―――なんか調子狂うな・・・・・・
昼下がりのオフィスでパソコンに向かいながら、何度目かの何ともいえないもやもやした違和感にため息をつく。おそらくそれは同僚の何人もが感じていることだろう。なんとなく普段よりも空気がどんよりとしている。
とはいえ、この原因ははっきりしている。「あいつ」がいないからだ。
あいつが合コンを断ったアリバイ作りにウチでの家飲みにしたまでは良かった。しかし、その後終電を逃してしまい(俺のせい)、夜更けまで「頑張った」おかげで寝坊して(俺のせい)、おまけにスーツが汚れて出社することもままならなくなり(俺のせい)、結局は仮病を使って欠勤させるハメになってしまったのだ。
―――しっかし、あいつ一人いないだけでこうも変わるもんかね?
天性のムードメーカーだとは思っていたが、ここまでオフィスの雰囲気が変わるとは思ってもみなかった。これで、もしあいつが寿退社なぞしようものなら、ここの業務が止まっちまうんじゃないかとさえ思えてしまう。
もっとも、あいつを寿退社させる可能性があるのは、今のところ俺なわけなのだが・・・・・・たぶん。
もし本当に俺があいつを寿退社させてしまったらどうなるのだろう。
―――こわっ!
どうやっても俺が悪者になる図しか見えてこねえ。想像しただけで震えがこみ上げてくる。もしものときに備えて、周りとの人間関係を良好な状態に保てるように意識しておこう。
「ん?」
俺が、来るかどうかも分からない勝手な未来図に妄想を働かせていると、デスクの脇に置いた携帯がバイブを震わせ、メールの着信を知らせてきた。着信表示画面に現れた名前は、あいつこと昨日から俺の彼女になった(たぶん)後輩のものだった。
「っと」
指導係でもある俺の携帯に、あいつからメールが入ることは別段おかしなことでもないのだが、職場の皆に対する後ろめたさから、ついつい隠すようにして内容を確認してしまう。
[先輩、お仕事お疲れさまです!結局、休むことになってしまって済みませんでした(泣)。ところで今日は先輩、何時頃に帰られますか?アパートの鍵をお返ししたいのと、よかったら晩ご飯も一緒にできたらなあ・・・・・・なんて。急がないので、空いてる時間に教えてください。]
本当にできた後輩である。俺の不手際でズル休みをさせるハメになってしまったというのに、恨み節の一つもない。ばかりか、この気の遣いようである。本当に俺にはもったいないほどのいいやつだと、しみじみ感じてしまう。
[8時頃には帰れると思う。飯の件、了解!遅くなりそうなときは連絡する。]
なんというか、味も素っ気もないとはまさにこのことだ。まあ、俺からのメールはいつもこんな感じだから、あいつが特に気にしたりすることはないだろう。と、思っていたら手の中の携帯が震えはじめた。
[やった!!あ、先輩のおうちで待たせてもらっててもいいですか?]
どういうことだ?晩飯食べるなら外で待ち合わせの方が早いだろうに。疑問に思いつつも了解の旨を返信する。
[ありがとうございます!ふみちゃんと一緒に待ってますね!]
だから勝手に名前を付けるんじゃねえ、と苦笑しながら心の中でツッコミを入れる。しかし、最近はあいつが文字通り猫っ可愛がりするもんだから、すっかり懐いちまってるんだよなあ。そういや今朝もあいつが「ふみちゃ~ん」って呼んだら、当たり前のように返事をしてたな・・・・・・
まあ、とにかく可愛い後輩が俺の帰りを待っていてくれてるらしいので、ちゃんと約束の時間に帰れるように励まなければなるまい。
「うし!」
いつになく気合いを入れると、俺は目の前に鎮座する業務の駆逐に取り掛かるのであった。
可愛い後輩からの思わぬお誘いにより、普段よりかなり熱心に取り組んだ結果、約束の時間よりも30分以上早く帰宅することができた。
いつもより軽い足取りでアパートに帰り着き、自分の部屋を見上げると明かりが点いている。その光景に思わず胸が温かくなる。誰かが待っていてくれているというのは、思いのほかいいもんだ。そんなことを考えながら足早に階段を上がり、ドアノブに手を掛ける。
「ただいま」
「あ、先パイ、お帰りなさい」
実家に帰ったとき以外で「お帰りなさい」を聞くのは一体いつ振りのことだろう。
部屋の奥から後輩がぱたぱたと駆けてくる音がして、同時に食欲をそそる良い匂いが鼻孔をくすぐる。なるほど、そういうことだったのか。
「お仕事お疲れさまでした。今日は早かったんですね」
ジーンズに白のカットソーというラフな出で立ちの後輩が俺を迎える。そういえば、こいつの私服姿を見るのは初めてだったな。
「まあな。可愛い後輩が待っててくれてるって言うんだ、早く帰らない訳にはいかないだろう?」
自然と答える声が明るくなる。普段ならこんな冗談は言わないのだが、俺もやはり今の状況に浮かれているのだろう。
