※この作品はR-18です。

特務エスパー司書シリーズ   作:駒由李

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割と初っ端から最後までエロしかない夢オチ話です。シチュエーションのみ重視した結果がこれだよ!!!! 微他ジャンルネタっぽいの有
着流しなどに関しては森先生の方は第2衣装とは別の感じで。趣味に走りました。本当は根付けも作りたかったけど思いつかなかったとです_(:3」∠)_


【文アル腐R-18】遣らずの雨【鴎花(+男司書)】

 これは夢だと最初からわかっていた。深い山間の小屋。彷徨いこんだ自分たちは常の洋装ではなく着流しだ。森が薪ストーブに火を入れてくれている中体をさすりながら外を見る。濡れた今時珍しい突っ張り棒の扉で格子でしきられた窓。その向こうには抱えた本を庇いながら小屋に入った途端に雨脚を強くしだした雨が見える。心なし跳ねた水滴がこちらにも飛んできているようだった。すくなくとも冷気は漂ってきている。

 これは夢だ。なぜなら図書館のある街。自分たちは司書の特別な許可がなければおいそれと外には出られない。今の体を保てないからだと聞いていた。だから自分たち2人が外出するのは街の端までだ。しかもこんな山奥に本を抱えて持ってきた自分たちが何をしに来たかも最早思い出せない。早急に目覚めなければならない。ストーブがあっという間に小屋を温める。体を抱きしめた。いつもの洋装ではない。これにだけは覚えがある。司書が仕事の合間を縫って作ってくれた着物だ。からし矢羽縞の単衣は動きやすく気に入っている。そのうちイメージが湧いたられじんとやらで根付けまで作ってくれるといっていた。器用だ器用だと思っていたがどこまでできるのだろう。雨で濡れそぼった腕を握りしめると僅かに水が滴った。洗える素材で縫ったといっていたがあまり濡らしては申し訳がなかった。乾かさなければ。

 そのためには振り向かなければならない。ストーブの調整が終わったらしい森が土間で下駄を履く音がする。振り向けなかった。夢だ。夢だと言い聞かせる。今の彼は自分の妄想でできた彼なのだ。

「遣らずの雨だな」

 息を飲む。その手の動きは思ったより早かった。帯越しに腰が捕らえられる。

 項に水滴が当たった。恐らく乱れた黒髪から滴った水気だろう。彼も書物を庇っていたから髪を庇う余裕はないようだった。自身を先に走らせていた彼の姿はよく見えなかった。ずっと背中を向けていたから彼が今どんな顔をしているかもわからない。黒い小紋ぼかしの着流しに鉄紺の紬無地の羽織。どんな反物でも似合うだろうと遊び心を取り入れて縫い上げた司書には内心でサムズアップしたものだった。そう。実際にこの着流しと羽織は自身と森に与えられたもので。おろし立てのそれに腰が疼いていたのは事実で。

 だからといってこんな荒唐無稽な状況だなんて!

 夢の中でも喉が渇く。自然と息を飲んだ。項に水滴と共に熱い吐息が落ちる。冷えた体に彼の息は背骨になにかを駆け上らせた。熱だ。耳まで赤くなったのがわかる。右手は腰に手を回したまま尻から太股にかけて厚い手が撫でさする。まずい。必死で窓の向こうを見詰める。今すぐ晴れてはくれまいか。しかし雨脚は緞帳のごとく。花袋の思惑を笑うような気配がした気がした。

「天恵だな」

「てんけい」

「雨が俺の味方をしてくれた。今はどこにも君をやりたくないんだ」

 足を伝っていた手が角帯に手を掛ける。もうだめだ。花袋は夢の中の森に身を任せた。

 

 古いストーブらしい。灯油を燃やす音が激しく雨音も遮った。それでもまだ雨脚は激しい。土間から板の間の段差で重なる自分たちのぶつかり合う音も些細なものだ。板の間に上がりきれないのは今にも達しそうな花袋が背を撓めているせいで土間に落ちないのはなんとかそれを抱えて板の間に上げようとしている森のためだ。お互いに半端な姿勢のままだからぶつかる音よりも吐息の方が煩く感じる。花袋の中で逸物が今にも弾けそうな森は腕から落ちそうな花袋に囁く。

