追伸
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前話、第164話にはR-18描写がありませんので、通常版に投稿しています。
第164話URL「https://syosetu.org/novel/105831/115.html」
次話、第166話にはR-18描写がありませんので、通常版に投稿しています。
第166話URL「https://syosetu.org/novel/105831/116.html」
注・原作キャラが洗脳、凌辱される描写があります。
「おーい、おぉーい、そろそろ起きなってー」
……誰かが蘭丸の頬をぺしぺしと叩いていた。
「……はっ!? な、何がどうなって!?」
蘭丸が飛び起きて辺りを見回す。
周囲の護衛達が心配そうに自分の様子を見ているのが分かった。
「気を失っていた……のか? 超能力を使い過ぎて……」
「蘭丸様って、いびきデカいんですね」
さっきぺしぺしと蘭丸を叩いていた人物……一二三が盛大に話を逸らした。
「うぇ!? いびきデカかったの!?」
「そりゃもう地獄の番犬ケルベロスの唸り声のようでしたよ」
なお、当然の事だが発言者はケルベロスの唸り声を聞いた事は無い。
こういう表現がしれっと出てくるのはだいたい九十郎の影響である。
「がーん……がぁーん……があぁーーん……」
蘭丸が落ち込みのあまりへなへなと崩れ落ちた。
「い、いや、普段はそうでも無かったぞ! 今日だけ異様に大きかっただけだ!」
凄い勢いで落ち込み始めた蘭丸に、剣丞が慌ててフォローに入った。
「あ、そうなんだちょっと安心……なんて言ってる場合じゃない、どの位寝てた!?」
「四半刻よりやや短いくらい」
「良かった、そんなには経ってない……ないけど……」
蘭丸が気絶前にはいなかった癖に、今はしれっと会話に参加している人物に視線を向ける。
「君、いつから来たの?」
「やだなぁ蘭丸様、最初から居ましたよ」
真田昌幸・通称一二三はにこやかに笑って見せる。
ただし、一二三は人格を一度完全崩壊させて再構築するレベルのガチ洗脳を受けているため(第137話)、蘭丸には発言が嘘か本当か完全かつ完璧に判別できる。
「すぐバレる嘘をつくんじゃないよ、来たのはついさっきでしょ。
全く、洗脳されてる癖にどうしてそんな事するかなぁ?」
「滅相な、私は蘭丸様の忠実なしもべDEATH!!」
「語尾ぃ!? 今の語尾がおかしかった!? 絶対何か変なルビがついてたぁっ!!」
「おい一二三てめぇ!! 何で蘭丸とにこやかに会話してやがる!?
どういう事だっ!! そいつが何やらかしたか知ってんだろ!?」
……と、ここで九十郎が口を挟む。
いきなり現れて、敵と戦うどころか手出し口出し一切せず、挙句蘭丸と普通に……まるで味方同士であるかのように会話を始めた一二三への非難の声だ。
「んん? たった今言ったじゃないか、私は蘭丸様の忠実なしもべだって。
ちょっと前に偶然会って、戦争を無くしたい、殺し合いを無くしたい、
戦争で死ぬ人々を1人でも多く救いたいという志に感服してね。
それから陰ながら支えているって話だよ」
「……ええっと、そうなのか?」
剣丞がひそひそ声で蘭丸に聞く。
「……いや普通に洗脳しただけだけど、それも結構ガチな奴」
蘭丸がひそひそ声で一二三の見解を否定する。
「彼女、洗脳されている自覚は?」
「そりゃあるよ。 記憶を奪うようなのじゃなくて、要するに人格の組み替えだから」
「志に感服というのは?」
「出まかせじゃない、知らないけど」
剣丞と蘭丸がひそひそ声で認識を確認し合う。
蘭丸の洗脳能力は状況や目的によって使い分けが効く方ので、こうやって認識合わせをしないと話がかみ合わなくなる事がしょっちゅうあるのだ。
「……蘭丸に情報を流してたのはてめぇか?」
「さて、そうかもしれないしそうでは無いのかもしれない。
それは蘭丸様だけが知っていれば良い事だ」
なお、正解は一二三を含め蘭丸が洗脳した複数人からのテレパシー情報である。
「前の出兵の時にトラブルを起こして足止めをしたのもてめぇかぁ!?」
「そうかもしれない、そうでは無いのかもしれない。
まあ今となってはどうでも良いじゃないか、そんなのは」
なお、本人はこう言っているものの犯人は一二三である。
「光璃はああ見えて病弱なんだよ!? 変なモン食わせるな!」
「ははは、隙を見せる方が悪いんだよ。
それに戦争の無い日ノ本を作るためのやむを得ない犠牲、
未来の言葉で言えば『コラテラル・ダメージ』というヤツさ、私は悪くない」
「後でお仕置きしてやるからな! 覚えてろよっ!!」
「おお、怖い怖い。 だけどそんなザマで、どうやって私にお仕置きするつもりだい?
