※この作品はR-18です。

戦国†恋姫X 犬子と九十郎(エロ回)   作:シベリア!

27 / 68
第79話はエロ回ではありません。
第79話URL「https://syosetu.org/novel/105831/58.html」



犬子と柘榴と九十郎第78話『催眠・凌辱・そして敗走』

「……で、お前は俺の嫁に何をシようとしてるのかな?」

 

「お前は完ペキィッ! この新戸・クズローコンビを敵にまわしたぁっ!!」

 

その声が聞こえた直後、マッチョな大男が手にした太刀を蘭丸の顔面目がけてフルスイングした。

 

「おおっ!?」

 

蘭丸が咄嗟に身を捩り、皮一枚の差で回避する。

躱し切れたのは奇跡に近かった。

切り込む寸前に九十郎が声をかけなかったら、蘭丸が柘榴と密着していたため、九十郎が僅かに力を緩めていなかったら、まず間違いなく蘭丸は真っ二つに両断されていただろう。

 

「……ちっ、外したか」

 

「クズロー、だからオレは黙って攻撃しろって言ったんだ」

 

「ノリノリで億康・仗助コンビを敵にまわしたって言ってた奴に言える台詞かよ」

 

「一度言ってみたかった」

 

「ははは、こやつめ」

 

九十郎が呑気に笑いながら太刀を構え、柘榴の上から飛びのいた蘭丸に向き直る。

 

「……さて、糞ニートの戯言はともかく、てめぇは俺の嫁に何をシようとしてたんだ?

 こちとら生れてこの方非モテ人生まっしぐらでなあ、

 やっとの思いで見つけた俺みたいな屑を本気で好きだと言ってくれる俺の嫁だ」

 

しかし、九十郎の目は一切笑っていなかった。

怒りと殺意に満ち溢れた目で合った。

少なくとも、秋月八雲と長谷河平良がセックスをしていた場面や、新田剣丞と犬子がセックスしていた場面を目撃した時のような、絶望に染まりまくった負け犬の目では無かった。

 

「良い目だ、実に良い目だ。 愛する妻を断固として守ろうとする漢の目だ。

 実に……実に実に実に素晴らしい、これこそが愛というものだ」

 

殺意を向けられながら、蘭丸は笑みを零す。

今、彼女の心にあるのは死への恐怖ではなく、大いなる期待だ。

目の前で殺意を滾らせる男こそ、自分が探し求めている本当の愛を持つ者ではないかと期待しているのだ。

 

「てめぇを喜ばせるために来たんじゃねえぞ俺は」

 

「ならば何故、ここに来た?」

 

「美空の奴に歴史を変えろとか、剣丞に勝てとか無茶ぶりされてだな、

 どうしたもんかと途方に暮れてたら今すぐ来いって言われてな。

 練兵館にもいねえし、春日山城にも来てねえしで、散々探し回ってたらコレだしよ」

 

「……寝てたらクズローに叩き起こされた」

 

「そうそう、他人が大変な時にグースカと寝息を立ててたこいつを叩き起こしてだな……

 つまり……」

 

「つまり……何だ?」

 

「まあ、つまり俺が言いたい事はな……

 柘榴は俺の嫁だってんだコンニャロウメえええぇぇぇーーーっ!!」

 

ここで犬子の名前を出せない所が九十郎である。

 

実際の所、今でもなお……美空達の愛の叫びを聞いてもなお、

この男にとって胸を張って俺の嫁だと断言できる存在は柘榴一人なのだ。

 

だから貴様は九十郎なのだ。

 

「まさに間一髪、愛の奇跡……と、いうヤツかな?

