ち砕かれる。
「良い案だと思ったのだがな……」
信虎が不機嫌そうに席を立ち、そのままどこかへと立ち去ってしまう。
一方、粉雪の心臓はバクバクと高鳴っていた。
すぐさま否定されたから良かったものの、もしも九十郎が、大江戸学園の武田光璃をして耳が孕むとまで表現した声で……『好きだぞ、粉雪。 俺の嫁になってくれ』なんて言おうものなら、自分はどうしていただろうかと考えていた。
あまり想像したくない事だが、家族を捨て、故郷を捨て、戦友を捨て、主君を捨て、全てを捨てて九十郎の隣で生きる事を選んでいたのではと……そう思ってしまった。
「(や、やっぱり良くない恋患いをしてるよな……
先代様の様子を見るっている目的自体は既に達成しているから、
すぐにでも甲斐に戻るべきなんだけど……なんだろうけど……)」
粉雪が九十郎の顔をじぃっと覗き込む。
とても端整とは言えない顔だとは思ったが、それでもかつて敗走し、雑兵共に捕らえられ、犯されそうになった時、颯爽と現れて助けてくれた九十郎なのだと思うと……夢の中で、とても優しく、かつ情熱的に抱いてくれた九十郎なのだと思うと……どうしてもあと一日、もう一日だけ傍に居たいと考えてしまう。
「(愛した男が実は敵……か……全く、そんなの物語だけの話だと思ってたぜ……)」
いずれ犬子や九十郎達と斬り合わなければ、殺し合わなければいけないのかと思うと、悲しくなった。
しかしだからといって親友の心や、自分を信用してくれている夕霧、主君である光璃と殺し合う事になったらと思うと……吐き気がして、寒気がした。
「犬子は今日の剣丞当番だったっけ?」
「そうそう、剣丞様はまだ体調が良くないからね。
犬子達で頑張って看病して、早く元気になってもらわないと」
「オレは今日も母の看病と、森一家の取りまとめかな。
まだ食は細いし、まだ自分一人じゃ立てねえし……心配だぜ……」
小夜叉にはいつも、桐琴がいた。
怖くておっかない母であったが、同時に頼れる母でもあった。
その母が、今はやせ細り、自力では立ち上がる事はおろか、槍を振るう事も、固形物を咀嚼する事すらも満足にできなくなっていた。
あのおっかない怒鳴り声を聞く事も、無いかもしれない……小夜叉は今、底知れぬ恐ろしさを感じていた。
「まあ、大丈夫だろ。 あいつ殺しても死にそうもねえし」
九十郎が空気を読まずに軽口を叩く。
「そう……だな……ああ、そうだよな……」
小夜叉もそう思っていた。
母は不死身だと思っていた。
心のどこかで、森桐琴可成は決して死なないと思っていた。
だがしかし……
「(オレも……死ぬのかな……母みたいに戦って、鬼に捕まって、犯されて……そして……)」
小夜叉の心に、恐怖が芽生えつつあった。
小夜叉は最近、夜寝る度に夢を見ていた。
味方が誰もいない戦場で、無数の鬼を相手に戦って、戦って、戦って……鬼に犯される夢だ。
泣き叫び、許しを請い、無残に強姦される夢だ。
その夢を見る度に、小夜叉は自分の心にある恐怖心が増していくような感覚がした。
「そうだ、官兵衛。 剣丞と詩乃が回復したら、剣丞隊を尾張に送り返すから、
今のうちに準備しておいてくれって、ひよ子に伝えておいてくれないか」
「え? 良いのですか?」
「……むしろ何故駄目だと思った?」
「いえ、てっきり織田に対する人質にでも使うのではと……」
「何言ってるんだ、俺も美空も信長と喧嘩する気はねえよ。
向こうから喧嘩売って来たんならともかく、こっちからどうこうする気はねえよ」
「九十郎さんは、今日はどうされるのですか?」
「俺か? 俺はさっき言った秘密兵器の最終調整かな。
動作確認ができたら官兵衛にも見せてやるから、楽しみにしていてくれ。
柘榴はどうするんだ?」
「柘榴は一日中御大将の補助っすよ。
奪還はできたとはいえ、一度は居城が奪われたっすから。
やらなきゃならねー仕事はそれこそ掃いて捨てる程あるっす。
御大将一人にやらせてたら過労死するっすから」