「ありがとうございます、先パイ。あ!それなら、わたしが毎日待ってたら先パイのお仕事、いつも早く終わりますね!」
「っ!?」
その言葉にドキッとして、屈託のない笑顔を浮かべる後輩を思わず見返してしまった。
「?」
俺の反応が意外だったのか、不思議そうな顔で俺を見返してくる。自分の発言が何を意味していたかまでは気が付いていないようだ。
「ま、まあ、そうだな。誰かが待っててくれてるっていうのはいいよな」
「ですよね~?ふふっ」
俺のスーツを受け取りながら心底嬉しそうな笑顔を浮かべてくる。それから「忘れてた!」みたいな表情を浮かべると、イタズラを思いついた子供みたいな顔で見上げてくる。
「ねえ、先パイ」
「ん?」
次は何をしようとしているのだろうか?ついつい身構えてしまう。
「ご飯にします?お風呂にします?それとも・・・・・・」
後輩がすっと背伸びをして、頬が触れ合う寸前まで顔を寄せてくる。
「・・・・・・わたし?」
甘い声が耳元をくすぐる。思わぬ攻撃に、驚いて固まってしまった俺から身体を離してくすりと微笑んだ。
「なんて♪先パイ、びっくりしました?」
どうやら俺はからかわれたらしい。なるほど、なるほど。しかし、そうと分かったら俺も黙ってはいられない。ここはしっかりと教育してやらないといけないようだ。
俺は表情を引き締めると、身体を離した後輩との距離をすっと詰める。
「え、えっと・・・・・・、せ、先パ・・・・・・イ?」
急に真顔になってしまった俺を見て、胸元にスーツを抱いた後輩が、落ち着きなく視線をさまよわせる。
「そうだな。せっかくだからお前にするかな」
さらに距離を詰めて、後ずさる後輩を壁際にまで追いつめる。
「えっ、えっ!?」
「メシと風呂とお前、どれがいいか聞いてきたのはお前だろう?」
頬にすっと手を添えると、後輩はぴくっと小さく震えて身体を堅くする。
「そ、それは、そうなんですけど・・・・・・んっ!」
後輩の言葉を遮って少し乱暴に唇をふさぐ。くしゃりと後輩の柔らかな髪に指を絡ませながら舌を挿し入れていく。
唐突の展開に付いていけず、身体を堅くしたままの後輩の舌を半ば強引に絡め取っていく。
「んっ、んっ・・・・・・」
徐々に後輩の身体から力が抜けてきて、次第に応えるように舌を絡めてくる。
「ねえ、せんぱい・・・・・・、ごはん、冷めちゃいますよ・・・・・・」
僅かに艶の出てきた目で見上げながら、俺の身体を押し返そうとするがその手にはほとんど力が入っていない。
「俺に火を灯けさせたお前が悪い」
「そんなぁ・・・・・・、ひぁっ!」
腰を抱いて引き寄せると耳たぶを甘噛みする。さて、そろそろ頃合いにしておかないと俺の方も抑えが効かなくなるかもしれないな。
「なんてな」
俺は耳たぶから口を離すと耳元で囁いた。
「・・・・・・え?」
「人をからかった罰だ」
後輩の腰を抱いたまま顔だけ離し、にやにやしながら見下ろした。
2、3度ぱちぱちと目をしばたかせた後輩は、状況を理解したのか瞬く間に顔を赤くしていった。
「んん~~~~」
後輩は目をぎゅっと閉じると俺の胸に頭を付けて、ぼすぼすと頭突きをしてくる。
「さ、メシにしようぜ。腹が減って死にそうだ」
「先パイのいじわる・・・・・・」
伏せた頭の下から恨みがましそうな声が聞こえてくる。ちょっとやりすぎたかと思いながら後輩の頭を撫でてやる。
「それとも、続けた方が良かったか?」
「知りません!」
耳まで真っ赤になりながら、腕の中でじたばたと暴れて身体を離そうとする。本当に可愛いやつだ。暴れる後輩を抱き締めながら「どうどう」と背中をさする。
「悪かったよ。だから、な?お前の自慢のメシが冷めちまう」
どうにか大人しくなった後輩が、腕の中で小さくこくんと頷いた。
「よし」
明るくそう言うと後輩の頭を撫でながらリビングへと足を向ける。
「・・・・・・なんか騙されてる気がする」
隣でぶつぶつ呟く声がするが、聞こえないフリをするのが吉というものだろう。
夕食を終えると手早く片づけを済ませ、ビール片手に他愛もない話に花を咲かせる。
からかいが過ぎて微妙にご機嫌ナナメだった後輩を宥めるためにも、食べている間は料理を誉めまくっていたおかげか(実際に美味かったのだが)今はやけに上機嫌だ。
「んふ♪せ~んぱい」
アルコールが回ってきて、うっすらと赤い顔をした後輩がしなだれかかり、俺の肩に頭を乗せる。ぱさりと髪が流れ、甘い香りが鼻孔をくすぐった。
「ん?」
「んふふふ~♪せんぱいは~、いつからわたしのことが好きだったんですかぁ?」
「っ!?」
危うく口にしていたビールを吹き出しそうになる。ていうか、なんだそのバカップルみたいな質問は。
「だって、だって、昨日先パイもわたしのこと好きだって言ってくれたじゃないですか~?」
「・・・・・・さあな、いつからなんて憶えてねーよ」
ついつい口調がぶっきらぼうになってしまう。そんな恥ずかしい質問、真面目に答えられるか!