 いや、嬉しいよ、とてもとても嬉しい。

 君ならば本当に本当に……本当の愛を見せてくれるかもしれない」

 

一方、蘭丸は無邪気に、嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

正直に言って彼女は失望していた。

新田剣丞ならば、前田利家ならば、あるいは柿崎景家ならば、本当の愛を持っているかもしれないと思っていた。

本当の愛を教えてくれるかもしれないと期待していた。

 

何度か試しをしたが、その期待は悉く裏切られ、打ち砕かれてきていた。

しかしそれでもなお蘭丸は、九十郎ならば本当の愛を見せてくれるかもしれないと思っていた。

 

愛する女の窮地に駆けつける……まるで出来過ぎた絵物語のような光景を前に、蘭丸は感動に震えていた。

 

「さあ見せてくれ、教えてくれ……本当の愛はどこにある?」

 

だからこそ蘭丸は躊躇無く自らの超能力を行使した。

 

「オット、ソウハサセナイ」

 

瞬間、新戸の目が妖しく輝く。

バチンッ! と、脳髄に小さな静電気が走ったような衝撃と痛みを覚える。

それは催眠と洗脳の超能力が弾かれた感覚だ。

 

同類であるが故に、同じ特別な鬼子であるが故に、蘭丸には分かった。

新戸が精神を集中させ、超能力を行使したのだと。

 

「何故……邪魔をした?」

 

「オレはお前が嫌いだからだよ。 全然関係無いくせに何度も何度も邪魔をして。

 全部が終わってからなら好きなだけやってくれ、止めないから」

 

「何度も何度も……?」

 

蘭丸が首を傾げる、蘭丸にとって、新戸と会うのは2度目だし、『何度も何度も』と言われる程に長く活動した覚えも無い。

 

新戸が言った『何度も何度も』とは、別の世界、別の虎松の経験なのである。

 

「何を言っているか分からないな」

 

「分からないか? なら……」

 

蘭丸が戸惑う様子を見て、新戸は内心でほくそ笑む。

並行世界の自分と対話する能力はまだ知られていないと確信する。

 

「(クズロー、ぬかるなよ)」

 

「(テレパシーでも屑呼ばわりかよ、この糞ニートめ)」

 

テレパシー(新戸の超能力)での数瞬の対話の後……

 

「くらえっ!!」

 

九十郎が蘭丸に斬りかかった。

 

「ちぃっ……気に入らんな!」

 

蘭丸は寸での所で回避する。

 

「こっちの台詞だ糞野郎ぉっ!!」

 

九十郎が罵声と共に二度、三度と蘭丸に斬りかかる。

基本的に神道無念流だけやってれば幸せな剣術馬鹿なだけあり、その太刀筋は鋭く、疾く、執拗に蘭丸を追いかける。

 

何故か左手で新戸を抱えているが故にギリギリで逃げ切っているが、いずれ追いつめられるギリギリの均衡である。

 

「ちっ……止マレェッ!!」

 

再度蘭丸が催眠能力を発現させる……が……

 

「サセルカァッ!!」

 

再び新戸の瞳が妖しく輝き、蘭丸の発する超能力を阻害する。

 

「ははは、伊達や酔狂でこんな邪魔臭いニート抱えてるとでも思ったか?

 洗脳だか催眠だか知らんが、防御はバッチシなんだよ!」

 

「ちぃ!」

 

精神を集中させるために足が止まった瞬間を狙い、凶刃が襲い掛かる。

蘭丸の額がパックリと切り裂かれ、鮮血が噴き出る。

 

「浅いか……逃げんなよ糞鬼ぃっ! 他人の嫁に妙な真似しやがって!

 大人しくブッタ斬られろぉっ!!」

 

私怨丸出しな台詞と共にポン刀片手の追いかけっこが再開される。

 

「おい同類っ!? 何で邪魔をする!? 私はただ本当の愛を探しているだけだっ!!」

 

逃げ回りながら、蘭丸が全神経を集中させて

 

「お前がやっている事はただの無茶ぶりだと何で分からないっ!?」

 

「無茶ぶりだとっ!?」

 

「お前がやってる事は、

 やる気があるなら24時間365日休まず働けると言ってるのとそう変わらんっ!!

 人間は24時間365日休まず働いたら死ぬんだよっ!

 愛社精神だの、やる気だの、やりがいだのがあろうが無かろうが関係無くなぁっ!!」

 

「そんな事は無い……そんな事は無いっ!! 愛は無敵だ! 無敵なんだぁっ!!

