追伸
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ID「948ffbd7」
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次話、第164話にはR-18描写がありませんので、通常版に投稿しています。
第164話URL「https://syosetu.org/novel/105831/115.html」
注・原作キャラが洗脳、凌辱される描写があります。
「ふぅ……はぁ……」
「ぜぇ……ぜぇ……」
少女が2人、大きく息を荒げて座り込んでいた。
1人は美空、もう1人は光璃……走りに走った末に足が止まり、そこから少し離れた所で綾那が周囲の様子を伺っている。
「あ~もう歳ね私も、若い頃みたいに体力が続かないわ。 気力も……」
美空が大きくため息をつく。
全身が汗でぐっしょりと濡れ、体中の筋肉が悲鳴を上げていた。
剣魂と御家流により最初の広域常識改変を防ぎ、先行する吉音と九十郎を少しでも援護するため、蘭丸の元へと突き進んでいた。
ここまで来るために何人を斬り殺し、何人を撃り殺したのだろうか。
2人共全身血塗れで、武器を持つ手がズシリと重い。
金属製の鎧で身を固め、羽織は多量の血と汗を吸った状態で走り、跳び、無数の敵と斬り合ったために、2人は疲労困憊の様相である。
織田軍は初めの何人かは非武装かつ無防備で美空達の攻撃に身を晒し、次々と落命していった。
だがしかし、いくら戦闘=セックスと常識を改変されているとしても、頭のイカれた通り魔に対してまで無防備なままではいてくれない。
蘭丸に近づけば近づく程に槍や弓矢で武装した兵の数が増え、2人の進行を食い止めようと次から次へと立ちはだかってきた。
乗っていた軍馬は疲労で脚力が鈍ったところを弓矢で射貫かれ絶命した。
群がる敵から身を守るために銃弾が一気に消費され、9x18mmマカロフ弾はもう1発も残っていない。
いくら未来の武器といっても、こうなってしまえばただの置物と同じだ。
なお、弾薬が十分に持ち込めなかった原因の何割かは吉音が持ち込んだ光るパジャマや作りかけのプラモ、秋月八雲の手作り弁当(初日で食べた)等の無駄アイテムである。
しかも、だ……
「……光璃、綾那、よく聞きなさい。 洗脳を防ぐ御家流・神降ろしは、さっき止めたわ」
……さらに、美空は蘭丸の洗脳に対し全くの無防備な状態にあった。
御家流の使用は本人の脳細胞、脳神経に過剰な負担をかけ続ける。
限界を超えて行使し続ければ、良くて気絶、悪くて発狂死してしまう危険がある。
誰も無限に御家流を使い続ける事はできないのだ。
「こっから先は、いつトチ狂って服を脱ぎ始めるか分からない。
貴女達に襲いかかるか分からない。 だから私を置いて先に進みなさい」
美空は既に覚悟を決めている。
洗脳される恐怖も、自分が自分でなくなる恐怖も、訳も分からぬまま好きでもない男に身を差し出し、処女を捧げる恐怖も、絶頂して全裸で土下座をさせられる恐怖も……その全てを覚悟の2文字をもって踏み越える気である。
片眼鏡型のデバイス(D・ゲイザー)はリアルタイムで戦況を受信し、美空と光璃に伝え続けている。
越軍は劣勢……いや、既に壊滅的な状態で、男も女も織田の将兵に犯され、イカされ、降伏しているのが分かった。
今更自分1人だけがそれから逃れる気にはなれなかった。
「……それなら、光璃もここに残る」
「何言ってるの!? アンタはとっとと九十郎の所に行きなさい!
