※この作品はR-18です。

朝霧姉妹の百合物語   作:タクティス・ハルバード=レミィ

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7話 名残惜しい

 飽きが来ない! あたしは見惚れながらずっとしてます!

 

『んぅ……ん〜』

 

 時計を見ると、時間になったらしい。

 

 16時を指しております。

 

 でも、小指を引き抜かないと……あれ?

 

「離してくださ、」

 

 抜こうとしたら、唇の力が強くなる。

 

 そして、歯で抑えられてしまい、吸い戻される。

 

 これもう起こさないと抜けない。

 

「もう時間だよ、起きないと! 映画見れない!」

 

 揺さぶりながら起こす。

 

「お姉ちゃん、おひゃよ……うぇ?」

 

 あたしの腕を抑え、小指を舐めながら、驚くスズメ。

 

「表情と言葉と行動が矛盾してる」

 

「もうやめた方がいい?」

 

「……うん」

 

 続けて欲しいけど! もう出ないと!

 

「分かった」

 

 舌の感触が離れると、スズメが手を放した。

 

「ありがとね、のぼせてないのが凄いよ」

 

「そうかな」

 

 温泉に入ったような右手の小指を見つめながら、ジャグジーから出ると、左手で手を繋ぎながら歩き出す。

 

「うーん、至福だったなぁ……温水で寝るのもいいかも」

 

「毎日だったら疲れるよ? それにあたしが見張らないといけないし」

 

「はっ、そうだった」

 

 更衣室で鍵を開け、水着を脱ぐとタオルを妹に渡す。

 

「早く出ないと間に合わなくなる」

 

「そうなの……」

 

 悔しそうにスズメは口をすぼめる。

 

「なんで!?」

 

「髪拭いて欲しかったなー」

 

 タオルを取って欲しそうに出すと、上目遣いで訴えてくる。

 

「……ほら、タオル貸して」

 

 そんな妹様に抵抗は出来ません! あたしのタオルは肩に掛け、受け取ると頭に被せます。

 

「よっしゃ」

 

「ぐぬぬ……後ろ向きな」

 

 凄い扱われてる感あるけど……可愛いから許します。

 

 タオルから、ワシャワシャと水を拭いていく。

 

「さすが、お姉ちゃん!」

 

 髪を触ってみて、良い感じだったのでもうやめておこう。

 

「十分でしょ、後は自分でやってね」

 

「分かったよ……」

 

「落ち込まないでぇ」

 

 肩に掛けたタオルで、あたし自身の髪を拭き始めた、妹を横目でチラチラ見ながら。

 

 

 

 別に堪能しているわけじゃないけど、体を拭き、水着をパックに入れて、服を着て……と準備を整えていた。

 

「お姉ちゃん遅い〜」

 

「もう少しだよ」

 

 再びポニーテールを結って、リュックの中身を確認すると背負う。

 

「もう行こっか」

 

「うん、手を繋いで」

 

 仲良く更衣室を後にすると、店員が笑顔で見ていたけど、気にせずタオルを2枚返しておきますね。

 

 自動ドアを抜けて、外の冷たい空気を胸いっぱいに取り込む。

 

「あー寒い」

 

「歩けば温くなると思うよ」

 

 本当かな? イマイチ信じれないけど。

 

 右を歩いて、映画館に向かう事にした。

 

「空が赤いねー、四時くらいだけども……」

 

「出る頃には夜だ! お姉ちゃんに密着しないと寒いかも」

 

「ぎゅーってしてあげるよ」

 

 いつもより、ベタベタくっついてくれる妹に感謝しないとね。あと、楽しまないと!

 

 周りは本当にカップルだらけで、クリスマスって感じ。

 

 

 

 

 

 私は、何をお姉ちゃんにプレゼントしたらいいんだろ?

 

 一緒に歩きながら、何も言えずに……。

 

『スズメ〜、何が欲しい?』

 

 欲しい物はもう決まってる。

 

「お姉ちゃん」

 

「本当に? もう拒否権ないよ?」

 

「うん!」

 

「断言されると困っちゃう」

 

 気持ちには、素直にならないと……ダメって気づいたから。

 

 前を見てみると、映画館が見えてきた。

 

 機材が描かれた看板、赤と白のイルミネーション、英文字でラブロマンスとか描かれてるし。

 

「ここ?」

 

「だよ」

 

 時間は16時40?辺りを指してる。

 

「もうあんまり時間ないし、早くいこ」

 

 寒いのか、お姉ちゃんの口数は少ない。

 

 手を引っ張られながら、入るとカウンターに向かう。

 

 入り口からすぐにカウンターが左右にあって、奥に上映するシアターがあるのかな?

 

 青い床は、体の寒さを加速させた気がする。

 

「ご来店ありがとうございます」

 

「えーと……ショートボブと長髪と愛っていうのを」

 

 よく見たら、店員の後ろにポップコーンとかジュース機材がある。

 

「これがチケットになります。お飲み物や、ポップコーンはいかがですか?」

 

「どうする、スズメ?」

 

「なんでもいいよ」

 

 カウンターに埋め込まれた一覧を見つつ、お姉ちゃんは唸ると答えた。

 

「ポップコーンのLとソーダM2つ」

 

「かしこまりました、合計……」

 

 会計を済ますと、店員はポップコーンを機械から取り出し、水色の液体を大きめの紙コップに入れていく。

 

「ポップコーンと、ソーダMになります。あちらから入場下さい」

 

 紙のボールにポップコーンがたんまりと入っていた。

 

 ソーダはもちろん蓋付き。

 

「スズメは、ソーダ1つ持ってね?」

 

「おっす」

 

「なんか機嫌いいね」

 

 お姉ちゃんからジュースを受け取ると、店員に言われた通り通路を通っていく。

 

「ポップコーンと一緒に貰ったチケット、スズメも持っといてね」

 

「はーい」

 

 チケットをポケットにしまうと、目的のショートボブと長髪と愛と上に書かれたドアに着いた。

 

「おおー、なんかワクワクするね」

 

 そう言いながら、お姉ちゃんが開くともう少しで上映するらしく、早めに座る事に。

 

 でも、人が居ない。後ろにも前にも。

 

「やっぱり、前が良かった?」

 

「ううん、真ん中の位置でいいよ」

 

 私とお姉ちゃんの間にポップコーンを置いて、ジュースを立て掛ける。

 

『上映が始まります、迷惑にならないようマナーモード及び機内モードの設定を……盗撮もはんざ』

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