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時は少し遡る。
これは蘭丸との戦いが終わり、オーディンとの戦いも終わり、九十郎達が平和な日常に回帰しつつある頃の事……テンポが悪くなるため省略された出来事である。
「くっくっくっ……思った通り中の警備は手薄だねぇ。
まさか大江戸学園生徒会の中枢、大江戸城に泥棒が入るとは誰も思わないか」
一二三が深夜の大江戸城を抜き足差し足忍び足……ではなく、堂々と廊下の真ん中を歩いていた。
本来、夜間の大江戸城は生徒会執行部の者と警備担当者以外は出入りできないのであるが、一二三は事前に身分証も兼ねたカードキーを偽造して侵入していた。
カードキーの偽造が可能な人材がゴロゴロいるところが大江戸学園の恐ろしい所である。
「おや、一二三さん。 夜勤ですか?」
「ああ、ちょっと忘れ物しちゃってね」
夜間警備のタスキをかけた生徒ににこやかに挨拶しながら一二三は奥へ奥へと進む。
プロの警備員ならこの時間帯に一二三が城内に入れる訳が無いと気づいたかもしれないが、大江戸城の警備は学生のアルバイト、あまりにも自然に、あまりにも堂々とした嘘にコロっと騙されてしまう。
そして経理部の表札がかけられた一室にまで辿り着く。
事前に準備した偽造カードキーで経理部及び幹部クラス以外立ち入り禁止の部屋への入室を果たす。
大江戸城の警備は割とガバガバだが、こういう所も大江戸学園あるあるである。
「中は手薄だ、ちょろいもんだね」
経理部用のパソコンを立ち上げる。
真っ暗な部屋の中で、パソコンのモニターだけがボワッと光を放ち始めた。
「さぁてと、指先の魔術師が登場。 頑張って覚えたパソコンの腕を見せようじゃないか」
一二三はパソコン歴一ヶ月の割には淀み無い手並みで給与管理ソフト起動させた。
そして数日後に支払われる予定のボーナスの一覧を表示させる。
「真田昌幸、真田昌幸は……あいうえお順だからこの辺に……お、あったあった。
これが私のボーナスか、この額じゃ借金を返したら無くなるねぇ」
九十郎が(割と頻繁に起きる)大捕物がある際に、パートタイム火付盗賊改方として捕り物に助力している縁もあり、一二三を含めた戦国時代組も生徒会の手伝いをする事がある。
末端も末端、手伝い程度とはいえ生徒会の一員なので、一二三達にもボーナスが出るようになったのだ。
尤も、そのボーナスの額は一二三が満足するようなものではなかったのであるが。
「一桁上げるか……もう二桁くらい、ポンポンと……おお、凄い額になった。
しかしまぁ、こんな金額を持ち歩いてると重いし逆に危険だから半分に減らして……
う~ん、この金額でも無理があるかな。 さらに一桁下げて、この位が妥当な所かな」
こうして最初の金額の50倍、末端の末端の癖にとんでもない金額のボーナスになっていた。
「さて、他の人はどのくらい貰ってるのかな? ちょいとのぞいてみよう」
そう言うと一二三はパソコンをカタカタと操作し、生徒会執行部メンバーのボーナス額を調べ始める。
戦国生まれ、戦国育ちの彼女の辞書にプライバシーという言葉は無い。
「九十郎は少ないな。 練兵館を建てた時のローンをかかえて気の毒に。
かわいそうだから1000万エン(大江戸学園内の通貨)プラスしてあげよう。
きっと死ぬほど喜ぶぞ」
などと言いながら、一二三はさらに悪事を重ねる。
「うんうん、一二三さんはなんて優しい人なんだ。 良し、これで元に戻して……」
しかし、パソコンの画面には『Error』の文字が表示され、給与管理ソフトが終了しない。
「ありゃ? これはどうして……そうか勝手に増やしたから支出総額が変わったんだ。
他からお金を持って来て穴うめをしないとばれてしまうな」
一二三はすぐに問題点を察して、比較的ボーナス額の多い者を探し始める。
「遠山朱金……こんなに貰ってるのか、遊び人のくせに」
自称遊び人の北町奉行である。
遊んでいる場面が目立つが、彼女は要領良く仕事もこなしている。
「二桁下げてやる、君にはこのくらいで上等だよ」
一二三はさらにさらに悪事を重ねた。
「次、長谷河平良。 九十郎が昔好きだったっていう娘だな(第26話、82話、83話)、
九十郎をフッて、今は秋月八雲ってモテ男の彼女の一人と……
何かハラ立つから三桁下げてやろう……ぷっ、この額じゃ大根4本買っておしまいだ」
一二三は理不尽にも程がある理由で長谷河平良のボーナス額を下げた。
「次、徳河吉音と詠美。 金持ちだからいっぱい取ろう。
吉音はいい御縁があるように……ボーナスは5エン。
それと詠美か……私の愛しい旦那様に色目使ってるの、バレてないとでも思ったか!