多少の援護位はできるでしょ!?」
「無理、銃弾が尽きた。 ここに来る前に銃火器の取り扱いの練習はした。
けれど、剣や槍を扱う練習はしていない。
インドア派の光璃では、少し走っただけですぐに息切れする。
光璃では九十郎の所へたどり着く事は不可能……故に、囮役をするのが最善」
光璃はそう言うと、自身の片眼鏡型デバイスを外し、綾那に手渡した。
「今画面に出ているのはこの辺りの地図、真ん中の青い点は自分が今いる場所、
そして緑色の点は九十郎が今いる場所。 緑色の点を目指して進んで。
側面のスイッチを押すと別の画面になるから、できるだけ触らないで」
「綾那1人で……」
綾那は震える手でデバイスを受け取る。
指の傷から血が流れ、小手が紅く染まっていた。
九十郎と合流するまでは概ね道半ばといった具合だが、ここに辿り着くまでに織田の将兵と何度も何度も戦った。
美空に斬られ、光璃に射殺された人々を見て、綾那も立ち塞がる敵を何度も何度も叩きのめした。
無論、できるだけ死なないように手加減はしたつもりだが……それでも、骨が砕ける感触が何度もあった。
内臓が破れる感触が何度もあった。
血反吐を吐き、ビクンと痙攣しながら倒れ伏す者もいた。
いくら手加減をしたとはいえ、いくら刃止めがされた武器を使ったとはいえ、きっと何人かは二度と立てないような重傷を負っただろう、きっと何人かはそのまま絶命してしまうだろうと想像できた……想像してしまった、想像してしまったのだ。
「……人が近づいてくる気配」
「どうやら、小休止はおしまいみたいね」
美空と光璃がすっくと立った。
2人共ここに来るまでに織田の将兵を何人も殺し、その身体は全身が血で真っ赤だった。
濃い血の臭いを嗅いでしまい、綾那は一瞬吐き気がした。
美空も光璃も人殺しの目をしていた、人殺しの臭いがした。
「行きなさい綾那、九十郎を頼んだわよ」
「光璃達の事は気にしなくて良い。
負ける事はあっても、精々処女膜が破れるだけ、死ぬ事はない」
そして美空と光璃が織田の将兵がいるであろう方向へ走っていった。
その後ろ姿を見送った綾那は……暗い顔で呟いた。
「死ぬ事はない、死なない………
もし、もしも蘭丸が、誰も死なせたくないからこの洗脳をやったのなら……」
綾那は頭をぐしゃぐしゃと掻きむしる。
目的のために人殺しを躊躇しない美空と光璃が、勝つために何度も何度も人を殺し、返り血を浴びる事を厭わない美空と光璃が、綾那にはとても醜く見えたのだ。
……その眼が、その姿が、酷く醜く見えてしまったのだ。
「綾那は……綾那は正しいのですか? このまま戦い続けるのが正しいのですか?
森蘭丸を斬るのが、殺すのが正しい事なのですか?」
綾那の指の傷がズキズキと痛んだ。
……
…………
………………
「……暇だな」
「……ああ、そうだな」
姫野と小波をセックス勝負で打ち破った男達は、何もない原野の中でぼけ~っと突っ立っていた。
彼らの役割は見張り役、監視役だ。
軍団の背後や側面を強襲されるのを防ぐために、少数の兵を所々に配置して見張りをさせているのだ。
敵が来れば味方に危険を知らせる重要な役割を担う事になるが、敵が来なければひたすら暇な役割である。
敵が来なければ手柄を立てる機会もほぼ無い。
「手柄は……いや、無理か」
「……まあ、そうだな」
正直な所、織田軍の中で彼らは軽んじられていた。
実力は認められず、実績も認められていなかった。
だから手柄が立てにくい、戦闘になりにくい見張り役に回された。
そして見た目も正直良くない、絵に描いたような冴えないおっさん2人だった。
だから今までずっとモテなかった。
セックス経験は蘭丸が織田家に居ついてからのエロ特訓だけで、それ以外はデートどころか手を繋いだ事も、まともな会話が成立した事すらない非モテだ。
九十郎も見た目はバッファローマンのような体格のブ男だが、美女の幼馴染が2人もいて、女性との会話に物怖じしないタイプのため、この2人に比べれば非常に恵まれているかもしれない。
もっとも、絵に描いたような冴えないおっさんだったからこそ姫野や小波が油断した所もあるので良し悪しかもしれない。
「ダイスロール! 出目は……3と4。 やっりぃ、また駒2つあがりだし。
おやおや~、そっちは随分とのんびりしてるみて~だし~」
……一方、姫野と小波は暇すぎて、その辺で拾った小石を駒に、棒手裏剣をサイコロに見立てて遊び始めていた。
「……っく、卑劣な」
小波も負けじとダイス(代わりの棒手裏剣)を振るも、姫野にブロックされているマス目が多く、思うように進めない。
「おっほっほっほっほっ、負け犬の遠吠えを聞くのは気分良いし。
小波は出目がクソ過ぎて相手にならね~し」
「オイこらお前ら! 双六で遊ぶな!」
「双六じゃねーし! バックギャモンだし!」
「そ、そうか、悪かった……」
さっき姫野をイカせた男がすごすごと引き下がる……が、すぐに戻ってきた。
「……待て、何だばっくぎゃもんとは?」
「古代メソポタミアの伝説のボードゲームだし」
「そ、そうか、悪かった……」
さっき姫野をイカせた男がすごすごと引き下がる……が、すぐに戻ってきた。
「待て待て、めそ……めそが何とかはともかく、それはどう見ても双六だろうが」
「全然違ぇし!
