戦国†恋姫オンラインやってます。
ID「948ffbd7」
気が向いたら戦友申請を送ってもらえますと嬉しいです。
注・原作キャラが洗脳、凌辱される描写があります。
「あたしの顔、見忘れ……いや、初対面だった」
桃髪の少女がサイドカーから降り、剣魂を抜いた。
剣丞がごくりと息を呑み、蘭丸はズキズキと痛む頭を抱えながら立ち上がる。
「な、何故光るパジャマ……しかも、ガ〇ダム……?」
そして1人だけ珍妙な格好をしている吉音に対し、剣丞が思わずツッコミをいれた。
「ガ〇ダムじゃないよ! ダ〇ルオーライザーだよっ!!」
そして吉音は斜め上の反応をして、周囲を混迷させる。
剣丞は聞くんじゃなかったと軽く後悔した。
「だ、だぶるおー……?」
「ダ〇ルオーライザーッ! GNソードⅢ装備の最終決戦仕様!
刹那はガ〇ダムだけどダ〇ルオーライザーはガ〇ダムを超えるために
ガ〇ダムの名を与えられてないからガ〇ダムじゃないんだよ!」
「……ごめん、全然分からない。 九十郎は分かるか?」
剣丞の脳裏には『?』マークが10個くらい浮かんでいた。
「エクシアとライザーとクアンタの区別ができる程度にはな」
なお、剣丞はゴッドとシャイニングとライジングの区別が限界である。
「ちょっと待ってて、ちょっと見せたい物があるから」
そう言うと吉音(光るパジャマ装備)はサイドカーの小物入れをごそごそと漁り……プラスチック製の人形らしき何かを取り出した。
「見ろぉっ! これが私のオリジナルガ〇ダム!
ダ〇ルオーガンダムを超えるトリプルオーガ〇ダムだぁっ!!」
じゃんじゃじゃーん!! という珍妙な効果音と共に取り出したそれは、辛うじてガ〇ダムと分かるメカメカしさを有していたが、どのガ〇ダムにも似ていないアンバランスさもあった。
「えっと……あの……俺はこれに対してどんな反応をすれば良いのかな……?」
「え、笑えば良いんじゃねぇか」
「笑わないでよ! これでも一生懸命作ったんだよ!!」
「じゃあ聞くが……この頭の羽みないなのは何だ?」
「プテラノドンだね」
「両肩の角みたいなのは?」
「トリケラトプス」
「ここの尻尾は?」
「ティラノサウルスの尻尾だよ」
「ただの仮〇ライダーじゃねぇかっ!! ラ〇ダーより戦隊派だが流石に分かるぞ!
カメレオンとプラレールを合体させるた〇き監督みてぇな事するんじゃねぇよ!!」
九十郎渾身のツッコミが炸裂する。
しかし、ノリツッコミのノリの部分が長すぎてテンポが悪くなっていた。
だから貴様は九十郎なのだ。
「メ〇ローア感があって良いよね」
「お前だけだ馬鹿っ!! いやそれよりも……」
九十郎が吉音に方につかつかと歩み寄り、サイドカーの小物入れに視線を落とす。
目に入ったのはメンコだのベーゴマだのブリキの鉄〇28号だのといった玩具ばかり……
「おいコラ、吉音てめぇ!!
玩具なんか入れるスペースあったらガソリンか弾薬積んで来いよぉっ!!
しかもセンスが微妙に古臭い!」
「ええっ!? プラモは心の栄養だよっ!!」
「そもそも何で光るパジャマが戦国時代にあるんだよ!?」
「大江戸学園から持ってきたからだけど」
「んなモン積む余裕あったら色々できただろこの野郎ぉっ!!」
「野郎じゃないモン! 女の子だモンッ!!」
「そうだな女の子だったな! だがそれとこれとは別問題だコンチクショウッ!!」
突然目の前の敵そっちのけで始まった仲間割れに対し、剣丞達が微妙な空気になった。
そんな空気感を察して、吉音と九十郎がゴホンと咳払いをする。
「……吉音、悪いがあんまり時間が無いんだ。 この話の続きは後でするぞ」
「そうだね、本当はこのままガ〇ダム談議をしたいけど、それは後でだね」
そして吉音と九十郎が再度蘭丸達に向き直る。
「会うのは2回目になるな、蘭丸。 あの時は他人の嫁を寝取ろうとしやがって(第77話)。
しかも織田軍や剣丞を洗脳した挙句、現在進行形で俺の嫁に貞操の危機ときた。
スリーアウト、てめぇは今すぐこの場でブチ殺す」
九十郎が怒りと憎しみと共に血走った目で蘭丸を睨みつける。
今更格好つけようとしても後の祭りである。
「あ~……うん、最初のはともかく、
その後2回は君や長尾景虎から身を守るためにやむを得ずやってるんだけれど。
それは配慮してくれないかな?