「そうかそうか、まあそっちはそっちで頑張ってくれ、こっちはこっちで頑張るからよ」
そして和やかな……一人は恐怖、一人は悲しみを抱きつつあるが、それでもなお全体的には和やかに朝食は終わった。
明日もまた、今と同じように朝食を取るだろうと、その場にいた全員が思った。
しかし……
……
…………
………………
前田犬子利家と新田剣丞が出会った世界では、
ほぼ全ての世界で、犬子は剣丞が好きになっている。
理由は特に無い。
強いて言うならフィーリングが合っていたとか、なんとなく優しくて、なんとなく恰好良かったとか、なんとなく素敵な言葉で褒めてくれたとか……そういう上手く言語にできない理由で、犬子は剣丞が好きになっている。
この世界でも……斎藤九十郎を好きになり、斎藤九十郎の妻になったこの出会であっても、犬子は新田剣丞が好きになっていた。
なんとなく優しくて、なんとなく恰好良くて、なんとなく素敵な人だと思っていた。
だからその犬子が、倒れた剣丞の看病を買って出たのは、自然な流れであった。
春日山城奪回作戦中に突然気絶してしまった剣丞は、丸一日眠り続け、目を覚ました。
それから不規則に、断続的に気絶して目覚めて、気絶して目覚めてを繰り返し、少しずつ少しずつ回復に向かいつつあった。
「うぅ……う……」
「あ、剣丞様、起きましたか?」
ある日、剣丞はいつものように目を覚ます。
金ヶ崎からここまで、無理に無理を重ねていたせいが、身体がだるく、重かった。
その時の剣丞当番……いつ目覚めるか分からない剣丞を交代しながら見守る役割は、犬子がやっていた。
「ごめんなさい!」
犬子と剣丞の目が合うや否や、犬子はそう言って深々と頭を下げた。
「犬子さん? じゃなかった、犬子、何を急に謝ってるんだ!?」
「もっとちゃんと止めておくべきでした。
剣丞様が、春日山城の裏手の崖を登っていくって聞いて、
剣丞様なら多分大丈夫かな~って気楽に考えて、犬子は全然止めませんでしたから」
剣丞が春日山城で倒れてから、ずっと言いたかった事だった。
イケメン無罪だの、イケメンに限るだのなんだの言って、無邪気に剣丞の力を信じて、剣丞に無理をさせてしまった事に、ずっと罪悪感を覚えていたのだ。
「いや、良いんだ。 俺がちょっと無理をし過ぎただけで……
空ちゃんと愛菜ちゃんは無事に助け出せたから良かったけれど、
俺が足を引っ張って失敗してたらって思ったら、ゾッとするよ」
「大丈夫ですって、2人とも凄く元気ですから」
マッチョの無駄にたくましい筋肉が役に立った珍しい瞬間である。
だが……
「(あれ……剣丞様が気絶した後、どうなったんだっけ……?)」
犬子が僅かに違和感を覚えた。
空と愛菜を助けに春日山城に侵入した事は覚えている、途中で剣丞が気絶した事も覚えている、だがその後は……
「(まあ、良っか)」
犬子はすぐに考えるのをやめた。
せっかく剣丞と2人で話せる機会ができたのだから、別の事を考えて時間を無駄にするのも良くないかと思った。
そして犬子と剣丞が無言で見つめ合う。
互いに互いをどう思っているのか、その潤んだ瞳を見るだけでわかった。
剣丞にとって、犬子はとっても可愛い女の子であった。
犬子にとって、剣丞はとっても恰好良い男性であった。
だから……
「(やっぱり、恰好良いよね、剣丞様って……)」
「(やっぱり、可愛いよな、犬子って……)」
互いにそんな事を考えながら、徐々に徐々に顔が近づいていった。
徐々に徐々に唇と唇が近づいていった。
このままだとキスをしてしまうなと思ったが、2人共それを止める気になれなかった。
「(あれ……何か忘れているような……)」
「(あれ……何か忘れているような……)」
唇と唇が重なり合う寸前、犬子と剣丞は同時に同じ事を考えた。
「(犬子には……犬子って……えっと……何か大事な事があったような……)」
「(何だろう……この人に手を出しちゃいけない理由があったような……)」
犬子と剣丞の胸中の、そんな疑念がよぎった。