いやむしろ……むしろ私の方が、君にお仕置きするような絵面だと思うけど。
だってそうだろう、端くれとは言っても私は君の奥さんなのだから、
『浮気者~』とか言って追いかけ回しても良い状況じゃないか」
一二三がへっと鼻で笑う。
それはそうだろう、何しろ今、九十郎は一二三達の眼前で吉音を押し倒し、組み伏せ、強姦しているのだから。
「あ、馬鹿っ!
他人がせっかく良い感じに目を逸らしてたってのに、現実に引き戻すなぁっ!!」
「あ……ん、んぅ……あぅ、んんっ」
「吉音お前ぇ……つ、艶っぽい声出すなよぉ! 色々意識しちまうだろぉっ!!」
ただでさえギンギンに勃起している男根が、吉音のナカでさらに凶悪な形状になるのが分かった。
「そ、そんな事言ったってぇ……ひゃぁ、んんぁ!」
「や、やめてお願い! これ以上締めないでぇっ!!」
九十郎は涙目になって、頭を抱えて弱音を漏らす。
ぬぷり、ぬぷり、ぐちゅり、ぐちゅりと厭らしく淫靡な音色が響く。
さっき喰らった蘭丸の催眠に従い、へこへこと腰を動かし、吉音の膣内を蹂躙している。
吉音も吉音で、どうにか九十郎から離れようと全身に力を籠めるが、身体が全く言う事を聞かない。
「や、止まって……んあぁっ、だ、駄目っ! あぁんんっ!」
身体がだんだんと火照っていくのが分かった。
愛する男のモノではないと頭では理解しているが、愛する男とのセックスと同様に、肉体が男根を求めて濡れて、熱を帯びていった。
「止まれるんなりゃ止まってるよコンチキショウ!! くっそぉ……駄目なのかよ……」
今すぐレイプをやめて、蘭丸を斬りに行かなければと頭では分かっているのに、身体は止まらない。
この男の情けなさは天元すら突破していた。
だから貴様は九十郎なのだ。
「(ど、どうする……どうすりゃ良いんだよ!?)」
「(八雲じゃないのに、浮気エッチしてるのに……うう、こんなの嘘だよぉ……)」
2人の焦りだけが空回る。
蘭丸が気絶している間、状況は全く好転していなかった。
「……で、どうします蘭丸様? 今なら袋叩きにできますけど」
蘭丸の護衛達が剣や槍を構え直す。
さっき吉音と九十郎の2人に翻弄された頼りない連中だが、敵そっちのけでエロ行為に耽っている今なら勝てる可能性はありそうだ。
「……いや、やめよう、危険過ぎる」
……だがしかし、蘭丸は一二三からの提案を拒絶する。
「おやおや、どうしてですか?」
「あいつらの手を良く見るんだ、2人とも洗脳を防ぐ剣魂って武器をまだ手放してない。
つまり、私はまだあの2人を洗脳できてない。
本当は誰も斬りたくない、良い女を抱きたいという心の中の欲求を、
催眠術で無理矢理引っ張り出しただけだ」
「ええ、ですので効果が続いている内に叩き潰しましょう」
「それがかえって危険なんだよ。
どんな生き物にも死にたくない、自身の身を守りたいという原始的欲求がある。
武器を持ったまま迂闊に近づくと、自己防衛本能が性欲を上回って……反撃されるかも」
「おやおや、それは良くない。
妻の私が言うと自慢に聞こえるかもですが、九十郎は強いですからねぇ」
「知ってる、さっき剣丞を思いっきり投げ飛ばしてたよ(第162話)。
ああそうだ剣丞、怪我とかしてないかい?」
「ああ、実はさっきから右腕が上がらなくて……
止血は終わったし、たぶん折れてはいないと思うけど」
「う~ん、剣丞抜きであの2人と戦うのはやっぱ危険だなぁ……」
