追伸
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次話、第170話にはR-18描写がありませんので、通常版に投稿しています。
第170話URL「https://syosetu.org/novel/105831/117.html」
注・原作キャラが洗脳、凌辱される描写があります。
「やめろ剣丞ぇっ! やめろ! やめろぉっ!!」
九十郎が叫び声をあげていた。
両手両足を美女達によって抑えられ、幼女が男根に跨って腰を上下させる犯罪臭の酷い有様だが、本人的には必死になって声を張り上げていた。
「駄目……やめて……それだけは絶対に駄目……」
九十郎のファースト幼馴染、大江戸学園の武田光璃……戦国時代の武田晴信としての記憶を持つ少女が、涙目になって震えていた。
全裸で、両手を頑丈な麻縄で縛られ、抵抗できない状態で新田剣丞に押し倒されていた。
濡れたお〇んこに男根の先端が押し当てられて、剣丞がほんの少し腰を前に押し出せば、すぐにでも処女を奪られる状態であった。
そして……
「良いのか……? 本当にこれで良いのか……?」
全裸の新田剣丞が迷っていた。
全身を汗でぐっしょりと濡らし、両手を震えさせてながら、自問自答を何度も何度も繰り返していた。
「お~い剣丞~、剣丞く~ん、一体いつまで待たせるのさ~?」
森蘭丸が若干呆れた様子で声をかける。
開戦直後にかけた常識改変からのがれた光璃、美空を改めて洗脳するために、セックスをして絶頂させる必要がある。
その役割を何故か突然新田剣丞にやるように指示をした。
そして剣丞は、服を脱ぎ、光璃を押し倒し、いざ挿入という所で良心の呵責故に硬直し、何もできなくなってしまったのだ。
「な、なぁ蘭丸、やっぱり他の誰かに……」
「駄目だ、これは剣丞がやるべきだ」
蘭丸はキッパリと断言した。
「だけど、こんな酷い事を……」
「それは何かい? その『酷い事』をこれまで散々他人にヤらせておいて、
自分の手を汚すのだけは嫌だって言いたいのかい?
他人に『酷い事』を押し付けておいて、
自分だけは清いままでいるのが新田剣丞に生き様だって言うつもりかい?
だとしたら本気で失望するよ」
「う……それは……」
新田剣丞は聡明な青年だ。
頭の中では分かっている、これは酷い事だと。
嫌がる女性を押し倒し、無理矢理セックスをさせて、無理矢理絶頂させて従わせる……人間の尊厳を損なわせる酷い事だと分かっている。
だがしかし、敵も味方も命だけは奪わない、奪われない事も理解している。
人としての尊厳を奪うとしても、命を奪わない、命を奪わせないという点だけは、普通の戦争よりも良い事だと理解している。
長尾美空景虎がやろうとしている、未来の武器で逆らう相手を全員射殺するやり方よりもずっと良いやり方なのだと理解している。
だが……理屈の上では比較的マシなやり方だとしても、いざ自分が実行するとなるとしり込みしてしまうのは、剣丞が普通の現代社会に生きる普通の男性であるが故なのかもしれない。
良い意味でも、悪い意味でも、現代日本の男性らしい感性を持ち続けているのだ。
「(くそっ! 分かっている、分かってはいるんだ! 今すぐ光璃や美空を犯して、
できるだけ早く、苦痛を少なく終わらせた方が良いって……だけど……)」
視線を落とすと、光璃が涙目になっていた。
全体的に雰囲気が若々しくなってはいるものの、それはかつて剣丞が愛し、愛された武田光璃晴信と瓜二つだ。
なお、剣丞と愛し合った武田晴信は数え年40歳、今の目の前に居る武田光璃はXX歳(この作品に登場する人物は全員20歳以上です)、さらに現代ニホンで生まれ育ったが故に栄養バランスの優れた食事と各種スキンケア用品による差もあって、肌の艶が段違いだ。
年齢というものは割と残酷である。
さておき、剣丞は理性と良心との間で板挟みとなり、前にも後ろにも動けない状態になっていた。
「剣丞聞け! いや聞いてくれ! 犬子はこの戦いが始まる前になぁっ!
あいつは逃げるって言ったんだよぉっ!!」
「あの娘が、逃げるって……?」
剣丞にも犬子の名前は知っている。
犬子が歴史の教科書には流石には載らなくとも、戦国時代の解説書には概ね登場する前田利家だと知っている。
その彼女が逃げようとした事に、少しではあるが衝撃を覚えた。
「ああそうだ! あいつは鬼と戦う事になっても、
今川とか武田とかみたいな大物と戦う事になっても、
戦う前から逃げたいって言った事は無かったんだ!
分かるか剣丞、あいつは死ぬかもしれない危険な戦いでは、
逃げたいだなんて一度も言わなかった!
あいつにとっては今回の戦いは、死ぬよりも嫌だったんだよぉっ!!」
そう叫びながら、九十郎は思う。
こんな事になるのだったら、最初から犬子を逃がしておけば良かったと。
犬子も、柘榴も、何か適当な理由をつけて逃げてくれと言っておけば良かったと後悔していた。
「剣丞頼む! 頼むぅっ!! 蘭丸の洗脳になんか負けるな、負けないでくれぇっ!!
俺にもできたんだ、お前にだって絶対にできる!
頼むから踏みとどまってくれぇっ!!」
そして九十郎は懇願する。
蘭丸の洗脳に負けるなと懇願する。
だが……
「……いいや違う、剣丞には洗脳をしていない」
……直後、森蘭丸が衝撃の事実を告げた。
「なん……だとぉ……!?」
九十郎がぎりぃっと歯を噛み締めた。
拳をぎゅうっと握り締めた。
「剣丞てめぇっ!! 今の本当かよ! 本当だとしたら許さねぇぞ!
嘘だろ!? 蘭丸が適当な事を言ってるだけなんだろぉっ!?」
「それ……は……」
剣丞が回答に窮する。
客観的な事実として、剣丞は蘭丸の洗脳を受けず、自発的に蘭丸に協力している。
美空がやろうとしている人殺しを重ねての乱世終結を止めたいからだ。
だが同時に、蘭丸のやり方が人の尊厳を踏みにじる酷いやり方だという自覚もある。
だからこそ『はいそうです』とか『洗脳されてないけど蘭丸に協力しています』といったような台詞はどうしても言い難い。
だがしかし、だがそれでも、どうしても九十郎達に言いたい言葉もまたあった。
「九十郎、美空……君達は……君達は間違ってる。
むやみやたらに死人が出るようなやり方が、正しい筈が無い」
喉の奥から振り絞った言葉は、辛うじてではあるが美空や九十郎の耳に届いた。
「剣丞……剣丞お前ぇっ! 犬子は死ぬより嫌がってたって言っただろぉっ!!