 私は信じる! 私は信じている! 本当の愛があれば……愛があれば……」

 

「鬱は甘えか!? アレルギーは好き嫌いかぁっ!?

 無理して働けばそれで良いのか!? 嫌でも口に入れればそのうち治るか!?

 違う! 断じて断じて違うっ!! お前がやってる事はそういう事だぁっ!!」

 

「私は信じるっ!! 本当の愛をっ!!」

 

「お前が信じようとしているものは、ただの思い込みだぁっ!!」

 

話は平行線だ。

数多の並行世界で行われた並行線であるが、この世界でも蘭丸と虎松は平行線だ。

 

だが……

 

「(あいつ……何故ずっと手を握っている……?)」

 

転子にギリ勝てる程度の身体能力しかないとはいえ、蘭丸は桐琴の娘なのだ。

勝負事に対する直感のようなものが働き、2人の動きへの違和感を覚える。

 

あんな不自然な恰好で戦っているのには理由がある筈だと……

 

「クズロー! 激しく動き過ぎだ!」

 

「分かってるよ! しっかり追従してろっ!!」

 

「無茶を言うな! オレはクズロー程鍛えてないんだ!」

 

「この超能力頼りのモヤシッ娘め、ちょっとは鍛えろ!」

 

そんな中で、戦いながら新戸と九十郎文句を言い合う。

どれだけ激しく動こうとも、新戸と九十郎は不自然な程にその手を放そうとしない。

 

「(……そういう事か)」

 

蘭丸は思う……鬼子の方はそこまで強くないのではないかと。

鬼子は戦闘そっちのけで防御に全神経を傾けなければ、自分の精神操作を防げないのではないかと。

 

なお正解は『金ヶ崎で無理をし過ぎて本調子じゃない』である。

 

「こんな無粋な物、触りたくは無かったが……四の五の言ってはいられんか!」

 

蘭丸はゴロゴロと転がりながらさっき柘榴が振るっていた太刀を拾い構える。

そして力任せに振り下ろされる九十郎の剣を両手で受け止めた。

 

「……止めた!?」

 

新戸が驚愕する。

人殺しの道具を嫌う蘭丸が武器を拾った事に、そして片腕が塞がっているとはいえ、九十郎の神道無念流が受け止められた事に。

 

「馬鹿め! 神道無念流に隙など……」

 

……が、新戸がもっと驚愕するのは次の瞬間だ。

 

「え……ちょ……待っ!?」

 

九十郎が無駄に筋肉質な左手で掴んだ新戸を持ち上げて……

 

「……無あああぁぁぁーーーっい!!」

 

「みぎゃあああぁぁぁーーーっ!?」

 

……やたらと暑っ苦しい叫び声と共に蘭丸にぶつけた。

 

それはまるで長老を武器と言い張って敵キャラと戦う銀さんか土方のような光景であった。

 

「いっだぁっ!! もう少しオレに優しくなれ! クズローッ!!」

 

「頭ぁっ!! 頭割れる!? てか割れてる!?」

 

岩をも砕く程の勢いで額と額がゴッツンコして、蘭丸と新戸が悶絶する。

特にさっき額を斬られていた蘭丸の方は、噴水のように血が噴き出る有様だ。

 

「死ねっ!!」

 

間髪入れずに九十郎の剣の切っ先が蘭丸の心臓を寸分たがわず刺し貫く。

 

「ぐぅ……がっ……」

 

額から、そして心臓から夥しい量の流血があり、辺りは血の池のようになる。

いかに半人半魔の超生物と言えど無視できないダメージだ。

 

「ぐ……ぁ……こ、この……」

 

モズの早贄のように串刺しになりながらも、蘭丸はなお諦めずに足掻き続ける。

胸の傷をさらに抉ろうとする九十郎の腹に膝蹴りをして、一旦距離をとる。

 

「ま……まだだ……私はまだ……本当の……本当の、愛を……」

 

血だまりの中で、蘭丸が膝をつく。

胃と食道を血と胃液の混合物が逆流し、げほごほと咳き込みながら吐き出す。

 

それでもなお彼女は……

 