「しかし一方、このまま見てても勝てませんよ。
男の人って一発抜くとスッキリしちゃいますから、性欲も納まるんじゃないですか」
「ちょ!? 九十郎、ナカで射精しちゃ駄目だよ! 絶対駄目だからねっ!!」
凄まじく不穏な台詞を聞き、吉音が青褪める。
「……あ、その手があったか」
「その手があったかじゃないって!? ちょっと、本気で怒るよ!!
3日くらい口利かないよ!!」
なお、本気で怒っても3日口を利かない程度で済むのが徳河吉音の特徴である。
本質的な所で戦国時代には向いていない、とことんまでに。
「……いや逆だ。 むしろこのまま見ている方がよっぽど確実に勝てる」
そして九十郎の短慮に水を差すかのように、森蘭丸はニマァと嗤ってそう告げた。
「洗脳にはかかり易いものもあれば、かかり難いものもある。
本人の性格、本人の意思からかけ離れたものは難しい、
逆に本人が心の中の望みと一致していれば簡単にかかる。
だから敵味方の認識を逆転させるような洗脳はとても難しいんだよ。
一二三にやったような人格そのものを組み替えるものは一番難易度が高い」
「おやおや、私ってそんな強力な洗脳をされていたんですね」
「ただし、実はちょっとした一工夫で洗脳の難しさは百分の一……
いいや、千分の一以下にできるんだよ。
たぶん消耗した今の私でも、剣魂の防御を無視して敵味方をひっくり返す洗脳ができる」
「ちょっとした一工夫……?」
「それは絶頂させる事だ。 セックスでイカせればほんの一瞬、
どんなに強烈で、どんなに困難な洗脳も殆ど素通りになる瞬間ができる。
剣魂で防御しようが関係無い、好き勝手に記憶も精神も改変できる」
その言葉を聞いた瞬間、吉音と九十郎の動きが一瞬止まった。
動けなくて困った程度と考えていた今の状況が、破滅に向かって一直線に進むものだと理解してしまったのだ。
「成程、このまま眺めていれば九十郎か、吉音殿か、
どっちか片方はそのうち絶頂しますねぇ」
「その瞬間にイッた方を洗脳する。 敵と味方の認識をそっくり入れ替えて……
ああ、そこから先はどうにでもなるんじゃないかな。
残った1人を袋叩きでも良し、エッチを続行させてイクの待つでも良し」
それは吉音と九十郎にとっての死刑宣告も同じだ。
九十郎は再度奥歯を砕かんばかりに食い縛って身体を止めようとしたが、どうにもならずにへこへこと腰を上下させ、吉音の膣肉で男根をシゴいていまう。
腰を引き、腰を押し出し、肉ヒダが亀頭にまとわりつくのを感じる度に、何とも言えない快楽が脳髄を包み、絶頂へと一歩、また一歩と近づいていくのが分かる。
「(や、やべぇぞこりゃあ……)」
「んん、あぁ……だ、駄目だよ、止まって……
やだ、やだぁ! ナカを突いちゃダメぇっ!!」
吉音もまたどうにか九十郎を押しのけようと両腕に力を籠める。
しかし、さっき喰らった蘭丸の催眠は未だ効力が残っており、手足に力が入らない。
そして吉音もまた、九十郎の執拗な責めに膣内を蹂躙される度に、喘ぎ声を漏らす度に、少しずつ少しずつ絶頂に近づいていくのが分かった。
「だ、大ピンチはいつもの事だけど……今回はとびっきりだね……」
修羅場慣れしている吉音だが、冷や汗が止まらなかった。
9回表112対3とか、ヒ〇ポリト星人のカプセルに閉じ込められたとか、そのレベルの大大大ピンチだという事にようやく気がついたのだ。