ダブリングキューブで得点を倍にできるの、勝負の流れを変えられる超重要要素だし」
「だ、だぶり……」
「じゃあ姫野が優勢だし、丁度良いから使ってやるし。
ダブル宣言、さあテイクかパスかさっさと選ぶし」
「くうぅ、さっきの進路妨害で上りまでの距離が……ここからの逆転は厳しいが……
いやしかし、これ以上点差を付けられる訳には……」
「ふっふっふ~、進もうが退こうが姫野の圧勝は決まったようなものだし。
精々悩むが良いし」
「ど、どうする……どうする!? どうしよう!?」
「そ、そうか、悪かった……」
さっき姫野をイカせた男がすごすごと引き下がる……が、すぐに戻ってきた。
「待て待て待て、さっきからどんな誤魔化し方だ、どんな」
「……ちっ、そのまま一ヶ月くらいどっか行ってりゃ良かったのに」
姫野が露骨に嫌そうな顔で、わざと聞こえる声量で愚痴を呟いた。
姫野と小波は森蘭丸の恐るべき洗脳能力によって常識を書き換えられている。
戦闘=セックスと思い込み、先に絶頂すれば相手に絶対服従しなければならないと思い込まされている。
だがしかし、常識は書き換えられたとはいえ、人格が入れ替わった訳でもなければ記憶喪失になった訳でもない。
目の前の相手に従わなければならないと頭では理解しているが、それはそれとして基本面食いな姫野は目の前の男をイマイチ好きになれない。
小波は心の底から敬愛する主君であり、心の底から愛する男性でもある新田剣丞への想いを捨てきれない。
戦に負けたとはいえ、姫野と小波の個人的な好悪感情は全く変わっていないのだ。
「し、知らない人。 一応、これから仕える事になる方なのだから、そういう態度は……」
「いや知らない人じゃねーし! 姫野だしぃっ!
今まで散々会ってるし何度も助けてやったしぃっ!!」
「え……いや、全く見覚えが無いが……」
「見覚え無い奴とバックギャモンやんなだしっ!!」
なお、それはそれとして小波の部分的記憶喪失は未だ健在である。
「こ、こいつら……」
「ぶ、くっ、くくく……」
姫野をイカせた男は怒りにワナワナと肩を震わせて、小波をイカせた男は口元に手を当てて笑いをこらえている。
……そしてここで、ふと姫野も小波もかなりの美女だという事に気がついた。
思わず見とれてしまいそうな、自分達がこれまでの人生で全く関わってこなかった、関われなかった美少女だった。
そんな美少女が、ついさっき自分のち〇こでヨガって、アヘ顔を晒し、絶頂したのだ。
そんな美少女を従わせたのだ、これからどんな命令だってできる、好き放題にできるのだ。
それに気がついた時、心臓がドクンと跳ねて、思わず唾をごくりと飲み込んだ。
そして同時に、こうも露骨に嫌悪感を見せる女を組み伏せたくもなった。
「……おい、こっちを向け」
「あぁ? お願いしますが聞こえねーし、
姫野に命令口調で話しかけるなんて100年は……」
そうして姫野が振り向き……ぎょっとする。
目の前の男が突然下履きを脱いで、見せつけるかのように生身の下半身を晒したのだ。
「こっちに来い、お前が誰のモノになったのかをもう一度教え込んでやる」
男のモノは既に臨戦態勢になっている。
先程姫野を抱きイカせているが、自身は未だ絶頂に至っていない、いわば生殺しの状態だ。
目の前の美女をもう一度抱きたい、今度は自身が満足するまで交じり合い、膣奥に射精して孕ませたいという原始的欲求が昂っていた。
「それ、私を抱きたいって事? そういうのはもうちょっと後でやるのが常識だし」
姫野は若干後ずさる。
目の前の男に従わなければいけない。
身体を差し出せと言われたのだから黙って差し出さなければいけない。
それは頭では分かっているが、それはそれとして積極的に抱かれに行きたい訳でもない。
「ええい、うるさい! お前が反抗的な態度を取るからだ!
