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ID「948ffbd7」
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前話、第170話にはR-18描写がありませんので、通常版に投稿しています。
第170話URL「https://syosetu.org/novel/105831/117.html」
次話、第172話にはR-18描写がありませんので、通常版に投稿しています。
第172話URL「https://syosetu.org/novel/105831/118.html」
注・原作キャラが洗脳、凌辱される描写があります。
「ワオオオオォォォォーーーーッ!!」
犬子が吠えた。
「アオオオオォォォォーーーーンッ!!」
詩乃が吠えた。
そして犬子と詩乃の反撃が始まった。
自身と嚙みついた相手を犬に変え、操る能力は織田軍相手に非常に効果的だった。
普通の人間は、素手で野犬の群れに勝つ事はできない。
一度でも噛まれれば即座に犬に変えられ、敵の頭数に加えられてしまうのであれば猶更だ。
鎧や兜を着込んでいれば、文字通り歯が立たなかっただろう
槍や弓矢、鉄砲や投網といった武器を持ち込んでいれば、相応に対抗することができただろう。
しかし、今の織田軍は誰も鎧を着けておらず、脇差のような最小限の武器しか持っていない。
何ヶ月か戦闘訓練を一切やらず、毎日毎日セックスの練習ばかりやっていたため、今の織田軍は弱卒を超えた超弱卒。
先程までは織田軍が優勢、越軍が劣勢……いや、敗北寸前の状況であったが、今度は織田軍が圧倒的劣勢に立たされるようになった。
最初は犬子と詩乃の二匹だけだった野犬が十匹を超し、百匹を超し、群れが千匹に届く頃には、織田軍の士気は完全に無くなり、全員が怯えながら逃げ惑う潰走状態になっていた。
「な……何なのだ、これは! どうすればいいのだ!?」
そんな中で、織田久遠信長は狼狽し、思考停止し、呆然としていた。
久遠は織田信長である。
普段の久遠であれば、野犬の群れに襲われた程度で狼狽えたりはしない。
すぐに効果的に反撃する手段を思いつき、実行に移していただろう。
怯む将兵達を鼓舞し、潰走状態になるのを防いでいただろう。
万一それができなくとも、被害を最小限に抑えながら統制の取れた退却を行う事は十分に可能だった。
「く、うぅ……ええいっ、来るな! 来るなぁっ!!」
だがしかし、久遠は驚き慌てながら、何も考えずに闇雲に刀を振るうだけだった。
森蘭丸は恐ろしく強力な洗脳能力を持つ鬼子である。
しかし、森蘭丸には弱点が3つ程ある。
1つ目の弱点は、蘭丸に洗脳された者は知力が蘭丸と同程度にまで落ちる事だ(第155話)。
戦闘に関する常識だけ改変され、他はそのままという軽微な洗脳であれば知力低下も軽微であるが、記憶の全て、人格の全てに手を加えるガチ洗脳を受けた者は顕著な影響が出る。
織田軍には織田信長がいる。
柴田勝家がいる、丹羽長秀がいる、滝川一益がいる、佐々成政がいる。
いずれも歴史に名を残す名将、勇将、猛将ばかりである。
誰一人として犬子の御家流に対抗できないのは、全員蘭丸に洗脳され、蘭丸と同程度にまで知力が落ちているからに他ならない。
なお、犬子の御家流で犬に変えられた者は、本人も含めて犬と同程度にまで知力が落ちてしまう(第56話)。
知能低下という弱点は犬子の御家流も似たようなものなのだ。
何にせよ、蘭丸と同レベルにまで知力低下という強烈なデバフに、数か月間軍事訓練そっちのけでエロ技術の練習だけしていた事による身体の鈍りが重なり、織田軍はまともに戦う事もできずにいた。
そして……
「はぁ、はぁ……」
久遠の消耗は限界に達しようとしていた。
犬になった元織田兵の襲撃から三度逃れる事に成功したが、その度に彼女の気力と体力は磨り減り、護衛の数も減っていた。
「グルルルルゥ……ウガウゥッ!!」
……そしてそこに、前田犬子利家が追いついた。
犬に変化し、文字通り野獣の如き俊敏性を身に着けた前田利家。
何ヶ月も戦闘訓練を怠り、極度に消耗し、思考停止し、やみくもに刀を振り回す織田信長。
戦えばどちらが勝つか、火を見るよりも明らかだ。
手にした刀は後に『へし切長谷部』と呼ばれる名刀であったが、どんな名刀も当たらなければ棒きれと変わらない。
「ワゥンンッ!!」
「しまっ……ぐああぁっ!」
……こうして織田軍は総崩れになり、総大将・織田久遠信長までも討ち取られてしまうのだった(死んではいません)。
……
…………
………………
「なぁ、さっきから犬の鳴き声が聞こえないか?」
一方その頃、越軍本陣を襲った織田軍の一兵卒がそう呟いた。
「……うん? まあ、聞こえるが、どうした?」
「いや、ちょっと多いなって」
彼等は知らない。
ポータル奪取に向かった久遠達が野犬の群れに襲われ、総崩れ状態になりつつあるのをまだ知らない。
だがしかし、急に何度も聞こえてくるようになった犬の遠吠えに、若干の不安がよぎっていた。
「それよりお前、何人討ち取った」
織田兵が下品な笑みを浮かべながら同僚にそう問いかける
「……聞くな」
「はっはっはっ! 運の無い奴だな。
いや、精強と噂の越軍がああも情けないとは思わなんだ。
当たってみれば鎧袖一触、手柄の立て放題とはこの事よ」
織田兵がげらげらと笑う。