「落ち着け吉音、確かにピンチだがまだ詰みじゃねぇ。
要するに闘志が性欲を上回るか、逆に性欲が闘志を下回りゃ良いんだ」
「そ、そんな事言われたってどうすれば……」
「とりあえず念仏を唱える事から始めてみるか……」
「ええっと、南無大慈大悲救苦救難広大霊感……この後わかんにゃいっ!!」
「宇宙天地與我力量降伏群魔迎来曙光……我が左手に封じられし鬼よっ!!」
「いや何も封じられてないって!!」
「ハイそうでしたぁっ!! 何の意味もありませんでしたぁっ!!」
気分は地獄先生ぬ〇べ~である。
だがしかし、なんちゃって念仏でどうこうできる程、蘭丸の洗脳能力は甘くはない。
「良し分かった、別の方向性で行こう」
「別のって、具体的にどうするのさ?」
「例えば、こう……変顔とか」
「……へ、変顔?」
「思い切り性欲が萎える顔をしてくれ、吉音ぇっ!!」
「ええ~……」
吉音は思わず困惑するが、かと言って他に妙案がある訳でもない。
「こ、こんな感じ……かな……?」
吉音は彼女なりに一生懸命顔を崩す。
「馬鹿野郎、恥じらいは捨てろぉっ!!
変顔って言うか……普通に可愛いぞ! むしろ性欲が増える!」
自分は何もしない癖に文句だけは一丁前に言う屑がいた。
だから貴様は九十郎なのだ。
「えっと、じゃあ……とうっ!!」
吉音は恥じらいを捨て、渾身の変顔を疲労した。・
「……ぶほっ!!」
九十郎は思わず噴き出した。
「みゃあぁっ!! 唾がかかったぁ!! 汚いよぉっ!!」
「ああ、すまん! 悪かった! だが今の顔、秋月の前じゃやるなよ。
千年の恋も一気に冷めるぞありゃあ」
「やれって言ったの九十郎でしょ!?」
吉音がどんな酷い顔になったかは筆舌に尽くしがたいので、読者の皆様のご想像にお任せしたい。
「何か愉快な事になってますねぇ」
「俺達は何を見せられてるんだろうな……」
そんなコントのようなやり取りを、一二三はニヤニヤしながら、剣丞はちょっとげんなりしながら眺めていた。
……が、蘭丸からの返事は無い。
「……む~ん、むぅ~ん、むむむぅ~~ん」
蘭丸は目を閉じて、眉間に皺を寄せて唸っていた。
「良ぉ~し、こっちは順調……良し良し、こっちも制圧……
良いね良いね、ここも想定通り……それでこっちは……」
蘭丸は織田軍、越軍の何人かに事前に仕込みをしていた。
精神と精神、意識と意識を繋ぎやすくして、相手が見たもの、聞いた事を遠距離でも即座に共有できるようにしていたのだ。
蘭丸は今、自分が気絶している間に何か想定外の事態が起きていないか確認をしていた。
そして……
「ぎゃあああぁぁぁーーーっ!?」
蘭丸は突如、まるで断末魔のような叫び声をあげた。
「忍者がぁっ! どこにもぉっ!! いなああぁぁーーいっ!?」
「お、おいどうしたんだ急に!?」
突然の出来事に剣丞が慌てる。
「忍者がどこにもいないんだよ! 具体的には服部半蔵と風魔小太郎を見失った!」
「小波と姫野が?」
「何するか分からないから最優先で無力化したのにぃっ!!」
「ああそうだ言い忘れてましたけど、さっき空が真昼みたいに光って、
隕石が落ちたみたいな轟音と地震がありましたよ」
「言ってよ!? そんな異常事態が起きてたなら早く言ってよぉっ!!」
「アレは……もしかして、妙見菩薩掌だったのか? 小波の御家流が……」
「間違い無くそれだよ! 小波がいた所にでっかい穴が開いてるし!