俺だって死ぬのは嫌だ! 殺すのも嫌だよ!
だけどてめぇが今やろうとしてるのは、他人を犯して、
頭の中身を書き換えて無理矢理従わせるやり方は!
人殺しよりも残酷な事だってわからねぇのかよぉっ!!」
九十郎は叫ぶ。
それは九十郎の本心からの叱責であり、九十郎なりの正義の言葉である。
「お前は人殺しを軽く見過ぎだっ!! 人が死ぬんだぞ! 人が大勢死ぬんだぞっ!!
それ以上に残酷な事なんて何も無いっ!!
このやり方が他人を踏みにじるのは分かってる!
だけど人が死ぬよりはずっと良い!!」
剣丞もまた叫ぶ、吠える。
川中島の戦いで、越軍の新型銃に撃たれて大勢が死んだ(第128話)。
凄まじい数、吐き気を催すような数が射殺された。
剣丞はあの日、あの時、確かに思ったのだ……こんな事が許されて良い筈が無いと。
「剣丞、お前は間違ってる!
他人の心を直接操って世界をどうこうしようなんて、絶対におかしい!」
「違う、九十郎! お前の方が間違っている!
人は生きていればやり直せる! 生きてさえいればいくらでもやり直せる!
大勢を殺す事を前提にした世直しなんて、絶対におかしい!」
「乱世なんだよ! 戦争をやってるんだ! どうしたって人は死ぬんだ!
目の前の人殺しを恐れて乱世が止められるかっ!!」
「俺は戦争をしたいなんて思っちゃいない! 乱世だって!? 戦争だって!?
仕方ないだとっ!? それでもだ! それでも俺は誰も死んでほしくないんだよっ!!
人を殺さずに問題を解決するんだ、どんなに難しくても、どんなに無茶でも!」
「だからって洗脳して強姦するのはやりすぎだろ!」
「逆らう人を射殺する方がよっぽどおかしい!」
「剣丞ぇっ!!」
「九十郎ぉっ!!」
剣丞と九十郎が一触即発の雰囲気になる。
今にも相手に飛び掛かって殴り合いになりそうな空気になる。
尤も、剣丞はともかく九十郎は全身を女武者達に取り押さえられて物理的に身動きが取れない状態ではあるが。
「なら剣丞っ! アレを見ろ! お前はアレを見てもどうとも思わないのかぁっ!!」
「アレを……」
剣丞が九十郎の視線の先を追った。
そして瞳を大きく見開いて、はっと息を呑んだ。
『竹中詩乃半兵衛、これより貴方様の妻となり、お仕えいたします。
降伏の証として、どうぞ私のお〇んこに子種をお注ぎください』
詩乃が織田の将兵達の目の前で全裸土下座を行っていた。
無論、実際に剣丞達の目の前に詩乃がいる訳では無い。
D・ゲイザーの通信機能、画像投射機能により近くにあった平たい岩に映し出されたリアルタイム映像と音声である(第165話)。
しかし、リアルタイム映像と音声とはいえ、剣丞の目に飛び込んだその光景は、今まさに進行している現実に他ならない。
剣丞は無意識の内に眉をしかめ、肩と拳に力を入れる。
「剣丞、自分の嫁さんが他人に犯されるのは嫌だよな。
自分に惚れてくれた女が他の男に犯されるのは嫌だよな。
自分がヤられて嫌な事を他人に押し付けるなってのは、小学生でも分かる事だろっ!!」
剣丞はズキンと胸が痛むのを感じた。
九十郎の言う事は確かに的を得ていた。
剣丞隊の皆が自分以外の男と交わるのは心底嫌だったし、詩乃が自分以外の男に媚びた笑みを浮かべて傅くのは本気で吐き気がした。
「ああ、九十郎……確かにそうだ、君が正しい。
自分がやられて嫌な事は、他人に押し付けちゃいけない」
「そうだ! やっちゃいけない事だろう! だからこれ以上蘭丸に手を貸すのはやめろ!」
九十郎が祈るような気持ちで剣丞に訴えかける、
剣丞は主人公だから、剣丞は正しい奴だから、きっと正しい選択をしてくれる筈だと信じて……必死に信じようとしながら訴えた。
「でも、だからこそ……ここまで散々他人に嫌な事を押し付けたんだ。
その矛先が俺に……俺の大事な人達に向いたから駄目だなんて言えないし、
言っちゃいけないだろう」
……だがしかし、九十郎の予想に反し、剣丞は目の前のおぞましい光景から目を背けず、胸に走る痛みと苦しみに耐えて呑み込んだ。
『ふぅ、ふぁあっ! あ、あんんぅ!』
詩乃は犬のように四つん這いになり、一切抵抗する事無く男とのセックスを受け入れていた。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、と肉と肉がぶつかり合う淫靡な音が響き渡る。
戦闘=セックスという偽りの常識を信じて、敵とセックスをして先に絶頂したならば、その相手に服従し、自らお〇んこを差し出して膣内射精させなければならないと信じて疑っていなかった。
そうさせたのは蘭丸だが、それを知って容認したのは剣丞だ。
そして……びゅるるっ! びゅるるるっ!! と盛大に子種汁がブチ撒けられた。
『あ、ありがとうございます……
これで降伏は成立しました、どうぞ末永くご寵愛ください』
詩乃はワレメから白濁液を漏らしながら、改めて自身をイカせた男に忠誠を誓った。
剣丞にとってはその光景は心臓を抉られ、脳髄をかき混ぜられるかのように不快なものであったが、それでもなお剣丞は叫びたくなる呑み込んだ。
詩乃の事をどうでも良い存在だと思っているのではない。
詩乃を手放しても惜しくない存在だと思っているのでは断じてない。
だけど今は、それよりも大事なものを守らないといけない……剣丞はそう自身に言い聞かせる。
「……剣丞、お前は凄いヤツだよ。 本気で凄いヤツだと思う。
お前は自分の嫁と見知らぬ誰かを同じ位に愛せて、同じ位大事に想える奴なんだろうな。
たぶんそれは、上に立つ者として俺や美空なんかよりよっぽど優れていて、
大事な事なんだろうと思うよ」
そして九十郎は、D・ゲイザーから映し出されるリアルタイム画像をキッと睨む。
『か、柿崎柘榴景家っす。 戦に負けちまったっすから、
我が夫、斎藤九十郎とは離縁して、今日から貴方の妻になるっす。
降伏の証、それと新たな婚姻の証として、柘榴のお〇んこを差し出すっす。
膣内射精をお願いするっす』
九十郎の嫁、柘榴が全裸で土下座をした。
降伏と九十郎との離縁を宣言して、自らのま〇こをくぱぁと開き、挿入を促した。
九十郎は深く静かに激怒した。
泣き叫びたい気持ちで一杯だった。
情けなく組み伏せられ、惚れてもいない女に逆レイプされた上に、柘榴達も守り切れなかった自身を殺してやりたい気分になった。
そして同時に、柘榴達を犯した男達を、そうなる原因を作った蘭丸を殺してやりたい気持ちで一杯になった。
「俺は……ああ無理だ、俺には無理だ。
柘榴、犬子、粉雪、あとギリギリ及第点で一二三……俺が心の底から惚れた女達を、
こんな情けない駄目人間な俺を好きだと言ってくれた奴らを、
俺から奪おうって連中はどうしても許せねぇ」
九十郎は溢れんばかりの殺意を吐き出す。
しかし、いくら殺意を発しようが、九十郎は剣丞隊の面々に組み伏せられたままだ。
『んんぅっ、んんっ! 九十郎のより太い……あぁっ! あぁあっ!