一発や二発抜いたところで戦功の報告はできる、さっさと服を脱いでこっちに来い!」
「うぅ……わ、分かったし。 後で勃たなくなって笑われても姫野のせいにすんなだし」
そう強く強く命じられ、渋々ながら姫野はもう一度衣服を脱ぎ始める。
男のモノは硬さ、長さ、太さのいずれも平凡か、それより若干上といった様相だ。
全体として見れば中の上と言うべきかもしれないが、凡庸の域から抜け出るモノでは決して無い。
この冴えない男の、この冴えないち〇こに奉仕しなければいけないのかと思うと、姫野は泣きたくなってきた。
「い、いきなり挿れようとすんなだし。 ちょっと準備するから、待ってろだし」
正直に言えば憂鬱で、陰鬱な気分ではあるが、姫野は頭を切り替える。
正直に言ってこんな冴えない男に抱かれるなんて嫌で仕方無いが、それでも戦に負けた以上は従わなければならない。
ふぅっと深々とため息をつくと、下履きを脱いでその場に腰を下ろし、くちゅくちゅと自身の秘所を弄り、濡らそうとする。
「ん……ぅう……ふ、あぁ……」
気分が乗らないとはいえ、身体は正直だ。
自分の性感帯をクリクリと指先で弄る内に、少しずつ、だが確実に身体が男を受け入れる体勢になりつつあった。
「(あーあ、本当に……何やってんだろ、私……)」
息が荒くなり、身体から汗が出てくる。
自身の身体が男を求めつつあるのを感じる。
そしてそんな身体の変化に気がつくと、無性に死にたくなってきた。
「(さっきのは……その、凄かったけど……)」
そして目の前の男にもう一度抱かれるのだと思うと、嫌が応にも先程のセックスを思い出してしまう。
手品か何かのように鮮やかな体位の入れ替え、その後の猛烈なピストン攻勢、今まで味わった事の無いような激烈な快楽……それを思い出すだけで、身体が発情していくの分かった。
「ああもうっ!! てめーら見てんじゃねぇだし!! 見世物じゃねーしぃっ!!」
無性に気恥ずかしくなって、姫野は唐突に小波と、さっき小波を犯しイカせた男を怒鳴りつけた。
完全なる八つ当たりである。
「はひっ!? す、すみませんでしたぁ!」
「す、すまない! 無神経だった! 知らない人!」
「だから知らない人じゃねーし! お前後で覚えてろだしぃっ!」
「分かった、覚えておく! 大丈夫だ、絶対に忘れない!」
「その台詞もう100回以上聞いてるしぃっ!!」
その後『こいつまた忘れやがったしぃ!』等と叫び声をあげるのも100回以上である。
「ん……おぉっ! んんぅ!? きゅ、急に挿れんなし! 心の準備をさせろだし!」
そんな小波と姫野の小コントに焦れたのか、ギンギン勃起したち〇こが姫野のアソコに挿入された。
「ふ、あん……んんぅ、ふぁ、あぁ!」
小波達の前でセックスが始まった。
姫野は気恥ずかしさから声を押し殺そうとしていたが、それでも膣奥を突かれる度に息が漏れ、声が漏れる。
「うぁ……あ、あんなに深々と……」
小波は視線を逸らそうとしながら、どうしても目を離せずにチラチラと視線を向けていた。
小波を犯し、イカせた男もまた、男女の交じわりに慣れている訳では無く、見てはいけないという思いと、興味津々という思いをせめぎ合わせている様子だった。
「ごくっ……」
男が唾を飲み込んだ。
そしてちらりと横目で小波を覗き込んだ。
姫野も美女だが、小波だって物凄い美女である。
剣も駄目、槍も駄目、弓矢も駄目、計算が早い訳でも、目利きができる訳でもなく、うだつの上がらない生活を続けてきたこの男にとって、小波のような美女に好き勝手に命令できるという今の状況は、ハッキリ言って今まで想像すらしていないものだった。
「あ、あ……あのぅ……」
意を決し、小波に声をかける。
その声は微妙にどもっていた。
「え、あ……はい、何でしょうか?」
小波が微妙にドギマギしながら返事をした。
目の前で知らない人と知らない人が唐突にセックスを始めたというシチュエーションもあるが、それと同時に戦闘の結果新たな主人となった男への距離感が掴みきれていないのだ。
「いやだから知らない人じゃねーし! お前ホントいい加減にしろだしぃっ!!」
……地の文にツッコミを入れるのはやめて頂きたいものである。
「お、俺の……いや、私の……えっと……だな……」