うわあぁっ!? 小太郎を制圧したヤツが死んでるぅっ!?」
蘭丸は気づいていないが、大穴の近くに刺さっている貧相な棒っきれはもう1人の即席の墓である。
姫野が人外の膂力をフル活用し、30秒で穴を掘って埋めたのだ。
「そうか、あの2人は無事に……」
「天人殿、思い切り強姦されてるから無事からは程遠いんじゃないかな」
「……すままい、そうだった。 くそ、こんな大事な事を忘れちゃいけないだろうに」
「まあ私も大分前に蘭丸様に押し倒されて手籠めにされている訳ですが(第137話)」
「今引っ張り出さないでややこしくなるからぁっ!
そんな事より忍者が今どこで何をやってるか全然分からないっ!
放置したら何を仕掛けて来るかも分からなぁ~いっ!!」
「蘭丸様、こういう時は騒がず落ち着いてタイムマシンを探しましょう」
「そうか! タイムマシンだっ!
タイムマシン、タイムマシンはどこに……って、あってたまるかそんな物ぉっ!!」
10秒くらい一二三のギャグを真に受けてタイムマシンを探そうとしていたのは内緒である。
「しかしですね蘭丸様、あの2人は既に常識改変の影響下です。
男女のまぐわいが正しい戦争のやり方、
絶頂すれば相手に従わなければならないと思い込んでいます。
もう一度犯して従わせてしまえばよろしいのでは?」
「ああもう、お馬鹿っ!
相手はあの服部半蔵と風魔小太郎なんだよ、同じ失敗を2回も繰り返す筈が無い!
弱卒で有名な織田軍の兵隊にあっという間に制圧されたのを
おかしいと感じているに決まってる!!」
「蘭丸様、蘭丸様、貴女に洗脳された者の知能は貴女と同程度まで下がる事をお忘れ無く」
「そうだった!? じゃあ私がお馬鹿だ! 私の馬鹿ぁっ!!」
少し前に蘭丸が剣丞に語った洗脳能力の弱点である(第155話)。
普段から脳を酷使するせいか蘭丸は結構忘れっぽいので、一二三に指摘されるまで素で忘れていた。
「とにかく拙い! 非常に拙い!
さっき吉音か九十郎がイクまで待ってようって言ったけど、
そんな悠長な事してたら忍者が何かするかもしれない」
「しかし蘭丸様、九十郎がイクまでの時間を削減する策がありますよ」
「えっ!? 本当に!?」
蘭丸は満面の笑みで一二三に詰め寄る。
「くくく、ここは統率94 武勇85 知略98 政治83のスーパー軍師にお任せあれ」
「おお、なんて頼もしい! 頑張れ一二三、君がナンバー1だ!」
蘭丸はさっき思い出した洗脳能力の弱点を一瞬で忘れた。
なお『信〇の野望』では蘭丸の知略は71である。
「あ、そうだ、これが成功したら異名で呼んでもらえませんか。
『二中の火の玉』とか『三中の病院送り』みたいな恰好良い感じの」
「別に良いけど、二中とか三中ってどこ?」
流石の蘭丸も『魁!!ク〇マティ高校』の内容までは把握していない。
「ではでは、まずはちょっと失敬して……」
一二三は今なお吉音と交合する九十郎の元へ駆け寄り、片眼鏡型のデバイスをひょいっと掠め取った。
「一二三、お前……」
「おおっと、裏切った事への恨み言は勘弁だよ。
君や美空殿に正義や信念があるのと同様、こっちにもこっちなりの正義がある。
できるだけ人殺しをしたくない、立派な正義じゃないか」
「それがお前の意思で選んだ正義ならな」
九十郎は一二三をキッと睨みつける。