ひぅんんっ! あ、あ、ああぁっ!』
柘榴の喘ぎ声が響き渡る。
九十郎の目の前で、見知らぬ男が何度も何度も抽送を繰り返す。
柘榴をイカせるためではなく、自身が気持ち良くたるためだけの身勝手なセックスだ。
それを柘榴は何も言わず受け入れていた。
そして……びゅるるっ! びゅるるるっ!! と柘榴の膣内で射精がされた。
『はぁ、はぁ……柘榴の降伏の証、婚姻の証、皆で見届けてほしいっす』
柘榴は男根を引き抜くと、織田の将兵達の前で両足を広げ、子種汁が注がれた秘所を晒した。
九十郎の全身が殺気で満ち溢れる。
だがしかし、どれだけの殺気があろうが、九十郎は剣丞隊の面々に組み伏せられたままだ。
『わ、犬子……犬子は……』
そして織田軍の前に全裸の犬子が引き出される。
そこで……ピッ、と小さな電子音と共にD・ゲイザーからの音と映像が同時に途切れた。
「……そろそろ消そうか、何かもう居た堪れないよ」
……見かねた一二三が、D・ゲイザー同士の通信を終了させたのだ。
とりあえず犬子が全裸土下座を行い、九十郎との離縁を宣言する光景は目に入らずに済んだ。
しかし、九十郎の殺意は一向に収まらない。
「いいや嫁だけじゃねぇ、俺の大事な幼馴染の光璃、
世界を越えてまで助太刀に来てくれたダチ公、それに美空もだ。
大体この辺が、俺が心の底から守りたいと思う奴らだ。
俺には無理だよ剣丞、俺はお前みたいにはどうしてもなれねぇ。
俺は俺が大事に想う奴らを、それ以外の連中と同等に見る事はどうしてもできねぇ」
「……だから、それ以外は殺しても良いと思っているのか?」
剣丞がそう問いかける。
九十郎は一瞬何かを言いかけ……やめた。
「そうだな……それがきっと俺と剣丞の差だったんだろう。 答えはYESだ。
俺は、俺が心底大事に想う奴ら以外がどうなろうと知ったこっちゃない。
極論、俺の大事な数名以外はどうでも良い。
積極的に殺して回ろうなんて思っちゃいないが、何人殺しても心は大して痛まない」
九十郎はあえて耳障りの良い言葉を投げ捨て、自身の心情を……あるいは、性根を吐露した。
「そうやって! そうやって誰も彼もが自分の都合ばかり考えるから!
何時まで経っても戦争が無くならないんじゃないかっ!!」
「やかましいっ!! 自分の嫁でさえ大事にできない奴がよっ!
目の前の誰かを大事にできない奴がっ!
世界をどうこうしようなんておこがましいだろっ!!」
「大事にしないなんて言って無い!
お前は他人の命を軽く見過ぎていると言っているんだよっ!」
「その他大勢と同等が大事にしてる内に入るかよっ!!」
「人間1人1人がかけがえのない命なんだ! それをその他大勢なんて呼べるから!
その他大勢なんて呼ぶから世の中がおかしくなるんだ!
なんでそんな簡単な事が分からないんだ!」
「嫁と知らない奴が同時にトロッコに轢かれそうになったらどうするんだよっ!?」
「両方助ける!」
「ああそうかい! 両方助けられれば良いなぁっ! この優等生様がよぉっ!」
「そんな言い方は無いだろう!」
剣丞と九十郎の口論はどんどんヒートアップしていく。
このまま罵り合いになるのではと他の者達が思ったその時……
『違う! 違うのですっ!! 剣丞様は何も間違っちゃいないのです!
剣丞様の事を何も知らないクセに、偉そうな講釈垂れるなですっ!!』
……誰かがそう叫んだ。
「……おい、今の誰だ?」
「あ、綾那……なのか……?」
剣丞と九十郎が周囲を見回す。
特に拘束もされていない剣丞と違い、全身を掴まれ、取り押さえられている九十郎は声の主を探すのにも難儀したが、どこから声がしたのかはすぐに分かった。
声は一二三が持っているD・ゲイザーからで、いつの間にか通信機能で綾那に渡されていた端末に繋がっていたのだ。
「綾那、お前どこで油売ってる? こっちは今大変なんだよ、とっとと来い」
九十郎が若干の殺意と共に問いただす。
綾那は元から強かったのに加え、現代日本のスポーツ学による効率的な筋トレ法を学び、神道無念流の技を学び、手が付けられない程の強さを得ている(第11話)。
実際の所、綾那がこの場に駆け付けるだけで、リアル戦国無双を開始して蘭丸を討ち取れる可能性がそれなりにあるのだ。
だがしかし……
『そんな事はどうでも良いのです! さっきから聞いていれば剣丞様が間違ってるって!
異常だって! 人を殺して平気なお前達の方がよっぽど異常なのですっ!!』
……だがしかし、それは綾那に相応の戦意が残っていればの話である。
「おい異常だとは言ってねぇよ。 それに俺だって人殺しが平気って訳じゃ……」
『綾那はずっと斬り続けているののですよ! お師匠の言う『その他大勢』をっ!
鬼になった人も斬ったのです! 本当は被害者だって、
今は鬼でも元は普通の民草で、綾那が守らなきゃいけない民草だって知ってるのに、
それでも斬ったのです! 痛くて! 辛くて! キツくて! 手が真っ赤になって!
血の臭いがこびりついて! それでもそれでも斬り続けたのですよっ!!