君達が私を殺そうとしなければ、私だってこんな事はしなかった」
心優しい森蘭丸は九十郎の思惑に敢えて乗り、さっきまでの醜態を綺麗サッパリ忘れ去った。
「ほぉ、それじゃ最初の一件はどういう理由か聞かせてもらおうか」
なお、心の醜い九十郎は蘭丸が何を言おうと殺す気100%である。
だから貴様は九十郎なのだ。
「愛を試したかった、本当の愛を見つけたかった。
本当の愛を持つ者ならば、私程度の洗脳なんて簡単に跳ねのけられるハズなんだ。
だから愛を裏切らせる洗脳をして、本当の愛を持つ者なのかどうか試そうとした」
「良し分かった、ブチ殺す」
それは本人的には切実な願いだが、九十郎にとってはクソどうでも良い与太話である。
「ちょっと待った! 九十郎待って! 蘭丸……君、だっけ?」
斬りかかろうとした九十郎をぱっと抑え、吉音が蘭丸に話しかける。
「女の子だよ、アレ生やせるけど」
「じゃあ蘭丸ちゃん。
今からでも遅くないから、洗脳した人全員を元に戻して、謝りに行ったらどうかな?
そうすれば殺し合う必要が無くなるし、私も一緒に謝ってあげるから」
「無理だね、君は許す気かも知れないけれど、美空も九十郎も許す気は無い。
そんな事は心を読まなくても分かる」
「そんなのやってみなきゃ分からないよ!」
「百歩譲って許してもらえるとしてもだ……
私はもう既に、何の関係も無い久遠を巻き込んでしまったよ。
無理矢理犯して、洗脳して、愛する剣丞以外の男に抱かれるよう仕向けている。
何度も何度もその身を穢してしまっている。
あの可愛らしい顔も、口も、胸も、アソコも……精液の匂いがこびりついているよ」
「久遠……」
久遠の最愛の夫である剣丞は、思わず視線を伏せてしまう。
自分がいない間に、何が起きたのか……詳しい話は聞いていないが、おおよその想像はついている。
想像ができてしまうからこそ、久遠と顔を合わせた時に何を言えば良いのか、どんな顔をすれば良いのか分からず、剣丞は久遠と一言も会話ができていない。
遠くに久遠の姿を見ただけで、逃げ出すようにその場から離れてしまうようになっていた。
「正直に言うよ、私は久遠の事が好きだ。 だって可愛らしいから。
剣丞を想う気持ちがとても真っすぐでね、
ビビリの癖にそれを表に出さないよう必死になって毎日生きてる姿が輝かしくて。
知れば知る程に好きになった。
久遠に愛される剣丞が羨ましいと思った、妬ましいと思ったよ。
そして同時にこうも思った、ああ私は取り返しのつかない事をしてしまったと」
「取り返しのつかない事……それは何?」
「久遠に好きだと言ってもらった。
唇を重ねた、身体を重ねた、何度も何度も抱いて犯した。
だけどそれは全部私が洗脳をしたからだ。
私が洗脳したから、久遠は私を好きだと言った、私に身体を差し出した。
久遠が自分の自由な心で好きだと言ってくれる未来は、もう絶対に訪れないんだよ」
そうして蘭丸はギリギリと歯ぎしりをして、絹糸のようにしなやかで、プラチナのように美しく輝く頭髪をぐしゃぐしゃと掻きむしる。
蘭丸が抱く感情はきっと、洗脳という名の心の凌辱を軽々に扱った自分自身への怒りと絶望だ。
「……洗脳は、君が解こうと思えば解けるんじゃないの。
それなら今からでも遅くはないよ」
吉音が祈るような気持ちで提案する。
心のどこかで薄々分かっている。
蘭丸の強い強い 怒りと絶望は、言葉を交わすだけで消せるようなものではないと分かっている。
「もう遅い、もう遅い、もう全部が手遅れだ!
