▼この前から文アルはえろばっか書いてるな……
pixivより転載
最初からおかしいとは思ったのだ。僕は非番だったが、鏡花は有碍書への潜書があったはずだ。なので僕は好き勝手に本を読んでいた。
なのに、図書館の書架。僕が僅かに日が差し込むそこで本を立ち読みしていたとき、ふらりと鏡花は現れた。なんだろう、と顔を上げた先。
唇に触れる感触。――鏡花にキスをされた。
「……?! きょ、鏡花? ちょ、むぐ」
残念ながら、普段抱いている方の身とは言え、僕より鏡花の方がやや上背がある。そのために口づけを押し付けられると中々逃げられない。1分ほど舌を絡め合ったのち、ようやく口を離してもらったとき。「どういうつもり」と尋ねかけた己の愚かさを知った。
白い顔が朱に染まり、目は蕩けている。口元に手をやりながら、鏡花はこちらを見つめていた。そして近付いてくる。
その片手が、僕の服越しの、僕自身に触れた。存在を確かめるように僅かに力を籠めたそれに生唾を飲んでいると、鏡花は僕の耳元で囁いた。
「……秋声。シたいです」
こんな昼間から、という言葉は飲み込んだ。明らかに鏡花は尋常の様子ではない。
加え、据え膳を食わないほど、僕は聖人君子ではなかったので。
なんとか自室に連れ込んだ先で、ベッドに鏡花を座らせる。そして唇を重ねると、今度は思う存分こちらから口腔を蹂躙した。歯列、硬口蓋、軟口蓋。それらをなぞって舌を啜った。口を離す。蕩けた顔をした鏡花が、舌っ足らずに名を呼んでくる。それに背筋が粟立つ。こんな顔をするのは夜だけで、こんな明るい昼間からする顔ではない。堪らず押し倒そうとすると、「待って」とストップがかかる。僕がきょとんとしていると、鏡花は僕の腰を掴んだ。そして鏡花の隣に座らせてくる。その行動が訳が分からなくて途惑っていると――なんと、あの鏡花が僕の下穿きを脱がせにかかっていた。間もなく出て来た僕自身は既にやや屹立しはじめている。
それを、鏡花はしゃぶりだした。
仰天した。普段はそんなことをしてくれないしさせてもくれない、そんな鏡花だ。一体なにがあったんだ、と思いながらも、ついされるがままにしてしまう。
鏡花の口淫はあまり巧いと言えない。場数を踏んでいないから当然だろう。それでも両手を使って舌を這わす姿は、それだけで目の毒だ。あの潔癖症の鏡花に、「きれい」な鏡花にこんなことをさせている。処女雪を踏み荒らす気分だ。それでむくむくと僕自身は起き上がり――結果として、数分と経たずに僕は達してしまった。情けなかったが、鏡花はそれを気にする素振りもない。寧ろ嬉しそうだ。
「気持ちよかったんですね、秋声。それはよかった」
そう言いながら、鏡花は服を脱ぎ出す。羽織を脱ぎ、着物を脱ぎ。ベッドのサイドボードから「それ」を取り出して、僕に「それ」を渡した。
潤滑油だ。鏡花は既に服を半端に着乱したまま、それでも尻を突きだしている。普段なら本当にあり得ない痴態だ。驚く僕に、鏡花は枕に顔を伏したまま言う。
「今度は僕のことも、後ろで気持ちよくしてください。秋声、得意でしょう……? いつも僕のこと、あんなに気持ちよくしてくれてるんですから……」
「――言ったね、鏡花」
言いながら、僕は潤滑油を掌に出した。掌同士を擦り合わせて、温めてから後孔に宛がう。「ひゃぅ」と小さい嬌声が上がった。それを良いことに、指を後孔に滑り込ませていく。まずは1本、とかき回していると、「あ、あ」と喘いでいた鏡花がこちらを向いた。
「もっと……いっぱい入れてください……」
「まだだよ。慣らさないとね。君が痛い思いをするよ」
言いながらぐちぐちとかき回していくと、鏡花が喘ぎ声を上げながらも思わぬことを言い出した。
「いいんです、秋声にもらえるものなら、快楽でも痛みでも、なんでもうれしい……」
――その瞬間、自身の息子の限界を察した。
そして指を2本目、突き込む。
「あっ……!」
「そういうことを言うと、意地悪したくなるから駄目だよ、鏡花」
「あっ、いじわる、してほしいですっ……」
「~~だからね、もう!」
「あっ!」
指を3本目、突き込んだ。そのあとは後孔の中で指をぐしゃぐしゃにかき回す。枕にしがみついた鏡花が「だめです、しゅうせい、だめ、もっと」と支離滅裂に零すが、僕の耳には届かない。
すっかり緩みきった鏡花の後孔。サイドボードから取り出した避妊具を取り出しながらもそれをじっと見つめていると、鏡花が零す。
「それ、いらないです」
「え?」
「ひにんぐ……いらないです。ナマが、いいです……」
驚いた。こういうことに厳しい鏡花の口からそんな言葉が出て来るとは。これはいよいよ鏡花の様子がおかしいな、と思いつつも秋声は「言質取ったからね」と避妊具を仕舞った。そして、鏡花の腰を掴む。鏡花の媚態を見ていたためにすっかり屹立しきった僕自身を宛がい――打ち付けた。
「あっ!」
何回も抱いているから、鏡花の「イイ」ところは知っている。そこに向かって何度も打ち付け、抉る。鏡花は枕にしがみついたまま痙攣している。片手で鏡花自身に触れると、彼のそれも堅く屹立していた。それに薄暗い悦びを感じながらも、何度も何度も腰を打ち付けた。その度に鏡花は音高く喘いでいく。がくがくと体を揺らす鏡花に、体を重ねて囁いた。
「もうイきそう?」
「あっ……イ、ってしまいますっ……」
「そっか。――僕もだ」
言いながら、最奥を抉った。途端、ぎゅうと僕自身を後孔が締めつけ、僕の精は鏡花の中に放たれたし、鏡花自身からも精が放たれ、シーツを汚した。
その後失神したように眠る鏡花を部屋に置いた僕が、鏡花が目覚めたときに水でも飲めるように見繕っていると、「あぁ秋声」と声をかけてくる誰か。島崎だ。目を瞬いていると、「泉は大丈夫?」。
目を瞬きながらも、何も知らないふりをして「何かあった?」と尋ね返すと、島崎は顎に手を添えて言った。
「いやね、今回新しく発見された有碍書。なんだかよくわからない敵の効果があって……潜書した4人のうち3人が、ぶっちゃけ媚薬に中てられたみたいな状態なんだよね。幸い3人とも『相手』がいる人らだったけど。泉はどうったのかなって」
それを聴いて、僕は笑顔で答えることにした。それは多分、島崎も見たことのない笑顔で。
「大丈夫。僕が責任を以て預かるから」
「……あぁ、遅かったんだね」
島崎の白い目が、少々胸に痛かった。
その後目を覚ました鏡花が「なんですかこれは!」と喚くことになるが、僕としては「1回で済んでよかった」と言う気持ちと「もっとヤりたかったな」と言う気持ちで板挟みになることになる。
了