いつか人を斬らずに生きていける日が来るって信じてっ!!』
「おい綾那、今はそんな事言ってる場合じゃねぇだろ!?」
『今後回しにして、いつ話せってんですかぁっ!! 本当は誰も斬りたくない、
本当は誰も殺したくない、そんな簡単な事を何度後回しにする気なのですか!?』
「だが剣丞のやり方だって問題あるだろっ!?」
『それでも! 剣丞様は行動してるのですよっ!! 横から出てきてアレが悪い、
コレが悪いと文句しか言わないお師匠より万倍マシなのですっ!!』
「くっ……」
そして九十郎の反論が止まる。
背負った児に教えられるという言葉はあるが、かつて練兵館で剣の手ほどきをした綾那が、自身を師匠と慕う綾那が、こうして真っ向から反論してくるのは初めての事であった。
九十郎は仕方ねぇな……と小さく呟くと、再び剣丞に声をかける。
「剣丞、良かったな。 お前の味方がここにいたようだ」
「ああ、本当に……綾那には何度も何度も助けられているよ」
「あのクソ弟子……いや、綾那に剣魂を渡した時点で、俺の負けは決まっていたのかもな」
九十郎はふぅっとため息をつき、呪物を吐き出すかのように語り始める。
「ああそうだ、分かっているんだ。
正しいのはお前で俺が間違ってるのは分かっている。
見知らぬ誰かの命を、俺の大事な数人の命と同じ位大事にすれば、
きっと戦争なんてあっと言う間に終わるんだろうって分かっている。
だけど……だけど無理なんだよそれは。 俺にはどうしても無理だ。
表層で分かったフリはできても、心底から納得する事が出来ねぇんだ」
第四次川中島の戦いの際、九十郎は信虎を斬った(第131話)。
幸いにも急所はギリギリ外れて一命は取り留めたものの、九十郎は完全に殺すつもりで斬っていた。
結局の所、斎藤九十郎という男の根っこはそうなのだ。
自分の都合、自分の好き嫌いを最優先させ、見知らぬ誰かどころか、思い切り味方だった信虎すら斬り殺せるのが九十郎だ。
新田剣丞のような、見知らぬ誰かを守るために戦える男ではない。
ただのクズである。
……だから貴様は九十郎なのだ。
「自分の嫁でさえも、見知らぬ他人と同じ程度の大事さなら……
それはもう誰も愛していないのと同じじゃないの」
そんな2人の問答を前に、美空が小さくそう呟いた。
その小さな小さな呟きは、九十郎に跨り、挿入させ、淫らに腰を上下させる少女に……烏の耳に届いていた。
その瞬間、烏はこう考えた、考えてしまった……自分は本当に愛されているのだろうかと。
「んんぅ! ん、んんっ! あぁあっ!」
一際大きな喘ぎ声が漏れ、烏は慌てて口を塞いだ。
戦闘=セックスと常識を書き換えられているため、戦闘中に喘ぎ声が漏れるのは当然の事と認識している。
だがしかし、彼女自身も理由は説明できないが、何故か新田剣丞に自身の喘ぎ声を聞かせたくなかった。
自身がはしたなく感じている姿を晒したくなかったのだ。
「だ、だめぇ……ふっ、ふぅう! うんんぅ! んあぁっ!」
だがしかし、感じまいとする程、身体はビクンと反応し、喘ぎ声が漏れ出てしまう。
腰を上下に揺さぶる度に自身の膣肉が何度も痙攣し、硬く熱い肉棒が烏のウィークポイントに突き刺さる。
「あ、あぁぁあっ! あ、あぁあっ! うあぁあっ! か、感じて……る……」
喘ぎ声が漏れる。
良くない流れだと頭では理解しているが、それでも腰は止まらない。
そしてある時、気付いてしまう……自分は今、自らが最も気持ち良くなる場所で腰を振っていると。
「あ……」
それに気づいて、腰が止まる。
腰が止まって快楽も止まった瞬間……烏は動きを止めた事を後悔した。
『自分は本当に剣丞に愛されているのだろうか?』
そんな言葉が脳裏に浮かんだ、浮かんでしまった。
腰を振って快楽に喘いでいた間は考えずに済んだその疑問が、再び烏の脳裏に疑心と不安となって襲ってきたのだ。
「だめ、考えてはだめ……ふ、んんぅっ! んんううぅっ! だ、だめぇ……」
烏は再び腰を振り、膣内の自身が一番気持ち良くなれる場所に亀頭を強く強く押し付けた。
甘い感覚が全身を包む。
甘い声が喉から漏れる。
少しずつ、少しずつ、蟻地獄に嵌ったかのように深みに堕ちていくのが分かる。
そして同時に『自分は本当に剣丞に愛されているのだろうか?』という疑問が頭から消えた。
「……そんな事、無いよ。 剣丞はちゃんと愛を持っている。
愛があるから心を痛めて、苦しんで、悲しんでいるんだ」
……と、ここで小夜叉のフルプレートアーマーを外していた蘭丸が口を挟む。
「蘭丸、何を急に?」
「いや、さっきから何か剣丞が不当に貶められてる気がして腹立つから」
「俺は別に気にしちゃいない。 目液はともかく、手段が酷いって所は事実だから」
「もっと良い方法があるなら言ってくれって話だよ全く……じゃなくて、
短い時間だけど剣丞と一緒に過ごした身として言わせてもらう。
剣丞はそこの光璃って娘が死んだ時、本気で悲しんでいた。
そして何故か生き返って、何故か九十郎が好きだと言い出した時には……」
「よせ蘭丸! 言うんじゃない!」
剣丞が慌てて蘭丸を止めようとする……が、蘭丸は気にせず話を続けた。
「いいや言わせてもらう。 剣丞はその時何も言わなかったけど、
心の中では嫉妬していた。 光璃って娘を九十郎に渡したくない、
彼女の愛を取り戻したいって強く強く想っていたよ」
「ま、まるで見ていたみたいに……」
「心読めるからね」
そして剣丞と全裸の光璃の目が合った。
「えっと……その……ごめんなさい」
光璃はちょっと申し訳なさそうに目を伏せた。
「あ、うん。 その……いや、君が誰を好きになるかは君の自由だと思うし、
無理矢理手籠めにして取り戻す気は……」
剣丞も隠しておきたい内心を暴露され、戸惑っている様子だ。
蘭丸は超能力の使い過ぎで疲弊し、絶頂した瞬間を狙わないと洗脳できなくなっている。
美空と光璃をイカせる役目を剣丞にやれと言われているのだが……もうそういうのができる雰囲気ではなくなっている。