「私は……諦めん……諦めてたまるか……私は……み、見つけるんだ……

 本当の愛を……桐琴が諦めた……ほ、本当の愛を……」

 

……それでもなお彼女は諦めない。

それが彼女の存在意義で、生まれてきた理由だからだ。

 

「クズロー、まだ浅い。

 鬼子はあの程度の傷では死なない……完全にトドメを刺せ」

 

「標識で首でも刎ねるか? 戦国時代に道路標識なんて無いがな」

 

「そうだな、念のため首を刎ねて、完全なる安心という形にしておけ」

 

「了解だ」

 

微妙にフラグ臭い台詞と共に、さっき柘榴が振り、蘭丸が拾った太刀を拾いあげる。

蘭丸の血の中に沈み、後で掃除と手入れが大変そうだと思ったが……それでも半死半生の蘭丸にトドメを刺す事くらいはできそうだ。

 

「……あばよ糞鬼」

 

九十郎が柘榴の太刀を大きく振りかぶる……

 

「こんな……こんな所で……」

 

蘭丸は観念したかのように目を閉じ、蹲り……

 

「……こんな所で死んでたまるかぁっ!!」

 

……否、蘭丸は生き残るために一瞬のチャンスに賭けた。

額と胸の傷を押して、全力で駆け、全身を肉弾としてぶつかっていったのだ。

 

「うおおおぉっ!!」

 

「何ぃっ!?」

 

致命傷を与えたと思い、ちょっと油断していた九十郎はそんな蘭丸の最後の足掻きに対応できない。

蘭丸の身体は吸い込まれるように目標へ……新戸と九十郎の繋がれた手にぶつかった。

 

ぶっちゃけ勝利を確信して油断していた九十郎と、

身体能力はスーパースターマン並みの新戸の手が……外れた。

 

「私ニ従エェッ!!」

 

その一瞬の隙を蘭丸は見逃さなかった。

絶体絶命かと思われた時に現れた一筋の光明であった。

それは地獄の底に垂らされた蜘蛛の糸の如く見えた。

 

「……ぐ、あ!?」

 

手加減抜きの渾身の催眠が、なりふり構わない必死の洗脳能力が九十郎を襲う。

剣丞と違って剣魂によるガードを受けられず、小波と違って催眠術に対する耐性も無い九十郎には蘭丸の本気の催眠に耐えられない。

 

1秒も保たずに筋肉ダルマは意識を手放し、蘭丸の操り人形に成り下がる。

根性の無い男である。

 

「良し、後は……」

 

蘭丸は九十郎を新戸にけしかけて追い払おうとした。

倒せずとも隙を見せれば逃げ切る自信があった。

 

だがしかし……

 

「晒シタナ……大キナ隙ヲ……」

 

……だがしかし、蘭丸が1秒あれば九十郎を洗脳できるのと同じように、

新戸もまた1秒あれば手負いの蘭丸を仕留める自信があった。

消耗し、とても万全とは言い難い体調ではあったが……それでもなお、数秒であれば全力を出す自信もあった。

その数秒で蘭丸を殺せるような大きな隙さえあれば。

 

例えば九十郎を洗脳し、勝利を確信した瞬間であれば。

 

「な……に……」

 

新戸が蘭丸の右腕をがっしりと掴んでいた。

先程までは人の姿に擬態していた鬼子が、今は鬼としての姿を晒していた。

腕が千切れようとも離すものか、逃がすものかと、渾身の力で蘭丸の腕にしがみつき、そして……

 

「蘭丸ッ!! 覚悟ォッ!!」

 

……蘭丸の全身が超常の炎に包まれる。

新戸の全能力を使っての発火能力が発現したのだ。

 

「ぐ……ぎ……ぐぎゃああぁっ!?」

 

生まれて初めての激痛……それも、全身が文字通り炎で焼かれる苦痛に晒され、蘭丸が悲痛な叫び声をあげる。

 

「残念、作戦、二段構エ」

 

悶え苦しむ蘭丸を見下しながら、新戸がにやりと笑う。

新戸が蘭丸の精神干渉を防ぎ、九十郎が叩き斬る作戦……万一失敗した場合、勝利を確信し油断した瞬間に新戸が殺す二段構えの作戦だ。

 