もう謝って許してもらう選択肢なんてありえない!!
記憶を消せばいいって!? 全部無かった事にすれば良いって!?
無理だ無理だ無理だ! 規模が大きすぎる!
記憶を変えなきゃいけない人数が多すぎる! 複雑すぎるぅっ!!
私は既に! とっくの昔にぃっ!! もう遅すぎるんだよぉっ!!
もう絶対に取り返しのつかない事をしてるんだよ!!
どれだけ謝ろうが絶対に許してもらえない事を久遠にやってしまったんだよぉ!!」
蘭丸は叫ぶように、絞り出すように独白する。
超能力の使い過ぎによって、既に彼女の気力と体力は限界に近い。
途中何度も気絶しそうになりながらも、久遠に対する想いと、全身を引き裂くような重い重い罪悪感を吐き出した。
「だったら信長には死んで詫びる事だな」
九十郎が痺れを切らして抜刀する。
元より九十郎は蘭丸が言葉で引き下がるとは思っていないし、根気強く説得する気も無い。
ほんの僅かな時間だが斬りかかるのを止めたのは、本来無関係であるのに共に死地に飛び込んでくれた吉音へのせめてもの礼だ。
「もう戦うしかないみたい……それなら、やるしかないなら」
吉音もまた剣を正眼に構える。
蘭丸を斬りたくない、殺したくないという気持ちは依然としてある。
だが同時に、愛する人を守りたい、洗脳されてその身を穢されるのは嫌だという九十郎の気持ちも理解している。
他人を洗脳して、意のままに操って、好きでも無い相手とセックスを強要する者への怒りも理解している。
それ故に吉音は剣を構える。
大江戸学園で毎日のようにやった学生同士の喧嘩ではない。
斬れば殺し、斬られれば死ぬ戦いに身を投じる決意をした。
「死なない! 死ねない! 私はまだ死にたくないっ!!
私はまだ本当の愛を見つけていない! 本当の愛を知らないからっ!!
皆守れ! 私を守れ! 守ってくれぇっ!!」
微妙に他力本願な命令を聞き、剣丞と護衛の兵士達が抜刀し、弓を構え、槍を構える。
恐るべき洗脳能力を持つ鬼子・森蘭丸であるが、その戦闘能力は精々転子と同程度で、しかも超能力の使い過ぎで疲労困憊の状態だ。
百戦錬磨の吉音はおろか、神道無念流の達人である九十郎にすら勝てはしない。
それを補うのが剣丞他20名の護衛兵達だ。
「ひー、ふー、みーっと……全部で21人か」
「1人あたり10余り1だね」
「ああ、正直楽勝だな」
だがしかし、現代ニホンの超エリート達を集め、その溢れんばかりの才能をゴミ箱にダンクシュートしつつ俺はここだぜ一足お先とばかりに光の速さで明後日の方向にカッ飛んでいくBAKAが大量に生息する場所が大江戸学園だ。
10人や20人に囲まれて袋叩き程度は大江戸学園では良くある事であるし、その程度のピンチは平然と切り抜けるのが徳河吉音だ。
そして相手はここ数ヶ月森蘭丸の指導の元でセックスの特訓を繰り返し性豪にランクアップし、同時に通常の軍事訓練をゼロにした事で弱卒を越えた超弱卒にランクダウンした織田の兵卒達である。
無駄に身体能力と戦闘能力が高い大江戸学園のBAKA共と毎日のようにチャンバラを繰り広げてきた徳河吉音を相手にできるような者は存在しない。
「ぎゃあぁ!」
「ぐわぁっ!」
織田の護衛兵が2人同時に吹き飛んだ。
「吉音ぇ! 作戦は覚えているな!」
別の敵に飛び掛かりながら、九十郎がそう叫ぶ。
「モチのロン! ターゲットを中央に固定!