「それじゃあ今から、剣丞が優しい、良い子の味方、優等生な所だけじゃなくて、
身勝手で、傲慢で、自分中心な所もあると……
全部を全部平等に見ている訳じゃない所を見せようじゃないか」
蘭丸はそう言うと目を閉じて、呼吸を整え……精神を集中させる。
精神集中は超能力行使の事前準備だ。
「蘭丸、一体何を……?」
剣丞が振り向いた直後……
「ソノ欲望ヲ解放シロ」
……蘭丸の瞳が妖しく輝く。
瞬間、剣丞は脳髄に直接言葉が刻まれたかのような衝撃を覚える。
それはつい先ほど、蘭丸が九十郎の攻撃を止めた時と同じ命令、同じ洗脳(第162話)。
相手が心に秘める欲求を引っ張り出すだけの簡単かつ単純な洗脳であり、それ故に疲弊した今の状態でもギリギリ行使できる。
そして剣丞は九十郎と同じように、心に秘めた欲望に従い、身体が勝手に動き出した。
「う……あぁ……ら、蘭丸! 待って、止めてくれっ!」
光璃を再び我が手に戻したい。光璃を抱きたいという欲求に従い、光璃を押し倒す。
「駄目、だ~め。 いい加減に腹を括って強引に奪い返してしまいなさい。
外道? 非道? 冷酷? そんな台詞は聞こえないし聞く気もありません。
剣丞は……剣丞は凄くカッコイイ男の子なんだから、
そのくらいの役得はあっても良いと蘭丸君は思うのです」
蘭丸は剣丞からの抗議の声を聞き流し、小夜叉への愛撫を開始する。
他人の心を読み取る能力と類い稀なる才覚が加わり、蘭丸のエロテクは人類最高のラインにまで達している。
イカせ合いという勝負の土俵に上がっては、経験ほぼ無し、セックス恐怖症という二重苦を背負う小夜叉に勝ち目は全く無い。
そして剣丞もまた己の欲望に赴くまま、濡れたお〇んこに勃起ち〇こを宛がい……一気に腰を突き出した。
「はぅうっ! うあぁ……」
ぶちぃっ!! とばかりに処女膜が突き破られ、光璃が悶える。
痛みはそれほど強くない。
むしろ全身を包む歓喜にも似た感覚に戸惑い悶えていた。
「光璃……その、すまない。 恨んでくれても構わない。
後で洗脳は必ず解かせる。 この償いは後で必ずする。 だから……」
挿入した状態で剣丞はそうやって詫びを入れようとして……光璃に口を塞がれた。
「……謝らないで、お願いだから謝ったりしないで。
これ以上光璃を惨めな気持ちにさせないで、光璃を苦しめないで」
光璃は目尻に涙を溜めながら懇願する。
挿入された瞬間、処女を奪われた瞬間、光璃は確かに悦んでいた。
心のどこかでこうなる事を期待していた。
わざわざ剣丞の目の前で九十郎が好きだと宣言したというのにだ(第144話)。
「う、あぁ……は、入ってくるぅ、剣丞のがぁ……あ、あぁぁっ! んんぁ!」
そして剣丞の身体は、必死に光璃から離れようとする剣丞の意思に反し、腰を前後に振り始める。
同時に、光璃の口から甘く淫らな声が漏れ始める。
事前に入念にほぐされた膣肉は、剣丞の強引な抽送を包み込んでいた。
「剣丞……光璃ぃ……」
大事な幼馴染を、自らの命と引き換えにしても守ろうとした幼馴染を強姦されているというのに、九十郎は何もできない。
最早叫ぶ気力すら浮かばない。
愛液と破瓜の血が混じった何かが接合部から漏れ出るのを見ながら、自らの無力と、決定的な敗北を実感するばかりである。
「ふ、うぅ……んんぅ! あ、ああぁっ!」
剣丞が腰を振る。
その度に光璃は全身を貫くような甘い甘い感覚に襲われる。
感じてはいけないと、悦んではいけないと頭では思いつつも、身体は勝手に反応してしまう。
「駄目っ! 動いちゃ駄目ぇっ! 感じ……ひ、ひうぅっ! 感じてるからぁ……
ふあぁぁっ! ああぁっ! あ、あん、あんんぅっ!!」
喘ぎ声がどんどん大きくなる。
剣丞は織田軍全員が参加したエロ特訓を受けていないが、戦国時代の武田光璃晴信を含め、多種多様な個性を持つ女達を何度も何度も抱いてきた。
その経験と、女を自然に気遣える生来の気質が、女を気持ち良くなるように抱く知識と技術に繋がっている。
剣丞はエロ特訓を受けるまでもなく、ほぼ未経験の光璃をイカせるに十分な力量を持っていたのだ。
「光璃、好きだ! 大好きだ! 愛してる! 愛している! だからっ!」
剣丞は無我夢中に腰を振りながら、何度も何度も愛を囁く。
何度も何度も好意を伝える。
「ひ、ひかりもぉ……んんっ!!」
光璃は何かを言いかけ……慌てて自らの口を塞いだ。
今、自分は何を言おうとしたと自問自答する。
何をどう考えても『光璃も好き』と言おうとしていた。
『武田光璃も剣丞を愛している』と自ら認めようとしていた。
身体だけでは無く、心まで屈しそうになっていたのだ。
「らめぇっ! だめぇっ! もうズンズンしないでぇ! 感じ……ひぃううぅっ!
もう感じたくないぃっ! は、うぅあっ! 剣丞ぇっ!!」
その言葉とは裏腹に、拒絶の意思が凄まじい速さで萎えていくのが分かった。
戦国時代での一度目の死の直後(第135話)、現代ニホンの武田光璃として二度目の生を受けてすぐの頃は、毎日のようにもう一度剣丞に会いたいと願っていた。
どれだけ離れようが、どれだけ時間が経とうが、新田剣丞への愛は消えない、色褪せないと思っていた。
その想いは……17年という長い年月の中で失われ、色褪せたものだと思っていた。
だけど本当は、心の奥底でくすぶっていただけで、完全に消え失せた訳では無かったのだ。
切欠さえあれば再び大きく熱く燃え上がる炎になる火種は残っていたのだ。
「光璃、俺は君を愛している。 心の底から愛しているんだ」
そんな光璃の揺れ動く心を見抜いたのか、天性のタラシの勘でも働いたのか、剣丞が光璃の目を真っすぐに見つめながら、好きだ、好きだと連呼する。
「そんなの、だめぇ……だめだよぉ……」
ぐちゅり、ぐちゅりとお〇んこが溶ける。
同時に自身の心がどろどろに融解していくのが分かる。
もう二度と剣丞を愛する事は無いのだという強い決意が、甘い甘いメスの快楽と共に消え失せていくのが分かった。
そして……
「どうして……どうして17年も放っておいたの!?