だけどまぁ、慈悲と慈愛の心でボーナス無しは勘弁してあげよう。
ナンバー1が好きだから1エンが良いよね」
慈悲と慈愛どころか、血も涙もない行為である。
「私好みのイケメンには百万エンずつ一二三さんからプレゼント。
他のは全員一桁下げる、真田大統領のデノミ政策ってね。
端数は粉雪に加算して、後でバレたら粉雪も共犯だって言い張ろう。
そしてプリントアウト。 いやぁ、給料を決めるのは楽しいね」
一二三はデノミ政策の意味を何だと思っているのだろうか。
そういう事を平気でやらかすから表裏比興と書いてクソヤロウと読むなどと呼ばれるのだ。
「せっかくの機会だ、北町奉行殿にも外勤の苦労を知ってもらおう。
確か人事異動の用紙が……」
これだけでは飽き足らず、遠山朱金をヒラの岡っ引きまで降格させる文書を偽造しようとしたその時……背後に立っている斎藤九十郎と目が合った。
「え……く、九十郎……? い、いつから見てたのかなぁ……」
一二三は冷や汗をたらしながらそう尋ねる。
「指先の魔術師登場の辺りからだな」
意訳・最初から。
「ちなみに……どうしてここに?」
「真夜中にお前が大江戸城の方向に歩いているのを見かけてな。
その時点で嫌ぁ~な予感がしたから、しばらく見張ってたんだよ」
「わぁい、九十郎ったら私の事分かってる~」
「そうだな、じゃあそろそろ……」
九十郎が腕をボキボキと鳴らしながらにじり寄る。
ああ、これはゲンコツ百回コースだなと察して、一二三は最後の説得を試みる。
「……てへぺろ」
一二三は精一杯の可愛い顔をしてみせる。
しかし、何も起こらなかった。
「お仕置きだ一二三ぃっ!!」
「うひゃああぁぁ~~っ!!」
この後、滅茶苦茶怒られた。
ここまでやらかしておいて滅茶苦茶怒られる程度で済む所も大江戸学園の恐ろしい所である。
……
…………
………………
一二三のボーナス書き換え未遂事件から2時間後。
「おっ、おぉっ、おんんぅっ! んあぁぁ!」
一二三が四つん這いになり、はしたなく喘ぎ声を出していた。
お〇んこは濡れに濡れ、ぐっちゅぐっちゅと音を立てて肉棒を咥え込んでいた。
「は、凄ぉ……はぁうぅっ! んんぅっ! 九十郎ぉ、もっとぉ……ん、あぁぁあっ!!」
喘ぎ声に悦びの音が混じる。
その表情は誰が見ても分かるくらいに歓喜に染まっていた。
「あへぇ……これ駄目ぇ、駄目になるぅ……駄目にされるぅ……」
一二三はあへあへと喘ぎながら、だらしなく涎を垂らしながらセックスをしていた。
戦国時代有数の知将の姿は既に無い。
九十郎とのセックスで快楽に染められる1人の……いや、1匹のメスがそこにいた。
「喜ばせちゃお仕置きにならねぇんだけどなぁ……」
一二三を犯す肉棒の主にして、彼女の夫でもある斎藤九十郎は微妙ぉ~な表情で腰を打ち付けている。
一二三の記憶力が良かったことと、ある程度の法則性を持ってボーナス額を書き換えたのが幸いし、生徒会執行部メンバー全員のボーナス額を元に戻すのはそこまで難しくはなかった。
……が、それはそれとして 睡眠時間を削って無駄に神経を使う作業をやらされた事への怒りとか恨みとかは普通にあるので、お仕置きと腹いせのために一二三を強姦しているのだ。
「おっ! おぉっ! んおぉっ! うあぁっ! ああんんぅっ! ふ、ふあっぁっ!」
もっとも、強姦していると認識しているのは九十郎だけで、一二三はこのお仕置きセックスを楽しんですらいた。
それはこの歓喜の表情を見れば、艶やかな喘ぎ声を聞けば明らかだろう。
「何かちょっと釈然としねぇが、まぁ良いか……」
九十郎はもう自分が気持ち良ければ何でも良いやと思考放棄し、さらに勢いをつけて腰を振り、股間の肉棒をもって強く強く子宮を叩く。
「ひぐっ! あ、あぁぁあんっ! ん、んあぁあぅ!