「じゃあ、じゃあ♪憶えてないくらい前からってことですか!?」
「・・・・・・」
ものすごく目を輝かせて迫ってきた。どこまでポジティブなんだ。
「そ、そういうお前はどうなんだ?」
この返しもどうかと思うが、俺が逃げるためには致し方ないというものだろう。
「んん~」
後輩が顎にひとさし指を当てて考え込んでいる。どうやらこっちは真剣に答えてくれるみたいだ。
「・・・・・・おんぶ?」
「・・・・・・は?」
また訳の分からない答えが返ってきたな。
「えっとですね、初めて先パイにおんぶしてもらったときって憶えてます?」
ああ、よく憶えているとも。得意先との会食で俺が止めたにも関わらず、勧められるままに飲んだ挙げ句に足腰が立たなくなったやつだ。
「気が付いたら先パイにおんぶされてて、申し訳ない気持ちもあったんですけど、それ以上に先パイの背中に触れてるとすごく安心できて・・・・・・」
言ってて恥ずかしくなってきたのか、後輩が俺の肩におでこを付ける。
「そのとき初めて「あ、わたし先パイのこと好きなんだ」って」
聞いてるこっちも顔が熱くなってくる。後輩の髪の間からのぞく耳も赤くなっているのは、アルコールのせいだけではないのだろう。
「それからは、わざとおんぶをねだったり、理由を付けては先パイのお家に遊びに来たりいろいろアピールしてるのに、先パイってば全然気付いてくれないんだもんな~」
後輩が肩に付けた頭をぐりぐりと押しつけてくる。えらく懐かれてるとは思っていたが、会社の先輩としての信頼だと思っていた。いや、そう思わないと間違いを起こしてしまいそうで、俺が怖かったんだろうな。
「まあ、そう言うな。俺にも先輩としての立場ってもんがあるんだ」
後輩の頭にそっと手を乗せた。柔らかな髪の感触が掌を心地よく刺激する。
「わかってますよぉ、でも・・・・・・」
「俺はお前のことが好きだ。そして、今はこうして一緒にいる。それじゃダメか?」
後輩の髪を撫でながら、耳元に顔を寄せて囁く。
「ダメ・・・・・・、じゃないです」
「よし、いい子だ」
くしゃりと髪に指を絡ませる。ふと、壁の時計を見上げると、いつの間にか10時を回ろうとしていた。
「さて、名残惜しいがそろそろお開きにしないとな。また帰れなくなっちまうぞ」
「・・・・・・やだ」
俯いたままの後輩が、俺の袖を掴んでぽつりと呟いた。
「いや、でもお前・・・・・・」
それは帰したくないのは俺も山々だが、さすがにここで帰さなかったら今朝の二の舞になってしまうのは間違いない。二日も続けて仮病で休ませるのはさすがに気が引ける。
「大丈夫です。お泊まりの用意、してきましたから」
壁際に置いてあるバッグに目を移す。確かにメシを作りに来ただけにしては、やけにデカい荷物を持ってきているなとは思っていたのだが、そういうことだったのか。
「それでもダメ・・・・・・ですか?」
俺の表情を伺うように上目遣いで見上げてくる。
「しょうがねえなあ・・・・・・」
そう言ったのは照れ隠しだ。そこまでされたら拒否する理由など見当たるわけがない。
「よかった!」
後輩の表情がぱあっと明るくなる。それから目を閉じると「んっ」とおねだりをするように顎を上げてきた。
その嬉しそうな表情と仕草に思わず笑みが漏れる。俺は後輩の腰に手を回し、そっと引き寄せながら桜色の唇に俺の唇を重ねていった。
ついばむようなキスをしながら、時折、目を合わせては微笑み合う。お互い、徐々に気持ちが昂ぶっているのが分かる。ちろちろとくすぐり合うようだった舌の動きは、唇を重ねる度にねっとりと絡みつくような動きへと変化していった。
「ねえ・・・・・・、せんぱい」
うっすらと朱が差した顔をして、後輩が少し甘えた声を出しながら見上げてくる。
「ん?」
「・・・・・・シャワー、浴びてきていいですか?」
「俺は気にしないと、昨日言わなかったっけ?」
おどけるようにして言うと、後輩はさらに赤くなりながらぷっと頬を膨らませる。