寂しかった! 寂しかったぁっ!! ずっと……ずっと寂しかった……だから……」
そして気がつけば、光璃はずっと言うまいとしていた自身の心情を吐露していた。
同時に、光璃は両足を剣丞の後ろで組んで抱きしめていた。
全身で剣丞を包み込み、もう二度と離さないように、離れないように。
「すまない、本当にすまない、光璃。 だけど俺は君を喪いたくなかった。
君を離したくなかった、ずっと一緒にいたかった。
そこだけは俺の偽りの無い本心なんだ」
剣丞もまた光璃をぎゅうっと抱きしめた。
もう二度と離さないように、離れないようにと願いながら抱きしめた。
「……何か浮気の言い訳みたいな台詞が出てきたわね」
一方、盛り上がる光璃と剣丞の隣で放置されている美空がぼそっと呟いた。
全然関係無い話だが、現代ニホンでは武田信玄が高坂昌信に宛てて書いた浮気の言い訳の手紙が現存している。
「でも……でも、今更戻れない、今更好きだなんて言えない……
光璃は九十郎が好きだって言ったから……そう言ったばかりだから……
今更、やっぱり剣丞が好きだなんて言えない……
それを言えば、光璃はあまりにも恥知らずで、節操無しになるから……」
光璃の目から大粒の涙が零れる。
「そんな事は無い、そんな事は無いんだ。 他人を愛するのに理由なんていらない。
誰かを好きだと叫ぶのに資格なんていらないんだよ。
俺は君が好きだ。 光璃が好きなんだ。 誰にもそれを否定させたりしない」
剣丞は力強くそう言い切ると、優しく優しく口づけをした。
舌と舌が絡み、唾液と唾液が混ざり、光璃の頑なな心が氷解していく。
「いや、アンタは剣丞とか関係無く恥知らずで節操無しだったでしょうに」
一方、盛り上がる光璃と剣丞の隣で放置されている美空がぼそっと呟いた。
全然関係無い話だが、現代ニホンでも戦国時代でも、武田信玄は同盟破りの常習犯として悪い意味で有名である。
さておき、既に剣丞と光璃は2人だけの世界に入り込み、美空や蘭丸といった存在は全く目に入らない状態になっていた。
互いに好きだ、好きだと言い合いながら、身も心もぐちゅぐちゅに溶け合っていた。
「………………」
そんな剣丞と光璃のダダ甘なやり取りを、烏は複雑な表情で見つめていた。
見てはいけない、聞いてはいけないと何度も何度も自分に言い聞かせているが、どうしても目や耳が向くのを止められなかった。
お〇んこは好きでも無い男のモノを咥え込んでいる状況で、愛する男性が他の女に好きだと連呼するこの状況……どうしても考えてしまう、自分はあのくらい情熱的に好きだと告げられた事が一度でもあっただろうかと。
「くっ……うぅ……ううぅ……」
何故か目尻から涙が込み上げてきた。
今は戦闘中だ、目の前の男との交合に集中しなければと理屈では分かっていたが、何故か心の奥底から湧き上がる寂しさを振り払えない。
そして……
「あぁっ! あ、んんぅっ! うあぁあっ!! ああぁあぁっ!」
その寂しさから、その苦しさから逃げ出すように、烏は自身の腰を九十郎にぶつけるように強く強く上下させた。
自身の最も気持ち良くなれる場所を、あえて九十郎の硬く熱いお〇んちんにぶつけていった。
それは戦闘=セックスであり、先に絶頂すれば負けという常識からすれば自殺行為と言っても良いが、烏にはもう全てがどうでも良いとすら思えた。
「だめ、だめぇ……感じちゃだめなのに……ふんんっ、んんぅ、んあぁぁあっ!!」
喘ぎ声が大きくなっていく。
自身の身体がビクビクと痙攣し始め、今にも絶頂しそうになっていた。
だがしかし、愛する夫である剣丞の目は光璃に向いたままだった。
「……美空、そろそろヤバそうだ。
最期になりそうなんで、ちょっと言っておきたい事がある」
そして九十郎もまた烏を見てはいなかった。
自身がもうじきイキ果てて、同時に蘭丸に洗脳される事を予見し、最期の言葉を美空に残そうとしていた。
「……そう、聞くわ」
美空は特に驚く様子も無く、嘆き悲しむ様子も無く、神妙な面持ちで九十郎の方を向いた。
「俺は……俺は美空に会えて良かったと思ってる。 お前を主君と呼べて良かった
戦国時代に来たくて来た訳じゃねぇし、辛い事があった、悲しい事もあった、
いっそ死にたくなるような事も山ほどあったが、
美空に会えた事はすげぇ幸運だと思ってる。 ありがとな、美空」
「何よ、主君の主君は主君と同じじゃないって、
クリスタル聖闘士理論は通じないって言ってたじゃない」
「すまん、ありゃ照れ隠しだ。 忘れてくれ」
「なら……私も言うわ。 貴方に出会えて本当に良かった。
貴方と出会って、貴方を愛した事は私にとって本当に幸せな事だった。
私もすぐに他の男に抱かれて、洗脳されるだろうけど……
本当に本心から言うわ、貴方を愛していると」
「ありがとな、美空。 じゃあ……あばよ……」
ぐっちゅ、ぐっちゅと水音を響かせながら腰を上下させる。
誰も自分を見てくれない、誰も自分を愛してくれない……セックスの快楽だけが烏を慰めていた。
そしてその激しいピストン運動が、狭く小さいメス穴が、九十郎のモノを扱いて昂らせていた。
九十郎の肉棒を肉ヒダで包み、愛撫し、絶頂に導いていく。
そして……
「……くぅ、げ、限界か……うあぁあぁっ!!」
ついには九十郎を絶頂させた。
烏の膣内で九十郎の肉棒が爆ぜ、びゅうぅっ!! と勢い良く精液を迸らせた。
「あぁあぁっ! ふぁあぁぁああうぅ!!」
同時に烏の全身を撥ねさせた。
同時に烏も絶頂に達したのだ。
ああ、ついに九十郎まで洗脳されてしまった……美空は絶望の余り、がっくりと項垂れてしまう。
「……って、同時絶頂なんてするなよぉっ!! 失敗したじゃないかぁっ!!」
……が、その直後に耳に飛び込んできたのは、洗脳失敗に頭を抱える蘭丸の狼狽えた声であった。
「……は? 失敗?」
美空が思わず聞き返す。
「ああそうだよ! 失敗したよ!
同じタイミングで絶頂したから狙いがブレて上手くいかなかったよぉっ!」
蘭丸は見てて哀れに思うくらいに狼狽えていた。
なお、蘭丸が洗脳失敗した理由の何割かは確かに烏の同時絶頂であるが、残りのほぼ全部は小夜叉の愛撫に気を取られて注意力散漫になっていたためである。
ふと美空が九十郎の方に視線をやると……
「あ~……良く分からんが、助かったっぽいな。 多分俺は正常……だよな?