き、気持ち良い、良すぎて……ふあっぁあっ!!」
一二三はこれ以上無い程にだらしない蕩けた顔になって、涎をたらしながら喘ぎまくっている。
何も知らない者に『こいつ真田昌幸です』と告げても、誰も信じない事だろう。
今の彼女は暴力的なセックスに悦ぶマゾなメス豚にも等しい。
「ふぁぁあっ! あ、あぁぁあっ! うぁあんぅっ! だ、駄目になるぅ……」
喘ぐ、喘ぐ、ただひたすらに喘ぎまくる。
犬子の御家流を喰らった訳でもないのに、発情した野犬のような声をあげていた。
「(ああ、そうだ……九十郎と出会ったあの日も、
こうやってぐちゃぐちゃに犯されたんだったけな……)」
股座を濡らし、顔を蕩けさせながら、一二三は走馬灯のように九十郎との思い出に浸る。
九十郎との出会いは衝撃的だった(第82話)。
顔を見た瞬間に察した、理解した、心が完全に折れている顔だと。
犬子が……愛した女がイケメン男に寝取られた苦痛に耐えかねてへし折れてしまったのだとすぐに分かった。
戦う意思が、新田剣丞に立ち向かおうとする意思がまるで感じられず、近々行われる空と名月の後継者争いで九十郎陣営が勝つ可能性は全く無いと確信した。
図体だけはでかいが、心は弱い駄目男だと思った。
そして見た目も整っているとは言い難かった。
それに比べて、織田の天人こと新田剣丞は輝いていた。
強い信念があり、天下国家の平和と繁栄を願う善性があり、九十郎を超える知恵と力があり、仲間にも恵まれ、ルックスもイケメンだった。
斎藤九十郎と新田剣丞の差は歴然。
まさしく格の違いが見て分かった。
まるでフ〇ーザとヤ〇チャとすら思えるような差があった。
それを見て一二三はこう思ったのだ……こんな駄目男が織田の天人に勝ってしまったらどうなるんだろうと。
それから、まるで坂道を転がり落ちるかのように九十郎という名の沼にハマっていったのを覚えている。
空と名月の後継者争いは、神道無念流を学んだ事で超絶強化された本多忠勝というイレギュラーに阻まれ、敗北(第102話)。
そうしたら、次はどうやって九十郎を勝たせようかという気持ちが燃え上がった。
新田剣丞が主君・武田晴信と夫婦になった(第120話)。
基本的に他人を信用しない主君の心にあっという間に入り込み、惚れさせて、名実ともに恋仲になっていくのを見て……あろう事か一二三はこう思ってしまった、武田晴信を殺してしまおうと。
事前に英雄の魂を収奪せんとするオーディンの陰謀を聞かされていて、新田剣丞が武田晴信を誑すのが非常にマズいという事は知っていたが(第119話)、そんなのは単なる建前。
あの時、主君殺しを決意した理由の8割か9割は、九十郎に敗れて吠えずらをかく織田の天人様が見たい、無敵を誇る武田の騎馬軍団が、最強と畏れられる武田晴信が泥に塗れてぐしゃぐしゃに踏みにじられるのが見たいというものだった。
言うなればそれは……り〇うおうに『もしわしのみかたになれば、せかいのはんぶんをひふみにやろう。』と問われた時、『はい』と答えたくなる気持ちに近い。
やってはいけないと認識して、理解しているからこそ、ここで『はい』と答えたらどうなってしまうのだろうという好奇心のようなものが出てきてしまうのだ。
それからの一二三の行動は、彼女自身すらドン引きする程の悪辣さだった。
母を殺し、2人の姉を殺して真田家を掌握(第120話)、ドライゼ銃は張り子の虎だと味方に偽情報を流し(第127話)、千曲川を意図的に氾濫させて味方の退路を断ち(第126話、128話)、甲軍は壊滅、武田晴信は死亡した(第135話)。
肉親の情も君臣の絆もドブに捨て、九十郎という名の駄目男に勝利という名の栄光を捧げようとしていた。
そしてその結果、九十郎から怒りと憎しみの目を向けられ(第136話)、直後に蘭丸に襲われて洗脳されたのだ(第137話)。