見ればその傍らに、この男に犯され、イカされ、僕となって仕える事を誓わされた女性がいた。
秋子や松葉のように後世に名前が伝わるような名将・勇将の類ではないが、立派な武士の家系の生まれであり、流民や農民も同然の一兵卒と比べれば天と地程も身分の上下がある女であった。
そんな高貴な生まれの女をモノにする事ができて、男は満足げに鼻を鳴らす。
そしてそんな下品な笑みを浮かべる男達にこれから媚び諂うのかと、その女武者は歯噛みをするのだ。
「おい見ろよ、あっちは大盛り上がりだぜ」
「ああ、羨ましい限りだ」
そして大勢の織田兵が見つめる先で……秋子、松葉、そして貞子が一糸纏わぬ裸体を晒していた。
顔も、乳房も、お〇んこも隠す事を許されず、まるで女体の品評会にでも無理矢理出させられたかのようだった。
「直江秋子景綱と申します。 この度、戦に敗れ織田家に降伏いたます。」
そして秋子が全裸のまま地べたに膝をつき、額を擦りつけ、土下座をした。
「甘粕松葉景持……降伏する……」
松葉が全裸のまま深々と土下座をした。
「……右に同じく。 え? これでは駄目ですか? はいはい分かりましたよ。
小島貞子貞興、降伏すので煮るなり焼くなり犯すなり好きにしなさい」
そして貞子も男達の前にひれ伏し、自身をイカせた相手との婚姻と、絶対服従を誓った。
本当に本当に不機嫌そうに、本当に本当に不満そうに。
そして秋子、松葉、貞子の3人は男達の前に並んで座り、M字開脚をしながら、くぱぁとお〇んこを広げて見せた。
「こ……降伏の証として、どうぞ中出しをしてください」
「これから先、いつでも抱きたい時に抱き、
いつでも射精したい時に中出しをしても構わない」
「私は気の利いた事なんて言えませんよ、スルならさっさっとしなさい。
全く不愉快な……本当に不愉快……」
3人が自身をイカせた男達に、それぞれ挿入を促した。
戦場で後れを取った……ただそれだけ、たったそれだけで好きでも無い男に裸体を晒し、自らを差し出さなければならないのかと、3人は内心苦痛と屈辱で一杯だ。
「……ふ、あぁあ!」
「く……ん、んんぅ!」
「あんぅっ……ちっ、本当に腹立たしい……」
ずぶんっ! 3人の男達が無遠慮に、強引に秋子達に挿入をする。
おおおっ! と、見物する織田兵達の間で称賛や羨望が含まれたどよめきが起きる。
不満を隠す気が無い貞子はもちろん、表面上は従順にしていた秋子と松葉も、挿入の瞬間だけは一瞬、屈辱に顔を歪ませる。
「あ、あぁ! あんんぅ! く、あぁ……き、気持ち良い……」
「ふぅ、ふうぅ……んんぅ! ふ、あぁあっ! あぁ! んんぁあっ!」
「こ、こら……んあぁぁっ! あ、あぁぁっ! そんな激しく……うあぁぁっ!!」
3人の女達から喘ぎ声が漏れ始める。
戦場で行うような全力でイカせにかかるセックスでなく、自身が膣内射精するためのセックスであったが、それでも蘭丸のエロ特訓で無駄に技巧が上がった織田兵達は、無意識の内に女が悦ぶポイントをしっかりと押さえていた。
「あ、んんぁあ! や、やめ……んあぁあぅあぁ! ああぁぁっ!」
「い、いくぅ……んあぁっあぁっ! ふあぁぁっ! ま、またイク……んんぅあぁっ!」
「やぁぁっ! あ、あぁぁっ! こ、こんな奴にまたイカされ……あぁっ!
こ、腰が浮いて……ふぁぁっ! あぁぁあっ! あん、あぁぁんぁぁっ!!」
徐々に喘ぎ声が大きくなっていく。
3人を犯す男達も興奮し、股間の肉棒をガチガチに勃起させる。
射精の瞬間が徐々に近づいてくる。
本来なら愛する男性にだけ見せるべき快楽に染まった顔を、愛する男性にだけ聞かせるべき喘ぎ声を、見ず知らずの男達に晒す苦痛に、屈辱に、そして同時に下腹部からもたらされる耐え難い快楽に、秋子達3人は心の中がぐちゃぐちゃにかき混ぜられるのが分かった。
これから一生この屈辱に耐えなければならないのかと思うと、即座に自殺をしたくなる。
そして……びゅるるっ! びゅるるるっ!! と無慈悲な膣内射精が行われる。
秋子の、松葉の、そして貞子の子宮に濃厚な精液が注がれる。
自身の矜持が、武士としての誇りが、汚らしいもので侵されたような不快感を覚える。
「あ、ありがとう……ございました……
これから生涯をかけて、貴方様の妻として支えさせて頂きます」
「ふぅ、ふうぅ……こ、これを降伏の証とします。 どうぞご見分を」
「お、終わったのならさっさとどきなさい。 こんなの、見世物じゃあるまいし……」
秋子、松葉、貞子、3人の女達から男根が引き抜かれる。
べちゃりと醜悪な白濁液が漏れ出し、地面を濡らす。
彼女達の心中は屈辱と嫌悪感で一杯だ。
今すぐに眼前の男を八つ裂きにしてやりたい衝動に駆られるが、戦で負けた者として、結果が不服だからと降伏した直後に暴れ出す訳にもいかない。
そんな無茶ができるのは、愛する人から贈られた笄を盗られたからという理由で主君のお気に入りの茶坊主を主君の目の前で斬殺するようなTHE・非常識だけである。
さておき、ここまでの出来事だけでも3人にとっては地獄のような責め苦であったが、これから今以上の……特に秋子にとっては我が身を犯される事すら遥かにマシと思えるような出来事が待っていた。
下卑た笑みを浮かべる織田軍の将兵達の前に、2人の少女が……いや、幼女と言っても違和感の無い外観の2人が引き出されたのだ。
「長尾景勝……通称は空……う、うぅ……」
「え、越後きっての義侠人! 樋口愛菜兼続ですぞ!