そのまま速やかに火力を集中! 最後は中央を突破ぁっ!」
「全然違う! それス〇ロボな!」
「一つ、まずは護衛の数を減らす! 二つ、蘭丸に斬り込む時は2人同時にいく!」
「三つ目! 敵の目の前で作戦をバラすなぁっ!」
「ええ!? そんなの無かったよ!」
「今増やした! 作戦をバラすんじゃねぇよ、常識だろ!」
「じゃあこんな所で確認しないで!」
そんな馬鹿会話をしている間にも織田の護衛兵が1人、また1人と倒れていく。
「ぐああぁっ!」
「ひぃっ、し、死にたく……ぎゃあっ!!」
吉音は刃止めがされた武器を使っているが、九十郎の方は普通に叩き斬ってくる。
バッファローマンのような体格の大男が全力で日本刀を振るえば、腕や脚、首すらも容易に寸断してしまう。
九十郎が剣を振るう度に織田の兵が落命していった。
「どけどけーっ!! 殺す気は無いけど、怪我はさせるぞぉっ!!」
「うわあぁっ!」
「ちょ、こっちに……がはぁっ!」
剣で槍に挑む場合、三倍の段位がいるとは良く聞く話だが、吉音も九十郎も当たるを幸いになぎ倒し、次々と敵を蹴散らしていく。
吉音に挑んだ者は顎や顔面に重い一撃を喰らい、次々と気絶していった。
「弓矢だ! 弓矢を使え! 遠巻きに仕留めろ!」
次々と護衛を倒されていく焦りからか、蘭丸が思わずそう叫んだ。
後漢末期、悪来の再来と畏れられた豪傑・典韋は数十人に取り囲まれ、次々と矢を射られて絶命したという逸話がある。
蘭丸はそれを再現してやろうと目論んだ。
「行ってこい、がらがらどんっ!!」
「マゴベエッ! お願い!」
直後、吉音と九十郎が弓矢を構える兵に向かって剣を振る。
そこは剣の間合いではないので、当然のように空振りになるが、振りと同時に舞い散ったナノマシンの光の粒子が空中で2匹の獣の姿を取る。
「ガオオオォォォッ!!」
「ケェエェェェェーーーッ!!」
剣魂と呼ばれる武器に内蔵されるナノマシン制御装置によって形成されるサポートマシン。
大江戸学園では様々な形で持ち主を援護するこのマシンを指して『剣魂』と呼ぶ事も多い。
本来は大江戸タワーの影響圏内でしか展開できないソレらは、五十嵐光臣と比良賀輝の魔改造によって電池を急速に消耗させるのと引き換えに、短時間であれば戦国時代でも使用できるようになっていた。
「うわっ! な、何だこれぇっ!?」
「くそ、来るな! 来るなぁっ!!」
予想外、想定外の乱入者に織田の兵達の統率が乱れる。
がらがらどん3号は強靭な角を使った頭突きで、マゴベエは鋭くしなやかな両脚によるキックで、織田の兵達を攻撃する。
元々学生同士の喧嘩で使われるような代物だ、当然のように殺傷能力は無い。
しかし、織田の護衛兵達の動きを止めるには十分だ。
これが武田の精鋭・赤備え達であれば、一瞬たりとも動揺せずに反撃に移るのであろうが、今の織田兵は弱卒を越えた超弱卒である。
「斎藤キック!!」
「フライングネックブリーカードロップ!」
そしてマゴベエとがらがらどん3号に注意が向いたため、一直線に飛び掛かって来る吉音と九十郎への警戒がおろそかになっていた。
「吉音ぇ! 電池節約!」
「分かった! ごめんねマゴベエ!」
2人が剣魂のスイッチを操作すると、マゴベエとがらがらどん3号がナノマシンの粒子に戻り、音も無く消失する。
「(ちっ、電力もナノマシン残量もヤベえな。 今の手は使えて後2~3回か……)」
九十郎が小さく舌打ちをする。
駿河を占拠する鬼の集団との戦いで使いまくったせいで、剣魂のサポートマシンを呼び出すリソースは枯渇寸前であった。
しかし、貴重な1回を使ったおかげで弓矢を持っていた護衛兵を混戦・乱戦に引っ張り込む事には成功した。
「だ、駄目だ……強すぎる……か、勝てない……」
