※この作品はR-18です。

朝霧姉妹の百合物語   作:タクティス・ハルバード=レミィ

21 / 27
6話 感じたことの無いトキメキはフライドポテト効果で吊り橋じゃない

 沈黙が続き、スルーされると思った時だった。

 

『やってみるかなぁ』

 

 唇から振動が伝わり、ポテトが上下左右に動き回る。

 

 目を開いてみると、パッチリとした瞳の妹様が咥えていた。

 

「…………」

 

 頰を真っ赤にして、食べ進むスズメ。

 

 自然とあたしは、腕を妹の方に回して抱き寄せてしまう。

 

 沈黙が続き、心臓がいつもになく速く脈打つ。

 

『……ん〜』

 

 スズメは大きく空気を鼻で吐く。

 

 周りの視線は幸い、ゼロに等しい。けど、着々と食べ進められていくポテトは短くなっていた。

 

「ん〜! んんっ……」

 

 なんと言っているのか分からないけど、視線からして「近い!」だと思う。

 

 あたしが少し顔を傾け、受け止めやすくすると、怒るように唸る。

 

 もう鼻息が掛かるような距離でポテトを維持してるのだ。

 食べちゃう。

 

 そう決心すると、自然と口角が上がってしまった。

 

「んっ!?」

 

 察知した様だけど、もう遅い。あたしはポテトを奪い去り、そのままくちづけを交わす。

 

 横断歩道の時より強く押し付け、長く当て、抱きしめる。

 

 周りの視線は感じなかった。いや、感じていたけど気にしてない。

 

 女の子同士だし、良いでしょ?

 

 スズメは涙目になったので、もう少ししたかったけど唇を離す事に。

 

 本当に柔らかい唇だよ……餅みたいな?

 

「あー、今年の力使い切っちゃった。お姉ちゃん最後長い!」

 

「妹様にダメ出しされるとは……美味しかったんだもん」

 

「美味しいって、変なの」

 

「変じゃないって」

 

 そんな話をしながら、普通に冷めきったポテトを摘む。

 

「冷たいのは辛いね」

 

「最後の一本はあったかく食べれたら済むんじゃないの?」

 

「スズメからそんな事言うなんて……! お姉ちゃんとしては嬉しい」

 

「え、そんな意味じゃ」

 

 ポテトの山は崩れていき、最後の一本になる。

 

「さて、一本になった」

 

 あたしは、ポテトを摘み、スズメの口に入れ切る。

 

「お姉ちゃん詰め込み過ぎ」

 

「丸ごとで良いじゃん」

 

 モゴモゴしてる妹を抱き寄せ、今度は軽くチュッとする。

 

『ポテトゲイム』

 

「かっこよくない」

 

「そんな!」

 

 ポテトは食べ終えたので、トレーを戻しに行こうか。

 

「戻して来るからねー」

 

「私もついてくよ」

 

 立ち上がると、一歩遅れてスズメも立ち上がる。

 

 ……戻す時も店員に変な目で見られた。

 

「お姉ちゃん、どうしたの?」

 

 顔にまで出ちゃったのかな? そこまで落ち込んではないけど。

 

「女の子同士の恋人は変なのかな……って」

 

「姉妹だから良いじゃん。恋人だと思わせとけば」

 

「手、繫ごっか」

 

 仲良く手を繋ぎ、財布を戻しに行くと、再びジャグジーに来た。

 

「またジャグジー」

 

「お姉ちゃんと違って私はあんまり動きたくないの」

 

 空返事をしながら、あたし達は2人用に着水すると時計を確認した。

 

「13時だから16時くらいには出よっか」

 

 映画館は近いから、15分で着く。

 

「じゃあ、遠慮なく私は寝るね……」

 

「寝ちゃうの!?」

 

 あたしの右側にぴったりくっつくと、スズメは寄りかかる。

 

「あったか」

 

「これじゃあ、あたし動けないね」

 

 寝るまで様子を見ることにした。別に嫌がらせではない!

 

 寝たら? 優しく好きな事します。

 

 

 

 

『ど?』

 

「んんっおねーたん……」

 

 どうやら、寝言みたいだ。ホッと息を吐く。

 

 可愛いなぁ、スースーと寝息を立てながら、おねーたんって。

 

「…………」

 

 幸せそうな顔をつねるのは、なんかあたしが許せない!

 

 よし、小指を口に入れさせよう。

 

 口は開いてないけど、口角から滑り込ませると余裕で入る。

 

 嫌われたら嫌だ……もう遅いね。

 

『んっ……』

 

 口が開いたので、真ん中に指を動かす。

 

「スズメ温い」

 

 もう起きてるんじゃないの? と言いたくなるくらい甘噛みし出したんですけど。

 

 痛くないように力加減されてるし……起きてるよね!?

 

 噛めば味が出ると言わんばかりに噛むと、指が締め付けられ、吸われて行く。

 

「あー可愛い」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。