「花袋くん。このままでは冷たい土間の上に落ちてしまう。できれば君の力で板の間に上がって欲しい」

「いやです。このままで。土間でいいです」

 板の間に爪を立てる花袋は振り返る。真っ赤な顔は既に雨による冷えなど溶けていた。じゅうじゅうと音を立てていそうなほどに耳まで赤い。金の髪と相性の良い色で噛みつきたくなるがぐっと堪えた。花袋がまだはくはくと口を開閉していたからだ。空気中の水分は充分なれど今の花袋の喉は渇ききっているだろう。こんなにも花袋の中は熱いのだから。たくし上げた着流しの下の健康的な足を掴みながら眺めていると花袋は僅かに笑った。

「汚れても構いません。体が暑いんです。土間の方がいいです。板の間に上がると熱気が来ます」

「俺は既に諦めたが君の方が汚れる面積が広いぞ」

 欲情のままに窓辺から引きずり下ろして若い体を貪った。ゆえに花袋の服も体も乱れている。彼の髪色に比べてやや暗いからし色。幼さが目立つ普段よりもそれが大人びさせて見えた。それが今日ひがな頭の中の花袋を頭の上から足の先まで貪らせていたなど。足を撫でると度に触れる。水たまりのために少し汚れたそれに触れるとそこまでも熱かった。一瞬発熱すら疑った。熱に浮かされたような花袋は板の間に引っ掛けた爪を立てる。

「先生。俺は汚れるのなんてちっとも構わないんですよ」

「なに」

「どっちも司書が作ってくれた着流しだからそれに対する申し訳なさはありますけどそれは置いておいて。……俺は医学の素人ですけど。先生はもう知ってますよね。性交渉は1番菌が行き来しやすい行為だってこと」

「――」

 それは現代に転生してから予めインプットされていた知識。それは恐らく医者として振る舞うために自身には多めにされていたのだろう。しかし前生の知識とのずれに実のところ苦労していた。特に衛生の管理については司書の方がよほど詳しかったぐらいだ。入浴については暫く抵抗があったのはいうまでもない。菊池と谷崎に芥川と同じ「風呂嫌い」というカテゴリで括られて放られたものだった。留学前ぶりの風呂は結局のところ快適で今はすっかり慣れてしまったものの。結局は風呂で垢を落とし清潔を保つことが1番だった。もちろんこういった行為を行う前もあとも。笑う花袋は更にいう。

「性交渉は1番病気をもらいやすい行為だ。与えやすい行為でもある。だって粘液っていう1番菌があるところをこうやってぐちゃぐちゃにする行為ですから」

「花袋くん」

「だから。1番きたない行為。今の俺は先生にとって1番きたないんです。先生。板の間でも土間でも大して変わりませんよ」

 卑下する言葉。だが熱に浮かされた顔は明らかに煽っていた。それは自分には直接は向けられない。他の仲間と論戦をしているときの「煽る」顔。

「きたない俺はお嫌いですか」

「君という奴は……!」

「いっ……」

 思わず抱え込んだ。田山花袋を。板の間にかけていた手も森の手により腕の中。息を飲む声が聞こえたが構わない。森の自身は一気に先端まで引き抜かれた。そして沈み込む。花袋が声なき悲鳴を上げた。

「せ――」

「ほら。ちゃんと呼吸をしなさい。まだ付き合ってもらう」

「待ってください。俺はもう」

「もう。なんだね。ここの話かな」

 息を切らせる花袋は鴎外の胸の下。自身の怒張したそれが破裂寸前のように感じていた。しかしそれに素手で抑え込まれ声を上げる。

「ちょっ……やめてください。出せません」

「出すな」

 頭を撫でる右手と声音は優しい。しかし口調。それにきりきりと締め上げる手とすっかり森のそれを受け入れるのに慣れてしまった花袋の中は彼のキャパシティを超えかけていた。