「(ああ、そうだった……そうだったな、洗脳されていたんだった、私は)」
走馬灯があの最悪の日に達した時、一二三の頬に一筋の涙が伝った。
「……九十郎、正面を向いても良いかな? 今日は顔を見ながらシたい」
九十郎は何言ってるんだコイツと言いたげな表情になった。
膣奥をガツガツと衝かれ、喘ぎまくっていた一二三が急に静かになり、そんな事を言い出したからだ。
「一二三、これお前へのお仕置きも兼ねてるんだがな」
「ええ~、良いじゃないか。 お嫁さんのお願い、聞いてくれたって」
九十郎は数秒考えて……はぁっとため息をつく。
「俺って一二三に甘いかもな……」
そして一二三ま〇こにずっぷりと挿入っている肉棒を引き抜くと、正面から力強く抱き寄せた。
肌と肌が密着する。
汗や涎で濡れた女の柔肌が、押し当てられる乳房の感触が、九十郎をより一層興奮させる。
九十郎の硬くごつごつとした腕に抱かれると、一二三の脳裏から洗脳される苦痛と恐怖の記憶が少し薄らいだような気がした。
「昔は図体がデカいだけの駄目男だと思っていたのに……
いつからだろう、君の事が本気で素敵だと思うようになったのは」
「一二三、今何か聞き捨てならない事を言わなかったか?」
「おっといけない、雫の失言が感染ったかな?」
「まあ、最初に会った頃の俺が相当駄目な落ち込み方してた自覚はあるけどな……
あん時の俺は、正直に言って恰好悪かった」
「人間的魅力という意味では、剣丞君に1歩どころか100歩及ばなかった」
「今でも及んでねぇよ、きっと」
「私はそうは思わない」
一二三は九十郎に抱きつくように腰を上げ、自身のワレメにち〇こを導く。
そしていわゆる駅弁の体位で挿入し直した。
全身が密着する、膣肉が肉竿に密着する、子宮口が亀頭にキスをする……一二三は自分の心と身体の全てを九十郎に捧げているような感覚になる。
「ほら、分かるだろう? 私の身体が悦んでいるよ。
君の子種が欲しいって、君の児を孕みたいって叫んで、
キュウキュウってアソコが締まってるのも分かるかい?」
「言っておくがゴムは外さんからな」
「……そこに文句は言わないけどさ、ムードっての考えようよ」
なお、学生の身分で女を孕ませる訳にはいかないと、九十郎のモノには厚さ0.01mmのコンドームが装着済みである。
この辺は犬子や粉雪を抱く時と変わらない。
「私が蘭丸に洗脳されていたのは、知ってるよね?」
「そうみたいだな、けど正直、言われなきゃ分からんって位、
あの頃のお前はいつも通りだったぞ」
「そこはホラ、洗脳されてても私は嘘と演技が上手いから」
「真田昌幸凄いよぉ! 流石真田幸村のお母さんっ! と感心でもすりゃ良いのかな」
「統率94、武勇85、知略98、政治83は伊達じゃないってね」
なお、一二三個人の強さはその辺の一兵卒と大して変わらず、武勇85はどう考えても過大評価である。
「洗脳されてる間ってどうなってたんだ? 記憶は残ってるんだよな、確か」
「うん……まあ、そうだねぇ……
蘭丸に心酔しきって、ちょっとお馬鹿になったもう一人の私がいて、
そいつが私の身体を勝手に動かしてるって感じかな。
意識はハッキリしてて、眼も見える、耳も聞こえる、
私の偽物が九十郎とキスをしたら、唇の感触と、暖かさが伝わって来た。
そうそう、エッチな事もしてたよねぇ(第146話)」
「そう言えばそうだった……そうか、あの時は偽物だったか……」
思い返すと、色々と恥ずかしい台詞を一二三ではないナニかに伝えていたのかと、ちょっと背筋が寒くなる。
「あの時、私は必死に叫んでた。 それは私じゃ無いって、九十郎気づいて、
九十郎助けてって何度も何度も叫んでたんだよ……気づいてた?」
「いや……」
九十郎は気まずそうに目を伏せる。
そんな九十郎に、一二三は優しく優しく口づけをした。
「でも、九十郎は私を助けてくれた。
