沈黙が続き、スルーされると思った時だった。
『やってみるかなぁ』
唇から振動が伝わり、ポテトが上下左右に動き回る。
目を開いてみると、パッチリとした瞳の妹様が咥えていた。
「…………」
頰を真っ赤にして、食べ進むスズメ。
自然とあたしは、腕を妹の方に回して抱き寄せてしまう。
沈黙が続き、心臓がいつもになく速く脈打つ。
『……ん〜』
スズメは大きく空気を鼻で吐く。
周りの視線は幸い、ゼロに等しい。けど、着々と食べ進められていくポテトは短くなっていた。
「ん〜! んんっ……」
なんと言っているのか分からないけど、視線からして「近い!」だと思う。
あたしが少し顔を傾け、受け止めやすくすると、怒るように唸る。
もう鼻息が掛かるような距離でポテトを維持してるのだ。
食べちゃう。
そう決心すると、自然と口角が上がってしまった。
「んっ!?」
察知した様だけど、もう遅い。あたしはポテトを奪い去り、そのままくちづけを交わす。
横断歩道の時より強く押し付け、長く当て、抱きしめる。
周りの視線は感じなかった。いや、感じていたけど気にしてない。
女の子同士だし、良いでしょ?
スズメは涙目になったので、もう少ししたかったけど唇を離す事に。
本当に柔らかい唇だよ……餅みたいな?
「あー、今年の力使い切っちゃった。お姉ちゃん最後長い!」
「妹様にダメ出しされるとは……美味しかったんだもん」
「美味しいって、変なの」
「変じゃないって」
そんな話をしながら、普通に冷めきったポテトを摘む。
「冷たいのは辛いね」
「最後の一本はあったかく食べれたら済むんじゃないの?」
「スズメからそんな事言うなんて……! お姉ちゃんとしては嬉しい」
「え、そんな意味じゃ」
ポテトの山は崩れていき、最後の一本になる。
「さて、一本になった」
あたしは、ポテトを摘み、スズメの口に入れ切る。
「お姉ちゃん詰め込み過ぎ」
「丸ごとで良いじゃん」
モゴモゴしてる妹を抱き寄せ、今度は軽くチュッとする。
『ポテトゲイム』
「かっこよくない」
「そんな!」
ポテトは食べ終えたので、トレーを戻しに行こうか。
「戻して来るからねー」
「私もついてくよ」
立ち上がると、一歩遅れてスズメも立ち上がる。
……戻す時も店員に変な目で見られた。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
顔にまで出ちゃったのかな? そこまで落ち込んではないけど。
「女の子同士の恋人は変なのかな……って」
「姉妹だから良いじゃん。恋人だと思わせとけば」
「手、繫ごっか」
仲良く手を繋ぎ、財布を戻しに行くと、再びジャグジーに来た。
「またジャグジー」
「お姉ちゃんと違って私はあんまり動きたくないの」
空返事をしながら、あたし達は2人用に着水すると時計を確認した。
「13時だから16時くらいには出よっか」
映画館は近いから、15分で着く。
「じゃあ、遠慮なく私は寝るね……」
「寝ちゃうの!?」
あたしの右側にぴったりくっつくと、スズメは寄りかかる。
「あったか」
「これじゃあ、あたし動けないね」
寝るまで様子を見ることにした。別に嫌がらせではない!
寝たら? 優しく好きな事します。
『ど?』
「んんっおねーたん……」
どうやら、寝言みたいだ。ホッと息を吐く。
可愛いなぁ、スースーと寝息を立てながら、おねーたんって。
「…………」
幸せそうな顔をつねるのは、なんかあたしが許せない!
よし、小指を口に入れさせよう。
口は開いてないけど、口角から滑り込ませると余裕で入る。
嫌われたら嫌だ……もう遅いね。
『んっ……』
口が開いたので、真ん中に指を動かす。
「スズメ温い」
もう起きてるんじゃないの? と言いたくなるくらい甘噛みし出したんですけど。
痛くないように力加減されてるし……起きてるよね!?
噛めば味が出ると言わんばかりに噛むと、指が締め付けられ、吸われて行く。
「あー可愛い」