男が緊張で肩をガチガチにしながら、どうにかこうにか言葉を繋ぐ。
この男が非モテだという事が、女性慣れしていない事が、この言動からだけでも察せられる。
「お、俺の嫁……つ、妻になってほしい……いや、なれ!」
それがプロポーズだとすれば、あまりにも最低最悪のプロポーズだ。
懇願口調なのか命令口調なのかもハッキリせず、その声は震えていて、しどろもどろだった。
「あ、はい、なります。 よろしくお願いします」
……が、小波は少し戸惑いながらも割とあっさりと受け入れる。
個人プレーが多い伊賀忍者と、複数人による連携が売りの風魔忍者……そに性質とは正反対に、小波は基本従順な性格だ。
蘭丸の常識改変によって植え付けられた、戦争中に異性とセックスしてイカされたら、その相手に絶対服従しなければならないという戦の作法に従った。
「(剣丞様……いや、私情は捨てなければ。
今はこの御方が私のご主人様なのだから……)」
新田剣丞を1人の男性として愛している事は変わりないが、仕えるべき主人には誠意を持って従わなければという信念がそれを上回っていた。
「んぅ……ちゅ、んむぅ……」
男が小波の唇に吸い付いた。
唐突で、ムードも雰囲気も何も無い、女性慣れしていない事が明々白々なキスであった。
「お、俺の……俺の子を産んで……とかは……さ、流石に駄目でしょうか……?」
男が超自信無さげに、今にも掻き消えそうな小声で言う。
この言動だけで、この男がいわゆるヘタレと呼ばれる人種なのだという事は明らかだ。
「はい、貴方様が望むのであれば、産みます」
だがしかし、小波は力強く頷きながら即答した。
無論、小波に妊娠・出産の経験は一切無い。
子を産み、子を育てる事への不安は少なからずある。
だがしかし、小波は見事なまでに狼狽える男の不安を払拭しようと、自身の不安を飲み込んだ。
そして……
「あ……んんぅ、ふぁあ! んんぅ!」
そこから先は早かった。
まるで早脱がせ競争でもするかのように小波を脱がせて、まるで早脱ぎ競争でもするかのように全裸になり、男と小波はセックスを始めた。
愛撫と挿入だけは妙に手慣れているのは、蘭丸のエロ特訓を受けているためだ。
「ふ、くぅ……んんぅっ! こ、こら、乱暴しすぎだしぃ! あんんぅっ!!」
姫野が喘ぐ。
イカせるセックスではなく、自身がイクための、膣内射精をするための乱暴なピストンだったが、それでも姫野の原始的なメスの本能を呼び起こすには十分だった。
「あ、んんぁ! あぁ! き、気持ち良い……良いです、ご主人様ぁ!」
小波も喘ぐ。
普段の慎みを忘れて喘ぎ声を漏らす。
「イクぞ、膣内に射精すぞ……」
姫野を抱く男がさらに速度を上げる。
姫野のナカで男根が膨らみ、破裂せんばかりに亀頭に血が溜まる。
「は、孕め! 孕んで! うおぉっ!!」
小波を抱く男もさらに勢いを増す。
金玉がぎゅぅっと収縮し、熱く濃い精液が尿道を駆け上がり、鈴口へと殺到する。
そして……
「あ、あんんぅ! うあっぁああふあぁぁっ!!」
びゅぅーっ! びゅぅーっ!! と姫野の子宮に盛大に射精がされた。
「んんぅ! んあぁあぁっ!!」
どくんっ! どくんっ!! と小波の子宮に精液が発射された。
それはある意味で十数日前、伊賀忍者の追手を討つためにあえて膣内射精させた時に似た光景だ。
だがあの時と決定的に違うのは小波も、姫野も、蘭丸によって常識を書き換えられ、無防備に膣内射精をさせるのは降伏の証、従順さを示す作法なのだと本気で思い込んでいる点だ。
「はぁ、はぁ……ああもう、ホント格好悪りぃし……」
気に入らない男だというのに、無理矢理手籠めにしてきたも同然であるのに、また思い切り感じて、小波の目の前でこれでもかってくらいに蕩け顔を晒した事を恥じて、姫野は息を荒げながら顔を手で覆った。
「ふぅ、ふぅ……ん、熱い……」
膣肉に挟まれビクビクと震える男根と、奥の奥で感じる熱気に似た感触……膣内射精の感触。
剣丞のとも、先日殺し合った伊賀忍者のとも違う、新しい主人の感触を、小波は覚えようとしていた。
理由は分からないが、最近近しい誰かから頻繁に『おバカ』とか『健忘症』だのと言われているような気がしたからだ。
「(ん……? 誰に言われたのだったかな……? いつそんな事を……?