数的な劣勢をものともせず、バッタバッタと蹴散らしていく吉音と九十郎の姿を目の当たりにして、織田の護衛兵の1人が腰を抜かしてしまった。
こういう時、誰か1人が怖気づいてしまうと、その恐怖が周囲に伝染し、我も我もと逃げ始めて手が付けられなくなってしまう。
これが武田の精鋭・赤備え達であれば、最期の一兵になるまで勇敢に戦い抜くのであろうが、今の織田兵は弱卒を越えた超弱卒である。
そんな中で、新田剣丞は……
「(落ち着け……落ち着け……来るのは2人同時だ。
護衛が逃げるか全滅するか、とにかく斬り込む隙を見せたらきっと……)」
……新田剣丞は動かない。
吉音と九十郎によって味方がボコボコにされるのを黙って見ていた。
九十郎に斬られた者達は次々と落命し、吉音に殴られた者達は良くて気絶、当たり所が悪ければ手足やアバラの骨がボキリと逝っているのが分かった。
人斬り、人殺しは躊躇するが、病院送りは躊躇せず実行するのが徳河吉音である。
そして……
「吉音ぇっ!!」
「今だねっ!」
吉音と九十郎が大乱戦、大混戦を同時に抜け出し、蘭丸の元へ一直線に駆け出した。
「しまっ!?」
「だ、誰か止めろぉ!!」
蘭丸の護衛達が慌てて2人を止めようとするも、もう遅い。
対応できる者は……たった1人、新田剣丞だけだ。
「……今ぁっ!!」
剣丞が九十郎に突進した。
相手はバッファローマンのような体格の大男だが、剣丞も後漢末期の英雄・英傑達から直々に武術の指導を受けた男だ。
両膝を的確に狙う低空タックルが体格差、体重差を跳ね除けて九十郎の動きを止めた。
「くぅっ……剣丞この野郎ぉっ! 肝心な時にぃっ!!」
だが九十郎もそう簡単には止まらない。
元より九十郎の神道無念流は力の剣法と呼ばれる技だ。
普段から腕力、脚力、体幹を鍛えまくっているからこそ、力の剣法を十全に扱う事ができるのだ。
九十郎が鍛え抜かれた筋肉にモノを言わせ、掴みかかる剣丞を振り払いにいく。
剣丞は柔道、合気道といった武術の技を応用し、筋力と体格に勝る相手に必死に喰らいついていく。
「九十郎!?」
吉音が先に九十郎を助けるべきかと足を止めた。
「止まるな吉音ぇ! 集中する時間をやるな! 突っ切ってブチのめせぇっ!!」
「わ、分かった!」
だが九十郎の叫びを聞き、再び蘭丸に一直線に斬りかかる。
「蘭丸ちゃん、ごめん……覚悟ぉっ!!」
一瞬……ほんの一瞬だけ悲しそうに目を伏せて、それでも行くのだと自らを鼓舞し、吉音が剣魂を、鬼子の肉体をバターのように切り裂く凶器を振り下ろす。
「ト・マ・レ・エエェェッ!!」
……だがしかし、その切っ先が脳天に届くより一瞬早く、蘭丸は強烈な思念波を発してしまう。
かつて剣魂によって守られた剣丞を制止したその恐るべき強制力が吉音に襲いかかり、蘭丸の直上数mmの所で剣が止まった。
「う……嘘、動けない……」
吉音が全身の力を籠めて再び剣を振るおうとするが、まるで全身がコンクリートで固めららたかのように硬直し、まるで動く気配が無い。
「吉音、動けねぇのか!?」
「ご、ごめん……ちょっと、マズいかも……」
「くっ……」
剣丞は今も渾身の力で九十郎に組み付いている。
ちょっとやそっとでは引き剝がせそうもない。
「(剣丞の剣魂はプロトタイプ、俺や吉音のは最新型、
1人でもイケるかと思ったが駄目だったか……クソ、判断ミスったか)」
九十郎が軽く後悔するが、今更遅い。
「が……あぁ……ぐ、うぅ……」
だがそんな九十郎の目の前で……蘭丸が膝から崩れ落ち、胃の中の物を盛大に吐き戻した。
全身から滝のような汗が出て、顔色は土気色になり、膝や両肩がプルプルと震えているのが見えた。
そんな蘭丸を見た瞬間、九十郎は勝機を悟った。