織田軍に降伏してやるから、ありがたく思うのですぞ!」
長尾空景勝と樋口愛菜兼続……長尾家の当主であり越軍の総大将でもある長尾景虎の養子と、長尾家の重臣たる直江景綱の養子であると同時に、その才覚を見込まれ、幼くして空の側近として取り立てられている才女の2人が、降将として、あるいは織田軍の戦利品としてお披露目される番が来たのだ。
空も、愛菜も、布切れ一つ与えられず、幼き肢体の全てを衆目に晒している。
その余りの恥ずかしさに、屈辱に、空は早くも涙を零していた。
愛菜は表面上だけは普段通りのドヤ顔対応ができているように見えて、良く見れば声が震えていた、膝や肩も震えていた。
その内心は見知らぬ男に抱かれ、主として仕えなければならなくなる事への絶望と悲観で一杯だという事は明らかだった。
下種な視線を浴びせる織田の将兵達にそれが伝わっているかは微妙だが、少なくとも秋子達3人には空や愛菜の不安と苦痛、恐怖を我が事のように感じていた。
「空様……あ、愛菜……」
秋子は自身が犯された時の何倍も、何十倍もの衝撃を受けていた。
心臓がギリギリと締め上げられるような痛みを覚え、眩暈と吐き気と悪寒がした。
怒りで自分を見失いそうにそら思えた。
「不愉快な……ああ、本当に腹立たしい……」
シャキン! カチンッ!
シャキン! カチンッ!
シャキン! カチンッ!
何度も何度も金属音がする。
貞子は目の前の悪趣味な光景の眺めながら、無意識の内に愛刀・朝貌に手を伸ばし、何度も何度も抜いては戻し、抜いては戻しを繰り返していた。
その行動に意味は無い。
戦に負けて降伏しておいて、腹が立つからと、不愉快だからと勝った相手に斬りかかる程の常識知らずではない。
それは戦争に負けておいて講和条件が気に入らないと言って桓公に刃を向けて脅迫した曹沫と同じレベルの暴挙だと理解している。
シャキン! カチンッ!
シャキン! カチンッ!
シャキン! カチンッ!
今の貞子にできる事は、こうやって抜刀と納刀を繰り返し、自身の苛立ちを誤魔化すだけだ。
「いつまで突っ立ってるんだ! さっさと跪いて股を開くんだよっ!!」
「きゃぁっ!」
「空様っ!?」
織田兵の1人が空を文字通り足蹴にして、半ば無理矢理尻餅をつかせた。
愛菜も倒れそうになった空を支えようとして、支えきれずに転倒した。
普段なら即座に切り捨てられるような暴挙だが、足蹴にした男はつい先ほど空を犯し、イカせた男だ。
今の空達の常識に従えば、この男には空を足蹴にして、屈服させる正当な権利がある。
「わ、分かり……ました……く、ううぅ……」
空は震える手を自らの秘所に伸ばし、くぱぁっと大きく広げて見せた。
本来は愛する男性以外には決して見せないその場所を、見知らぬ大勢の男達に晒す屈辱に、空は再び涙した。
「おい広げただけじゃ駄目だろうが! 越後の女は降伏の作法すら知らないのか!?」
空を犯した男が怒鳴りつける。
「ひっ!」
また蹴られるのでは、いやそれ以上の暴力を受けるのではと、空が委縮してしまう。
頭の中では、先ほど秋子達がしたように、降伏する事、降伏の証として膣内射精をさせる事を宣言しなけれいと分かっていた。
分かってはいたが……
「(え……あ……な、何で……声が……声が出ない? 声が……だ、出せない……?)」
気がつけば空は、何を喋ろうとしても全く声が出なくなっていた。
緊張からか、恐怖からか、怒りからか、強烈なストレスが空の神経すらも委縮させ、声帯を上手く動かせなくさせていた。
「長尾空景勝とその家臣樋口愛菜兼続っ! 織田軍に降伏するですぞっ!
降伏の証としてこれから膣内射精するところをお見せするですぞぉっ!!」
そんな空の様子から何か異変を察した愛菜が、本来空が言うべき言葉を早口で宣言する。
そして空に向けられる下卑た視線が少しでも減るようにと、自分ができる精一杯の煽情な仕草で、自らのお〇んこを開いて見せた。
織田兵の視線が愛菜のお〇んこに集まり、羞恥と緊張で頭がかあぁっと熱くなる。
「ぐ、うぅ……こ、この越後きっての義侠人、樋口愛菜兼続の降伏姿!
滅多に見られるものではないのですぞ! 刮目しろですぞぉっ!」
本当は顔から火が出る程に恥ずかしかった。
見知らぬ男に抱かれるのは、身悶えする程に屈辱的だった。
いっそ死にたくなる程の苦痛だった。
本当はこんな真似、したくはなかった。
だけど愛菜は、美空からその才覚を見込まれ、その将来性を見込まれ、空の側近として取り立てられた者なのだ。
美空からの期待に少しでも応えるべく、空の苦しみを少しでも取り除くべく、堂々と裸体を晒し、艶姿を晒す決意をした。
「その覚悟は良し。 ではいくぞ……」
愛菜をイカせた男が、その幼き身体に覆いかぶさり、膣口に男根を宛がった。
「恥をかかせおって。 おい、早くこっちに股を開け」
空をイカせた男が強引に脚を開かせ、同じく膣口に男根を宛がう。
「……んんぅっ!」
「ふぁあぁっ!」
空と愛菜は同時に、膣肉の奥深く、子宮口に届くまで一気に刺し貫かれた。
そして先ほど秋子達3人がされたのと同じく、精を放出するための乱雑なセックスが行われる。
「やぁっ! や、やだぁっ! 駄目、あぁっぁあ!
ああぁっ! ふぁぁあ、あぁあっ!!」
空が喘ぎ声を漏らす。
先程は上手く声帯を動かせなかったが、それでも喘ぎ声は出てしまう。
それは生理的な反応なのだろうが、メスの身体を持って生まれたが故の反応なのだろうが、好きでも無い男に喘がされることへの抵抗感は消えなかった。
「く、あぁあっ! ふぁぁあっ! あ、あぁあっ! あん、あぁぁぁんんぅ!!」
愛菜もまた喘ぎ声を漏らす。
空を守るためにも、ほんの少しでも心の苦しみを和らげようとして、織田の将兵の注意が自分に向くように喘ぎ声をあげた。
本当は吐き気がする程に苦しく、泣きたくなるくらいに屈辱的で、怖気が走る程に悲しかったが、愛菜はそれら全てを噛み殺し、必死に喘ぎ声を出していた。
シャキン! カチンッ!
シャキン! カチンッ!
シャキン! カチンッ!