洗脳されてるかどうかなんて自分じゃ分からんかもだが」
自己申告とはいえ、九十郎は無事な様子だった。
少なくとも、セックスの相手……この場合は烏に跪いて忠誠を誓う様子は無い。
「ええっと……この場合、どうなるんでしたかしら?」
「そりゃ、勝っても負けてもおらんのじゃから、仕切り直しだろう」
九十郎の身体を抑え込んでいた梅と一葉がキョトンとした表情で顔を見合わせている。
「もぉ~! お姉ちゃんしっかりしなきゃ駄目じゃない~!」
雀はちょっと呆れた様子で烏に激を飛ばす。
雀の目から見ても、烏の戦いぶりは不甲斐なく見えたらしい。
「ええい! 烏では埒が明かん。 代われ、余が直々に相手をしよう」
「ああ、ちょっと公方様! 抜け駆けはいけませんわ!
ここは私、蒲生梅がお相手を務めるべき場面でしょうに!」
そして次は誰が九十郎の相手をするかでモメだした。
誰が相手をするにせよ、一度思い切り精を放ったち〇こが再び力を取り戻すにはまだ少しかかりそうである。
そんな様子に美空と九十郎ははぁ~っとため息を漏らし。
「俺にもう一度格好つけろってか……」
「私にもう一度格好つけろって事……」
ほぼ同時に、同じセリフで蘭丸に文句を言った。
割と思考が似通った2人である。
「はぁ……はぁ……」
烏は九十郎と繋がったまま、大きく肩で息をする。
もしもあと少し、もうほんの僅かでも早くイッていたらどうなっていただろうと思う。
いや、今からでも自分の方が先にイッていたと申告して、九十郎に傅いたらどうなるだろうと思う。
新田剣丞は、自分が他の男の物になるのを見て、どんな表情になるのだろうと考えてしまう。
「光璃! 光璃!」光璃ぃっ!!」
「けんしゅけっ! けんしゅけぇっ!! らめ、らめぇっ!!」
新田剣丞は、変わらず光璃を抱いていた。
光璃の名を何度も何度も呼び、光璃だけを見ていた。
今この瞬間だけは、光璃以外何も見ていない、見えていないかのようだった。
あるいは、この先ずっと烏の事は見ない、見えないのではないかと……そう思ってしまう光景だった。
ああ、いっそ本当に斎藤九十郎の妻になってしまおうかと、烏は思った。
いっそその方が幸せになれるんじゃなかろうかと、烏は思った。
烏がそんな事を考えている間に……
「んんぅ! んんんうぅ! んあああぁぁぁっ!!」
今度は光璃が絶頂した。
光璃の全身が水揚げされた魚のように跳ねて、接合部から愛液がぷしっと噴き出る。
同時絶頂ではない、光璃だけが達していた。
「うぉ、危なっ!! ……良ぉし、今度はギリ成功ぉっ!」
……若干危うい所だったが、いくら蘭丸でも同じミスを2度も繰り返す程抜けてはいない。
今度は小夜叉を愛撫しつつも剣丞と光璃の様子は見ており、絶頂しそうなタイミングで精神集中も行っていたため、光璃の洗脳はギリギリ成功していた。
「剣丞……好き……愛してる……」
光璃が剣丞に口づけをした。
「ああ光璃、俺も愛しているよ」
剣丞は光璃を強く強く抱き返した。
そんな2人の裸の抱擁を、美空と九十郎は冷ややかに見つめていた。
「剣丞、お前それで良いのかよ」
九十郎は悲しそうな表情で呟く。
「光璃は、お前の事が好きだったんじゃないのか。
そんな光璃を洗脳したらよ……光璃の言う『好き』が本心からきたのか、
洗脳して言わせたのか、分からねぇじゃねぇか」
そんな九十郎の悲しそうな声を聞き、剣丞は一瞬だけビクリと動きを止めた。
だがしかし、すぐに光璃から離れて、今度は美空に向き直る。
光璃はほんの僅かに名残惜しそうに手を伸ばしかけるが、すぐに手を下ろして剣丞を見送った。
『欲望を開放しろ』の効力はいつの間にか消えている。
剣丞は再び、自分の思う通りに行動できるようになっていた。
「これでポータルを動かせる者はいなくなった。
未来の世界から武器を仕入れる事は不可能になった。 君の負けだ、美空」
「ええ、そうね……どうやらそのようね」
剣丞に言われるまでも無く美空は既に負けている。
越軍は全滅、自身は捕らえられ、ただ1人ポータルを動かせる光璃は洗脳された。
ここから全てをひっくり返すのは絶対不可能だと察していた。
「どうするの? 今度は私も洗脳するの?」
「それは……」
剣丞は迷う。
既に剣丞は勝ち、美空は負けている。
美空を洗脳せずとも、未来の武器で逆らう者を殺し、乱世を終結させる事は阻止できる。
だが……
「ああ、一応言っとくけど、剣丞がヤらないのなら他の誰かにヤらせるからね」
蘭丸がそう告げる。
剣丞も分かっている。
越軍の総大将である長尾美空景虎を洗脳せずに見逃すのは危険だと。
自分が手を下さなければ、自分以外の誰かが代わって美空を犯し、洗脳するだけなのだと。
後で洗脳を解くにしても、自分の代わりに手を下した誰かは、きっと美空や九十郎に恨まれるのだろうと。
だから……
「分かった、それなら……美空、悪いが今から君を抱く。
君を抱いて、イカさて、洗脳する。
全てが終わったら、必要が無くなったら洗脳は解く、解かせる。
恨んでくれても構わない、だから……」
「この期に及んで余計な言い訳をするな! だから私は貴方が嫌いなのよっ!!」
美空に怒鳴られ、剣丞が竦む。
「ああそうだ……そうだな、俺の悪い癖だ。 美空、覚悟を」
「覚悟ならもうできてるわ、さっさとヤりなさい」
美空は剣丞をキッと睨みつけながら、両足を大きく開いて見せた。
愛液で濡れたお〇んこが晒される。
剣丞は何か言いかけ……ぐっと奥歯を噛み締めると、意を決して男根をワレメに宛がった。
最早何を言っても長尾美空景虎の覚悟への侮辱になると、思い直したのだ。
ずぷん、ぬぷりと美空の処女ま〇こが新田剣丞の男根を飲み込み、咥え込む。
「ん……く、うぅ……」
美空の表情が強張る。
ゆっくりと、ゆっくりと剣丞の肉棒が美空のナカを突き進んでいく。
そして……
「ワオオオオォォォォーーーーッ!!」
美空の処女膜が突き破られようとしたその瞬間、どこからか遠吠えが聞こえてきた。
