建物の外にでるとレイカが予測していた通り、リョウがいた。
彼は建物のそばにある大岩の上で僕らを待っていた。
僕を見るとニヤニヤと下卑な笑いを顔に貼り付かせていった。
「ずいぶん長かったじゃねーか。
やりまくりか?
レイカの体は最高だったろ」
僕は隣に立つレイカを見た。
彼女はまた元の仮面のような無表情な様子で、何も反応を示さずリョウを見ていた。
僕はリョウに言った。
「リョウさん、僕、決めました。
この世界をリョウさんに譲るんで、レイカさんを僕にください」
リョウはニンマリと笑いながら言った。
「おおっ、そうか!
そんなにレイカが気に入ったか!
まー、お前にゃ大人の女は刺激が強すぎたかもな。
レイカは惜しいが、お前にくれてやるよ。
今日からお前のもんだ、可愛がってもらえよ」
リョウは明らかに僕を舐めていた。
レイカからはリンカーが解放されるには約3ヶ月の期間がかかると聞いている。
ヤツは僕を騙そうとしていた。
「どうやってレイカさんを呼び出せばいいんですか?」
「何言ってる? お前もリンカーいるだろうが。同じ感じで呼び出せ。
今日は俺が呼び出しているから無理だ。明日からだな」
僕はスラスラと嘘をつくリョウに、怒りを感じていた。
まるっきりガキ扱いだ。
ただ、僕が今彼の嘘を見抜けているのもレイカのおかげだ。
何も知らなければまんまと騙されていたかもしれない。
「さっ、俺にこの世界の創造能力を与えるように強く念じるんだ。それだけでいい」
「それだけでいいんですか?」
「ああ、それだけだ。簡単だろう」
「リョウさん、ごめんなさい。
僕こう見えても用心深いんです。
レイカさんを僕が呼び出せるか、確認できたらこの世界を渡します」
リョウの目がいきなり険しくなる。
「なんだ、てめぇ。俺の言う事を信用してねえのか?」
「いえ、単に用心深いだけですよ」
「……」
リョウが僕を睨みつける。
かなり険悪な表情だ。
僕は内心、ビビっていた。
何と言ってもヤツはメイカー殺しと言われているぐらいだ。
いつ僕を攻撃してくるかわからない。
いつでもオートガーターを呼び出せる準備をして、顔には無理やり余裕の笑みを浮かべた。
「レイカ、どうゆうことだ…。お前、全然役割果たしてねーぞ」
リョウは僕を睨みながら少し離れたところにいるレイカに声をかけた。
くそっ、なぜ矛先をレイカに向ける。
「リョウさん、僕はあなたの提案通り、この世界とレイカさんを交換したいだけなんです。
レイカさんを自由にしてあげてください!」
僕は顔から笑みを消し、真剣に訴えかける。
「ああ? 元からレイカを手放すつもりなんかねーんだよ。
まだガキだから穏便に済ませてやろーと思ってたが、仕方ねーな。
テメーからこの世界を無理やり奪うだけだ」
リョウは全く悪びれることもなく、そう言い切った。
顔には残忍な笑みが張り付いている。
とうとう本性を表したな。
ここからは対決だ。
まともにやって勝てる相手ではない。
先ずは時間を稼ぐ。
「ああ、あんたがいつかそう言うだろうと思ってたさ。
お前なんかにこの世界を渡すもんか!
レイカさんも自由にさせる!
オートガーター!」
盾を呼び出すと鋼鉄の円盤が現れ、ブーンという音とともに僕の周囲を回りだす。
「クソガキがっ! えらい変わり身じゃねーか!」
リョウが手を素早く振り上げる。
細身のナイフが実体化し放たれた。
盾が一瞬にして移動し、リョウのナイフを弾きかえす。
僕はオートマチックの拳銃を実体化させ、リョウに向けて撃った。3連射で足を狙う。
撃ち込みながらレイカのそばまで駆けよる。
リョウはステップを踏みながら手の平を広げ、大きく腕を振る様な仕草をした。
「そんな鉄砲でメイカーを
ヤツは弾の弾道を変え、手の平に集めていた。
リョウは残忍な笑みを浮かべ、手の平の上で弾を転がすと僕に放り投げる。
「レイカさん!!!」
そばで目を目開きながら、事の成り行きに呆然としていたレイカに声をかける。
彼女の腕を掴むと同時に瞬間移動を念じた。
「あっ、テメェ!」
リョウが僕を捕まえようとダッシュし駆け寄ってくる。
世界が暗転し、最後にリョウが放った怒声が聞こえた。
「アキラァ〜〜!」
残念だが僕はアキラじゃない。
僕たちは彼の目の前から消えた。