貞子が抜刀と納刀を何度も何度も繰り返す。
心なしか、抜刀と納刀の速さが少しずつ増している。
それはまるで貞子の内心の不快感に連動しているかのようだった。
「や、やだ! 嫌あぁっ! だ、誰か……んんぅ! あっぁあっ! あぁぅああぁ!」
空が喘ぎ声を漏らす。
口では嫌だ嫌だと喚きながら、その股座からはぐっちゅ! ぐっちゅ! と愛液が掻き混ぜられる淫靡な音を響かせていた。
「く、空様ぁ……あぁっ! や、やめ……んんぁぁっ! ああっぁっ! ふぁぁあっ!」
愛菜も乱雑で乱暴なセックスに翻弄され、演技ではなく甘え声が漏れ始める。
まだ幼く、セックス経験も皆無な彼女には、全身を貫くメスの快楽にどうすれば良いのか分からず、ただただ翻弄されるだけである。
「(嫌だ、こんなのは嫌だ……誰か、誰か助けて……)」
空は心の中で、助けを求めていた。
「(う、うぅ……我慢、我慢しなくては……だ、だけど……)」
愛菜は負けたのだから仕方が無いと自分に言い聞かせ……それでも……
「(は、母上……母上ぇ……)」
……それでも心の中で、母親に助けを求めてしまった。
この時点で愛菜はX歳、戦国時代に価値観であったとしても、まだまだ子供と言っても良い年代だ(この小説に登場する人物は全員20歳以上です)。
窮地に陥り、凌辱される中で、思わず母に助けを求めて誰が責められようか。
愛菜の頬に一筋の涙が伝った。
「あ、愛菜……愛菜ぁ……」
愛菜の涙に秋子は気づいた。
養子とはいえ、我が子として守り育てた幼き少女が、自身に助けを求めているのが直感的に理解できた。
理解できた……だがしかし……
「(た、助けなきゃ。 私があの子を守らなくちゃ。 だけど、だけど……)」
だがしかし、秋子にはどうする事もできない。
愛菜達は真っ当な戦いで敗北したのであり、愛菜達をイカせた男達は勝者としての正当な権利として、空や愛菜を抱いているのだ。
「う、うぅ……ど、どうしたら……どうすれば……」
悔しさに歯噛みしながらも、秋子にはどうする事もできない。
彼女が主君のお気に入りの茶坊主を主君の目の前で斬殺するようなエピソードが残るような性格ならばともかく、直江景綱にはそんなトンチキエピソードは残っていない。
男達の動きが早くなっていく。
もうじき、空や愛菜の膣内で射精に至るだろうと秋子には分かった。
だけど、それでも、秋子にはどうする事も出来なかった。
どうする事もできないと絶望しかけたその時……どこからともなく声が聞こえてきた。
『越軍の全員に告げる! 繰り返す、越軍の全員に告げる!
私は長尾家当主にして、越軍の総大将、長尾美空景虎よっ!!』
その声は、主君の……ついさっき織田軍に降伏したので元主君かもしれないが、とにかく秋子達にとって身近な人物の声だった。
秋子達はこの場にいない美空の声がどうして聞こえるのかとぎょっとした。
何度か周囲を見渡して……江戸出征が始まる前に渡された片眼鏡型のデバイスから声が聞こえるのだと思い至る。
離れた相手と会話する機能があると説明は受けていたが、イマイチ使い方が理解できず、今まで放置していたため、気がつくのが遅くなった。
『たぶん凄く非常識だと思うだろうけど、聞きなさい!
貴方達は今、一人残らず常識を書き換えられているわ!
森蘭丸という鬼子に洗脳されているのよ!』
美空からそんな呼びかけがされる。
越軍の者達にどよめきが起きる。
『皆は今、戦争のやり方は男女で交わって……つまり、こう、えっと……
要するにお〇んちんをアソコに突っ込んで腰を振る行為を戦いだと思っているわ!
先に絶頂した方は、絶頂させた方に服従しなければいけないと思っているわ!
だけどそれは、どっちも蘭丸が植え付けた偽りの常識! 偽りの知識なのよ!』
……急に美空の声が訳の分からない雑音のように聞こえ始めた。
犬子達が詩乃の秘策袋を読めなかったのと同様に、蘭丸の常識改変を受けた者は、植え付けた常識に真っ向から反する文字は読めず、声も聞こえなくなる(第160話)。
しかしそれでも、美空はオープン回線で越軍に声をかけ続ける。
『皆の中には、織田軍にイカされて、降伏している者も多いでしょう!
だけど、大人しく降伏してやる必要なんてどこにもない!
だから命じる!だから命令する! 全ての越軍に対し、長尾景虎が命じるわ!