「……え、犬子? 犬子なの?」
「ああ、犬子の声だ」
美空と九十郎はすぐにピンときた。
今の声は犬子の声だと気がついた。
その声が聞こえてきた理由は分からないが、犬子はまだ諦めていないと、犬子はまだ戦っているのだと直感的に理解できた。
「アオオオオォォォォーーーーンッ!!」
そして再び遠吠えが聞こえてきた。
「し……の……? 詩乃なのかっ!?」
その声を、剣丞は何故か詩乃の声のように思えた。
詩乃の叫びのように聞こえた。
『私は戦っている』『私は抗っている』と伝えようとしているように聞こえた。
「九十郎、私と貴方って結構似ている所があると思わない?」
……美空が独り言のように呟いた。
「……ん? ああそうだな」
「じゃあ、私が考えている事、分かるかしら?」
「俺と同じ事じゃねぇの?」
「うん、たぶん正解よ」
そして美空は、九十郎は思った……
「(犬子がまだ頑張ってるってのに、私が先に諦めてどうするのよっ!!)」
「(犬子が諦めてねぇならよっ! 俺が先に諦める訳にゃいかねぇよなぁっ!!)」
一度は完全に折れた美空と九十郎の心に、闘志という名の炎が灯った。
「本当に……本当に正しいのか、これが……
こんなやり方で戦いを納めて、俺は詩乃に……詩乃に勝ったよって言えるのか……」
一方剣丞は、一度は完全に振り払った迷いに再び囚われていた。
詩乃の叫び声が、自身に対する叱責のように聞こえてしまったのだ。
その迷いが、心の隙になって美空に逆転の好機を与えていた。
「剣丞、さっきはああ言ったけど、やっぱり他人に心を明け渡すのは死んでもゴメンよ。
だから今から自害するわ」
そう言って美空は、自身の舌を噛み千切り……
「……だ、駄目だっ!!」
……噛み千切る寸前、剣丞は慌てて美空の口の中に手を差し込む。
次の瞬間……
「(ありがとう……
私の命を心配してくれてありがとう、私の口に手を突っ込んでくれてありがとう)」
美空は心の中で剣丞に礼を言うと、差し込まれた手を全力で噛んだ。
「いっだぁっ!!」
いくら剣丞がイケメンでも、全力で手を噛まれたら普通に痛い。
思わず手を引き、身体を引き、美空の側から離れてしまった。
「九十郎ぉっ!! 私は逃げるわっ!!」
即座に美空は立ち上がり、蘭丸や九十郎がいる方向とは逆方向に駆け出した。
「逃げろ美空っ! 全力で逃げろぉっ!! 後の事は気にすんなっ!!」
九十郎は見捨てられたとショックを受ける訳でも無く、むしろ美空を後押しするような事を言う。
蘭丸も、蘭丸の護衛達もしばらくあっけに取られるも……
「ば、馬鹿! 何やってるんだ! すぐに追いかけろっ!!」
流石に数秒もしない内に我に返り、ダッシュで逃げ出した美空を追いかけた。
美空はたった1人、素っ裸で、武器も何も持っておらず、両手は頑丈な麻縄で縛られ、しかも御家流の使い過ぎで疲弊している。
普通に考えれば、ものの数分もしない内に取っ捕まって連れ戻されるのがオチである。
が……
……
…………
………………
「いやぁ、捕まっちゃったし」
……数分後、蘭丸の護衛達に捕まって戻ってきたのは姫野であった。
「な・ん・で・だあああぁぁぁーーーっ!!」
蘭丸の渾身のツッコミが響き渡る。
「お前ら何でこんな取違いができるんだよっ!!
髪型とか体格とか全然違うだろ! 馬鹿なの! お馬鹿なのぉっ!!」
「蘭丸様、蘭丸様、洗脳された人の知力は~?」
「ハイそうです! 私と同じくらいにまで下がります! つまり私がお馬鹿ですっ!!」
流石の蘭丸も頭を抱える事態である。
「い、いえその……く、暗くて人が見えにくくて、ですね……」
「す、素っ裸の女が他にいるとは思わずに……」
「両手も縛られて、逃げ回っていたので、その……」
美空を追っていた男達が口々に言い訳の言葉を零す。
「おい、お前は何でこんな所で素っ裸でうろついていたんだ?」
「肛門日光浴だし」
「……は?」
「お尻の穴に朝日を浴びせると健康になれるって聞いたから試そうとしてたし。
そしたら変な奴らが押しかけてきて、慌てて逃げようとしたら捕まったし」
「嘘つけぇっ!! 心を読まなくてもそれが嘘だって事くらいは分かるからなぁっ!!」
蘭丸は血管が浮き出る程に叫びまくるが、もう遅い。
どんなに叫んでも逃げ出した美空が戻って来ることは無い。
「ああもう……良いや。 今更あいつ1人逃したところでどうにもできないだろ。
おい、その忍者はふん縛ってその辺に転がしておけ。 十分に回復したら洗脳するから」
蘭丸は全てが面倒臭くなり、思考を放棄した。
蘭丸の護衛達はそれに口を挟む事無く、姫野を麻縄で縛って放置する。
そしてその時……
「(あれ……俺の拘束、切れ目が入ってないか?)」
九十郎は自身の両手を縛る麻縄に切れ込みがあるのに気がついた。
縛られた直後は切れ込みは無かったが、いつの間にか麻縄は今にも千切れそうな状態になっていた。
「(もしかして……小波も来てるのか……?)」
九十郎が周囲を見回すが、どこにも小波の姿は無い。
しかし、他にこんな真似ができそうな人物に心当たりも無かった。
「(姫野が注意を引きつけている間に、こっそり近づいて俺の拘束を……
ありがてぇっ! 心の底からありがてぇっ!!
これなら全力引っ張れば千切れる! 両腕が使えればできる事は格段に増える!
しかも俺以外は切れ込みに気がついてねぇ! 不意打ちも狙えるって事だ!)」
九十郎は運が向いて来たと感じた。
少なくとも、このまま諦めるという選択肢は既に消失している。
「(蘭丸、さっき俺を仕留め切れなかった事、後悔させてやるからなぁっ!)」
あるのは全力で抗ってやるという決意だけだ。
さらに……
「_(関節を外して、腕の形状を変える! 痛みは呼吸法で和らげる!
良し、隙間ができたし。 こんだけ隙間があれば縄抜けなんて楽勝だし)」
……姫野が縄抜けを試みている事に気がつく者もいなかった。