「ダぁ~メ!もうその手には乗らないですからね!」
「じゃあ、一緒に入るか?」
「・・・・・・え?」
後輩にとって、その言葉は予想外だったのだろう。たっぷり言葉の意味を反芻するような間があって、意味を理解すると同時に茹で上がった。
「ダメダメ、ダメです!そんなの恥ずかしすぎてムリですよぉ!」
「何をいまさら。大体、昨日全部見られてるだろうが」
そう言うと後輩は、顔を真っ赤にして唸りながら唇を尖らせる。
「そ、それはそうなんですけど・・・・・・。でも、やっぱり恥ずかしいですよ・・・・・・」
恥ずかしいだけで、嫌だとは言わないあたりがこいつの性格を物語っているな。
「だったら、昨日みたいにこのままするけど、それでも良いか?」
「そんなぁ~」
腕の中で情けない声を上げた後、観念したようにうなだれる。
「・・・・・・分かりました、一緒に入ります。うぅ・・・・・・恥ずかしい」
さああああ、とシャワーの音が浴室に響き、水蒸気が立ちこめる。
―――やけに遅いな・・・・・・
がしがしとシャンプーを洗い落としながら、なかなか姿を見せない後輩のことを考える。
一緒に風呂に入るというところまで丸め込んだはいいものの「服を脱ぐところまで見られるのは、どうしても恥ずかしいから先に入って待ってて欲しい」と言われ、こうして待っているのだが、肝心のあいつはなかなか姿を現さない。
もしかしたら怖じ気付いてこのまま逃げ切るつもりじゃなかろうかと思い始めた頃、すり硝子の向こうに後輩の姿が現れた。
その姿はすり硝子越しにも分かるほど、全身で躊躇いを表していた。おそらくは脱衣所に入るまでの間も同じようなことをやっていたのだろう。その姿を想像するとおかしくて思わず笑みがこぼれてしまう。
脱衣所を何度かうろうろした後、ようやく着衣を脱ぎ始めた。しかし上着、キャミソール、ズボンと脱いで下着姿になったところで動きが止まってしまった。
「お~い、時間掛けると余計に恥ずかしくなるぞ。諦めてとっとと入って来い」
からかうように声を掛けると「は、はいっ!」と裏返った声で返事をする。そして胸元に手を当て、何度か「すうはあ」と深呼吸するような素振りをすると、意を決したかのように下着を脱ぎ始めた。
しかしなんだろうな。シルエットだけとはいえ、女の子が服を脱いでいるところを見るというのは妙に興奮するな。
「お、おじゃまします・・・・・・」
がしゃっと浴室の折り戸を開けて、後輩が躊躇いがちに顔をのぞかせた。
「おう、遅かったな」
シャワーを止めて体を向ける。後輩は両手で身体を隠すようにして浴室に入ってきた。
「あ、あんまり見ないで下さい・・・・・・。恥ずかしいから・・・・・・」
とは言われてもやはり凝視してしまう。できるだけ身体の正面を隠そうとしているのみたいだが、くねらせた身体のラインが余計に艶めかしさを増していることにこいつは気付いてないのだろう。
「何言ってんだ。すごくきれいだぞ」
「ま、またそんなこと言って・・・・・・」
からかわれたと思ったのだろう。口を尖らせた後輩の手首を掴んで正面を向かせた。
「あ・・・・・・、やだ・・・・・・」
両手を掴まれて、身体を隠すことができなくなった後輩が、羞恥に身をよじらせた。張りのある乳房は、重力など感じさせないようにきれいな紡錘形を保ち、その頂点では桜色の乳首がツンと上向いている。視線をくびれたウェストラインに沿って下に移すと、形の良い臍の下に逆三角形の陰毛が白い肌の上に淫靡なコントラストを作っていた。
「そ、そんなに見ないで・・・・・・」
後輩が羞恥に顔を逸らすが、俺は無言のまま後輩の身体を壁に押しつけると、ほんのりと朱に染まった首筋に口付けた。
「・・・・・・んっ」
後輩の身体が小さくぴくんと震える。俺は身体のラインをなぞるように首筋から鎖骨、乳房へと唇を滑らせていく。
掴んでいた手首から手を離し、左手を包み込むように乳房に這わせ、右手を内腿へと差し入れる。
「あっ、やっ・・・・・・」