武器を取れ! 敵を殺せぇっ!! 殺せええぇぇーーっ!!』
それは秋子達の常識に真っ向から反する命令だった。
少しでも人が死なないようにという蘭丸の願いを踏みにじり、他者を人殺しに駆り立てる悪魔の囁きであった。
仮に世の中を善と悪で二分するのすれば、間違いなく悪寄りの誘導であった。
だがしかし……
「み、美空様……愛菜……」
秋子が虚ろな目で、夢遊病にでもなったかのようにふらつきながら、傍に落ちていた短刀に手を伸ばした。
越軍の大部分の者達に、美空の言葉は届いていない。
越軍の大部分の者達には、美空の声は意味の分からない雑音のように聞こえている。
だがしかし、本気で、本心から、全力で、美空の声を聞こうとした者には、美空の声を聞きたいと願った者には、ごく僅かではあるが美空の言葉が聞こえていたのだ。
「武器を取る……敵を殺す……殺す……こ、殺す……」
短刀を鞘から抜いた。
これを敵に……愛菜を辱め、苦しめる男に突き立てれば、もう後戻りはできない。
その行為は武士の常識、戦争の常識に真っ向から反する恥ずべき行いだ。
本当にこんな真似をして良いのだろうかと、何度も何度も自問自答する。
「う……うわああぁぁーーっ!!」
その上で……秋子は愛菜を犯す男の胸に、心臓に、短刀をブスリと突き刺した。
「あ……がぁっ!?」
男は何をされたのか理解できなかった。
片眼鏡型の珍妙な物品から何やら雑音のような音が聞こえてきたと思えば、急に降伏した越軍の女が刺してきたのだ。
秋子は青ざめた顔で、全身をガタガタと震えさせながら、荒い呼吸で、男を見つめている。
「は、恥ずべき事をしてるのは理解しています……
全てが終わったら甘んじて罰を受けます。 腹を切るのも斬首されるのも覚悟します。
だ、だけど美空様が……美空様が殺せと命令したから……
ううん、違う、そうじゃない……一番大事なのはそうじゃなくて……」
ぜぇはぁと荒い呼吸を必死に整えて、震える肩を必死に抑えて、秋子は男をキッと睨む。
「あ、愛菜を嫁にしたいなら、本当に愛菜を嫁に貰いたいなら……
愛菜を泣かせるな! 私の大事な娘を泣かせるな! 馬鹿ぁっ!!」
……それは、秋子の偽りの無い本心であり、男を刺殺した最大の理由であった。
「がはっ!」
秋子が短刀を引き抜く。
心臓に大穴が穿たれ、血流が一気に流れ出す。
周囲に鮮血が迸り、秋子の全身が血で真っ赤に染まった。
「は、母上……母上、なんで、どうして……」
禁忌とされる人殺しをした母親に対し、愛菜が心配そうな眼差しを向ける。
秋子はそんな愛菜の頬をそっと撫で、もう一度短刀を強く強く握り直す。
「大丈夫、大丈夫、後で私が腹を斬ればそれで済む事。
愛菜には類が及ばないようにするから、大丈夫……」
「そんな、それでは……それでは母上が……」
「酷い事をしたのは分かっています。 恥知らずな真似をしているのも分かっています。
だけどね愛菜。 愛菜が泣いているのを見たら、身体が勝手に動いていたのよ」
秋子は既に、自身の生存を諦めている。
同胞を殺された織田軍に斬られるか、そうでなくとも後日切腹を命じられると理解している。
それでも愛菜を犯し、辱め、泣かせた男を殺した点については、一点の後悔も無かった。
「おのれ狼藉者めぇっ!!」
織田軍の1人が、刀を抜いて駆け寄って来る。
秋子は避けない、逃げようともしない。
自身がたった今、問答無用で斬られても仕方ないような恥知らずな真似をした自覚があるからだ。
そして怒りに燃える織田兵が秋子に斬りかかる寸前、シャキン! カチンッ! と抜刀音と納刀音がした。
直後、再び周囲に鮮血が迸り、秋子の……ではなく、斬りかかってきた織田兵の首がぽーんと宙を舞っていた。
「……おっといけない、ついうっかり斬り殺してしまいました。
だけどまあ、先に抜いたのはそっちなので、正当防衛ってヤツですよね。
だから私は悪くない。 私は悪くない」
貞子が満面の笑みを浮かべながら、顔についた血を手で拭う。
自身の両手が血で真っ赤になるのをどこか楽しそうに見つめていた。
「ひ、ひ……人殺しぃっ!!」
「うわぁっ! うわああぁぁーーっ!!」
「に、逃げろぉ! 人殺しだぁっ!」
織田軍の誰かが悲鳴を上げる。
こうなるともう降伏の作法もへったくれもなく、中出しセックスも続けられない。
逃げる者もいた。
訳も分からずに剣を取り、やたらめったら振り回す者もいた。
巻き込まれて戦わざるを得なくなった者もいた。
ごく少数ではあるが、嬉々として武器を振るい、弱卒の癖に偉そうな顔をして中出しセックスをキメていた織田軍を次々と殺傷する者もいた。
織田軍も越軍も、大混乱の渦中に叩き込まれた。
そして……
「(愛菜の……愛菜のお母さんが、助けに来た……
私のお義母さんは助けに来てくれなかったのに……)」
空の心に深い深い心の傷が入った事に、気付く者は居なかった。
……
…………
………………
「……そうだ、とりあえず姉さんを愛でて落ち着こう」
美空に逃げられ、慌てて追いかけさせたら何故か風魔小太郎を捕まえて戻ってきた。
そんな状況で蘭丸が下した判断は物凄く呑気で、物凄く的外れなものであった。
森蘭丸には弱点が3つ程ある。
森蘭丸は恐るべき洗脳能力を有する鬼子であるが、本人の能力自体は歴史に名を残す勇将、知将と比べられるようなものではない。
その上、一度でも『もう勝ったも同然だ』と思うような戦況に置かれると、途端に油断しまくる悪癖もあった。
この悪癖こそが、蘭丸の弱点の2つ目である。
何せ彼女は、『死因・本能寺の変』と歴史書に記される森蘭丸なのだから。