「超能力は強力であればある程、連発ができなくなる……今がチャンスだぁっ!!」
九十郎はさらに強く身体を左右に揺さぶり、剣丞を振り払いにかかる。
「い、行かせるかぁっ! 蘭丸を死なせてたまるかぁっ!!」
剣丞も蘭丸の様子から、もう本当にギリギリの状態なのだと察していた。
絶対にここから進ませないと、骨をも砕かん勢いで両腕に力を籠めて抵抗する。
「こういう時はなぁ! 回れば何とかなあああぁぁぁーーーるっ!!」
九十郎はそう叫ぶと回転した。
剣丞が腰の辺りにしがみ付いたまま、力任せに回転した。
グルンッ! グルンッ! と剣丞を回し、遠心力でジャイアントスイングのように身体を浮かせた。
そして……
「うおりゃぁっ!!」
遠心力で身体が浮いたその瞬間、九十郎は柄の先端で剣丞の腕を叩く。
「……しまっ! うわぁあっ!?」
痛みと衝撃でほんの僅かに握力が失われた次の瞬間、剣丞の身体は遠心力を利用した投げで大きくふっ飛んだ。
「心配すんな剣丞! 蘭丸を斬って、お前の洗脳も解いてやるからなっ!」
ブン投げた相手を気遣いつつも、九十郎は蘭丸の方へと向き直る。
その場で大回転したせいで軽く眩暈を覚えたが、グロッキー状態の蘭丸1人斬り殺すだけの気力と体力は残っている。
なお、剣丞は蘭丸の洗脳を受けていないのだが(第155話、158話)、今はその勘違いを指摘する者はいない。
ともかく、剣丞は力及ばず振り払われた、他の護衛は腰が引けてまともに戦える状態ではない、蘭丸は超能力の使い過ぎにより自力で立つ事すら困難だ。
最早、九十郎を阻める者は誰もいない。
「死ね蘭丸ぅっ!!」
九十郎が走る。
鬼子を殺す武器・剣魂を構えて走る。
その目には確かな殺意が込められていた。
「はぁ……はぁ……ぐぅえ……は、早く回復……集中を……」
一方、この絶望的な状況下でなお、蘭丸は諦めていなかった。
九十郎以外の越軍はほぼ全員常識を書き換えられ、セックス技術の特訓をした織田軍に成す術も無くヤられている。
ギリギリのギリギリではあったが、自身の洗脳能力で徳河吉音の動きを止める事ができた。
もう一回、あと一回だけ同じ超能力を使いさえすれば、使えさえすれば勝てる状況なのだ。
「しゅ、集中しろ……精神を集中……う、ぐぅ……
あと一回、あと一回だけで良いんだ……あ、あと一回だけだから……」
頭がガンガンと痛み続ける。
まるで万力で頭蓋骨を締め上げられているかのような強烈な痛みだ。
吐き気もした、悪寒もした、眩暈もした、これ以上無理に超能力を使ったら死ぬかもしれないと思った……それでも、それでも蘭丸は諦めていなかった。
「ト・マぁ……」
酷使し過ぎて壊死寸前の脳神経に鞭打って、蘭丸は再び超能力を発現させる。
剣丞や吉音を制止し、事実上戦闘不能に追いやった『止まれ』の命令を九十郎の脳髄に叩き込……
「止まれじゃ駄目だぁっ!! 蘭丸ぅっ!!」
……超能力を発現させる寸前で、新田剣丞がそう叫んだ。
さっき投げられた時に負傷したのか、額から血が流れ落ちていた。
しかし剣丞は傷の手当てもせずに蘭丸にそう叫んでいた。
『止まれ』の命令では九十郎は止められないと。
「(え……どういう事だ……? 止まれじゃ駄目?
だけど君だって吉音だってこの方法で止まったじゃないか。
どうして九十郎だけ同じやり方じゃ駄目だって……)」
そして迫りくる九十郎の方を見て……瞬間、背筋が凍った。
殺意の眼がそこにあった。
森蘭丸をこの場で殺すのだという強い強い決意を宿した眼があった。
その視線は真っすぐに森蘭丸を貫いていた。
剣丞や吉音とは根本的に違う……人殺しの眼がそこにあった。
そして蘭丸はその眼をただけで全身が竦み、さらに強烈な吐き気を覚えた。
「(剣魂は洗脳や催眠を防ぐ……なら、何で剣丞や吉音は止められた?
