※この作品はR-18です。

朝霧姉妹の百合物語   作:タクティス・ハルバード=レミィ

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3話 恋人らしさ

 なんなの、この寒さ……。

 

『お姉ちゃんにくっつこっと』

 

 あたしの心に息を通すような冷たい風は痛い。

 

「え? くっつくの?」

 

「寒いもん」

 

 断るのもアレだったので、もちろんイエス!

 笑顔を見せて、スズメの右手をジャケットのポケットに潜り込ませる。

 

「あったかいよ〜」

 

「それで寒いって言われたらショックだわ」

 

 ドアを閉めて、鍵を掛けると、そのまま歩道に出た。

 

 夏ならアスファルトが蜃気楼を巻き起こすレベルで暑いのに、冬だから逆に滑りそう。

 

 でも、クリスマスだから周りは男と女のカップルが多い。

 

『多いねー、でもあたし達もカップルだもん……って強がりかな?』

 

「えっ」

 

「なにその、『張り合っても勝てない』って顔は」

 

 歩きながら空いていた右手で、スズメの頬に触れる。

 

「ほらほら〜」

 

「やめてよお姉ちゃん……」

 

「なんで? 楽しくない?」

 

「恥ずかしい、な」

 

 触れていた頬を良く見てみると、燃えるように真っ赤だった。

 

 こういうのは無性に続けたくなるね。

 

「かわいいなー、さすが我が妹。ご褒美をやろう」

 

 横断歩道で足を止め、スズメの頬に再び右手でつまむ。

 

「ふっふっふ」

 

「顔がちか……あ」

 

 あたしが顔を近づけると、割と抵抗がなく、唇と唇が触れ合うだけのキスを交わす。

 

「拒否されなくて驚いたね」

 

「…………」

 

「凄い柔らかくて、いい唇だったよ。って怒ってる?」

 

 スズメの顔が赤くなっていた、頬ではなく。

 もちろん、横断歩道の周りには少しだけ人が居た気がするけど、気にしないや。

 

「もう一回して欲しいの?」

 

 右手でスズメの顎を上げてみる。

 

「…………」

 

 首を大きく横に振るだけで、口を開かない。

 

「信号青になったよ。渡ろ?」

 

 スズメの右手を左手でポケットに入れたまんま、一緒に歩き出す。

 

『……お姉ちゃんの唇も柔らかかった』

 

「喋ってくれたけど、第一声がそれって不思議な気持ちだ」

 

 どうやら、思考停止していたみたいで、顔の赤みは頰にだけになった。

 

「暑いから、手を出してもいいかな?」

 

 ポケットから手が引いていく、嫌われちゃったのかな。

 

「寒くなったら言って」

 

 横断歩道を渡り、人を避けながら歩いて行くと……着いた。

 

『到着! 楽しみだね』

 

 自然とスズメと手を繋ぎ、「離さないよ」と言わんばかりに指と指で絡める。

 

「嫌だぁ……」

 

「拒否権ないね」

 

 看板にデカい浮輪が描かれてるからそんな関連だと思う。

 手を引っ張り、自動ドアを通り抜ける。

 

「お姉ちゃんだけ行ってきたらいいのに……」

 

『ダメ、妹様の水着姿見たい、ゼッタイ』

 

「こんなに動機が不純なダメゼッタイ初めてだ」

 

 もちろん、店内は普通にあぁプール入るんだなと自覚する。

 左側には水着、右側にはタオル、ゴーグル。正面は受付さんだ。こころなしかサンタみたいな服を。

 

「2名なんですけど、タオルはレンタルで」

 

「はい……はい、待ってて下さいね」

 

 店員はタオルを取りに行ったのか、足早に姿を消す。

 

「この、良い胸しやがって……」

 

 あたしは悪徳大名の様にニタニタと笑いながら、スズメの突き出た胸に触れる。

 

「ふっ」

 

「無駄に勝ち誇られた」

 

 姉よりデカイのか、あたしが小さ過ぎるだけなのか。

 少なくとも、寄せて谷間が出来たらいいなレベル。

 

 羨ましく思っていると、店員が帰ってくる。

 

「お待たせしました〜」

 

 料金を支払い、軽く会釈すると店員に指差された方向に向かう。

 

「人居るのかなー」

 

「私は泳がないから、人が居ても気にしないよ?」

 

「気が合うね、あったかい温水でゆったりが良(よ)い」

 

『お姉ちゃんおっさんぽい』

 

 更衣室に入ると、着替えている人は少し居たけど、胸デカい人だなぁ。

 

「運良くロッカーは隣だね」

 

「お姉ちゃんと隣か……」

 

 19という数字の鍵を19と書かれたロッカーに、差し込む。

 良い音を立てながら、鍵は外れる。

 

 開いてリュックを放り込むと、服を脱いでいく。

 

「お姉ちゃん本当に胸ないね〜AA?」

 

「A……だし。なんでそんなにあるの!」

 

「触らせてあげようか? お姉ちゃんだけの特権だよ」

 

「ウザい、こんなにウザキャラとは」

 

 あたしは、もちろん断ってビキニを着ていく。白と黒だから、地味かもしれない。

 

 そして、つけてから胸に手を当てると少ししかない件について。

 

『こんなになかったっけ……お姉ちゃんはショック受けたので妹様の胸に飛び込みたいですね』

 

「動機が不純」

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