こんな感じの小説が無いだろうかと思い、無かったので書いてみた(爆)
思い付きで始めたので続くかどうかは不明。
ところで小説を複数投稿しててわけわからなくなってくる(白目)
「ウラスージ軍が村の近くまで攻めてきてるって!」
「な、なん、だとっ……!」
「そんな、なんでいきなり攻めてくるなんて!」
(戦争かぁ……どうなんかなぁ)
周囲で大人たちが大慌てで駆けまわっているのを尻目に、ぼけっとそんな事を考えていた。
俺ことペースは転生者である。
前世ではよく転生云々の小説を読み漁っては俺強い系に憧れを持っていた。
もし俺が突然今死んでしまうようなことがあったら、それは神様のミスで、それを詫びてもらう。そしてチート特典を貰って異世界で俺つえぇぇwwって出来たらモテモテになるんだろうなって。
そんな妄想ばかりしていた。
――が、気が付いたら俺はこの村に生まれて、一人の青年として生活していた。
ホント自分でも何を言ってるのか分からないんだが、気付いたらここにいたのだ。神様に出会った記憶もないし、当然何か能力を与えられたってこともなく。ただただ普通の一人の人間としてこの村で生活をしていたのだ。
前世で死んだ記憶もないし……なんだってこんな村で生活しているんだろう? と疑問しかなく、いきなりの俺の変わりように近づく人間が減ったってのは、一人になる時間が欲しかった俺には大切な時間となった。
で、なんだが。
この世界の時代背景は……村出身の俺には良く分からないが、最低でも現代ではない事はわかっている。なにせ、日が昇ったら鍬を持って畑仕事をして、夜になったら内職で藁を編むんだから。
蛇口もない、電気もない、ガスもない。
となると、この世界は中世ぐらいまでしか発展してないんだろうかと思ってもしょうがないんじゃなかろうか。実際のところ、この現状から何かわかるのかと聞かれても、俺には分からないと回答するしかないんだが。
最初は納得できなかったし、何故こんな事をしないといけないんだ!
と、強く憤りを覚えていたものだが、ふと冷静になって考えてみたら仕事をしないと飯も食えないのだから仕事をするしかないのだと。加えて、この村の人々は閉鎖的な所が散見されており、少しでも仕事をさぼろうものならすぐに村八分にされてしまうだろうという危惧もあったのだ。
まぁ……他にすることもないし、取りあえず土いじりでもしておこうかなと思ったわけですわ。
一応、ここで生活してきたという記憶というか、知識としてあるため、それを駆使して仕事するしかないんだが。
――で、失念していたことが一つあったのだ。
それは、俺が日本人だったことにもつながるのだが……まさか戦争なんて、と言った感覚。わかるだろうか? まさか自分の村が攻撃の対象になるなんて青天の霹靂も良い所だ。
戦争の終末は、領土を占拠するか、都市を制圧するか。
もしかすれば他にも原因はあるかもしれないが……さすがに情報も何も無い俺に推測も出来ようはずもなく。ただ、敗戦国は戦勝国に労働力の提供だとか、将兵の慰安のための人間の提供だとか。そういう事もあるのかなぁなんて、軽く考えているのだった。
「それで……この村はどうなるんだ?」
「ああ、それ、なんだが……」
ぼけっとしながら、何とか聞き取ろうと集中する。
この村の存亡の危機。となると、俺まで大変な事になるかもしれないという思いしかなかった。この世界で『俺』という個を取り戻してからは、残念ながら今まで付き合いがあった人間への想いというか、感情というものが希薄になっている。
まぁ、そうだろう。記憶にあっても実際に触れ合った期間は短いのだから、そんな程度の感覚だ。昔、幼稚園児前に会った記憶のある人間が、高校生ぐらいのときに出会っても特に何かあるわけもなく、みたいな感覚。
仲が良い以上の関係があった人――親類、友人を含め――は全て自分のものではない誰かの記憶でしかなかった。故に、物語を読んだうえでの知識でしかなく、そういった人物への対応は基本的におざなりになっていたのだ。
「……この村から、人員を差し出せ、と」
「な、なんだって!?」
人員の差し出し。
まぁ、そうだろうな。戦争だ。労働力が無くては戦争はできない事は、普遍的な事柄だ。が知識として知ってはいるが、実際に自分がそうなる可能性を秘めていることを実感すると、いや……実感したところで何も感じないんだから平和ボケし過ぎていたんだなぁとしか思えない。
「この村から、最低でも男を、1人差し出せって」
「な……そりゃぁ……」
「嗚呼、そうだ……そういう事だよ」
「なんて、事だ……」
……あれ?