九十郎が同じやり方で止められないとするなら、九十郎との違いは何だ?
ああ駄目だ、思考が纏まらない。 頭の中がグルグルとかき混ぜられているように痛い)」
蘭丸の脳裏に走馬灯が起きた。
剣丞が自分を斬ろうと向かってきた時の事を思い出した(第154話)。
吉音が自分を斬ろうと向かってきた時の事も思い出した。
その共通点は……
「優しい……眼を……していたな……きっと2人共、
心の中では私を斬りたくないって、殺したくないって、
殺し合う以外の方法が欲しいと願って……だとすれば……」
剣丞の眼は、吉音の眼は、九十郎の眼とはまるで違っていた。
強い強い殺意は無かった。
「(そうか、そうだったのか……剣魂には洗脳や催眠を防ぐ機能が確かにあった。
私が剣丞や吉音を止められたのは、心の中で斬りたくないと望んでいたから……
心の中で望んだ行為は止められないんだ、剣魂が機能していても。 それなら……)」
確信は無かった。
ただの妄想、ただの当て推量かもしれないとも思った。
だけどこれ以上長々と思考に費やす時間も無かった。
森蘭丸は大きく息を吐き、息を吸い、全ての脳細胞と脳神経を限界まで酷使して……
「ソノ欲望ヲ……解放シロォッ!!」
……強い強い思念の波と共に、そう叫んでいた。
それは蘭丸のギリギリの賭けであった。
もしもさっきの蘭丸の推察が間違っていたら、もしも九十郎に蘭丸を殺す以外の欲望が特に無かったら、自分は即座に斬り殺される。
それでも、それでもない蘭丸は剣丞の助言を信じ、大きな大きな賭けに出た。
そして九十郎は……
「う、嘘だろ……」
九十郎は吉音と同じく、蘭丸の目の前で硬直していた。
蘭丸に対する強い殺意を持っていた九十郎を止めるのは容易ではない。
剣魂による防御を抜き、超能力の過剰行使という悪条件を乗り越えるというのなら猶更だ。
「え? な、何……九十郎、動けるの?」
「ち、違う……俺は動いちゃいねぇ、全然身体がいう事を聞かねえ……
か、身体が勝手に動く! なんでだよオイ!?」
九十郎が全身硬直状態の吉音の前に立った。
九十郎を止めたのは、九十郎自身が持つ欲望だ。
九十郎は吉音を友人として接しつつも……その心の奥深くでは、押し倒したい、強姦をしたいという欲望を持っていた(第142話、150話)。
その欲望が蘭丸の能力によって強烈に引き出されているのだ。
「へ、何やって……きゃあぁ!?」
吉音の悲鳴が響く。
それと同時に、びりぃっ!! と布が力任せに引き裂かれる音もした。
吉音の光るパジャマを九十郎が引きちぎったのだ。
寝る時はノーブラ派のため、その豊満で形の整った乳房が衆目に晒される。
「ちょっと待って! ホントに待って! こんな時に何する気なのさ!?」
「違う! 俺じゃねぇ! さっきから身体が勝手に動いて……うおぉ!?」
直後、九十郎が吉音の乳房に顔を埋め、まるで赤子のように乳首に吸い付いた。
基本巨乳好きの九十郎が、内心やってみたかった事をそのまま実行していた。
「んん、ふぁあっ!? ちょ、ちょっと、本気で言って……うあぁ!」
「ぐ、くそぉ……顔が離れねぇ……」
胸に飛びつく勢いで吉音を押し倒し、尻もちをつかせた。
そして胸や首筋に何度も何度もキスをして、剣魂を持たない左手は股間を弄り愛撫を始めた。
「ちょ、ちょっと触り方がねちっこいよ……う、んんぅ!