しかし一二三は少しも気にする様子も無く、手元のデバイスをぴこぴこと操作をしている。
「ええっとこの型番は映写機がついてた筈だから……
通話モードで、カメラの画像を送受信して……
映像の外部出力と、音量調整はスイッチで……」
そしてしばらくすると……近くにあった適度な大きさと平たさの岩に何か画像が映し出される。
「ああぁぁっ! だ、駄目! 駄目ぇ! あんんぅ、うぁぁあんっ!!」
そして同時に、大音量で女の喘ぎ声が小型デバイスから聞こえてくる。
女が3人、男達に犯されていた。
その人物が誰なのか、九十郎にはすぐに分かった……否応なく分かってしまった。
「柘榴、犬子……」
「し、詩乃……」
剣丞と九十郎が映像の人物の名を呟いた。
自身の愛する妻達が見知らぬ男達とセックスをして、淫らに腰を振り、喘ぎ声を漏らす光景が2人の前に……いや、蘭丸とその護衛達も含めた衆人の前に晒されたのだ。
「ふぁああっ! あんんぅっ! うああぁつ! き、気持ち良いよ……んんぅっ!!」
犬子が男に犯されていた。
今まで見た事の無い程の乱れぶりで、獣のような喘ぎ声で、織田軍の兵とセックスをしていた。
「く、うぅ……んんぅっ! あんんぅっ! ふ、ふあぁぁっ!
や、やめるっす……ああぅうっ!!」
柘榴が男に犯されていた。
四つん這いになって後ろから男根を突き立てられ、恍惚とした表情で快楽に翻弄されていた。
「だ、誰か援護を……ふあぁぁっ! ああぁっ! く、ううぅ……んんぁあっ!!」
詩乃が男に犯されていた。
普段の慎み深い姿は既に無く、だらしなく涎をたらしながら乱れに乱れていた。
3人を犯す男は、いずれも蘭丸の手ほどきを受け、数ヶ月に渡ってエロ特訓を繰り返してきた者達だ。
犬子の、柘榴の、そして詩乃の深く強い快楽を引き出すウィークポイントをすぐに見抜き、執拗に責め続けていた。
「おっぱい吸っちゃ……んんぅ! だ、駄目なのぉ! ああんんっ! うあぁあ!」
男が挿入したまま身体を曲げて、犬子の豊満な乳房に吸い付いた。
舌先で乳首を愛撫すると、犬子は背中と両脚をピーンと伸ばして喘ぎ叫ぶ。
「だ、駄目、負けちゃ……んんあぁあ! ああぁっ!!」
何度も犬子を抱いた九十郎にはなんとなく分かる。
犬子はもうじきイクと……蘭丸に植え付けられた常識に従い、自分以外の男に屈服し、服従してしまうのだと。
「あ、あぁ……うぅ、ああんんっ! うあぁぁんぅ! あぁっ!」
「こ、このままでは……んんぅっ! た、耐えられ……ふぁあぁっ!!」
柘榴も、詩乃も、顔を紅潮させ、全身から玉のような汗を拭き出し、髪を振り乱しながら喘ぎ続けている。
「(く……うぅ……駄目だ、目を逸らしちゃ駄目だ。 止める事もできない……
こうなる事は始める前から分かっていただろうに)」
剣丞はそんな凄惨な光景を、歯を食いしばりながら見続ける。
自身の愛する妻の一人である詩乃がどこの誰とも分からない男に強姦されている光景は、九十郎だけでなく、剣丞にも相応の精神的ダメージを与えていた。
本当は『やめてくれ』と叫びたかった。
本当は目を閉じて、耳を塞いでしまいたかった。
だがそれは酷く無責任な行いのように思えて、剣丞は込み上がる吐き気を堪えながらその光景を目に焼き付けるように見続ける。
「(本当に……本当にこのやり方しか無かったのか
……いくら人が死なないやり方だからって……)」