拒絶するような言葉とは裏腹に、右手に促されるままじわじわと足を開いていく。俺は左手で乳房から腰へと身体のラインを辿りつつ、開いた足の間へ身体を入れながら跪き、唇を下へと這わせていった。
「やっ、せんぱい、ダメ・・・・・・」
俺の意図に気付いた後輩が、俺の頭に手を添えるが本気で押しのけようとしている訳ではないのが、込められた力で分かる。
「だ、ダメ、せんぱい。まだ、洗ってないのに・・・・・・」
ふわりとした陰毛の茂みを越えて、股間へと舌をのばす。そこはすでに割れ目の外にまで濡れが染み出ていて、ぬるりとした感触が舌先にあった。
「あっ・・・・・・」
昨日のことがあったので日中は気を付けていたのだろう、アンモニア臭や生活の中で生じる匂いが残ってはいるが、昨日のように濃厚な臭いはしなかった。代わりに、独特の生臭さを持った愛液の匂いが強く立ち昇っている。
鼻先を陰毛に埋めながら舌を伸ばすと、潮の薫りを含んだ愛液が舌先に絡みつく。
「んっ・・・・・・」
俺の舌が割れ目をなぞると、後輩が身体をぴくりと震わせる。しかし、いくら足を開いているとはいえ、立った状態では付け根が開く量などたかが知れている。目一杯舌を伸ばしても、愛撫できる範囲は限られていた。
俺は後輩の腰を抱いていた手を離すと、左足の内股に添えて力を入れた。
「・・・・・・せんぱい?」
俺の行為に疑問を持ちながらも、添えられた手に押されるまま、足を開いていく。そして内腿に添えていた手を滑らせ、膝の裏にあてがうと、ぐいっと力を入れて持ち上げ、湯船の縁へと左足を上げさせた。
「せんぱい、こんなの恥ずかしい・・・・・」
後輩は背中を壁に押し当てて、片膝を湯船に上げられたため、目の前で跪いた俺の顔の正面に大きく足を開く格好になる。呼吸に合わせて目の前で揺れる後輩の性器は、僅かに綻び、ぬかるんだその内側を覗かせていた。
「んんっ!」
足を開かせてできた隙間に身体を割り入れる。見上げるような形になりながら割れ目を舐め上げると、性器の奥に溜まっていた愛液が、舌の上をとろりと滑り落ちた。
止めどなく溢れてくる、ぬめった液体を一滴も逃すまいと後輩の性器に夢中で舌を伸ばし、柔らかな肉の合間にくぐらせた。
「はあっ・・・・・・あっ、あっ・・・・・・」
俺の舌先が割れ目を舐め上げ、膣口に潜り込むたびに開いた内腿に腱が浮かび上がり、悩ましく腰をくねらせ喘ぎを上げる。
後輩の性器に舌を這わせながら視線を上げると、そこには淫靡な光景が広がっている。扇情的な曲線を描く恥丘の上に密生した叢、女性的で柔らかな腰のライン、そして喘ぎに合わせて上下する豊かな乳房。それらが俺の興奮を昂ぶらせていく。
「ああっ!」
割れ目の合わい目、肉の鞘から姿を見せ始めたクリトリスの先端を舌先で撫でると、後輩がびくんと腰を震わせて声を上げた。
「んっ」
肉鞘に左手の親指を当ててクリトリスをむき出しにすると、俺の頭に触れていた後輩の指先に力が入る。包皮を剥かれ、その姿を晒された真珠色のクリトリスがひくひくと震えている。そこに吸い寄せられるように舌先を伸ばすと、小さな肉芽を転がした。
「んあっ!やっ、ダメ、せんぱ・・・・・・いっ!」
後輩の指先に力が入り、俺の頭を押さえつける。しかし、その手は俺の頭を離そうとしているのではなく、強すぎる快感を堪えようとしているようだった。
狭いユニットバスに、後輩の喘ぎと粘りつくような水音が響き渡る。後輩のクリトリスはぴんと勃起し、指で押さえなくとも包皮の中に隠れようとはしなくなっていた。
「せ、せんぱい・・・・・・わたし、もう、もう・・・・・・」
俺の頭を押さえたまま、うわごとのように濡れた声で後輩が囁いた。俺は後輩の腰を抱えるようにして、目の前でひくひくと震えるクリトリスに唇を押し付けると、唇をすぼめてきゅうっと吸い上げた。
「えっ!?あっ、やあっ!ダメっ!ああぁぁぁぁっ!!」