新戸は蘭丸の能力を知っていた。

知っていて、研究して、対策を練っていた。

一方蘭丸は新戸の能力を知らなかった。

自分と同類だという事だけは直感的に理解していたが、それだけだった。

 

それが蘭丸の敗因である。

 

「ぐあぁ!? ぐ……や、焼け……る……」

 

蘭丸は半狂乱になりながら新戸を振りほどこうとしていたが、元々蘭丸には転子にギリギリで勝てる程度の身体能力しか無く、全力でしがみつく新戸を引きはがせない。

 

「は……離せ……ぐ……あぁ……」

 

そして全身を焼かれながらでは精神が集中させる事ができず、蘭丸の恐るべき洗脳能力は半分……いや、10分の1も行使できない状態であった。

 

そうこうしている間にも蘭丸の全身が焼かれ、炭化していく……

 

「勝ったッ! 第3部完!」

 

徐々に抵抗が衰えていくのを感じながら、新戸は勝利を確信した。

微妙にフラグ臭い台詞と共に勝利を宣言し……宣言した直後、蘭丸は残る力の全てを振り絞り、イチかバチかの賭けに出た。

 

「……わぷっ!?」

 

ついさっき蘭丸の催眠にかかり、意識が朦朧な状態でぼけ~っと立っていた九十郎が、まるでゾンビのような緩慢な動きで新戸に覆いかぶさってきた。

 

「え? あ……ニ、逃ガスカァ!!」

 

意識外からの奇襲により、一瞬だけ集中が途切れ、蘭丸を焼く炎が弱まる。

来たのが九十郎以外であれば、すぐに新戸はそいつを八つ裂きにしていただろう。

しかし、よりにもよって九十郎に抱きつき、覆いかぶさってきた事に、新戸は少なからず動揺した。

 

蘭丸を逃がす訳にはいかないと、新戸はすぐさま精神を集中させるが……

 

「んんっ!? ん……んぅ!?」

 

今度は九十郎に唇を奪われた。

そのあまりにも衝撃的な出来事に、新戸は目を白黒させ、思わず超能力の行使を完全に止めてしまう。

 

それと同時に、蘭丸にしがみついていた新戸の腕から力が抜けてしまった。

 

「く、クズロー……い、今はこんな事をしてる場合じゃなくて……だな……」

 

「お前、良く見たら可愛いよな」

 

混乱する新戸の耳元で、九十郎が優しく語り掛ける。

かつて光璃が『耳が孕む』とまで言った声だけイケメンな喋り口でだ。

 

「お、おいちょっと……ちょっとタンマ! お願いだから待って!

 お兄ちゃんどいて! あいつ殺せな……ぬ、脱がせるなぁっ!!」

 

気がつけば柘榴まで九十郎と一緒になって新戸にしがみついていた。

そして2人がかりで息を荒げ、新戸の服を脱がせにかかっていた。

 

「一緒に気持ち良くなるっすよ、新戸……」

 

「大人しく犯されろよ糞ニート、げっへっへっへっへっ」

 

新戸は手足をバタつかせて抵抗しようとするが、超能力を抜きにしたらスーパースターマン並みの身体能力しかない彼女の力では、バッファローマンのような体格の九十郎にも、日ノ本でも五本……百本の指に入るような武人である柘榴にも敵わない。

 

「ああっ!? 蘭丸がっ!? 蘭丸が逃げるっ!!」

 

当然、新戸の意識が蘭丸から逸れる。

精神の集中が乱れれば、蘭丸を焼く炎の勢いが急激に衰える。

 

新戸の目の前で、炎に焼かれる蘭丸が地面を這って逃げ出そうとしていた。

 

「ちっ、ココデ逃ガス訳ニハ……あんぅっ!?」

 

新戸はもう一度精神を集中させ、逃げようとする蘭丸を黒焦げにしようと試みるも……服の上から乳首を摘ままれた事でまたも集中が乱される。

 

「んむっ! んんんーーっ!! ば、馬鹿! やめろぉっ!