 揺れる腰は精を吐きたがっている。だが煮崩れそうな自身の後腔と森の男根はまだまだそれを許さない。

「きたない君が嫌いかどうかと聞いたな。答えは否だ。俺がもっと汚くしてそれから俺がまた隅から隅まできれいにしてやる。これが俺の答えだ」

「……ひどい人だ。あなたは」

 太股と臀部が痙攣する。いつものオーガズムだと思った。しかし肝心の自身は抑えられていて精を吐けない。そういえば口は押さえられていなかった。覆い被さる大きな体に自身の性別も忘れて安堵する。遣らずの雨音も聞こえなくなって己も忘れて喘いだ。早く。早くこの衝動よ出て行ってしまえ。あの雨のように激しく。

 

 

 

 

遣らずの雨

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルケミストの能力というのは多々ある。自身は所謂超能力者でこれにはリミッターが必要となる。本来は国が作ったものを使用するが自身は顧客の秘匿主義が高いことで信頼の高いところで子どもの頃から作ってもらっている。こういうところは技術も高いものだから数年に1度しか交換しない。以前交換したのは大学に入る前だったはずだ。

 だから替え時だったのだろう。アンクレットを模った制御装置が右足から落ちて外れてベッドの隙間から落ちていたのは。チューブを巻き付けたようなパンクファッション風のそれはどうやら寝ている最中に知らないうちに不可がかかったらしい。断裂を起こしていた。スマートフォンを見れば制御装置が解除されている。恐らく疲れて制御装置をかけ忘れて寝たのちに夜中に某かを受信したのだろう。その某かが問題なのだが。

(そういえば昨夜変な夢を見た気がする……)

 代用品のリミッターを抽斗から探しているとノックが4度。これは海外留学経験者の文豪だ。そして音の重さと位置から判断して「森先生ですか。どうぞ入ってください」と探す手を止めない。はて。そういえば今日の彼は花袋と共に非番だったはずだが。

「失礼する。……なにか探しているのか」

「ちょっと先を急ぐ探しものですので……おや。その着流し着てくれてるんですか。うんうん男前はどんな着物も似合いますね。縫った甲斐がありますよ」

 探す手を止めたのは後ろ手に扉を閉めた森がそこに立っていたからだ。自身が暇潰しに縫った着流しは思いの外良い出来になった。アルケミストの能力も利用したのでこういうときに「ギフト」は良いものだと思う。生前は祖父にも縫ったものだった。今のところ佐藤と花袋。それにこの森だけだ。時折助手を務めさせる啄木にはあまりできのいいものを縫うと売りに出されそうで悩んでいる最中である。閑話休題。羽織もはおっていたのででかけるつもりだろうかと思う。それを告げに来たのだろうか。手はリミッターを探したまま首を傾げていると森はひっそりと耳打ちしてきた。

「……司書。この近くに俺たちのような身分の不安定な者でも泊まれる宿はあるか」

「連れ込み宿で良いでしょうか」

「平たくいえば」

「ありますよー」

 自分でも察しが良くなったものだと思う。アルケミストとしての能力もいらない。なぜかどうにもこの図書館の森は花袋に対して性欲が盛んだ。それは花袋の盛んに言論を絶やさない側面のためかも知れないしあの若々しさかも知れないしあるいは自身にも知り得ない森しか知らないところかも知れない。ひとまず「ちょっと俺の能力が今日は不安定かも知れないんでできれば一晩で帰ってきてくださいね」と告げてから再び予備のリミッター捜索に戻る。見つけたら急いで新しいものを作ってもらうよう電話をしなければ。

 自身の夢遊病というよりは「寝相」はタチが悪いのだ。1番長いこと面倒を見てくれた祖父曰く「リミッターがないと超能力をフルで使って空を飛んだりテレポートで移動したりヒュプノやテレパシーの送受信で誰かの夢をいじくったりする」といわれた。記憶の蓄積でできている文豪たちにそんな目に遭わせる訳にはいかない。

 花袋が降りてきたときには代用品のリミッターは見つかったがなぜか彼は風呂から上がってきていて自身の手製の着流しを着ていた。似合っている。よかった。彼らが出掛けていったのを見送ったのちにそういえばとテレビを観る。

 今日のこの図書館一体の地方は夕方には天気が崩れるとあった。森がそれを確認しないはずはないと思ったがそういえば彼らは傘を持っていっただろうか。首を傾げながらも夕方に「今夜はやはり帰らない」とLINEが来たときはお盛んだなと感心したものだった。遣らずの雨が降っていた。

 

 

End.




pixivからの転載
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