何度も、何度も、何度でもそんな自問自答が繰り返される。
気がつけば、強く噛み過ぎて奥歯の方から血が出ていた。
そんな時だ……
「ん、ああぅうあぁ! く、九十郎ぉっ!! ああんんぅっ!!」
……犬子が九十郎の名前を呼んだ。
激しいセックスの最中で、止まらない喘ぎ声の中に埋もれて聞き逃しそうな小さな声であったが、確かに九十郎の名前を呼んだ。
そして同時に九十郎は気付いた、犬子が笄を握り締めている事を。
自分も犬子も小さかった頃の贈り物で、犬子が拾阿弥を斬殺する原因になった笄を、犬子は祈るような手でぎゅうっと握り締めていた(第4話、第7話)。
それに気がついた瞬間……九十郎がキレた。
蘭丸が、剣丞が、吉音が、そして蘭丸の護衛達全員が唖然とした表情になった。
彼ら、彼女らの目の前で、九十郎が吉音とのセックスを中断してすっくと立ちあがったのだ。
「え……あ……な、何で……?」
蘭丸は思わず何でと口走ったが、九十郎の悪鬼羅刹の如き凄まじい形相を見た瞬間、何が起きたのかが分かった。
「さ、殺意が……私への殺意が性欲を上回って……さっきかけた催眠を振り切った……」
蘭丸はガタガタと震えていた。
既に消耗は激しく、洗脳も催眠も殆ど使えない状態だ。
そして九十郎の手には、未だ洗脳を防御し、鬼子をバターのように軽々と切り裂く剣魂が握られていた。
「いや済まなかった。 随分と待たせたし見苦しい所を見せたな。
今からてめぇをバラバラに切り刻んでやるからそう思え」
九十郎が剣魂を構えた。
その眼は血走り、蘭丸を殺すために、だたそれだけのためにギラギラと燃えていた。
「それと吉音、悪かった。 俺の心が弱かったせいで迷惑をかけた。
後で土下座するし、何発でも殴って良いから、命だけは勘弁してくれ」
「うん、良いよ。 ビンタ10回で許したげる」
吉音は未だ動けない。
あの凄惨な光景を見てもなお、頭のどこかで本当は斬りたくない、誰も殺したくないという思いを捨てきれない。
「だ……だだ、誰か助けてえええぇぇぇーーーっ!!」
蘭丸が涙目になって叫ぶと、護衛達が次々と武器を構え、蘭丸と九十郎との間に割って入る。
「全員ブチのめすっ!!」
ほぼ同時に、九十郎が蘭丸の護衛達に突っ込んでいき、激しい斬り合いが再開された。
「蘭丸様、ちょっと急用を思い出したので帰っても良いですか?」
一方、一二三はしれっと逃げようとした。
「いや帰るなよぉっ!! こうなったのは君の責任だろ!
肉盾でも何でもして私を守れよぉっ!!」
「私の武勇はどう考えても85も無いので瞬殺されます」
「そもそも何であんな真似した! 理由を言え!」
「いや、エッチな映像を見せたら早くイクんじゃないかな~って」
「お馬鹿ぁっ!! このお馬鹿ぁっ!!
もう放置していれば勝ててたのに余計なことして!
完全に裏目に出てるじゃないかぁっ!!」
「蘭丸様、蘭丸様、貴女に洗脳された者の知能は貴女と同程度まで下がる事をお忘れ無く」
「そうだった!? じゃあ私がお馬鹿だ! 私の馬鹿ぁっ!!」
蘭丸はガタガタと震えながら頭を抱えるが、後の祭りである。
そして一二三と蘭丸がコントじみた掛け合いをしている間に、蘭丸の護衛達は次から次へと殴り倒されていた。
「死ね、蘭丸ううぅぅーーっ!!」
この酷い絵面の最終決戦も、終結の時が近づきつつあった。