「く、やめ……やめろぉっ! んんぁぁっ! く、あぁぁっ!」
小夜叉が喘ぎ声を漏らす。
蘭丸が本気を出せば、一突きで過剰快楽によって人格を崩壊させるような強烈ち〇こを用意する事もできるのだが、今回はそこまではしない(第137話)。
折角の姉妹の語らい(セックスだが)を、少しでも長く楽しみたいが為だ。
「ほら姉さん、ここが気持ち良いんだろう? 分かるよ」
「そ、そんな事ぉ……んんぅ、あ、ああぁぅあ! や、あぁぁぁあっ!!」
蘭丸の愛撫に小夜叉は成す術も無く喘ぎ続ける。
小夜叉は後に鬼武蔵とか、戦国DQN死天王とか呼ばれ畏れられるような猛将であるが、セックス上手とは伝わっていない。
他人の心を読み取り、自らの肉体を自在に操作できる森蘭丸相手にセックス勝負となれば、元より小夜叉に勝ち目など全く無いのだ。
「じゃあ、そろそろ挿れようか」
「く、うぅ……ま、負けねぇからな……んあっぁあっ!!」
ずぶり、と蘭丸の疑似ち〇こが挿入される。
ソレは蘭丸が肉体操作の能力を駆使して、それっぽく造形しただけの見せかけの男根であるが、女性をイカせるには十分すぎる凶器となる。
「や、やめ……あ、あっぁぁあっ! ふぁぁああっ! く、くそぉ、このまじゃ……
あ、あぁぁっ! ふあ、ふぁぁぁあっ! あ、ふぁぁぅあああっ!!」
じゅっぷ、じゅっぷ、じゅっぷと、蘭丸が腰を前後に振る度に、いやらしい水音が周囲に響く。
小夜叉は成す術も無く喘ぎ続ける。
小夜叉がイキそうになると動きと止め、少し落ち着いたらまた絶頂寸前になるまで攻め続ける。
それを何度も何度も繰り返し、時間をかけて行為を楽しんでした。
なお、そんな事をしている間に織田軍が酷い事になっているのは、前回から散々描写しているので割愛する。
「……なあ、こんな事をしていても良いのか?」
散々時間を浪費した後、剣丞が不安そうにそう聞いてくる。
逃げ出した美空を放置するのが流石に心配になってきたのだ。
「大丈夫大丈夫、越軍は大体降参してて、そろそろ全滅した頃合いだろうし。
いくら美空って娘が上杉謙信だからって、丸腰じゃ大した事はできないよ。
大江戸学園って所に繋がるのに必要なポータルもこっちで抑えてるから、
もうこっちの勝ちは揺らがないって」
蘭丸はへらへらと笑いながらそう返す。
蘭丸の情報は、洗脳してテレパシーでつながった織田の将兵から得た正しい情報であったが、少々古い。
今は犬子の御家中と美空の呼びかけによって反撃を受け、織田軍全体が大パニックになっている。
「さっきから何度も何度も犬の遠吠えが聞こえてきて、不安になってるんだけど」
「犬の一匹や二匹、どうとでもなるから大丈夫だよ」
蘭丸はこう言うが、織田軍は千匹を超える野犬の群れに襲われている。
そして蘭丸は剣丞の言葉を無視して、再び小夜叉の愛撫に戻る。
織田軍の誰かにテレパシーで報告を求めれば、現在進行形の苦境を知る事は容易であったのだが、ここまでの激戦で超能力を使い過ぎ、疲弊した今の蘭丸にとっては、テレパシー交信すらも億劫になっていた。
時間をかけて、時間をかけて……盛大に盛大に時間を浪費しながら、蘭丸は小夜叉との交合を楽しんでいた。
そして……
「ん……あれ……? 久遠の気配が消えた?」
……蘭丸が異変に気がついたのは、織田久遠信長が犬子の牙にかかり、犬に変えられた後となった。
先程も書いたが、蘭丸は自身が洗脳した者とテレパシーで交信する事が可能だ。
急にテレパシーを繋げられなくなるのは、交信先となる者が死亡するか、何らかの理由で洗脳の影響下から脱却した時だけである。
「え? 噓でしょ!? 何が起きてるの!?」
テレパシーの交信先となる者が、次から次へと交信不能状態になっているのに気がついた。
蘭丸が呑気に小夜叉を愛でている間に、半数以上の交信先からの反応が途絶えている事にも気がついた。
そしてようやく蘭丸が慌てだした。
「ちょ、ちょっと待て、落ち着け私……と、とにかく情報、情報が無いと。
今すぐ状況を報告させて……ああもう! 久遠も壬月も麦穂も繋がらないじゃないか!
もう誰でも良いから……はぁ!? 犬に襲われてる!?
犬に噛まれた兵隊が犬になってるだって!?」
そして蘭丸は驚愕の余り腰から崩れ落ちそうになった。
織田軍の主要な将は既に討ち取られ、野犬となって味方を襲っていると聞かされれば、無理も無いかもしれない。
「犬子だ。 あの娘は自分が噛んだ相手を犬に変えて操る能力を持っていた。
確か、犬に変えた人が噛みついても、同じように犬に変えれて……
拙いぞ、早く対処しないと手が付けられなくなる!」
「はぁ!? 犬子って前田利家だよね!?
あの娘が御家流を使うなんて聞いてないよ!?」
剣丞は犬子が御家流を使う事を知っている(第100話)。
しかし、犬子の御家流は織田を離れ、長尾家に仕えるようになってから発現したため、織田家の者は誰も能力の存在を知らなかったのだ(第56話)。
「えっと……確か小波は、催眠術に似た能力だと言っていた(第101話)。
何人まで犬にできるかは分からないけど、100や200で限界って事は無いと思う」
「さ、催眠術に似た……ああ、なんてこった、噛んだ相手を犬だと思い込ませて、
肉体操作の能力も乗せて、その上で群れのリーダーと刷り込んで……
ああくそっ!! 間違いなく私と同じ能力じゃないか!?」
「お、同じ能力だって……?」
「洗脳と肉体操作だよぉっ! 洗脳と肉体操作を併用する能力だ!
どっちも私と同じ能力! 同じ能力だから対抗できる!