男1人、だけ?
確かにこの村の人口は少ない。
が、赤ん坊から老人まで、総数は約150人くらいの数にはなる。
これから過疎化していくのかどうかはわからないが、その中から労働力となる人員の提出を考えれば、男の人員だけでの総数の約4分の1程度、30~40人ほどの人員の差し出しが求められているのかと思ったが。
そもそもこの村の存亡自体気にすることもなく要求を通してくるものだとばかりに思っていたが。中々に人格者なのだろうか?
それにしても食いつきが悪い。
たった1人の男を差し出すだけ。その推薦は、軍に気に入られるために若くて力になりそうな人員を選出するかになると思うんだが、どうやらそういう事ではなさそうだ。
というか、そうでもなければここまで悠長に人員の選出に時間をかけるなんて事自体しないだろうし。
「くそ……そんな、慰め者になるだけの存在にならなきゃいけないなんて……!」
「そうだ! 確かに我々は弱者だろう……だが、何故好きに生きてはいけないのだろうかっ!」
「そうだ!!」
「――待ってくれ」
思わず声が出ていた。
男が慰め者? 慰める? 男が?
だって、ねぇ? 男が慰め者になるってなると、相手の将軍はもしやすると同性愛者なんじゃないだろうかぐらいの勢い。だが、ここで慰め者の対象に女が上がっていない、しかも最低1人だけという事を考えるとだ。
敵軍の将軍様は女性なのでは!?
「……なんだ」
「その任、私が引き受けよう」
「な、何だって!?」
「お、お前! 自分が何を言ってるか理解しているのか!?」
理解してない!
敵軍の思惑も、自分がどういった事を言っているのかも、何を考えているのかも! ただ、ただ今この自分が置かれている状況が非常に退屈な状態でしかない事だけは理解できていた。
これでお相手が男だったら自決するしかないが(白目)
「だが、どうせ1人は行かないと行けないんだろう? なら、私が行くと言っているだけだ」
「だ、だが……」
「だがも何も。私以外に行きたいと願い出る男はいないようだが?」
「……」
最後通告とばかり大きな声でこの場にいる全員に伝えるが、上がるこえは一つとして無かった。
皆、自分は行きたくないという気持ちで一杯なのだ。ここで誰かが自ら進んで行くと言えば、後々感じるであろう罪悪感も薄まるだろうとも考えていた。
そうでなくとも畑仕事なんて肉体労働、そろそろ飽き飽きしていたところだった。
「――決まりだな。村長、そういう事だ。この村からはペースが出る」
「……ああ、分かった」
「村長!?」
「これは決まりである。この村からは、デッカの次嬢坊、ペースが差し出しの人員とする。誰も何も言わなかったのだ。ここは、この村の事を考え、発言してくれたペースを尊重しようではないか」
「……くそ」
悲しみに包まれる。
慰め者、と言っても何をするかもわからないような状況だ。
なら、向かってきている軍隊さんから直接話を聞いて、その時絶望するかどうか決めるとしようじゃないか。
――軍靴の音が近づいてくる。
規則正しい足音が。
鉄がこすれぶつかり合う甲高い音。足音共に煙立つ砂埃。
揺れる荷馬車に乗せられた俺は、1人、目を閉じて到着を待つばかりであった。