九十郎が蘭丸を斬ったあの時、私の紛い物は消えた。
物凄く良い笑顔で、げらげら笑いながら消えていった。 そして私は、私に戻った」
「げらげら笑ってたって?」
「洗脳されていた間、私の声は九十郎には届かなかった。
でも、私の身体を支配していたもう一人の私にだけは、声が届いた。
九十郎が蘭丸に斬りかかったあの時、もう一人の私にこう囁いてやったんだよ。
ここで蘭丸様を裏切ったらどうなってしまうんだろう……てね」
「な、何だそりゃ?」
「あはははっ! どれだけ蘭丸に心酔してようが、洗脳されてようが、私は私だったよ。
九十郎みたいな駄目男に、心から尊敬する蘭丸が負ける姿を見てみたくなって、
良い笑顔でアナルスティックを蘭丸に突き立てていたよ」
「あの時か……」
九十郎もまた蘭丸を斬り殺したあの時を思い出す(第171話)。
あの時、一二三が唐突に蘭丸の妨害を行った理由は謎だったが……その謎が、ようやく解けたような気がした。
「そうか、あの時……一二三が助けてくれたのか」
「いいや、助けてくれたのは九十郎だよ。
私がやった事なんて、最後の最後の一押しだけさ」
一二三が九十郎の言葉を否定する。
そして強い強い感謝の気持ちを籠めながら、九十郎の手を握った。
「蘭丸が好き勝手やっているのが見えるのに、九十郎達が苦しんでいるのが聞こえるのに、
何もできない、指一つ動かせない、声一つ出せない、
それはもうどんな拷問よりも堪えたよ。
九十郎が助けてくれた、九十郎が救ってくれたんだ」
そして一二三は九十郎を抱きしめる。
身体が密着すると、胸が高鳴り、肌が熱くなり、子宮が疼くのが分かった。
一二三は思う……自分は九十郎を愛しているのだと。
蘭丸から救ってもらった恩義や感謝の気持ちはある。
だけど今、一二三の心を満たす何かは、恩義や感謝の気持ちだけではなかった。
それはきっと……きっと、九十郎という男に対する愛情なのだと、一二三は思った。
自分の胸を満たしてくれるこの感情を、この想いを説明するのに『愛情』以上に相応しい言葉は見つからなかった。
「あ……九十郎のお〇んちん、私のナカで大きくなった」
「……お前が可愛い事を言うのが悪い」
「じゃあ責任を取って……エッチしよう」
そして再び九十郎の長屋に嬌声が響き始める。
九十郎はズンッ! ズンッ! と勢いをつけて男根を膣奥に叩きつける。
一二三もクネクネと腰をくねらせながら、肉ヒダで九十郎のモノを扱いて締める。
「あ、あぁぁっ! んあぁあぁっ! ひぅ、ふぁぁああぁっ!!」
喘ぎ声が加速する。
2人のセックスは、次第次第に互いに腰をぶつけ合うかのようになっていた。
九十郎が荒々しく膣内を蹂躙する。
厚さ0.01mmのゴム越しに、一二三の膣肉が男根を締め上げる。
愛液が止めどなく溢れ、噴出し、2人の性的快楽はどこまでもどこまでも加速していく。
「ねぇ、孕めって言って……ひぅ、あぁんんぅっ! 孕め一二三って言ってぇ!」
そんな中で一二三が九十郎に囁いた。
一瞬、ゴムは着けてるぞとツッコミたくなったが、流石の九十郎もこの時ばかりは空気を読んだ。
「オラ孕めっ! 孕め一二三ぃっ! 俺の子を産め!」
言葉にした事で、九十郎の心の中で、この女を孕ませたいという原始的な欲求が呼び起こされる。
一二三の膣内を蹂躙する肉棒の責めが加速する。
さらにさらに激しく、ぐちゅりぐちゅりと淫靡な水音を響かせながら子宮口がノックされる。
「は、孕む……孕むからぁっ! もっと奥に……あぁぁあっ! んんぅ、あぁぁっ!」
二度、三度、四度と子宮を突かれるうちに、一二三はイッた。
九十郎に孕めと言われた瞬間から、下半身から感じる快感の波が二倍にも三倍にもなって一二三に押し寄せ、堪え切れずに絶頂した。
「一二三ぃ! 一二三ぃっ!!」
「や……あぁ……んんぅううっ! ふぁぁっ、ふああぁぅうっ!