そして同時に、床の間に置いてある剣丞の刀から小さな音がした。
まるで音叉を共鳴させたかのような、キイイィィーーンという音がした。
その音はまるで、刀からの警告のような気がした。
だがしかし……
「(まあ、いっか……忘れるぐらいだし……)」
「(何も言わないって事は……大丈夫なんだよな……?)」
唇が触れ合った瞬間、そんな些事は、心によぎった僅かな疑念はすぐに消え去った。
剣丞の刀からの音はすぐに止まっていた、まるで最初から音など鳴っていなかったかのように。
最初は触れ合うだけのキスだったが、徐々に深くなり、ついには舌と舌が絡み合うような口づけになっていた。
重ねて言おう、新田剣丞はイケメンである。
斎藤九十郎のような屑のブ男に比べれば数段、いや数十段……比べる事すらおこがましい程のイケメンである。
外貌も、内面も、まさしく男の中の男と言って良い存在である。
戦国時代の英雄、英傑達が揃って惚れるような超がつく良い男である。
「剣丞様……」
気がつけば犬子は、自ら衣服をはだけさせていた。
童顔の割にたわわに実った乳房が、剣丞の視線を釘付けにする。
「え……?」
「鬼と戦う人なら、誰でも良いんですよね? なら……犬子でも良いですよね」
「え、まあ、そうだけど……」
剣丞は何故か胸騒ぎがした。
何故か断らなければならないような、何故か拒まなければいけないような気がした。
突然の状況の中で混乱する剣丞の前で、犬子が上着を脱ぎ、下着も脱ぎ捨て、生まれたままの姿になっていた。
「良いですよね、剣丞様……」
そして犬子が、剣丞の男根にそっと触れた……柔らかくしなやかな指先の感触により、剣丞のモノはあっという間に膨らみ、直立する。
「あ、いや、俺は……」
「もう、こんなに固くしておいて、説得力無いですよ」
「うぐ……」
犬子がスルスルと器用に下穿きを脱がせる。
そして……
「どうですか、剣丞様? 気持ち良いですか?」
剣丞の肉竿を、犬子の柔らかな双丘が包み込んでいた。
布団の上に仰向けに横たわる剣丞のモノに覆いかぶさるように、パイズリをしているのだ。
「ああ、すごく気持ち良い……」
剣丞は恍惚とした表情で愛撫に身を任せている。
上に、下に、上に、下に、上に、下に……犬子がその身体を揺らす度に、剣丞は得も言われぬような快感をもたらしていた。
「えへへ、実は練習してたんですよ。 槍の柄とかを使って……こんな風に」
犬子が嬉しそうに笑い、今度は自分の胸を左右バラバラに捻って回すような動きを加える。
「ぅ、あぁ……く、気持ち良い……」
ぐにゅりぐにゅりとちOこがかき回されるかのような快楽に翻弄され、すぐに剣丞の竿はギンギンに勃起し、血管が浮き出て、先走り汁が漏れ始める。
犬子は気づかない、気づけない。
自分が何故パイズリの練習を繰り返していたがを。
誰を喜ばせるために練習していたかを。
犬子は今、違和感すら抱けぬ程に忘れていた、忘れさせられていた。
「イキたくなったら、いつでもイッてくださいね。 お顔とお口で受け止めちゃいますから」
犬子は口を大きく開け、鈴口に舌先を這わせて漏れ出るカウパーを舐めとった。
言葉でも、態度でも、射精を待っていると示していた。
「あ、うう……はぅああっ」
犬子が……眼前の可愛らしい少女が、自分の出した白濁液に塗れる姿を想像しただけで、剣丞はイキそうになってしまう。
亀頭と鈴口をチロチロと舐める舌先も、両側から圧迫してくる乳の感触も、剣丞をどんどん昂らせていく……
このまま成す術もなくイかされてたまるかと腰に力を入れてみるが、肉棒はわやくちゃにされ、玉袋は精液を吐き出すためにキューっと締まりだした。
「犬子……も、もう……」
剣丞がそんな弱音にも似た言葉を漏らした直後……肉棒がビクンッと震え、先端からビューッ! ビューッ! と精液が噴き出た。
「わっ!? ん……す、凄い勢い……」
犬子は咄嗟に口で受け止めようとしたが、剣丞の濃厚な孕ませ汁はそこら中に飛び散り、額や頬、鼻や顎、そして乳房をデコレーションした。
