※この作品はR-18です。

特務エスパー司書シリーズ   作:駒由李

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なんきっちゃんの悪戯に巻き込まれる司書啄の話
pixivより転載


【司書啄】今宵は万聖節にかこつけて

 今年のハロウィンも大盛況だ。毎年のことながら盛り上がる。司書の俺はと言えば、狼の耳のカチューシャをつけているだけだったが。主役は文豪たちなのだ。自分はこの程度でいい――パーティーのソフトドリンクを飲みながら眺める。そう言えば啄木はどこなのだろう。そんなことを思っていたときだった。

 着物の裾を、くいくいと軽く引っ張られる感触。下を見る。そこには新美がいた。

「司書さん、はっぴーはろうぃん」

「ハッピーハロウィン。お菓子ですか?」

 着物の袖に手を突っ込みながら尋ねると、新美はにこっと笑った。

「違うよ、逆トリックオアトリート。いつも頑張ってる司書さんにお菓子をあげるね」

 そう言って、新美が差し出したのは飴玉ひとつだった。俺は苦笑しながら「有難うございます」と答えた。そこで新美が続けて言う。

「司書さん、そろそろ外の空気吸ってきたら? 眠そうだよ」

「ん? そうですかね。まぁそうさせてもらいます」

「疲れた時は甘いものがいいよ」

 俺の背中を押して、裏口へ追い出しにかかる新美。どうやら早く飴を食べて欲しいらしい。この熱気だと溶けるからだろうか。そう思いながら、俺は素直に従って裏口から外へと出ることにした。

 俺は気付かなかった。新美がにんまり笑っていたことに。

 

 ……外はもう暗い。季節は晩秋に入るところで、今夜は一際冷える。深呼吸したところで、不意に煙草の匂いが漂って来た。

「なんだ、司書か」

 捜し求めていた人、啄木だった。彼は仮装姿のまま煙草を喫っていた。新美はこれがわかっていて俺を追い出したのだろうか。俺は思わず顔を綻ばせながら歩み寄った。

「また煙草ですか」

「いいだろ、別に。ちょっと人疲れしたから休憩だ。お前こそどうしたんだよ」

「似たようなものですね。さて、飴玉を失敬」

 答えながら包装を剥ぐ。そして口に放り込むと、ガリガリと齧った。飴玉は齧る派である。それを見て啄木が笑う。

「相変わらず豪快だな」

「飴をちんたら舐めてるのは性に合わないので……――?」

 ――不意に、心臓が跳ねる。

 体温が上がって来た。口中も渇いてきた。思わず胸に手を当てながら、これはなんだろうと考える。そんな俺を見て、啄木が「司書?」と尋ねてくる。

「どうした、具合が悪いのか」

「具合……具合なんですかね、これ……」

「森先生のところにでも――」

 ふと、気付く。啄木との距離が近い。

 そう思ったら、俺は彼の肩を引き寄せていた。

 重なる唇。

 ――呆ける啄木に、俺は熱に浮されながら言った。

「……どうせなら、俺の部屋で休ませてもらえますか。2人で」

 

「あの2人、うまくいったかなぁ乱歩さん」

「媚薬入り飴玉、森さんにばれたらまずいでしょうがねぇ」

 

 

 

 

 

了

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