イグゥっ! またイグゥっ!!」
しかし、九十郎は一二三がイッたのを気にも留めずに腰を振り続ける。
絶頂して敏感になった膣内を、さらに乱暴に、さらに乱雑に蹂躙し続ける。
快楽の拷問が一二三の脳髄を責め立てる。
そして……
「ふあぁぁああぁっ!!」
びゅるるるっ! びゅるるるっ!! と九十郎のモノが膣内で爆ぜた。
厚さ0.01mmのゴム越しに、熱く濃厚で濃密な孕ませ汁が発射される。
「はぁ……はぁ……」
「ふぅ……」
貪るような乱雑なセックスに、一二三と九十郎の息が上がる、全身が汗で濡れる。
しばらく息を整えてから、九十郎が秘部から男根を引き抜いた。
犬子と九十郎との間には、厚さ0.01mmの心の壁があった。
学生の身で女を孕ませる訳にはいかないと、九十郎はコンドームと呼ばれる避妊具を頑なに着け続けた。
今日、一二三とセックスをする前も、九十郎は忘れずにコンドームを装着していた。
していた……が……
「んん……? 何か中身、少なくないか……」
引き抜いた瞬間、九十郎は強烈な違和感を覚えた。
数日分の精液を一気に放出したと錯覚する程の射精の割に、コンドーム内に溜まった白濁液が少なかったのだ。
九十郎が首を傾げたその直後、一二三のワレメの奥からどろり濃厚孕ませジュースが滴り落ちた。
「んん~?」
そして気づく、コンドームの先端、精液を溜め込む部分に小さな小さな切れ込みが入っている事に。
さっき射精した精液は、大部分がその切れ込みを通って一二三の膣内に流し込まれていた事に。
犬子と九十郎との間には、厚さ0.01mmの心の壁があった。
コンドームという名のゴム膜が犬子と九十郎を隔ていた。
一方、一二三は厚さ0.01mmのゴム膜に物理的な穴を開けた。
「一二三いいぃぃーーっ!!」
この後、滅茶苦茶怒られた。
こんな事をやらかしておいて滅茶苦茶怒られる程度で済むあたり、九十郎は相当一二三に甘いのかもしれない。
だから貴様は九十郎なのだ。
「お前どうすんだよ!?
妊娠したら流石に退学だぞ、いくら大江戸学園が大らかだってもよぉっ!!」
大らかさの方向性が間違っている気がするが、これも大江戸学園の通常運転である。
「子供が出来たら幸村と名付けよう」
「おいやめろ! 大阪城の戦いで討ち死にしたヤツの名前じゃねぇか!
縁起が悪いから幸村だけは絶対にやめろぉっ!!」
「ええ~、でも私としては我が子にエキセントリックというか、
頭ハジケリストな生涯を送ってほしいから、幸村が良いな~」
「断固拒否! 絶対却下ぁっ!!
他の名前ならどんな名前付けても良いから幸村だけはやめろぉっ!!」
「じゃあ信繁」
「信繁ぇ……? それって光璃の妹の名前じゃねぇか。
同名の奴がいたらややこしいだろ」
「そうかな? ゲン担ぎに有名な猛将、知将と同じ名前を付けるなんて良くある事だよ。
伊達政宗って、伊達家の中興の祖と同じ名前を付けたって話、有名でしょ。
義理堅くて、嘘をつくのが苦手で、相手が誰だって言うべき事はしっかりと言う、
そんな堅物でツッコミ気質な典厩様の事、実は結構気に入ってるんだ」
「そんなもんか……まあ、夕霧に事前に許可はとっておけよ。
それなら信繁で良いんじゃないか」
なお、この時点の九十郎は気づいていないが、いわゆる真田幸村という名前は江戸時代に講談等で広まったもので、本名は真田信繁である。
九十郎がそれに気づくのは……一二三が自身の第一子に『真田信繁』という名前で出生届をお役所に提出した後の事である。