その瞬間、後輩ががくがくと腰を震わせて絶頂に達した。俺の頭を後輩の指が強く掴み、性器の中心からとぷんと熱い液体が零れ出て俺の顎を濡らす。
「はっ、はっ、はあぁぁぁ・・・・・・」
絶頂の波が収まると、後輩は力が抜けてユニットバスの壁に寄りかかった。絶頂の余韻か、開いたままの内腿が細かく震えていて、性器から溢れた液体が一筋の透明な線を作っていた。
「もう・・・・・・、せんぱいってば・・・・・・」
乱れた呼吸を整えながら、後輩が慈しむように俺の髪に指を絡めてくる。心地よい指の感触を感じながら、後輩の柔らかな下腹部へ軽くキスをした。
「あんっ、せんぱいのえっち」
くすぐったそうに身じろぎして、後輩の甘えるような声が降ってくる。
俺は体を起こすと、壁に寄り掛かっている後輩を抱き寄せた。後輩も引き寄せられるままに身体を預け、俺の背中に腕を回し胸元に顔を埋めてきた。
「ふふ、せんぱい、あったかい・・・・・・」
後輩の声が胸元をくすぐる。身体の触れ合っている場所から後輩の体温が伝わり、同時に滑らかで柔らかな肌の感触が俺の興奮を更に昂ぶらせていく。
俺が後輩の腰に回した手を緩めて僅かに身体を離すと、察しのいい後輩は俺を見上げてそっと目を閉じた。
「ん・・・・・・」
後輩の頭を掻き抱きながら唇を重ねる。開いた唇の間から舌を挿し入れると、後輩もためらうことなく舌を絡めてきた。
「ふっ、んっ、んっ・・・・・・」
お互い、貪るように舌を絡めながら息を荒げていく。俺は腰に回していた手をお互いの身体の間に潜り込ませると、豊かな乳房へと這わせていった。
「んっ!」
柔らかな乳房を揉みしだきながら指先で乳首を転がすと、ぴくんと身体を震わせて喘ぎを漏らした。
しっとりと掌に吸い付いてくる乳房に指をめり込ませる。後輩の乳房は、俺の指の動きに忠実に形を変え、そこから生まれた快感が後輩の腰を蠢かせる。
「ね・・・・・・せんぱい、ここで、するんですか・・・・・・?」
とろんと艶を含んだ瞳で見上げながら後輩が訊いてくる。
「だめか?」
「だめ・・・・・・じゃないですけど、でも・・・・・・」
少し躊躇うように、ちらりと視線を巡らせる。確かにアパートのユニットバスでは、ベッドの上とは違い横になってするのは難しいし、精神的にも抵抗があるのだろう。
「まあ任せろ」
「もう、任せろって何なんです・・・・・・やんっ」
後輩の言葉を遮って身体を離すと、くるりと反対を向かせて背中から抱きすくめる。
「うしろ・・・・・・から?」
「それに、この方が触り易いしな」
そう言って後ろから回した両手で、後輩の乳房を包み込む。
「んっ・・・・・・、ほんとにえっちですね、せんぱいは」
言葉ではそんなことを言いつつも、甘えた声色で身体を預けてくる。昨日よりも積極的になっているように見えるのは、やはり二回目だからなのだろうか。
「そういうお前も、人のことは言えないんじゃないか?」
後ろから後輩の乳房を揉みしだきながら、硬く勃起した乳首をきゅうっと摘む。
「んんっ!!せ・・・・・・せんぱいが、えっちなことするからですよぉ」
「それだけとは思えないけどな?」
後輩の耳元で囁きながら右手を下半身へと滑らせる。
「やっ、ああっ!」
陰毛を掻き分けたその先、熱く息づく大陰唇の合わい目を中指で撫で上げた。割れ目の中は再びぬめりが溢れ、こぼれ落ちそうなほどにぬかるんでいた。そして、大陰唇の間を滑らせるように中指と薬指を潜り込ませていき、指先に力を入れる。
「あっ、んんっ!!」
十分すぎるほど濡れていた膣は、易々と二本の指を飲み込んだ。後輩の膣の中は驚くほどの熱を帯び、うねる襞が柔らかく俺の指を包み込んできた。その襞の一枚一枚を確かめるように、そしてわざと水音を立てるように膣壁を愛撫する。
「ほら、すごく濡れてる」
「やっ、そんなこと・・・・・・言わない・・・・・・で」
羞恥と快感に身体を染めた後輩が腰をくねらせる。同時に指を挿入したまま、恥丘を押さえて腰を引き寄せ、俺のペニスを後輩の尻の谷間に押し付けた。