だ、駄目だって……あぁっ!?」
「ふ、振りほどけねぇのかよ。 殴るなり蹴るなりよ……」
「駄目だよ、こっちも全然……んんぅっ! あぁぁっ! うあぁっ!」
吉音の声が徐々に艶めかしいものに変わっていく。
そんな吉音の声を聞き、汗の匂いを嗅ぎ、乳房を舐める内に、九十郎のち〇こはガチガチに勃起していった。
そして……
「ま、待って……本当に待って! あたし彼氏いるんだよ、知ってるよね!?
い、挿れちゃ駄目だよ! 駄目だからぁっ!!」
九十郎は吉音の着衣を一枚残らず剥ぎ取り、全裸にして、メスのワレメに亀頭を宛がった。
「く、くそ……止まれ、止まれ止まれぇ! やめろぉっ!!」
九十郎は必死になって全身に力を籠めて抵抗しようとするが、吉音の艶めかしい喘ぎ声を聞く度に、自身の逸物が勃起するに比例して、より強い力が九十郎の全身を支配していくのが分かった。
その強い強い性欲という名の力に抵抗する事は……できなかった。
「駄目! やめてぇ!! ん……ああぁっ!!」
ずぶっ! ずぶんっ!! と、吉音のナカに九十郎の肉棒が挿入された。
……
…………
………………
同じ頃、犬子と柘榴と詩乃の戦いは……セックス勝負という狂った戦いは、終始犬子達の劣勢で進んでいた。
蘭丸の手ほどきを受け、数ヶ月の猛特訓の末、常人を遥かに超えるエロ技術を身に着けた織田の将兵達は恐ろしく手強かった。
「んぁあ! あぁ! だ、駄目……腰が溶けるぅ……溶けちゃう……」
犬子のお〇んこは既にぐちゅぐちゅになっていた。
指の愛撫でナカをかき混ぜられ、何度も何度も絶頂寸前にまで追い込まれていた。
「や、やめ……ふぁあぁっ! ああんんぅっ! た、耐えられね……んんぁああ!」
「あ、諦めてはいけません、きっと何か手が……ふぁあっ!!
ああっ、いけな……んんぅっ!!」
柘榴も、詩乃も、犬子と同じく快楽地獄の中で全身がトロトロになるまで下ごしらえをされていた。
「ではそろそろ本番といくぞ……」
犬子を、柘榴を、詩乃を愛撫し続けていた男達が、同時に挿入の体制に入った。
硬く、熱く、太い逸物は、まるで女をイカせ、支配するための侵略兵器のように犬子達には見えた。
「うぅ……ま、負けるもんか……勝って九十郎の元に帰るんだ……」
犬子が大きく股を広げ、男の挿入を促した。
「し、舌使いは相当だったっすけど、コッチの方はどうっすかね。
柘榴はそう簡単には負けねーっすよ」
柘榴が大きく股を広げ、男の挿入を促した。
「剣丞様、どうか……どうか守ってください……」
詩乃が大きく股を広げ、男の挿入を促した。
そして……
「ひ、んんぅ!」
「ああっ!」
「うあぁあっ!!」
犬子に、柘榴に、そして詩乃の子宮にずぶんっ! と肉棒が突き立てられた。
いかなる偶然か、それは九十郎が蘭丸の催眠を喰らい、自らの欲望に支配され吉音に挿入してしまったのとほぼ同時刻の事であった。
「(い、今……詩乃さんからもらった紙、凄い策が書いてある筈の紙が……
一瞬だけ、文字みたいになったような……)」
そんな犬子の思考を圧し潰すように、押し流すように、男達は腰を上下に振り、犬子達に魔性の快楽を叩き込んだ。
……
…………
………………
ずっぷ! ずっぷ! と卑猥な音が響いていた。
九十郎の身体は挿入しただけでは止まらず、そのまま何度も何度もピストン運動を始めていた。
「吉音……まだ、イケるか?」
「大ピンチ、ギリギリ、崖っぷち……いつもの事だよ」
「どんだけ頑張ろうが、どんだけ踏ん張ろうがウ〇トラマンは来ちゃくれねぇ」
「それもいつもの事だね」
「……こっから巻き返すぞ」
「うん!」
吉音は強く大きく頷いた。
この絶望的な状況下でも、吉音と九十郎はまだ諦めていない。
この状況下をどうやって切り抜けようかと、この状況下からどうやって一泡吹かせてやろうかと、2人は全力で模索していた。