 オレはセックスが上手くないって……い、挿れるなっ!」

 

じたばたともがく新戸を柘榴が押さえつけ、九十郎が下着を無理矢理剥ぎ、男根をワレメに宛がった。

 

……

 

……………

 

…………………

 

どろりと、上の口と下の口から白濁液が零れ落ちた。

 

「う……ぐすっ……えっぐ……うぅ……」

 

約1時間後、膝を抱えながらさめざめと泣く新戸の姿があった。

 

結局抵抗虚しく九十郎のアレをナカに挿れられ、そのまま1時間ばかり正気を失った柘榴と九十郎に犯され続けていたのだ。

 

「オ、オレ……初めてだったのに……」

 

その股座からは、膜が破れたときの出血と、多量の精液がこびりついていた。

しかも九十郎に抱かれた事を聞きつけた他の世界の虎松達からの羨ましいぞとか、モゲロとか、爆ぜろとかの嫉妬半分祝福半分の念波がひっきりなしに届いていた。

 

せめてもの救いは、蘭丸が瀕死だったため、洗脳の効果が僅か1時間で無くなった事か。

それとも肉体操作の超能力でちOこを生やし、柘榴の人妻おOんこで童貞も卒業……という事にはならなかった事だろうか。

もしそうなっていた場合、九十郎の寿命がストレスでマッハになる。

 

「それより、さっきの奴……やっつけたっすか?」

 

「……駄目だ、逃げられた」

 

体育座りの新戸がそう答える。

発火能力で蘭丸を焼いたが、焼き方が足りない……無数の虎松達の経験則上、あの程度の焼き方では致命傷にはならない事は分かっていた。

 

「まあ、また出たらブチのめせば良いさ」

 

九十郎は楽観論丸出しでそう言った。

ついさっきあっさりと蘭丸の催眠術にかかり、トドメを刺すのを妨害した癖に偉そうな男である。

 

「本気を出した蘭丸は簡単には倒せない。

 あいつの怖い所は、あの洗脳能力で際限無く味方を増やせる所だからな」

 

「そりゃ面倒だな」

 

「面倒何てものじゃないぞ、あいつは……」

 

新戸は深く深くため息をつく。

蘭丸が油断して、蘭丸が手加減をしている間に殺しておきたかった。

だがしかし、自分の催眠術を跳ねのけ、自分を瞬時に殺害でき、しかも自分と敵対する存在を蘭丸が認識した以上、不用意に姿を現す事はしないだろう。

 

蘭丸は傷つき、敗走した。

だがしかし、後になればなる程厄介になる蘭丸を今、ここで殺せなかった事は、新戸にとって敗北に等しい。

 

「クズロー、見たか? 奴の超能力を」

 

「ああ、見たよ」

 

「使えるか? アレを」

 

「たぶんな……やってみなきゃ分からんが、やるしかねえだろ」

 

「そうか……首の皮一枚は繋がったか……」

 

斎藤九十郎は、対超能力者用の切り札を隠し持っている。

別の世界の虎松達と対話する能力を持つ新戸は、それを知っている。

『変移抜刀・がらすきぃ』と名付けられた切り札を……

 

故に、九十郎達はあと一つだけ、蘭丸の油断を衝く事ができる。

故に、九十郎達はあと一回だけ、蘭丸を殺すチャンスがある。

 

あと一回だけは蘭丸に勝てるのだ、たった一回だけは。

 

「犬子があんな目に遭った原因、あいつっすかね?」

 

「それはまだ分からない、分からないが……やりかねん、あいつなら」

 

その愛が本当の愛かどうか、確かめよう……そんな事を言いながら犬子が剣丞に抱かれるように仕向ける姿を、新戸は容易に想像できた。

 

だが同時に……

 

「(それにしても、この世界の蘭丸は……妙にアグレッシブだな……

 例の時間稼ぎの策を使ったというのに、こんなにすぐに戻ってくるなんて……)」

 

同時に、蘭丸が犬子を操ったという仮説に違和感も覚えていた。

動機がある、手段も持っている、しかし蘭丸の行動が素早すぎるような気がしたのだ。

 

「柘榴、さっきの奴に何かされてなかったか?」

 

「へ? いや別に……って、訳にはいかねーっすよね。 色々されたっすよ。

 詳しい話は戻ってからするっすけど……まあ、最後の一線だけはって感じっす」

 

「最後の一線……? おい柘榴、最後の一線ってどの一線だよ!?