「あんっ・・・・・・せんぱいだって、すごく熱くなってますよ」
後輩がもぞりと腰を震わせる。肌理の細やかな肌が俺のペニスを刺激し、反射的にびくんとペニスが跳ねた。
「ああ、だから早くお前の中に入りたい」
ぬるりと膣から指を抜き、勃起している後輩のクリトリスをすっと撫でる。
「はあっ!わ、わたし・・・・・・も」
後輩の腰に手を掛けると、ぐっと自分の方へと引き寄せる。
「や、やっぱり・・・・・・このまま、するんです・・・・・・か?」
壁に手を突き、少しだけ前屈みになった後輩が恥ずかしそうな表情を浮かべてこちらを振り返る。
俺は「そうだ」と言うように亀頭の先を割れ目に添えて滑らせ、腰を更に突き出させるために手に力を入れた。
「んっ・・・・・・せ、せんぱい、恥ずかしい」
しかし、言葉とは裏腹に後輩は壁に両手を突いて上半身を倒し、おずおずと両足を開いていく。下を向いた後輩の髪がぱさりと流れ、うっすらと朱に染まったうなじが露わになる。
シミひとつない張りのある健康的な尻が挿入を待ちわびるかのように突き出されている。肩幅にまで開いた両足のせいで尻の谷間が広がり、セピア色の菊座と僅かに開いた濡れた割れ目が完全に晒されている。
目の前の淫靡な光景にゴクリと喉が鳴り、ペニスがびくびくと跳ねる。
俺はペニスの根元を握ると、溢れ出たぬめりでてらてらと輝く割れ目に亀頭を押し当てた。
「はあっ・・・・・・」
後輩がため息のような喘ぎを漏らし、無意識にだろうか、くいっと腰を突き出し、亀頭の先端がぬるっと膣口に呑み込まれる。
「うっ・・・・・・」
敏感になっている亀頭への刺激に思わず呻きが漏れる。俺は指先を豊かな腰に食い込ませると、ぐぐっと腰を前に突き出した。
「あっ・・・・・・あぁっ!!」
亀頭が膣口を押し拡げ、ずるりとペニスが後輩の中へと突き進む。十分に濡れそぼっていた膣は易々とペニスを呑み込んでいき、結合部からぐちゅりと白みがかった愛液が溢れ出る。
「ふうっ・・・・・・うぅぅっ・・・・・・」
壁に拳をぎゅっと押し付けて後輩が唸るのを聞きながら、熱くうねる膣にペニスを根元まで埋め込んだ。
挿入の余韻を味わいながら両手を前に回し乳房に触れる。重力に引かれた乳房が垂れ下がり、掌にずっしりとした重みを伝えてくる。たぽんとした乳房の感触を楽しみながら、指先でコリコリと乳首を転がした。
「だ、ダメぇぇぇ・・・・・・」
苦しそうな喘ぎを上げながらも後輩の腰がゆっくりと前後に動き始める。柔らかくペニスを締め付けて、尻を小さく震わせながら何度も前後に動く。
「はぁっ・・・・・・あっ、あっ」
後輩が快感に背中を反らせ喘ぎを漏らす。
俺は右手を乳房から離すと下腹部へ滑らせ、結合部へと指を這わせる。ぽってりとしていた大陰唇は、俺のペニスをくわえ込んで薄く引き延ばされていた。愛液にまみれた大陰唇をなぞり、むき出しになっているクリトリスを探り当てる。
「やっ!だめぇっ、せんぱ・・・・・・いイィィっっ!!」
指の腹でぐりっと押さえると後輩の腰の動きが止まり、ズルズルと崩れ落ちていき膝をついた。
すがるようにバスタブの縁を掴んだ後輩の指先が白くなる。
後輩は大きく背中を反らせて尻を高く持ち上げ、菊座の下の結合部までがはっきりと見える。
俺は再び両手で腰を掴むと、ズンッと深く突いた。
「ああぁぁっ!!」
後輩は高く喘ぎを上げるとバスタブを掴んだ両手の間に頭を埋めた。
うなじに浮かんでいた汗がつうっと流れ落ちる。後輩の身体から立ち昇る甘い香りと、結合部から上がる淫臭が本能を刺激した。
腰を引くと結合部から白濁した粘液にまみれたペニスが現れる。腰を前に突くと後輩の尻も迎えるように突き出され、ペニスを深々と呑み込んでいく。
抽送のたびに膣からぬめりが溢れ、内腿にできた粘液の筋を伸ばしていった。
「ああっ!せんぱい、せんぱいっ!!」
後輩の声を聞きながら息を荒げて腰を振る。激しく熱を帯びた膣壁がペニスにまとわりつき、時折、きゅっ、きゅっと締め付ける。