「す、すまん……」
「えへへ……剣丞様の匂い、こんな風なんだ……」
犬子は頬についた剣丞の精液を指で掬い、2・3度すんすんと匂いを嗅ぐと、淫靡な仕草で舐めとった。
「ねえ、今度は……ナカに注いでくれませんか?」
剣丞の耳元で、犬子がそう呟いた。
「え……?」
思わず少女の顔に視線を移す。
犬子は顔を真っ赤にしてもじもじと足を交差させている。
「わ、犬子!」
その仕草があまりにも可愛くて、可愛らしくて、何よりエロくて、剣丞は思わずガバっと立ち上がり、犬子をさっきまで自分が寝ていた布団の上に押し倒していた。
「け、剣丞さ……っんふわっんんっ! あううぅ! ううぅ!」
そしてその勢いのまま、剣丞は犬子のオンナの部分に手を伸ばし指を這わせ……クリを摘まんで前後に扱いた。
「くっうっ! ふっうっ! うっ! あぁ!」
今度は犬子が成す術も無く喘ぎ声を漏らす番になった。
百戦錬磨……とまでは言えなくとも、久遠に結奈、詩乃やひよ子、桐琴らとの情交を繰り返して来た新田剣丞には、同年代の男達とは天と地程の経験の差があった。
女の子を気持ち良くさせる術は心得ていた……少なくとも、斎藤九十郎よりも。
「ぁんんっ! あんんっ! っふわっん!」
犬子の喘ぎ声がどんどん大きくなっていく。
じきに、剣丞の指がナカに侵入する。
指先が上下左右に蠢き、探り……見つけ出す、犬子の性感を引き出すツボ、Gスポットを。
「あぁうはぁっくっうっ! ああっうっ! あぁぅ!!」
九十郎すら知らない、九十郎すら触れた事が無いポイントを突かれ、撫でられ、犬子の心臓が、背中が、腰が跳ねまわる。
絶頂の瞬間まで超高速で高められていくのが分かった。
「ん……」
そしてトドメとばかりに、剣丞が犬子のクリにキスをした。
キスをして、舌でグリグリと弄び……前歯で軽く噛んだ。
「ぁっふわっんんっ! ふわっぁあっううぅんんっ!」
それがトドメになった。
犬子は絶頂した。
背中をピーンと伸ばし、両脚をビクンビクンと震わせて、
肺の中の空気を1ccも残さず吐き出してイッた。
犬子がそんなイキ方をしたのは初めての事だった。
少なくとも、斎藤九十郎とセックスをした時よりは気持ち良かった。
「ふぅ……ふぅ……はぁ……」
汗をびっしょりとかき、肩で息をする犬子に、剣丞が覆いかぶさった。
イッたばかりの犬子の両足を大きく開き……ぴくぴくと震える膣口に目をやった。
「良いですよ……来てください……」
そう言うと犬子は仰向けに横たわったまま、膝を曲げ立て、股を開く。
剣丞は犬子に導かれるまま、開かれた両脚の間に入る。
犬子と剣丞が、正常位の姿勢で相対する。
剣丞の男根は、先程一回抜いたばかりだというのに、既にギンギンになっていた。
犬子の秘唇に剣丞のモノが触れる。
あと数cmも腰を前に突き出せば、ナカに挿入できる。
20cm前に押し出せば、全部が膣内に収まってしまう。
「……本当に……本当に良いんだな?」
たぶんナカに挿れたら、抑えがきかなくなると思った。
我武者羅に腰を振り、犬子の膣と子宮を蹂躙し、膣内射精するまで止まれないと思った。
だから剣丞は聞いた、本当にナカに挿れて良いのかと。
「犬子、もう我慢できないです。 挿れて……挿れてください……」
犬子が自分のアソコに手を伸ばして、ワレメをくぱぁっと広げて見せた。
じゅくじゅくと愛液で溢れ、ぴくぴくと震えていた。
男性を求めていた、男根を求めて、精液を求めていた。
新田剣丞のモノを求めていた。
剣丞はそんな犬子の膣内の様子を見つめながら、ごくりと唾を飲み込んだ。
今なら留まれる、今なら抑えられる、今なら引き返せる……だけど剣丞には、女性から求められれば必ず応じてきた新田剣丞には、ここで引き返す選択肢は無い。
「いくよ……」
剣丞はそう言って、ゆっくりと腰を前に突き出した。
大きく口を開いた出入り口が、剣丞のモノと触れ合った。
「はい……あ、んぅ……」
つぷっ……と、亀頭の先端が包み込まれ……