 3秒ルールとか!? ゴム着けたからセーフとか!?

 外に射精したからセーフとか!?

 いやまさか身体は屈しても心は屈しないとかそんな話じゃねえだろうなぁっ!?」

 

嫌な想像が次から次へと浮かび上がって、九十郎は慌てふためく。

そうやって子供のようにオロオロする大の大人を、柘榴は思い切り抱きしめた。

 

「つまり……九十郎は柘榴の最高の旦那様だったって事っすよ。

 サイコーに恰好良くて素敵な旦那様っす。 ハッキリ言って惚れ直したっすから」

 

「お……おう……」

 

生れてからずっと非モテ(という認識)で、女性から褒められ慣れていない九十郎が、柘榴の腕の中で顔を真っ赤にして照れていた。

 

前田利家とか、上杉謙信とか、黒田官兵衛が同じセリフを言っても、この男の心にはあまり響かない。

歴史上の偉人ではない等身大の人間、ただの柘榴に言われたからこそ心に響いて、実感がわいて、照れているのだ。

 

「そ、それよりもだ!

 犬子がさっきからず~っとピクリとも動かないけど、大丈夫なのかよ?」

 

「あ!? 忘れてたっす!?

 さっき思い切りぶっ叩いちまったっすけど……だ、大丈夫っすよね?」

 

「おま!? な、何やってんだよお前!?」

 

「しゃーねーっすよ! 犬子がこう……どう表現すりゃ良いか分からねーっすけど、

 ふらふら~ってさっきのアイツに付いていきそうになって……」

 

「催眠術か?」

 

「そうかもっす……それで、咄嗟に……」

 

九十郎はしゅーんとした様子で顔を下に向ける柘榴に何かを言おうとして……やめた。

さっき自分自身が蘭丸の催眠術に見事に引っかかり、あっという間に意識を手放した手前、柘榴に対して文句を言えるような立場じゃないような気がしたのだ。

 

「まあその……何だ……良く頑張ったな、柘榴」

 

結局、九十郎は自分の不甲斐なさを誤魔化すように、柘榴に声をかける。

 

「すまねーっす……その……本当に……」

 

「謝るなよ、犬子と一緒に帰るぞ。 とりあえず布団敷いて寝かせておこう。

 糞ニート、一応怪我とかしてないか見ておいてくれ。

 柘榴は手加減が苦手だからな」

 

「クズロー、オレ、さっきオマエに強姦されたばかりだ」

 

「やれ」

 

「オマエって、ほんとクズ……」

 

新戸が消耗した身体を押して、倒れ伏す犬子を抱きかかえながら透視能力で骨や血管に損傷が無いかを確かめる。

 

すると……

 

「げぇっ!?」

 

新戸がそんな声を漏らし、その目が大きく見開いた事に、誰も気づかなかった。

 

新戸は見つけた、見つけてしまった。

犬子の子宮に受精卵がある事に。

 

「(まさか鬼子の……じゃない、人の児だ。

 どっちだ……クズローか? 剣丞か? どっちの可能性もある、だが……)」

 

たとえどちらの児であったとしても、それを確かめる手段は戦国時代にはない。

新戸の能力でもDNA鑑定なんて器用な真似はできないし、仮にできたとしても誰が信じてくれるだろうか。

 

ただ一つ確実に分かる事は、どっちの児であろうとも、妊娠の兆候が出た瞬間、犬子と九十郎の身に笑えない事が起きるという事だけだ。

 

だから……

 

「(犬子……ゴメンナ……)」

 

犬子に背負われながら、新戸は心の中で犬子に詫びた。

そして深く静かに精神を集中させ……着床前の受精卵を一個、潰した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。