俺は起こしていた上半身を後輩の背に預けると、両手を前に回し、乳房を鷲掴みにして抽送のペースを上げていった。
二人の腰が打ち付けられる音と、結合部から上がる粘液質の水音がバスルームに響き渡る。
「だめぇ・・・・・・せんぱい、わたし・・・・・・もう」
ペニスを締め付ける膣の動きが、徐々に間隔が短くなってくる。
「こっ、このまま、いく・・・・・・ぞ」
下腹部の奥に引き戻せない快感が集中してくる。俺の限界ももうすぐそこまで来ていた。
「んんっ!せんぱい、来て、来てぇぇぇっ!」
膣の中がひくひくと震え、ペニスを締め付けていく。
「ぐ・・・・・・ううっ」
奥歯を食いしばって快感に耐えようとするが、それももう限界のようだった。ペニスがぐぐっと膨張する。俺は後輩の腰を掴むと最後の一突きを際奥へと叩きつけた。
「ああっ!せんぱい、せんぱ・・・・・・いぃぃぃぃっっ!!」
同時に後輩も腰を突き出し、ペニスを根元まで呑み込むとびくん、びくんと全身を震わせ膣をぎゅうっと収縮させる。
「ウゥッ!!」
膨らみきったペニスが弾けるように、ドッと精子を吐き出した。どくん、どくんと何度も吐精が続き、後輩の膣壁もびくびくと痙攣して俺のペニスを離そうとしなかった。
バスルームに静けさが戻り、俺と後輩の荒い呼吸だけが不規則に響いていた。覆い被さっていた身体を離すと、後輩の性器から二人のものが混じり合った白い液体が溢れ出た。
「ん・・・・・・」
太股を伝う感触に小さく身体を震わせ、後輩の腰がすとんと床に落ちて湯船に持たれかかる。俺はその肩を抱くと、そっと胸の中に引き寄せた。
「もう・・・・・・、結局こうなっちゃうんだから」
後輩が俺の肩にとん・・・・・・と頭を乗せて、笑みを含んだ声で囁いた。
「いやだったか?」
後輩の額に汗で張り付いていた髪を指先で流してやり、そのまま頬を包み込む。
「いやじゃないですけど・・・・・・でも、やっぱり恥ずかしいです」
「あんまりそんな風には見えなかったけどな?」
俺がからかうように言うと、後輩はぷうっと頬を膨らませて抗議の意志を表明した。
「そ、それは、先パイがいろいろエッチなことするから・・・・・・」
見る間に顔が赤くなっていく後輩を微笑ましく感じ、思わず笑みがこぼれた。
「お前はほんと可愛いな」
胸に抱いた後輩の頭を「よしよし」と撫でてやる。
「もう、またそうやって人のことをからかって・・・・・・」
ぶつぶつと言いながらも俺に身体を預けてくる。後輩の柔らかな体温が、汗の引き始めた身体に心地良い。
「くちゅん」
と思っていたら後輩が可愛いくしゃみをした。そういえばこいつはまだシャワーも何も浴びてないんだったな。
「っと、風邪引いちまうな。とりあえず風呂に浸かって温まるか」
「一緒に・・・・・・ですか?」
伺うように後輩が見上げてくる。俺が「当然だろ?」というような顔をすると、後輩も「しょうがないなあ」という顔をした。
「エッチなことはしたらダメですよ?」
釘を差してくる後輩に「了解」と短く答える。しかし、たぶんその約束が守られることはないだろうな・・・・・・と思いつつ、後輩の頬に手を添えて顔を近付けていった・・・・・・
「先輩と後輩ちゃん~家庭的で愛され上手の可愛い後輩~」を読んで頂きありがとうございました。浅倉椎です。
今回は、予告通りの前々作からの続きです。
前作を上げた時点では、かなり進んでいたのでもっと早くいける思っていたのですが、意外と時間が掛かってしまいました。
今回はお風呂というシチュエーションで書いたのですが、1作1エッチを基準としているので、どうにもオチが付かなくなってしまい色々こねくり回している内に遅れてしまいました。で、ご覧のとおり、結局オチておりませんので、後輩ちゃんお泊まり回はあともう少し続きます。
もうしばらくお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
ではでは