しかも……非常に拙い、肉体的接触の瞬間に一気に洗脳と肉体操作を掛けるから、
その瞬間だけは私の能力を上回っている。 だから久遠や壬月との接続が途絶えたんだ」
「つ、つまり……」
「このままだと本気で織田軍が全滅しかねない」
ここにきて蘭丸は初めて、自身の想定を上回る出来事が起きたと気づいた。
無論、一二三は犬子の能力の詳細を知っているし、一二三から聞けば犬子の能力を事前に知る事は出来た。
しかし前田利家は御家流を使えないという事前情報が、その思い込みが、情報収集の甘さを招いてしまっていた。
織田軍は野犬の群れに効果的に対応する事はできていない。
ここ数ヶ月戦闘訓練を全くせずにセックスの練習を繰り返し、今の織田軍は弱卒を超えた超弱卒。
その上で織田信長等の指揮官を喪い、美空の呼びかけに少数ながら応じた越軍の将兵が、武器を持って襲いかかってきている。
蘭丸が異変に気がついた時点で、既に織田軍は潰走状態と言っても過言では無かった。
だがしかし……
「……ここから巻き返す方法は2つある」
……だがしかし、蘭丸はまだ自分が負けるとは思っていない。
「2つ?」
「ぶっちゃけ、私一人だけ生き延びればどうにでも巻き返しはできる。
織田以外にも越後に対抗できる兵隊を持ってる大名はいくらでもいるから、
今度はそこを洗脳して従わせる……これが1つ」
そう、この状況は普通なら詰みだ、普通ならば。
だがしかし、森蘭丸は恐るべき洗脳能力を持った鬼子であり、その気になればどの大名でも自分の意のままに操れる。
そして犬子の能力は確かに蘭丸の洗脳にある程度は対抗できるが、あらかじめ投網や弓矢を用意する等して対策する事も可能である。
犬子は引き分けに持ち込むのが限界で、しかも2度も同じ手は通じない……この状況下でもなお、蘭丸が有利な状況なのである。
「2つ目、犬子って娘の能力は維持にも結構力を使ってる。
十中八九、洗脳の起点になる本人が寝るか気絶したら能力が解除されると思う。
だから私の遠隔催眠で眠らせる、そうすればここからでも勝てる。
私は超能力の使い過ぎで気絶するかもだけど」
そして蘭丸は犬子の能力の弱点を素早く、正確に見抜いていた。
自身と同じ能力だからこそ、その能力の泣き所も誰よりも理解できた。
能力の使い過ぎで気絶するという難点に目を瞑れば、この状況でもなお犬子は引き分けにすら持ち込めないのだ。
「……できるのか?」
「多分できる。 剣魂みたいな防御装備も無いみたいだし。
食欲、性欲、そして睡眠欲……人間の三大欲求を引っ張り出す催眠は、
他の催眠よりかけやすいから、疲弊した今でも可能だと思う」
そしてしばしの間、蘭丸は考え込み……
「剣丞、安全を取るなら1つ目の方法だけどさ。 私は2つ目の方法を採りたい。
ポータルで未来の武器……特に剣魂を補充されると面倒だし、
何より私は久遠を手放したくない。 だから剣丞、私が気絶した後の事は頼めるかな?」
「ああ、分かった」
その決意を籠めた視線に、剣丞は頷いた。
蘭丸は少し微笑んで頷くと小夜叉から離れ、大きく深呼吸をしながら精神を集中させ始める。
「集中集中……まずは脳波コントロールの流れを追って……
起点になる場所に犬子って娘がいる筈……
んん、動いているな、しかも結構速い。 上手く追えるか……?」
蘭丸がゆっくりと、しかし確実に犬子を眠らせる準備を進める。
超能力の使い過ぎによる疲弊、物理的な距離、テレパシーを通じた状況把握がほぼできなくなった事もあり、狙いをつけるのに普段の何倍も、何十倍も時間がかかっていた。
……一方、九十郎は焦りまくっていた。
「(どうする? どうする? このままじゃ犬子が眠らされる。
流石に殺される事は無いと信じたいが……いや、犬子がどんな状況下分からねぇ、
さっきみたいに強姦されるかも知れねぇし、最悪眠ったままブチ殺されるかも知れねぇ)」
両手を縛る縄は切れかけていて、全力で引っ張れば千切れそうではある(第169話)。
しかし、九十郎の手元には武器が無く、蘭丸の洗脳能力を防ぐ方法も無い、蘭丸の護衛達を蹴散らす手段も無い。
自分の上に乗って素股を続ける剣豪将軍を押しのけるのはできるだろう。
蘭丸の護衛達を掻い潜って蘭丸に接近するまではギリギリいけるかもしれない。
だがしかし、蘭丸を1~2発殴った所でおそらく止まる。
蘭丸を仕留める事はできず、蘭丸の護衛達に袋叩きに遭うだろう。
「(正しいのは、何もできないふりをして、蘭丸を仕留める機会を待つ事だろうな……)」
九十郎はそう思った。
「(犬子を見捨てるのが正しいんだろうな、だがなぁ……)」
九十郎は肩を落とし、ふぅっとため息をついた。
そして……
「だがなぁっ! 俺はそこまで正しくはなれねぇよっ!!」
渾身の力で両手の拘束を引っ張り、引き千切った。
「んな!? 貴様どうやって!? うおぉっ!」
九十郎に跨っていた一葉を押しのけ、立ち上がる。
そして即座に蘭丸のいる方向へ全速力で駆け出した。
剣丞隊の他のメンバーも九十郎の両腕が頑丈な麻縄で縛られているものと思い込み、油断をしていたせいで九十郎を止められない。
「させるかぁ!」
直後、新田剣丞が九十郎の前に立ちはだかる。
剣丞は九十郎にブン投げられて負傷しており、まともに戦える状態ではない(第162話)。
しかし、それでも体当たりでも何でもして九十郎の足を止めさせる事は可能だろう。
そして一時的にでも足が止まれば、そのまま蘭丸護衛と剣丞隊全員で袋叩きである。
……だがしかし、そこに予期せぬ助け舟が現れる。
「剣丞様、お許しくださいっ!」
「へ? わぷっ!?」
剣丞の顔面に何か柔らかいものが押し当てられる。
予想外の事態に、それが女性の乳房だという事に気付くまで、少しかかった。
「こ、小波なのか!? 一体どうしてここに!?」
「お話は後! 剣丞様は悪い鬼子に操られてます!