何か、何かとても大事な事を忘れているような……)」
この時、小波は何かとても嫌な予感がした。
自分が気づいていない内に、何かとてもとても大事な何かが喪われているような……そんな予感がした。
「……呑牛の術」
「まずっ!?」
「いけないっ!!」
その声が聞こえた瞬間、姫野と小波が瞬時に反応し、同時に動いた。
姫野は咄嗟に目の前の男を盾代わりにして自分の身を守ろうとした。
小波は咄嗟に目の前の男に覆いかぶさり、自分の身体を盾代わりにして新しい主人の身を守ろうとした。
「ぎゃぁっ!?」
「う……ぐうぅっ!」
1秒にも満たない僅かな時間の後、2本の不可視の触腕が姫野を犯した男の脳天を貫き、小波の左肩を抉った。
まるで血と脳漿が詰まった水風船が破裂したかのように周囲に紅いナニカが撒き散らされる。
「ひ、ひいぃっ!? な、何だぁ!?」
突然の出来事に、小波を犯していた男が悲鳴を上げる。
姫野を犯した男は、脳ミソにデカい風穴を開けられ、悲鳴すら出せないまま即死していた。
「……あ、やっば、うっかり殺っちまったし」
「逃げてください! 今すぐにっ!!」
姫野と小波が即座に男根を抜き、小刀を拾って身構える。
2人には自身を襲った不可視の触腕の正体が分かっている、この攻撃を前に受けた事を覚えている。
襲撃者はまるで天敵のいない大型の獣のように悠然と、それでいて寒気と怖気がする程に強烈な食欲を全身に滾らせながら、姫野と小波の前に姿を現した。
襲撃者の正体は……
「……防がれましたか、結構驚きましたよ。
今の奇襲は某の忍者歴の中でもそれなりに上手くいった方だと思っていたが故に。
戦争中だというのに、お2人ともバカみたいな緩み顔でアヘアヘ言っていたが故に。
やはり一流の忍者だったのですねぇと、厄介さを再確認しましたよ」
襲撃者の正体は……加藤段蔵。
飛び加藤と畏れられる忍者であり、不定形の肉体を持ち、人間だけを食する事ができる偏食家のバケモノだ。
先程2人を襲った不可視の攻撃は、幻覚を見せる御家流・呑牛の術によって無色透明になった、骨を砕き肉を抉って食い散らかす触腕の一撃だ。
かつて姫野と小波はこの怪物と遭遇し、殺し合った事があるから瞬時に動く事ができたのだ(第94話)。
「それで……ええと、やっと知り合いに出会えたが故に聞くのですがねぇ。
今どんな状況なんですかねぇ? 流石にこれは異常だと気づくが故に、
戦争をしているというのに誰も死んでないが故に、
どこもかしくも男と女で猿みたいにまぐわって、アヘアヘ言ってる異常事態が故に。
そう、だから聞きたいんですけどねぇ?」
「だったら攻撃する前に一声かけろだしっ!
この化け物! 人でなし! 両親の仇! お姉ちゃんの仇っ!!」
「おお、怖い怖い。 あの時の事なら、実は某も反省しているんですよ。
ああ、こんな面倒臭い事になると分かっていれば、父と母を食い殺した時に、
姉も妹もキッチリ殺しておけば良かったと思っているが故に。
空腹な時以外は、できるだけ人殺しを避けようとしたのは間違っていたと思うが故に。
ええ、ええ、実は某、結構反省しているのですよねぇ」
「お前……お前ええぇぇーーっ!!」
段蔵の挑発に、姫野が激高した。
森蘭丸が能力の限りを尽くし、斎藤九十郎が知恵を尽くし、力を尽くし戦う一大決戦の最中……ここに、蘭丸とは全然関係ない怪物によって引き起こされた惨劇、蘭丸とは全然関係ない復讐劇の最終章が幕を開ける。
生き延びるのは純然たる怪異にして、自分を忍者と言い張るバケモノ・加藤段蔵か。
それとも家族を奪われ、自らの肉体の殆どを食い散らかされ、復讐に燃える忍者・風魔小太郎か。
そして負傷した服部半蔵はこの状況下で何を思い、何を成すのか。
分かっている事はただ一つ……蘭丸サイドにも、九十郎サイドにも、この誰も予想しなかった事態に対処する余力は全く無いという事だけだ。