お叱りは後で受けますので、どうか今少し、今少しだけ大人しくしてください!」
剣丞がもがくが、小波がセミかコアラのように、全身で抱きつくようにして制止する。
負傷した今の剣丞では、小波の体重を押しのけて無理矢理前に進む事はできなかった。
「うおおおぉ!! 蘭丸ぅっ!!」
九十郎は蘭丸に突進する。
バッファローマンのような体格の大男が、猛牛の如く突進する。
その迫力に、その勢いに、弱卒を超えた超弱卒となった今の織田兵達は気押され、たじろいでしまった。
「九十郎ぉ! これ使えだし!」
そんな九十郎に一振りの剣が投げ渡された。
剣魂……ではない、普通の忍者刀だ。
いつの間にか縄抜けをして、しれっと忍者刀まで取り戻していた姫野が、九十郎に投げ渡したのだ。
「ありがてぇ! 本当にありがてぇ!」
九十郎は全力で走りながら忍者刀をキャッチし、鞘から抜き放つ。
軽く握っただけで分かる、剣魂ではないにしろ、名刀、業物と呼んで差し支えない質の良い剣だと。
いや、元より風魔小太郎が戦地に持ち込んだ刀がなまくらである筈も無い。
普段使っている獲物よりも短く、軽く、細い刀身であったが、素手で殴るのに比べれば何倍も、何十倍も心強い。
「(ま、拙い……護衛が間に合わない、斬られる……
わ、犬子とかいうのを眠らせてる場合じゃない! 先にこっちを眠らせないと!)」
一直線に自身の命を終わらせに走る九十郎の姿に蘭丸が驚き慌てる。
そして催眠能力の矛先を九十郎に切り替え、この危機から逃れようとした。
「(落ち着け、落ち着け……落ち着いて集中しろ。
さっきとは違う、剣魂が無い分だけ九十郎を眠らせるのはずっと簡単だ。
九十郎とはまだ距離がある、落ち着いて集中すればまだ間に合う……)」
蘭丸は目を閉じて、全力で精神集中を図る。
九十郎とはまだ数メートル分の距離があり、間合いを詰められる前に眠らせるのは十分に可能だ。
可能だった……しかし……
「振り返ればヤツがいる……」
「……ん?」
しかし、蘭丸にとっての予想外が再度目の前に……いや、背後に訪れた。
「貫き通すは己の浣腸道……」
精神を集中する蘭丸の背後に回り、九十郎謹製のアナルスティック(第147話)を構えた一二三がいた。
そしてアナルスティックの先端部を、無防備な蘭丸アナルに押し当てる。
「……え? ちょっと待って、ちょっと待ってぇっ!?」
「GO TO HEAVEN!!」「ぎゃあああぁぁぁーーーっ!!?」
それは衝撃的な絵面であった。
九十郎に催眠術をかけようとしたら、何故か一二三が蘭丸のアナルにアナルスティックを一気に挿入した。
「グオオオッ!! 光の射す方へ……光の射す方へーーっ!!」
「や、やめ……んああぁぁっ!?」
直後、アナルスティックの先端から液体が噴出する。
それは傷口の消毒用にと思い切り度数を強く作った、九十郎謹製のウィスキーである。
度数の高いアルコール飲料を直腸に流し込まれると、常人なら急性アルコール中毒で死亡する危険すらある。
(作者注・本当に死亡する危険があるので、リアル世界では絶対に真似しないでください。)
いくら蘭丸が半人半魔の超生物・鬼子とはいえ、直腸にアナルスティックを挿入され、度数の高いアルコールを流し込まれた状態で精神を集中させるなんて真似は不可能だ。
「良いよ九十郎ぉ!」
「やっちまえだしっ!」
「ご主人様を……剣丞様を救ってください!」
一二三が、姫野が、そして小波が九十郎の背中を押した。
そして九十郎はさらに強く、さらに大きく踏み込んで、忍者刀を八相に構えた。
「(本当は、話せば分かる奴なのかもな)」
九十郎はそう思った。
「(本当は、お前は純粋に人が死なないようにしたかっただけなのかもな)」
「(本当は、お前や剣丞が正しくて、俺や美空の方が間違っているのかもな)」
九十郎はそう思った。
「(だが俺は……)」
九十郎は忍者刀を強く強く握り締めた。
犬子を、柘榴を、一二三を、粉雪を、吉音を、光璃を、そして美空を……九十郎が本気で守りたいと思える人達を思い浮かべながら、今の自分が持てる最大の力を、最期の力を振り絞った。
「……だが俺は、そこまで正しくはなれねぇよ」
九十郎は蘭丸の左肩から右わき腹にかけて袈裟斬りにした。
バシュ! と鮮血が飛び散り、蘭丸の身体が両断された。
「ぐ、あ……がああぁぁっ!!」
蘭丸は呻き声と共に崩れ落ち、上半身は後ろに、下半身は前に倒れ込んだ。
断面から骨と内臓が零れだし、血が止めどなく溢れ、あたりは血の臭いで一杯になる。
致命傷だ。
もう蘭丸は助からない……それは誰の目からも明らかだ。
「ふ……ふふ……あはははは……そうか、そうだったのか……
君が……君こそが、本当の愛の持ち主だったんだ……」
しかし、死の間際だというのに、蘭丸は笑みを浮かべていた。
両目に一杯の涙を湛えながらも、蘭丸は満足そうに笑っていた。
たった今自分を裏切った一二三を見つめながら、笑っていた。
「君にかけた洗脳は……常識だけを書き換える簡易なものじゃない……
人格をそっくり入れ替えるような、本気の、全力の洗脳だった……
だけど君はそれを乗り越えた、克服した、これが本当の愛なんだ……」
本当の愛を知りたい……それはかつて桐琴が諦め、蘭丸が引き継いだ願いの一つ。
この世に本当の愛があるのだとすれば、それは自分の洗脳能力なんかではピクリとも揺らがない、強い強い愛である筈だ、強い強い愛であってほしい、そんなエゴと傲慢に満ちた願いであった。
それを一二三が見せてくれた、魅せつけてくれた……蘭丸は死の間際であったが、歓喜の笑みを止める事ができなかった。
「……いや、ここで裏切ったら意外性があるかなって」
一方、一二三は特に悪びれもせずにそう答えた。
悲しい事に、それは一二三の偽らざる本心からの答えである。
表裏比興と書いてクソヤロウと読む真田昌幸の裏切り癖は、洗脳された程度では治らなかっただけである。
森蘭丸には弱点が3つある。
3つ目の弱点は、自分が裏切られる可能性を頭から排除してしまう性格だ。
そもそも『死因・本能寺の変』=『死因・裏切者』な森蘭丸が、よりにもよって表裏比興と書いてクソヤロウと読む真田昌幸を味方に引き入れた時点で、特大の死亡フラグを呼び込んでいたのだ。
だからこそオーディンは、残り少ないリソースを振り絞り、模造グングニルを飛ばして一二三を抹殺しようとしたのだ(第159話)。
「ああ、良かった……私は、ようやく……本当の……愛、を……」
蘭丸は自身の誤解、勘違いに気付く事無く、一二三こそが本当の愛の持ち主だと思い込んだまま、満足そうに笑って絶命した。
九十郎は色々と思う所はあったが、あえて蘭丸の誤解を解かず、あえて何も言わずに蘭丸を見送った。
「あばよ蘭丸、成仏しろよ」
蘭丸が完全に息絶えたのを確認すると、両目をそっと閉じ、瞑目しながら両手を合わせた。